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PLAY PARK2012

PLAY PARK2012

PLAY PARK 事務局

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2012/04/20 (金) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

6日め 昼の部 観劇
当日登場順
裏ワザ「漏れて100年」
吟舞道至心流『「祝賀の詞」「まつり」「風雲坂本竜馬」』
罪と罰「罪と罰のフォーク的こころ」
—————休憩—————
劇団鹿殺し「暴れん坊銀河鉄道の夜〜前張り2012〜」
入江雅人『「曲とかかわる」「メカカ」「予告編」』

タイプの違いを如実に体験出来た公演を観たという感じ。日本の芸事ってホント幅広いわ。初見の裏ワザと吟舞道の独特の詠む、見せる、徹底した芸の表現法は迫力があった。が、幅広過ぎて見るエンジンをかけるのに時間かかりましたw。
罪と罰、鹿殺し、入江さんメインで見てました。

ネタバレBOX

・裏ワザ「漏れて100年」
男性4名のパフォーマンス芝居、山の手事情社ぽい?と思っていたけど、やっぱり違う。
狂言ぽい現代口語の台詞回しが聞いててクセになりそうだった。
主人公となる「さち」を軸に、生生流転の百余年に渡る一瞬の出来事を「仙人」「ゆめ」「無限」「うた」という人物と関わり、最後は鬼がやってきて‥悲惨ではないけど壮大で孤独な話だった。
だれか解説して下さいw。

・吟舞道至心流『「祝賀の詞」「まつり」「風雲坂本竜馬」』
詩吟といったら天津木村と、漢詩に節を付けて詠むから詩吟という事しか思い浮かばないんですが‥それに舞いをつけた演目。生声で聞かせ朗々と歌うのかと思っていたら、結構きらびやかで激しい踊り方でたまげました。ウチの親はあそこまで動けんなぁ、と妙な所で感心。
演目の中ではある意味独特のチョイスだけど、これも立派な舞台芸術の一種だと思う。
祝賀の詞/歌詞の内容通り、白波や松、鶴といった振りを交えての演舞。
まつり/北島三郎のあの歌です、途中アレンジしてたけど。演舞の方も多少サブちゃんに似ていたような‥(笑)
坂本竜馬/謡曲にのせて、かの偉人の決意表明を演舞した模様。この方が一番の若手ぽかった。
吟じている、というか、詠っている時、シブゲキ規模の広さならマイクなくても後ろまで届きそうな声量があったように思うが、やっぱ使った方が聞こえ方が違うのかな。

・罪と罰「罪と罰のフォーク的こころ」
罪(しんぺーさん)と罰(まことさん)のフォークデュオが歌う全曲下ネタ入りのステージと、スナックのママさん(千葉さん)によるツッコミコントネタ。
歌:マジカルバナナ、恋のスタジアム2012、ほか2曲
暗転の中、まわり見えなくて出だしからガタガタと物音をさせてる罰さん。灯りついて一曲歌うが、その傍らで苦い顔して見ているママ。そんな歌ウチじゃ歌わせない!別の歌にして!灯りだって変わるのよ!とリクエストするがサウンドは爽やかでも内容は終始一貫下ネタ。
罪さん:待ってる間YouTube見てたんで、ママが詩吟歌ってたらどうしようかと/ママの洋服の絵柄(おへそ部分にバラとチューリップがあしらったデザイン)について、長いと股間にあたるね!/ステージ後方全く使用する事ないので、後ろもったいないね!わーいと駆け回りそうになり、ママと追っかけっこしそうになるも踏んだらダメと言われるコードの存在を見つけ、すぐに止める。/
主に罪さんとママが会話しているんだけどおずおずと喋る罰さん:キ○マサ○エさんをキムラハルコさんと言い間違えるがあまり気にしてない。憎たらしいと思ってるんでしょ?ママは心が東電OLだから。→渋谷の真ん中でそんな事言っちゃダメ!/冒頭にギターガタガタさせたけど、以前も暗転中サングラスかけてガタガタさせたらしい、伊藤つかさみたいでしょ?→ここの(客席)目の前は壁なの、微妙に分り辛いネタを話すな!/途中椅子に座って2人のやり取り眺めてたら、いきなりギターのストラップが外れギターが落っこちるハプニングがあるも大したチューニングせず、その後そのまま演奏する/
ママ:餃子一人前24個!/小道具のマグカップ100均で購入、スケルトンで外側が水張ってんの、で中はそれよりも多く入れてマジック?(誤差)を楽しめるでしょ。〜ちょっと違うんじゃね?で初めて用途を理解→カップ凍らせて冷えを持続させるやつなんだけど、まじでそういうカップだと思っていた模様。/ちょっとそこのチェッカーズ!(二人の衣装が奇しくもチェック柄だった)→気が合うんだよね〜僕たち、で、益々苛つくママ/今何時よ!明るいうちからそんな歌歌っちゃダメ!夜にやって!伊勢正三とイルカのなごり雪みたいなやつ歌って!さだまさしみたいなやつ!/じゃ新曲をといいつつ、元歌が「恋のスタジアム‘95」を出てくる人名変えて「2012」にバージョンアップしフルコーラス歌いきる。「やっぱ下ネタじゃない!」で〆。
歌詞の内容に興味がある人はCD聞いて下さいw
千葉さんの突っ込みぷりが清々しかったw

