最新の観てきた!クチコミ一覧

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気付かない奴は最強

気付かない奴は最強

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

観てよかったです
もっと早く観に行けばよかった。。
10周年にして初見。。危婦人ザンノさんが出ているので行ってみました。
若干ラスト長めに感じましたが、だいぶ満足しました。

ラストの気づいてたってのは何のことは気づかなかったです。。
それでも、まいっかおもしろかったし。と思えるお芝居でした。。
また観に行きたいと思います!

ネタバレBOX

いま大変旬な話題のおはなしだったので、なるほど~と思ってみておりました。結局小村崎さんはどうしたかったんだろう?!東さんが殺したのも動機がわからなかったです。

KYな人同士がくっついてしまったのは面白かったです。
ラストの「あっ」てヨネは死んじゃったんですかね…気に入ってたのに。。
気付かない奴は最強

気付かない奴は最強

箱庭円舞曲

駅前劇場(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

「引き込まれ感」
ナンだろ、この「引き込まれ感」。
特色であるリアルな会話に聴きいっているうちにいつの間にやらどっぷり入り込んでいる、みたいな。
舞台となる事務所を斜めに置いて1つの角を客席に向けた装置のチカラもあるか?

ネタバレBOX

また、冒頭と対になった終わり方も上手い。
『三姉妹の罠』

『三姉妹の罠』

8割世界【19日20日、愛媛公演!!】

テアトルBONBON(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

王道パターンをダブルで
三姉妹の妹二人の思惑に振り回される人々を描いた笑劇系、その場しのぎでかわす王道パターンを2重に交差させることで込み入った状況を無理なく(ホントか?)作り上げる手腕が見事。
また、笑わせるだけでなく底流には姉妹愛が貫かれているのもイイ。

やわらかいヒビ

やわらかいヒビ

カムヰヤッセン

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

シニカルな本末転倒論?
解釈の余地が大きくいろいろな意味に取れそうだが、「まず今があり、それがあってこそ未来が成り立つ」から深読みしてのシニカルな「本末転倒論」と受け取る。
また、アフターイベント「北川サドンデス」も程よい気分転換として愉快。

無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】

無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】

ぬいぐるみハンター

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

ピュアとエロとバカの波状攻撃が、
かなり楽しい! 
18人(多い!)の俳優が、それぞれ魅力なのも良い!

サブトロピカル クリミナル

サブトロピカル クリミナル

熱帯

シアター711(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★★★

豪華な演者で
当然おもしろく、後藤いくみ・根本宗子も麗しいという。

長いしっぽ

長いしっぽ

sons wo:

atelier SENTIO(東京都)

2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

詩的で幻想的な前衛劇。
影山気象台の書く作品は格調高い。あたかも明治時代の文豪がかいたような品位がある。そして言葉のリズムがとてもいい。そしてこの芝居、その文芸作品の朗読を多人数で行うというスタイルで進行する。

しかしこの朗読劇が一風変わっているのは、あえて言葉のリズムを壊し、体の バランスを壊し、その違和感のなかに生まれてくるものを見せようというつくりになっている。

やろうとしていることはとても面白い。ただ、まだ役者が、作家の求めるものを体現できるレベルに達してないのが残念。劇中に作家自ら登場するシーンがあるがとてもいい。ああ、こういうことを作家は表現したいのだとよくわかる。

Re-miniscence

Re-miniscence

BLAM!!!

