空想、甚だ濃いめのブルー
キ上の空論
新宿眼科画廊(東京都)
2013/12/06 (金) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
即興劇
13日16時の公演。
細かい台本はなく、基本的にはアドリブで演技しているらしい(ある程度の方向性は決まっているらしい。方向性がずれた場合、演出が途中で芝居を止めることもある)。
こういう手法は実験としてはありだと思うが、回によって当たり外れが分かれてしまうのでリスクは大きい。
幸い私の観た回は主人公(クウちゃん)の存在感が光っていた。
現在地
チェルフィッチュ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2013/11/28 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
「私たちはどこにいて、どこに向かうのか」に応える作品
『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』以来の
チェルチィッチュです。ダンスと演劇の融合をはかったような
作風は正直、あんまり合わないな、と思っていましたが、
本作は多くの人に届く言葉と演出に思えました。岡田氏は
こういうスタイルの方が全然いいですね。
ネタバレBOX
それにしても、『現在地』っていうタイトルからしてしびれます。
英語で「Current Location」。「現在」―「現代」に対する最新
アニュアル・レポートみたいです。
「日本」「地球」「コミュニティ」を思わせるような、「村」と呼ばれる場所。
そこに住む人々は一見平穏に生きているようで、不安や閉塞を抱え、
生きている。彼らの不安は、青く光る雲や急に吹く風に象徴される。
その不安は、どうも来るべき「破滅」「破壊」の兆し、それだけでなく、
その終わりをも待ち望んでしまうような行き場のなさも含んで大きく
なるよう。
台詞がすごく響く作品でした。多分、何回も推敲を重ねられているの
だと思う。登場人物の一人が図書館で遭遇した、濡れそぼって、
「雨に濡れたら一巻の終わりよ!」と叫ぶ老婆の存在とか、まんま
「3.11」後の放射能の雨を象徴しているのでしょう。
このケースに限らず、震災後、人々の心に澱のように溜まった
感情が、クールなトーンの発話で語られていきます。
「噂を信じるか」「信じないか」の問いで私が真っ先に
思い浮かべたこと。それは、Twitter上、現実問わず、多くの噂や
言葉が飛び交う中で、なすすべもなく翻弄されてしまう人たちの
ことでした。
この作品、セリフのほとんどが「~だわ」みたいな形で
締めくくられるから、演劇、というより、寓話っぽい感触。
個人的には登場人物の一人が、客席のほうを向いて
独白した、「あなたたち、私のことを狂っていると
思っているでしょう…? …もう、ちょっとした次の瞬間に、
そう思う人はぐっと少なくなっているはずだわ」という言葉。
村の人々に向けられているのか、客席の私たちに向けられているのか
分からなくなるような、メタ的な演出で挑発されているように感じました。
最後の展開って、半年間雨が降り続いた、って言っていたけど、
確実に旧約聖書「ノアの方舟」を下敷にしていますよね。
この作品のラストは本当にいいです。
逃げるにも、留まるにも、可能性を残している、と解釈するのか、結局
留まっていれば何も変わらない日常が来るのか、それは他者から
みたら終わってるのも同然なのか。なんか色々な解釈ができそう。
台詞は深刻なんだけど、音楽や衣装がハイセンスでいい。バックの
映像も良くって、すごくおおらかで、器の広い作品に思えました。
とっても安らいで観ることができました。素晴らしい作品だと思います。
オレの妹は8年前に死んでいる
Island
Gallery&Café FIND(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
存在
面白かった。おもいで。忘れられないもの。それより大切なもの。。。。 あの空間だからこそな舞台を楽しみました。
F/T13イェリネク連続上演 宮沢章夫「光のない。(プロローグ?)」
フェスティバル/トーキョー実行委員会
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/11/30 (土) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
ここが限界点か…?
