最新の観てきた!クチコミ一覧

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5月35日

5月35日

Pカンパニー

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

北京の公営住宅のようなフラットで、日常茶飯の小事で老夫婦が睦まじく争っている。だが、夫(林次樹)は大腸がんの術後の人工肛門の装着者だし、妻(竹下景子)はコロナで受けられなかった定時検診のために脳腫瘍が手遅れになっている。導入部の、争いながらもこの状況でいたわりあっている老夫婦の日常の二人の演技でまず、惹きこまれる。テレビの知名度目当てのキャスティングかと思っていた竹下景子がなかなかいい。そんな老夫婦に残された願いは、天安門事件に巻き込まれて高校生の時に亡くなった息子を現場で弔いたいという願いである。天安門事件を歴史から消し去りたい独裁政権はそういう夫婦の願いを許さない。
独裁政権の嵐を直接受けている香港の作者の上演できない劇と言えば、政治色は鮮明で、以後は、昭和二十年代から三十年代にかけて、さんざん見てきたわが国の左翼シンゲキ風の展開になる。息子の遺品を若者に与えようとネットで募集してやってくる若者(小谷俊輔)とか、軍に就職して出世していく夫の弟(内田龍磨)とか。そういう中で妻の病は進み、夫は最後の決断をする。
あまり飾りもない単刀直入の政治劇だが、異国の日本で見ると、こういう事態はさけるべく自由と平和のために戦え!というスローガン・メッセージだけでなく、過酷な隣国に生きる庶民のまるで「東京物語」のような哀歓が伝わってくる。そこが面白かった。演出(松本祐子)が手練れで、プロバカンダ劇の力学を生かしながら、緊迫した家庭劇を作っていたことも大きいだろう。そっけない色調の部屋を組んだ美術(杉浦充)もうまい。
東京芸術劇場の地下。数日前に見たイーストの若者ばかりのロロの客席とは打って変わって、こちらウエストは平均年齢七十歳かと言う観客で9割がた埋まっていた。

ネタバレBOX

ロロでは真ん中あたりでも聞き取りにくかったセリフがほぼ最終列の席まで、はっきりとニュアンスも含めて聞き取れる。やはり新劇団系のPカンパニーは違う。
だが、その客席の観客は日本のシンゲキのその後を知らないわけではないだろう。
この芝居のフィナーレ、出演者がステージに並んで、中空にこうべを上げて自由と平和をと合唱する。シンゲキ定番の終幕を迎えるのだ。よくやるよ!と思う反面、つい懐かしくなる。しかし、それは、あえて言えば何も果たせなかった夢への追憶と取り返しのつかない後悔でしかないだろう。それは社会にも個人にもいまもどこかに残っているに違いない。この劇団の新作に「罪と罰」と言うシリーズタイトルがついている。そういうことか。
画廊にて 他3篇

画廊にて 他3篇

日本のラジオ

新宿眼科画廊(東京都)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

浦田すみれさん一生好きです。

ロマンティックコメディ

ロマンティックコメディ

ロロ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/15 (金) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

口コミで評判が良い劇団のようだったので、初観劇。
劇場に入ってすぐに目にしたセットは、とてもオシャレで可愛くて素敵なセットだった。大掛かりなセットではないけれど、アイデアとセンスが光るもので、こんなセットでお芝居をするのは役者さんは嬉しいだろうなぁと思った。
でも、お芝居自体はちょっと僕には合わなかったかな。作品自体もとてもオシャレな感じで、意味深げなセリフや、奥の深そうな関係性を感じるんだけど、正直、あまり心が動かなかった。

ウソをつく。本当のことを、

ウソをつく。本当のことを、

関西大学演劇研究部 学窓座

関西大学千里山キャンパス内凜風館4階小ホール(大阪府)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★★

人間十人十色で、自己中の人や相手のことを考え過ぎる人等々…。生きて行くことの難しさを、とても上手く表現してたと思います。今後も頑張ってください!

