満足度★★★
天使長ラファエル様が、まだ駆け出しだった頃のお話……と言われると、しゅうくりー夢ファンとしてはそれだけでちょっと楽しみ度が増す。
しゅうくりー夢では、これまでに「死期の近いた人間(または急逝した人間)にしか見えない天使」の登場するいくつかの作品があったから、そしてそこに登場した天使長様がとてもキュートだったからだ。
駆け出し天使(だった頃の)ラファエルの今回のお仕事は、ある女の子の願いを叶えること。もちろん(?)その子はまもなくこの世を去るのだ。そんなラファエルの説明を、彼氏からのサプライズだと思い込んだヒロイン音無真代は、可愛くて一途な、いやちよっと一途過ぎるくらいの女の子だった……。
タイトルやあらすじからロマンチックなラブストーリーを想像するけれど。
真代の恋人須藤海斗は本当に優しいけれど、ちょっと、いや相当にチャラいし、海斗の親友 遊馬は友だちへの誠実さだけでなく別の想いをも隠しているし、ヒロインの真代だって、とっても可愛いし健気だけれど、ちょっとめんどくさいタイプだったりもして、なかなかロマンチックにはなれなかったりもする。
でも、そういう一筋縄ではいかない面々がそれぞれに魅力的で観ていて楽しかった。
真代や海斗や遊馬だけでなく、元気な女の子たちや合コンで出会う男の子たち、それぞれの恋やその他の(?)想いもまた丁重に描かれる。
恋人同士が、それぞれ「自分はまもなく死ぬ」と思った時の反応や対応の違い。そして、天使や堕天使(!?)や、一筋縄ではいかないけれどそれぞれに切実ないくつもの想いが描かれて、この劇団らしい笑って泣けるハートウォーミングな物語となっていた。