オーストリアの作家、エルフリーデ・イェリネクの作品を、
宮沢章夫氏が演出。
氏の過去作品『トータル・リビング1986-2011』や『夏の
終わりの妹』の延長線上にあると思われる演出でしたが、
やっぱり自身の作品と異なるためか、うまく言葉を拾い出す
余裕がない印象を持ちました。
ネタバレBOX
『トータル・リビング』の最後の場面を彷彿とさせる、モノで
いっぱいの舞台場。そこを4人の女優たちが、さらにモノを
運びながらつぶやき続ける。そのつぶやきは、拾われ、
舞台から客席へとエコーがけられて拡散していく。
つぶやきの内容。それは意味のない言葉ばかりだけど、
一人言葉を失ったと思しき女性が必死の思いで「私は
記録するための紙もペンも無くしてしまったので、ただ
覚えておくことしかできない」と、つっかえながら話す
様子が恐ろしく印象に残りました。
ストーリーはほとんどないに等しく、ラスト、舞台、向かって
左手正面に差す光を目指して、まるでレミングの群れのように
役者たちが歩いていくのですが、ちょっと安易すぎやしないかと。
結局、イェリネクは海の向こうから日本を見ているので、
どうしても距離を感じる。中盤、役者の一人が「ガイガー
カウンター」の話を始めたときに、なんだかなー、と思って
しまいました。
こういう時って、「言葉を疑う」ことも必要だけど、寄り添える言葉が
何よりも欲しいです。「震災」、もしくは「その後の世界」というテーマと
向き合うには、イェリネクは観念的過ぎると思います。
CHESS in Concert セカンドヴァージョン
梅田芸術劇場
東京国際フォーラム ホールC(東京都)
2013/12/12 (木) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★
歌詞が聞き取りにくいのが惜しい
初演も観て、これは本ステージで観たかったと思いましたが、今回もコンサートバージョンでの再演。
アバの曲は難解ですが、どれも名曲揃いで、聴きごたえはあるのですが、どうしても訳詞のせいか、歌詞の語数が多く、演奏に打ち消されて、聞き取れない部分が多かったのは残念でした。
特に、カルテットの歌唱部分は、4人の歌う歌詞が折り重なり、荘厳ではあるのですが、肝心の内容にも言及している台詞代りにもなっているので、どういう意味の歌詞かが聞き取れないのは、痛手でした。
初参加の戸井さんは、口跡も良く、滑舌も確かで、一番歌がきちんと響きました。
AKANE LIVさんはロックミュージカル、「モーツアルト」の時にも驚きましたが、大変魅力的な女優さんで、今回のスベトラーナ役も、心に残りました。
マテさんのアービターは、ちょっと他の俳優さんと異質過ぎて、何故キャスティングされたのか、やや疑問を感じました。
安蘭さん、石井さん、中川さんの歌唱力には、文句はないのですが、3人の心情の変化が、これもコンサートの弱みか、あまり表現されていないので、ストーリーの流れを、体感できるまでには理解し辛く、その点に、やや物足りなさが残りました。
ネタバレBOX
チェスの国際試合が、政治的に利用される、ソ連とアメリカの冷戦時代のお話。
セコンドを務めるフローレンスを巡って、新チャンピオンと元チャンピオンの二人の男性が、チェスだけではなく、恋の鞘当もしつつ、そこに、アメリカの諜報機関から派遣されたテレビ局員やソ連の思惑などが交錯し、3人は、チェスの駒のように動かされ、政治的に翻弄されて行くという、ちょっとビターなストーリー。
昔なら、大国は何かと国民も大変だなと、他人事で観ていたかもしれませんが、わが国もこうもきな臭くなって来ると、我々も、また政府にチェスの駒のように動かされているのかもと、一種の怯えを感じて観てしまいました。
とても、深い内容のミュージカルのようなので、いつか、コンサートではなく、本編の公演があればと期待します。
