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浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版

浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版

東京アンテナコンテナ

六行会ホール(東京都)

2019/10/23 (水) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

始まると同時に顔がほころんでしまう即効性と安定感抜群のジャパニーズ喜劇!
この土着的ともいえる面白さって、日本人に生まれてホント良かった。
劇中劇のアクション付き大衆演劇もしっかり楽しめました。

とにかく役者さん全員が息ピッタリなのには感心しましたが、全方位から放たれるボケに絶妙なツッコミで返しまくる下平ヒロシさんの職人技。
流行の霜降り明星さんのツッコミも面白いですが、熟成スパイシーな下平さんのツッコミがもう逐一面白く、とりわけイジリー&下平さんのコンビネーションは鉄板にて最強。
スペシャルゲスト神谷明さんのサービスもラッキーな感じで、プラスワンのお得感頂きました。

タイトルにある「奇妙な住民達」とはそういう事だったのですね。
そのヒントがホラーコメディーってわけか・・・ナルホド、全然怖くなかったけど超可笑しかったです。

ラヴズ・レイバーズ・ロスト ―恋の骨折り損―

ラヴズ・レイバーズ・ロスト ―恋の骨折り損―

東宝

シアタークリエ(東京都)

2019/10/01 (火) ~ 2019/10/25 (金)公演終了

満足度★★★

会場は若い人が主体だがお年寄りも多い、男性も2~3割はいるようだ。俳優さんはいろいろなジャンル(TV、映画、声優、ミュージカル、元宝塚、アイドル)の若い方が多いのでファンが来ているのだろう。飛び交う会話を聞いていると3回、4回のリピーターが若い人に沢山いるようで驚く。年配の方はシェークスピアだからということなのか。

皆さん歌はまあまあ上手いのだが好き勝手に歌うので調子がバラバラで聴いていて疲れてしまった。それ以外は良く出来たステージだと思うが、特に惹かれる所もなくいつの間にか終わっていた。

何も残らなかったので、観劇後に松岡和子「深読みシェイクスピア」を開いてみた。そこで紹介されている9編は「ハムレット」を初めとするいずれも人気作であるのだが、何故かそこに不人気作と言われる「恋の骨折り損」が紛れ込んでいるのである。この本の内容で私が興味を持った部分をまとめると以下のようになる。

このナヴァール国というのは現在のフランスとスペインの国境付近に当時実在した王国でその王がフランス王になったのがアンリ4世(在位1589-1610)である(彼が出したナントの勅令(1598)はカトリックとプロテスタントの戦いに一応の終止符を打ったことで有名)。アカデミーを作ったのも事実。フランス王女マルグリッドと結婚もしている。その後離婚してからマルグリッドが持参金の精算に王のところを訪問したことが冒頭の話の原型らしい。4人の男が無意味な厳しい誓約をするのは王が宗旨替えを繰り返したことへの含みがあるのかもしれない。当時流行ったクリストファー・マーロウの戯曲「パリの大虐殺」にはナヴァール王とその敵デュメイン公爵が出てくる。他の側近も実在の敵味方の人物の名前を借用している。ちなみに奇妙なスペイン人アーマードとは無敵艦隊(アルマダ)を揶揄するもの(アルマダの海戦でイングランド軍が勝利したのは1588年)。1595年頃に書かれた「恋の骨折り損」もカトリックとプロテスタントの争いの時代の話なのであるがそういう話は一切出てこない。

ヒット演劇に便乗して当時の有名人をからかったのだろうか。何百年も後から観るとなんじゃこりゃになるのは自然なことだと納得することにした。

『パンパンじゃもの、花じゃもの』

『パンパンじゃもの、花じゃもの』

劇団天然ポリエステル

小劇場B1(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2019/10/19 (土) 16:00

価格3,300円

諸事情鑑み髪編のみ観劇。
元華族のお嬢様が闇市でのピンチから救ってくれた街娼グループの仲間に入れてもらい……な物語。
全体の雰囲気は昭和30年代の日活映画で、気っ風の良い姐さんがいたり裏切りがあったりするのは女性版任侠もの、登場人物や傍系エピソードを増やし悲劇的にすれば椿組の花園神社野外劇、両家の子女が新しい生き方を見つけるのは風と共に去りぬだし、落語の人情噺的なところもあるか?と、いろんな要素を見出しつつ楽しむ。

