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SOTOBA-COMACHI 【初演版のダイジェスト動画を公開しています】

SOTOBA-COMACHI 【初演版のダイジェスト動画を公開しています】

一徳会/鎌ヶ谷アルトギルド

アトリエみるめ(静岡県)

2012/06/23 (土) ~ 2012/06/24 (日)公演終了

満足度★★★★

一徳会/K.A.G「SOTOBA-COMACHI」観ました
怪。。。廃工場跡のアトリエに入ったダンプの存在感。荷台にしつらえた立体空間で繰り広げられる、横溝正史ものの表紙が頭に浮かぶ異様なビジュアル…古典的な人外の世界を常識外れの手法で(油圧の力で視点、重力の変化)。今まで観たセンティオ組からは想像もつかない。。。動画を見直してみたけれど、声の力もすごい。説得力あり過ぎ。もっとこういう舞台を観て、茫然としたりガーンとショックを受けるべきだなあ…。

THE BEE Japanese Version

THE BEE Japanese Version

NODA・MAP

静岡芸術劇場(静岡県)

2012/06/22 (金) ~ 2012/06/24 (日)公演終了

満足度★★★★

NODA-MAP「THE BEE」観ました
アトリエみるめへ行く前に、急遽並んで取った当日券で、一階最後列から観れました。報復の連鎖の日常化、狂気の段階を経た定常化を、残酷にコミカルにパワフルに客観的に構成。徐々に狂いゆく基準。意識下で肥大、増殖する蜂の煩わしさ。役者・舞台・映像など全てが高度に制御され、一つの流れになった有機的な舞台。そして、野田さんが近藤さんをさしおいて踊りまくってたのが印象的(笑)演技もダンスも切れ味鋭過ぎ。いまお幾つだっけ…(汗)

パンザマスト【ご来場ありがとうございました】

パンザマスト【ご来場ありがとうございました】

青春事情

駅前劇場(東京都)

2012/06/27 (水) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

初観劇でしたが、観てよかったです。
青春事情、初観劇でしたが、観てよかったです。(後はネタバレ欄に。)

ネタバレBOX

24才で他界した女の子と、22才で他界した女の子のことを思い出した。ひとりは病死。ひとりは事件に巻き込まれて。病死した女の子に対しては、どうやったら助けられたかわからないけど、事件に巻き込まれた女の子はタイムマシーンがあったら、助けに行きたいって何度も強く強く願った。でもどんなに強く願っても過去を変えようとすることはできない。どんなにのたうちまわっても。劇の内容と少しずれた感想になるかもしれませんが、そんなことを思い出しました。
ねむるまち

ねむるまち

劇団うりんこ

うりんこ劇場(愛知県)

2012/06/23 (土) ~ 2012/06/24 (日)公演終了

満足度★★★★

うりんこ「ねむるまち」観ました
東京公演時にツイートで見た「開演前に子どもたちと目を合わす」というくだりが気になり、愛知で急遽開かれた千秋楽公演へ。観ながら、ムーミン原作者の短編集を読んだ気分を思い出す。みんな不安を抱えてまんじりとしない時を過ごしているけれど、、いつかは光指す時も来る。あとは、そちらへ一歩踏み出す気持ちを。年配の大人にも観てほしい舞台。スウェーデンの演出家による独特の演出や美術等も、既成概念にとらわれず刺激的。海外演出を身近に見れる面白い機会でした。うりんこは基本的に、毎回作家も演出家も変わるので、いろんな気風を味わいに足を運びたくなります。

教室短編集

教室短編集

劇団「14歳」

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/06/19 (火) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★

