最新の観てきた!クチコミ一覧

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エル・サボタージュ

エル・サボタージュ

AND ENDLESS presents

シアターブラッツ(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

濃厚です。
ヒトラーとその時代。史実と背景。作中の時間軸やストーリーのカギとなっていた「エル」など、分からないところも多々ありましたが、それでも「分からなさ」によって振り落とされることなく、つまり飽きることなく、引き込まれてしまう吸引力というか求心力は流石だと思いました。
上演時間が2時間30分ほどでちょっとお尻がしんどかったので、休憩があるとうれしかったですね。

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

おぼんろ

d-倉庫(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

「おぼんろ」色に染まった劇場で
面白かったです。客席とステージの仕切りを取っ払った360度使用の特設舞台。大胆かつ繊細で儚くも美しい役者の芝居に、観客の「想像力」を束ねて構成された物語は、観てきたというより参加したという言葉が相応しい。出来ればリピートして、自分なりの理解を深めたかったです。

ネタバレBOX

ジョウキゲンと名づけられたウイルス(わかばやしめぐみさん)の、泣いてるとも笑ってるとも取れる「アーーーーー!」という絶叫が胸に刺さりました。
 
しかし、ジョウキゲンが禍々しい姿で産声を上げ、それに相反する無邪気な声を発した時点で、やがて自分が望まれない存在であることに気付き、その無邪気さで罪悪感をえぐるという流れは予測可能なわけで、その分、終焉まで観客を引き付ける力は「ゴベリンドンの沼」の方が上かな、と思いました。
マリオン

マリオン

青☆組

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

惹きこまれました
お芝居にいろんな要素をつけ加えた積層型の演劇よりも、シンプルで必要最小限の演劇が好きです。「放てば手にみてり」の心持ちですが、実際には選択肢を自ら無くすことで、表現を狭めてしまうことにもつながり、難しいように思えます。このお芝居では、姿すら消して、様々な想像をかきたてます。素晴らしいお芝居でした。

「ラフ~絵のある風景」

「ラフ~絵のある風景」

[DISH]プロデュース

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

断片集?
「絵」と「絵のある場所」をテーマにした短編集というより断片集。雰囲気的にしっとりとしたストーリーを予想していたのに,いきなりの「裸婦?」,やられました,いい意味で。あとはもうくつろいで,楽しく観覧です。ストーリーは多彩,彩りも鮮やかです。ただ,惜しむらくは断片で終わってしまい,オチがないものも多かったこと。すべては無理でしょうが,いくつかの断片は,次のストーリが見たいと思わせるものだったので,それらを紡いで2,3のストーリーといくつかの断片で全体を構成すれば,心に残る芝居となったはず。でも,もしかしたら,「ラフ2」でもやって次を見せてくれるのかな?そうであればそれも期待です。

崩れゆくセールスマン

崩れゆくセールスマン

劇団青年座

青年座劇場(東京都)

2013/06/14 (金) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

バランス
とっても現実的、というか現実の方がドラマティックかも。楽しく生きて行く上での駆け引き、そのバランスが良すぎた感じも受けました。自然と泣いていたのも事実ですが…。

劇作家女子会!

劇作家女子会!

劇作家女子会×時間堂presents

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

女子会!
作風の振り幅の大きさにも関わらず、4人の女性作家さん達の紡ぐ台詞一つ一つに実に自然に共感し、演劇を観ているのに一緒に楽しく話をしているような、まさに「女子会」の気分で楽しんでしまいました。この感覚は男性に説明しても絶対分からないと思います。女子会ってほんと楽しいんですよ。男子いらないって思っちゃいますもん 笑


ネタバレBOX

個人的に痛かったのは、黒川さんの「彼女たち」。
・・・感想書けないほど痛いです・・・笑
タイムリーすぎます・・・笑 orz

坂本さんの親指姫はひたすら楽しかったです。
世莉さんってこんな演出もするんだなぁ。

そして、一貫して温かな劇場の空気感がとても素敵でした。
黒川さんの手作りクッキー、劇作家さん達のオリジナルソフトドリンク、
ビール、おつまみ等のカフェメニューを楽しみながらの観劇。
終演後のオープニングパーティーでは彩りも鮮やかなカヌさんの手作りケーキ。
とってもとっても楽しかったです。


一つだけ難を言わせていただけば・・・

菅野さんの衣装・・・笑
六月博多座大歌舞伎

六月博多座大歌舞伎

松竹

博多座(福岡県)