アフタートークは、グダグダな部分もありましたが、マテさんと石井さんと、安蘭さんが、重唱で歌う歌をそれぞれ単独で歌われ、歌詞の内容がわかったのはありがたかったと思います。
アクアリウム
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了
観客次第のambiguous な作りの作品に
シェアハウスで共同生活をする現代の社会になじめない者達(ワニ、鳥、魚たちも含め)のまさにその生活の崩壊を描いた作品で、冒頭のコントのような導入や登場人物たちの設定はどうかなという気はするものの、現在のある殺人事件が昔の殺人事件とともに各々の中にしまわれていたマイナスの感情というべきものを呼び起こしそれが絡み合い衝突してゆくさまの描き方というかみせ方は(私自身はなにか自分の心の底を覗かれているようで苦手なのですが)実に精緻で、また人間心理の描写についてもフロイトとルイスの対話劇「Freud's Last Session」の影響が少なからずあるようにも見受けられました。
ネタバレBOX
やはり鳥さんは最後は(「ソフィーの世界」を読んでいた)ワニさんに食べられてしまったのでしょうか。
また、冒頭の木村伝兵衛ふうの部長刑事と若手刑事のかけあいコントからのスタートはおもしろいことはおもしろいのですがあとからおもうとあのようなスタートでなくてもよいのではという気もします。
アクアリウム
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了
満足度★★★★★
抑制出来ない感情を
通底する閉塞感、息苦しさ。この空気感だけで身悶えするくらいグッとくる。よくぞこの作品を作ってくれた。ありがとうございます。今どきの若者の内向きな空気感、一つ一つの細かい所作にまで重みがあって、なんだか1シーン1シーンにゾクゾクする。自分の事を書いているんじゃないかと錯覚する位の物語への親近感。共感を通り越して、生々しい感じがする。公演前に、あの熱量の高過ぎる稽古場日記を読んで、どんな作品か楽しみにしていたけれど、想像以上!そして稽古場日記は観劇後に読み直すとまた違った発見がある。そりゃあ熱量も高くなる。他の人の感想や、そして購入した台本を読んで、何回も何回も味わいたいなと思います。日替わりゲストも多彩だし、イベントも楽しみだ。
ネタバレBOX
え?ここで終わりって終わり方だった。でも、観劇後振り返ると、この物語がストンとは落ちない余韻が良いんだなと思った。終わらない日常は続く、いつまでも。何て残酷なんだろう。答えなんかない。でもこの物語には絶望も希望もない。あるのは、「生きづらさ」と向き合う事への息苦しさだ。こんな切実なテーマを、あくまでエンタメとして仕上げられるなんてスゴイ。まさに、わかりやすく深くだ。
冒頭の熱海殺人事件を彷彿とさせるシーン、痺れる。たまらん。野卑に聞こえながらも洗練された台詞の咆哮を浴びながら興奮は早くも高まる!!現代口語との比較で見る世代間の溝の深さはなるほどなぁと思う。喋るトリとワニがとにかくカワイイ。でもこの2匹の言葉が、動きが、この静かな若者達の共同生活をどうにか支えているように見える。日替わりゲスト、少年Aの言葉で泣いてしまった。清水さんの透明感ありながらも確実な存在感にグッときた。尖った言葉の一つ一つが胸に刺さる。当時、この文章をニュースで聞いた時は訳わからない奴に感じた。でも今改めて聞くと、隣にいる人のような身近さだ。人を好きになるのに理由がないように、人を殺してしまうかもしれない気持にも理由はない。僕自身、今年で31歳になる。登場人物たちと同じ年だ。秋葉原のトラックで突っ込んでいった無差別殺人事件は僕自身も他人事には思えなくて、どうして自分じゃ無いんだろうと思って生きている。
「アクアリウム」のタイトルの意味はなんだろう?魚たちはどこへ行くのか?というパンフレットの言葉と関係あるんだろうけど、うまく想像仕切れない。ワニはどうして最後喋れなくなるのか?トリを食べたからだろうか?
