桜の園、あるいは林檎の園
劇団Q+
小劇場 楽園(東京都)
2025/09/13 (土) ~ 2025/09/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★
鑑賞日2025/09/14 (日) 17:30
価格3,500円
09月14日〈日〉17:30公演を観劇
:
蔵王を望む山の麓に広がるのが、三倉りんご園。
その広大なリンゴ畑には、国光という品種のりんごが育てられている。
しかし国光は、後発のフジなどに比べると、少々固くてすっぱい。
新品種のりんごが市場に出回ると、国光はまったく売れなくなり、
三倉りんご園の経営は追い詰められていく…。
個々の役者の方々はみなお上手で、すばらしいのですが…
脚本そのものにメリハリがありません。
さまざまな登場人物が現れては、いろいろと台詞を述べ、
話の本筋が見えないまま、ダラダラと進んでいきます。
劇終了後の満腹感…をまったく感じない作品でした。
VIVID
Loneliness of the butterfly
イズモギャラリー(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
当初の観劇日の都合が合わなくなり、振替等いただき、ありがとうございました。
ネタバレBOX
蛇に食べられそうなところを救われ、飼われることになった蛙とその世話をする人間のお話。人間の方が名前も姿もなく、観客がイメージする。蛙の一方的な片思いなのですが、最後は身を挺して人間を守る姿に心を打たれました。岩澤繭さんの65分一人芝居で、蛙の心の代弁and1人語りは面白かったです。また、会場が狭いので、とても臨場感がありました。あれだけの芝居を難なく一人でやってしまう岩澤さんはすごいですね。
すきだった、うた
空晴
OFF OFFシアター(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
受付/六月の電話
演劇ユニット茶話会
Paperback Studio(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最高でした。すばらしい演技で大満足です。別役実さんの作品ということもありますが、作品のよさを役者さんが120%引き出していました。すばらしい劇団にまた1つ出会えたというのが正直な感想です。あと、劇場というかスタジオ、めちゃくちゃ音響よくてその点でも大満足でした。最高の時間をありがとうございました。
受付/六月の電話
演劇ユニット茶話会
Paperback Studio(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
「受付」「六月の電話」2本を上演、「受付」は☆4つ、「六月の電話」は☆5つ。総合評価華4つ☆(追記9.21)
ネタバレBOX
「受付」
別役さんが今作を書いたのは当パンによれば1980年だが、演出家は余り作家の今作執筆当時の心理状態をイメージすることができなかかったのではないか? との疑念が残った。実際今作で別役さんが何を描きたかったのか? については様々な解釈が存在し得るし何も私如きが感じることが正しい等という気はさらさら無い。然し今回今作をどう解釈するのか? という点で結論を出していないような気がしたのも確かなことなのである。表層だけ観れば精神科を受診しようと訪れた45歳の既婚子供4人の会計事務所勤務のサラリーマンが、受付の女性に、募金、アイバンク登録、献体等々を押し付けられてゆく不条理な喜劇と取ることができよう。然し、別役氏の意図はそんなに単純なものだったのだろうか? 受付嬢の台詞の大多数は、このビル内に存在すると彼女が主張する37もの各種団体の受付との電話内容なのだが、この内容をからかいたかったのか? だとすれば何故? 何故このような形で? 等様々な疑問が生じる。
また、何年もの間、机上に置く筆立ての位置に迷い、他の事に手を付けられない程の状態を続けている彼女の心理状態は何を反映しているのか? といった疑問である。下らないこと、余りに些末的で解決する気なら自分で少し細工して机の引き出しに入れるとかどうしても机上と関連付けておきたいのであれば筆立て自体を嵌め込めるような容器を作りその容器が取付金具で机に取り付けられ自由に動かすことが出来るようにすれば済むこと。或いは小型で平たい筆記具用の皿型の物を用意し、邪魔にならない場所に置けばよいだけの話で何年もバカバカしい些末事項に拘る等愚の骨頂である。
