満足度★★★
何事も多様に見せる演出で観たい
「熱狂」はヒットラーがドイツで大統領に選ばれるまでのお話。「あの記憶の記録」は1970年のイスラエルを舞台に、ある男が1944年の出来事を語るお話でした。共通の登場人物によって2作品をつなげる工夫もあり、両方観るとより楽しめる公演でした。
四角いステージをほぼ三方から客席が囲む舞台美術で、舞台中央奥の壁には床から天井にかけて逆L字型に、強制収容所をおもわせる金網と柵が張り巡らされていました。網の中にはがれき、レンガやごみ、くしゃくしゃになった布や、片方だけの革靴もはさまっています。家具やその他の装飾で変化をつけ、同じ舞台美術で2作品をうまく上演されていたと思います。
私は「熱狂」の方が面白かったです。「あの記憶の記録」は主人公の一人語りに重きを置き過ぎて、歴史教科書のようになってしまっているように感じました。
Ort-d.d『わが友ヒットラー』のクチコミにも書きましたとおり、同じ題材を扱った団体同士で半券割引や交互トーク出演などの共同企画を実施されました。2作品交互上演だけでも現場は大変だったでしょうに、他団体と協力し合って広報活動をされたことは素晴らしいと思います。