満足度★★★★
2015年2月に上演された『PENALTY KILLING』の再演……というより、文字通りリミックス版といった方がいいだろう。
初演のザ・スズナリからシアタートラムに場所を移し、キャストも何人か入れ替えた……だけでなく、構成や台詞などもあちこち変わっていた。
舞台は、北関東の山中にある屋内アイスホッケー場。シアタートラムがアイスホッケーのリンクになる。ザ・スズナリのときの驚きと凝縮された空間も印象的だったが、今回は周囲の雰囲気も含めいっそうリアルなリンクが劇場中央に立ち現れていた。
そのステージの上で、実在する日本唯一のプロアイスホッケーチーム「日光アイスバックス」をモデルに、経営難による廃部の危機や地元のファンとの交流を交えつつ、プレーヤー一人ひとりの抱える想いを描き出していく。
スター選手の引退試合と、そこへ至るまでの日々を描きながら、試合の場面で一人ひとりにスポットライトをあて、その日、氷上立つまでの彼らの人生をモノローグを中心に見せる構成がまず面白い。
熱い舞台と書いたが、熱いのは勝ち敗けを競う熱狂だけじゃない。
その一瞬、その一打に込められた彼らの人生が、静かに熱い。
客席にもリピーターが多く、スポーツ観戦のように応援するチームのカラーを身につけたり、試合前の選手入場では拍手や鳴り物が観客席から響きわたったりもする。
構成の巧みさと敵チームも含めた多彩なキャストの持ち味が生きた魅力的な舞台だった。
一人ひとりの人生だけでなく、チームメイトに向けるライバル心も信頼も、もどかしさや照れ臭さも繊細に描かれて物語に深みを与える。
他の舞台で何度も拝見している役者さんたちが、いつもとは違うアスリートの顔で、ステージ……いや氷上に立つ。
その姿がいっそうスポーツ観戦に似た熱狂をもたらしていた。