最新の観てきた!クチコミ一覧

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さよならなんて 云えないよ

さよならなんて 云えないよ

しゅうくりー夢

ザ・ポケット(東京都)

2017/09/06 (水) ~ 2017/09/10 (日)公演終了

満足度★★★

天使長ラファエル様が、まだ駆け出しだった頃のお話……と言われると、しゅうくりー夢ファンとしてはそれだけでちょっと楽しみ度が増す。

しゅうくりー夢では、これまでに「死期の近いた人間(または急逝した人間)にしか見えない天使」の登場するいくつかの作品があったから、そしてそこに登場した天使長様がとてもキュートだったからだ。

駆け出し天使(だった頃の)ラファエルの今回のお仕事は、ある女の子の願いを叶えること。もちろん(?)その子はまもなくこの世を去るのだ。そんなラファエルの説明を、彼氏からのサプライズだと思い込んだヒロイン音無真代は、可愛くて一途な、いやちよっと一途過ぎるくらいの女の子だった……。

タイトルやあらすじからロマンチックなラブストーリーを想像するけれど。

真代の恋人須藤海斗は本当に優しいけれど、ちょっと、いや相当にチャラいし、海斗の親友 遊馬は友だちへの誠実さだけでなく別の想いをも隠しているし、ヒロインの真代だって、とっても可愛いし健気だけれど、ちょっとめんどくさいタイプだったりもして、なかなかロマンチックにはなれなかったりもする。

でも、そういう一筋縄ではいかない面々がそれぞれに魅力的で観ていて楽しかった。

真代や海斗や遊馬だけでなく、元気な女の子たちや合コンで出会う男の子たち、それぞれの恋やその他の(?)想いもまた丁重に描かれる。

恋人同士が、それぞれ「自分はまもなく死ぬ」と思った時の反応や対応の違い。そして、天使や堕天使(!?)や、一筋縄ではいかないけれどそれぞれに切実ないくつもの想いが描かれて、この劇団らしい笑って泣けるハートウォーミングな物語となっていた。

いろは四谷怪談

いろは四谷怪談

花組芝居

ザ・スズナリ(東京都)

2017/08/26 (土) ~ 2017/09/08 (金)公演終了

満足度★★★★

1987年に新宿タイニイ・アリスと下北沢ザ・スズナリで上演された『いろは四谷怪談』初演版を元に、現在の座員に加えてOBや30周年ボーイズや日替わりゲストも参加した多彩かつ豪華な顔ぶれによるダブルキャストでの上演となった。

客席は満席で、開演前から熱気に満ちていた。開演時間が近づく頃、座員が2人登場し、軽やかなトークとともに観客に声がけし、空席を詰めるよう誘導する。その後、椅子を持った観客が通路や壁際を埋めていく。

ますます熱気と期待の高まる場内。

鶴屋南北の葬式から始まって、ご存じ四谷怪談の登場人物たちを笑い飛ばし、仮名手本忠臣蔵を洒落のめし、忠義と義理と恋と打算の物語が綴られていく。いや、綴る……なんていう生易しいものではない。笑いと毒をたっぷり詰め込みつつ、歌って踊ってレビューまで見せる、30周年の記念に相応しい華やかで見応えのあるステージであった。

過去の大作をがっつりと全力で再演することで、30年の蓄積が目に見える形となった。それは、作劇についてだけではなく人脈についても言えることで、たとえば日替わりのゲストが発表されたとき、その多彩さと豪華さにアッと声を上げそうになった。

30周年ボーイズと名付けられた若いキャストのがんばりも、OBも含めたベテランの暴れっぷりも、それぞれ見応えがあった。

色悪の代名詞である民谷伊右衛門はマザコン気味の好青年で、つぶれた主家を見限って敵の家に再就職しようとしている。

ポップで露悪的で、でもその中に確かな美しさがある。

フィナーレは、記念の年の公演にふさわしい華やかなレビューで、役者さんたちの麗しい礼装とキレッキレのダンスを楽しんだ。

ラストで降る雪が、客席にも舞い落ちる。膝に落ちた紙のひとひらをそっと手帳にはさんだ。華やかで奇妙に哀切なその物語の名残として。

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

青の凶器、青の暴力、手と手。この先、

キ上の空論

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2017/08/31 (木) ~ 2017/09/03 (日)公演終了

満足度★★★

学校の風景。

彼女ら・彼らの交わす言葉の奥に繊細な想いが行き交う。いくつもの短い場面が、乾いた音で切り替わり積み重ねられていく。その中でしだいに見えてくる過去は深い青に彩られて切ない。