以上のようなことを茶化したというのであればそれが何故か? を考えて演出をしたとは考えにくい。また受付嬢役の女優さんが台詞をやたら噛んだのも残念。
「六月の電話」1995年作(当パンより)
今作で重要なアイテムは板奥の衣文掛けに掛けられたウェディングドレス。此処に現在住む女が20年前の今日結婚式場の控えで着ていたものである。して当日新郎は式場に現れなかった。以来20年、彼女は誰もいない空間に「あなた」と呼びかけ続けている。時折掛かって来る電話に応対することが彼女の現在の仕事であり、寄る辺なく何のあても無い彼女は自分で決めた日課をその時刻が訪れると果たすことで時間をうっちゃっている。今日もそのような日をいつも通り過ごしていた彼女の下をアリバイを証明することが自分の仕事だと称する男が訊ねて来た。依頼人も不明、非依頼者の個人情報も不明、唯彼が仕事を果たす為の最低限の情報とアリバイを客観的に示すことができるよう、カメラや当日の新聞というアイテムを引っ提げて。必要最小限の情報とは、アリバイ照明が必要となると思われる者の住所であった。住所は確かに彼女の実際住んでいるこの場所であり、危害を加えるそぶりもなければ、非紳士的態度でもなく、唯水が飲みたい、とか彼女の残した食べ物を食べても良いか? 等の質問をすること位で害は一切ない。但し依頼者の指定した時刻迄は被依頼者のアリバイを証明する為、被依頼者と一緒の場に居て被依頼者がずっとアリバイ証言者に証言して貰える状態であったことを保証しなければならない。これが、この話の要点であり、話が進むに連れて依頼者の目途と何故このような依頼が行われたか、その背景が明らかになってくる。
その背景とは1970年代初頭には既に瓦解していた所謂世界の展望を形成する視座が、時代の反進歩勢力によって益々混迷の度合いを増し遂には消滅するに至る過程で起こった進歩派同士の内ゲバであった。進歩派の理論的指導者の多くが実際の社会経験に乏しい若者達であり旧支配体制を維持する勢力に対する有効で決定的な闘争指針を打ち立てきれず、而も今迄主張して来た論理との整合性を保つ為に更に論理を先鋭化させる以外の道を持たなかったが故の近親者同士のぶつかり合いが起こっていた。この辺りの指導部のメンタリティーや焦燥の結果を垣間見させる独特の雰囲気を持った作品である。
「タクボク~雲は旅のミチヅレ~」
江戸糸あやつり人形 結城座
ザムザ阿佐谷(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
江戸糸操り人形劇団、結城座旗揚げ390周年記念公演の第二弾は「雲は天才である」も書いた石川啄木が代用教員を務めた頃の話として紡がれた。(追記9.21)
ネタバレBOX
物語冒頭、人形劇上演の為に人形を詰めたバッグを提げ、小道具等をポケット一杯に詰め込んだ団員一同が興行する街、劇場を求めて彷徨い歩く模様が描かれる。とある街で彼らはぽっかり口を開けた穴を見付けた。何やら興味を惹かれ中に入ると階段が付いており底迄降りることができた。底に降り立ち中を歩いていると1冊のノートが落ちていた。拾い上げて読んでみると石川一(はじめ)と書いてあり団員の一人が啄木のことではないか? とあたりを付けた。どうやらここは啄木が代用教員として児童たちに教えた学校のようだ。啄木が雲に拘ったようにこの穴の底に青空が現れたり壁面に現れたりして其処を様々な形の雲が過ってゆく。子供たちが歌っている歌は児童たちが自由に闊達に自然と戯れ、その想像力を広げると同時に自然の持つ多様性や豊かさ、推移や時に厳しさから様々なことを学べるよう詩人・啄木が願いを歌詞にした作品であったが、頭の固い校長やその奥さん、校長にべったりの教頭らは猛反対“正式な許可も無しに校歌を歌わせるとはけしからん”と難癖を付けてきた。こんな状況にもへこたれず、一先生は、児童たちを森に連れて行き課外授業を行った。これも“とんでもない”として校長たちは授業を潰す為に森に入って行った。
丁度、同じ頃劇団員がバッグに入れた人形が紛失していることに気付いた。八百屋お七の人形である。大切なヒロインの人形が何者かに盗まれたと判断した劇団員たちは人形捜索に当たると同時に失せ物、失踪者等の困りごとを解決する、と銘打つ探偵に操作を依頼。探偵も森に入り、犯人を特定した。
