公演情報
演劇企画アクタージュ「ほしのひと」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/09/18 (木) 19:30
価格4,000円
1994年木星に彗星が衝突する。そのニュースは、職場で、テレビで知った。
短いニュースだったが、天文少年だった私から加筆すると、
衝突したのは、シューメイカー・レビー第9彗星。衝突の可能性を世界で最初に知ったのは、軌道計算を行なった日本人だった。
彼の軌道計算は、「衝突しない」と言う学者もいて、世界の天文学者たちではちょっとした論争になった。
論争と言えば、彗星が巨大な木星に衝突しても、「かすり傷にもならない」から「大きなインパクトが地球からもわかる」と諸説入り乱れた。
実際の衝突は、地球からは直接見ることはできない。木星の裏側で起きたからだ。
木星に接近する彗星は、木星の引力が原因か、多数の小さな彗星に分裂していく。
例えていうなら、銀河鉄道のような状態で、木星に接近していく。その様子は、地球からも観測できた。
木星は自転しているので、衝突から数時間が経って、地球にも衝突した場所が、大小の黒い衝突痕として姿を現し始め、世界に衝撃が走った。
木星は何も変化ないと予測していた天文学者たちは、その生々しい衝突痕に、大きな衝撃を受けた。
乳白色や茶色の横縞のイメージの木製の表面に、黒い彗星の衝突の痕は、地球サイズの大きさだったことで、アマチュアの天体望遠鏡でも何個も確認できた程だ。
何も起きないはずはないと、観測していた天文学者たちは、自分たちの仮説に間違いなかったと喜びを分かち合い、抱き合った。
かつての天文少年としては、1994年の出来事をつい昨日のように覚えている。
そんな、ニュースをヒントにこの劇は、素晴らしい発想、着想、演出によって、磨かれていったのだろう。タイトルやあらすじにまるで自分が木星に引きつけられる彗星のように、
池袋を目指した。
地球も太古に彗星が衝突して、彗星の氷が溶けて海ができたという学説があるくらいだ。
地球と彗星の奇跡の衝突がなければ、生命誕生に必要な海がないのだから、私たちヒトも存在ができない。少なくとも、自分はいないことになるのだ。
今を生きる自分の存在そのものが奇跡だと感じる貴重な機会だし、哲学者ではないが、生きるとは?という普段はあまり意識していないこと。いろいろな不安や不満のある世の中だけど、存在するだけで、有り難いこと。
そして、生きていれば、生きていることを実感できる芝居にも出会えるのだ。
望遠鏡の向きが上下逆さまだったのはご愛嬌。芝居はもちろん、受付から出口まで、心地良く楽しませてもらったことに、心から感謝申し上げたい。
この芝居に関わってこられた方々の益々のご活躍を心から願い、応援しています。
だから、お返事いただければ幸甚です。