ロミオとロザライン

ロミオとロザライン

学園座

関西大学・千里山キャンパス内KUシンフォニーホール(大阪府)

2022/04/22 (金) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★★

ロミジュリは不朽の名作だから、何度も拝見したが、ロザラインの存在を知らなかったので、新鮮でした。大道具なんかも素晴らしく、カンパ金額少なくて申し訳ない気がした。学生演劇としては、大満足です!

オペラ座の怪人

オペラ座の怪人

劇団四季

大阪四季劇場(大阪府)

2022/03/06 (日) ~ 2023/08/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/22 (金) 13:30

オペラ座の怪人は今日で三回目、ちょっとダークなところが良いよね。

ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」

ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」

エイベックス・エンタテインメント/クオーレ

サンシャイン劇場(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

『弥生、三月』、波瑠と成田凌主演の映画は当時観た。高田馬場で再会した二人、逃げる波瑠を追う成田凌。大森ベルポートでやっと捕まえる。「随分、走ったな」と映画館で感心したもの。1986年の3月、高一の時に出会った二人の人生を2020年3月まで三月縛りで描いていく。数年単位で飛び飛びの三月のエピソードだけで、間に何があったかは観客の想像力に任せる試み。
菅田将暉と小松菜奈主演の『糸』と話がこんがらがる。要はお互い好き同士の二人が、あれやこれやの障害で中々結ばれないさまに一喜一憂する『君の名は』(岸恵子主演の方)系すれ違いメロドラマ。観客がやきもきしたら勝ちのジャンル。 映画はイマイチで、これをどうミュージカル化するのか見当が付かなかったが・・・。

正義感のやたら強い弥生(田村芽実〈めいみ〉さん)、Jリーガーを目指す山田太郎、通称サンタ(林翔太氏)、薬害エイズで苦しむサクラ(岡田奈々さん)の物語。
語り手として神里優希氏、見事なバレエを踊りながら舞台転換を行うkizuku氏と大倉杏菜さん(やたら巨乳)、ずっとピアノを演奏し続ける安藤菜々子さん。演出に品があって美しい。楽曲にもオリジナリティが感じられ、繰り返す詩の構造も効果的。ピアノの旋律が奏でられ続け、真白な精霊のように優雅に舞う二人の男女。バックのヴィジョンに映し出されるイラスト調の背景のセンスも冴えている。出演者の歌唱力も本格的。
胸を焦がした高校時代からそれぞれの道に別れ、家庭を持ち夢に挫折し何度も人生を諦める。その度に目に見えない不思議な絆が自分達を繋いでいることを感じていく。

『奇跡の人』のサリヴァン先生に憧れて教師を目指す弥生。演ずる田村芽実さんは元アンジュルム。時折表情が若き日の吉永小百合を思わせ、古風な顔立ちが清楚で役に合う。物語のキーを握る岡田奈々さんも素晴らしい歌声で、登場するとステージがぱーっと明るくなる。
演出の菅野こうめい氏がいい仕事をした。

ネタバレBOX

演出の菅野こうめい氏の才気が冴え渡る序盤は傑作の雰囲気がムンムンする。それが段々とトーンダウンしていくのは、原作のストーリーテリングが映画用の為、話が散漫で年表を見せられている感覚に。端折った部分こそ重要なエピソードだったりする。
ここは早逝したサクラ(岡田奈々さん)の視点を作って、二人を温かく見守る構成にした方が良かったかも。息子のあゆむ(神里優希氏)が語り手なのだが、殆ど登場しないし話にリンクしない。映画ではサクラの好きだった曲、坂本九の「見上げてごらん夜の星を」がキーアイテムに使われている。今作もそんなキーアイテムを設定すべきだった。
ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

斎藤憐の『ムーランルージュ』は今回初めて観た。本作で描かれるのは、戦後の新宿に再建されたムーランルージュと、そこを取り巻く人たち。とはいっても、自分の年齢ではこの時代の新宿のリアルな空気など分るはずもないし、新宿のムーランについては、森繁や由利徹などのコメディアンが出た劇場だと、各人の評伝本や小林信彦の本などで知ってはいても、歌手や踊り子さんたちを含めた一座というイメージを、あまり持っていなかったというのが正直なところ。