劇中で交わされる会話の柔らかい方言の響きが、重なっていく場面にもうひとつの色を加えていく。

あの子の言葉に、土地の訛りがなかったのはそういう訳だったか、と後から思ったりもする。

現在向き合っている大切な人の死と過去の悲劇とを抱えて、ぶっきらぼうにしか振る舞えなかった少女の自責の念が痛々しい。

あの子もあいつもキミのことを大切に思っていたんだよ、と耳もとで言ってやれたらいいのに。

大きな悲劇を物語の背景に置いたことは、そのことに対する創り手も思い入れや必然性が問われなくてはならないだろう。切実さとかすかな違和感の双方を感じたりもした。

それでも、劇中で交わされた会話やそこに込められた彼女ら・彼らの細やかな心の動きは、観終わった後も確かに心に残った。

小竹物語

小竹物語

ホエイ

アトリエ春風舎(東京都)

2017/08/24 (木) ~ 2017/09/04 (月)公演終了

満足度★★★★

「怪談師」という方々は実際に存在するらしい。集まって怪談を語る催しもあちこちで開催されているようだ。

ここでいう怪談は、『四谷怪談』とか『牡丹灯籠』とかではなく実体験に基づく怪異体験談あるいは実話怪談と呼ぶべきもののようだ。

劇中である人物が「私たくさん怪談持ってますから」と言ったり、『遠野物語』の中の挿話を語った人物が非難されたりするのはそれゆえであろう。

もちろん自らの体験には限らない。「これは友人のAさんが体験した話です」みたいなものであったり、あるいは人が体験した話を蒐集し、整理して語ってりするようだ。ま、考えてみれば先の『遠野物語』を編纂した柳田國男がやってたことだって基本は同じなのかもしれない。

蒐集するだけでなく語って聞かせる訳なので、それぞれパフォーマーとしてのキャラクター付けも抜かりない。それゆえ登場人物も濃い面々の集まりとなっている。

この日の集まりは観客を前にしての語りでなくネット中継。技術を担当するのは主宰の友人である人物。

怪談を語る者たちの立場もそれぞれで、主宰であったり常連であったり初参加であったりゲストであったりする。

キャラの濃い怪談師たちがつかの間の集まる中で見え隠れする人間関係。

加えて、劇中で語られる怪談ももちろん見どころである。

怪談師としてならミロくんのクールそうでいてややウエットな語り口が好き。

怪談アイドルの手馴れた風情には安定感があったし。

憑依型というか、結子のはとにかくインパクトがあったし。

主宰の語った、海で死んだ妻と出会う話は、あ、遠野物語、と想うか思わないかでも印象が変わるだろう。

もうひとつ軸になるのは主宰の友人で、この日のネット配信の技術を担当する高橋だ。

開演前の客席とのやり取り。集まりのはじめに雑談として語られたつぶつぶの話(量子力学?)。その中の関わるということについての話。そしてラストのこちら側からあちら側への越境(?)。

後半はそこにまたさまざまな要素が加わってくる。

怒鳴り込んできた男。聞こえるはずのない階段の音。目玉焼きにかけるもの。

実際に現れた幽霊(?)より、人間の方が(いろんな意味で)怖いよ、という話かもしれない。

いろいろ考えるとより面白くなってくるタイプの作品で、一度しか観られないのが残念だ。

ちなみに、目玉焼きには塩コショーで醤油もソースも雨水もかけない派だ。

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―

純惑ノ詩―じゅんわくのうた―

野生児童

小劇場B1(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★

『四谷怪談』をベースに、現代劇として再構築されたある姉妹と男たちの悲劇。

それは自分の中の『四谷怪談』のイメージとはずいぶん異なっていた。伊右衛門といえば歌舞伎では色悪の代名詞のようなキャラクターだ。だが、この作品で描かれた伊右衛門いや伊左雄は、ただひたすらに石珂を愛していた。彼女とともに生き、そしてともに死ぬことだけを望んでいた。

冒頭で彼女にプロポーズし、承諾の言葉を得た彼自身がそう言ったのではなかったか。

ひとつの愛の成就から始まった物語なのに、なぜだかずっと不幸の予感が漂っていた。原作があるからというだけでない、ああもう、どうしたって悲劇になってしまうんじゃないか、と思わせる不穏な空気が物語を覆っている。

