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時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
其ノ拾伍 『赤心〜せきしん〜』で武田義信を、そして其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』で勝頼…武田家の悲哀が描かれている。本公演で続けて甲斐・武田家を取り上げているが、前作との関連をしっかり描いている。勿論、フラーヤーの絵柄である白百合である。この白百合は武田信玄と嫡子 義信さらに勝頼と親子の絆を表すと同時に、「威厳」(花言葉)を示しているよう。しかし全体的に赤色、それは武田軍甲冑の赤揃えだけではなく、何となく血=悲運を連想させる。劇中の台詞、罪なき人々の命が犠牲に…。舞台の中で描かれる勝頼像は、戦国武将としては純粋で心優しき者のようだ。

時代絵巻AsH は、戦国という乱世の時代の それも巨星ではない人物に光を当てている。巨星とは違う人間味によって、単に「滅びの美学」だけではなく、如何に生きるかといった生き様を描く。信玄という巨星の後を継いだ勝頼、後世における比較評価、武田家を滅亡へ という事実、その概観に捉われずその人物の魅力を舞台化する、そこに時代絵巻AsH 灰衣堂 愛彩女史の力をみる。
(上演時間2時間20分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台セットは今までの時代絵巻 AsHの定番とは少し違い、正面から上手にかけて主に軍議評定する場、下手に櫓のようなものを作り立体化する。勿論 客席との間は中庭のような空間を作り殺陣シーンのためのスペースを確保する。上手下手の客席側には土庭があり、殺伐とした風景に憩いと生(植物)を感じさせる。出来れば この櫓へ階段を設え、その上り下りといった動作で躍動感を出してほしかったが…。
細かいところでは衣装、例えば真田昌幸の陣羽織には六文銭の家紋があり、武門に対する拘りが観てとれる。

物語は勝頼の幼少から討死までを時代の出来事(合戦など)を通じて順々と展開する。史実のような事実は描かれるが、必ずしも事実が真実とは限らない。その曖昧さにフィクションを持ち込み戦国時代ならではの権謀術数が怪しく描かれる。直接的な合戦シーンは織田・徳川の連合軍との長篠の合戦、織田の甲斐侵攻(最期は天目山)の2回だが、殺陣シーンを長くし観せ場を作る。赤揃えの武田軍、黒揃えの織田・徳川軍という一目瞭然の違いで視覚的に楽しませる。
殺陣という派手な観(魅)せ場…その敗戦の中で 武田家譜代家臣との確執がなくなり、家臣から「命に軽重はないが、名前にはそれ相応の重みがある」と告げられる。そこに生い立ちから今迄の辛苦をさり気なく描く。

また、あり得ない設定だが、勝頼と(織田)忠信がそれぞれの巨星の跡取りとしての境遇、そこに何となく相通ずる人間味を描く。が、冒頭の義信と勝頼の会話「守るべき事(人)」のために生きるという台詞が効いてくる。運命の歯車が狂い、自分が家名、領土、領民を守る立場になる。戦国時代ゆえ それぞれの領地と領民のためという前提の前には、たとえ人間的魅力があろうとも、どうにもならない 今でいう不条理が垣間見える。

公演は、勝頼という不運の武将を情感豊かに描きつつも、全体としては戦国という時代絵巻を観せているようだ。ここに史実とは異なる物語性を起こし、さらに主人公の生い立ちと義信亡き後、武田家を継いだ悲運の武将を立ち上げる。そこに観客の同情、義憤を掴むという、劇的には巧みな描き方をしている。時代のうねり、勝頼の人間的魅力という社会・個人の両面をバランス良く描いた力作。戦国時代絵巻としての完成度は高い。舞台美術一つとっても創意工夫を凝らし 常に挑戦し続ける、その姿勢が素晴らしい。
次回公演も楽しみにしております。
秒で飛びたつハミングバード

秒で飛びたつハミングバード

かるがも団地

OFF・OFFシアター(東京都)