休憩15分を挟んだ二幕構成だが、一幕は思いの外、舞台が弾まず、二幕で持ち直したという印象。ただ、これは客入れ時のBGMで考え込んでしまった影響が多分にあるかも。

ネタバレBOX

開場後、席につくと流れてきたのは平野愛子の「港の見える丘」だが、あれ?これって'71年の再録バージョン? 次に池真理子、林伊佐緒、岡晴夫、霧島昇、菊池章子、ディック・ミネ、笠置シヅ子と続くが、何れも再録バージョン。

SP盤の復刻音源よりも、こっちの再録バージョンを探す方が面倒じゃないのかという曲もあったし、林伊佐緒こそ昭和25年の曲だが、他はほぼ昭和21~22年の曲で、これは確信犯的に再録バージョンを選んでいるのかなと思っていたら、最後に松島詩子の「マロニエの並木路」が流れてきて、これって昭和28年の発売だからムーランが閉館したあとの曲じゃないの?それにこの曲って、SP盤復刻音源が入ったCDを見た覚えがないような。あ、だから他の曲も再録バージョンで揃えたのか?でも、どうして昭和28年のこの曲を?…とか、いろいろ考えて頭がぐにゃぐにゃしているうちに始まったので、一幕はなかなか舞台にノレなかったのかも。

…この辺の流行歌に興味などない人からすれば、どうでもいいような戯言なので、何卒ご勘弁を。
アンチポデス【4月3日、4日のプレビュー、4月8日~13日公演中止】

アンチポデス【4月3日、4日のプレビュー、4月8日~13日公演中止】

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2022/04/03 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

「物語というものの本質とは?」というテーマと、フェミニズム的な要素とが劇の中で
主導権を争った結果、どっちつかずの(作中でいわれる)「キメラ」的作品に着地して
しまったような気がする。

皆が語ることができ、聞くことができるとされている「物語」も、性差や人種などで
見えない制限がかけられてしまう…っていう話に落ち着けた方が安易だけど良かった
ような。

ネタバレBOX

あるビルの一室と思わしき場所に8人の男女。というか、男性7人に女性1人。
彼らの目的は「クリエイティブの手で誰も知らないような偉大な物語を
作ること」。

といいつつ、場を取りまとめるリーダー・サンディの上には、「マックス」と
いう“偉い人”がいる他、「ジェフ」や「ヴィクター」というプロジェクトでは
同格と思われる人間との暗闘もあったりで、崇高なはずのクリエイティブは既に
マウンティングと足の引っ張り合いなど、どこかの会社でまんま見られる風景が
展開されてしまっている。

サンディを筆頭に、各人が物語作りのたたき台となる「個人的な話」を披露する形で、
プロジェクトは幕開けするものの、どこかで聞いたような下ネタトークに続いて、
散漫な話が続き、「偉大な物語」が立ち上がる気配は一向にない。

「個人的な話は個人的な話だからこそ誰にも聞かせたくない」と振り絞るように
言い放ったダニーM2はサンディに呼び出され、翌日以降は姿を見せなくなり、
外国籍と思しき参加者の1人は(おそらく)産業スパイを疑われて、IDを3か月も
発行されず困窮、

あげくの果てにはサンディのミソジニー、ゼノフォビア、ハラスメント気質が徐々に
明らかとなっていき、自由で闊達なはずの現場は完全に停滞しきってよどんだ空気が
ぷんぷんとなっていく。

…多分だけど、後半で言われてたように、「サンディを喜ばせるため」が参加者全員の
隠れた目的になっちゃってるから、プロジェクトが死産してしまったように思える。
個人的なはずの話が誰かのための話になってるというか。

サンディもプロジェクトより、外部や家族など個人的な折衝に忙殺されるようになり、
残された(というか完全に遺棄された形の)メンバーたちは帰ることもできずに、
ただただイミフな呪文を物語として発明したり、朦朧とした意識の中で1人がテキトーに
口ずさみはずめた物語を絶賛したりする。