アクアリウム、完全に管理して調整出来た水槽の中身は、自然に循環する仕掛けになっていて、エサさえあげれば良いような完全な空間だ。これを社会に置き換えるとどうなるんだろう。今の日本は自然循環なんてしていない。魚はみんなそれぞれ役割を果たしてると聞けば、みんな違ってみんないい、金子みすずみたいな話かとも思う。でも置かれている世界はあまりに残酷だ。おそらく魚ハウスのみんなの置かれている状況は一生変わらないし、変われない。それどころか、もっと悪くなるだろう。秘密保護法や消費税増税ばっかり騒がれているけど、生活保護法の改悪や派遣労働無期限にだってどんどん厳しくされている。それでも生きていくんだな、と思った。そんな当たり前の事がとても重たくて大事だと改めて実感出来る作品でした。
グッドバイ
シス・カンパニー
シアタートラム(東京都)
2013/11/29 (金) ~ 2013/12/28 (土)公演終了
満足度★★★★
素晴らしい昭和
昭和生まれですが、昭和のことはほとんど記憶にない世代の自分にはあるはずもない懐かしさを感じる不思議な舞台。
段田さん、高橋さんがとても良かったです。
ザ・ランド・オブ・レインボウズ
天才劇団バカバッカ
六行会ホール(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★
うーん
要は映画を作ろうとして
ネタバレBOX
主演ハリウッドスターにドタキャンされたり
スポンサーに無理難題を突きつけらりたりと
ドタバタコメディーなんだけど
クスリとすることはあったが
爆笑するには程遠く
笑いのツボがズレてた感じ。
まあ何人かこれはと言う役者さんもいて
惜しいな思いました。
KUDAN ~この地球(ほし)の汚れた片隅で生まれた命~☆無事終演致しました。ご来場ありがとうございました!☆
TOKYOハンバーグ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/16 (月)公演終了
満足度★★★★
(゜д゜)
話的にはいつものハンバーグだけど、演出がいつもと違う感じでびっくりした。
ザ・ランド・オブ・レインボウズ
天才劇団バカバッカ
六行会ホール(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
悲しい結果
観させていただきありがとうございました。が、この劇団は2度目の観劇ですが、なぜこんなに観に来る人がいるのかわかりません。人数だけわさわさして最初から最後まで辛いひと時を過ごしました。これだけの不快感は珍しい。なぜか是非解明したいものです。
人気がある理由を探りたいと思います。が、わたくしにはあとはありませんね。残念です。
ナイス・コントロール
万能グローブ ガラパゴスダイナモス
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
安心のハイクオリティ
奇をてらわず、しっかり笑える正統派コメディだった。話の冒頭部分で、この設定で途中で失速しないのかなぁと思ったけれど、杞憂でした。テンポよく、キャラも立ってて、繰り返しで笑いを取る天丼な場所も外さないので、何度もツボに入りました。
ネタバレBOX
ラストはビックリしました。絶対意見が合わないからあの世に行くと思ってた。それでも自分だけはAボタンを押そうと思ったのか、それともみんな最後はやっぱり生きたいと思ったのか。ベタでも何でも、この設定はハッピーエンドじゃなきゃなと思って救われました。とくお組の皆さんとのアフタートークが、また笑った。『カイジが偉いんですか?』とか、『ケンカですか?』とか、絶妙!
報われません、勝つまでは
田上パル
アトリエ春風舎(東京都)
2013/11/28 (木) ~ 2013/12/05 (木)公演終了
満足度★★★★★
まっすぐ過ぎるキャラ達!
体育会系の高校生でしか出来ない、清々しくて、直球な姿での笑いがたまらなかったです。真っ直ぐすぎるからこそ起きるアレコレ!舞台美術も作り込まれてて世界観に浸れました。緩々進む物語が、個々のキャラクターや設定を形作っていって、笑いが深化していくのがうまいなぁと思います。どこにでもいる人間を少しだけデフォルメして、こんなに豊かな笑いが作れるんだなぁ。
猛烈浪漫狂詩曲
高襟〜HAIKARA〜
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2013/12/12 (木) ~ 2013/12/13 (金)公演終了
満足度★★★★
満足感でいっぱいに
最前列でみせていただきました。15人の不揃いの果実たちの踊り。興味深くでも少し私の好んで鑑賞する舞台とは異なると違和感を感じながら観させていただきました。
わがまま口紅 深見さんの踊りはさすが圧巻でした。風の強い日でしたが観劇し終わったあとは満足感でいっぱいで帰路につきました。
駆けろ!クラシックウィンド
劇屋いっぷく堂
テアトルBONBON(東京都)
2013/12/10 (火) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
観てきました!
