
ネモフィーラ
演劇ユニット小雨観覧車
SCOOL(東京都)
2020/11/19 (木) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
何なんだ、この劇団、19日19時の回に時間を作って出掛けたがScoolは、何度扉をノックしても閉まったまま。人の時間を奪うとは! この劇団の作品自体信用できない。最悪! 評価マイナス10(2011.11.21)追記した。

拝啓天皇陛下様 前略総理大臣殿
燐光群
座・高円寺1(東京都)
2020/11/13 (金) ~ 2020/11/22 (日)公演終了

フリムンシスターズ【12月1日(火)と12月2日(水)の大阪公演中止】
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2020/10/24 (土) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
劇場で芝居を観る愉快を、本当に久しぶりに味わった。
松尾スズキのコクーン芸術監督就任第一作。「キレイ」で当てたのはもう二十年も前か。それとは全く違うテイストで、かつての松尾大人計画の味を残しながらも、新しいコクーンの出発を期待させる新作ミュージカルの登場である。新しく、若々しく、心弾む。
何よりもいいのは、現在の状況の中でまったく委縮していない。「いい加減な指示なんかには従わないで自由でいよう」という趣旨の曲もあるが、スタッフもキャストも舞台の上でのびのびとはじけている。そこが今の時期には素晴らしい劇場からの贈り物になった。
舞台の大枠はゲイの信長(皆川猿時)が仕切るショーパブになっていて、物語や人物紹介はほとんど、彼によってされる。正面に舞台に当たる空間があって、そこで芝居もあるし、歌もある。よくある構成舞台なのだが、舞台の色使いや枠取りの美術が素晴らしい。その上の二重にバンド(6名編成)がいる。物語は西新宿の地方の若者が集う吹き溜まりのような地区にあるコンビニとその二階にある従業員の部屋から始まる。そこに住んで、禿のコンビニ店長(オクイジョージ)との情事にふける沖縄出身の売り子(長澤まさみ)、10年前の妹への交通事故でスターの座を追われたかつての大女優(秋山奈津子)と、そのゲイのマネージャー(阿部サダオ)が久しぶりの出演の稽古に臨む話を軸に展開する。物語は一日半なのだが、その間に、登場人物たちの過去がほとんどクライマックスの連続のように歌と芝居で、挿入されるので、展開は波乱万丈、それを追ってもあまり意味はないが、要するに、この三人と彼らを取り巻く現在の社会からこぼれおちたひとびとたちは沖縄言葉で「フリムン」(狂う)にならなければ生きていけないのである。
そのフリムンぶりは、踊りであったり、音楽であったり、時には「後ろからズドン」という曲の物騒な歌の警官の上司殺人だったり、コンビニで売っているコンドームを盗む奴隷労働の現場とか、後ろからやって、と下ネタだったり、伊勢丹のパッケージを衣装にした伊勢丹の上品さを守る会を名乗るやくざ集団だったり、ユタのお告げが現実になったり、半端ないのだが、でたらめに見えながら今の空気をはらんだ統一感があって、素直に観客は乗っていけるのだ。暗くなりがちの話で、松尾スズキの過去の小劇場作品は暗さに居直ったような凄みがあったが今回は、暗さを笑い飛ばして前へ進んでいく。俳優もみな適役。主演の三人は、それぞれ出身は違うが、うまいことでは定評がある何でもできる人たちでその力を十分発揮している。観客も巻き込まれて陽気になる。
それは、脚本だけではない。
この舞台のスタッフはあまり知らない人たちだ。私が記憶していたのは振付の井出茂太くらいで、美術の池田ともゆきも音楽の渡邊祟も知らなかったが、立派に大劇場をこなす。キャストは脇は大人計画が固めているがそれでも中には歌唱力で客席がどよめく妹役の笠松はるのような新星がいる。細部に至るまで華々しいのだ。
私は、オンシアター自由劇場が初めて「上海バンスキング」で博品館劇場へ進出した公演の劇場の熱狂を思い出した。この舞台には劇場とともに時代が動いていく感じがある。なるべく早い機会に再演を期待している。

the Selected World
CRUSH KITCHEN ENTERTAINMENT
萬劇場(東京都)
2020/11/18 (水) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★
初日を観てきました。
終始密室で進むほぼ全員出ずっぱりのミステリー要素濃厚な会話劇。
会話が進むに連れ、色々な謎が解き明かされていく過程が面白く、かつ、先の展開が気になって、引き込まれる印象。
テーマも登場人物それぞれにバックグランドがあるので、色々な読み取り方ができそう。