書記係のブライアンが体調不良で部屋を去った後は、世話係のサラを代役に立てて、
物語作りは紆余曲折を経て進むも、久しぶりにやってきたサンディは「現代は物語を
新しく作り出せるような時代じゃない」という理由からプロジェクトの無期限凍結を
宣言する(というか権力争いに負けた果ての帰結な気がするけど)。

夢破れて呆然とする皆の中で、紅一点のエレノアが子供の頃に作った、分量にして
ノート販ページほどの“物語”を慰みに披露し、「みんなこういう話好きだったでしょ?」と
呼びかける形でいきなり幕を下ろす…といった話。

これ、劇中では議論も対話もないんですよね。それっぽい形をしたものはあるけど。でも、
プロジェクトが終わるまでにいい感じにまとまった物語っぽいものは萌芽してた。という
ことは、物語は「議論」や「対話」を通じて効率よく生み出されるものではない、あくまで
個人的なところを出発点にしないといけない、って感じ?

でも、ダニーM2が言ったように、本当に「個人的なもの」は物語として物語られないんだよな。
あくまで個人っぽいものが物語として扱われるわけで。エレノアの個人的な感性全開で書かれた
幼少期の物語は物語の体を成してなかったしね…。

そしてサンディがいなくてもプロジェクトは(ある意味ではかえって円滑に)回ったし、
ブライアンがいなくてもサラが役割を埋めたし、物語の中では個人が誰かというのは
究極的には関係ないのかも。個人がある、それだけで自然と物語は生まれてくる、そして
それは資本主義的なもの、そして芸術的なものとも離れたものな気がする…。

と感じたんだけど、そこまで考えないといけないのもなんかなって感じたりした。あと、
閉鎖空間での同調圧力とか排除って、日本だけでなく世界的にみて普遍なんだなって何か
おかしい気持ちにもなった。舞台や映画見るのってそういうの確認する作業の意味合いも
あるよね。
ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

実在したムーランルージュを舞台に、戦後の復興とその時代を生きた人たちの物語。
以下、公演中なのでネタバレで。

ネタバレBOX

劇場が舞台なので、歌や踊りを取り込み、華やかな面とその内情の悲哀が描かれており楽しめた。言論や思想そして出身国等により多くの制限を受けていた時代であるが、現在においても同様の問題は残っていると感じた。各人が生きる為に、各人の思いを乗せて歌う姿が印象的でした。ただ登場人物が20人と多く、多くのエピソードを入れている為か、やや人物描写に分かりにくい点もあり共感しにくい点もありました。劇場のオーナーについては、モデルの人物を知らない方が楽しめるかもと思いました。
ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」

ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」

エイベックス・エンタテインメント/クオーレ

サンシャイン劇場(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/21 (木) 18:00

歌もストーリーもグー。波瀾万丈な人生を描き切った傑作。2時間伴奏を続けたピアノの人もブラボー。

七慟伽藍 其の二十八

七慟伽藍 其の二十八

THE REDFACE

横浜関内ホール(神奈川県)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/21 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/21 (木) 18:30

 戦国の世から早四百年の歳月が過ぎ去った現代。名だたる七名の戦国武将(織田信長・武田信玄・明智光秀・朝倉義景・浅井長政・豊臣秀吉・徳川家康)らの魂は、天界へは行けず未だ冥界を彷徨っていたが、この夜、八百比丘尼の導きにより運命の再会を果たす。武将らが口々に語りだす、死の間際の心情とその後悔はやがて怒りの炎となって、『本能寺』へと繋がって行く。織田信長が消えた『本能寺の変』。その『本能寺の変』に至るまでの浅井長政の裏切り、そして『本能寺の変』当日に起こったこと、その裏で狡賢く画策し、他を蹴落とし、狡猾で卑劣、非道で、でもどこか憎めない豊臣秀吉、その豊臣秀吉に唆され、信長を討つ話に乗ったように見せて、実は…な明智光秀、と話が進むにつれ、『本能寺の変』の真実、武将たちのお互いの真相心理が暴き出され、曝け出されていく怒涛で、息もつかせぬ展開、そして大音量の雰囲気のある音楽、照明の変え具合が相まって、いつしか時を忘れ、活読劇の舞台に眼が釘付けになり、没入していた。

