水鏡の真実 -御泉花守探偵の事件録 FINAL- 公演情報 はらみか×渡邉ひかるプロデュース「水鏡の真実 -御泉花守探偵の事件録 FINAL-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    #朗読水鏡2
    朗読劇だが、観(魅)せることを意識した演出によってミステリー色を際立たせる。説明にある私立探偵の御泉花守真実を主人公にした推理劇。タイトルにある「水鏡」が肝。
    早々、犯人が誰だか解かっては面白くない。その工夫として、登場する10人は、デザインは違うが皆 白地の衣装。外見的な特徴で犯人を捜すのではなく、論理的な展開で考え 楽しませる。ちなみに ピアノ演奏者(塩原奈緒サン)だけは黒地の衣装で昏い空間の中に溶け込んでいる。

    朗読という聴かせるだけではなく、音響/音楽といった技術で情景を豊かに紡ぐ。波や風の音、それによってホタル島の風景が目に浮かぶよう。また照明は、いろいろな色彩を白地の衣装へ照射することによって雰囲気を変える。特に心情と時間(黄昏など)を抒情的に表している。この聴くと観(魅)せる演出が実に巧い。またピアノの生演奏が台詞に被らず、むしろ心地良い効果を発揮していた。全体的に繊細で上質感溢れる公演だ。
    (上演時間1時間30分 休憩なし) 千穐楽後に追記済

    ネタバレBOX

    舞台美術は、素舞台で下手にピアノ演奏スペース。後景は白い壁で、キャスト陣の白地の衣裳と同色で統一感を出す。同時に照明効果でシルエットを映し 怪しげな雰囲気を醸し出す。キャストは台本を持ち、場景に応じて動き回り、出捌けする。

    説明から、11月 探偵の御泉花守真実と助手の神聖崇極麗、情報屋の田中は、若狭湾に浮かぶホタル島に来た。船酔いした田中の介抱を漁師の酒那徹に任せ、真実と極麗が向かったのは民宿「泊輝荘」。2人の来訪を受け、主人の泊輝挙流と妻の陽子の表情はこわばる。一方、警視庁捜査一課の安浦吉之丞と主婦の都香丸子も島を目指していた。真実が話し始めたのは、1年前、妻の優香と氷龍祥が出会った日のこと。
    話は、探偵側と民宿側の双方に関係する者のデスマスクがインターネット オークションに出品されていること。しかし 死ぬことが前もって分からなければデスマスクは作製できない。その謎解きは…。

    物語は3年前と1年前という時間軸、そして事故と事件という違いのあるコトを関連付けて描く。内容はミステリーなので 犯人と謎解きは伏せておく。ミステリー小説でよく言われる本格派か社会派なのか。どんでん返しや驚かせる展開の本格派、一方 何らかの(社会的な)問題意識を絡めた社会派、ということを考えたら、朗読劇はその両方を兼ね備えていると思う。本格派ミステリーはそのトリック等が重要で人物造形は二の次なのだから。

    公演は 意外な人物が犯人であるが、その犯人をあぶり出していく論理展開の面白さ、そして夫々の登場人物をキャストが感情を込めて立ち上げる(朗読する)ことによって血が通う。そんな味わいのある公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/09/20 12:06

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