♦と♠見ました
「山に登る♦」と「リボン♠」を見ました。
ともに教室内ですべて進行し、中学生の友人どうしの共感コミュニケーションにふとしたところで亀裂のようなものが現れ、それが激情の発露につながり、、、という筋も共通していました。いたたまれない空気、いらいらした感情がよく伝わってきて、教室を舞台にするってよくあるけど空間を共有する演劇に向いた素材なのかなと思いつつ、いずれにせよ丁寧な作劇と演技力がないと伝わらないと思うので、そういう点でよい作品だったと思いました。
「山に登る♦」は学校行事の準備をめぐる話で、結構はげしいつかみ合いの場面があって、子どもっぽいケンカでも大人っぽいケンカでもない、14歳くらいのケンカという感じがよく出てて見事でした。一部セリフが聞き取りにくかったけど。「リボン♠」はまずタイトルバックがかっこよくて、テンポよく進む中でキャラが完全に立っててかなり圧倒された。
どちらも泣きわめいたり大声出したりする展開があって、その演技自体は胸を打つものがあったんですけど、中学生って教室でこんなやりあわないだろという気もしてやや白けるような感想も。そういうのがなくても「14歳」的なテーマを演じられる力量はありそうに感じたので、今後は激情のない演出の作品も見てみたいなと思いました。あと、企画自体が女優育成なのかもしれないけど、そもそもなんで男子がいないのかと。

血みどろ君

血みどろ君

踊れ場

ひつじ座(東京都)

2012/06/19 (火) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★

流石!湯口さん
あれだけの早口でも、かまずにしゃべれる湯口さん(笑)
喜怒哀楽の切り替え(スイッチのON⇔OFF)にメリハリが有り、素晴らしい! 全体的には、最初はバラバラで、それぞれ暴走していた個性達が、時間が経つにつれて、渋谷駅前のスクランブル交差点を行き交う人々の様にぶつからずに交差して通り抜けて来る様な感覚でした。まさしく、あの日体大名物の行進パフォーマンス「集団行動」さながら! それぞれの役者さんの味が良く出ていて、とても楽しかったです。

ネタバレBOX

普通の例えで言うなら「羊の皮を被った狼」なのでしょうが、「羊の着ぐるみを被った、礼儀正しく真っ直ぐな心を持った天使の様な狼」を、見事演じていた!? 内山さんが演じていた「ちょっとズレてるけど、根は真っ直ぐなヤンキー」個人的に好きです(笑)
狐狗狸狐狸九九二錠の1/2

狐狗狸狐狸九九二錠の1/2

mimimal

新宿眼科画廊(東京都)

2012/06/22 (金) ~ 2012/06/27 (水)公演終了

満足度★★★

主体
 シチュエイションとしては、核被害後、ヒトは滅んでいるかもしれないような状態の閉塞状況である。そこで、生きるもの達に起こる展望の持てない不如意と不安を解決するに、出口の無い状況を生きる手立てを、外へ向かって行動し、状況を打破しようとする主体としてではなく、むしろ、状況変革をあきらめた者として、内破しメタモルフォーゼする領域として提示していた。然しながら、それを意図的に主催する主体としての提示ではなかったことに、作者の曖昧な立ち位置が露呈してしまった。更に哲学的、生存論的、分子生物学的、複雑系的追及を望む。

Diamond Ray【ご来場ありがとうございました!】

Diamond Ray【ご来場ありがとうございました!】

東京ROSE company

SPACE107(東京都)

2012/06/27 (水) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★

荒削り
 シナリオには光る科白が見受けられるが、自分の観た回の序盤は、演技が荒く、間の取り方も、身体の動きも、必然性を欠き、集約点を見失っているように見えた。中盤から後半に掛けては盛り返して来、展開の面白さも加わって、劇的表現と言えるレベルに回復したが、舞台に立ったら真剣勝負で臨んで欲しい。

隅田川の線香花火

隅田川の線香花火

遊戯空間

浅草木馬亭(東京都)

2012/06/26 (火) ~ 2012/06/29 (金)公演終了

満足度★★★★★

本質を見る目
 緻密でバランスの良いシナリオ、キャスティングの妙、演技の質、それら総てを自然に見せる照明、効果、古典の定法を用いた音入れが、抑制を効かせ効果的に山、谷を盛り込んだ演出と響き合い、重層性を持った物語として、観客に沁み込んでくる。表層的でオーバーな表現を避け、タメを活かした登場人物たちの発するエネルギーの糸、網、帯が舞台上でぶつかり合い、演技を引き締まったものにしている。
 無論、筋の運びも見事だ。定石通り、しょっぱなで、最も本質的なことが、総て表現されているが、わざとらしさや衒い、臭みなどは微塵もない。逆に本質を捉えて創っているだけに劇を支配する力学の拮抗感さえ生まれている。
 ネタばれは避けたいので詳細は記さないが、タイトルにもなった「隅田川の線香花火」のシーンは、完全な象徴である。而も、物語から象徴への移行が実に自然で、シンボルの意味するものもそれぞれ明快である。
 作・演出者の本質を射抜く目が、ここにも生きているといえよう。