ところで森には橘が群生する場所があり、この橘の群生は得も言われぬ芳香を発していたが、人がこの匂いを嗅ぐと睡魔に襲われ眠り込んでしまうと伝えられ八百屋お七の人形を何者かに奪われそれを探しに来ていた劇団員たちは息を止めて森から脱出、一先生や児童たちも校長らの追跡から逃れていたが、深追いした校長らは芳香に絡め捕られ眠り込んでしまった。眠りから覚めた校長たちの言動はその後どうなったか? 盗まれたお七の人形は? 人形を盗んだ犯人と犯人を突き止めた探偵の決着は? それらは観てのお愉しみだ。
不在の彼らはそこにいる
MAO WORKS
高田馬場ラビネスト(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
水鏡の真実 -御泉花守探偵の事件録 FINAL-
はらみか×渡邉ひかるプロデュース
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
#朗読水鏡2
朗読劇だが、観(魅)せることを意識した演出によってミステリー色を際立たせる。説明にある私立探偵の御泉花守真実を主人公にした推理劇。タイトルにある「水鏡」が肝。
早々、犯人が誰だか解かっては面白くない。その工夫として、登場する10人は、デザインは違うが皆 白地の衣装。外見的な特徴で犯人を捜すのではなく、論理的な展開で考え 楽しませる。ちなみに ピアノ演奏者(塩原奈緒サン)だけは黒地の衣装で昏い空間の中に溶け込んでいる。
朗読という聴かせるだけではなく、音響/音楽といった技術で情景を豊かに紡ぐ。波や風の音、それによってホタル島の風景が目に浮かぶよう。また照明は、いろいろな色彩を白地の衣装へ照射することによって雰囲気を変える。特に心情と時間(黄昏など)を抒情的に表している。この聴くと観(魅)せる演出が実に巧い。またピアノの生演奏が台詞に被らず、むしろ心地良い効果を発揮していた。全体的に繊細で上質感溢れる公演だ。
(上演時間1時間30分 休憩なし) 千穐楽後に追記済
ネタバレBOX
舞台美術は、素舞台で下手にピアノ演奏スペース。後景は白い壁で、キャスト陣の白地の衣裳と同色で統一感を出す。同時に照明効果でシルエットを映し 怪しげな雰囲気を醸し出す。キャストは台本を持ち、場景に応じて動き回り、出捌けする。
説明から、11月 探偵の御泉花守真実と助手の神聖崇極麗、情報屋の田中は、若狭湾に浮かぶホタル島に来た。船酔いした田中の介抱を漁師の酒那徹に任せ、真実と極麗が向かったのは民宿「泊輝荘」。2人の来訪を受け、主人の泊輝挙流と妻の陽子の表情はこわばる。一方、警視庁捜査一課の安浦吉之丞と主婦の都香丸子も島を目指していた。真実が話し始めたのは、1年前、妻の優香と氷龍祥が出会った日のこと。
話は、探偵側と民宿側の双方に関係する者のデスマスクがインターネット オークションに出品されていること。しかし 死ぬことが前もって分からなければデスマスクは作製できない。その謎解きは…。
物語は3年前と1年前という時間軸、そして事故と事件という違いのあるコトを関連付けて描く。内容はミステリーなので 犯人と謎解きは伏せておく。ミステリー小説でよく言われる本格派か社会派なのか。どんでん返しや驚かせる展開の本格派、一方 何らかの(社会的な)問題意識を絡めた社会派、ということを考えたら、朗読劇はその両方を兼ね備えていると思う。本格派ミステリーはそのトリック等が重要で人物造形は二の次なのだから。
公演は 意外な人物が犯人であるが、その犯人をあぶり出していく論理展開の面白さ、そして夫々の登場人物をキャストが感情を込めて立ち上げる(朗読する)ことによって血が通う。そんな味わいのある公演。
次回公演も楽しみにしております。
「タクボク~雲は旅のミチヅレ~」
江戸糸あやつり人形 結城座
ザムザ阿佐谷(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
『天守物語 〜夢の浮橋〜』
虹色ぱんだ
アトリエファンファーレ東新宿(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
面白かったです。
役者さん達の演技、衣裳や美術や演出等で、その世界を堪能しました。
ラスト、本当に美しかったです!