初めていっぷく堂さんのお芝居を観ました。
皆様個性的なキャラで、ストーリーも飽きずに最後まで楽しめました。
競馬を全く知らない私でも、じゅうぶんお話は理解できました。むしろ、競馬にちょっと興味がわいたほどです。
鑑賞後は、なんというか、とても前向きになれました。自分の努力でどうしようもないこと(生まれだとか)についても、くさったりせず、前向きに行こう。周りの期待や自分への勝手な印象だって、自分の力に変えていけるのだ、と思えました。
観に行けて良かったです。ありがとうございました。
ウルトラマリンブルー・クリスマス
演劇集団キャラメルボックス
サンシャイン劇場(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/25 (水)公演終了
満足度★★★★
キャラメルボックスらしさ
キャラメルらしい、あったかい気持ちになれる舞台でした。
最初からハッピーエンドって書いておいてくれると、安心します。
やっぱり、舞台を観る上で、夢を観たい!と思う人間としては、せめて物語は救われたい。
もちろん、「そんな都合よいことなんてー。」と、思う部分もありますが、でも、それでも、そうなってくれたら、素敵だなって思わせてくれるお話は、成井さんお得意の「THEキャラメルボックス節」なんだと思います。
残念なのは、平日ってこともあるだろうけど、空席が目立っていてね…。
もったいない…。
素敵な話だし、クリスマスファンタジーだから、たくさんの方が観られるといいなぁ…と、思います。
皆があったかい気持ちになって、周りの人と、あったかい関係を築けたら、あったかい世の中になるんだろうなと思います。
ネタバレBOX
今回、一番最初からやられました!
オープニングのダンスの曲が、メレンゲの「クレーター」!
「宇宙兄弟」のアニメのオープニングを思い出して、気持ちがざわっとして、無駄に泣きそうになりました。
いい曲だー!
そして素敵な使い方だー!
ストーリーのラストはハッピーエンドではありますが、もう一度、別エンディングを観るためには、ジョージ演じるショージ(あら、いい韻を踏んでるわ。)の苦悩の人生も観なきゃいけないのかと思うと、ちょっと辛いです。
ザ・ランド・オブ・レインボウズ
天才劇団バカバッカ
六行会ホール(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★
米日関係
映画好きの仲間が集まって制作会社を興した。資本金は500万円。これ迄、何本かは撮ってきたのだが、取り立てて言う程の作品ではない。然るに、今回は、プロデューサー、江崎の祖父で名映画監督だった江崎 幸男の未完作品を撮ろう、ということになったのだった。そこでハリウッドの大物スターと出演契約を結んだのだが、撮影発表の記者会見の時になってドタキャン。(追記2013.12.17)
ネタバレBOX
おまけに分厚い契約書に記された規定では、本人以外の家族などの事情によって出演がキャンセルになった場合、ギャラは全額支払うことになっており、6000万円の金が宙に消えることになった。
これなど、相手がアメリカでなければ悪質な詐欺と突っ込まれてもおかしくない所だろうが、結局、この金をおとなしく支払った上、後に江崎宛てに送られて来た、ラスクと短いレターで「やっぱりいい人だったんだ」などと妙に納得してしまう日本人達の目出度さは、アメリカ人の格好のからかい相手だろう。日本人は、屈辱を感じないで居られるのだろうか?
