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独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

演出も役者の演技も良かったです。
演出は場面ごとにテイストを変えていて良かったです。

雨の世界

雨の世界

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い。
秋葉舞滝子 女史は演出の魔術師か、そんなことを改めて感じさせる素晴らしさ。
舞台雰囲気の統一感、そこに漂う優しさ、温もりがじわっと広がる。丁寧な演出は いつも通りだが、「雨の世界」という独特の世界観を抒情豊かに紡ぐ。

昨年、ウテン結構第6回公演「雨の世界」(サブテレニアン)を観ているが、やはり劇場・演出・役者等が違うと全く印象の異なる作品が出来る、ということを再認識。比べるのも どうかと思うが、終演後 秋葉さんと話した際、熟女が演じた と。ウテン結構は瑞々しさ、一方 SPIRAL MOONは、大人女性のしっとり感、その違いこそが作風であろう。
コロナ禍で厳しい状況が続く演劇界、それでも<生>の演劇の醍醐味を存分に味あわせ 楽しませる、そんな<気概>を感じさせる公演。
(上演時間1時間20分 途中休憩なし)【月組】

ネタバレBOX

舞台美術は、暗幕で囲い 上演前は中央に木製の椅子1つが置かれているだけ。床は切紙が敷き詰められている。場面に応じてテーブルや椅子を搬入 搬出もしくは配置換えをすることで情景・状況を変化させる。始めに運び入れられた木製の玄関ドア、それ以降に運び込まれるテーブルや椅子も形状こそ違うが 全て木製である。床の切紙が照明によって色づいた枯れ葉のイメージ、また木立の中を思わせる情景 といった全編<木>の温もりを感じさせる。同時に山奥か と思わせる。下手には 紫陽花の鉢植。

物語は サスペンス風に始まるが、いつの間にか女同士の少し痛い友情物語に変転する。俗信の雨女、その悲哀と雨天(嵐)ゆえに知り合った女性の話を交差させ、「雨」をテーマにした物語を抒情的に紡ぐ。更に雨女になった謂われ といった家系的な繋がりを描くことで、更に深刻な悲哀を表出する。
嵐の夜、1人の女・しおり(斎木亨子サン)が助けを求めて館のドアを叩く。館の主は幸子(秋葉舞滝子サン)といい、快くしおりを館の中へ入れる。冒頭、強風と雷鳴の音響、黒のフード付きマントを羽織った幸子の老婆風の佇まいや喋り方で怪しげな雰囲気が漂う。世間話をしているうちに、幸子が若いということが分かる。そして自分は「雨女」と言い出す。

場面は 幸子の学生時代、親しかった友人4人(男2人、女2人)との思い出話だが、必ずしも楽しい思い出だけではない。運動会・野外行事などのイベントが雨で中止になったのは、4人の中の誰かが「雨女」もしくは「雨男」だからだという。さらに友人カミーユ(環ゆらサン)との恋愛を巡って仲違いをする。
一方 しおりは、何でこんな嵐の夜に慣れない運転をしていたのか。幸子がしおりの様子から、状況を推理し始める。父親からの虐待、逃避行動するために嵐の日を選んだ。しおりが学んでいる心理学、その学問(心理)的な場面を「過去<幸子>と現在<しおり>」の物語として挿入する。幸子の回想としおり の現状が直接繋がる訳ではなく、それぞれの話を交差させ「雨」に纏わる物語を紡ぐ。

興味深かったのは、「雨女」は家系でもあるような説明。農村地域、そこで雨乞いを司る家があったという。現象「雨」は、人によって、または時と場合によって捉え方(大切さ)が異なる。が、幸子の姉 福子(最上桂子サン)は小学校の教諭をしているが、学校行事のたびに雨が降り、自分の存在そのものが邪魔者扱いされる。自分ではどうすることも出来ない理不尽な宿命、家系・血の呪いのようなものを感じて、ついには…。

演出で面白いのが、降水現象をパネルを使用した科学的な説明をする 一方、フロイトの心理学を、しおりと幸子の会話で説明していく。具体性と抽象性を交錯させたような描き方。
音響は、暴風雨・雷鳴のサウンド・エフェクト、場面転換時はピアノの優しい音色。照明は全編薄暗い色調、そして話す女性の心象を浮き立たせるための、淡いスポットライトが実に効果的だ。
役者は女優4人、男優2人の静かだが力のこもった演技で、不思議な世界へ上手く誘ってくれる。ラストは暗幕を開け 心象風景に光が差すような…。
次回公演も楽しみにしております。
夏至を待つ

夏至を待つ

遊気舎

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

太宰治らしい穏やかな時間が流れる情緒的なお芝居。
悲哀や葛藤の演技に惹き込まれて
役者さんの台詞を聴き入る。
懐かしさや素朴さが感じられる
不思議な展開に最後まで楽しめました。