2013/06/02 (日) ~ 2013/06/26 (水)公演終了

満足度★★★★

夜の部
どれもしみじみとした味わい。もちろん義経千本桜のこの場面も素晴らしかった。ずーーっと脳内リフレインされていて歌舞伎の麻薬性を感じるw
1幕見に行きたい。。まじで。

飛ぶ金魚

飛ぶ金魚

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/19 (水)公演終了

満足度★★★★

リアルでコミカルな要素もいっぱいの
ほっこりするホームドラマでした。次々に起こって来る問題と難題、それでも何とか対応していかなければならないのが現実ですが、その現実感も含め
うまくお芝居に仕立て上げていた。あきらめないで頑張れるのは家族がいるから、見守ってくれる人、見つめ続けたい人がいるから、と素直に納得できる佳品。

ネタバレBOX

虐待云々から離婚に至るまでの経緯が興味深かったですが、なんだか一方的に終わってしまった。ちょっと残念な気がした。
おぼろ

おぼろ

STAR☆JACKS

江坂スペース・シアター(大阪府)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/17 (月)公演終了

満足度★★★★

柿ノ木ワールド全開!千秋楽はどうなったかな?
さすが柿ノ木さんは見応えある作品を作るなぁ♪
最初から最後まで飽きさせない演出!
終盤に最大の見せ場の大捕物劇があるエンターテイメント性の高い作品!
ストーリー展開など面白かった♪

オープニングの大人数のダンスからもう華やか過ぎて圧倒されますね♪
中でも福地教光さんはキレのある動き!

語り部の役にダブルキャストの稲野杏那さん(演劇集団キャラメルボックス)
明るくて華がありますね♪

その他の役者さんも様々なキャラで登場!
皆さん個性的でシーン毎の会話も楽しめます♪

初日に行った事もあり効果音が上手く合ってなかったり、
雪が雑に降ってきたり…
最大の見せ場である終盤の殺陣も少しぎこちなさもありましたが
どんどんと回を重ねて息が合ってきて
1.5倍速ぐらいで流れる様な殺陣になれば最高エンターテイメント!

本日の千秋楽にはスタンディングオベーションか起きてるのではないでしょうか⁈

SYMBOLIC BLUE

SYMBOLIC BLUE

劇団てあとろ50’

早稲田大学6号館5F SPACE5(東京都)

2000/04/12 (水) ~ 2000/04/15 (土)公演終了

満足度★★★★

気分に合っててよかった
実際観たのは1995年4月12日です。多分初めて、2回観に行った芝居。面白かった、というよりその時の気分に合っていたから。あと、500円とリーズナブルだったからというのもあります。中身は勿論つまんなくはなかったですけど。仮想世界の話でした。

愛という名のもとに

愛という名のもとに

橋本拓也

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2013/06/14 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

最高の時間をありがとー!
これからも目が離せませんよ!!!

飛ぶ金魚

飛ぶ金魚

ジ~パンズ

銀座みゆき館劇場(東京都)

2013/06/13 (木) ~ 2013/06/19 (水)公演終了

満足度★★★★

おもしろかった(^^)
本日、2時半の部を拝見させていただきました!
小規模な劇場の舞台は、初めてだったのですが、緊迫感があり、おもしろかったです。
私は、普段テレビでバラエティを見ていても、おもしろいと思っても、声を出して笑ったりしないのですが、思わず笑ってしまったり、思わず手を叩いてしまいそうになりました。
兄弟っていいな、家族っていいな、夫婦っていいな、と思える舞台でした。
また、他の舞台も見てみたいです。ありがとうございました

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

ビョードロ 終演いたしました!総動員2097人!どうもありがとうございました!

おぼんろ

d-倉庫(東京都)

2013/05/29 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

初見で
コミュ障にはちょっとアウェイでしたね 周りのリピーターと思われる客といいその方々に始まる前から積極的に話しかける劇団員といい僕は正直居心地の悪さを感じました。そしてそのような空気の中周りの客と仲良くなれという。周りの客は待ってましたというかのように顔を見合わせるが僕は戸惑いました。僕は観客と役者、舞台と客席に侵されることのない一線を引きたいタイプなのでこの劇団は自分には合わないかなと思いました。僕は劇場には現実の中の非現実を見にいっていて開演前や終演後に現実で現実の役者の方とお話しようとは思いません。もちろん自分がマイノリティなことは承知してます。この劇団が人気のワケは見て取れました。肝心の内容はファンタジーはあまり不得意なのとハードルがあがっていたので正直こんな感じかといった感想です。そりゃ誰だってこりっちでこんな評価されていたらさぞかし面白い舞台だと怪物級の面白さを期待するでしょう。実際はよく出来ていて演技力の高さ(特に主催者と女性の演技)はよかったですがここまで評価されるほどかなというところです。内容より主催者のファンだったりホスピタリティが気にいってる方もいるのかもしれません

