陽のあたる庭
演劇ユニット狼少年
小劇場B1(東京都)
2016/01/06 (水) ~ 2016/01/11 (月)公演終了
満足度★★★★
ショータ役がグー
内容的にはスタインベックの「ハツカネズミと人間」の翻案。無論、日本的にアレンジされてはいる。
ネタバレBOX
時代設定は1963年、つまり東京オリンピック前年である。ダイとショウタは野上の浮浪児上がり。戦災孤児である。ダイはしっかり者だが、ショウタはおつむが弱い。ふわふわしたものが大好きで見ると触りたがるのは、東京大空襲で母を早く亡くした寂しさの現れであろう。永遠の子供だから母のふわふわした感触が恋しいのだ。然しそのバカ力は半端ではない。優しいのだが、力の加減を知らないので動物を可愛がるつもりがいつも殺してしまう。今回は矢張り前の現場で、親方の女が着ていたふわふわのコートに触りたくて騒動になり、女が暴行だと騒ぎ立てたため、親方やその知り合いのヤクザに追われる破目になって、今度の現場へ流れて来たのである。だが、その2人には夢があった。金を貯めて小さな家を持つ、という夢だ。そこではショウタの大好きなふわふわの兎を飼うことにしていた。無論、小さいが庭もある。だが、今回移ってきた現場にも似た問題が転がっていた。親方の息子が乱暴者で背の小さいのをコンプレックスに持っており、大きい男を見るとそれだけで腹を立てた。目上の者には媚び諂うが、目下の者はとことんいたぶる下司である。しかも去年結婚した女房の浮気が心配で、年中監視していなければ気が済まない。その癖雀荘に入り浸って帰りが遅い。親が親方なので飯場に出入りしては子方に理不尽な暴力をふるったり、嫉妬の憂さ晴らしをするのである。子方たちは仕事を失いたくないから触らぬ神に祟りなしとばかりなるべく関わらずに済ませたがっていた。ところが、この女房も幼少時に疎開から帰ってみると母は空襲で死亡、父も復員してこずで14歳まで親戚を盥回しされた上ヤサグレてしまう。無論、男を騙してもきた。だが、自分の家族を持ちたかったのも本当だ。美人で若い上スタイルもいい。それで太郎が彼女の働いていたバーに来て一目惚れ、直ぐ結婚を申し込んで成婚となったのであるが、掴んだ獲物はババであった。それが不満で飯場にいる子方たち、とくに南方戦線帰りの梶原に話を聞いて貰いにきていたのである。だが、下司とはいえ亭主が年中嫉妬に駆られて飯場を訪れるので子方にとっては迷惑な話であった。
ダイとショウタが暮らしていた野上がどんな所であったか、大体の察しはつこう。1945年3月10日関東大震災で痛めつけられ漸く再興した下町一帯をカーチス・ル・メイ指揮下のB29大編隊が襲った。海を除く三方を先ず火の柱で囲んで逃げ道を断ち、その後絨毯爆撃を掛けて一般市民(その多くが女子供老人であった)を生きたまま焼殺したのである。焼かれた人間が火のついたまま、凄まじい火災が巻き起こした上昇気流に乗って宙を舞うほどの火災であった。その為僅か数時間の間に生きたまま焼き殺された女子供老人ら市民の数は10万以上、人体から流れ出た油が隅田川に掛かる石の欄干に未だに沁みついて残っている。エンコから野上迄は、大人の足なら15分か20分の距離だから、焼き出された子供達の多くが野上に流れた。浮浪児達は、シューシャン(靴磨き)や闇市の手伝いなどをして生き延びた。ダイ、ショウタは闇市の話をしているから、野上に最初に入ったグループではなく何か月か経った後だろう。