 俳優たちの、眼を見開き、口角泡飛ばし、速射砲のように長台詞をまくしたて、怒鳴り、叫び、この世を呪い、激しい怨念と憎悪に蝕まれた武将たちの魂が乗り移ってでもいるかのように、激しく動き、舞台上を踏み鳴らす、肉体全身を使った熱演ぶりに思わず、眼を見張り、俳優のその熱演ぶりに、良い意味で、劇場を俳優が支配していると感じ、よく通る声によって音響さえも凌ぐ迫力と、この世のものとは思えない禍々しさを出していて、そのこちらに差し迫ってくる演技に圧倒された。

 俳優たちの中で、ただ一人の女性役者も、男優たちに負けずに、声を張り上げ、豊臣秀吉を追い詰め、壮絶な最後を遂げる千利休を、千利休が自身に乗り移ったかのごとくな鬼気迫る演技に感服させられた。また、八百比丘尼の妖しく、掴みどころがなく、それでいてこの世のものとは思えない役どころを、見事に演じきり、艷やかで一筋縄ではいかない雰囲気を出し切っていて見事だった。足利義昭を演じる際の公家っぽい頼りなく、狡猾な雰囲気、しかし、それでいて、室町時代最後の将軍たる面影も漂わせる、難しい役どころも、器用に細かく演じきっていて、すごかった。

 最後の場面で、八百比丘尼が天界の門を開いてハッピーエンドにいっきに持っていくかに見せかけて、織田信長の怨念や執念は他の武将の誰よりも強すぎ、そのあまりに肥大化しすぎた負の感情のため、八百比丘尼含め、他の武将たちも、いっきに冥界へ引きずり込まれる衝撃的な場面で終わり、そのあまりの急展開に、しばらく愕然としていた。

 ただ一つ、二つもったいないのは、一人の老齢でベテランの俳優が熱演のあまりの何を言っているのかよくわからない場面があったことや、俳優たちが一斉に大声張り上げて喋って、台詞が被って聞き取れなかった場面、あまりの熱演に、声が裏返ったり、しわがれ声になったりする場面があったことが、強いて言えば、残念だった。

エゴ・サーチ

エゴ・サーチ

プラグマックス&エンタテインメント / サンライズプロモーション東京

紀伊國屋ホール(東京都)

2022/04/10 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

主演の今江さん(関西ジャニーズjr.)と明記されていなければ完全に役者さんとして認識していたはず。
彼のみならず、舞台上に登場する役者さん全員の個性が活き活きと輝いた”キラキラ公演”
逆にその全ての輝きがなければ成り立たない公演でもある。

自分と同じ氏名・プロフィールのSNS。
“なりすまし”というのはあるらしいけれど、そこまで有名人でもないのに何故に?一体どこの誰が?
?に惹きつけられながらアナザーストーリーの行方も興味深く、謎と笑いに満ち満ちて宝箱のような時間が過ぎていく
全ての流れが主人公に結びついた時…まさにスパーク!!鳥肌ものでした。
謎を解くだけじゃなく、笑わせるだけじゃなく、(ネタバレ自粛)残る余韻と会場との一体感、何より役者さん達のキラキラ感(時にはギラギラ感)
久しぶりの鴻上ワールドでしたが、やっぱり素晴らしかった。

ムーランルージュ

ムーランルージュ

ことのはbox

萬劇場(東京都)

2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

実際に新宿にあったと言うムーランルージュ。戦後間もなくに再開されて、多くの人に喜びや楽しみを届けたのだと思う。「どんなに辛いことがあっても舞台に出ればニッコリ笑って歌うの。」と言う役者さんたちに励まされ、慰められたことだと思います。
そんなムーランルージュに生きた人々の群像劇。いろんな生き様に共感できたりできなかったり、胸が痛くなったり。ちょっとしたレビューやお笑い(?)も楽しめました。

ネタバレBOX

どこまでが事実で、どの辺はフィクションなのだろうと終演後ついつい尋ねてしまいました。ムーランルージュを作った方が台湾からきた方というのは事実のようでしたが、他のエピソードは虚虚実実、ええ?私はあの話が一番刺さったのに!!・・・どこかはご覧になってみてください。
「流れる」と「光環(コロナ)」

