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パンデミック・パニック

パンデミック・パニック

Nakatsuru Boulevard Tokyo

APOCシアター(東京都)

2020/07/04 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

ライブ配信だが久々にガッツリ2時間の濃い芝居を観た。
中津留氏らしい本と演技(役者への演出)。本は新型コロナを題材に、小さな商社とそこで働く人々が登場する話であったが、重要な問題を掴まえドラマ化する筆力にやはり感心。ただ、幾つかある笑わせどころで、さすがに観客不在はきついが、それでも書いてしまうのは作者の願望なのに違いない。(画面のこちらで視聴者は反応した事だろうが、通常なら必ず起こっただろう「ざわ」という笑いが欠けている・・私はスタッフが笑っても良いと思う・・しかし作者はそういう場面を書かずにおれないのだろう。)
上演は劇場を使い、配信はリアルタイム、従って役者全員が全ステージ通常公演のように出演する。映像は複数のカメラで場面の風景・役者を追う。その分、正面から見てわかる立ち位置などは判りにくくなるが、カメラの寄り方やスイッチのタイミング等は日によって異なるとか(今回はカメラというスタッフワークが加わった訳だ)。
12日夜の千秋楽を観たが、翌日から一週間アーカイブ配信(上演順に各ステージを1日ずつ)を行うとの事。

「キズツクキカイ」「お湯で流して」

「キズツクキカイ」「お湯で流して」

たすいち

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2020/07/11 (土) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/12 (日) 20:00

価格4,800円

『キズツクキカイ』12日20時開演回(108分)を拝見。

ネタバレBOX

6年前の初演のイメージが鮮烈で
ザムザ阿佐谷より狭い舞台
永渕沙弥さん・真嶋一歌さん以外は一新されたキャスト
に不安を抱えながらの観劇だったが…
初演と遜色のない出来映えに貢献した演技陣、とりわけ、竹内なつきさんの頑張りに感銘を受けた。

それにしても、上演中、演じている役者さんに、ふと6年前の役者さんの顔が重なったり・重ならなかったり…初めて観た、たすいちさんの舞台、もう二度と観る機会はないのかな?と半ば諦めかけていただけに、時を超え、更に磨かれた形で再会できたのは望外の喜びだったことを申し添えたい。

【配役】
明神唱(次男しょう。主人公)
…東直輝(あずま・なおき)さん(今回がお初の役者さん)
明神創(長男そう)
…小太刀賢さん(たすいち・客演共に出演舞台を多数拝見している役者さん)
明神理桜子(長女)
…真嶋一歌さん(初演の『キズツクキカイ』でも好演の「理桜子」を、6年前より更に役柄の人物に寄り添って演じられていた)
明神紀里(妹きり)
…細田こはるさん(役柄の設定故か、初演の三品優里子さんのイメージが重なって見えた。役者さんの個性に即した配役だなぁと)
明神致(父)
…はしもとなおやさん(今回がお初の役者さん)
明神説子(母)
…野中紗織さん(今回がお初の役者さん)
明神裂(祖父れつ…実はその正体は妖怪ぬらりひょん)
…菊池泰生さん(いくらなんでも若過ぎると案じていたが…さすがは役者さんだなぁ!)
明神十兵衛(猫又)
…幾世優里さん(劇団ミックスドッグスの看板女優。今回の紀里とのやりとりの場面、大変微笑ましく感じながら拝見させてもらった)
こっくりさん
…中村桃子さん(メイクのせいか、初演の加瀬恵さんのイメージが重なってみえた)
垢舐
…大和田あずささん(イメージ的に合うのかなぁ?と案じていたが、初演の白井肉丸さんとは違う「垢舐」を演じていた)
けらけら女
…生田麻里菜さん(初演の松倉彩夏さんが「からから」、今回の生田さんは「げらげら」かなぁ?! この役、結構、難役だと改めて思った)
ケータイ(付喪神)
…竹内なつきさん(多少、手を加えてあっても台本は同じ。6年の歳月を経たといっても作・演は同じ目崎さん。とくれば、役柄が、ある程度、初演のトレースになるのは当然のことではあり、勿論、それが悪い訳ではない。ただ今回、お一人だけ、初演の役者さんのイメージが全く重ならなかったのが「付喪神」。役者さん自身の個性の違いかもしれないが、それ故、今回、一番、印象に残った)
琴川れのあ(創の彼女。唱の幼馴染)
…園山ひかりさん(お初の役者さん。美少女枠の役柄を好演)
兵馬昴太(ひょうま・こんた。理桜子の彼氏。実は退魔師)
…多田直人さん(たぶん?!お初の役者さん)
キズミ(唱の悩みが創り出した妖怪)
…永渕沙弥さん(6年前より、はるかにサディスティックで・哀しい「キズミ」を熱演)
キョーコ(唱にとって初めてのファン)
…星澤美緒さん(演じやすそうで実は難役を好演)
天神さまのほそみち

