実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/08/25 (木) 19:00
この『伯爵のおるすばん』という劇は、不老不死の男として歴史に名を残した稀代の詐欺師サンジェルマン伯爵に焦点を当てた、その謎めいた人生を解き明かす内容に胸がときめき、期待が膨らんだ。
サンジェルマン伯爵が人々に300年以上生きてきたと言って回って信じ込ませ、金持ち連中から金をせしめていた詐欺師時代は、ほんの百年ほどの間だけというのは意外だった。
その後、近世、近代、現代、近未来、それからずっと気の遠くなるような未来を経て、宇宙の全部が静かに終わりを迎える最後の瞬間までの間、永遠とも思えるような時間をずっと、何一つ成し遂げられず、惰眠と後悔にまみれて生きていた彼と、彼が愛した伯爵夫人、女子高生、男性、宇宙人、大人の女性など様々な人たちとのやり取りを通して、サンジェルマン伯爵にも独りよがりな面があったり、相手に弱い面を見られたくなくて、強がってみたり、長年一人で、寂しく孤独で不安な面があったり、不老不死な男だって、白髪が多少増えてきて、歳は確実に取っていたりとサンジェルマン伯爵の人間味が見て取れて、この劇を観て、サンジェルマン伯爵だって一人の人間なんだなぁと感慨深くなり、前よりも親しみを感じるようになった。
最後の場面で、サンジェルマン伯爵と関わりを持った人たちが、伯爵を真ん中に一同に会すところには圧倒された。
サンジェルマン伯爵役の人もそうだが、他の登場人物もとても個性的でアクが強く、面白かった。