ちなみに匕首、拳銃、ヤクザの親分などが登場することから序盤で悲劇の香りを嗅ぎ取ったのは椿組からの連想であり、結果は杞憂に終わって胸を撫で下ろす。(笑)

僕にまほうをかけろ魔女

僕にまほうをかけろ魔女

札幌ハムプロジェクト

こった創作空間(東京都)

2019/10/25 (金) ~ 2019/10/26 (土)公演終了

満足度★★★★

劇団の温かさが伝わってくる芝居でした。全国縦断して、こんなにエネルギーをもらえる芝居を展開していることにエールを送りたいです。

ネタバレBOX

テンポがとてもよく、ぐいぐいと引き付けられっぱなしでした。声がよく透り観ていて清々しくなりました。話の展開は単純ではなく面白いのですが、現実の話と魔女の話が交差して、私自身、詳細を理解するのに難しくなりました。舞台のアイデアがいい感じでした。すごく印象に残りました。『僕』にまほうをかけろ魔女というタイトルですが、『僕』はだれだったのか。気になって少し考えてしまいました。
凜として

凜として

東京ストーリーテラー

d-倉庫(東京都)

2019/10/24 (木) ~ 2019/10/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

そこんとこよろしく、で見えた明るい未來。それ以来のストーリーテラーさんでした。戦争の残虐さや原爆の恐ろしさを舞台で表現する作品は多いのですが、今日は常に人間性を忘れず前向きにいきぬきたいと思わずにいられない作品でした。また明日への糧になります。ありがとう。作品を作り上げた全ての方々に、そしてお二人の母にも似た女性に感謝します。

ナイゲン 暴力団版

ナイゲン 暴力団版

日本のラジオ

インディペンデントシアターOji(東京都)

2019/10/23 (水) ~ 2019/10/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

迫力ありました。

ネタバレBOX

藤道会の指示により内藤ゲンシロウを傘下のどの組が殺すかを決める空蝉組内での会議の様子を描いた話。

子供のために足を洗おうと考えていた男が会議に参加していた藤堂会の幹部を殺し、藤道会との抗争の道を選択してしまいました。空蝉組を離れる組も多数あり、命の懸かったやくざの世界では全員一致という訳にはいきませんでした。

また、全員が堅気になる決意をするといった方向に進んだら凄いなと思っていましたが、そんなことはありませんでした。
SORIN THE INNOCENT LORD

SORIN THE INNOCENT LORD

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

毎回泣き過ぎて頭痛くなるほど素敵な作品ばかりなので、今回も楽しみにしてました!強いメッセージとしっかりしたコンセプトのもとたくさんの愛に溢れるとてもあたたかい作品でした(^^)戦国時代の話で分かるかな?と不安はありましたがこれを期に歴女になりそうなほどわかりやすく表現されてました◎また観に行きます♪

『花と爆弾~恋と革命の伝説~』

『花と爆弾~恋と革命の伝説~』

劇団匂組

OFF OFFシアター(東京都)

2019/10/23 (水) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

この辺の事件に詳しい訳ではないので、上手にシーン毎に貼り替えられる半紙に書かれた年代や季節、場所などの情報は有り難かった。この舞台での岩野未知のスガはとても魅力的だが、これを観ると、回りに現れた男たちは何だかもう、こちらが彼女に謝りたくなってくる。

ネタバレBOX

開演まで流れていた音源、ピッチが少し遅くて気持ち悪いというか、ずっと落ち着けなかったのだけど、あれってわざと?
~崩壊シリーズ~「派」

~崩壊シリーズ~「派」

エイベックス・エンタテインメント / シーエイティプロデュース

俳優座劇場(東京都)

2019/10/18 (金) ~ 2019/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★★

あまりにも素晴らし過ぎた。

まじめな隣人

まじめな隣人

BASEプロデュース

BAR BASE(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/24 (木)公演終了

満足度★★★★

あーハリウッド映画的なストーリーね、って思いがちで、シュアルズネッカーとかウィルスミスとか出てるやつ……
だけど、いまコレを日本で、BASEで観ると、恐怖を感じるし、近未来!?感がある。

ハハハ面白かったね、では終われない作品だった。

ふるあめりかに袖はぬらさじ

ふるあめりかに袖はぬらさじ

博多座

博多座(福岡県)

2019/10/18 (金) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★

コメディタッチが多いお園ですが、
ラストは、攘夷でゆれる表舞台のかげに生きるお園の言葉が響くシーンでした。

ネタバレBOX

佐藤B作さん演じる岩亀楼主人があのセリフを、笑いです。
治天ノ君

治天ノ君

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2019/10/03 (木) ~ 2019/10/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/10/11 (金)