天神さまのほそみち

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2020/07/03 (金) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/11 (土) 14:00

燐光群が別役不条理劇にチャレンジだが、意外にすんなりと「落ちる」芝居になっていた。75分。
 不思議な対応をする人々と出会った「普通の」人が、争いを避けようとして逆に争いを起こしてしまう、というのは分かりやすい。勿論、不思議な人々の反応の理由は分からないし、「普通の」人であるはずの姉弟にも不可解な部分は残るが、こういう「巻き込まれ」型のトラブルは現実でもありそうだと感じる。そして、それが暴力的に解決されるという不条理も現実ではありそうな気がした。
 燐光群の役者陣も歳を取ったが若手が育ってきているのは分かり、良い脚本に出会えば面白い舞台を作れるのだと改めて認識した。

「☆ TRYすこしずつ☆」

「☆ TRYすこしずつ☆」

あみゅーず・とらいあんぐる

天満天六・音太小屋(大阪府)

2020/07/04 (土) ~ 2020/07/04 (土)公演終了

満足度★★★★★

音太小屋 T-6で、この小屋があみゅーず・とらいあんぐるの空気で一杯になりました。
面白かった。
殺意のレシピ 荻原 浩
夫婦がお互いに抱く お見通しよ 食べ合わせで有毒に お見通しよ
笑い合う 笑い続ける
知らずの食べてた笑いダケ  似た者夫婦 現実にありそうだ。

佇む人 筒井 康隆
犬柱 枤(ケン)の 木苗 朲 邪魔になってきた 書き物をする人 妻 会ってはいけない
だんだん木になっていく 感じなくなっていく 今の世の中 言えない国 
なってはいけない世界。

第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020

第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 ⒓日目 2020.7.9 19時
本日も出演は3組、総ての演目がソロである。(追記後送、全体評価華5つ☆)

ネタバレBOX

Ⅰ:「想」は手柴孝子さんのソロダンス。石井みどりさん・折田克子さんへのオマージュと見た。(5つ☆)
Ⅱ:長谷川康志さんによる朗謡「胎内にみる四億年前の世界」は、解剖学者・三木成夫さんの「内臓とこころ」を通して個体発生が系統発生を繰り返すという事実を証立てる朗謡である。解剖学者ならではの実証をベースに受精31日目から約1週間の間に人間の胎児が、海水の成分によく似た母の羊水の中で如何様な変容を遂げるのか、米粒程度のサイズの胎児が勾玉のように頭部を体の内側へ曲げた状態にあって、ラブカのような鰓を首に持つ時、その顔はどんな姿をしているのか? その翌日は? 僅か1日の間にどのような変容を遂げているのか? 更にその翌日は? 胎児が凄まじいスピードで先祖が辿ってきた進化の歴史をなぞってヒト型になるまでのどの辺りで母体はつわりを生じ、その時の母の表情はどのようであるのか? 等々が、三木博士の観察を基に綴られ個体発生が系統発生を繰り返すドラマが迫真のリアリティーを持って迫ってくる。(5つ☆)

Ⅲ:Mikaさんのダンス「Latin FANIA」は、大野慶人さんが彼女のダンスパートナーに贈った杖を用い、キューバの病と医療を司る神・ババルアジェを踊った。個人的な話題になって恐縮だが、舞台を観、リズムに乗り乍ら、体が勝手に反応する。そういう次元のパフォーマンスであった。評価等糞喰らえ❕ なのだ❕ この踊り(ダンス)は、ダークマターがその殆どを占める宇宙に於いて光に吸い寄せられる命の余りに哀切な関係をダンスという形を通して直接化し得た稀有な、命そのものの例である。伝説の舞台・土方巽さんの生舞台を拝見していない痛恨の記憶が、今作を拝見し得たことによって、自分の人生の中で少しだけ軽くなったような、つまりこの舞台自体が新たな伝説になるような舞台であった。よって☆は、コリッチの評価には存在していない。華6つ☆だが、存在していないので現実に表すのは華5つ☆+スタンディングオベーション。後記:これ程素晴らしい踊りなので寿がれる神の退出と共に、演者も消え、アフタートークにはいらっしゃれなかった。このような謙譲も我ら愚かな人間には生き方として必要と思われる。三千程度の生舞台は観ていると申し上げた、そのうち、観劇後、椅子から立ち上がれなかった程のショックを受けた大阪の劇団Mayの作品「風の市」と、意味内容は対照的であるが、今作は双璧を為す。表現する者達の本質に根差した力を体得させるに充分な舞台であった。
アレルギー2020