・劇団鹿殺し「暴れん坊銀河鉄道の夜〜前張り2012〜」
肩パット2枚併せて前張りにし、最後までその衣装で踊り演じきった男6人衆。内容は銀河鉄道の夜だけど、鹿殺し流にアレンジされた30分のほぼオリジナル舞台だった。最初に触れる「銀河鉄道の夜」がこんなんだったら小難しいと思わず、結構すんなりと頭に入る人も居るんではないかなw
チョビさんのジョバンニ、丸一郎のカンパネルラ、他、
電飾を身体に巻き付けて天の川の仕組みを教える先生、全員がマーシー、ガガ風ダンス、血まみれ兄妹、サトラレ車掌、K-POPグループ、東北新幹線と東海道新幹線をモチーフした銀河鉄道から見える景色、そして別れ。
最後は総勢11人で「Power to the 前張り」のパフォーマンスで〆。
エロとPOPでインパクトはあるけど、なぜか終わりはホロリときそうになるのは今回も健在でした。完全verあったら見たい!
本公演作に劣らず面白かった。

・入江雅人『「曲とかかわる」「メカカ」「予告編」』
過去のベスト作品2本と次回作の一部を加えた、セットなし、衣装なし、映像なしのアコースティックver。
曲とかかわる/浅井健一の「宇宙の果て」の曲と対話するネタ。
メカカ/ヤブ蚊に刺されて退治するまでを壮大な過程で描いた大作w。
予告編/SF超大作「世界征服への道」Coming soon!、時の6本指(サスペンス?)
予告編の時、話の歩調と音が上手く合わず、プレリハ状態に。それが演出だったのか、ホントにかみ合ってなかったのか、やり取りが自然過ぎてやや混乱、それも面白かったので良しとする。

鹿殺しの時、マイクトラブルあったのが残念。それ以外は今回も楽しめました。
時代劇「椿版・どん底」

時代劇「椿版・どん底」

椿組

ザ・スズナリ(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

迫力ある演技や舞台装置
舞台装置に「迫力」というのはおかしいかもしれませんが、
劇場内に入るとすぐ、みすぼらしくて、藁が一面に敷かれていて、
何か土の臭いがするような、独特の雰囲気にまず驚かされた。

そして、そこで演技も迫真さが伝わってくる、素晴らしいものであった。
そういう意味では観に行って満足であった。
ちなみに私は自由席で、満席のため長いスタンド席に詰め込まれる感じで、
結構疲れたのも事実だが、やはり演劇の楽しさの方が上回った。

ただ、少々残念なのは、筋に一貫性があって、
しっかり話が流れて行くというよりは、
色んな事があまり脈絡なく起こってくるだけ、というような気にもなった。
そういう意味で、「なんのお話だったっけ」と振り返ると、
意外と、観る者の心に残っているものが少ない話のような気もする

冷たい唇、温かい箇所

冷たい唇、温かい箇所

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2012/04/25 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

冒険が欲しい
 観客を驚かすような趣向が無いのは寂しい。話の展開は、業界の多少、ブラックなコメディ或いはパロディなのだろう。観客は、シナリオレベルでも、良い意味で裏切られにゆくのだ。そういう新鮮味が感じられない。無論、こなれていて、ソツはない。演技も上手い。だが、折角、そこまで積み重ねてきたのなら、思考レベルでももう少しアクロバティックなことに挑戦すべきだとは思うのだ。でなければ、とてもヨーロッパなどの興業には勝てまい。