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

ダンスよかったです
はじめどうなるんだろ、ダンスが中心?!と心配になりましたが…。
なかなか本編はじまりませんがちゃんとしたお話でした。間にあったコントもどきは面白かったですが、ちょっと長かったです。2時間以内に抑えてくれるとうれしいです。

ネタバレBOX

器具にちょっとイタズラをしたくらいに思っていたので、
4人で殺そうとしたってのは予想外でした。。

予想外だったのはよいのですが…
殺しの動機が薄すぎる。妬みで「殺すしかない」ってのにはムリヤリなかんじです。タケノコダンスて…彼らの歳に流行っていたのかしら?!と思っちゃいました。

ラストの「つながってたんだ」もはっきりしませんでした。。腑に落ちないけどダンスがよかったからまぁいいや(笑)
薄桜鬼

薄桜鬼

フジテレビジョン

天王洲 銀河劇場(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★

新感線っぽい
あまり考えずにZ団の演出、少年社中の脚本で早乙女太一さん主演ということで見に行ったらゲーム原作のお話だった。。新撰組といったらNHK大河のイメージが強いのでビジュアルがえらく違いました。。声援送る方がいて驚いたほかはふつうに楽しめました。

山南敬助のことを「さんなん」さんと読んでいて、「やまなみ」だと思っていたので調べたらさんなんの可能性が高いということを知り、勉強になりました。。

ORANGE RANGEのRYOさんがとてもよい声でした。。

ネタバレBOX

ボウズのお医者さんのヅラ?の色が浮きすぎてて異様に見えました…。
新撰組や、鬼たちがきっちりキャラクターづくりされている中、お父さんだけが
キャラがイマイチ定まっていない感じが気になりました。

羅刹になっちゃう薬飲んだのに沖田のビョーキは関係ないのね~と思ってしまいました。死んでないからかなあ。。
ヘッダ・ガーブレル

ヘッダ・ガーブレル

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2010/09/17 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

いまいち掴めなかったヘッダという女性
芝居そのものについては、可もなく不可もなくいった印象。落ち着いて観られる舞台ではあったと思います。

ネタバレBOX

分からなかったのが、ヘッダという女性の造形。
素直に芝居を観る限りではこういう感想でした。すなわち、将軍の娘であるというプライドだけは大事にしながらも、自分のプライドを保つための努力は何もしなかった。そして時代の波に飲み込まれ、決して満足とは言えない結婚を選択せざるをえなくなる。そんな自分に嫌気が差していた頃に過去に好意を寄せていた男性に寄り添って生きる女性を間近に見て嫉妬心にかられて絶望し、発作的に自殺する・・・、とても弱い女性なんだなと。ところが公演チラシでは「強く、気高く、信じる生き方を求めて、人生を駆け抜けた女性―ヘッダ・ガーブレル」と謳っているし、演出家の宮田氏もホームページに掲載の公演概要ではヘッダの選択を「変わりゆく時代そのものに、敢然とNO!を突きつけた、個の尊厳に立った、更なる“新しい女”の生き様」と、とても肯定的です。うーん、この隔たりは大きいな。
ペーパーカンパニーゴーストカンパニー

ペーパーカンパニーゴーストカンパニー

劇団6番シード

萬劇場(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★

再演だけあって完成度高し
編集局長・黒部役の小沢の演技が相変わらず素敵だ。小沢が登場するだけで場が引き締まるから流石だと思う。高校生・君島役の樋口は少々、ってか大幅に年齢設定に無理があるものの、それはそれでコメディだからと納得!笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

新鋭タブロイド紙「サブウェイリポート」の編集作業中に一年前に亡くなった沢渡の妻・春子が幽霊になって出てきた。春子の存在は誰にも見えないはずなのに霊感の強い記者の楓にだけは見えちゃうから、さあ大変!

春子の存在や春子が夫・沢渡に伝えたいことを、なんとか楓は皆に解らせようとするも、誰も霊の存在なんて信用しないから、現場はあたふたとしながらも更に戦場と化してしまう。

一方で妻が亡くなってから、なんとなく自暴自棄になり仕事に打ち込めない記者の沢渡の心の内を盛り込みながら、深夜に起こる異変の数々と様々な事件の繋がりをも巧みに描写しながら序盤にばら撒いた伏線を見事に回収する。