アレルギー2020

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2020/06/27 (土) ~ 2020/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

4ヶ月半ぶりの観劇は新宿シアターミラクルで「アレルギー2020」
ある意味時宜を得たテーマの濃密な二人芝居
ふたりの間に立てられたアクリル板の衝立が象徴的
久しぶりに「演技」らしい演技を観た
観客10人の贅沢な空間
途中換気休憩もいれての上演だった

BLUE RAIN

BLUE RAIN

株式会社atlas

博品館劇場(東京都)

2020/07/02 (木) ~ 2020/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

約100日ぶりの劇場観劇。この作品で良かった。舞台上のアクリル板もミステリアスに拍車をかけてほどよい距離感。6人の紡ぐ空間に涙してしまいました。
若手、木内くんが更に楽しみです。

ネタバレBOX

原作を未読なのですが、ある場面からラストが分かってしまう。でも、それを役者さん達がどう演じるかを観ているのはとてもワクワクしました。
天神さまのほそみち

天神さまのほそみち

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2020/07/03 (金) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

こわごわ劇場へ行ったというのが本音である。コロナ感染を恐れてではない。劇場の過度の規制でしらじらしい空気の中で、規制した上演側だけがやってます、みたいな空気になったらいやだな、と思っていた。入場前の諸手続きで、やはりそうなるのか、とかなりがっかりしていたが、劇場に入ると、そこはやはりスズナリで別役実の世界である。
例によっての、別役劇で、市民生活の中で、てきやの広場の場所取りの不条理劇が面白おかしく展開する。文学座や新劇系を見慣れていると、燐光群はやはり言葉の訓練が足りず、最初は意識的にやっているいわゆる現代語セリフ調が浮いていたが、次第に動きとセリフが同調してきて舞台の上の人数が多くなると演出のさばきもよく楽しめてくる。経験豊富の男優陣の健闘に比べると女優陣はやや手薄な感じ。それにしても、どうしても社会派的な正邪を求めやすい坂手演出が、不条理劇でまとめてしまったのは意外でもあった。
最初の「あなたの家の前を通ったトラを見ましたか?」という問いかけを結局解決していないのもよく辛抱したと思う。それで面白いのだから成熟と言っていいだろう。席を間引いて70席ほど。これくらいだとほとんどスカスカの感じはしなかったが劇団としては赤字だろう。劇場の客席で同一方向を向いている客席でクラスターなど起きるはずはないのだから、間抜けな官僚のいう事なんか馬耳東風で、どの小屋もフルシートで客を迎えればいいのに。この頃の演劇人はおとなしいなぁ。

天神さまのほそみち

天神さまのほそみち

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2020/07/03 (金) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

難解と言われることの多い別役戯曲だが、この舞台は素直に楽しめた。場所取りをめぐる、悲しく可笑しいコメディだった。難しいことを考えると、迷路にはまる。役者の困惑とその場しのぎ、意地の張り合い、ばかしあいを、「アホだなあ」と素直に見ることができた。客席も笑いが多い。坂手洋二氏の演出家としてのうまさを非常に感じた。

人間合格

人間合格

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2020/07/06 (月) ~ 2020/07/23 (木)公演終了

満足度★★★★★

観劇再開第一弾。
一つずつ開いた席で、どうなるかと思ったが、すぐにいつもの笑いが客席から自然に沸いて、すごく楽しめた。
益城さんの中北番頭の津軽弁に聞き惚れた。
久しぶりの人間合格だが、非常に内容の濃い台本で、3時間の長さを感じなかった。井上戯曲の傑作の一つ。こんなにたくさんのネタが盛り込まれていたかと改めてびっくり。無駄のない芝居だった

晴れがわ【東京公演延期→中止】【伊丹公演終了】【金沢公演終了】

晴れがわ【東京公演延期→中止】【伊丹公演終了】【金沢公演終了】

コトリ会議

AI・HALL(兵庫県)

2020/07/10 (金) ~ 2020/07/13 (月)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2020/07/10 (金) 19:30