天守物語の話は知っていたので理解出来ましたが、知らない人は事前に把握しておいた方が楽しめると思います。
素敵な舞台でした。
よく喋るマダム達は、パクチーより食えない
東京ストーリーテラー
萬劇場(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#マダムパクチー2025 #東京ストーリーテラー Bチーム初日、お見事でした。同じ戯曲を、Aチームとはほぼ異なる役者さんたちでの配役。科白は一言一句同じに登場人物を体現しながらも、それぞれご自身の持ち味を発揮されていて素晴らしかったです。
よく喋るマダム達は、パクチーより食えない
東京ストーリーテラー
萬劇場(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
#マダムパクチー2025 #東京ストーリーテラー Aチーム初日、素晴らしかったです。2015年版初演鑑賞から10年を経ての2025年版再演の鑑賞。再び、登場人物の皆さんそれぞれの人生の物語に触れ、味わうことができました。
もうそうしよう
もあダむ
吉祥寺シアター(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/22 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2025/09/19 (金) 13:00
価格4,000円
衣装、とても素敵でした。出演者の皆さんも継夏さんをはじめ魅力的で、多様な声を聞けたことが楽しかったです。
ネタバレBOX
ただ、率直に申し上げると、作品世界にはやや入り込みづらさを感じました。虫の性質を取り入れた人物像である必然性が十分に伝わらず、思いつきのように見えてしまった点や、人間と虫がなぜ会話できるのかというルールが示されていなかった点が気になりました。たとえば「主人公がピンチのとき気持ちが通じて声が聞こえる」という設定であれば、納得感があったかもしれません。
開場中、虫が寝転がるシーンでは「寝転がる=死」を連想しました。虫の種類ごとの違いが描かれると、死生観や作品の奥行きにさらに踏み込めるのではないかと思います。子ども向けであっても、そうした深みは十分に伝わるのではないでしょうか。
出演者の方々の演技は素晴らしく、きっと話題になる公演だと感じます。私自身は俳優の姿勢よりも作品そのものに注目してしまうため、このような感想になりました。
ほしのひと
演劇企画アクタージュ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/09/18 (木) 19:30
価格4,000円
1994年木星に彗星が衝突する。そのニュースは、職場で、テレビで知った。
短いニュースだったが、天文少年だった私から加筆すると、
衝突したのは、シューメイカー・レビー第9彗星。衝突の可能性を世界で最初に知ったのは、軌道計算を行なった日本人だった。
彼の軌道計算は、「衝突しない」と言う学者もいて、世界の天文学者たちではちょっとした論争になった。
論争と言えば、彗星が巨大な木星に衝突しても、「かすり傷にもならない」から「大きなインパクトが地球からもわかる」と諸説入り乱れた。
実際の衝突は、地球からは直接見ることはできない。木星の裏側で起きたからだ。
木星に接近する彗星は、木星の引力が原因か、多数の小さな彗星に分裂していく。
例えていうなら、銀河鉄道のような状態で、木星に接近していく。その様子は、地球からも観測できた。
木星は自転しているので、衝突から数時間が経って、地球にも衝突した場所が、大小の黒い衝突痕として姿を現し始め、世界に衝撃が走った。
木星は何も変化ないと予測していた天文学者たちは、その生々しい衝突痕に、大きな衝撃を受けた。
乳白色や茶色の横縞のイメージの木製の表面に、黒い彗星の衝突の痕は、地球サイズの大きさだったことで、アマチュアの天体望遠鏡でも何個も確認できた程だ。
何も起きないはずはないと、観測していた天文学者たちは、自分たちの仮説に間違いなかったと喜びを分かち合い、抱き合った。
かつての天文少年としては、1994年の出来事をつい昨日のように覚えている。
そんな、ニュースをヒントにこの劇は、素晴らしい発想、着想、演出によって、磨かれていったのだろう。タイトルやあらすじにまるで自分が木星に引きつけられる彗星のように、
池袋を目指した。
地球も太古に彗星が衝突して、彗星の氷が溶けて海ができたという学説があるくらいだ。