2022/12/15 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/12/17 (土) 14:00

この劇団の本公演を観るのは3回目。とてもいい気持になる芝居。観るべし!112分。
 20代後半の男女が、悩んだり振り返ったり落ち込んだり前を向いたりする群像劇。中心になるのが教員の絵莉子(柿原寛子)とその近所に住む仁科(袖山駿)。さらに、その知己の歯科医・アッキー(武田紗保)と同棲するあきら(大嵜逸生)、絵莉子の同僚後輩の畠中(家入健都)や仁科のパート仲間・氷室(助川紗和子)、仁科や氷室が買いに行く弁当屋の東(一嶋琉衣)も加えて、様々な関係の男女の葛藤を、コメディで描く。とにかくセリフのキレがよく笑わせてくれるが、時にシンミリさせるあたりも脚本の巧さを感じるし、それを笑いにできる役者陣も見事。7人に加えて、老婆や中学生ほか「森羅万象」を演じる宮野風紗音が巧い。間を取らず展開する演出も効果的だ。この年代の持つ、達成感と喪失感を巧みに描いて、とてもいいモノを見せてもらった気になる。
 本劇団の本公演は3回目だが、どれも星5つを付けてる!作・演出の藤田はリアルさに満ちた物語を書き、自分の経験をベースに書いているのではないかと思う。人間を信じる気持を書いているのではと感じる。
 とにかくいい芝居である。

美々須ヶ丘

美々須ヶ丘

fukui劇

劇場HOPE(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/12/17 (土) 13:00

120分。休憩なし。

秒で飛びたつハミングバード

秒で飛びたつハミングバード

かるがも団地

OFF・OFFシアター(東京都)

2022/12/15 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2022/12/16 (金) 19:15

115分。休憩なし。

踊り部 田中泯 「外は、良寛。」

踊り部 田中泯 「外は、良寛。」

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2022/12/16 (金) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

田中泯77歳。2002年、山田洋次監督、真田広之、宮沢りえ主演の『たそがれ清兵衛』にて俳優デビュー。クライマックス、真田広之と果たし合いをする敵役なのだが総毛立つ凄まじい存在感。「何だこの人は・・・」「この人の舞踊を見てみたい」と強く思った。それから20年、その日が来た。

客席通路に三人の男達(甫木元空〈ほきもとそら〉氏・三嶋健太氏・緒形敦氏)が赤い着物の女(石原淋さん)を担いで登場。さらってきた女を森の奥深くに捨てて立ち去る。石原淋さんは一人、舞台へと歩みを始める。樋口可南子っぽい印象。紅花の着物は幕末期の物らしい。この彼女の動きが強烈なインパクト。映画のワンシーン。田中泯氏が唯一認めた弟子とのこと。

ステージ・バックには杉本博司氏のアートが巨大スクリーンに投影される。日の出前の海が時と共にじんわりと姿を現す。絵のような写真のような水平線。じっと目を凝らしてしまう。(毎回変えているらしい)。他にも良寛の筆運び(「秋の日に光りかがやくすすきの穂 これのお庭に立たして見れば この人や背中に踊りできるかな」)や動きを止めない星々の大群が降り注ぐ。「雪は天からの手紙である」と中谷宇吉郎は言った。時折ぱらぱらと天から雪が舞い落ちてくる。

舞台中央、天井から一本の透明なパイプのような綱が垂れ下がっている。それを揺らし手繰り寄せまた揺らすのは作曲家本條秀太郎氏。三味線で奏でられる曲がリフが効いていて心地良い。キュアーっぽいゴシック・ロック。

田中泯氏は童のようにはしゃぎ回る。猿と兎と狐が集まる。幟を掲げ振り回して走る。ステージ中央に巨大な奈落があり、柵で囲まれたその周囲を駆け回る。はしゃぐ爺さん。
時折、上手に座り眼鏡を掛けると、良寛についてナレーション的に本を読む。