回を重ねるごとになにか心に響くものも変わっているのが分かる。
きっと自分自身も変わってきているのだろうと感じられることも良かった。ぜひまた3年後くらいにに同じメンバーで上演して欲しい。

mark(X)infinity:まーくえっくすいんふぃにてぃ

mark(X)infinity:まーくえっくすいんふぃにてぃ

劇団鋼鉄村松

コフレリオ 新宿シアター(東京都)

2019/10/23 (水) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★

ナンセンスコメディかと思って観ていたら、その世界観というか宇宙観に魅せられた。表層の滑稽さ、しかしそれに止まらず、いつの間にか人との出会いと別れといった充足感ある物語に変わっていく。それが心地良いテンポで紡がれるから堪らない。
2016年黄金のコメディフェスティバルにおいて最優秀脚本賞、最優秀演出賞、観客賞、そして最優秀作品賞etc.を受賞した「mark(X):まーくえっくす」をベースに新たなるSFパラレル・ディストピア・ラブコメディ!...という説明通り、素直に面白いと思える公演。
(上演時間2時間)

ネタバレBOX

舞台セットは色違いの枠があるだけのシンプルなもの。パワレルワールド、異星といった世界観・宇宙観を表現するため固定したセットは作らない。このイメージは ドラえもん のどこでもドアを連想させる。設定は時空間だけではなく、異星も絡んだ壮大なものだが、それは荒唐滑稽を表現するためのもの。枠はもちろん時々持ち込まれる銀パネルは時空間の歪み、または裂け目を表すが、その仮想というか非現実性の世界を手動で動かすという奇知の面白さ。

梗概は説明の通り...キャッシュカードを失くし、バイトに行く電車賃も無い主人公・ひろゆきは開き直ってバイトをさぼり徹夜でアニメを見ていた。ひろゆきの前に突然空間を割って美少女が現れる。名前はエプシィ(悪支配の四天王の1人)。この世界を支配、管理するために平行宇宙からやって来た、というもの。仮想なのか妄想なのか、その混沌とした世界観がいつの間にか現実を揶揄するような面白さに変わる。悪の支配というディストピア...無為のような暮らしぶりの ひろゆき にとって管理社会は適していると…。管理社会は、強制的に何かをしなければならず、不自由であるが行動はさせる。まさしく、冒頭の ひろゆき の生活態度に対する皮肉である。

枠を潜るという簡単な動作で世界観を変え、衣装やメイクという外見で現実世界との違いを演出する巧さ。また個性豊かというか特異な人物?キャラを立ち上げ、その関係性を次々に展開させ観客の意識を逸らせない。いつの間にか恋愛であり親愛者がパラレルに連なり出会いを連想させる。邪悪な世界があれば、逆に正義の社会も存在する。その合わせ鏡のような人物・フリーダムVとエプシィが仕える悪の総統の対決が笑える。外見・容姿も含め全てを観(魅)せるに注ぎ感心させられる。またエプシィを演じた小山まりあサンの怪演がこの世界...公演を支配していると言っていいほどの演技だ。

パラレルワールドであるからどこかで見たことがあるような、その既視感が物語の肝になっている。人は出会いがあれば別れもある。時空間移動はそんなセンチメンタルな思いを簡単に乗り越えていく機知があると思うが…それでも公演の終盤は惜別といった寂しさが少し漂う。
ちなみに冒頭、常識的な暮らしを説いていた鈴木君、いつまで経ってもMARKⅠ、MARAⅡ・・・MARK(x)にもなれず仲間外れのような。劇的に笑いをとると承知しつつも、世界観が異なれば常識・非常識といった概念も異なる、そんな意味深さを感じさせる公演であった。
次回公演も楽しみにしております。

ダウト

ダウト

ダウトを上演する会

小劇場B1(東京都)

2019/10/23 (水) ~ 2019/10/29 (火)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2019/10/24 (木) 21:00

座席F列10番

難しい脚本ですね。役者の方々も、どのような解釈で演じるのか、役作りが極めて難しかっただろうと推察いたします。特に、校長(シスター・アロイシス)が最後に発するセリフは、この舞台の集大成ともいえるもので、どのような意味で、心情で発するのかについて、演じた眞野あずささんと演出の大間知靖子さんとの間で、どのようなやり取りがあったのか興味あるところです。