物語のあるところ
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2020/11/10 (火) ~ 2020/11/15 (日)公演終了

拝啓天皇陛下様 前略総理大臣殿
燐光群
座・高円寺1(東京都)
2020/11/13 (金) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
右、左、とはっきり色分けされたドラマで覇を競った政治劇と言うジャンルが盛んだったのは、もう半世紀余も昔なる。いま政治にドラマを設定するには難しい時代である。
新劇と色分けされている新劇団はもっぱら左だったが、ここの劇のテーマは画一的で、ファンが気炎を上げるにはいいが、一般観客には退屈で次第に支持を失っていった。
このドラマでは、現代の国民主権の民主主義に殉じた役人が描かれ、その対比に天皇制に殉じた戦前の徴兵対象になった国民全員が置かれている。国家権力が天皇から国民の民主的な選挙による総理大臣になっただけで、政府の全体主義志向は収まらず、国民は民主主義の中で生きる自由を脅かされている、という主張なのだが、それは国民にはよくわかっている。それは反対!といくら言っても解決しないからいら立っているのだ。
新劇の作者たちはおおむね左だったが、その陣営が広く支持を集められるような作品は多くはできなかった。例えば、亡くなった斎藤憐は政治劇をそれこそ山のように書いたが、打率は高くない。しかし、「上海バンスキング」と「グレイクリスマス」という時代を超えられる作品を残した。ともに政治に人生を狂わされた人々を描いているが直接的な主張は背景に退いている。単純に右左と言っていてはドラマにもならなければ観客も集まらない。今の世界を生きている人々の細かい心のひだに触れなければ折角のドラマを作る意味がない。大きすぎて漠然としている徴兵制や公務員のコードよりも、天皇制を扱うなら、不遇の大正天皇の夫婦生活を描いた「治天の君」の方が腑に落ちる。素材の選び方も、それを扱う手つきも、上からでは物事を掴み切れない難しい時代になった。
ア―フタトークに前川元文部次官が出てきて、安部よりも菅の方が組織として全体主義的権力を貫く志向が強いから危険だという話をした。本当に危ない、と二度も言ったのでいまわれわれのいる場所の難しさはよく解った。坂手洋二も多作の人だが、自らが権威になることなくいい作品が残るよう期待している。

令和2年11月歌舞伎公演【11月22日~11月25日の第二部のみ公演中止】
国立劇場
国立劇場 大劇場(東京都)
2020/11/02 (月) ~ 2020/11/25 (水)公演終了
この芝居、歌舞伎で見るのはもう何十年ぶりだろうが、見たばかりのような気がするのは昨年、野田秀樹の「Q]が本歌取りをしていたからだろう。流人の帰郷願望のドラマなのだが、こうしてみると、改めて、すべてに人にも共通する「結局はひとりである」という現代人にも共通する人情に触れていると感じる。いつものことだが歌舞伎評は渡辺保さんの詳細な歌舞伎劇評がタダで、ネット公開されているからお任せするとして、(ありがたい。さすが学士院賞である。学術会議もこのような方の集まりだったら、もっと世論の支持が強いだろうに)。野田秀樹のQが引用しているわけはよくわかった。
幕切れ、岩上の松の枝を折って、岩頭で流人船を何もしないで見送るだけの吉右衛門はなかなか深くてよかった。それにしても、その前のアマをつれていく、行かない、人数で検問が通るか通らないかで殺陣になるくだりは、そのあとの話の展開に比べると下世話で冗長に感じた。吉右衛門、この日はあまり体調良くない気配でいつもの迫力に乏しかった。客の入りも市松模様で、掛け声禁止では気が乗らないのも無理はない。拍手というのは歌舞伎見物の作法にはないものだから、かえってだらけて場の興趣を削ぐ。

フリムンシスターズ【12月1日(火)と12月2日(水)の大阪公演中止】
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2020/10/24 (土) ~ 2020/11/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
ミュージカルは少し苦手意識がありましたが、
この松尾スズキさんのミュージカルは毒が効いていて
笑いも満載で面白かったです。
長澤まさみと阿部サダヲが出てくると空気が変わりますね。
設定が意味不明でお客が付いていけなくなることなく、
目的がしっかりしているのでわかりやすかった。
最後は奇麗にまとまって終わったのでスッキリした。