大量のプルトニウムを抱え続け、更に増殖プロジェクトを放棄しない日本に未来など微塵もないが、こんなことをしているのは、日本の為政者共が、アメリカを殿とし、自らを滅私奉公する臣下と位置付けているからだろう。而も、アメリカが容認しているというより、やらせているのは、核戦略体制下で核戦場となる場合、少なくとも最初の核被災地は、米本土でなく日本という前線基地であるという「事実」に持っていっておく方が、敵に対して優位に立てるからにほかなるまい。実際の核戦争になれば、ミサイルに核弾頭を装着して飛ばすのは、当たり前だし、ミサイルのスピードは、航空機は愚か、戦闘機や爆撃機の比では無い。1分1秒を争うのである。米日関係を軍事的に強化することは、メリットよりデメリットの方が遥かに多くまた大きいと認識すべきである。尖閣の問題にしても、サンフランシスコ条約に中国もソ連も参加することが出来なかった事情を汲むべきであり、平和的交渉によってしか問題は解決しないことを認識すべきであろう。
TPPでも甘利が、重大局面で降りるという芸を披露したが、出来レースっぽくないか?
米日の諸関係を見ていると滅茶苦茶な不均衡を相変わらず、唯々諾々と受け入れてゆく、この植民地官僚と国賊政治屋共の、奴隷というより家畜そのものでしかないメンタリティーが、我々、庶民のではなく、為政者共のメンタリティーであるように思われる。
だから、我々、庶民は、このドロドロの腐りきったヘドロ=自民・公明(この名前も恥ずかしいね)を中心とし、すり寄る野党を、唾棄すべき必要には迫られているが、安倍が強制するように愛する対象としては考えることなど出来ない、とハッキリさせておく必要がある。無論、本来、この国の風土は、温暖で複雑微妙な多くの層を含む、豊かで多様なものであった。その宝をどんどん潰し、永久に回復不可能にする権利も必要もない、未来へ向けての展望がキチンとここに住む我らの判断ででき、実現できるのであるなら、愛など強制されずとも、自ずと誇りも持ち、愛するようにもなろう。それは断じて強制するべきものでもなければ、強制されるべきものでもない。そうではないか?
KUDAN ~この地球(ほし)の汚れた片隅で生まれた命~☆無事終演致しました。ご来場ありがとうございました!☆
TOKYOハンバーグ
ウエストエンドスタジオ(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/16 (月)公演終了
満足度★★★
内部被曝
雌牛の出産シーンで幕を開けるが、無論、人の言葉は無い。牛の鳴き声だけである。母牛の名はハナコ、擬人化されているので、当然、ハナコの感情は人間に近い。漸く産み落とした母としての喜びを期待してハナコは、子を見た。途端、悲痛な呻きとも悲鳴とも取れる鳴き声を挙げる。産まれた子は、人間の形をしていた。(追記2013.12.17)
ネタバレBOX
所謂、件(KUDAN)である。この森は、毎時18μ㏜の空間線量だ。2か月前迄ハナコらの居た牧場の畜舎は3μ㏜/hであった。ハナコの体には、白い箇所が斑点状に出来ていた。体毛だけが白くなっている場合と皮膚迄そうなっている場合とがあったが、海岸通り近くの大きな構造物で爆発が起き、煙のような物が出て、人間どもが右往左往して以来、これ迄一度も無かったおかしなことが、ハナコたち、牛の体にも現れるようになっていたのである。牧場主の一雄は、有能で人情味のある酪農家だったが、自らもF1人災の為被曝しながら、退避勧告を跳ねのけて牛たちの面倒を見て来た。だが、終に倒れ、病院に担ぎ込まれた。然し、飼っていた牛300頭を、殺処分にさせるのは忍びなく、病院を抜け出して、畜舎を開け放ったのである。牛達はこうして外に出、近くの森へ来た。既に、鳶、犬、猫が森で共同生活を始めていたが、牛達も仲間として暮らすことになったのだった。無論、一雄は、3μ㏜/hの空間線量の出ていた牧場で働いていた為、牛たちを逃がした直後に亡くなった。