 舞台では2つのフリン神父の説教が挟まれます。冒頭では「確信と疑いがいかに人間同士の絆になるか」中盤には「噂というものが、いかに罪深い行為か」という説教。前者はこの物語に通底する信仰と疑惑との類似と相違を示唆し、後者は不寛容であることがいかに取り返しのつかない事態を及ぼすか(神父のしんじょうを代弁する意味で)を提示してくれます。

 私は当初、校長と神父の激烈な議論でラストを迎える、ある種法廷劇のような展開を予想していました。
話の展開がうまいなあ、と思ったのが、物語の進行にともない、おそらく観客の大半にどんどん開明的で優しさに溢れる神父に肩入れをさせていくという展開です。それを促進するのは、シスター・ジェイムズであり、黒人生徒の母であり、そして何よりも頑なで不寛容な校長の態度です。そして、観客は神父の抵抗、逆襲を心待ちにするのですが、、、、

ネタバレBOX

そんな場面は、現れそうで現れないままに、物語は終わります。校長のたった1つの嘘によって、脆くも神父の緊張は弛緩してしまうのです。まあ、解釈の多様性は認められるべきですし、役者と演出家の解釈によって、いかようにも観客の受け取り方は変容します。
 フリン神父の不適切な行為はあったのか、それとも、争いをこれ以上避けるために自ら去ったのか。(日本人的な感覚だと、どうしても火のないところに噂は立たない、というところがありますから、それを避けるという点で身を引くといった解釈は身近なものではあります。)
 私は、校長の最後のセリフ「疑いが」は、校長が過去に犯した過ちに対する他者の視線への恐れではないかとも思えたのでした。彼女は、フリン神父への疑いを確信としましたが、同じようなケースで、自らはどういう態度に出るのか、そのことを想像するだけで慄きを禁じえなかったのではないでしょうか。
「隣の家-THE NEIGHBOURS」 「屠殺人 ブッチャー」

「隣の家-THE NEIGHBOURS」 「屠殺人 ブッチャー」

名取事務所

「劇」小劇場(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

カナダの作家ビヨンの2作品公演。初演を見逃した『屠殺人ブッチャー』を数ヶ月前から今かと待ち続け、観劇日を迎えた。2年前に同じ「劇」小劇場で上演された同じ扇田拓也演出による『エレファント・ソング』も同じ作者。今回の一方の作品『隣の家』は名取事務所への書き下ろしという。
再演ではキャストが2名変わり、ついその事を意識して観てしまう。男性3名と女性1名の4人芝居。女役は初演が森尾舞(今回「隣の家」に出演)の所、渋谷はるか(中々見合う人選だ)。若い弁護士役も名取事務所の常連・佐川和正の所、西山聖了。演出者も初演の小笠原響は今回「隣の家」演出のため、代わって『エレファント・ソング』を演出した扇田拓也が当った。
という事で、果たしてどんな違いが・・と言っても初演は観ていないので想像しながらであったが、最終的にはそんな事は忘れた。上演前半で各所に残した違和感は全て回収され、この架空の国をめぐる実しやかなドラマをリアルに想像させられた。
久々に舞台で観た渋谷はるかはやはり印象に残る演技者。

ネタバレBOX

謎解きの面白さも然る事ながら、究極、復讐というものをどう考えるかを迫られる劇。
近代以降の国民国家では、国民は国家権力を唯一の暴力装置として承認し、仇討ちの権利は返上した。銃刀を所持することは禁じられ、ある無法な所行がどのような罰則に値するかを決定するのは国家であり、加害者を罪人と認定し、刑罰を下すのも国家である(民主国家は民意によって実定法の改廃は出来ても権力装置の本質を変えるのは困難)。国家の秩序維持のための方法は、加害行為に応報する効果は第一義でないのに国民国家の「常識」として受容されている訳だ。果たしてそれは正しいあり方なのだろうか・・。
芝居では、ある国で起きた内戦で一方が収容所を作り民族蹂躙の陰惨な手法を実践し、紛争終結後に逃亡した将校の最後の一人が、対立民族側の追跡組織につかまり、制裁を加える場面が後半展開する。
必殺仕事人は必要であったという話なわけだが、現実起こった事として女がそれを語るとき、泣き寝入りさせられたあらゆる「被害」に対しもう一つの選択肢について考える事を促される気がする。
女は自らが体験した悲惨な出来事ゆえに、加害者に対する感情を切り離す事はできないが、組織の一員として正義が行われる事への信念を貫いている形象があった。
過去の自分(少女)を見つめ、己の今の在り方を検証するかのような終幕の構図は、「解決」の甘味な後味を遠ざけ、秘かに問いを残した。
ビニールの城