浦安ロック

浦安ロック

昭和芸能舎

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/17 (月)公演終了

満足度★★★★

昭和と浦安を堪能!
流れてくる音楽が昭和のヒット曲ばかりで懐かしくなりました。芝居も最後の大漁祭りも十分に楽しめました。作品を通して浦安の成り立ちを知れたのもよかったです。

ネタバレBOX

ピンクレディーのパチンコでフィーバーした時の踊りがツボでした。

ダサくてカッコいい男性陣のパフォーマンスに魅了されました。
次回作も期待しています!
鴉よ、おれたちは弾丸をこめる

鴉よ、おれたちは弾丸をこめる

さいたまゴールド・シアター

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

みた
高齢者の方々の頑張りに心打たれました ☆(ゝω・)vキャピ
みたいな感想は大きな勘違いというかおごりで、いたわろうものなら笑い飛ばされ蹴飛ばされるような力があった。
ばばあもじじいもキラキラしていた。
見に行ってよかった。

おぼろ

おぼろ

STAR☆JACKS

江坂スペース・シアター(大阪府)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/17 (月)公演終了

満足度★★★

THE・エンターテイメント!
ゲキバカさんの元のものを観ていないのですが、華やかで純粋に楽しめるエンターテイメント!な感じだったと思います。
殺陣やダンスがあり、そして観客を巻き込みながら楽しむ感じは、とても素敵。
ただ、ストーリーはかなり王道な感じで、先が簡単に読めてしまったり「?」ってなる部分もあったので、そちらに重きを置いているとちょっと物足りなく…。
それと最後の殺陣が格好良かったのですが少し長かった気もします。

SQUARE AREA

SQUARE AREA

壱劇屋

浄土宗應典院 本堂(大阪府)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

観に行ってよかった!
心からそう思える舞台でした。
パントマイムなどパフォーマンスの質も高いのですが、それだけに頼りっきりにならない戯曲がきちんと出来ており、素晴らしかったです。
できる事なら4面全てから一度ずつ観たかった…!

しあわせの支度

しあわせの支度

ソラリネ。

上野ストアハウス(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★

昨年に比べて
昨年はたまたま見に行き、作品がいいのに役者がイマイチ・・・だったので今回再びチャレンジ。

今回は佐代子役に絶賛!!
芝居が上手な方で、やっと昨年のモヤットしたものがすっきりして見れました。

しかし昨年の方が三つ子の仲の良さがあり。
今回は歯車があってなかったような。キャスティングミスですかね?
一郎役の方が前回も一郎役でしたが、今回の三つ子のバランスを考えると二郎役にキャスティングされて方が良かったかも。

タレントさん達の芝居の下手さは個性的な味にはなっているのですが、
佐代子役の方が全て補っていて作品として成立させるプラスαになっていましたが、まず下の子達がその長女への愛情を感じられないのは演出の問題か、出演者の問題かと。

脚本が大好きなので、その本質をもっと理解した舞台になる事を望みます。

舞台を初めて見る方には家族愛をテーマで見やすいですが、舞台慣れした方にも楽しめる舞台を今後望む。

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

『熱狂』『あの記憶の記録』ご来場ありがとうございました!次回は9月!

劇団チョコレートケーキ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/03/23 (土) ~ 2013/03/31 (日)公演終了

満足度★★★

何事も多様に見せる演出で観たい
 「熱狂」はヒットラーがドイツで大統領に選ばれるまでのお話。「あの記憶の記録」は1970年のイスラエルを舞台に、ある男が1944年の出来事を語るお話でした。共通の登場人物によって2作品をつなげる工夫もあり、両方観るとより楽しめる公演でした。

 四角いステージをほぼ三方から客席が囲む舞台美術で、舞台中央奥の壁には床から天井にかけて逆L字型に、強制収容所をおもわせる金網と柵が張り巡らされていました。網の中にはがれき、レンガやごみ、くしゃくしゃになった布や、片方だけの革靴もはさまっています。家具やその他の装飾で変化をつけ、同じ舞台美術で2作品をうまく上演されていたと思います。