奈落が迫り上がり幾何学的な枠組みだけの家と寝床が現れる。
70歳の良寛と30歳の貞心尼(ていしんに)が出逢い、純愛が始まる。貞心尼の詠んだ「鳶(とび)は鳶 雀は雀 鷺(さぎ)は鷺 烏(からす)は烏 なにか怪しき」が曲として歌われる。これが名曲。世間の人に二人の関係が変に思われないだろうか?と心配する良寛に返した句。
手毬が始まり、夢中になって遊ぶ。

松岡正剛氏が「良寛の“書”」について書き下ろした本、『外は、良寛。』。書道専門誌の出版社からの依頼。
「淡雪(あわゆき)の中に顕(た)ちたる三千大千世界(みちおうち)またその中に沫雪(あわゆき)ぞ降る」
松岡正剛氏は「一沫の良寛が一千の雪となり、三千の良寛が一泡の雪となる。そのように雪と良寛がしきりに降りつづけているわけなのだ。」と解いた。
「雪は天からの消息である」。
「ただただ良寛の淡雪が降っていたのです。気がつけば、外は良寛━━、良寛だらけです」。

ネタバレBOX

中村達也が観に来ていたそうで興奮。

カーテン・コールの田中泯氏の言葉が強烈。
「私の師匠は一億総踊り手であると言いました。踊りとは虫や鳥や花も生来宿しているもの。寝たきりの老人だってベッドの上で手だけで踊れる。高度な技術、鍛錬した肉体を必要とするものだけが踊りだとしたら・・・、そんなものは糞ったれだ!」
もう踊りとは生命そのものなのだろう。生命の無意識の歓喜。
『メサイア・カーミラ』&『FEMIKING』

『メサイア・カーミラ』&『FEMIKING』

TremendousCircus

ザムザ阿佐谷(東京都)

2022/12/16 (金) ~ 2022/12/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2022/12/17 (土) 13:30

今までの私が苦しんできた分、救われた気がしたよ。泣いていた私の味方でいてくれる、そんなお話だった。⚠でも今まで差別や性犯罪の被害にあった子はフラバに注意⚠

ネタバレBOX

作中では「アライ(当事者じゃない味方)男性はマシな悪人」って言われてる。男性からしたらとんでもない、大げさな話だと思うかもしれないけれど、これは女性の目線で見た《真実》のお話。作中出てくる悲しい物語は、その殆どが実話。
男性は自分の加害性を知ってほしい、男性にこそ見てほしい演劇だった。男女の“議論”や“喧嘩”は実は平等じゃない。あなたが怒るとき、声を荒げるとき、立つとき、あなたより力の弱く小さい存在がどれだけの恐怖を覚えているか、それを知ってほしい。
ひめごと

ひめごと

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良かったです。
謎めいたストーリー、役者さん達の演技力、素晴らしい舞台美術等、観応えがありました。
そして、韓国楽器のカヤグムの生演奏が素晴らしく、感情豊かな音色で舞台を盛り上げていました(演者さんの着ていたチマチョゴリも素敵でした)
ストーリーの中の「ひめごと」は何なのか、事実は何なのか?どんどん惹き付けられ、何とも、もどかしいようなラストも絶妙でした。
とても良い舞台でした!

ある母の記録

ある母の記録

NonoNote.

コフレリオ 新宿シアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

家族って素敵だったりめんどくさかったり・・・

ネタバレBOX

甘えがあるのでしょうか。他人なら絶対言わないような言葉を投げつけてしまったり、それを言わせてしまった自分を責めたり。素直になれなくて謝れなかったり。
それでも心を開いて素直になれたら、新しい自分になれるのでは?
主人公を見守る従兄弟のまりちゃんが良かったです。
ひめごと

