KUDAN  ~この地球(ほし)の汚れた片隅で生まれた命~☆無事終演致しました。ご来場ありがとうございました!☆ 公演情報 TOKYOハンバーグ「KUDAN  ~この地球(ほし)の汚れた片隅で生まれた命~☆無事終演致しました。ご来場ありがとうございました!☆」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    内部被曝
     雌牛の出産シーンで幕を開けるが、無論、人の言葉は無い。牛の鳴き声だけである。母牛の名はハナコ、擬人化されているので、当然、ハナコの感情は人間に近い。漸く産み落とした母としての喜びを期待してハナコは、子を見た。途端、悲痛な呻きとも悲鳴とも取れる鳴き声を挙げる。産まれた子は、人間の形をしていた。(追記2013.12.17)

    ネタバレBOX

     所謂、件(KUDAN)である。この森は、毎時18μ㏜の空間線量だ。2か月前迄ハナコらの居た牧場の畜舎は3μ㏜/hであった。ハナコの体には、白い箇所が斑点状に出来ていた。体毛だけが白くなっている場合と皮膚迄そうなっている場合とがあったが、海岸通り近くの大きな構造物で爆発が起き、煙のような物が出て、人間どもが右往左往して以来、これ迄一度も無かったおかしなことが、ハナコたち、牛の体にも現れるようになっていたのである。牧場主の一雄は、有能で人情味のある酪農家だったが、自らもF1人災の為被曝しながら、退避勧告を跳ねのけて牛たちの面倒を見て来た。だが、終に倒れ、病院に担ぎ込まれた。然し、飼っていた牛300頭を、殺処分にさせるのは忍びなく、病院を抜け出して、畜舎を開け放ったのである。牛達はこうして外に出、近くの森へ来た。既に、鳶、犬、猫が森で共同生活を始めていたが、牛達も仲間として暮らすことになったのだった。無論、一雄は、3μ㏜/hの空間線量の出ていた牧場で働いていた為、牛たちを逃がした直後に亡くなった。
     牛達の逃げた森は小さく、充分な食物は入手できない。動物達は餌を求めて、ヒトの居た地域へ出掛けて行く。その度にヒトは見付け次第、牛を殺処分していた関係で1年後には、生きている者の数は10分の1に減っていた。若い牛の中には戦おう、という者も出てくる。長老と雖も、若い牛達総てを抑えることは既にできなかった。件は、牛の成長速度と同じ早さで育ち、既に少女に見えたが、森で彼女に会った者達は、彼女がテレパシーを用いて話し掛ける術を持っていることを噂にしていた。彼女は、牛達を救って下さい、と訴えていたのだ。然し、人間共の彼女に対する反応は、妖怪や幽霊に対するそれであった。人々は、彼女に出合うと、筧を乱して逃げ去ったのである。だがある日、核廃棄物の処理に困った人間共は、終に森の木を伐採して、廃棄場を作る為、森の住人狩りを始めた。流石に、人の姿を残す件だけは、人間共も殺すことが出来なかったので、以前、研究用に拉致された若い被曝牛(雄雌各1頭)を除き一雄の牛舎の牛は全滅させられた。森に残された唯一の生命、件の叫びが痛烈である。曰く「何故、私は生まれて来たの?」
     内部被曝についての認識が浅い。表現する者が、体制側が垂れ流す情報をそのまま信じてどうするのか? まして、今作は、動物の側に立って、ヒトを見ているという側面が結構出されている作品ではないか。だったら、尚のこと、この点は、キチンとしなければなるまい。チェルノブイリの被爆者に関しても、IAEAとWHOのデータは共通している。これは、WHOとIAEAの間に結ばれた協定の為であるが、背景にあるのは、露骨な力関係によって事実が捻じ曲げられている事態である。WHOは単に、国連の一機関に過ぎないが、IAEAのバックには安保理がついているという差である。最低限、この程度のことはチェックしておくべきである。

     

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    2013/12/13 14:11

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