帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4) 公演情報 劇団チョコレートケーキ「帰還不能点(8/17~8/21)、短編連続上演(8/25・26)、ガマ(8/29~9/4)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『ガマ』
    米軍戦史に「ありったけの地獄を一箇所にまとめた戦争」と記された沖縄戦。住民の4人に一人が死亡、おおよそ3ヶ月で県民12万人以上が亡くなった。
    岡本喜八の名作『激動の昭和史 沖縄決戦』は映画館だけでも10回近く観ている。新藤兼人の脚本が淡々と事実を積み重ね地獄絵図を記す。しかもこの映画が公開された1971年、沖縄戦を体験した住民が岡本喜八に食って掛かったそうだ。「あの地獄をこんな生ぬるい映画にしやがって!」
    余談だがスピルバーグは岡本喜八の大ファンで『シンドラーのリスト』にはこの映画のオマージュがある。(『プライベート・ライアン』にも『血と砂』のシーンがあったような気がするがもう忘れてしまった)。スピルバーグは来日する度に岡本家を訪ねて来たそうだ。昔、奥さんから直接聞いた。「皆、黒澤明監督の事しか記事にしないけど本当よ。」

    今作はその黒澤明調に始まる。ガマ(防空壕として使われていた自然洞窟)に入ってくる3人。ひめゆり学徒隊の看護要員(清水緑さん)、鉄血勤皇隊の引率教師(西尾友樹氏)が担ぐのは崖から落ちて意識を失っている負傷した兵士(岡本篤氏)。ランプを灯すとうっすらと中の様子が見えてくる。この照明が絶品で、綿密に繊細に計算尽くされた技術。照明・松本大介氏の見事な手腕。『羅生門』のようなおどろおどろしさから物語は始まる。

    この劇団は役者一人ひとりの厚みが売り。黒澤組や喜八組を観ているような感覚で、今回は誰が何の役なのか、登場すると三船敏郎や仲代達矢ばりにゾクゾクする。
    この面子を前に堂々と主演を張った清水緑さんは末恐ろしい。

    ドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』(三上智恵、大矢英代共同監督)も是非観て頂きたい。護郷隊も出てくる。

    ネタバレBOX

    黒澤明の『白痴』みたいに寓話的にやるのかと思っていたが段々と岡本喜八調に。
    岡本喜八映画なら誰を配役するか、妄想して観ていた。

    清水緑さん(丘ゆり子若しくは大谷直子)
    西尾友樹氏(伊藤雄之助若しくは加山雄三)
    岡本篤氏(中谷一郎)
    青木柳葉魚〈ししゃも〉氏(佐藤允)
    浅井伸治氏(寺田農若しくは砂塚秀夫)
    大和田獏氏(常田富士男)

    期待しすぎてしまったのか、個人的には不完全燃焼。後半になるにしたがってイマイチ腑に落ちない。
    会話に使用する言葉の選び方に違和感。話す内容も今現在の日本人目線で話しているような遣り取りに感じられ、リアリティーがない。わざと意図的にやっているのかと穿って観てしまった。先に結論ありきで作ってしまったような妙な感触。自分の観方が悪いのかも知れない。
    それでもこういう作品は絶対に作っていかなければならないし、自分も観ていかないといけない。

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    2022/08/30 14:45

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