牛達の逃げた森は小さく、充分な食物は入手できない。動物達は餌を求めて、ヒトの居た地域へ出掛けて行く。その度にヒトは見付け次第、牛を殺処分していた関係で1年後には、生きている者の数は10分の1に減っていた。若い牛の中には戦おう、という者も出てくる。長老と雖も、若い牛達総てを抑えることは既にできなかった。件は、牛の成長速度と同じ早さで育ち、既に少女に見えたが、森で彼女に会った者達は、彼女がテレパシーを用いて話し掛ける術を持っていることを噂にしていた。彼女は、牛達を救って下さい、と訴えていたのだ。然し、人間共の彼女に対する反応は、妖怪や幽霊に対するそれであった。人々は、彼女に出合うと、筧を乱して逃げ去ったのである。だがある日、核廃棄物の処理に困った人間共は、終に森の木を伐採して、廃棄場を作る為、森の住人狩りを始めた。流石に、人の姿を残す件だけは、人間共も殺すことが出来なかったので、以前、研究用に拉致された若い被曝牛(雄雌各1頭)を除き一雄の牛舎の牛は全滅させられた。森に残された唯一の生命、件の叫びが痛烈である。曰く「何故、私は生まれて来たの?」
内部被曝についての認識が浅い。表現する者が、体制側が垂れ流す情報をそのまま信じてどうするのか? まして、今作は、動物の側に立って、ヒトを見ているという側面が結構出されている作品ではないか。だったら、尚のこと、この点は、キチンとしなければなるまい。チェルノブイリの被爆者に関しても、IAEAとWHOのデータは共通している。これは、WHOとIAEAの間に結ばれた協定の為であるが、背景にあるのは、露骨な力関係によって事実が捻じ曲げられている事態である。WHOは単に、国連の一機関に過ぎないが、IAEAのバックには安保理がついているという差である。最低限、この程度のことはチェックしておくべきである。
ザ・ランド・オブ・レインボウズ
天才劇団バカバッカ
六行会ホール(東京都)
2013/12/11 (水) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★
ベースの発想
この話のベースになっている部分がとても良いと思ったのだが・・・実際はそのイメージとはかけ離れ、本筋部分と笑い狙いのネタが半分づつと言う、なんともグダグダしたものになってしまった。全体がまとまらず、チグハグさが目立つ。ダンスもそれなりに踊れるものがいるのに、下手ならまだ許せるが“雑”。全てがこの状態だった気がする。
目頭を押さえた
iaku
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/12/12 (木) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
素晴らしい!!!!
演劇の力を見た思いです。
ネタバレBOX
目頭を押さえたとは、修子の笑いながらの話にもあったように、悲しみで涙が流れるのを抑える遺族側の古い因習に由来する言葉だとばかり思っていただけに、途中高いところから落ちた場合の説明があったものの全く気付かず、その場に臨んで、「目頭を押さえてー、目頭を押さえたー」、そういうことか、具体的な作業のことだったかとガツンとやられました。
ワンパターンのカレー攻撃で笑いを誘い、油断させられました。素晴らしかったです。
馨も単に新しい葬儀の方法を持ち込んでいたわけではありませんでした。林業従事者が少なくなって、喪屋を使う機会がほとんど無かっただけのことでした。喪屋を使う機会があれば使うということでした。
それにしても、同じような環境で育った私が木から落ちるとそうなるということは全く知りませんでした。タブーだったため聞こえてこなかったのか、全くの作り話なのか気になりました。
才能のある者と凡人の間における嫉妬、亀裂、そして和解の描き方、凡人修子がどんどんオシャレになっていく様や、ゲームばかりしていた少年が辛い体験を経て一気に跡取り息子として成長した様子の描き方も素敵でした。
修子だってスクープ写真が撮れました。才能とは好きなものに対する持続性の問題なのかもしれません。
拍手が鳴り止まず、カーテンコールは当然の成り行きでした。いいものを見せてもらいました。