記憶、或いは辺境

記憶、或いは辺境

風琴工房

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2012/06/27 (水) ~ 2012/07/08 (日)公演終了

満足度★★★★

真っ直ぐな気持ちや生き方
太平洋戦争末期から戦後の樺太(サハリン)で暮らしている親の代から続いている理髪店を舞台にした、約8年間に渡る真摯で愛情ある舞台。

この時代の市井の人々の日常生活を描いているだけなのに、戦争が重くのしかかり、過ぎていく。
その当時の思想、民族、本土、樺太、日本人、男と女。
感情に流されず、だけど冷徹になる訳でなく、真っ直ぐな気持ちや生き方がだた素直に胸を打つ。

ネタバレBOX

理髪店の兄妹が小樽?に引き上げる事になり、理髪店は朴が引き継ぐ。
朴は戦争前に結婚しているが、その生活も半年位で愛情も芽生える前に日本に来た。生まれてきた国のシステム上、妹と結婚する事は出来ない。言葉では表してないが、互いに惹かれ合っているのは周囲の目からも薄々わかっていた妹と朴。
店を出た妹が「10分だけ」と戻ってきて髪を切ってほしい、と言う。
妹はサハリンに残る決心をし、朝鮮人の女友達から教わった朝鮮語で、鏡ごしに「サランヘヨ/愛しています」と告白するが、彼の決意は変わらず引き継いだ「津田理髪店」の看板と共に一人で生きる事に。
朴の愛しい人の事を思いながら漂う静かな幕切れが印象的。
ラブストーリーと言ってしまえば簡単だが、この手の作品は見る方の人生観も反映しているような気がする。

システム カスタフィオール 『Stand Alone Zone ~スタンド・アローン・ゾーン』

システム カスタフィオール 『Stand Alone Zone ~スタンド・アローン・ゾーン』

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2012/06/23 (土) ~ 2012/06/23 (土)公演終了

満足度★★★★

システム カスタフィオール
やっと、観れました。
前から3列目の一番下手よりでみていたので、正面から見れなかったということがただただ残念でした。
非常に素晴らしい身体だったと思う。
作品も理解できたし、非常に見やすいものだった。

水無月の云々

水無月の云々

中津留章仁Lovers

タイニイアリス(東京都)

2012/06/21 (木) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★

ユニット名はかわいいけど、中身は凄い展開になってた。
ある事件から、負い目と対峙しながら暮らしている一家。
この作品の為に選ばれたらしい若手の役者、全員良かったー。
5分休憩あるがほぼ通しの3時間近く、見ながら水分補給が必要な舞台。

ネタバレBOX

商店街で健康食品を取り扱う商売をしている一家。
過去に殺人事件が起こるが、引っ越さずそのままそこで暮らしている。
複雑な人間関係を時間をかけ、じっくりと深層まで見せる。
前半一幕と一年後の展開の二幕では、物語が全く別の様相を展開しているがちゃんと地続きになっているが凄く面白かった。

雫の彼女の行動がいちいち癪にさわるが、その手の彼女の若気の至りで言いそうな発言ばかりで余計に憎たらしいわー。
スナックのママは42歳だったのか‥、実際居そうだな・・。
パンザマスト【ご来場ありがとうございました】

パンザマスト【ご来場ありがとうございました】

青春事情

駅前劇場(東京都)

2012/06/27 (水) ~ 2012/07/01 (日)公演終了

満足度★★★★

15年ぶりの同窓会、
ちょっと高めのテンションで昔話をしているところなんか、本当の同窓会っぽくて楽しい。 結末も典型的な青春ドラマのようにじれったさを経て清々しくまとまった。 

ネタバレBOX

けれど、アッキーと幸ちゃん双方が相手ではなく自分が悪かったと思っていることを知った影やんの行動は、私の感覚からするとちょっと不自然に思えた。普通なら2人が和解するのを見守るのではなく、すぐに2人の誤解を解いてあげるんじゃないかな? 劇でそうしちゃったらクライマックスの盛り上がりシーンは成立しなくなっちゃうけれど・・・。 まあ、堅いこと言わず青春時代に想いを馳せたと言うことでヨシとしよう。
サモン