闇市が立ち始めたのは敗戦から暫く経ってからであるから。売品の中にはララ物資も無論含まれていた。留美子も14歳でやさぐれているからパンパンなども経験しているかも知れない。何れにせよ叩けば埃が出るような生活をしなければ生き残れなかった時代である。因みに法的に決められた生活を守った裁判官は餓死した時代である。またハイパーインフレは止まる所を知らず、まともな勤め人の暮らしより浮浪児たちの稼ぎの方が多かった上を下への騒乱の時代でもあった。街に溢れかえるチンピラは特攻帰りも多く、特攻では死の恐怖を忘れさせる為に覚醒剤が用いられていた為、戦後も日本薬局方・ヒロポンという名で合法的に販売されていたのである。国家などというものは、無論、そのでっち上げ理論の上で動く。決して普遍性もなければ合理性も持たない単なる虚構である。そう言って悪ければ無責任体制である。唯、多くは軍を味方に付け、権力維持をしているだけなのである。だから決して民衆を守らない。軍も民衆を守らないのは必然である。
以上のような背景を背負った人間たちが登場する作品として観ると面白かろう。
ミュージカル『薄桜鬼』新選組奇譚
ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会
天王洲 銀河劇場(東京都)
2016/01/04 (月) ~ 2016/01/11 (月)公演終了
満足度★★
ミュージカルとな
初めてこのシリーズを観た。はっきり言って「鬼」さん以外の人の歌は聞けたもんじゃない。 歌える役者がいなくてもなぜミュージカルにしたいのか疑問。ストレートプレイにしたほうがよっぽどストーリーや役者の演技を楽しめるのにな。唯一 鬼三人はカッコよかった!
ゴースト・ゴースト・ゥライター
東京パイクリート
OFF OFFシアター(東京都)
2015/08/19 (水) ~ 2015/08/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
熱の入った
作品でした。いきなり現行の山。そして執筆しているのが幽霊。英語における掛詞。幽霊が果たせなかった夢を、生きた人間に乗り移って、つまり他人の肉体を借りて物語を書くという設定が面白かった。俳優陣もなかなかの個性で、次回作も観たくなりました。
百年の虎独 × 竜の落とし子
株式会社Legs&Loins
Geki地下Liberty(東京都)
2015/09/29 (火) ~ 2015/10/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
出産
オトコにとって、オンナに対する最大の引け目であり、最大の憧れでもある。まるで、劇場をジャックしたかのような、劇団作品の超ロングラン公演の始まり。この人たちのチャレンジに拍手。
私的恋愛ベスト〜全ての女に懺悔しな!〜
元東京バンビ
スタジオ空洞(東京都)
2015/10/24 (土) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
たしかに
うんうん、あるある…を感じられた作品で、かなり楽しく拝見しました。これは次回も観たいっと思いました。
スクールみょーズ
みょーちゃん劇団
「劇」小劇場(東京都)
2016/01/07 (木) ~ 2016/01/10 (日)公演終了
初笑いに最適!
無茶苦茶だけど楽しい!笑えます!