地球と彗星の奇跡の衝突がなければ、生命誕生に必要な海がないのだから、私たちヒトも存在ができない。少なくとも、自分はいないことになるのだ。
今を生きる自分の存在そのものが奇跡だと感じる貴重な機会だし、哲学者ではないが、生きるとは?という普段はあまり意識していないこと。いろいろな不安や不満のある世の中だけど、存在するだけで、有り難いこと。
そして、生きていれば、生きていることを実感できる芝居にも出会えるのだ。
望遠鏡の向きが上下逆さまだったのはご愛嬌。芝居はもちろん、受付から出口まで、心地良く楽しませてもらったことに、心から感謝申し上げたい。
この芝居に関わってこられた方々の益々のご活躍を心から願い、応援しています。
だから、お返事いただければ幸甚です。
はにわのにわはわにのにわ
劇団さいおうば
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
野良豚 Wild Boar
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2025/09/09 (火) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
中国国内では「人はいきなり行方不明になる」し(そして数年後何も具体的なことを言えない状態でひょいと帰って
くるまでセット)、メディアタワー内部からといわずSNSなども含めて各所監視されているし、そんな状況下で上演なんか
したら「あれ? これって現在の状況まんまじゃね?」って意識しちゃう人が続出しちゃうので絶対無理でしょう。
作品自体はいろいろ伏線が張られてて、本筋じゃない男女のいざこざ部分も含めて怖い劇だなあと。
ネタバレBOX
主要人物は実質5人。
ユン……元大手リベラル系新聞の編集長。モナムの失踪後、「モナムプレス」を設立し、モナムの調査資料(数十年前の
街再開発を巡る事故が今回のパーフェクトシティ3.0と酷似していることを示すもの)を公にしようとするが……。みんなが
想像する「ジャーナリスト」まんまな人。
トリシア……ユンを深く愛する妻。といえば聞こえはいいものの、ユンは彼女を一種の「ミューズ」「自信を
支えてくれる存在」としか思っておらず常に仕事に駆け回っているため、孤独感から多くの男性と関係を持っている。
ユンと同じ会社のカメラマンとして働き、その独立とともに「モナムプレス」へ移籍した。負けん気が強いさばさばした
性格は表面上に過ぎず裏の顔を持っている。
ジョニ―……ユンの下で後輩として働くも、地元で父親の仕事を手伝っていた元記者。ユンのジャーナリズム魂を
教え込まれた「精神上の弟子」ともいえる人物だが、その一方で私生活の方はちゃらんぽらんでトリシアや後述する
ケリーと恋愛関係にあった。なお、「モデムプレス」の名の発案者であり、耳目を集めるための俗っぽい仕掛け等にも
通じている。
ケリー……ジョニーと過去に恋愛関係にあった下層階級の庶民。元は不良たちの一員で職場も何度となく替わり、
乱脈な男性関係から生まれた父親不明の我が子は幼くして亡くなる。「パーフェクトシティ3.0」に心酔し、その
計画を阻む格好となったユンを憎悪し、計画が進めば街の貧困層向け周縁エリアや地下エリアに押し込められると
聞かされてもそれで生活が保障されるならいい、自由は恵まれた特権者の遊び道具だ、だから貧困層には必要ない、と
結構過激な主張で迫る新自由主義を内面化したような感じの娘。なぜかトリシアとジョニーの関係を掴みユンにバラす。
おイモ……軽いノリが目立つジョニーの刎頸の友。有能なハッカーでパーフェクトシティ3.0の情報やモナムの
資料解析に大きな貢献を果たすが、一方で自分の仕事は社会的使命というよりも生活のためだと割り切る冷めた
リアリストの顔を持っている。
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ユンが第1幕の序盤で銃撃された後、運び込まれた病院で医者や他の患者、見舞客から全員一致で「余計なことをする人」
「街の発展を無意味に阻害する悪人」扱いされて壊れちゃって、
「俺のやってることは正しいと思ってたけど、街のほとんどの人にはありがた迷惑だった、銃撃者も政府ではなく街の一般
市民なのかもしれない」→「だとしたら俺がやるべきなのは計画の邪悪さを告発することじゃなくて、計画がいい形に、
街の人が本当に望むように監視し、導くことじゃないか」→「政府との妥協も必要じゃないだろうか」と、
