実演鑑賞
満足度★★★★
面白い、自分好み。
ファンタジーにしてラビリンスといった感覚であるが、まったくの浮遊感という訳ではなく、何となく地に足がついて といった絶妙感が好い。タイトル「独りの国のアリス〜むかし、むかし、私はアリスだった」は「不思議の国のアリス」を意識、そのメルヘン的な雰囲気を 少女ならぬ現代の中年女性の心の彷徨として描いている。
劇団遊◎機械(ゆうきかい)/全自動シアターが1995年(28年前)に初演、確か岸田國士戯曲賞の候補作品にもなったと思うが、今 観ても独特の世界観に浸れ楽しめる。いや 現代風にアレンジしているといったほうが正しいか。
舞台美術は女性の心模様を巧く表しており、アタシ(アリス)の荒廃した気持を的確に表出している。どちらかと言えば都会的なセンス、一見スタイリッシュと思える光景が次々と変化していく。ここは…そこは何処といった自分の居場所が定まらないといった空虚さが堪らなく切ない。
卑小だが、<Team葉>初日ということもあるのだろう、少し演技が硬い。台詞の噛み 言い直し、肩を組んで踊るシーンも少し揃(合)わない。しかし公演回数を経れば改善するだろう。それよりも物語を牽引する不思議な力(チカラ)、アリスの孤独と彼女を取り巻く<奇妙な>人々の陽気さ、そのアンバランスというか雑多さが現実と虚構(虚空)綯交ぜの世界観を立ち上げる。今まで観てきた<ことのはbox>公演とは一味違った面白味がある。
(上演時間2時間 途中休憩なし)【Team葉】