拝啓天皇陛下様 前略総理大臣殿【岡山公演】
燐光群
岡山市民文化ホール(岡山県)
2020/12/01 (火) ~ 2020/12/01 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/11/17 (火) 19:00
座席1階
二つの直訴状というアイテムを時代を超えてつなげた。先の戦争での旧日本軍幹部、そして現在、財務省幹部の指示による公文書改竄。指導者への忖度、仕事への誇りを捻じ曲げられ犠牲になる現場。坂手洋二はこの国の組織の体質は何も変わっていないと明示する。
二つの時代が交互に進化するが、わかりやすい構成だ。歴史と時間を追って、役者たちは二つの役割を演じていく。燐光群には欠かせない円城寺あやのかすれ声が気になった。大丈夫かなと思ってしまう。
戦前と戦後で日本人の本質は何も変わっていないとよく言われ、特に今は新たな戦前ではないかと言われても久しい。だからこの舞台の訴えるところに新味はない。それでも坂手は作り続けなければならないのだろう。そして、自分たち観客もそれを確認し続けなければならないのだろう。世の中、変わらないからもういいよ、と言った瞬間から、戦前の再来は現実になる。

異空間クラスター
壱劇屋
神戸アートビレッジセンター(兵庫県)
2020/10/28 (水) ~ 2020/10/29 (木)公演終了
満足度★★★★
【続・空間スペース3D<鑑賞バージョン>】と感じました☆【空間スペース】観た方は「興奮再び!」初見の方は「未体験の衝撃」だったんではないでしょうか★この「実験公演」は壱劇屋のスタンダードコンテンツとして定期的に開催して欲しいです♪ハッキリ言ってファンです!!

OKiNaのキ
双身機関
道徳ハウス(愛知県)
2020/11/14 (土) ~ 2020/11/15 (日)公演終了
住宅街の片隅でひっそりと執り行われる神事。
妖しげな香りに包まれ
まるで異空間に投げ込まれたかのようでした。
アンダーグラウンドな世界観。
不思議な体験でした。

五十四の瞳
文学座
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2020/11/06 (金) ~ 2020/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
たいへんよかった。瀬戸内海の小さな朝鮮学校の卒業生たちの若い日々と、在日が歩んだ戦後60年代までの歴史が重なる。小さい物語だが、世界の大きな芝居。帰国運動があったことなど忘れていた。女先生役松岡依都美、女生徒役の頼経明子、女優がよかった。そしてなによりたかお鷹。「働いて働いて働いた」の独白場面は、圧巻だった。

川口知夏のエチュードやってみよう!
新宿シアター・ミラクル
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/09/05 (土) ~ 2020/09/05 (土)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2020/08/05 (水) 19:00
ちょっと全体的には荒かったけどこの時期にチャレンジしたことに拍手。
少し女性がおとなしかったかな。第二回に期待。
あとオレの投稿ひとっつも採用されないのが面白かったわ(笑)

はかりしれない光をもつもの
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/11/03 (火) ~ 2020/11/10 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/11/03 (火) 14:00
座席1階1列
価格3,500円
11/3 MarsVersionとVenusVersIon両方を1日で一気に見てきました。
台詞はほぼ一緒。ちょっと足されたりUSBに刺したり刺さなかったり。
立ち位置が微妙に違うのが目立ったのでそれは各座組の解釈なのでしょうか。
茨城に住んでいたものとしては序盤「このモチーフで展開は大丈夫かな?」と心配目線でしたが終わってみたら驚きと楽しさ連続でした。
ロケットがまさかあんなところに!!
残念なのは機材トラブルでVenusVersIonはオープニングタイトルが流れず。後日動画を紹介いただくメールが来ましたが、あのカッコ良さを現地で味わいたかったです。