相変わらず評価のしづらい芝居をやっていますな。
好みは分かれると思うが、僕は好きです。水が合う合わないとかがあるけど、僕には水に合います。SFで特殊な設定だけど、ゆるい人間ドラマで良かった。
上演時間が70分くらいでした。個人的には良い感じでした。
コロナ後の初めての観劇だったので、心配したところもあったが、どこ行ってもやらなきゃいけないことをやるので、身構えなくても良いです。

天神さまのほそみち

天神さまのほそみち

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2020/07/03 (金) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★

期待通りなかなか刺激的な作品。ある若者がどんどん膨らみ複雑になるトラブルに巻き込まれてもがくストーリーに「虎」の男の無意味な掛け合いが唐突に割り込んでくる。観ていて混乱させられるのになぜか愉快で心地よい。ところで、客席の座席数を減らして椅子間のスペースがあのぐらい余裕があるとゆったりできて良いが、主催者側にとっては収入減になるので大変か。

第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020

第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★

X主催「国際芸術祭」鑑賞2回目。3演目の内訳はダンス・ダンス・演劇。
先陣は女性2人組、天然素材感ある薄褐色のドレスで舞う。チベットのティンシャ他の鈴を使い、水音や優しげな音楽が流れる中、自然讃美の特命で地上に遣わされた者の如く。一人は力量十分で曲線を描き、一人は音や補助的に立ち回る役割分担であったが、「二者の差をもっと明瞭に出してよかったのでは・・」との客席からの意見に首肯した。やや予定調和な作り。
二つめの踊りは女性ソロ。勅使川原氏を思わせる素早く鋭い動きと、生じた波動が部位を伝って連続し展開する視覚的快さがあり、想定される何らかの「身体言語」が、何を語ろうとするのか?という関心へ引き込まれる。舞踊は抽象次元の遊びだが、何らかの一貫性を保ちつつドラマ性を演出するという意味では演劇に似ている。今回のは前半保たれていた強く太い幹が、後半やや細まり、勿体なく感じた。前半で自分の中に膨らんだ「当て」が外れただけに過ぎないのだが。
演劇は企画のテーマである「蟲愛づる姫」を主人公とし、彼女の前に生物進化の各段階をユーモラスに擬人化して登場させ、生物多様性を教える教材のような出し物。バクテリア、ミドリムシ、ボルボックス、海綿、クラゲ・・等々。明治座シニアクラス出身者で作ったグループで、高齢者劇団の趣きだが、キャラの立つ役者揃い。憾みは(恐らく)稽古量の少なさ、内容も相まって余興を見るノリで見てしまった。本来なら相当の時間をかけて作られる演劇という芸術が、今置かれている状況を思う所であった。

ネタバレBOX

特に惹かれたのは2番目のソロ舞踊(足立七瀬)『選んで、いる。』。タイトルは現代生活の琴線に触れて来るものが..。
トークでは、振りの中に「取りに行く」直截な動きを入れた、とか、会場に居たダンサーに質問されて已むなく「通常言わない」ネタバレを語ったりと、作る作業のあれこれが割合と明け透けに開陳されていた。それらは観る私の追おうとしたストーリーとは違うものだったが、それはプログラマーたる七瀬氏の脳内処理の問題で、観客は何を見ようとしていたか(何に誘われたか)を語るのみだ。

暗がりの中に浮かぶ身体。バックにはアフリカの木琴のような音楽が薄く流れているか、無音のどちらか。無音での緊張が心地よい。「次の動作」への間が、正に「選ぶ」緊張を感覚させる(観る時はタイトルの事は忘れていたが)。
言ってしまえば、まあ結果つけられたタイトルは良いのだが、踊りが含む要素としては、「選ぶ」という人間の行動そのものを描写してもあまり意味はない。選ぶ事が可能であるのか、という問い、あるいは何を選ぶのか・選ぶべきなのか、という問いが、付随して来なければ思索として物足りなさが残る(その事が作り手の考えとパフォーマンスに反映しているかどうかは不明)。
七瀬氏の着想は選ぶ=責任(何げなく選んでいる事が重大な結末に通じていたり)であると思う。責任は容易に放棄され得る。個人的な領域では「選ぶ」結果は自分持ち、自分で結果責任を負えばよい、となる。それで話が終らないのは個である己の生き方、行為が他者に多少なりとも波動を送り、影響するから。だがこれは生物学レベルの話でもあって、いわゆる社会的責任に直結する行為は部分的だ。今の状況では、むしろそう考えたい。咳をすればコロナをうつす、という事から、戸外でもマスクをしなければコロナリスクを増やしている、という、世の中の(誤った)「責任」の束縛を、相対化するものを見たいというのはある。
海外で起こるコロナ関連の「事件」に日本人は驚かされるが、「マスクをつけろ」と言われて逆切れ、極大の憤怒を相手にぶつけてボコボコにした、であるとか、逆にマスクをしろと言ってきかない客を滅多打ちにした、であるとか・・そこには「個は個である」自立と自由の思想の染みついた人間が「コロナ」を理由に「全体のための個」たる事を要求された拒絶感、またその反動を想像させるものがある。米国での抗議行動もきっかけは黒人虐殺でも、「人を押さえ付ける態度」への心理的な反抗が根底に流れている気がする。
翻って日本はこのコロナ禍にあっても自己犠牲に甘んじて声さえ上がらず・・政府はお金を配るのにも息のかかった所へ割り前を回す周到さ、こんな状況でも庶民を出し抜く「抜け目なさ」を発揮しているのに暴動一つ起きない。あまりに感情を抑え過ぎ、そのつけを別のターゲットに向けている。向けさせる事にこの社会は成功している・・。