本人も認めるイエスマン気質全開で知らず知らずのうちに御用ジャーナリスト化していくの、街の人の生活と引き換えに
大事な自由や正義を捨て去るのか、と第三者が非難するのは簡単だけど、実際にその場にいたら抗いにくいと思うんだよね。
だって街の人の暮らしのため、自由のため、正義と民主主義のためにジャーナリズムやってるのに、当の街の人に「私たち
あなたの活動支持してません」って言われたらもうどうしていいか分かんないし、支持されてなくとも自分の思ったまま
やるって難しいよ。自分が正しいという保証はない。
だから、ケリーやユンを非難するのは、自分が実際のところは当事者じゃないって告白でもあるのよね……。
それ以上に怖いのは、物語の終盤でトリシアとジョニーの仲を邪推したユンが、激しいDVを妻に対して
振るい、トリシアは反抗するどころか「ユンがどんなに変わっても私はついていく」と断言。そして
自分が新しく雇い入れた秘書としてケリーを紹介する……。
これどういうことなんだろうね? 終盤も終盤なだけに登場人物の知られない「闇」あるいは「病み」を
突きつけられたような気持がしてぶるっときたよ。
思えば最初から伏線があって、ユンやジョニーは自分の政治的、社会的立場を公にしゃべっていたけど、
トリシアって自分のそういうジャーナリスト的な見解はほとんど明らかにしてこなかったのよね(終盤で
ジョニーに「あなたの声はどこにあるの?」と詰め寄ってたけど、それでも自分の具体的な考えは分からない)。
トリシアは、夫を「現場を駆け巡る正義のジャーナリスト」から「メディアタワーの椅子に腰かける“真心がある
政府”の代弁者」に堕とすことで自分がずっとそばにいることを望んでいたのではないか? ケリーに自分と
ジョニーの関係をリークしたのはもしかしたらトリシアなのではないか? その見返りにケリーは秘書の座へ就く
ことになったのではないか? トリシアの裏には政府の人間がもしかしたらいたのか?
とかいろいろ想像ができるけど、なんだか垣間見えた夫婦の関係も含めてめちゃくちゃグロテスクだなと
感じた。「モナムプレス」は名前替わるか御用系メディアとして脱皮するんだろうか……?
最後の場面は、魯迅「吶喊」前書きの話だと思う。
あそこでは、小説なんか書き続けてどうするんだ、誰も意識改革できないだろうに、と問われた魯迅が、
「厚い鉄の壁に閉ざされた部屋の中であなたは目覚めた。他の人はまだ眠ったまま、自分一人では
どうしようもない。他の人を起こして助力を願った場合、もしどうにもできなければ「眠ったまま楽に
死ねたのに目覚めさせて苦しめた」と責められるかもしれない。でももしかしたら目覚めた人が多ければ
助かる希望がわずかでも出てくるかもしれない」と書いてるんだよね。
同じことで、檻に閉じ込められた野良豚(=ジャーナリスト)は自由を求めて大暴れしておとなしくしていれば
大丈夫なのにむざむざ傷ついて流血することになる。でも、こうして抵抗する姿をみせているうちに、誰かが
自分を逃がしたりしてくれるかもしれない。ジョニーがあの場で気付いたのはそういうことだと思う。
受付/六月の電話
演劇ユニット茶話会
Paperback Studio(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
面白い。
別役実の2作品、発表された年が違うにも関わらず 関連しているような印象を受ける。作品の選択とそう思わせる演出(宮田清香サン)が妙。「受付」(1980年)と「六月の電話」(1995年)では15年の間隔があるが、それぞれの時代背景を感じさせる。別役作品は、日常生活の中に人間の寂寥や空虚といった表現し難い思いを さり気なく描くといった印象だ。しかし 本公演、前者は不条理喜劇で、後者は不条理ミステリーといった違う作風が面白い。それでもリアリズムといった共通点は見い出せる。
別役作品の象徴的ともいえる小道具ー電信柱、本作ではこれをポールハンガーに置き換えて印象的/効果的に使っている。また電話だけで姿を現さない人物、それによって今いる空間だけではなく外の世界ー世相と繋がっていることを表す。そして2作品が繋がっているような錯覚、そこに演出の巧さを感じる。もちろん役者陣の演技は確かで見応えがあった。
(上演時間1時間50分 途中ブレイクタイム2分ほど)
ネタバレBOX
舞台美術は、上手に衝立、その横にテーブルや置台。テーブルの上には黒電話。下手にベンチ、その後ろにポールハンガー。「受付」の時は山高帽、「六月の電話」の時はウエディングドレスが掛かっている。両作品とも 始まり方や終わり方は暗転ではなく、客電にしており、さぁ舞台が始まるぞ といった合図(気負い)はなく、さり気なく日常が描かれていく。