夜盲症
柿喰う客
ザ・スズナリ(東京都)
2020/11/13 (金) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/11/16 (月) 15:00
久々に観た柿だが、柿らしい楽しい舞台だった。
本来は5月に予定された女優のみ9人の公演だが、コロナの影響で半年延びたものである。オープニングから、女優本人として出ているのと、役を演じているのとの混在で、演劇的トリックが満載。この時期らしくコロナ対策を考慮しているようでもあり、また脚本を削ったとのことで、どの部分が残り、どの部分が加わったのかを楽しむ興味もある。主に若手の永田と福井を軸に物語は展開されるものの、9人それぞれに見せ場を作るあたりも巧い。役者陣も役割をしっかり演じ分け、見応えある62分だった。

インテグラルの踵は錆びない‐13人姉妹のモスクワ‐
架空畳
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2020/10/15 (木) ~ 2020/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/10/16 (金) 19:30
座席1階
話は難解だったがなかなか楽しめた。
序盤がどうにも頭に入らない。モスクワに行けない理由か猫の話辺りから切り出して欲しい。
あれだけの人数が揃って曲がりくねると「螺旋」をイメージする。
二重螺旋はDNAか。それとも迷宮を示す螺旋か。生命と時間と空間の体現を勝手に感じた。
あと気に入ったのは「ボイコット」。この時期にそのワードは誰もが忘れていたよ。スパイス効いていたね。
苦言としては横幅あるスペースを余すことなく体現したが客席右3列はデッド過ぎ。速い台詞に必然が欲しかった。

『だっと、どこまでもはやく』『ものすごくはやくとぶかめ』
ひみつまたたき
新宿眼科画廊(東京都)
2020/10/23 (金) ~ 2020/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/10/24 (土) 15:00
座席1階2列
価格2,500円
1024 15:00 ものすごくはやくとぶかめ
「誰もいない教室」に忍び込む背徳感。更に秘密を持ち込む二人の生徒。
互いの興味は相手に理解できなくても少しの時間で馴染んでいくのが学生の特権。
さんなぎさんと森さんの二人の芝居は以前から好感を持っていたけど更に増した50分。
この数日後に森さんが所属劇団の次回の肋骨蜜柑の公演後の休養を発表。
また劇場帰ってくることをこっそり祈願。

江戸系 宵蛍
あやめ十八番
吉祥寺シアター(東京都)
2020/11/12 (木) ~ 2020/11/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/11/14 (土) 14:00
座席1階F列
価格4,500円
12/14 14:00の公演を観ました。
いままでのあやめさんの公演と比べると「怪しさ」が少なった感がありました。
起用したモチーフの性質もあるでしょうが、大きくは「時代」かも知れません。
休憩を挟み2時間半と長編。
ただ休憩前までの展開にあまり変化を感じず、後半への種まきが少し退屈でした。
印象に残ったのは葬式に行かず叱ったシーン。
誤魔化したり、差別したり、そうではなくてもっと大事なものはあると。
昨今の社会問題にも照らしたシーン。守って、貫いて、輝く、お話でした。

唐版 犬狼都市
新宿梁山泊
下北沢 特設紫テント(東京都)
2020/11/14 (土) ~ 2020/11/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2020/11/16 (月) 19:00
座席1階
歌舞伎町・花園神社で上演予定だったこの舞台は、下北沢の小田急地下化でできた空地にテントを張って、出演メンバーも少し入れ替えて行われた。
地上の大田区と地下鉄でつながる地下都市の犬田区で生きる男女の物語。唐版を見ていないので分からないが、おそらく今回は新宿梁山泊テイストに染め上げた演出だったのではないか。コロナ対策を兼ねて客席左右の幕を開けての演出、元法相夫婦による選挙違反など時事ネタを盛り込んでの金守珍ワールドだったが、客席の反応はいつもよりおとなしかった。観客側から見てもコロナの影響はぬぐえない。
主役級の水島カンナはこの日も奮闘の2時間半だったが、せりふをかんだりいつものカンナさんらしいすごみが薄れていた気もする。一方、オレノグラフィティの鬼気迫る演技は迫力があった。
さて、テント上演でのラストシーンにある舞台裏幕の開放だが、バックの景色、借景というかこれはとても重要。ただ、場所的にスーパーオオゼキのネオンとかが目立って、現実に引き戻されてしまった。仕方のないことではあるが、やっぱり場所は大切だと思った。

上田ダイゴと二朗松田の『演プロ30』【原点回帰】
上田ダイゴトークライブ
デジタルカフェ-スクリプト-(大阪府)
2020/11/11 (水) ~ 2020/11/11 (水)公演終了