へちま -糸瓜-【全公演終了!ご来場ありがとうございました!!】

へちま -糸瓜-【全公演終了!ご来場ありがとうございました!!】

文月堂

OFF OFFシアター(東京都)

2012/04/24 (火) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

怒鳴り合いが多くて・・・
個人的な好みかもしれないが、
むやみに(=必然性なく)怒鳴り合いの多いものは少々苦手で、
このお芝居にも同じように感じてしまいました。

それに、長女が頑ななまでに三女の結婚に反対することや、
しかしその後のシーンでは、かなり違った性格を見せるなども、
私には統一性が感じられず、
個々の場面で起きていることの必然性、という点で弱い気がしました。

それと、パンフレットに登場人物の家系図(?)が入っていて、
これが結構複雑な代物。
一応は私も見たのですが、劇が始まると忘れてしまって、
しばらくは関係性がよく分からなかったのです。
そういえば「隣家の乱入シーン」も同じような印象です。

怒鳴り合いシーンを置くために、家系図を複雑にして、
その他の筋立ても作られているような、
作為的な感じがしたのが残念でした。

ネタバレBOX

面白い趣向がありました。
座席に番号が書かれた紙が置いてあってそれが抽選の番号になるとのこと。
私は、見事4人の当選者のうちに入りました。

そこで頂いたものに、ヘチマの種と、その
育て方が書かれた紙が入っていたのですが、
実は、劇中にもそういう場面があったのです。

つまりは、景品の封を切ったときに、
見終わった芝居を回想させる仕掛けになっているわけで、
これは結構秀逸なのでは、と思いました。
ただ、ほとんどは落選者なので、この趣向に接せられる人は
僅かしかいないのはちょっと惜しい気がします。
まあでも、これがあったので、☆3つにしました。
平成中村座 四月大歌舞伎

平成中村座 四月大歌舞伎

松竹

隅田公園内 仮設会場(東京都)

2012/04/02 (月) ~ 2012/04/26 (木)公演終了

満足度★★★★★

おゆきは誰?(小笠原騒動)
と、とにかく思いました。

歌舞伎で、こんなに活躍の場がある名子役さんを見るのは、久方ぶりです。

もし、神様が、芝居好きな私に、「一度だけ舞台に立たせてあげるけど、何がいい?」と聞いてくれたら、「タイムスリップして、小笠原騒動のおゆきをやらせて!」とお願いするかも。

そんな気持ちになるくらい、幼いながら、独壇場の演技でした。

このストーリー、現代に置き換えても、きっとあちこちの会社とかで、実際にありそうなお話。

でも、現代では、返り忠の忠義者は、いないでしょうね。

ネタバレBOX

のっけから、七之助さんの悪女っぷりが、凄まじい!

自分の出世のために、恩ある養父を口元に笑みを湛えて、赤い帯紐で首を絞めていく様に、先日観た「お染の七役」からの進化を感じ、まずこちらにも笑みが浮かびました。

一方、世話になった隼人への忠義一筋で、良助に惨殺されてしまう、仁義に厚いお早の役も、七之助さん、見事に演じ分けられました。

たった数ヶ月で、役の演じ分けが巧みになられて、幼い頃から拝見している一ファンとして、至上の喜びを感じました。

勘九郎さんの犬神兵部は、悪役を誠心誠意、懸命に演じているのは、わかるのですが、まだ若干、力みが強い感じがします。
もう少し、余裕を持って、悪役を楽しんで演じられるようになる日を期待したいと思いました。

扇雀さんの隼人、おかのには、共に、品格と色気があって、とてもこの芝居のリアル感を増幅させて、素敵でした。

国生さんは、昔の光輝さんを彷彿とさせます。きっと、いい役者さんになられるだろうなと、こちらも楽しみ!