●「受付」男:森岡正次郎サン、女:田口朋佳サン
精神科の受付にきた男は、先生に相談があると…。受付の女から取次の前に 様々な質問を受ける。男は本来の用件を後回しにされ、女の話に引きずり込まれてしまう。女は男に対して、募金、アイバンク登録、献体への同意など 次々と要求してくる。その都度 女はこれら団体の受付へ電話をかける。男はこれらの要求を理不尽だと思いながら、抗うことが出来ず 受け入れてしまう。人間の意思(決定)の曖昧さ、理屈では説明が難しい人の心理を可笑しみを交えつつ鋭く描く。
「受付」では、何故ここに来たのか、そのうえで住所/氏名を訊かれたりする。「受付」は、その人の概略を知るため質問し、訪問者は「受付」の求めるモノを自ら曝け出す。そうして初めて「受け付けられる」。もちろん強制ではない。(劇中の女もそう言う)。しかしルールは守り、話は最後まで聞き、尋ねられたことには正直に答える──そうした当たり前が、自らを縛り不自由にしている。そこに男の「相談」そのものが浮かび上がる。会計事務所に勤め、仕事も人間関係にも気をつかう といった逃げ場のない精神状態。女の不条理な勧誘と男の優柔不断さがしっかり立ち上がる面白さ。
●「六月の電話」女:大橋繭子サン、男:大森崚矢サン
或る雨の昼時、雑居(寿)ビルの4階7号室。女は近くのコンビニで昼食を買い 戻ってきたところ。誰もいない部屋、習慣で「ただいま」と独り言。女は そこで電話の取次業をしている。毎日決まった時間に食事をして寝る といった変哲もない生活をしている。その日常を壊すかのようにアリバイ屋を名乗る男が現れる。或る人の依頼で13時から17時迄ここに居て、ここにいたすべての人のアリバイを証明する という。その間、何度も電話が鳴り、女が「今日は多いわね」と呟く。これが「受付」のシーンと繋がっているような。また頻繁に喫煙シーンがあるが、煙はたちどころに消えてしまう。まさに人生は泡沫で無常。
アリバイ屋とは何なのか、男は誰のアリバイを証明しようとしているのか。二人のかみ合わない会話から女の過去が次第に明らかになっていく。男と女の会話や行動から、女は潔癖であり癇癖といった性癖のよう。その融通の利かなさが、別れた男をひたすら待っている。結婚式当日、彼は来なかった。彼は過激派の内ゲバ騒動で…。それから20年経っている。アリバイ屋がいた僅かな時間、それが女の長い空白の時を埋めるかのよう。女(自分)の不在証明(この間の無為な日々)ならぬ、今を生きている存在証明(認識)になったようだ。少し気になったのは、女 役が大橋さんでは若すぎるのではないか ということ。
次回公演も楽しみにしております。
縁側で呼んでいる。
劇団PIS★TOL
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2025/09/03 (水) ~ 2025/09/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
母の葬儀で千葉県の実家に交際相手と共に帰った次男が姉・兄・従兄と振り返るその家で起きたこと=家族の歴史を回想する。
そんな内容だけに(?)暗転や転換なしに現在から過去の場面に転移する(しかも今の人物はそのまま子供時代も演じる)がちゃんと「あ、ここは回想場面ね」と察することができるのはσ(^-^) が観劇慣れしているからだけではあるまい。
また、各人物の関係を説明台詞なしに観客に伝える会話も巧みだし、二人の出演者が演ずる二役やプロローグとエピローグの「留守電」関連の場面など「演劇的小技(?)」も利かせて見事。
ただ、開演が6分遅れたことについて開演前・終演後とも何も触れなかったのは珠に瑕。
はにわのにわはわにのにわ
劇団さいおうば
インディペンデントシアターOji(東京都)
2025/09/19 (金) ~ 2025/09/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
輪廻転生した各時代背景に深い事情があり、決して笑うような場面ではないのに気がつくと爆笑していました。役者陣の演技も光っていますが、何より声に艶がありハーモニーが素晴らしく綺麗でした。
赤い鳥の居る風景
劇団迷々
シアターシャイン(東京都)
2025/09/18 (木) ~ 2025/09/21 (日)公演終了