東京裁判 pit北/区域閉館公演 公演情報 パラドックス定数「東京裁判 pit北/区域閉館公演」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    パラドックス定数『東京裁判』=pit北/区域の最後
    実は、pit北/区域ではパラドックス定数の『東京裁判』しか観たことがない。
    しかし、この劇場の特殊な空間とサイズを見事に活かした作品である、パラドックス定数の『東京裁判』をここで観ることができるのが最後ということで、それならばと最終日に出掛けた。

    ネタバレBOX

    パラドックス定数の公演は、会場も作品の中にあることが多い。
    『怪人21面相』や『戦場晩餐』などがそうだ。
    そして、この『東京裁判』もpit北/区域という場が、作品の一部になっている。

    展開ももちろん、今回で4回目となる『東京裁判』なので、作品内の出来事はすべてわかっているのにもかかわらず、やっぱり作品に引き込まれてしまう。

    偶然だが、ここで過去2回観た席とは今回は方向が異なったことで、役者さんの別の表情を観ることができた。
    役者さんの視線の配り方とか、身体の方向の向け方、西原誠吾さんの唇がわなわなと震えている演技に初めて気が付いたりしたことも得した気分であった。

    今回pit北/区域が最後の最後ということもあって、やや演技の熱の度合いが強すぎた感はあるが、笑いのシーンではきちんと観客が笑い、舞台との一体感まで感じられた。
    これが「pit北/区域」での「パラドックス定数『東京裁判』」なのだなと実感した。

    パラドックス定数は、先に書いた『怪人21面相』や、226を描いた『昭和レストレイション』など、歴史的な事件や事実を背景に作品を作り上げているジャンルがある。

    「伝奇ものSF」の作家・半村良さんが、伝奇モノを書くときにどうしているか、という問いに対して「2万5千分の1の地図を広げて、そのどこかにスッとカミソリを入れ、そこを指で広げた場所を描く」というようなことを言っていたような気がする(たぶん・笑)。

    パラドックス定数の野木萌葱さんの作品は、まさに「歴史や事件の時間軸にカミソリを入れ、そこを広げた時空で演劇を描いている」のではないだろうか。
    実際の事件や歴史上いた人物や、その場にいかにもいそうな人物を配し、そこで起こっていたような出来事を妄想する、そんな感じではないだ。

    パラドックス定数の『東京裁判』は、観客の知識の濃淡をある程度踏まえて、基本的なところは押さえつつ、知識の濃淡に応じた楽しみ方ができるのもテーマの選択の上手さかもしれない。

    「東京裁判」についてほとんど知識がない人にとっては、初めて聞くような内容や登場人物だったり、ある程度の知識がある人にとっては、思わずニンマリしてしまうような設定や展開だったりだ。

    しかも、机1つに椅子5脚だけのシンプルな装置なのに、巨大な裁判所が浮かんでくるのだ。
    5人同士に向かう熱や外に向かって発せられる熱のバランスも良いから、5人が(立ったり座ったりの動きがあるものの)机の前にいるだけで延々会話するだけなのもにかかわらず、緊張感は途切れず、物語の動きやうねりを見せてくれる。

    残念なことに、pit北/区域という会場の面白さである地下の舞台を見下ろす1階席(傍聴席)から観ることができなかったのは残念ではある。

    また、どこかで『東京裁判』を観ることができると思うが、そのときにも是非行きたいと思う。
    『東京裁判』の作品の中にあるような、良い会場だとうれしい。

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    2016/01/07 03:59

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