米屋や酒屋、3人の取立て屋が、良助の娘おゆきの健気さに胸を打たれ、借金を取り立てるどころか、逆に、着ていた着物を譲って、襦袢だけで、帰る場面、笹野さん達の楽しげな演技で、心がほっこりし、その分、後の悲劇が際立つ、巧みな演出でした。

それにしても、ずっと歌舞伎を観ていますが、「返り忠」という単語は初めて聞いた気がしました。
橋之助さんの岡田良助の返り忠っぷりに心を打たれました。
現代でも、返り忠になってくれるような人間が増えるといいのに…。
君がいなくても

君がいなくても

ピンク地底人

アトリエ劇研(京都府)

2012/04/23 (月) ~ 2012/04/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

説明文が
内容をとてもよく表してるな、と、思ったりしました。

地底人たちの舞台は、何故かとても素敵なのです。

その魅力をうまく伝えることはなかなか難しいようにも思います。

一見全然違うところに向かっているようで、最後に予想もしなかったところに徐々におさまってきたりします。

内容を頭の中でまとめてみると、よくありそうな話でありながら、
自分の心の中では大きく違った感覚が残ってたりします。

途中から話の流れがある程度予想できるのに、
それで素晴らしいと感じる気持ちが減るわけではないようにも思います。

不思議な舞台だと思います。

そしてまた、凄くシンプルな舞台だとも思います。

でも、舞台と言うのは、技巧を披露するのではなく、
素直な気持ちを、想像力を、そして愛を、伝えるものであるように思うので、
シンプルなほうがいいと思います。

多くの舞台は、頭でっかちではないかと思ったりもするのです。

僕は、この物語を観る中で、
台詞よりも役者の目の動きが強く印象に残りました。

登場する役者はたった3人。

「母親」役以外の二人の役者は、
ほぼサングラスなどを掛けたり、観客からは後ろ向きになったりして、
あまり「目」が観客の視野のなかで目立つことはありません。

・・・だからでしょうか。

その「母親」の目の瞬きや、瞼のひくひくしたりする動きが、
強烈に印象に残るのです。

まるで、その母親の・・(以下、ネタバレへ)

ネタバレBOX

まるで、その母親の、もういない子どもへの愛を、
台詞ではなく、目によって伝えようとするかのように。

そしてまた、物語の中にたびたび訪れる「静寂(間)」や、
まったくの他人たちの会話、
そしてその他人たちにすがるようにして
いない「子ども」の身の上相談をする「母親」の抱える、
強烈な「孤独」。

いま自分が何歳なのかも忘れてしまった、
記憶と妄想の中を行き来する老婆の混沌。



ウィンナー・ガラ

ウィンナー・ガラ

公益財団法人日本舞台芸術振興会

東京文化会館 大ホール(東京都)

2012/04/24 (火) ~ 2012/04/25 (水)公演終了

満足度★★★

うまいが飽きる
印象に残らない作品が多かったが、「ルートヴィヒ2世白鳥の王」はすばらしい。時間、構成、技量から最後のライモンダは蛇足と思ったが、拍手の大きさからすると興行としては必要なようだ。もっと思い切ったプログラム構成ができるようになるよう、監督に期待。

I was Light【終演いたしました。】

I was Light【終演いたしました。】

エムキチビート

シアターサンモール(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

オープニング
オープニングの映像を使った演出がとても印象的でした。

コント遊園地(誘艶恥)始めました

コント遊園地(誘艶恥)始めました

『劇団 もより駅は轟です』

劇場バイタス(東京都)

2012/04/20 (金) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★

ニヤリとクスクス
までの笑いはあったのですが、あとひといきで大笑いになりそうなのですが…
役者陣のキャラ的にはバリエーションがあるので、場数を踏んで!って感じですかね!?
あと、舞台の袖でのドタバタがきになりました。

百年の秘密

百年の秘密

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2012/04/22 (日) ~ 2012/05/20 (日)公演終了

201204251400
201204251400@本多劇場

HIDE AND SEEK

HIDE AND SEEK

パラドックス定数

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2012/04/13 (金) ~ 2012/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演
星のホールのサイズを活かし、贅沢に使った舞台装置、素敵でした。
劇作家がこの脚本を書き、作家(脚本家)を、読者(観客)を否定し、肯定する。それがすごい。
観劇後の疲労感が気持ちよかったです。

初演時とは登場人物、演出も、作品を一層濃く、深いものにしていたと思います。

イッセー尾形のこれからの生活2012 in 茅野/in 春の博多

イッセー尾形のこれからの生活2012 in 茅野/in 春の博多

森田オフィス/イッセー尾形・ら(株)

イムズホール(福岡県)