ひめごと

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

写実的セット(リアル)の中に散りばめられた美の数々(特に柿の木の圧倒感)
ドラマと共鳴する韓国伝統の弦の音色(形は琴に似ている)
そして舞台美術には「能舞台」をモチーフに とありましたが、最近 能の世界を拝見したばかりだったので、すごく理解できてこれまた興味深く見惚れてしまう要素
ゆったりした美しいリズム、舞台が現実(客席)とはまるで別空間でありながら、それでいてしっかり存在していたのは、役者さんの確かな演技力に加えてこうした「能舞台」のテクニックや色んな美意識が仕掛けられているからだと
まるで物語の中に「ひめごと」が隠されているのと呼応し合っているかの様で
それ故不思議に味わい深く染み入ってくる作品でした

物語が丁寧に紡がれていく中、もうお母さんがとんでもなく「ひめごと」を持っていそうで、「あっ そうか、もしや」と、こちらの想像も登場人物と一緒になって膨らんでいき・・・

これはもう役者さん5人とは思えないくらいの広がり、そして人の見え方の移ろいと言ったら
ミステリーな風味もしてネタバレ厳禁ですが、とても上質な終わり方だと思いました

殺意

殺意

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

青年劇場スタジオ結(YUI) (東京都)

2022/12/06 (火) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

弁護士役が独特の味を出している。

『ピーチの果て、ビーチのアビス、つまりはノーサイド』R-18

『ピーチの果て、ビーチのアビス、つまりはノーサイド』R-18

キ上の空論

サンモールスタジオ(東京都)

2022/12/15 (木) ~ 2022/12/21 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2022/12/17 (土) 13:00

Aチームを観劇。
狂愛を強く感じる作品でした。

しまいこんでいた歌

しまいこんでいた歌

劇団かに座

横浜関内ホール(神奈川県)

2022/12/16 (金) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 横浜で活躍する地元劇団のようだが、初めて拝見した。今回の上演作品は山田 太一さんの作である。演出は馬場 秀彦さん。華4つ☆

ネタバレBOX

 ホールで明転すると舞台美術が余りに立派なことに仰天した。業界3位か4位のガス器具メーカー研究所所長の家の居間が表現されているのだが、絵画が壁を飾り家具調度の類も品のある落ち着いた雰囲気を醸し出している。上演回数だけからみても歴史のある劇団であることは一目瞭然だが、実際拝見してみて役者陣の演技は自然で落ち着きのある力量を感じさせるものでありつつ、作品内容に含まれる内部告発問題に就職氷河期に所長自らが紹介して入社した女性が絡んでいたこと、実際内部告発が為されれば所長自身の出処進退に関わるであろうことと、これらの事情を鑑み中に入って何とかしようと立ちまわる、この告発当事者である娘の母の行為が周囲を巻き込み、遂には「浮気」問題にまで発展しかけ、所長夫婦と告発者父母夫妻の夜の関係までもが赤裸々となる中、真の告発者は、研究所の若手ホープであり実は彼が彼女に内部告発をさせたこと、そしてそれにはそれなりの正当性があり、現実に現幹部の経営は汚辱に塗れ、こうでもしなければ改善が望めなかったこと等々が明らかになる。然し・・・。という内容でこのラストに様々な歌が入って大団円を迎えるが肝心の腐敗は「明転」することがない。即ち事大主義を告発することなく、明示することで終わる。これが日本の限界だ。との位置も示した作品であった。
フローレンスの庭

フローレンスの庭

虚空旅団

AI・HALL(兵庫県)

2022/12/16 (金) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

タイトルだけ見ると「アルプスの少女ハイジ」的なほのぼのドラマのようやけどリアルに医療を取り巻く人間達を描く重厚な物語でした☆総勢22人の登場人物達それぞれにドラマがあるんでお芝居や映画等単発じゃなく連続ドラマとして見てみたい作品やと感じました☆2時間強の長丁場やけど笑い所や壱劇屋大熊さん演出による身体表現シーンで観客を惹き付ける演出もお見事でした♪

幽霊はここにいる

幽霊はここにいる

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2022/12/08 (木) ~ 2022/12/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