「まともな演劇を観たい人は向かいの本多劇場へ」というだけあって、
ルール無用、終始バラエティのコントのノリなのですが、
中途半端に奇をてらった演出をするくらいなら、ここまではっちゃけるのもアリかなと思いました。
特にいいなと思ったのは、
舞台上に客観的立場で解説する役の人が常にいること。
笑い所を余さず拾ってツッコミを入れてくれるので、笑いの絶えない公演になっていました。
今日と同じ内容には絶対に出来ないというくらいアドリブ満載らしいので、
公演日によって当たり外れがあるかもしれません。
鷗外の怪談
劇団五期会
A&Hホール(大阪府)
2015/12/16 (水) ~ 2015/12/20 (日)公演終了
満足度★
伝わってこない。
物語は解るのだが、臨場感 緊迫感が無く、淡々と流れる。伝わってこない。
せんたくの日和
空晴
in→dependent theatre 2nd(大阪府)
2015/12/15 (火) ~ 2015/12/22 (火)公演終了
満足度★★★★★
空晴節 良いお芝居です。
勘違いから生まれるドタバタ 思い遣る気持がより誤解を招く 勘違い 誤魔化そうとする演技 間 が、とても面白い 取り戻せる時間と埋らない溝 生きてると必ずある道の選択 戻れなくなる前に。家族が解り合う事の大切さがしみじみと来る。 空晴が一杯詰まってた。 最後に、じわじわと来る 持って行かれる 空晴節 良いお芝居です。
ネタバレBOX
勘違いから生まれるドタバタ 思い遣る気持がより誤解を招く 勘違い 誤魔化そうとする演技 間 が、とても面白い 取り戻せる時間と埋らない溝 生きてると必ずある道の選択 戻れなくなる前に。家族が解り合う事の大切さがしみじみと来る。 空晴が一杯詰まってた。 最後に、じわじわと来る 持って行かれる 空晴節 良いお芝居です。
え 誰ですか 誰や 妹の婚約者 彼氏は とよだ 怪我している 前からギブス 寝ている。すみませーん すみませ-ん すみませ-ん。仲間やな 死んでる? 息している 誰や 藤岡まき子さんの婚約者 マキチャン36 お前。26です 信じて 電話する ・・・ 若い 良かったな 切るわ、月島君 最初から言ってくれたら。だから・・・。お茶かコーヒー ヨシ(義信)は?。お茶。リリリリ はい・・・。早乙女クリニック。// 勝手口に回って (良信)半年前まで居候 従兄。すみません 行った?。寝たふりって // 姉さん女房 草鞋履いてと言います・・・。胸が。ショックを受ける。先生は出来る限りの手は致します。月島さんの親戚・・・友人・・・従兄 よしは、なんでおる、後ろで豊田君寝ている。友達 ここから見えるよ。女の子 子供、僕でしょ。いやいや。・・・ 私見られた お父さん ・・・・ 。親のルビー婚ハワイ旅行を、家が一番ええわ。怒る 藤岡まき子。豊田さん大事な話し さなえチャン いよいよ。・・・。白い影 良くない。ここをハワイにしよう、チィシュで花作って。・・・何してたん。花ですよ・・・。 親は喜んでいたハワイ旅行 白い影はクリニック?クリーニングで落ちない染み お世辞になっております早乙女クリーニング。洗ってやり直し。落ちない場合もありますよ。母は来ない、ハッコキ鍋の作り方を聞いといて。 サングラス選ぼ アロハ渡す。
idiot
青年団若手自主企画 vol.64 山内企画
アトリエ春風舎(東京都)
2016/01/05 (火) ~ 2016/01/10 (日)公演終了
満足度★★★★
不条理劇入門?
当日パンフにあるように、ゴドー的不条理劇をイマドキの女の子でやってみるという試みは興味深いし、一応は成功していると思える。2人の女の子がパーティに呼ばれるのを待っている、という状況の中で語られる会話は確かに今の女の子らしいものだし、電話という存在が待っていることの象徴としてしっかりと意味を持っている。ただ、終わり方はこれでよいのか、という気がしないでもない。ある感触を作りたくてやっているとは思えるけれど、もっとバッサリ終わってしまってよいような気もする。
藤松さんの身体性はなかなかの見応え。照明と音響(音楽)の使い方は見事だと思った。
椿説 おくのほそ道
劇団BRATS
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2015/12/22 (火) ~ 2015/12/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