2012/03/31 (土) ~ 2012/04/01 (日)公演終了

満足度★★★★

震災から、一年を経た後に
 前回の小倉公演から、何となく“違和感”のようなものを覚えていた。
 相変わらず、イッセー尾形は面白い。面白いが、どこか「おとなしく」感じてしまうのである。
 イッセー尾形の一人芝居で演じられるのは、滑稽でどこか歪つなところはあっても、基本的には「フツーの人々」である。一つのスケッチ(イッセー氏ほかスタッフは「ネタ」と呼ぶ)は、一般的なコントのように、破壊的な終わり方をするのではなく、なだらかにフェードアウトする場合も少なくない。還暦を迎えられて、あまり攻撃的だったり、毒舌的だったりするキャラクターを演じるのを控えるようになったのかとも思ったが、それとも感触が違う。
 思い返すに、これまでの公演との違いが生じたのは、イッセーさんが相手をする人々に、穏やかで優しい人が増えてきたからではないのか、という点に思い至った。もちろんこの「相手」というのは、観客の眼には見えない、イッセーさんの「隣」や「向かい」にいる人々のことである。

 東日本大震災は、イッセー尾形と森田オフィスの人々にも大きな心の転換を促したのではないかと思う。多くの劇団や劇場が公演を中止していく中で、森田オフィスは殆どの公演を予定通りに敢行していった(実際には劇場側から安全面での不安を指摘されて断念したものもありはしたが)。
 作品の中に震災や、あるいはそれを想起させる出来事を盛り込まなくても、イッセー尾形と森田オフィスは、この一年、「演劇ができることは何か」を追求してきた。それが前回、そして今回の福岡公演での、イッセーさんが演じるちょっとだけ世の中からはみ出してしまった人物を取り巻く人々の「優しさ」に繋がったのではないだろうかと推測しているのである。

ネタバレBOX

 前回まで、シリーズとして続いていた「天草五郎」は、今回は演じられず。
 絵師の天草五郎が、長崎奉行から踏み絵を依頼されたことから始まって、地底国から地獄への道行まで、一大スペクタクルを展開していたSFシリーズだったが、前回、「いつ終わっても再開しても構わないような」と仰っていた通り、いったんの小休止に入ったのかも知れない。
 DVDとして一本に纏められたらしいが、4月1日時点のロビー販売では、既に完売していた。人気のスケッチであるから仕方がないのだが、森田オフィスはあまりソフトの再販はしないので、この傑作シリーズを再見することはもう叶わないかも知れない。

 スケッチは全部で8本。全てのネタは紹介しきれないので、特に印象に残ったものをいくつか。

 作業服にマスクを付けた男が、機械の点検をしている。
 工場はかなり広く、相当、騒音がしているらしい。男はほぼ何も喋らず、周囲の仲間、同僚たちと、ジェスチャーで合図をし合っている。けれども時々、マルの合図を出しても相手にうまく伝わらず、思わずマスクを取って大声で叫んでしまう。でもやはり頓珍漢な対応をされたらしく、「もういい」と点検に戻る。
 ここまでは、イッセー尾形のマイムの巧さを堪能させてくれる展開だが、話は急に変化を見せる。どうやらこの男、結婚間近らしい。すれ違う仲間たちが、みな一様に男を冷やかしていくようになる。最初はよく聞こえずに、耳を欹てる男であったが、やがて冷やかしばかりだと気付いて、「もういい」。

 年寄りの渡し守が、若い民俗学者らしい客を舟に乗せている。
 学者は渡し守に向かって、この近くの伝説について問い掛けているらしい。渡し守は「伝説? 無えよ」と冷たくあしらうが、「昔話ならあるけどな」と言って、河童の話を始める。学者は喜び勇んでいるようだが、渡し守の話は「昔、このへんに河童がおった。話はそれだけだ」と、なんとも尻切れトンボ。
 そのあとも次から次へと昔話をしてくれるのだが、全て中身がない。拍子抜けして、しょぼくれている学者の(恐らくは若者の)姿が見えてくるようだ。

