実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2023/06/16 (金) 14:00
座席1階
「点滅する」とはホタルのことだ。ホタルのようにはかなく点滅しながら、亡くなった家族が生きている家族の間を飛んでいく。そして、家族の間にあった微妙な関係が変化していく。現世と天国がクロスオーバーする異色の会話劇である。
家族は工務店を経営する父に、少し気の強い母、兄と姉妹である。姉は5年前に事故で亡くなっているのだが、この姉がまったく知らない女性に取り憑いて家族のメンバーが持つ秘密を暴いていく。幽霊をストーリーテラーにしたのは非常に面白いし、成功している。
作者は、家族というどこにでもある人間関係に小さな緊張、微妙な擦れ違いやあつれきを見いだして、家族のメンバーが持つエピソードを非常にうまく構成している。幽霊だから(もう死んでいてこの世にはいないから)ズケズケと真実を指摘していくのだ。死んじゃった家族が天国から見ているもの、それは絶対家族には言えない秘密なのに、それをこの世で暴露されては生きている家族はたまらない。そういう意味ではかなり残酷な会話劇でもある。
自分にとっては物語の切り口がとても斬新に思えた。ピンク・リバティはこのようなスタイルで過去作もやってきたのだろう。もっと早く見ておくべきユニットだった。