 私は「熱狂」の方が面白かったです。「あの記憶の記録」は主人公の一人語りに重きを置き過ぎて、歴史教科書のようになってしまっているように感じました。

 Ort-d.d『わが友ヒットラー』のクチコミにも書きましたとおり、同じ題材を扱った団体同士で半券割引や交互トーク出演などの共同企画を実施されました。2作品交互上演だけでも現場は大変だったでしょうに、他団体と協力し合って広報活動をされたことは素晴らしいと思います。

ネタバレBOX

■「あの記憶の記録」
 家族4人の朝食の場面から始まったのですが、演技から時間帯が体感できず、食事をしているようにも見えず、私はしょっぱなからつまづいてしまったようです。照明の変化だけで場面転換する割に、役者さんの出ハケがもっさりしていました。違う空間にいるはずの人物たちが同時に舞台上にいても気にならないような、スピーディーな演出が欲しかったです。

 強制収容所にいたことを隠してきたイツハクは、息子が母国イスラエルのために兵隊になろうとしていることを知り、再び戦争と対峙せざるを得なくなります。ガス室での死体処理業務の詳細、生きるために死体から金歯を盗んだこと、善い人間は死んで悪い人間は生き残ったことなどを具体的に語らせたのは良かったですが、長いセリフが言葉というより説明に聴こえてしまうことが多かったです。一人語りだけでアウシュビッツで起こったことをヴィヴィッドに伝えるのは、かなり難しいと思いました。あと、「話がある」「聞いてくれ」といったセリフが何度もありましたが、不要だと思います。

 2人登場した母親がいわゆる「家族のためにご飯を作って温かく見守ってくれるいい人」として、終始描かれてしまったことが残念です。夫イツハクが人殺しだったと初めて知るのですから、少なからず衝撃を受けるでしょうし、彼を思いやる優しさだけでなく、疑問や不快感も噴出するのではないでしょうか。男女や夫婦の対比が、戦争と平和の対比であるかのように映るのも、シンプルすぎて物足りなかったです。

 ただ、子供のあるイツハクは過去と対峙し、子供のいないイツハクの兄アロンは過去に蓋をするという対比は効果的だったと思います。イツハクが殺したナチスSS将校ビルクナー(「熱狂」にも登場)について、アロンが「他のSS将校よりいい奴った(味方だった)」と言うことで、兄弟の認識が正反対だったことがわかります。人間の記憶の頼りなさを示し、罪悪感に打ちひしがれたイツハクをさらに絶望的な状況に追いたてるのは、残酷ですが説得力がありました。息子の歴史教師がイツハクの握手に応えなかったのも良かったです。

 言葉にして発せられたことが嬉しくなるようなセリフがありました。イツハクが息子に「生きていることは素晴らしい」「戦場に行くのは義務だから仕方ない。俺の息子なら何をしてでも生き残れ。逃げろ」「イスラエル(国)よりも、お前の命の方が大切だ」と言いきってくれました。私もそう信じています。日本でも、国のために死ぬことを美とする教育が行われ、たくさんの命が奪われました。国とは何なのかを説いた井上ひさしさんの戯曲『兄おとうと』を思い出しました。

 ■「熱狂」
 開演10分前には客席がほぼすべて埋まっていました。全席自由だから早めに来場する人が多いのかもしれませんが、それにしても人気があるんだなと思いました。私が観た回は前売り完売で、キャンセル待ちの列ができていました。

 ハーケンクロイツが描かれた垂れ幕を三方の壁に吊りさげて、客席を含む劇場内全体がナチス本部内のようで、観客を当時のドイツ国民と見立てて演説を行うのにも臨場感がありました。照明の切り替え、効果音や音楽の挿入、俳優の出ハケなどの演出がスピーディーで小気味良かったです。

 ナチスやヒットラーを題材にした作品は多くありますが、『熱狂』はヒットラーが大統領に選出されるまでを描いており、演説場面がいいハイライトになっていました。1人の政治家としてのヒットラー像を垣間見ることができました。

 舞台上に実際は登場しないけれどその場に居るはずの人々が、出演者の数よりもずっと多くいるように感じられました。それぐらい舞台背景を描ききれていたのだと思います。ただ、俳優の演技が熱いのか冷めているのか、怒っているのかいないのかといった両極端の2種類に偏りがちだったことは気になりました。もっと繊細で、多彩な表情を見せて欲しいです。