ビニールの城

劇団唐組

下北沢特設紅テント 本多劇場グループ テント企画 (仮称)下北沢交番横小田急線跡地 (東京都)

2019/10/18 (金) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

「不評」投稿が続いたが、これは手放しの賛辞。下北沢の空き地にテント初進出の巻。ネタバレになるが(凡そ想像される事だが)屋台崩しの真正面は新しくなった小田急及び京王の駅舎のネオン。夜の灯りを見せるラストと言えば我が初観劇新宿梁山泊「青き美しきアジア」の都庁ビルの窓明かり(25年前)を思い出す(実際その後このパターンは無く、上記観劇の衝撃を思い出した瞬間だった。
「ビニールの城」は一風変わった屈折した者同士の恋愛ストーリーで主役は男女とも一人ずつ、判りやすい。初演は第七病棟で石橋蓮司と緑魔子がこれをやったのかと思いながら、「復活!」したらしい稲荷氏とお馴染み藤井由紀の掛け合いを眺めた。唐組俳優を初めて観たオフィスコットーネ『密会』、その異常性人格を本物かと疑うリアルさで演じて以来の主役・稲荷卓央。彼不在でこの演目はやれなかったのではないか・・とさえ。
予約して訪れたが立見。しかし疲れを忘れて、目が望遠機能を持ったかのような錯覚に陥りながら役者の身体に釘づけであった。この心地よさは何だろうか。

パーマ屋スミレ

パーマ屋スミレ

よこはま壱座

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2019/10/18 (金) ~ 2019/10/20 (日)公演終了

満足度★★★★

TAK in KAATという地元劇団枠に、アマ劇団での上演をあまり聞かない鄭義信作品が登場。どう料理されるのか興味が湧いた。
戯曲に書かれたある状況での感情の迸りを精一杯演じ、見せ場をクリアしていた。が、限界のようなものも感じる。一つは戯曲そのものについて。鄭の在日三部作の一つとされるが『焼肉ドラゴン』も含め辛酸を舐めた先人と後の世代への継承の風景が美しく描かれる。素材は在日社会でも、ドラマには普遍性がある、悪く言えば一般的なのだ。笑いを必ず忍ばせる鄭氏だがこの「笑い」は共有される苦しみ悲しみが深いほど生きて来る。ただし苦しみがそこそこ程度でも笑いは成立するように書かれている。水面下の苦しみ怒り哀しみ辛さ、理不尽な思い、絶望・・鄭氏はそこに光を当てる事に拘泥しないが、台詞以前の人物の存在そのものから滲み出るものがリアルの、引いては笑いの土台になる。要は「難しい」戯曲には違いないのである。
例えば民族文化を負った在日らしさ、制度的な限界、そこから来る諦観、人生観、炭鉱という環境、経済成長という時代感覚のリアルが、掘り下げられれば掘り下げられるほどに情感が満ちて来る。芝居として一応成立するラインから、その先の厚みをもたらす伸びしろが長いタイプの作品という事になるか。

今回のよこはま壱座の舞台は、しっかりした美しいセットと役者の頑張りで(役年齢とのギャップに慣れるのに時間を要したものの)戯曲が求めるものをクリアし、胸を突く瞬間もあったが観終えてみるとやはり「その先」を求めている自分を見出す。特にラストに掛けては(終わり良ければというように)ドラマ=人々の人生が集約されていく、あるいは俯瞰される地点に連れて行く何らかの作り方が見たかった。
部分的な難点を挙げればきりがないが、例えばKAATの特徴だが袖幕がなく役者がはけるのに時間を要し、しかも隠れる場所が見切れ、ラストで引いていくリヤカーは上段の上手奥へとはけるが、奥には行けないらしくそのまま置かれて見えてしまっていたり、土の道をカーブして舞台となる床屋が平場に立っているが床が黒の板張りで床そのものに見えて興醒めだったり。また初日のせいか下手袖の裏から声や物の接触音がクリアに聞こえたり・・。演技面も結構できているだけに、ニュアンスを捉え損ねた物言いが一つ挟まれるだけでも素に戻りそうになる。寸分も気を抜けない芝居である。
この演目に挑戦しここまでのレベルに到達した事に敬意を表するが、この芝居をやる以上はもう一つ上に行きたかったというのも正直な感想。

浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版

浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版

東京アンテナコンテナ

六行会ホール(東京都)

2019/10/23 (水) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

 下平さんの筆の冴えを見せつけられる思いのする公演だ、東京アンテナコンテナは無論、喜劇を上演する劇団だが、そのベースに人情噺を上手に埋め込むと、こんなにも深い、情趣に満ちた作品になるのか!? と感心することしきりであった。無論、役者陣の演技、演出、イジリーさんのアドリブ、下平さんとの掛け合い、筋運びの妙等々、見所満載だ。(追記後送)

地にありて静かに

地にありて静かに

劇団文化座

シアターX(東京都)

2019/10/17 (木) ~ 2019/10/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2019/10/22 (火) 14:00

座席B列10番

アフタートークを終え、玄関横でパンフレットを購入。帰りの電車の中で読み進めるが、これはちょっと残念。この作品の舞台が、アーミッシュという集団であり、その宗教的な特殊性や風俗などには強い関心が払われるのは当然だし、そのドラマもアーミッシュであることに起因することからすれば、必然的にアーミッシュ理解に地歩が置かれてしかるべきだろう。しかし、所狭しとアーミッシュの平和主義や伝統重視の生活様式に、教訓を求める文書が出てくるのは、正直辟易させられる。(求めたい人は、そうすればよいが)
このドラマは、「アーミッシュであっても」というサジェスチョンが付く限りに留まるべきで、実のところ、描かれているのは親子の確執、夫婦の愛情、世代間対立、伝統と革新、戦争の不条理、文明の進歩、グローバル化といった普遍的なテーマである。
アン・チスレットが、アーミッシュの村落に足しげく通い、その集団を題材にした物語を書いたのも、自分の描きたかったものを底から見つけ出したにすぎない、という見方は間違っているだろうか。

さて、舞台は休憩含む2時間40分。第一幕は主人公ヨックが父親との対立の果てに自宅を出て戦争に向かうまで、この第一幕では、ヨックの人間関係からアーミシュの生活様式、慣習、信仰の内容までが丁寧に描かれており、第二幕での親子の邂逅、元恋人との再会などの山場にうまく繋げている。時間の長さを一切感じさせない、きめ細かい作りだ。
舞台を引っ張っていくのは、長老役の津田二朗と、司祭役の米山実のご両人。司祭にとって、アーミッシュとして生きていく頑なさとは信念でもあり、自分の生を全うする原動力でもある。一見柔和に見える長老も、強い意志を持って村を守っていこうとし、司祭の苦悩に寄り添うだけの度量を持っている。ヨックの苦悩と挫折が色濃い物語だが、真の主役はこの二人と言っても過言ではないだろう。舞台はこの両家の内部と周辺をもって描かれている。
過不足のない、意外とスマートな舞台、飽きることなく、そして深く感動した。
他では、戦争で息子が足をなくして酒浸りになる父親役(アーミッシュではない)の藤原章寛がよい。最初の登場シーンから醸し出される、アーミッシュへの理解や共存意識が、あそこまで捻じれてしまう姿は見ていて哀れを誘う。

なお、亡くなったヨックの母親サラは、同劇団の団員、長束直子さんをイメージして皆演じていたそうです。(アフタートークより)

ノート

ノート

ティーファクトリー

吉祥寺シアター(東京都)

2019/10/24 (木) ~ 2019/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★

弁護士一家殺人事件や地下鉄サリン事件等、あの歴史的にも最悪の大事件。
主人公は、このどちらにも直接関わった犯罪者であり死刑囚。
この主人公を如何にも悪人顔の方ではなく、むしろ優し気で繊細な印象を受ける役者さんが演じており(おそらく実在の人物を特定していないのでしょう)これは既存の先入観や作品全体のイメージに独特の影響を与えていたと思います。

その当時の記憶を辿る精神的なところがメインに描かれ、何故に彼等はこんなにも凶暴で大それた行動をとってしまったのか、決して一般人とかけ離れた境遇でも性格でもないのに。
心の中にぽっかり空いた穴をとんでもない「教え」で占領されてしまった人のコトバが折り重なり、当時読んだ記事やテレビの映像をだぶらせながら見入っていました。
どこかアノ教団とはまた違った世界のような雰囲気も感じます。
照明もセットのひとつであるかのよう、舞台の表情を様々に変化させていました。

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