序盤はスピード感溢れるコメディでキャストらのハイテンションなセリフのテンポがコミカルで心地良い。しかし終盤は一転して夫・沢渡を思い遣る妻・春子に焦点を当てて観客を泣かせる。女性客よりも男性客の多くが泣いてたことを考えると、男性にとってツボだったのだとも思う。

霊媒師のような役割をしていた楓こと宇田川がひじょうに頑張っていた。楽しくて泣ける舞台だった。毎回、感じることだけれどここのキャストってものすっごく濃いよね。笑
アフタートークはちょっとぐだぐだだったけれど、耳を付けた異性人が混ざってました。笑

ACT泉鏡花

ACT泉鏡花

アトリエ・ダンカン

東京グローブ座(東京都)

2010/10/01 (金) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★★

自分の感受性には責任を持って・・・(茨木のり子風?に)
 簡単に補足だけします。
※とある演劇口コミサイトで、(なんと、他人の書き散らかした感想を見ただけで、確認もせず)、初日の120分からどんどん時間が減っていった、アラ隠しのために場面を削っていってるのは容易に想像がつく、などと仰っておられる方がいました。かなり驚きました。

 当方は全部、終了時間を確認してますが、初日は100分。そして5日も100分。そして、この日も100分。なんの違いもございません。

場面が無くなっているなどということも、ない。というか不可能。
元々が、たった5幕の芝居。膨大な長編をこの分数に、可能な限り、凝縮しているのです。
減らしたりしたら、直ちに判ってしまう。憶測だけで、よく書けるよなあ・・・

そのサイトは、こりっちよりも登録方法が安易で、全体的に書き散らかした投稿が目立つ。そんな投稿をチェックする機能がないのを、悲しく思う。
 しかし驚くのは、演劇誌が主体のサイトなのだ。こんな調子では、その雑誌も信憑性が疑われると思うけど。いいのかな?

「批判する」ことが「評論」だと思い込んでいるのが、責任を持たずに書く人間の特徴。客を100人減らすのは子供でもできる。簡単です。けれど、1人の客を引っ張ってくることは、尋常じゃない才能を必要とするのです。
 それが出来る人間だけが初めて、批判もする資格を与えられる。批判するには、資格が要るのです。当方としては、そう思っております。

終演後、声をかけた木の実ナナは、子供のように無垢な人だった。たった一言の感想に、嬉しさがあふれるようで、子供のように喜んでくれた。
芝居は、生きた人間が作っている。来てよかった。と思った。

神様に一番近い場所

神様に一番近い場所

LIVES(ライヴズ)

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★

ヒーローになりたい
真面目な祭りの儀式は面白くて良かったです!

ネタバレBOX

ヒーローとはピンチのときに救ってくれる人のこと…、みんなヒーローになりたい気持ちがあって、そんなチャンスが突然訪れてきたら少々汚い手を使ってでもヒーローになりたいと思ってしまう人間の性が引き起こすコメディ。

尻穴祭という名前のお祭りでバナナ神輿が練り歩くといえば、ディレクターでなくても色々想像します。期待して、何かを言わせたい放送局側と、神聖な祭りと考えている地元の人々の、噛み合わないテンションの温度差が面白かったです。

祭りの前夜祭の儀式は最高でした。バナナを食べたり、皮を投げたり、皮の上を渡ったり、おごそかにすればするほど笑いました!

一応の説によると、アメリカ人が発音したバナナをベンアーナと聞いて、便穴では如何なものかということで尻穴となったということでした。神輿に関しては、かつて貴重品だったバナナを奉ったもので、純粋な気持ちの表れでした。そして、バナナ神輿の上に乗る猿形と呼ばれる人が祭りのヒーローになるわけです。

猿形の代役を選ぶ選挙運動で、町内会長さんの娘婿を韓国人と勘違いして韓国語で挨拶したりしたのは楽しいのですが、ヒーローになりたい気持ちは分かるものの賄賂を使う人が二人もいたのでは明るさは半減してしまいます。