戦争で自分だけ生き残ったというサバイバーズギルトと、戦後日本の道義なき儲け主義を、巧みな趣向で描いた。前者のテーマを、幽霊が見える深川(神山智洋)がにない、後者を詐欺師の大庭三吉(八嶋智人)がになう。非常に構造がしっかりしているので、安定して面白い芝居。そこに、死者も金に換えるドライな庶民と、幽霊商売に乗っかって地位と財産を守ろうとする有力者たちがからんで、「死者と生者のカーニバル」がくり広げられる。

線が細く幽霊を頼って生きる深川を神山が好演、深川をゆうれいとわかれさせようとする大場ミサ子(秋田汐梨)も、若々しく、周囲のゆがんだ大人たちとは違った純粋さが際立った。しかし何よりの功労者は八嶋。独特の愛嬌を存分に生かし、口八丁の憎めない詐欺師ぶりを熱演。舞台を引っ張った。

深川が戦友を見殺しにしたという過去を、ミサ子からきいた新聞記者の箱山(木村了)は、「そういうことは戦争に行った人はだれしも体験しているのでは?」と冷めた答えを返す。私はこのセリフが印象に残った。サバイバーズギルトのもととなる体験でさえ、その特権化を拒否するとともに、逆に誰もがそうした思い体験を持っているのだと、心の傷の未曽有の拡がりを示唆する。幽霊を背沿っているのは一人ではない、と。

1958年、まだ戦争の記憶が生々しかったころの、そして高度経済成長が始まったころの戯曲。85分+休憩20分+75分=3時間

ネタバレBOX

深川の語る幽霊が「市長になりたい」「結婚する、相手はミサ子」と、大場たちの思惑を超えて、暴走し始めるのが面白い。それに振り回される有力者連中。本物の深川(山口翔悟)が現れ、深川(実は吉田)のつきものが落ちる。この有無を言わせぬ解決は見事。本物の深川(弁護士)の颯爽としたスマートぶりが、解決役としてピッタリ。

有力者たちが幽霊にあてがおうとしたモデル嬢(まりゑ)が、逆に有力者たちを手玉に取って、新しい幽霊使いになる変身、幽霊商売は深川なしでも続くラストには、皮肉がきいていた。
安倍公房は、死者を忘れて儲けに励むことを肯定したと、パンフで木村陽子氏は書いていた。おしそうなら、新しい面影を宿す未亡人を肯定した坂口安吾のように、となるだろう。でもどうだろうか。死者を忘れることはそうだとしても、豊かさを追う日本人の方は、それをリアルに描いただけで、肯定したとは言えないのではないか。続く幽霊商売については、かなり戯画的にシニカルに描いている。

最後は再び爆撃と銃撃の死者たちの場面をイメージさせて終わる。ウクライナの事態を踏まえての演出だろう。でも劇構造としてサバイバーズギルトを解決したラストとマッチしない。蛇足であり、いらぬ現代化だったと思う。

客席は若い女性客でぎっしり。ジャニーズおそるべし、は相変わらずだ。
ひめごと

ひめごと

劇団大樹

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

よく生きろ!

よく生きろ!

小田尚稔の演劇

こまばアゴラ劇場(東京都)

2022/12/09 (金) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度

素人感満々な一作。見せ方の稚拙さ、泥臭さに閉口。
同様の題材を面白く、洗練を伴って見せてくれる演劇人はいくらもいる。
こんなものに10日も費やすなら、笑の内閣が京都の劇場の人事問題を扱った東京未上演のアノ作品とか、掛けてほしかった。
最近のアゴラのプログラムはアート寄り演劇に傾きすぎてやしないか?
ブルー&スカイ『音楽家のベートーベン』、ブルドッキングヘッドロック『バカシティ』などの上演実績もあるアゴラ。そういうエンタメ寄りの楽しい劇もやってくれー! よろしくお願い♪

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻AsH 其ノ拾六『赤雪~せきせつ~』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

ある母の記録

ある母の記録

NonoNote.