伊左雄をはじめとする登場人物たちの、恋というより執着と呼びたくなるような強過ぎる想いゆえだろうか。

ザワザワと背筋を震わすような悪い予感がしだいに現実のものとなっていくのが、いっそ小気味好いくらいであった。

終盤になって続けざまに悲劇が起きてしまうくだりは、呼吸をするのも忘れそうなくらいの緊迫感であった。

主演のお2人の切実かつ壮絶な愛情が、観終わった後も胸に残った。

15 Minutes Made Anniversary

15 Minutes Made Anniversary

Mrs.fictions

吉祥寺シアター(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

公演チラシの裏面や公式サイトに記載された上記の文章中に「予告でも試食でもない15分の可能性」というフレーズがある。

Mrs.fictionsが継続して主催してきた15分の短編で綴るショーケースイベント『15 minutes made』。観に行けば、まさに『予告でも試食でもない』独立した作品としての15分を堪能できるだろう。

加えて今回は10周年の記念公演とのこと。それにふさわしい素敵な団体が集まっている。

ね、もう、この顔ぶれだもの、どうしたって楽しいよね。15分の作品1つ観て帰っても満足できるヤツなのに、それを6本。キラッキラの約2時間。

美術やその他さまざまなスタッフワークも含め、アニバーサリーにふさわしい素敵な公演だった。

ネタバレBOX

『フランダースの負け犬』
昨年の柿喰う客フェスでも上演された中屋敷さんの初期の名作を大胆にリメイクし、キャスト4人上演時間15分というコンパクトな作品にまとめた。

左右に分かれて立つ七味さんと田中さんの語りで物語の背景や状況を伝えつつ、深谷さんと葉丸さんの2人のやり取りに焦点を絞って展開する。

15分の作品があらすじでも序章でもなくきちんと一つの物語となり得るという、この15mm自体の象徴のようなできばえとなっていた。え、前に観たバージョンより好きかも、という意見もチラホラ。ただ、短時間かつ少人数でまとめたため説明等でハイテンポの語りが続き、一部聞き取りにくい部分があったのが残念。

一方、コンパクトになったことで4人のキャラがくっきりと立ち上がった。

ハイヒールを履き背筋を伸ばした七味さんと、揃いの黒いマニキュアをした田中さんが、「権力」や「打算」を象徴する。

理不尽な運命の中で葉丸さんが見せた笑顔と震えた声、そして非情になりきれず深い葛藤を感じさせた深谷さんの演技が、鮮やかに残った。


『ハルマチスミレ』
目が潤むとか、そういうレベルでなく泣いた。しかもなぜだか回を重ねるごとにますます涙が出て来た。

昼と夜ですれ違ってしまう恋人たち。
謝りたいことと許したいことを抱えた友人同士。
夢を追う少女とその友だちのどこか甘やかな関係。

やってられっか!と叫ぶ少女らとそれを見守る少年たち。

大なわとびを高校生活に見立てて、なんて言ったら、ご覧になってない方には何のことかわからないだろう。実際に観てみれば一目瞭然なのだけれど。

ステージに落ちた細長い光が、縄跳びのなわになり、電話線になり、あるいは他の何かになる。

縄跳びの掛け声として散りばめられた言葉が、物語のリズムを刻んでいく。

カーテンコールのたびに、目を潤ませる彼女らにつられて客席もまた涙を拭く。若い人のがんばりに向けた感傷だけでない、表現として確かに胸に届く想いがあった。

パッと咲いて散る桜でなく、慎ましく美しい小さい、これから春を待つハルマチスミレ。

美しく生きていきたいなぁ。と叫ぶ少年。
ひとつのりこえるたびに、人は美しくなれるのです、という少女。

歳を経てもなお、そういう美しさの小さなかけらを大切に抱えていたいと、そんなふうに思うのだ。

この会場でこの枠組の中で上演された彼らの舞台。ある意味、公演全体を象徴する作品となっていたようにも感じられた。


『BBW』
台詞はほとんどなくJポップに乗せたダンスで展開するラブストーリー。

なんていってもまずは会場のノリノリ具合が楽しい。この団体のファンも大勢いらっしゃっているのだろう。ステージ上の彼らもよくわかっていて客席をあおる。

しかし、そういうライブめいた楽しさだけでない。

パフォーマンスとしてだけでなく、物語としての精度も高い。定型的なストーリーの中に登場人物の想いが生き生きと立ち上がる。

ヒロイン役のお二人が本当に可愛い。ダイエット後を演じる野田さんはもちろんだけれど、ダイエット前の役の原田さんも仕草や表情がむっちゃ可愛い。しかも動きがキレッキレである。