都知事選は「東京五輪、開催か否か」が争点になってしまったばかりに、五輪幻想にまだ固執したい多くの都民が積極支持を表明しに投票所へ足を運んだ(その意味では対立候補はその炙り出しに貢献したとも言える)・・つまり「選んだ」訳だが、それこそ最も重い選択。その責任を個々が吟味すべき期間が始まった、という事である。(私は都民ではないが、、)
『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊

『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊

KAAT神奈川芸術劇場

KAATyoutubeチャンネル(神奈川県)

2020/06/27 (土) ~ 2020/06/28 (日)公演終了

満足度★★★★

生エンゲキではないが、意外に味わいある「作品」に遭遇できた。
今夏の目玉の一つになるはずであった公演だが、作演出・岡田氏からの申し出で実現した"何らかのクリエイト"。夏に未練を残して現れたこの「上演の幽霊」という作品は風変わりで、不思議にある完成形を成していた。
感触はラジオドラマに近い。映像は、画面の端に暮れなずむ街路がガラス越しに見える小さなカフェ風の空間で、真ん中のテーブルの上にスマホが置かれている。時おり通行人の影が通過するので「ライブ」が目指されていると分かる。
カメラは固定。場面の変り目(人物の登退場)には沈黙が訪れ、人影が現れてスマホが出はけされる。そこでよく見ると、画面には人物が映っており、演者がスマホ画面の中に「存在」しているのだと気付いた。もちろん表情は見えず、殆ど独白(手記の朗読風)であるので動きもあまり無い。したがって視覚情報から「物語」の手掛かりをもらう努力は不要と知れ、耳での鑑賞を意識した演出だろう、ゆったりした台詞の間合い、声のトーンで、深夜ラジオの声に身を委ねるあの感覚に誘われる。最近コロナの巣籠り効果でラジオ聴取率は上がり、ラジオ番組動画がyoutubeにも上がるようになって、好きな番組も出来た。映像メディアが「目」をくらます術を使うのと違い、聴覚メディアは「耳」をくすぐる。耳が聞き分けるのは「そこの本当があるか」であり、「実は・・」と内緒話を始める媒体としてラジオは(不特定多数を対象にしながら)最適なメディアであるのも、「聴覚だけ」が関係してそうだ。そんな事を感じていた頃合、その特性をとらえた「作品」にラジオ的に没入した。

独白が続き、「能だ」と思う。宣伝に「能」と謳っていたっけ? 『挫波』・・建設中の新国立競技場に、一度はそのデザインが採用になった今は故人であるザハの影がしばしば過る。霊の予感。と、彼の前に不審な人物(競技場の生霊?)が現われ、ザハの霊が憑依した体験でもあるかのようにその物語を語る。能のワキに当たる主人公の目も、いつしか問題の人物を見、彼を置き去りにして五輪の喧噪に沸く社会を、見る。
長い独白自体、岡田氏らしいテキストでもある。二話目の「敦賀」は廃炉が決まった高速増殖炉もんじゅが擬人化されていた。