医者を継がずに東京へ出て、ラッパーになっている会長さんの長男がもう少し鍵を握っているのかなと思っていました。町の子供の方がラップが上手いのにも笑いました。

部分部分は良かったのですが、全体としての感動があまり伝わってこなかったように思えました。
絶滅のトリ

絶滅のトリ

ONEOR8

シアタートラム(東京都)

2010/09/24 (金) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★

自分の場所を守りたいが故に…
架空の場所「絶滅危惧種動物センター」という無人島のかごの中で
繰り広げられるリアルな人間ドラマだった。
設定がおもしろく見応えあった。
ここにずっといたい、好きなことを続けたい、一緒にいたい、
自分の場所を守りたいが故に…。みんなこの場所から飛び立てない。
ラストのものすごい衝撃は、まったく想像できずかなり驚いた。

ネタバレBOX

過去にいじめられっ子だった2人がすごい。

研究員クロコシ役 柄本佑氏、けだるく存在感のある俳優さんだった。
なんだろ、ダルかわいい感じ。
研究員ジロウ役 伊藤俊輔氏、オタクで挙動不審で裏返る声…
こんなかんじの人いるなぁ、いじめてくれオーラがにじみ出ていて
うますぎる!

ゆっくりと時間が流れる無人島の研究室。
絶滅危惧種「オオカンチョウ」の生態調査のみ、なにしろ暇。
酒、女と男、賭け事、噂話、だらだらイライラだらだらギスギス…
お金の心配がなく暇すぎるとこんなかんじかも。

でもその実とっくに…
絶滅危惧種じゃなくなっている「オオカンチョウ」。

隊長コウノ(林和義氏)とその愛人ミユ(高乃麗さん)ふたりが
この研究室存続の為にデータを改ざんしていたことがだんだん…
そういうことだったのか。おもしろい展開!

中には事実を知っていても皆ここにいたいがために、
楽にお金がもらえる仕事を手放したくないために見て見ぬ振り。
ひとりだけシマ(恩田隆一氏)が自ら崖から転落して骨折し
本土に戻って行く。クロコシも誘われたが残った。
なぜかココに残るならとシマにくちびる奪われてたな。
噂好きのサギ(野本光一郎氏)のせいでクロコシが崖から
突き落としたことに…。

そしてどんどんミステリーに。
実は家政婦ではなくスパイだったノグチ…
実はノグチではなくコバヤシ(角替和枝さん)だった彼女の
報告によりあえなく崩れ去る。

研究員の人間関係も
一番若いリカ(高畑こと美さん)が妊娠した事で、崩壊へ。
いつもチコ(和田ひろこ)に冗談でセクハラを繰り返す
ミツバ(河口高志氏)がうたがわれる。
しかし相手は隊長コウノだった。2人目の愛人かぁ。
愛人ミユ(高乃麗さん)は怒り狂い包丁を手に。
リカをかばって彼氏のふりをしていたオオトラ…可哀想に。
オオトラ…ポロシャツから乳首が透けてるネタで延々と
いじられていた頃は幸せだったのに。

クロコシとジロウはここにいたいがために話し合い、
いじめられていた過去を告白しあう。
その時の感情「みんな殺してやりたかった」を思い出し…
そして…「オオカンチョウ」を惨殺する。
でも想像以上に個体数が増えていて絶滅危惧種には戻らない。
ルネ・マグリットの絵画のような美しい空を切り刻んでいく
このシーンがひどく悲しく、でも美しくも。

この惨殺劇を察知した「オオカンチョウ」の幼鳥が
いっせいに飛び立つバタバタという羽音が何重にも。
そしてみんなの現実に向かって
この研究室のカゴから飛び立たなければいけない時が来た。

おもしろい話だった。
スパイ ノグチ役 角替和枝さん、おもしろかった。

Project BUNGAKU 太宰治

Project BUNGAKU 太宰治

Project BUNGAKU

ワーサルシアター(東京都)