ヒロインだけでなく、今人さん率いる応援団。天使と悪魔、ケーキ屋のお二人、インストラクター。それぞれのキャラが印象的で楽しかった。


『ラスト・フィフティーン・ミニッツ』
重たい展開の物語を軽やかに笑いを多めに含ませながら、しかし切実に描く。

三歳の娘に向ける両親からのビデオレターは、まもなく爆発する宇宙船の中から送られるものだった。

愛する娘に言い残したいこと。

15分という限られた時間の中で、娘への説明として観客に状況を伝えつつ、2人の出逢いとここに至るまでの人生を描き出す、細密な脚本。それを軽やかに、チャーミングに立ち上げていく筒井さんと渡邊さん。

ほっぺについたカルボナーラ、いや、雪のひとひらを、彼女がぬぐう。冒頭から中盤、そしてラストへ引かれた伏線を回収する台詞がキレイに決まる。

チャーミングで切ない物語。あるいはここから2時間の物語が始まるのかもしれない、と思ったりもした。


『想いをひとつに』
何ごと?何なの?と思いながら、そうとう笑った。

原宿にやってきたオシャレに無縁の女の子たち、おしゃれ三銃士(?)、編集者たち、デザイナー、人間に一番近いゴリラ(??)、ガンジー(???)。

次々と繰り出される台詞やアイテムの脈絡のなさがホントに可笑しい。こういうのをいったいどうやって考えつくのだろう。

他の団体とのバランスもあってか、ウワサを聞いて予想していたより下ネタは少なめだったけれど、回を追う毎に人数が増えたり(他の団体のキャストが加わったりしていた)、なにげにバージョンアップしている辺りも可笑しすぎる。

ゆる〜くふざけているようで、実はいろいろ確信犯なんじゃないかと思ったりもする。

緊張感に満ちた作品が多かっただけに、ここにこの団体が加わるというのはいいバランスだったのだろうという気がした。


『私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし』
公演を観たあと友だちが、Mrs.fictions、印象変わったね、なんかあったのかなぁとつぶやいていた。

どうなんだろうなぁ。そういえば昨年の夏とか今回とか、以前とやや作風が変わっただろうか。そういえば時間の扱い方がとても印象的で、それがどちらもスゴく効いていた。

今回は、主人公が他の人々の縛られている世のことわりから逃れて自在に客席と関わったり、メタ発言をしたりする。その流れで指を鳴らすことで時間の経過を表したりするのだけれど、何度も指を鳴らしながら恋人を見守る主人公の表情を見れば、さまざまなことわりから自由になったとしても、人を想う気持ちはやはり消えずに胸に残るのだ。指を鳴らし続ける彼の表情は、思い返すだけで切なくなる。

それもまた生きてる者の思い描く希望に似た何かかもしれないけれど。

遺された人々の日々は確かに過ぎゆき、現実の暮らしが積み重ねられていく。それでも、その中で消えない想いはそれぞれの胸に形を変えつつ留まっているのだろう。

オバケのQ太郎をもじった登場人物のネーミング(久太郎、優子、おうじろう)など遊び心も相変わらずだけれど、なんていうか確かに変わってきているのかもしれない、と思った。

個々の人間のささやかな想いに寄り添いつつ、もう少し大きな、普遍的な何かがそこに感じられるような気がした。

4人のキャストがそれぞれに魅力的で、特にお父さんを演じた岡本篤さんがなんとも言えない味わいを醸し出していた。

懐かしいようで、でも確かにこれまで観たことのない物語がそこにあった。
【本日最終日!27日(日)13時と17時】我飯

【本日最終日!27日(日)13時と17時】我飯

劇団鹿殺し6年生企画

Geki地下Liberty(東京都)

2017/08/23 (水) ~ 2017/08/27 (日)公演終了

満足度★★★

ややドタバタ気味のゆるいコメディ、と途中までは思った。登場する人物が片っ端から一癖も二癖もあって、その奇妙な言動に笑っているうちに、事態は常軌を逸していく。

そうしているうちに、タイトルに込められた(複数の)意味がわかってきて、ニヤッとしたりもする。

危うい情熱と人間関係のバランス。アクションや外連味も加えつつ走り抜ける熱量が、なんとなく母体である鹿殺しを思わせる。

やや温かい印象のラスト……にたどり着きそうになったそのとき、ブラックな仕掛けが施されていたりもして、最後まで油断ならない物語であった。

ナイゲン(2017年版)

ナイゲン(2017年版)

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/08/11 (金) ~ 2017/08/21 (月)公演終了