 「ハイル、ヒットラー」と敬礼されるのに応えて、ヒットラー役の西尾友樹さんが右手をユルっと顔の横に持ってきて返礼(?)する仕草が、とても可愛らしくてギャップ萌えしました(笑)。真剣ゆえに可笑しいんです。そもそも大の大人が勢ぞろいして、妙なほど背筋を伸ばし胸を張り、右腕を前方上部にあげたポーズで、同じ言葉を同時に叫ぶこと自体が滑稽なんですよね。仕組まれたかっこ良さの方がクローズ・アップされて、不格好さが鳴りを潜めていたのは少し残念。何事も多様に見せる高次的な演出があると、さらに良いのではないでしょうか。

 ナチスの飛躍的な台頭は、私の中で今年の自民党の圧勝と重なりました。数ある争点を1つだけに絞って「○か×か」を迫り、楽な単純思考へと導く罠に、私たちは簡単にハマります。広報戦略として行われた統制の取れた美しいパフォーマンスに、のせられ、騙されるのが人間なんですよね。「ヒューラー(=ヒットラー)に従ってさえいれば楽」という民衆心理もよくあらわされていたと思います。

 ヒットラーの雑用係になった若者ビルクナーが、語り部として物語の進行をつとめます。終盤に彼が親衛隊に入隊するエピソードがあり、『あの記憶の記録』へと続く構造になっていました。両方観ることの楽しみがちゃんと担保されていました。
ココロに花を

ココロに花を

ピンク地底人

インディペンデントシアターOji(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★

若者のナイーブな不安と悲しみ
 意識が戻らない病人たちがそれぞれのベッドに横たわる中、殺人事件の犯人探しが始まります。取調室での嘘の自白、次々と増える意識不明の病人など、サスペンス・タッチで進む複数の物語には、夢の中の邂逅といったSF要素もシームレスに組み入れられていました。

 物語上で起こる物音を擬音語、擬態語などを使った人の声で表現するのが劇団の持ち味で、俳優は舞台上下(かみしも)の端にいながら、声を使って効果音の役割を果たしていました。淡々と存在しているのがいいですね。騒音だけでなく街にあふれる言葉も混ぜ合わさるのが面白かったです。

 劇場の壁をそのまま使ったブラックボックスで、道具や衣裳の色を白、黒、赤等に絞り、統一感のあるシャープな空間にしていました。黒く塗った椅子やテーブルに白い線で縁取りをしているのが良かったです。白線に注目すると空洞をはらんだ骨組が浮かび上がり、捕らえ所のない空疎さや満たされない心などの抽象的な表現にもなっていたように思います。

ネタバレBOX

 ベッドに横たわるのは政治家の息子、刑事の妻、女子高生の兄(大学生)。現実世界では植物人間ですが、彼らが夢の中で家族などと語らうシーンがあり、本当は意識もあるし耳も聞こえているんじゃないかという疑いが生まれました。乙一さんの短編小説「失はれる物語」を思い出しつつ、人間には感知できない世界を想像しました。

 快復して記憶を取り戻した政治家の息子は、自分がある交通事故の加害者であることに気づいて自首しようとします。でも事故発生時に車に同乗していた友人や、主治医に止められるのです。理由は彼が政治家の息子だから。幼いころに教えられた善いこと、悪いことが、なし崩し的に捻じ曲げられたり、逆転してしまっているのは、まさしく原発事故後の日本の姿だと思います。

 国際問題への言及とともに「私たちは歴史を知らなきゃいけない」という決意も登場人物によって語られました。今の10~20代の方々とお会いすると、皆さんがすごく真面目で賢いことに驚かされます。私が同じ年の頃はもっと楽観的で馬鹿でした。インターネットによって世界中の出来事がオンタイムで自分の現実に流れ込んできて、何でも検索すれば概要ぐらいは知ることができるようになったせいで、楽観的な馬鹿であることが難しくなったんだろうと思います。理不尽極まりない残酷な愚行だらけの世界を見せられたら、誰だって将来が不安になりますし、人間に心底がっかりするものですよね。

 犯人逮捕というすっきりとした成果は得られず、殺人未遂事件が次々と起こり、刑事は「きりがない、お手挙げだ」と静かに吐き捨てます。衝動的な暴力が無数に連鎖していくエンディングは、悲しみがひたひたと空間全体に満ちて行くようでした。
 劇中に一度あった暗転の後が長いと感じました。最後の暗転直前のシーンは不要だったのではないでしょうか。終演時の暗転の味わいが良かっただけに、もったいないと思いました。

 終演後に作・演出のピンク地底人3号さんとお話しすることができました。会話劇を書いたのは今回が初めてと伺い、驚きました。ト書きばかりの戯曲の上演も観てみたいですが、京都に暮らす地底人独特のセンスを生かした会話劇にも、またチャレンジされると良いのではないかと思います。

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