2010/09/30 (木) ~ 2010/10/10 (日)公演終了

満足度★★★★

文学を描く秀逸さに留まらず・・・
他の方も書かれているように
本当に秀逸な企画だと思います。

単に太宰文学を描く力にとどまらず
さらに広がり出るような
作り手の創意や表現の豊かさを感じることが出来て。

本当に良いものを拝見させていただきました。

ネタバレBOX

・Human Lost
 客入れの段階から役者の方が居続け・・・。
 場内が観客で満ちるにつれて次第に舞台の空気も密度を持ち始める。

 絵面がきれいな舞台でした。
 下手で物語を書き綴る体にしても
 登場するキャラクターたちの所作にしても・・・。
 原作の淡々とした語り口が生かされて
 そこに狂気の側から見た己のまっとうさと
 外側への違和感が
 ある種の美的なセンスをもって
 違和感なく伝わってきます。
 光と影の使い方もうまいと思った。
 
 そのしなやかな語り口に
 すっくりと閉じ込められてしまいました。

・燈籠
 登場人物たちがどこかポップで、
 時代の風景に足をつけながらも
 塗り込められていないのがとてもよくて。
 
 人物それぞれの描写にメリハリがあって
 しかもばらつかずに彼らの個性にしっくりと納まっている。
 役者にここ一番での見栄を切るがごとき強さを感じる。
 
 なんだろ、家の雰囲気とか
 家族たちの世間との関わり方とかに
 不思議なヴィヴィドさがあって。
 そこにある空気が、
 主人公のモノローグも、どこか啖呵に近い語り口も
 すっと物語のうちに馴染ませる。
 
 原作の風情をそのままに感じつつ
 原作とは異なるウィットの色合いに
 作り手のもつセンスの秀逸を感じたことでした。

・ヴィヨンの妻
 繊細で実直な物語の組み上げが
 太宰の描く世界をしなやかに構築していきます。

 他の作品に比べて
 作品の部品をそのままに積み上げていく感じ。
 その分劇場全体を広く使って
 世界観の広さを作り上げていく。

 物語に対する外連は4作のなかで一番少なかったように思います。
 但し、同時に、作り手の感性が深い部分に縫いこまれていて。
 短編とはいえ物語の展開がはっきりしていて
 滲み出てくる色がある。
 
 観終えてその色にしっかりと浸されておりました。

・人間失格
 一つずつのシーンに
 現れるイメージがくっきりとありました。
 始まってからしばらくは
 物語の流れは刹那散漫な感じすらするのですが
 それが次第に観る側を埋めていくのです。
 個々のシーンに宿る色にぞくっとするほど
 取り込まれる。
 ラフなようで緻密な舞台上の世界観に
 観る側が豊かに引き込まれ縛られていく。

 ジェンダーの異なる役者によって醸し出される雰囲気、
 背景はあいまいで、
 でも具体的なニュアンスをしっかりと持った
 役者たちの醸し出すキャラクターの色。
 濃密だったりどこか突き放したりの
 したたかな空気の醸成の仕方と
 絶妙なばらつき。
 そのままに注ぎ込まれると
 太宰を読んだ時に感じたものと
 不思議に重なる。
 
 太宰の小説が、その語り口で観る者を惹きこむように、
 ちょっと魔法のようなリズム感が舞台にあって
 気がつけば太宰の色に
 強く縛られておりました。
 
 **** ****

それにしても、秀逸な企画だと思います。

なんだろ、
単に太宰ワールドを舞台上に具象化するだけでない、
さまざまな創意とそのベクトルの豊かさが
一つの舞台から醸成されていることに
すごく満たされた気がして。

個々の役者がとても眼福だったし
演出家の手腕もひしひしと伝わってきて
観終わってがっつりの充実感はもちろんのこと、
単なる作品にとどまらない+αというか
4つの作品の重なりから訪れる
太宰文学を超えて溢れだすものの瑞々しさに
圧倒されたことでした