満足度★★★★

『ナイゲン』については、2015年にアガリスクエンターテイメントによる最終公演を観た。

だから作品冒頭ではついそのバージョンのキャストや雰囲気が脳裏に浮かんだりした。しかし観ているうちに、目の前で進んでいく会議に没頭していった。

戯曲の完成度による部分もあるし、以前のイメージを裏切ろうとする演出の効果でもあろうし、今回のキャストの熱演による部分も大きいだろう。

内容は知ってるはずなのに、何度も笑った。

特に、海のYeah!!の破壊力や元気一杯の監査が印象的だった。

そして、最後に議長が「僕はこれがナイゲンだと思います」というのを聞いてグッときた。時代が変わりオトナが変わっても、彼らはきっと大丈夫、となんとなく思った。

そんなふうに思ってしまうくらい劇中の高校生に感情移入し、議論にのめり込んだのだろう。

また機会があれば観たい作品である。

瞬間光年

瞬間光年

FUKAIPRODUCE羽衣

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/08/18 (金) ~ 2017/09/05 (火)公演終了

満足度★★★★

ささやかな日常から飛翔し宇宙に向かう人の想い。積み重ねられる6つのエピソードがそれぞれ少し可笑しく少し切ない。

それぞれの暮らしの中のありふれた、あるいは本人にとっては深刻な出来事。すべてこの地上で起こってるはずなのに、何万光年の彼方へと想いは駆け巡る。

2人の宇宙飛行士の繰り返される会話が、それぞれのエピソードをつなぐ。

最後には、飛翔した想いが宇宙の果てまで行くようなダンス。

長い旅を終えたような物語の終わりに、客席でひとつ深く息を吐いた。

髑髏城の七人 Season鳥

髑髏城の七人 Season鳥

TBS/ヴィレッヂ/劇団☆新感線

IHIステージアラウンド東京(東京都)

2017/06/27 (火) ~ 2017/09/01 (金)公演終了

満足度★★★★

捨之介を阿部サダヲさんが演じる。

役の設定も衣装等もこれまでとは変えて、元忍びの捨之介として生き生きと走り回る姿はいかにもハマり役であった。

天魔王の森山未來さんと蘭の介の早乙女太一さんの華麗な殺陣や極楽太夫 松雪泰子さんの妖艶できっぷのいい極楽太夫も素敵だった。

個人的には粟根まことさんが演じた計算高い渡京と池田成志さん演じる贋鉄斎がお気に入りであった。

ふだん行き交う街から少し離れた劇場で毎日繰り広げられる物語は、ある種の祝祭めいて高揚感を誘う。

新機軸の箱に鉄板の物語を詰め込み、観客をたっぷり楽しませようとする気概が感じられる舞台だったと思う。

ルート64

ルート64

ハツビロコウ

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/08/05 (土) ~ 2017/08/11 (金)公演終了

満足度★★★★★

あの宗教組織による弁護士一家殺害事件をモチーフに、一見ロードムービーのようでいて、実はある種の閉塞感を描いていたように思える。

とにかく鐘下辰男氏による戯曲が面白い。4人それぞれが語る過去。教団での位置付け。修行。互いへ向ける感情の動き。

ヒリヒリする緊張感と行きつ戻りつする時間軸。4人の感情の動きに合わせて観客も揺さぶられ続ける。

舞台上で音響や照明を操作する演出も面白かった。

約2時間の芝居が終わって劇場を出る。濃密な空間から解き放たれて、思わず伸びをして深呼吸する。

駅までの道を急ぎながらも、ヒリヒリするような緊張感が心地よく肩のあたりに残っているような気がした。

ヨークシャーたちの空飛ぶ会議

ヨークシャーたちの空飛ぶ会議

公益社団法人日本劇団協議会

ザムザ阿佐谷(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

劇団扉座主宰 横内謙介氏の初期の戯曲を、同じく扉座の鈴木里沙さんが演出する舞台。

14時開演というのに、受付開始の13時にはすでに観客が列を作っていたらしい。演出の里沙さんが劇場前で人々を案内している。受付にも前説にも扉座の役者さんたちの姿が見える。

千秋楽ということもあって、ぎゅうぎゅう詰めの満席である。狭い空間にビッシリと詰め込まれて、90分ほどの舞台を観た。

「テーマ」を喰らい「無意味」さえ飲み込んで走り出した物語は、約30年前の戯曲の寓意を生かしつつ、時代に合わせたテンポのよさで疾走し続けた。

我々は自分自身を閉じ込める檻に気づかず生きているのか。ラストで飛び立った鳥はどこへ向かうのか。

込められたメッセージは、観る者によってさまざまなことを考えさせるだろう。若々しさと同時にある種の郷愁を感じさせる舞台であった。

3度目のカーテンコールに少し困ったような笑顔を見せた犬飼さんと、受付の横で帰っていく観客一人ひとりに頭を下げる里沙さんの生真面目な表情が印象に残った。

新宿コントレックスVol.17

新宿コントレックスVol.17

アガリスクエンターテイメント

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2017/07/28 (金) ~ 2017/07/29 (土)公演終了