 イッセー尾形の一人芝居の非凡さ、他の一人芝居の追随を許さない孤高さは、この「見えない相手」が、観客の眼に鮮明に見えてくる点にある。
 ライブのラストは、ほぼ必ず歌物になるのだが、今回は「パリの酒場でいつもはシャンソンを歌っているのだけれど、今日は日本人観光客の貸し切りなので、全て日本語の歌を歌う」という設定。
 どうしてパリに観光に来ているのに、日本人をわざわざ日本人歌手の店に案内するのか、旅行代理店は何を考えているのか、と疑問に思うが、案外「里心」を刺激させることが目的としてあるのかもしれない。
 この時も、聴衆たちの笑い、驚愕に当惑、そういった姿が見えてくる。見えるだけではなくて、私たち自身も、その「見えない観客」と融合していく。いつしか私たちは、イッセー尾形の世界に取り込まれて、あたかも今、自分が登場人物の一人となって、本当にパリにいるかのように錯覚させられていくのだ。

 「福岡のお客さんを相手にする時には、特に緊張します。何というか、今、自分がこの舞台にちゃんといるんだと、強く意識してなきゃならないような。何を言ってるんだかよく分からないかもしれませんが、本当なんですよ」。
 イッセーさんの、公演終了後のコメントである。福岡の一般客たちの演劇鑑賞スキルは極めて高い。そういう客がこぞって観に行くのは、イッセー尾形の一人芝居ような、文句の付けようのない舞台なのであって、地元小劇場の自己陶酔型のつまらない芝居ではないのである。
PLAY PARK2012

PLAY PARK2012

PLAY PARK 事務局

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2012/04/20 (金) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★

25日昼の部観劇
色々な劇団(団体・個人)の芸が見られて、かなりお得感いっぱいでした。
特に劇団鹿殺しの「暴れん坊銀河鉄道の夜~前張り2012~」は最高でした。
これ見るだけでも、チケット代の価値はあったと思います。

このイベントは、毎日違うのでネタバレ関係ない気もしますが、長くなるので個々の感想はネタバレの欄で。

5組。15時スタートで全部終わったのは18時でした。休憩は10分が一度。

ネタバレBOX

裏ワザ「漏れて100年」

予告というかチラシには入っていなかった劇団でした。
4人の若者が出てきたのですが、全員イケメン。ちょっと得した気分(笑)
中の一人に見覚えがあったのですが、伊藤えん魔さんの『蒲田行進曲』で、橘(狂乱バージョンでは小夏)をやっていた田渕法明さんでした。
100年を一気に駆け抜ける話。不思議なお話でした。


吟舞道至心流

出演者が平均年齢70才?みたいなおじいちゃんとおばあちゃんたちで、その前の演目との差が激しくて、つい笑ってしまいました。
私の友達がタップダンスやフラメンコを習っていて、たまにその発表会に行くのですが、その発表会で見たことあるよな日本舞踊。
おじいちゃんが吟じて(というか歌ってたカラオケ風)、おばあちゃんたちが踊ります。
あっ、おじいちゃんがひとりで踊った「祭」も良かった。笑っちゃったんだけれど、おめでたい感じもしたし。長生きしてね。


罪と罰「罪と罰のフォーク的こころ」

下ネタでした。最初から最後まで下ネタでした(笑)
正直、下ネタは好きじゃないのですが、千葉雅子さんのつっこみが私の気持ちを代弁していてくれたので、楽しく観ました。
千葉さんがいなかったら、今日のワースト1だったな。うん。


劇団鹿殺し「暴れん坊銀河鉄道の夜~前張り2012~」

すごかったです。
前張り2012。鹿殺しの前張りは初見でしたので、かなり衝撃でした。
席が2列目だったので、かなりきわどいところも見えてしまいました。(見ちゃいけないと思うと、つい見ちゃうんですよねー)
しかしながら、話はちゃんと「銀河鉄道の夜」になっていて、菜月チョビさんのジョバンニに泣かされました。
チョビさんの少年ぽい声とかたたずまい大好きなんです。
ちなみにチョビさん以外は全員前張りなんですけれどね。でも、感動する芝居になっていましたよ。
そのギャップがすごいんです。この芝居は、本当に観ることができて良かった。

前張り、肩パットで作っているとは知らなかったー。



入江雅人さん「曲と関わる」「メカカ」「予告編」

一人芝居、さすがの面白さでした。
「曲と関わる」は大笑い。
「メカカ」は、何人出てくるんだ!みたいな。
しかし、次回の予告編というのがグダグダでした(笑)
それも、また観たいと思わせる手なのか。
自慢の息子