サモン

ブルーノプロデュース

サブテレニアン(東京都)

2012/06/20 (水) ~ 2012/06/25 (月)公演終了

満足度★★★★

他人の感覚を浴びる
舞台に立つ4人の役者の「病気」の記憶を演劇で表したものだそうだが、なかなかにとらえにくいものであった。

登場人物それぞれが「自身の中にある敏感な感覚を刺激された出来事」を表現したもののように感じた。

記憶、或いは辺境

記憶、或いは辺境

風琴工房

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2012/06/27 (水) ~ 2012/07/08 (日)公演終了

満足度★★★

戦争と人
役の交代は残念でした。

ネタバレBOX

終戦前後の樺太(サハリン)にある津田理髪店が舞台。樺太で生まれ育った兄弟、理髪師の徳雄(伊原農)、お節介焼きの長女・美都子(津留崎夏子)、交換の仕事が決まった活発な次女・春子(浅野千鶴)の店。学校の先生で化学が専門の島崎(ワダタワー)や朝鮮人へ厳しく当たる警官・平原(岡本篤)が出入りしている。朴(金成均)や売春婦に身をやつす仙女(石村みか)、仙女を探しに来た沈(金丸慎太郎)、春子の友人・一香(香西佳那)ら朝鮮人たちとの間で生まれる人間模様。

時代や価値観、状況を理解しきれなくて、正直戸惑った。ちょっと想像つかないというか。
舞台も、あくまで理髪店の中を描き、外の状況は伝聞に限って(それも噂だったり)いて、「戦争」という物事より「人」に重点を置いてるような気がした。いかにもな、直接的で悲惨な状況をみせると「それ」だけになってしまう可能性があるし。それはそれで良かった。
ただ、感情移入とか、共感とかそんな芝居じゃない気がする。

美都子と朴の愛情や沈と仙女の愛情、日本人と朝鮮人との憎しみ。戦争という器の中で静かに、たまに激しく放たれる気持ちが見所か。沈の「憎しみの連鎖を絶つ」ってセリフがグっときた。

津留崎のひたむきというか、純朴というか、そんな眼差しは好き。金成均の落ち着いた存在感は良かった。浅野千鶴はハマってた。石村みかの韓国語の発音が良い。
リンダリンダ

リンダリンダ

サードステージ

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2012/06/20 (水) ~ 2012/07/22 (日)公演終了

満足度★★★★

時事作品に
引き抜きや恋愛沙汰、解散の危機といったバンドの物語の定番に時事問題をからめていましたが、後者の部分に関しては、最近よく見る他劇団のもっと核心に踏み込んだ作品と比較すると物足りませんでした。全体としてエンタテインメント性は申し分ない。

Goodnight

Goodnight

劇団競泳水着

インディペンデントシアターOji(東京都)

2012/06/22 (金) ~ 2012/07/02 (月)公演終了

満足度★★★★★

劇的じゃない演劇。
面白い。個人的には賞賛を送りたいです。絶賛したい。ある意味、衝撃的でさえありました。これでひとつの作品になるのか、と。意欲作、挑戦作だと思います。理由はネタバレで。

ネタバレBOX

いつもと違うメンバーが集まって、トラブルが発生して、送別会が開けなくなって…。
普通に考えたらこの後に何か一悶着あって、落としどころを見つけて「めでたしめでたし」で物語が終わる、そう考えるでしょう。しかし、この物語に劇的なことは起こらない。
 
登場人物はちょっと変わっているけど平凡な人ばかり。今まで自分一人で決めて実行して結果を出したことがどれだけあっただろう。「あの時ひとこと言ってくれたら」「あの時止めてくれたら」人生の局面で結論を誰かに委ねたり、先延ばしにしたり、何かきっかけを欲しがったり、誰かの後押しを期待したり、理解されない事を頑なにこだわったりしながら日々の生活を送る。そんな彼ら彼女らに、一夜で人生が変わるような劇的なことなど起こらないのです。
 
何の変哲もない日常に起きたささやかな非日常。それは、かつて時間を共にした誰かを思いながらエプロン(前掛け?ごめん。名前が分からない)をしめ直す時間かもしれなし、久しぶりに会う仲の悪い兄弟へ向かって電話越しに「大丈夫なのか?」と訊くことかもしれない。彼ら彼女らには、それだけで充分「いつもと違うこと」なのでしょう。
  