椿説 おくのほそ道
和ものでのアクションとても楽しみでした。
やはりBRATSさんの殺陣は素晴らしく、
この方々を観てしまうと
よそのお芝居の立ち廻りが物足りなくなってしまうのは
ある意味罪ですね。
ネタバレBOX
今回は椿説ながら歴史ものなので
前説で時代背景などを面白くやってたのは有り難い。
それでも一度めの観劇では理解できてなかったこともあり
物足りなく感じてしまいました。
二度、三度と観て
わかってから筋の面白さに気づきました。
それは時間軸が前後するところが若干わかりにくかったのかなとも思います。
芭蕉の衣装が変わるのでよく見ていればわかるのですが
一度めはそこまで気が回らなかったのもありました。
何もかもわかりやすく説明するのもつまらないですから
全然必要ないことかもしれませんが
前作の「熱血!不良総選挙」がわかりやすかったもので・・・。
日替わりネタのようなところも面白かったですし
緊張と緩和の具合がいいバランス。
今回は女性キャストも多かったので華やかさもありました。
千秋楽のラスボス久保田創さんと早乙女友貴さんの戦いは
とくに熱く胸にくるものがありました。
悪人の惟足がそうなるまでの背景に何かあったんだろうかと思う
人物の深みが増してました。
刀が折れたりなどのハプニングでの対処も素晴らしかったです。
立ち廻りは本当にかっこよくて大満足。
願うのは関西公演をしていただきたい・・・
そしたらもっと通えるのにという個人的欲求が心に残ります。
死刑執行中脱獄進行中
天王洲 銀河劇場
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)
2015/12/22 (火) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
満足度★★★★★
死刑執行中脱獄進行中
思っていた以上に良かった。
身体表現の作品は台詞がなくこちらが読み取るチカラが必要とされ
苦手なものなんですが
この作品はそんなことは考えなくとも素直に見てるだけで
没頭出来ました。
「何を表してるのだろう?」と邪念を持つ以前に
フライヤーのように
あの円のホールの中にぐるぐる回りながら吸い込まれるような感覚。
実質上演時間も短めでしたが
あっという間に終わりました。
ネタバレBOX
原作も知らないで
全く調べないで観に行きましたが十分に楽しめました。
自分の解釈は間違ってるのかもしれないけど
観劇後
満足した自分がいたのでそれで良いと思います。
段々ネタバラシしていくように
人間が表していた家具たちの動きも面白かったし
それが作品のストーリーというか軸に邪魔になっていなかったところが
邪念を生まなかったのかなとも。
布の使い方、衣装、音楽そしてもちろん演者、すべて素敵でした。
とても素晴らしいものを観させてもらった。
もう一度観たかった・・・
WOWOWで放送あるということで
そちらでまた拝見したい。
センターよりで観れてよかったけど
端で観た人はどうだったんだろう。
そこは少し気になるところです。
別役実を歌う
別役実フェスティバル実行委員会
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/01/05 (火) ~ 2016/01/06 (水)公演終了
満足度★★★★
楽しい2時間のコンサートでした
1部と2部休憩をはさんで2時間15分の舞台楽しく見させていただきました。1部の爽やかな歌声もダンスも素晴らしかったです。別役さんの不思議な世界にはまりそうです。
しかし一部は司会の出番が多く
せっかく舞台の盛り上がりが覚めてしまい、少し煩わし方ように思います。
この歌のコンサートを聴いて別役さんのお芝居を見せていただきたいと思いました。
チャイルドボイス
『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』
シアターサンモール(東京都)
2015/07/15 (水) ~ 2015/07/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
(シアターサンモールに)帰ってきた夢麻呂組
倒れた父に替わり保育園の園長代理となった元ヤンの金髪男にはなぜか園児たちの「心の声」が聞こえるわ「本当の姿(?)」が見えるわで…な物語。