上演後のリモートトークに拠れば、稽古もリモートで行い、独白シーンが多いテキストでも個別稽古でなく役者は揃ってやり取りをした。上演は録画された映像を使って行う。スマホに映ったように見えた映像はスマホ型の板面にプロジェクターで映したものだという。ただし録画+録音はやはり上演の時間通り、演者たちは相手役が喋っている間も自分の姿を存在させ続ける、という「上演」と同じ条件で為されたものだという。リモートのタイムラグが障害になるような丁々発止の台詞交換は無いのでテンポ感の問題は生じない、にしても、画面上フィギュア人形がテーブル上に踊る程度のサイズであれ、同時に登場している者同士のやり取りは、為されている。その意味でこれは「演劇」と呼べそうだ(同時進行で相手に即応して存在しあう関係がそこにあるので)。ただその苦労話として、モニターとしてのスマホの画面は小さいため相手の姿は殆ど見えず、聞こえる台詞をリアクションの手掛かりにするしかなかった、というようなこと。

聴覚をくすぐられたもの・・言葉と言葉の間の十分な間に聞こえて来る波の音、ギターをメインの風景描写的な音(楽)、そしてエネルギー量的には圧倒的だった七尾旅人の歌も、「作品」と調和していた。

五輪開催を前提に企画されていた作品だが、五輪中止の状況では「五輪」鎮魂歌とも解せる。場違い感は全くなかった。
2021年の東京五輪中止を「考えられない」多くの都民により小池都知事続投が決められたが、もし舞台の上演が来年実現したとして、さて五輪の方は果たして・・。

天神さまのほそみち

天神さまのほそみち

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2020/07/03 (金) ~ 2020/07/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2020/07/08 (水) 19:00

座席1階

たまたまのタイミングということだが、別役実追悼舞台となったこの演目。別役不条理劇の中でも「最も不条理」といわれているそうだが、その面白さは抜群だ。「あなたの家の前を虎が通りましたか」を軸に進む壮絶な会話劇が展開され、恐ろしい結末へと突き進む。思わず食い入るように見てしまった。
シンプルな舞台装置。交錯する会話でも役者同士の方向性を崩さない演出が、分かりやすさを助けている。坂手演出の妙なのだろう。
何を言ってもオウム返しという、問答無用の「問答」は、何か反論を許さず決定事項には従えというような時代の空気を反映しているような気もする。

劇場は下北沢スズナリ。ギチギチの座席配置が当たり前だったのに、今回は左右に空間があり、足も伸ばせる。お客にはぜいたくともいえるゆったりの配置だが、こうなってみると、ギチギチで熱気むんむんのスズナリが懐かしい。

人間合格

人間合格

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2020/07/06 (月) ~ 2020/07/23 (木)公演終了

満足度★★

小難しい言葉や、津軽弁が聞き取れなくて、全然入ってこなかった。残念。。。

第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020

第14回 シアターΧ 国際舞台芸術祭2020

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2020/06/13 (土) ~ 2020/07/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

第14回シアターX国際舞台芸術祭2020 ⒒日目 2020.7.7 19時
(追記7月8日02時39分、七夕公演 全体評価5つ☆)7月9日は19時からの公演 

ネタバレBOX


1:望月太左衛社中 剣伎衆かむゐ&剣伎道。演ずるは、和楽器が彩る剣伎・侍魂「未来へ~Samurai still exist」自分もそれなりに和楽器は拝聴してきたつもりであったが、今日初めて聴く音も多く、最初に用いられたのは空気をまさしく切り裂くような音を発する笏拍子で、これには度肝を抜かれると共に、かむゐリーダーの島口哲朗さんが上手ホリゾントの奥から舞台中央へ隙の無い登場を見せるシーンは慄然とするほどの気を内に秘め、正しく武人を見た思いがした。

 終演後に伺ったことを基に書くと、メソッドとして剣伎道を創設しそこに殺陣、居合、新陰流、空手やマーシャルアーツなどの要素を織り込みつつ舞うように演じているとのこと。どんな格闘技も基本は、間合いを見切る動体視力、己の力を最大限に・或は殺して常に重心を安定させスムースに移行・受け即攻めに転じる動作にあるが、攻めでは無論最大限の力を効果的に用いる。実際の戦いはままごとでは無いから、自分が死ぬかも知れないし相手を殺すかも知れない。日本刀は剃刀程に良く切れる。

 一方東洋の哲学は、陰陽五行説に負う所が大きく、陰陽・五行共に有為転変の関係を現す、同時に仏教による六道輪廻なども転生という考え方は人間中心の発想と異なり他の生き物との関係性を説いている。更に老荘の思想は、無為自然・柔弱謙下という言葉にも示されているような摂理を活かす思想であるから、宇宙的エネルギーを気として己に取り込み、これを上手にコントロールしながら用いることに繋がる。無論、物理学的な説明も可能である。武道の達人の動きは、皆一つの例外も無く、最も合理的な動きになる。琉球舞踊も基本は武術、殊に王を護って外交などにも重きを為した王族出身の高級士族には必須の素養であった。実際格闘技としても強い。