満足度★★★★

4つの団体がご出演で、約2時間。コントって言ってもいろんな切り口あるなぁ、とか思いつつ、どの団体もたくさん笑わせていただいた。

ネタバレBOX

・壱劇屋
『島にまつわるコント』
その壱『VR島』
出演/丸山真輝、柏木明日香、河原岳史

その弐『局部が魚肉ソーセジ男』
出演/大熊隆太郎、柏木明日香

その参『バリの神話』
出演/大熊隆太郎、河原岳史、丸山真輝、他

島を題材にした3つの短編。以前拝見した作品はマイムなどの身体表現を駆使したスタイリッシュな印象だったが、今回はやや下ネタ多めの馬鹿馬鹿しくストレートなコントを並べた。

クスクス笑ったり、ちょっと呆れたりしつつ拝見。最後の『バリの神話』はもう理屈抜きで絵的に可笑しいヤツだった。

当パンに脚本や演出のクレジットがなかったのが少し残念。


・小西耕一ひとり芝居
『プレイガールエチュード』
脚本・出演/小西耕一

彼女が家に遊びに来たときの楽しげな会話がしだいに彼女の浮気について問い詰める方向に……と思ったら、実は彼女はまだ到着してなくて。

彼女が来たらどんなふうに話を進めようか、シミュレーションしているところだったらしい。

ひとり芝居ってことをうまく生かした構成だ。

浮気について問い詰めたいけど、惚れてるから彼女を怒らせたくない。やんわりと軽そうな口調で語る彼の想いや葛藤が伝わってきた。

コントというよりやはりひとり芝居だな、と思う。言葉尻やドタバタで笑わせるのではなく、人と人との関係の中の不器用さや切実さが、共感を交えた笑いを誘った。


・日本のラジオ
『コクミンノキュウジツ』
脚本・演出/屋代秀樹
出演/安東信助、田中渚、岡慎一郎

段ボール箱を運ぶだけの単純な仕事。あまり状況もわからないままこの仕事に携わることになった3人の男女。

奇妙な状況にあまり不信も抱かない浮世離れした彼らの会話の独特のテンポがまず笑いを誘う。成果や効率より作業すること自体に重きを置いているような業務内容もそれぞれ異なる報酬額も、裏がありそうで気になるけれど、答えは示されない。

何だかすごく怖いオチがありそうなそうでもないような、不思議な味の物語。


・アガリスクエンターテイメント
『詭弁三兄弟』
脚本・演出/冨坂友

出演/
『風鈴』:淺越岳人、榎並夕起

『浴衣』:甲田守、前田友里子

『スイカ割り』:鹿島ゆきこ、津和野諒

『賽の河原』:淺越岳人、甲田守、津和野諒、矢吹ジャンプ

当パンの団体紹介欄に「屁理屈シチュエーションコメディ」とあった、まさにその説明会どおりの作品。

よくもこんなにめんどくさいキャラを揃えたなぁ、と笑いながら思う。

まずは男女一対一の会話劇。どれもおかしかったけれど、好みなのは『浴衣』。彼が屁理屈を並べる理由がわかることとラストの微笑ましい感じがいい。

三兄弟と言われたので、ここで終わりかと思ったら(開演前に当パンを読んでなかったので)、その後にもう一つ。早死にしてしまった三兄弟と賽の河原の鬼とのやり取りは、なんとなく落語めいた印象。いくつもシーンを重ねて、お腹いっぱいの笑いとなっていた。
青ひげ公の城

青ひげ公の城

非シス人-Narcissist-

サンモールスタジオ(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★

2013年度に今回と同じ非シス人が上演した『青ひげ公の城』を観た後、図書館で借りて読んだ。

重層的な幻想と不条理めいた人物造形、そして何より印象に残るのは、詩的な言葉の連なりであった。

不条理演劇、魔術的リアリズム、などいくつかのキーワードが脳裏をよぎるけれど、たぶんそんなふうに名付けることにあまり意味はないのだろう。

以前観たとき、舞台監督と青ひげが表裏の関係なのではないか、と思ったが、今回はまた違うことを思った。

横井さん演じる衣装係の印象が強まって、幻想的な物語の向こうに、名前のない女優でも、七番目の妻でもユディットでもない、山本百合子の物語が確固たる輪郭を表す。

狭いアパートで兄と交わした言葉。街を行き交う人々に、それぞれの物語。

青ひげの城で繰り広げられる妖しく美しい人々の行いは、いなくなった照明係を探す少女の物語として再構築される。

第二の妻を演じた 葛たか喜代さんの凛々しく儚い中性的な佇まいが、物語の色合いをいっそう鮮やかに見せた。

物語がいつ始まりいつ終わるのか。どこまでが客席でどこからがステージなのか。虚構が現実を侵食するような仕掛けがふんだんに施された、観る者を安寧のうちから引き摺り出そうとするような、甘美な悪夢のような、そういう舞台。