ホテル・ミラクルThe Final

ホテル・ミラクルThe Final

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

REST verを観ました。

ネタバレBOX

ホテルの一室で起こりうる5編のドラマのうち、特に、初めの2編「シェヘラザード」「よるをこめて」がおもしろかったですね。ドキドキする場面、話の展開が引き付けられるものがあり、目が離せませんでした。休憩をはさんで、「きゅうじっぷんさんまんえん」「グリーブランド」「獣、あるいは、近付くのが早過ぎる」は前半に比べて、雰囲気が変わり、静かな、そして、落ち着いた様相に感じました。もう少し大きな逸脱するような展開がほしかった気がしました。
雨の世界

雨の世界

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

本日月チーム拝見しました。以前に別の団体さんでこの演目を拝見したことを観ていて思い出しました。でも、また違う感じで楽しめました。舞台ってこうだから面白いですよね。本団体さんは一つ一つ丁寧に作られている感じがして大好きな団体さんのひとつです。今回も、楽しく拝見しました。いつもいただく袋も使わせてもらってます。

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

Team葉初日を拝見。ことのはさんは大好きな団体さんで複数回拝見してますが、今までにあまり当たらなかったジャンルと言うかテイストでした。新しい発見的な感じです面白かったです。しのだみさん応援なので見られてよかった!楽しい時間を過ごせました。また次回も楽しみにしてますね

『工場』『夜景には写らない』

『工場』『夜景には写らない』

世田谷シルク

座・高円寺1(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/16 (金) 14:00

『工場』を観た。いろいろと考えてしまう。95分。
 「日本に似たある国」の工場の分析課に、「移民」の男がやってくる。言葉の問題や習慣の違いから起こるいろいろだが…、の物語。描かれている出来事は、ありそうだな、と思えるが、今はこんな風に対応しないよな、とも思う場面も少なくないけど、多分それは堀川には問題ではなくて、異文化との接触はこういう風に進むかもしれない、という例を示しているように思う。後半、別のタイプの新たな移民や吃音者の登場があり、個々に対応されることなんだろうな、と思った。堀川は2008年から観ているのだが、パフォーマンス寄りの演劇者であることを改めて確認した。

楽園

楽園

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★


#豊原江理佳 #土居志央梨
#西尾まり #清水直子
#深谷美歩 #中原三千代
#増子倭文江(敬称略)
これは子宮の話だ。
子宮は世界だ。
子宮は宇宙だ。
子宮は深くて広くて温かい泉。
子宮は神秘。
何が善で何が悪なのか。
政治がゲームのようで、そこに渦巻く権力争いも、なんだか『はないちもんめ』の数取り合戦。
神に捧げる祈りの歌と踊りが、ソコを刺激する。
確かにソコに宿るモノを可視化させた土居志央梨さんが素敵だった。
とっぽくてヤンチャ風な若者が真っ直ぐに世の中を見つめ、大上段に構えて正論を振り下ろす。そのギャップを豊原江理佳さんが見事に立ち上げた。
暗躍する権力者の嫌味を清水直子さんが好演。あの感じは、そう容易く演じられるモノではない。嫌われる空気をしっかり纏っていた。
作・演出の山田佳奈さんの作品の中で一番良かったかもしれない。
意外性はなくとも、王道の展開が楽しめる。
もっとたくさんの方に届いてほしい。

スイートホーム

スイートホーム

制作「山口ちはる」プロデュース

シアター711(東京都)

2023/06/07 (水) ~ 2023/06/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/16 (金) 19:00

こりつち舞台芸術チャンネル(オオイリ)プレイガイドで紹介があり観劇しました。ダンボール箱にガムテープを貼る意味深のシーンから始まり舞台はどんでん返しが何回もあり、さらなるダメ押しで大いに楽しく観ました。面白くおかしく、怖さ(妻の愛憎)ありの時間があっという間に経ちました。

ホテル・ミラクルThe Final

ホテル・ミラクルThe Final

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2023/06/08 (木) ~ 2023/06/20 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 Stay ver.を拝見。短編作品のオムニバス。もう一つのヴァージョン、Rest ver.を含めHotel MiracleのTheater Miracleでの最終公演となる。拝見したStay ver.の演目は以下の通り。途中5分の休憩が入る。
「噛痕と飛べ」「THE WORLD IS YONCHAN’s」「スーパーアニマル」「愛(がない)と平和」「最後の奇蹟」(追記2023.6.17)