コフレリオ 新宿シアター(東京都)

2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 旗揚げ公演とのこと、それでこれだけ質の高い作品を創れるとは!

ネタバレBOX

 ちょっと舞台美術もユニークだ。丁度凸の字を手前に引き倒したような平台の高さ位の構造のホリゾント側センターにその背後を遮る大きなパネルが設置され袖を為している。凸の字の底辺から凸部のセンターに浅い掘り炬燵の凹みのような穴がありその中に可成り大きな座卓が据えられている。その両側に座布団が2つずつ敷かれている。この凸型構造物の周囲が板剰余部分だ。この剰余部分側壁側には壁にそってそれぞれ4つずつ、箱馬が置かれ、一旦役を演じた役者が座れるようになっている。
 旗揚げ公演ということだが、役者陣は中々修行を積んできたとみえる。脚本も一般の人々が日常的に経験する夢へのチャレンジと挫折の繰り返しの中での家族個々人の葛藤と居直りを母と長女との関係を中心に、姉妹同士の葛藤のうちにも在る、自己保持の為のプライドとそのような形でしか自己実現し得ない窮屈な発想から抜けられない硬直した思考の様を描くことによって多くの人々の共感を得る作品となっている。このような視座で書ける限り、作品の種は尽きぬであろう。今後にも注目したい劇団である。
凪げ、いきのこりら

凪げ、いきのこりら

安住の地

シアタートラム(東京都)

2022/12/16 (金) ~ 2022/12/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

7人の白い男女の群舞のような幕開け、「ヘイワ」を合図に、争いが始まり、その後の世界へ。本編は遠い未来の話のようだが、字幕には「1000年前」と繰り返される。遠い未来の出来事を、さらに未来の客が1000年前のこととして見るという構図だろうか。

わずかに残った陸地で暮らす、生き残った生物たち(人間とは言わないが、演じるのが人間で言葉も発するから生物一般とは見にくい)。二度と再び繰り返さないように、「過ちはくりかえませんから」と空虚な誓いを繰り返す。しかし暴力、喧嘩、争いは再び盛り上がり、止められない。差別をタブー視する政治的正しさをホルスタイン差別で戯画化するのはコント。そうした偽善への冷笑はあちこちに。

言葉だけの反差別、平和、共生を揶揄しているが、抽象的なので嫌味はない。そこが取り柄。いくさ批判、闘争が続くことへの嫌悪と、平和や良識の形をした偽善への批判・嫌悪が併立する。目一杯肉体と声を酷使した演技(パフォーマンス)なのだが、抽象的で面白みに欠け、直接的すぎて微苦笑と食傷が抑えられない。最大の嵐の予感、異なる種族らしい足跡など、回収されないままの伏線も多い。1時間50分

ネタバレBOX

赤いヒラヒラの女が卵を産み、育てるという男と、こんなひどい世界に生まれさせない、殺すという女の対立が起きる。女は「穴」に食われ、他にもふたりが食われ、皆恐慌に陥る。指導者のウブメが、「あなたのことは新しい世代が覚えていてくれるから大丈夫」と励まして、生き残ったものらは「穴」と戦うため、皆飛び込む。ナナシ(日下七海)が卵に希望を託して。
最後に地上について聞いたことを懐かしむ二人は、子孫だろうか。
『ダークダンス』

『ダークダンス』

尾米タケル之一座

ウッディシアター中目黒(東京都)

2022/12/07 (水) ~ 2022/12/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かった!ヒーローと悪との対決をメインに繰り広げられる舞台、複雑なようでいてしっかりとした一本の芯(おそらく人の想い・特に家族の絆)があってとても見やすいないようでした。
アクションも舞踏のような殺陣で特撮にはできないアイデアの勝利!といった華麗な演出。出演されている役者さんたちもどなたもキャラが立っていてとても好感度高い、それでいてどこか抱えたもののある人物像を演じ切られていて良かったです。
総じて「舞台」という題材を最大に生かした素晴らしい作品でした、ありがとうございます!

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