もう一度、戯曲を読み返してみたくなった。

gaku-GAY-kai 2017 贋作・夏の夜の夢

gaku-GAY-kai 2017 贋作・夏の夜の夢

劇団フライングステージ

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/12/29 (金) ~ 2017/12/30 (土)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/12/30 (土) 14:00

第一部は劇、第二部はパフォーマンスでしたが、とても楽しい時間でした。第一部の劇は、大人気漫画をパロディ化してましたが、自分が大好きな漫画で、内容や登場人物も分かるせいか笑いのツボでした。第二部のパフォーマンスは、真剣さが感じられて感動してしまいました。人を楽しませることに長けた方々だと感じ、年の終わりに、とても楽しませて頂きました。笑って笑って楽しい気分になり大満足でした!

penalty killing

penalty killing

風琴工房

シアタートラム(東京都)

2017/07/14 (金) ~ 2017/07/23 (日)公演終了

満足度★★★★

2015年2月に上演された『PENALTY KILLING』の再演……というより、文字通りリミックス版といった方がいいだろう。

初演のザ・スズナリからシアタートラムに場所を移し、キャストも何人か入れ替えた……だけでなく、構成や台詞などもあちこち変わっていた。

舞台は、北関東の山中にある屋内アイスホッケー場。シアタートラムがアイスホッケーのリンクになる。ザ・スズナリのときの驚きと凝縮された空間も印象的だったが、今回は周囲の雰囲気も含めいっそうリアルなリンクが劇場中央に立ち現れていた。

そのステージの上で、実在する日本唯一のプロアイスホッケーチーム「日光アイスバックス」をモデルに、経営難による廃部の危機や地元のファンとの交流を交えつつ、プレーヤー一人ひとりの抱える想いを描き出していく。

スター選手の引退試合と、そこへ至るまでの日々を描きながら、試合の場面で一人ひとりにスポットライトをあて、その日、氷上立つまでの彼らの人生をモノローグを中心に見せる構成がまず面白い。

熱い舞台と書いたが、熱いのは勝ち敗けを競う熱狂だけじゃない。

その一瞬、その一打に込められた彼らの人生が、静かに熱い。

客席にもリピーターが多く、スポーツ観戦のように応援するチームのカラーを身につけたり、試合前の選手入場では拍手や鳴り物が観客席から響きわたったりもする。

構成の巧みさと敵チームも含めた多彩なキャストの持ち味が生きた魅力的な舞台だった。

一人ひとりの人生だけでなく、チームメイトに向けるライバル心も信頼も、もどかしさや照れ臭さも繊細に描かれて物語に深みを与える。

他の舞台で何度も拝見している役者さんたちが、いつもとは違うアスリートの顔で、ステージ……いや氷上に立つ。

その姿がいっそうスポーツ観戦に似た熱狂をもたらしていた。

スロウハイツの神様

スロウハイツの神様

演劇集団キャラメルボックス

サンシャイン劇場(東京都)

2017/07/05 (水) ~ 2017/07/16 (日)公演終了

満足度★★★★

人気作家に突然襲いかかったある出来事が、彼の人生に重くのしかかる。彼の愛読者が殺人ゲームを実行し多くの人を死なせてしまったという事件と、それに対しての彼のコメントが非難を呼んでしまったこと。