そんな「ちょっとだけ、いつもと違う日」を通して、成り行きといえば成り行きだけど何処か必然性を感じる「今の自分」を感じてみたり、いつでも戻れそうだけど決して戻ることができない「時の流れ」を噛みしめたりする。
 
その日を境に何かが大きく変わることもないのです。男は女に「飲みに行かないの?君が行くなら行くよ」と言う。明日、目が覚めたら何も変わっていないかもしれないし、ちょっとだけ何かが変わっているかもしれない。憎めなくて切なくてどこか親近感のある、男と女の物語です。
 
冒頭で衝撃的と書いたのは、派手なクライマックスや劇的展開をあえて削ぎ落としているように見えたから。意欲作と書いたのは、ボタンをひとつ掛け違えたら絶望的に退屈になるであろうこのシナリオで、勝負を挑んでいるように見えたからです。
たとえば「俺の人生、波乱万丈。昨日も修羅場があったばかり!」みたいな人が観たら退屈かもしれませんね。でも私はこの作品がとても好きです。
コクーン歌舞伎第十三弾 『天日坊』

コクーン歌舞伎第十三弾 『天日坊』

松竹/Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2012/06/15 (金) ~ 2012/07/07 (土)公演終了

満足度★★★★

斬新且つ伝統的
大掛りな仕掛けや奇抜な設定に頼らずに、物語や台詞の魅力と役者の演技をしっかりと楽しめる作品で、所々に現代的な意匠を凝らしつつも、伝統を受け継いだ芯の太さを感じました。

孤児の男が重なる偶然から自分のアイデンティティについて悩み、最後には身を滅ぼす物語で、単純に楽しく、あるいは悲しく終わるのではなく、複雑で後味の良くない感情を残す終わり方が作品の豊かさに繋がっていたと思います。

一幕、二幕ともコミカルに始まって次第にシリアスになっていくペース配分が絶妙で引き込まれました。宮藤官九郎さんの脚本に因る部分が多いのだと思いますが、串田さんのいつもの笑いのセンスとは異なる感じがあって、とても楽しかったです。
時々現れる現代的な言葉使いはただ笑いを取るだけではなく、シリアスな場面では古風な言い回しでは伝えにくい感情がストレートに表現されていたと思います。

可動式のセットが場面毎に充てられていて、役者を乗せたまま黒衣が入れ換えて行くので、転換がスムーズで良かったです。そのようなセットの特色を活かして、2つの場面を並行させて進める時もあって新鮮でした。ジャズやロックを中心とした音楽も意外と合っていて、トランペットの生演奏が天日坊の心情を表しているようで効果的でした。ラストの何もない真っ黒な空間で行われるスピード感溢れる大立ち回りは、天日坊の心の闇を描写するような演出で、とても印象に残りました。

無垢な青年から邪念を持ち荒んでいく天日坊を演じた勘九郎さんが素晴らしかったです。七之助さんはあまり砕けたことをしないイメージだったので、コミカルな演技に破壊力がありました。獅童さんと亀蔵さんのヤケクソ的演技も楽しかったです。

温室

温室

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2012/06/26 (火) ~ 2012/07/16 (月)公演終了

満足度★★★★

気持ち良いくらい
居心地の悪い芝居だった。
予想していたほど難解ではないけど、一様な解釈には収まらない芝居ですわな。
役者は高橋一生が素晴らしいんじゃないかな。

ネタバレBOX

ほぼ全編回転している舞台は初めてかな。
シーン毎に変わる回転速度にも意味があるんだろうけど読み取れなかったなぁ。
進め!あしぶみマーチ

進め!あしぶみマーチ

みきかせworks

BAR COREDO(東京都)

2012/06/17 (日) ~ 2012/06/18 (月)公演終了

満足度★★★★

対照的な2編のカップリング
片や「通常版」での上演を前提とした(とはいえどう見せるかは想像しにくい)作品、片やリーディングならではのブッ跳んだ作品と好対照の2編で、後半の譜面台に付けたクリップライトのオン・オフで場にいる・いないを示す演出にも感嘆。

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