 ところで今作は、舞台芸術でもあるので、武術だけで成り立っている訳ではない。人として守るべき矜り、道を究める為に払わねばならぬ大きな犠牲、他人の痛みを知り生きる哀れを知る仏性、決断する勇気、そして総てを統合し判断し責任を負う覚悟及び判断し実行する行動力を統合した生き方。これこそまさに武士道の理想であろう。この理想を台詞無しで見事に伝えているのは以下のシーンだ。未だ5つ位の男の子とその母が2人の武士に追い掛けられて客席方向から登場する。敵う訳が無い。子供は腰に刀を帯びてはいるものの小刀である。母子は当初、切り掛かる刃を躱すが、遂に追い詰められ、子を庇った母は、先ず浅手を負ったものの子を覆うように庇いながら向かい来る武士の1人に子の刀で応戦、傷を与えた。然しそれまでであった。母は子を庇ったまま、惨殺されてしまった。2名の武士は更に子を追って迫る。子も武士の子、落ちた小刀を拾い上げて応戦している所を1人の武士が通りがかり子を襲っていた2名を斬る。子は母の遺体に追い縋って悲嘆にくれていたが、やがて助けてくれた武士を頼り去った。青年になった子に稽古をつけている件の武士の様が描かれ、力をつけてゆく若武者の姿の後、更に腕を上げた青年と育ての親が木剣で試合をしている。青年もかなりの腕になった。武士は真剣に持ち替え、青年にも促す。青年も真剣を持ち、戦いが始まった。一番勝負では一瞬の隙を突き武士が青年の右二の腕を切った。一旦、参りましたの所作があって二番目の勝負、義父が撃ち込んで来る所、胴を払って青年が勝った。青年が大人になる為のイニシエイションと取っても一子相伝と取っても良かろうがこの流派が継承されるシーンも実にドラマチックだ。

 武士の妻や娘のたしなみである長刀の剣舞と殺陣も披露されるが、長刀の柄の先には赤い房紐が付けられ女性の剣技を実に華麗なものにしているのもオシャレ、更に数歳からミドルティーンに至る多数の女子剣士、男子剣士を交えた群舞も見事である。流石に国際的な舞台で賞も受賞しているだけの実力者グループ、新型コロナで練習・稽古の時間も中々取れず、皆で集まることも殆どできなかったということが信じられない見事な剣技・舞台だ。感心したのは、メンバー全員が、謙虚で爽やかな集団であることだ。無論、様々な和楽器など(和太鼓、鼓、雨団扇、和鈴、二胡、横笛、尺八など)の演奏でアクションを盛り上げて下さった望月太左衛社中とのコラボも素晴らしい。華5つ☆
Ⅱ:こかげ舎による演劇公演「いまはむかし(虫愛づる姫とノア博士)」出演は、ノア博士に小林拓生さん、虫愛づる姫に佐々木和子さん、ちょっと変わった楽器・GANKなどでの演奏に中馬美穂さん。GANKは、耳慣れない楽器だと思うが見た目は、ちょっとへんてこりんなUFOとか、炊飯ジャーのような形の楽器でプロパンガスボンベの材質を用いて作られ、その上部のあちこちに逆Uの字型などの溝が彫られていて、その溝の幅や長さなどによって異なる音が出る。奏法は木琴のように叩いたり、こすったり色々だ。何れにせよ、中々不思議で魅力的な音が出、形もユーモラスなので一度調べてみると面白かろう。脚本は、姫を演じる佐々木さんが書いた。一応、環境破壊を重ねた人間の愚かさが招いた近未来を舞台にしたディストピア作品ということが出来よう。理性的に考えれば、人間が今のように愚かな生き方を続けてゆけば誰が考えても地球に未来は無い。このことは余りに明白である。因みに地球上で起こっている波や風は地球に注がれる全太陽エネルギーの僅か0.2%の影響だ。一応述べておくと日本政府がF1人災後もベース電源として強力に推し進める原発は、100万KW級1基で1秒に70トンの水の水温を7℃上げる。70トンの水量とは多摩川と荒川2本の川の流量/secを合わせた程の膨大な量である。温められた水の中に溶け込んでいたCO2も当然蒸散する。馬鹿な話ではないか。言っておくがこれはほんの一例に過ぎない。誰も問題にしないが何の役にも立たない煙草もCO2を輩出している。税を高くすれば良いという問題ではあるまい。
 物語に戻ろう。今作では主に温暖化によって極の氷が溶けだし水位が高くなるのみならず、高温化によって降雨量が全地球規模で極端に増加した結果、生物の大量絶滅が起きる世界に突入する前夜譚として話が進行するのだが、興味深いのは、AIの発達によって人々は、大量データの処理をAIに任せっきりにしていた為、真に優秀で発想にユニークさや飛躍力のある知恵を評価し得なかった頃のデータが基礎データとしてインプットされていなかったが故に姫のような本質的で独特な発想のできる有能な研究者はリストラ対象となりラボを追われていた点である。ノア博士も解任の憂き目に遭った。こんな事情からノア博士はかつてのラボで自分の下に居た最も優秀な研究者である姫の所へサジェスションと別れの挨拶をしにやって来たのである。博士はラボを馘首されたから、単なるノアに戻っており、ノアは、地球上の虫以外の総ての生命を護る為の箱舟を作り、姫には虫の為の箱舟を作って欲しいとの依頼に訪れたという訳で洒落の掛かった落ちになっている。劇中、歌で表現するシーンがあって佐々木さんのソプラノと小林さんのテノールがバランス良く、良い具合に響き合いこれも楽しめる場面となっている。5つ☆
Ⅲ:宇佐美雅司さんのソロ作品。作・演・出演総て1人でこなした。タイトルは「Listen to the He:art~愛でてエな~Need is Love」七夕の夕べ、織姫・彦星年1度の逢瀬の日、パンデミック・COVID-19の前に人類などと恰も連帯が生まれてでも居るかのような紛らわしい表現も馬鹿らしいが、殆ど世界中の為政者が、非科学的、非現場主義的、非合理的、非理性的判断によって舵取りを誤り、自らフェイクを撒き散らすTのようなウスノロ、パシリでミムメモのA、裏切りだけは一流のKらと、不作為によって殺人者となりながら、不作為故に罪を追求されない厚労省、文科省の高級官僚、経産省とその天下り先法人等々のトンネル組織。こんな連中とグルの政治屋、マスゴミ。こういった下種に媚びへつらい己の頭を用いて考えることのできない「臣民」くたばっちまえ! と小生は思うのだが、舞台人である宇佐美氏は、何とかこのめちゃくちゃを皆に欝発散の機会を共有してもらうことで発散してもらおうとでもしているようだ。自分と現実認識は可成り異なろうが、この意気を評価して4つ☆。