ネタバレBOX

 何れの作品も脚本作家が異なり結構大人のお色気や手練れと初心、年配と若者(思春期を含む)等の取り合わせの妙もあって面白いが、自分は「最後の奇蹟」が最も気に入った。
 登場人物は2人、中年の花火師とJKである。物語が展開するのはラブホで他の4作と変わらない。ところでこれだけ世の中が狂ってくると、まともな神経をしている人たちはもうとっくの昔に世の中に完全に嫌気がさし現在世の中を動かしている権力者や金持ちなど、所謂力のある者たちの施政や経済運営にはうんざりすることにすらすでにうんざりして、とっくに匙を投げてしまったように思われる。そしてそのように匙を投げる他なかった自分たちの無力と現実的効果は持たなかった幾つかの提案にも絶望し本当に魂の深い所では、人間の創り出してしまった地球環境の破壊に善処し得なかったのみならず、今作に描かれた結果を招いたヒトという地球上の食物連鎖最上位者の一員最後の務めとしてせめてその害を齎した我々自身と共に総てを無に帰することを希っていることまでは誤魔化すまいと脱出船搭乗を拒み為政者たちが更地にするこの地球に他の生きとし生けるものたちへの歪んだ愛情と自らの非力を罰する為に居残った。そんな2人が交わす最後の会話は、ヒトが死ぬ前に走馬灯のように見るという全人生のパノラマにも似て、今作で描かれた他の総ての作品の中で2人が各作品各々の登場人物として出会ってきた思い出として展開するが、それはこの劇場シアターミラクルが今月限りで閉館することと重なっているのは無論偶然ではあるまい。様々な念や人生の一齣、一齣を形にして届けてくれたこの劇場への劇場方、観客方双方の様々な想いも交錯している。願わくはこんなに素敵なシアターミラクルを創り長きに亘って運営してきた総てのスタッフが更に大きな箱に移って、また観客である我々に新たな観劇の機会を与えて下さることを願っている。長い間、素敵な時間を本当にありがとうございました。
ノーウッドの建築士

ノーウッドの建築士

シアターOM

シアターOM(大阪府)

2023/06/16 (金) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

満足度★★★

犯人は誰だ❗みたいな演劇ではない
犯人はいるのだが、依頼人の要望を聞いていくなかで、謎を紐解いていく感じ
ミステリーファンには少し物足りないかも 笑える場面もあるし、稲森さんが良い味出してました(いつもか)

キラメキ 2023

キラメキ 2023

関西演劇集団 Z system

駅前劇場(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/16 (金) 19:00

120分。休憩なし。

幸演会

幸演会

オパンポン創造社

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

幸演会というフィクションを見ながら、自分を演劇を、いや何かはわからないけど追い求め続ける姿に心が揺さぶられた。幸演会の人々の人間味にも圧倒された。

点滅する女

点滅する女

ピンク・リバティ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/16 (金) 14:00

座席1階

「点滅する」とはホタルのことだ。ホタルのようにはかなく点滅しながら、亡くなった家族が生きている家族の間を飛んでいく。そして、家族の間にあった微妙な関係が変化していく。現世と天国がクロスオーバーする異色の会話劇である。

家族は工務店を経営する父に、少し気の強い母、兄と姉妹である。姉は5年前に事故で亡くなっているのだが、この姉がまったく知らない女性に取り憑いて家族のメンバーが持つ秘密を暴いていく。幽霊をストーリーテラーにしたのは非常に面白いし、成功している。
作者は、家族というどこにでもある人間関係に小さな緊張、微妙な擦れ違いやあつれきを見いだして、家族のメンバーが持つエピソードを非常にうまく構成している。幽霊だから(もう死んでいてこの世にはいないから)ズケズケと真実を指摘していくのだ。死んじゃった家族が天国から見ているもの、それは絶対家族には言えない秘密なのに、それをこの世で暴露されては生きている家族はたまらない。そういう意味ではかなり残酷な会話劇でもある。

自分にとっては物語の切り口がとても斬新に思えた。ピンク・リバティはこのようなスタイルで過去作もやってきたのだろう。もっと早く見ておくべきユニットだった。

幸演会

幸演会

オパンポン創造社

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

オパンポン好きです。

しかし先週Youtubeで見た、ビートたけしの教祖誕生を思い出した。

雨の世界

雨の世界

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2023/06/14 (水) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/16 (金) 14:00

星チーム。80分。休憩なし。

走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!

走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!