そうそう、私の回は永井愛氏のPPTがありましたが、
こちらも、聴きごたえがあって
べたな言い方だけれど面白かったです。
 
この企画、太宰にとどまることなく
いろんな作家を素材にして観たいと思う・・・。
個人的には、偏っていますが、
尾崎翠や梶井基次郎あたりが
希望。 
 
ラストシャフル

ラストシャフル

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★

微妙
芝居の前半と後半の印象が全然違う。少なくとも前半の配慮のない人々の行動,それを自分に投影すると迷惑だけの何物でもなく,反感を持つだけの芝居でもあった。後半になると登場人物も落ち着き,前半の人々のワケも明らかになり,最終的には落ち着きどころの良い芝居になっているので,観劇後感も悪くはない。となると,反感を覚えさせるほどの前半の人々の役柄を現した良い演技ともいえないでもないが,前半の気持ちを後半にも引きずってしまうこと,前半の役者さんたちは後半にはあまり現れず,最終的なオチだけに出てくること等から,感想はなかなか微妙なものになってしまう。ただ,わかりやすく,悪い芝居でなかったとはいうことが出来る。

ロールシャッハ

ロールシャッハ

KKP

本多劇場(東京都)

2010/10/06 (水) ~ 2010/10/17 (日)公演終了

満足度★★★

細かい部分で妙に面白い
色んなところにさり気なく仕込まれた小ネタと、それを使っての動き、
間の取り方が絶妙に上手い。 ガハハと大笑いするより、ニヤニヤ
クスリとするタイプの笑いで、あっという間に引っ張られた2時間10分。
個人的には、後半のネタがツボに入りました(笑

最後の、思いもかけない展開とタイトルに込められた意味、
綺麗なまとまり方にも拍手。

ネタバレBOX

「開拓隊」なる存在が6つの島を開拓してきた中の一つ、「壁際島」。
そこには世界の果てのような場所が存在し、一つの灰色の巨大な
壁により、その向こうは謎に満ちている。

怒りっぽすぎるため外国人工員が何人も辞めていくのに悩む工場長、

「パーセントマン」という3Dマンガにハマリっぱなしの少オタク気味な青年、

人に合わせがちな、軽いノリの典型的な若者な男、

この三人が開拓隊より、この世界の果てにそびえる壁に大砲で穴を
開ける任務を命じられることから、この物語は始まります。

内容が分ると最後の場面のカタルシスが無くなるので伏せますが、
「今の自分」と「本当はなりたい自分」の両面、「壁のこちら側」と
「壁の向こう側」、どちらも違うようで本当は鏡に向き合うように同じものだよ。

そういう意味がこのタイトルにはこめられ、観客は大砲訓練にいそしむ、
というか、四苦八苦する三人を観ながら気が付いていくでしょう。

ちなみに、ネタ的には「串田発泡手!!!」と「朝の小ネタラジオ体操」に
ものすごく笑いました(笑 特に前者。

「お前っ!!!! 俺の職務聞いて笑っただろっ!!!!」

いや、笑いますって。 観客席も大爆笑の個人的笑いハイライト。
腹筋ヒクついたわー。
Re-miniscence

Re-miniscence

BLAM!!!

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★★★

面白かったです♪
謎も解けました。
暗くなりがちな物語を、そう感じさせなかったのは、
それぞれのキャラが面白かったからかなと。
元気いっぱいのお芝居で、とっても楽しかったです♪

絶滅のトリ

絶滅のトリ

ONEOR8

シアタートラム(東京都)

2010/09/24 (金) ~ 2010/10/03 (日)公演終了

満足度★★★★

籠の鳥は楽なのか
「楽」な仕事であるはずの、研究施設での人間関係を描く。
彼らの「居場所」はどこなのか、そして、それか安全で安心な場所なのか。
さらに、いつまでもその場所はそこにあるのか。