人間合格

人間合格

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2020/07/06 (月) ~ 2020/07/23 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/08 (水) 13:00

座席1階

久しぶりに、舞台芸術の鑑賞。その皮切りがこまつ座だ。井上ひさしが描いた太宰治だが、太宰を通じて井上が客席に訴えかけているように感じる。
自分を追い込まないと書けない、という太宰。精神病院に入れられてしまうところなどがユーモアたっぷりに描かれる。1人何役もこなす脇役たちの演技が秀逸だ。見どころの一つである。
サザンシアターの座席を1人おきにゆったりとったコロナ対策の客席。見ている方は快適だが、劇団の興行としては苦しいはずだ。満席の客席が一体感を醸し出す。そんな演劇の日常が早く戻ってほしい。

MASKED HEROES

MASKED HEROES

藤原たまえプロデュース

小劇場B1(東京都)

2020/06/30 (火) ~ 2020/07/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

今の状況をふんだんに取り込んだ四話のオムニバス、
面白かったです!
中でも整形の話の怖さの積み重ねが良かったです

大地【6/20から初日延期】

大地【6/20から初日延期】

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2020/07/01 (水) ~ 2020/08/08 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2020/07/05 (日) 12:00

 三谷幸喜らしい演劇愛に溢れた作品だった。
 映画や演劇などの文化的な価値が認められていない体制の国で、役者達が収容所に集められ苦しい生活を送る。そこでのさまざまな立場の役者(と管理者)による群像劇。エンディングは切ないが、それこそが三谷の演劇論なのだろうと思った。
 2幕休憩25分込み2時間55分の長丁場だが、それを飽きさせない展開は三谷の職人芸が発揮されている。三谷作品初出演の辻萬長を始めとして、個々の役者の見せ場を作るあたりも三谷の役者へのリスペクトからだろうか。個人的には、浅野和之のパントマイムが2本も観られたのは大収穫である。
 改装なったPARCO劇場の柿落とし企画だが、コロナの影響で初日が遅れた。客席も市松模様の着席で少し寂しいが、取り合えずこのサイズの劇場で生の舞台が観られることを喜ぶべきだろう。

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