早稲田大学演劇研究会

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2023/06/15 (木) 19:00

100分。休憩なし。

R.P.G. ロール・プレーイング・ゲーム

R.P.G. ロール・プレーイング・ゲーム

ワンツーワークス

赤坂RED/THEATER(東京都)

2023/06/09 (金) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/15 (木) 14:00

125分。休憩なし。

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった……〜

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/19 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、自分好み。
ファンタジーにしてラビリンスといった感覚であるが、まったくの浮遊感という訳ではなく、何となく地に足がついて といった絶妙感が好い。タイトル「独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった」は「不思議の国のアリス」を意識、そのメルヘン的な雰囲気を 少女ならぬ現代の中年女性の心の彷徨として描いている。

劇団遊◎機械(ゆうきかい)/全自動シアターが1995年(28年前)に初演、確か岸田國士戯曲賞の候補作品にもなったと思うが、今 観ても独特の世界観に浸れ楽しめる。いや 現代風にアレンジしているといったほうが正しいか。

舞台美術は女性の心模様を巧く表しており、アタシ(アリス)の荒廃した気持を的確に表出している。どちらかと言えば都会的なセンス、一見スタイリッシュと思える光景が次々と変化していく。ここは…そこは何処といった自分の居場所が定まらないといった空虚さが堪らなく切ない。

卑小だが、<Team葉>初日ということもあるのだろう、少し演技が硬い。台詞の噛み 言い直し、肩を組んで踊るシーンも少し揃(合)わない。しかし公演回数を経れば改善するだろう。それよりも物語を牽引する不思議な力(チカラ)、アリスの孤独と彼女を取り巻く<奇妙な>人々の陽気さ、そのアンバランスというか雑多さが現実と虚構(虚空)綯交ぜの世界観を立ち上げる。今まで観てきた<ことのはbox>公演とは一味違った面白味がある。
(上演時間2時間 途中休憩なし)【Team葉】

ネタバレBOX

舞台美術、上手に階段(雑多な物で上れない)、壁にはレース生地 白、階段下にテーブルと椅子1脚、床にも衣類やペットボトルが散乱している。奥壁には動かない時計、天井には斜めに吊るされたシャンデリア、下手にカウンターとハイスツール。周りの壁には蔦類が垂れ下がり。アリスの心の荒廃を表すような雑多さと真ん中には何も無い空虚さが同居したような光景(世界)。前に進めず止まっている姿であろう。
その後、場面に応じてテーブルや椅子を搬入搬出させ情景を作り出す。因みにテーブルや椅子の形状が異なり、そこにも個性(奇妙な人々の印象)が散りばめられている。

間違い電話が何度か鳴り、苛立つアリス。今日は誕生日だが、一人で過ごしている。そんな彼女のところに 陽気に騒ぐ奇妙な人々が現れ、アリスの心の内を嘲るような振る舞いをしだす。何時しか10歳の誕生日シーンへ。母はいないが、父をはじめ親戚の人々が誕生日を祝ってくれる。ケーキの蝋燭、その火を吹き消すと大切な人がいなくなる。誕生日毎に1人また1人と ワタシのもとを去っていく。それが怖い。幸せになる前に自分で<幸せ>を壊してしまい、辛い思いをしないように現実逃避する。いつの間にか自分の周りには誰もいなくなり孤独が…。

奇妙な人々によって、こんな人生もあるのでは、といった楽しいシミュレーション人生が展開していく。現実/空想の世界なのか、その迷宮にして混沌とした世界観が実によく表れている。それは外見の衣裳…アリスは地味な服、奇妙な人々の衣装はトランプ柄など奇抜で明彩色の服で 居る世界が違うような。そして表情の陰(鬱)・陽(気)にも表れている。アリス(花房里枝サン)は勿論、奇妙な人々の演技は熱演、ぜひ千穐楽まで持続させてほしい。

時間は<無限>にあるわけではない。人生は色々なことを考えて選択する、が 考え過ぎて行動が出来ない。子供の頃からの誕生日の悪い思い出、現実逃避し(自己)殻への閉籠りなど、自分自身に向き合えていないアタシ。そのアリスの合わせ鏡のようにして現れる奇妙な人々の個性溢れる魅力。勿論 歌い(ケセラセラ等)踊るという観せる演出が魅力を支えている。
この世界観は、期待を裏切ることなく、カーテンコール後のアリス(姿)でしっかり表(明か)す。
次回公演も楽しみにしております。
M.O.S.ヤングタウン

M.O.S.ヤングタウン

かるがも団地

SPACE EDGE(東京都)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/06/15 (木) 19:15

期待の劇団の新作だが、本当に面白い。(4分押し)104分。
 10年ほど前の南大沢第一中学校、という設定で、中学生を中心にその周辺の人々のあれこれ。実話ベースじゃないか、と思わせるリアリティながら、笑わせる要素も大きく楽しく観られるけれど、切ない要素もシリアスな要素もしっかりある秀作。子どもの話をやっているようで、実は大人の世界の縮図的な作品で、ケストナーの「飛ぶ教室」を思い出した。
 本劇団は初めて観てから4作観たが、どれも星5つ。希有な劇団である。私が笑えないシーンでも笑う客がいてちょっと興醒め。教師・諏訪役の大西薫の黒板の消し方がプロ!

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