加担者 公演情報 オフィスコットーネ「加担者」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    五十年も前に書かれたスイスのデュレンマットの日本初演が、まるで時局問題劇のように見えるのも演劇の面白いところだ。
    世を捨てたかに見える化学者(小須田康人)がたまたま暗黒街の大ボス(外山誠二)と知り合いになり、化学の知識を生かして地下五階のラボで死体を溶解する仕事をはじめ、自らの生活を回復する。もちろん悪いヤツらは次々と警察(山本亨)や政治家にも手を伸ばして、化学者の知識を食い物にする。やがてそれは破局するが、ボスと科学者の間に女(月船さらら)も絡んで、大衆活劇的筋立てである。出演者たちがみな大衆演劇にも通じる分かりやすさに振り切って演じるので、テーマは明確である。それぞれのキャラクターも筋立ても通俗だが個性的で、駅前劇場としては長尺の2時間20分を飽きさせない。
    母国ではデュレンマット作品としては不評で再演もしていないというのも肯けるが、そういうところがかえって、極東の国でリアリティを持つのも芝居ならでは。
    今の日本の政治の裏筋をめぐる混乱も実のところはこんなものか、と連想させる面白さもあって久しぶりの直球時局劇になった。企画賞である。

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    2022/08/30 23:52

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