ネタバレBOX

絶滅危惧種のトリを無人島で繁殖させるための研究施設。
研究施設で生活する人々は、まるで籠の鳥のような様子だ。
籠の外(世間)では生きるのが得意ではなさそうな人たち、とも言える。
彼らこそが、世間に出たら絶滅してしまう危惧種なのかもしれない。

本当にトリが好きなのは、ジロウぐらいで、あとは楽な仕事と割り切っている。
仕事はそこそこで、あまり良好とは言えない人間関係。
どこかトゲのある日常風景が、ひしひしと伝わってくる。

そこへ、怪我をした人の代わりに一人の女性ノグチがやってくる。
彼女の登場と、その本性により、研究施設内での人間関係が露わになってくる。
そして、崖から落ちて怪我をした男の理由も判明してくる。

非常にオーソドックスな雰囲気で物語は進行する。
バランスが悪いながらも、どうにか立っている人間関係の表し方がうまい。

そして、怒濤のラストへの展開。
窓の外の風景は、どこか歪な印象だったが、なるほどそういう意味だったのかと理解する。
ジロウとクロコシが、トリたちを殺戮する姿は恐ろしくも美しい。鳥肌モノ。うまい演出だ。
そして、物語はこちらにフォーカスされていたことに気づくのだ。
それは、醜さを露呈する人間関係と呼応し、凄まじいカタルシスを呼ぶ。
この展開には舌を巻いた。

「居場所」がキーワード。その居場所にさえいられなくなってしまうダメな男さえいる。妻がいるのに、愛人がいて、さらに…という男だ。
ダメな人間はどこまでもダメなのだろうか。
しかし、彼らを突き放してしまうことだけはせずに、方法は間違っていても、自らの居場所を勝ち取るために戦うことを選択した者もいるというラストでもあった。

さらにラストにジロウとクロコシとが血まみれで舞台に登場したときは、「蛇足だな」と思ったのだが、2人の元いじめられっ子でありながら、彼らの中での温度差、ヒエラルキーみたいなものがじんわりと出てきながらの共感、そして最後に希望を見せてくれた(それが「希望」と呼べるものかどうかは不明だが)。
そのときに、こちらにフォーカスされた物語が見事に収束していくのを見たのだった。

実際のところ、多くの人は、自宅と会社と少しの趣味などの場を範囲とする、「居場所」の中にいる。
それは「安心で安全な」「籠」なのかもしれない。
しかし、その籠はいつまでそこにあるのかは、わからない。
その前提が崩壊しようとするときに、自分たちはどう振る舞うのか、ということを示しているような舞台だったとも言えるのだ。

ノグチ役の角替和枝さんは、あまりにも強い。どんなシーンでも強い主張を必ず突っ込んでくる。さすが、としか言いようがない。ジロウ役の伊藤俊輔さんの台詞回しが素晴らしい。うまい。クロコシ役の柄本祐さんの、どこか冷めた普通な雰囲気も良い。親子対決(笑)は冷え目だったけど。
コウノを演じた林和義さんのむさ苦しいくて、イヤな男もなかなかだった。
そして、女性陣は強く印象に残った。
Electronic Marx/エレクトロニック・マルクス

Electronic Marx/エレクトロニック・マルクス

カノコト

HIGURE 17/15 cas(東京都)

2010/10/07 (木) ~ 2010/10/09 (土)公演終了

演劇ではない
駅から会場に向かう。会場で席につく。(開演。) はじまった上演の後ろ、舞台奥の街路をみる。制作の人も台詞を喋る。また奥の街路をみる。ねこがかわいい。道ゆく人がおもしろい。(終演。)会場の2階に行く。会場から駅に向かう。それがおもしろかったことの全て。しかし貴重な体験だった。

ネタバレBOX

Marxの上部構造/下部構造という言葉の理解が少しおかしい気がした。なぜ廣松渉が心身論や表情(expression)に感心をもったのかとも関わる舞台藝術とMarxの思想との結節点とも思えるのに残念である。

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