園児同士の派閥やら空気を読んで“いい子”を演じる子供など、大人社会の縮図とも読める内容を中心に、しょーもないギャグ(←貶す意図は皆無)やアクション、感動を添えて休憩込み3時間の上演時間も体感的にはさほど長く感じず。
前半は娯楽性たっぷりな上にさりげなく伏線をはり、後半で複線を次々に回収しながらメッセージを伝えるという構成と主人公の設定が活きてくるのが巧いんだな。
なお、「前半で巻いたから延ばしてるんだよッ!」というサービス精神あふれる座長の台詞には大ウケ。
また、「今日は撮影が入っているから間違えると残るよ」とおっしゃったご本人が噛んだり…(爆)
十七人の侍
企画演劇集団ボクラ団義
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2015/11/20 (金) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
千秋楽(^^)v
都合3回め。無事勝ち越した模様。これ以上はないと思われた【時かけ206】をも凌駕。思い返すだけでも幸福感に包まれた感覚が見事に甦る(^^)♪
★の安売りはしたくないので当然の如くの評価。感謝(^^)
時をかける206号室
企画演劇集団ボクラ団義
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/08/19 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
千秋楽(都合3回め)
こんな事ってあるんですね。素晴らしかった。生物なので回を重ねる毎に新しい味が出るのはご愛嬌として、ものの見事にピースがはまり千秋楽で完成。個人的にもこれを越える作品には出会えないと感じた。作品に関わられた皆さんに感謝(^^)!! 評価は自信を持っての★★★★★
時をかける206号室
企画演劇集団ボクラ団義
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/08/19 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了
満足度★★★★
初日観劇(^^)
重苦し気ながら圧倒的絶望感に包まれる訳でもなく、不思議な後味。次回楽楽しみな予感♪
オペラ「金閣寺」
神奈川県民ホール
神奈川県民ホール(神奈川県)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
「日本オペラの金字塔」という惹句にふさわしい作品
1999年に東京文化会館で上演された、同作品を観た。
今回はそれ以来、16年ぶりの上演となる。
今回の『金閣寺』は、1999年のそれとは、かなり受ける印象が異なる。
ネタバレBOX
臨済宗の「仏に会っては仏を殺し……」の合唱が、主人公・ 溝口に降り注ぐのが、とにかく印象的だった前回と比べ、今回の作品はかなり受ける印象が異なる。
前回は、主人公・溝口の暗い情念を、観念的、抽象的な世界として見せていたのに対して、暗さと情念は同じではあるが、その見せ方が異なっていた。
すなわち、溝口が「寺は焼かねばならぬ」と思い込む様が、ロジカルに描かれているのだ。
「どうして彼はそうした」のか、がわかりやすいとも言える。
内なる、自分ではどうしようもない気持ちを、外に向かわせる方法として、金閣寺の放火しかなかったという観念的なものが、「物語」になっていたと言っていい。
そういう意味において演出は、演劇的であり、どのシーンもわかりやすくなっていて、具体的に見せてくる。
前回あったかどうかは忘れたが、足利満義の姿さえある。
ただし、その結果がないことから(オペラの中で結果どうなったのか、がないため)柏木が溝口に尺八を渡すシーンはカットしたと言う。
また、確か、「猫」のシークエンスもなかったように思える。
これも、拾った猫の処分と、溝口とを重ねるという意味があるのだが、わかりにくいからか、それをカットされていた。
正直、こういうカットはあまり好きではないが、今回の演出意図としては、それはそれで成立していたのではないか、とも思った。違和感がなかったためか。
小森輝彦さんの演じた溝口は、パリトンでぐいぐいやってくる。
追い詰められた者、というよりは、「決心した者」の印象が強い。
彼の悪友・柏木は鈴木准さんは、長髪の感じが不気味であり、とてもわかりやすいキャラとして見せていた。
これも今回の演出の方向性だろう。