自慢の息子

サンプル

こまばアゴラ劇場(東京都)

2012/04/20 (金) ~ 2012/05/06 (日)公演終了

満足度★★★★

宮西計三?
なんだか高校生のころだったか、
はじめて
宮西計三の「バルザムとエーテル」を見て、
そのあまりに救いようもなくも美しい話に
「な・・なんなんだコレは?」と思って、
音楽好きの同級生と話した記憶を思い出してました・・(高校生のときはみんな脳天気なので、音楽を好きな子供たちは、こんな極彩色の絶望に憧れるようにも思うのです・・(苦笑

アフタートークで作品づくりのイメージを聴いて、
やっぱり宮西計三の世界とかぶる気もして、
ただぼんやりと、作品を純粋に伝えたときの質感としては、
宮西計三の方が上なんじゃないかなぁ・・と思ったりもしました(何となくですけど

宮西計三の世界は絶望しながらも筆舌に尽くしがたい位美しいので、
共感とかそういうのではなしに「凄い」から目が離せないので、
単純な好みから言うと、自分は
鈴木翁二とかそういう宮沢賢治や足穂とフェリーニをあわせたような
独特の少年世界が中学からずっと好きだったので(まぁどっちもニッチですけど
宮西計三と似た雰囲気の
「自慢の息子」も、凄いとは思いながらも、
自分の好みとしては、ちょっと一歩引いたところから観てしまうのかも・・。

最近になって特に思うのは、
完全に独創的な作品というのは存在しないのかな、ということで、
完全ではないにしても
(自分にとって)どこか似た質感をもつ世界というのは
この世にあるもので・・。

だからどうというのではないけれど、
作品単独だけだと、
その凄さがなかなか分からないこと、
自分の好みか確信できないものでも、
そうした世界と照らし合わせることで、
自分なりの評価がしやすくなるし、
また、舞台だけに精通した批評家の意見が当てにならないことも
良く分かる気がする・・。

趣味の作品としてはまったく問題ないのだけれど、
賞を取る作品としては、偏りすぎている気がする・・。

受賞作としては、オタク的でアートな作品ではなくて、
もう少し真っ直ぐな視野を持った(トルストイとかのような・・)
作品の方が、ほかの作家の進路になって良かったのではないかなとか・・。

こういうのって、地方の観客の方が
逆にクールに捉えるだろうから、
率直な感想が返ってきそうだなぁ・・。

12匹の由緒ある猫たち

12匹の由緒ある猫たち

猫の会

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/04/24 (火) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★

名作リスペクト+αの良作
タイトルのみならず、台詞や展開に某有名作品へのリスペクトが感じられる討論劇。
猫たちの個性(首輪のデザインを含む)が描き分けられている上に、身勝手で無責任な人間への批判が2段階で語られることや思わぬ落とし方など、なかなかの出来。
が、開演が8分押したことに対して開演前・終演後を通じて全く触れなかったので星は1つ減ずる。

演劇の耐えられない軽さだネッ

演劇の耐えられない軽さだネッ

毛皮族

スタジオイワト(東京都)

2012/04/12 (木) ~ 2012/04/29 (日)公演終了

満足度★★★

Z
クセとパワーのある舞台。

ネタバレBOX

延増静美が美しい。柿丸美智恵が面白い。刀をもった町田マリーが可愛くてカッコイイ。
オーシャンズ・カジノ

オーシャンズ・カジノ

北京蝶々

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/04/18 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

面白い・楽しい、けど
カジノっぽいし、テンポよく、わくわくしながら観れました。

コンパニオンに華があるし、男性陣もかっこいい。
少し人数が多すぎで、出が少なくなってしまう人物がいることがもったいないかな。

あと全体面白いのだが、個人的に主人公2人には共感が持てなかった。
なので、すこしもやもや感が残ってしまった。

一因として、テラシマ・ヤン・カラサワがかっこよすぎるからかもしれない。
その分、他が薄れてしまったかも。

でも、エンターテイメントとしてとても楽しめます。
あと、いっぱい感想が書きたくなる。ということでネタばれで書きます。

ネタバレBOX

全体としていい芝居だと思います。
いい役者さんといい演出といいセット・音楽・照明。素晴らしいと思いました。

好きなところでいうと、
● カードをめくる時の一瞬止まるときの顔顔顔
● 緊張した場面で、ボードを持ちながら踊っている浅利さん
● スロットを3人で表現しているところ
などなど。