そんな彼が再びペンを手にすることができたのは、ある少女のおかげだった……。

10年後、物語の舞台はスロウハイツと名付けられたアパートに移る。

脚本家 赤羽環が所有することとなった建物をアパートに改築して、アーティストの卵たちに破格の条件で部屋を提供しているのだ。

スロウハイツで暮らす個性的な人々の少し不器用な優しさと、人と人との温かい繋がり。そして彼らの表現への情熱とこだわり。

ここに住む若いアーティストたちがそれぞれ魅力的だが、上下二巻の小説を約2時間の舞台にしたため、小説家 チヨダ・コーキと脚本家 赤羽環の関係を中心に描かれている。

環の人生も平穏なものではなかった。生きていくことは苦労も多いけれど、でも、素敵なことだってたくさんある。

たとえば、神様のように崇拝しているあの人が、人知れず彼女のことを見守っていてくれた。あの人にとっても、彼女は大切な人だった。

長年秘めてきた互いへの思い。

環の妹が語った姉妹のかつての出来事を、コーキの側から繰り返す場面が好きだ。さっき見えていたいくつもの景色が鮮やかに色を変えていく。

新たに塗り重ねられるのは、愛情という名の色合いだ。自分の作品を信じることで、自分を支えてくれた少女への。

互いに相手を幸せにしたいと、ただ純粋に思う。そういう関係が丁寧に描かれていて胸がキュンとなる。

ここで描かれる細やかな優しさはとてもこの劇団らしいという気がした。

スロウハイツの個性的な住人たちが織り成すじんわりと温かい物語。

プールサイドの砂とうた

プールサイドの砂とうた

くちびるの会

調布市せんがわ劇場(東京都)

2017/07/16 (日) ~ 2017/07/16 (日)公演終了

満足度★★★★

ある夏の日の出来事が少年の心に残した影。

男子高校生2人の会話から始まった物語は、過去の事件を巡って記憶と会話を重ね、時間を遡りつつ進んでいく。

小学校のプールで起きた事故。欺瞞。そして小さな真実。

家族、教師、友人、それぞれの立場や想いをかいくぐり、あの日何があったか思い出すことで少女のことを自分の中にとどめようとする。

少女の歌声が鮮やかによみがえる。

繊細に積み上げられた場面を彩る郷愁。夏の匂いの記憶が、この物語を自分にとってもどこか懐かしいものに感じさせた。

そでふりあうも

そでふりあうも

ブラシュカ

シアターブラッツ(東京都)

2017/07/12 (水) ~ 2017/07/17 (月)公演終了

満足度★★★★

舞台上には、白一色の美術や小物たち。

東京に憧れつつ、家族や恋人との制約の中、地元で働き事故で亡くなった姉と、東京で姉の夢だったパティシエの修業をする妹。

繊細な会話と緻密な構成による短い場面の積み重ねが時間の経過と人の想いを浮き上がらせる。

姉の同級生だった青年はシェフとしての腕を上げ、ミュージシャンを目指す若者は着実にヒットを生み出していき、映像作家のタマゴは作品が賞を取ったりもする。若者たちが夢に向かってもがく様子もやや甘やかに描かれていく。

それぞれの暮らしの中で繰り返される出逢いと別れ。

取り戻せない想いを割り切れないまま抱えていく人々の姿が胸にしみた。

家族百景

家族百景

七味の一味

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2017/07/14 (金) ~ 2017/07/17 (月)公演終了

満足度★★★★

『かかづらふ』
最初は、母の介護をする娘として七味さんが登場する。どうやら痴呆症であるらしい母親を施設に送り出すまでの朝の風景だ。母を起こし、着替えさせ、食事をさせ……。

気がつくとまた同じこと光景が繰り広げられる。繰り返される会話と行動。しかしそれが少しずつ歪んでいく。困窮していく暮らし。母の病状。追い詰められていく彼女。

そして……。

悲劇的な結末のあと時間が巻き戻され、しかし今度は母親の側から同じ場面が綴られていく。もう一方のパートが描かれることで、娘が追い詰められていった訳も理解できてくる。

ときに自分自身を失い、ときに取り戻し、痴呆の進行とともに母親の苦しみが深まっていく。

身につまされる重い題材、印象的な構成、そしてそれを体当たりで演じる七味さんの気迫。

観終わってすぐには言葉も出ない、しばしただ余韻を噛みしめるような、そういう作品だった。

『家族百景』
こちらは打って変わって大人数の舞台だ。

家族の思い出が詰まった家が、明日取り壊される。すでに独立して別々に暮らしている子どもたち孫たちも、今夜はこの家に集まって名残を惜しんでいる。

そんな中、古い写真が出てきたのをきっかけに、思い出話が始まって……。

祖母と祖父の出会いから語られる家族の歴史は、破天荒なエピソードも挟みつつ、それぞれの想いを丁寧に綴っていく。場面によって演じる人変わりつつ、その役柄以外の時も皆が舞台を見守っている。

誇張された破天荒なエピソードもあれば、じんわりと優しい思い出もある。

現在の家族の形も絡めつつ、家族のそれぞれのお互いへの想いが細やかに描かれていた。

期待を裏切らないクォリティの2本立て。身につまされる重い題材を印象的な構成で描く『かかづらふ』と家族の歴史を破天荒な笑いと細やかな愛情で綴った『家族百景』。

どちらも家族の物語であったが、2本の印象がこんなに違うなんて予想外だった。どちらを先に観るかで印象も変わってくるだろう。

何より一方を演じ、もう一方を演出する七味さんのエネルギーに驚かされた。

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