「流れる」と「光環(コロナ)」

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了

実演鑑賞

俳優の生の声とP.A.を通した声にかなり差違がありましたね。
気になっちゃうんですよね。

ペリクリーズ

ペリクリーズ

言葉のアリア

キーノートシアター(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/25 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

言葉のアリアさんらしい作風

原作を未読なので、どういう変化があったかわからいですが、今このご時世に合っている作品だし、未来に向かうために必要な要素を含んでいる作品

今を悩んでいる方におススメです

 たとえばありふれたカノンのコードで

たとえばありふれたカノンのコードで

salty rock

遊空間がざびぃ(東京都)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/04/21 (木)

価格4,000円

21日19時半開演の初日舞台を拝見(90分)。

作者の頭ん中のオモチャ箱の中身をひっくり返したような、スラップスティックな登場人物達の言動に、肩の力を抜いて惑(まよ)わず愉しめる90分。
作り手たちの温もりが伝わって来るせいか、何処か懐かしい感じがする、如何にも小劇場演劇らしい作品だった。

それにしても、初期の作品群と比べて、大幅に”親しみやすい”作風に寄って来たことが感慨深い。

ネタバレBOX

【配役】
冴島悠(校閲担当の編集部員。45歳独身。魔法で動物の言葉がわかる)…内藤羊吉さん
長内友宏(バツ2の編集長。冴島と同期)…長瀬巧さん
片桐想子(編集部員。周囲には相手が誰だかバレバレだが片思い中)…杏奈さん
先浜優(ネットに詳しい編集部員)…高田那由太さん
後藤田明(彼女の本命が誰かを知りながらも、片桐に想いを寄せている)…古田龍さん
片桐啓二(自殺?しようとしていた冴島を助ける)…原田達也さん
木本小太郎(片桐の部下。実はアイドルだった冴島譲のファン)…恩田純也さん
冴島譲(冴島悠の年の離れた妹。悠には内緒だが元アイドル)…倉垣まどかさん
猫1(冴島悠の飼い猫。悠と会話することができる)…野崎涼子さん
広井奈々(冴島悠の昔のマドンナな同級生。今は子持ちのバツイチ)…植松りかさん
猫2(広井奈々の飼い猫。悠と会話することができる)…大寄正典さん
尾知山梨子(悠達の編集部に原稿を持ち込む常連だったり、神様?だったり)…伊織夏生さん
転生したハムレットの世界で生きるべきか死ぬべきか戻れるか、それが問題だ

転生したハムレットの世界で生きるべきか死ぬべきか戻れるか、それが問題だ

男肉 du Soleil

京都市東山青少年活動センター(京都府)

2022/04/21 (木) ~ 2022/04/23 (土)公演終了

満足度★★★★

内容はハムレットなんだが、ハチャメチャ。ラップや踊りが凄いけど、ほとんど合ってない…。でも元気をもらえる🎵アラフォーかなと思える人達が汗だく👕💦で踊り暴れる様子は圧巻。疲れが吹っ飛びました‼️

貧乏物語

貧乏物語

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2022/04/05 (火) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

6人の女性の強さを感じる物語。
保坂さんが、美しさと強さを全身で表現されていて魅力的だった。枝元さんのコミカルさも好き。

「流れる」と「光環(コロナ)」

「流れる」と「光環(コロナ)」

劇団あはひ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/04/09 (土) 14:00

【流れる】
能の「隅田川」に「子を喪った親」という共通項で天馬博士とアトムを加え、狂言回し的に芭蕉・曽良のコンビを配するクロスオーバーぶり。
「隅田川」を予習して臨んだので確かに下敷きになっていると思いつつ「一筋縄では行かない(私見)」あはひのこと、もしかして「女」は実在していないのでは?とか盛大に誤読(なのか?)して楽しむ。
なお、この回のアフタートークでライター・編集者の九龍ジョーさんが「観ながらあれこれ関連付けたり想像したり」とおっしゃっており「わが意を得る」(笑)。

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