満足度★★★★★
鑑賞日2020/07/08 (水) 19:00
座席1階
たまたまのタイミングということだが、別役実追悼舞台となったこの演目。別役不条理劇の中でも「最も不条理」といわれているそうだが、その面白さは抜群だ。「あなたの家の前を虎が通りましたか」を軸に進む壮絶な会話劇が展開され、恐ろしい結末へと突き進む。思わず食い入るように見てしまった。
シンプルな舞台装置。交錯する会話でも役者同士の方向性を崩さない演出が、分かりやすさを助けている。坂手演出の妙なのだろう。
何を言ってもオウム返しという、問答無用の「問答」は、何か反論を許さず決定事項には従えというような時代の空気を反映しているような気もする。
劇場は下北沢スズナリ。ギチギチの座席配置が当たり前だったのに、今回は左右に空間があり、足も伸ばせる。お客にはぜいたくともいえるゆったりの配置だが、こうなってみると、ギチギチで熱気むんむんのスズナリが懐かしい。