役者さんでいうと、
● ヤンは、緩急織り交ぜていてかっこいい。本来はカジノオーナーぐらいになると異様な刃物的な鋭さを描いたりするが、返ってすこし切れ味が鋭くないのがまたなにか魅かれるものがある。
● テラシマは、余裕感が出ていていいし、髪型が好き
● カラサワの仕切り感もある意味心地いいし、カードをめくるときの苦悩がしびれる。

(あと、どうしても甘粕さんの足に目がいってしまうのは、ちょっと自己嫌悪感を覚えるほど。)

ただ話としては、
大金持ちは数億円ぐらいじゃびびりません。
土地持ちも数億円ぐらいじゃびくともしません。
という点で少し違和感を感じた。
また無職の人は1億円の生命保険には入れませんし、
保険料バカ高いのに払えない・・・。

あと主人公2人にはどうしても共感が持てない。というより見ていて嫌悪感を覚えてしまう。
そう、演出しているとは思えないので、単に自分の感覚が変になっているのかもしれない。

長崎の描きかたにも少し疑問。あの姿を見ると私は、ヤン側につきたくなってしまう。
地方の話、パチンコの話、某国の話、警察というか権力構造の話、議員や団体の話を風刺しているのかもしれないが、社会人経験長いおじさんからみれば、ちょっと考え浅いかな、と思ってしまう点が残念ではあったが、

それを含めての問題提起なのかな、と思っている。
この意味では十分メッセージは伝わっている気がします。

個人的には、このあたりの風刺を少し抑えてもっと娯楽っぽくやってほしかったなあ、というのが素直な感想。

おまけ:パチンコの市場規模があれだけあるとはしらなかった。
冷たい唇、温かい箇所

冷たい唇、温かい箇所

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2012/04/25 (水) ~ 2012/04/30 (月)公演終了

満足度★★★

正統派!
銀座みゆき館劇場って初めて行きました。何か昭和を感じるレトロさがあり、座席もゆったりでした。大人たちの青春事情って感じで、しっかりしたお芝居です。

君がいなくても

君がいなくても

ピンク地底人

アトリエ劇研(京都府)

2012/04/23 (月) ~ 2012/04/24 (火)公演終了

満足度★★★★★

まさかの会話劇
会話劇をするとは噂に聞いていたけれど、まさかあそこまで会話劇をするとは思いませんでした。地底人の作品を分からないといって無視する人たちをあざ笑うかのように。いつもはセンスの良い選曲が流れる客入れも、機械音のSE。おそらくいつもの地底人を想像していた人は戸惑ったはず。小生も正直困りました。会話の妙で笑わせつつ進んでいくのですが、ちょっと物足りませんでした。だいたい先が読めるから。しかし、読めた上でのラスト、風船の破裂からの展開。震えました。そしてこれまでの淡々と進んできたことが、後からしみじみと体に戻ってくる感覚でした。今回特に、クリスティーナ竹子さんが素晴らしかった。輝いていました。

絶頂マクベス

絶頂マクベス

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2012/04/14 (土) ~ 2012/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

本痴気と乱痴気で1セット
初日と乱痴気を観劇。柿は大好きで、前回の女体シェイクスピアも観ていましたが、初日はちょっと不完全燃焼。登場シーンも展開方法も前と同じ手法に感じ、さらに個々のキャラクターが表現しきれておらず、客演の初めて観る役者さんを中心に小粒感が否めなかった。
そして数日後の乱痴気・・・見事に別物! 個人的には乱痴気のキャスティングの方がしっくりくるし、かなり好きでした。個々の役者陣のはっちゃっけぷりも良かったからかな。小粒でキャラが見えなかった方々も、みなさん魅力的に演じていたように感じた。
本当はその上で再度本痴気を観たかったけど・・・さすがに時間がありませんでしたわ。初日★2つ+乱痴気★4つ半。

ネタバレBOX

アフタートークでの会話から、舞台衣装が役者の知らないところで作られていることを知る。小劇団って衣装とか自分たちで相談しながら構想を練るもんだと思っていたので正直驚いた。衣装を着てのパンフ撮影で、あの衣装を出されたら・・・そりゃ身支度に時間掛かるよね(笑)

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