舞台中央に、立体的に、そして観客へ鋭角を向けてそびえ立つ、輝く金閣寺のセットの存在感は凄い。
ラストに炎に巻かれる姿は圧巻であり、これだけでも満足度は高かった。
合唱が録音だとしても。
(まだ書き足りないが、時間がないので……)
東京裁判 pit北/区域閉館公演
パラドックス定数
pit北/区域(東京都)
2015/12/22 (火) ~ 2015/12/31 (木)公演終了
満足度★★★★★
パラドックス定数『東京裁判』=pit北/区域の最後
実は、pit北/区域ではパラドックス定数の『東京裁判』しか観たことがない。
しかし、この劇場の特殊な空間とサイズを見事に活かした作品である、パラドックス定数の『東京裁判』をここで観ることができるのが最後ということで、それならばと最終日に出掛けた。
ネタバレBOX
パラドックス定数の公演は、会場も作品の中にあることが多い。
『怪人21面相』や『戦場晩餐』などがそうだ。
そして、この『東京裁判』もpit北/区域という場が、作品の一部になっている。
展開ももちろん、今回で4回目となる『東京裁判』なので、作品内の出来事はすべてわかっているのにもかかわらず、やっぱり作品に引き込まれてしまう。
偶然だが、ここで過去2回観た席とは今回は方向が異なったことで、役者さんの別の表情を観ることができた。
役者さんの視線の配り方とか、身体の方向の向け方、西原誠吾さんの唇がわなわなと震えている演技に初めて気が付いたりしたことも得した気分であった。
今回pit北/区域が最後の最後ということもあって、やや演技の熱の度合いが強すぎた感はあるが、笑いのシーンではきちんと観客が笑い、舞台との一体感まで感じられた。
これが「pit北/区域」での「パラドックス定数『東京裁判』」なのだなと実感した。
パラドックス定数は、先に書いた『怪人21面相』や、226を描いた『昭和レストレイション』など、歴史的な事件や事実を背景に作品を作り上げているジャンルがある。
「伝奇ものSF」の作家・半村良さんが、伝奇モノを書くときにどうしているか、という問いに対して「2万5千分の1の地図を広げて、そのどこかにスッとカミソリを入れ、そこを指で広げた場所を描く」というようなことを言っていたような気がする(たぶん・笑)。
パラドックス定数の野木萌葱さんの作品は、まさに「歴史や事件の時間軸にカミソリを入れ、そこを広げた時空で演劇を描いている」のではないだろうか。
実際の事件や歴史上いた人物や、その場にいかにもいそうな人物を配し、そこで起こっていたような出来事を妄想する、そんな感じではないだ。
パラドックス定数の『東京裁判』は、観客の知識の濃淡をある程度踏まえて、基本的なところは押さえつつ、知識の濃淡に応じた楽しみ方ができるのもテーマの選択の上手さかもしれない。
「東京裁判」についてほとんど知識がない人にとっては、初めて聞くような内容や登場人物だったり、ある程度の知識がある人にとっては、思わずニンマリしてしまうような設定や展開だったりだ。
しかも、机1つに椅子5脚だけのシンプルな装置なのに、巨大な裁判所が浮かんでくるのだ。
5人同士に向かう熱や外に向かって発せられる熱のバランスも良いから、5人が(立ったり座ったりの動きがあるものの)机の前にいるだけで延々会話するだけなのもにかかわらず、緊張感は途切れず、物語の動きやうねりを見せてくれる。
残念なことに、pit北/区域という会場の面白さである地下の舞台を見下ろす1階席(傍聴席)から観ることができなかったのは残念ではある。
また、どこかで『東京裁判』を観ることができると思うが、そのときにも是非行きたいと思う。
『東京裁判』の作品の中にあるような、良い会場だとうれしい。
NBL大作戦
ゲキバカ
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2015/11/07 (土) ~ 2015/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
初ゲキバカ
多少下品ではあるし、アドリブなのかホンなのか分からないグダグダ感はあったけれど、十分に楽しみました。他の作品も観てみたいです。
1995
劇団チャリT企画
座・高円寺1(東京都)
2015/12/09 (水) ~ 2015/12/13 (日)公演終了
満足度★★
う~ん・・・
色々な事柄を詰め込みすぎて、何を伝えたいのか分からなかった。コメディと謳っているけれど、全然笑えなかった。