よしの観てきた!クチコミ一覧

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祈る速度

祈る速度

Cui?

新宿眼科画廊(東京都)

2011/07/29 (金) ~ 2011/08/03 (水)公演終了

満足度★★★

中々難解な作品
中々難解な作品。
おそらく、引きこもり(登校拒否)と思われる男性・女性と、
その周囲の人々の物語。
狭い空間の端部分に椅子が並べられているだけで、
同じ高さの狭い空間が「舞台」である。

開演前から、無数の黄色い積み木がY字を歪めたような会場で並べられ、
また、黄色い人型のぬいぐるみ(枕?)も置かれている。

そういう中、必ずしも理路整然としていない台詞が、あるいは元気なく、時には激情的に語られていく心理劇。
もちろん、その台詞や動きは、少々精神病理的…。

ということで、評価も難しいし、観る人ごとに
当然印象も大きく異なるであろう演劇作品である。

私見では、もう少し観る者のイメージを膨らませる方向で
作って行った方が良いかなあ、という気がした。
それから「間」をもっと工夫して…。

しかし、冒頭から出ている黄色い積み木や、
後半に出てくる死んでしまった猫を象徴する赤い積み木などは、
何とも印象的であった。

今後、この劇団がどういう方向に進んでいくのかは分からないが、
良い個性を出していければ、と思う。

spelling09『縁の鵺(よすがのぬえ)』

spelling09『縁の鵺(よすがのぬえ)』

VARNA -The Another Words-

TACCS1179(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★

役者と演出に問題が・・・
千秋楽に観ました。
すでに多くの方から指摘がでているように、役者の実力の問題と、
台本・演出の問題が大きいように思われる。

特に、後者については、唱和部分と、普通の台詞回しの部分とを、
交互に登場させて劇を進行させていく手法が、
まったく上手く行っていない、と思えた。
そういう手法は、例えば武勇伝もののような、もっと派手派手しい
ものの方が合っていると思われるし、最初から最後まで使うのではなく、
「ここぞ!」という場面で、効果的に使うべきではないだろうか?

何となく、そのパターンが見えてきてしまって、
「ワンパターン」になってしまい、飽きを感じさせるようでは、
逆効果になっていると言わざるを得ない。

正直、とても長く感じ、「早く終わらないかなあ…」と思ってしまった。

この芝居では、死ねないながらしかし滅びて行く(行かざるを得ない)者の
悲哀を、特に最後では感じさせるべきはずで、そうであれば、
どういう台本・演出をもっと洗練させたものにして、
かつ良い役者を揃えてみたら、
筋の流れや取り扱っているテーマ自身は良いものであるだけに、
全く違った印象を受けたかもしれない。

愚鈍起承転浪漫譚

愚鈍起承転浪漫譚

シンクロナイズ・プロデュース

吉祥寺シアター(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★

後半の多重的性格が素晴らしい
漢字八文字のお堅いタイトルが付いているだけに、どんな内容なのかな、と思っていたが、ドン・キホーテを素材とした中々面白い内容だった。
劇団を題材にしていて、劇団員対象の自虐ネタなども織り交ぜながら、
芝居が進んでいく…。

私など、演劇は観るだけの人間で、演劇関係者の舞台裏など中々知る機会
もないのだが、やはり一癖ある人間同士(?)、色々あるんだろうな
と感じ入った次第。

初めは、稽古開始前の、ベテラン劇団員の変な習性に、
若い団員たちは引いてしまっているのだが、そこにさらに変な人(?)
姫路が登場する(笑)

自転車の車輪やら掃除用のモップ(?)を持ち、かつ(前の座席でしか
見えないと思うが)鎧はビール缶で作ったもの(ある意味凝ったもの)で、
これも笑ってしまう。

一応、設定では、姫路は演出家らしいが、そういう設定が不要と
思われるほど、ドン・キホーテ(ドン・キショーテ)役に成り切っている。
それで、若い役者はさらに引いてしまい、冷やかに見ながらも、
何とかやめさせようと試みる。
私としては、正直、前半のこの辺りでは、落ち着いている若い役者の
冷やかな台詞が、興ざめに感じられて、劇の雰囲気や進行の妨げに
なっていたような気がした。これがちょっと残念。

しかし、話が佳境に入るにつれ、この話が、ドン・キホーテの話そのもの
なのか、それともその話を「演じている」話なのか、あるいは
「演じるための稽古をしている」話なのか、分からなくなってくる、
というか渾然としてくるのである。

ドン・キホーテも、妄想で自分が騎士と思い込み、そして佳人を思慕する。
姫路も、妄想によってドン・キショーテになってしまったのは、
ある意味同じ現象で、そういう意味で、この芝居が二重(いや三重以上?)構造性を有している。
こういう多重的構造を感じさせる演劇には、そうはお目にかかれるもの
ではなく、貴重な鑑賞体験をしたと思った。

音楽には、クラシックのいわゆる「後期ロマン派」と呼ばれる辺りの曲を
中心に用いられていた。R.シュトラウス(ドン・キホーテも)、マーラー、ショスタコーヴィッチ、さらには、ブラームス、チャイコフスキー等々も。
こういうクラシック音楽の使用は、普通は上手く行かないことが多い。
なぜなら、劇の付随音楽として書かれたもの以外は、そのクラシック音楽
自体、独立した芸術作品であり、劇の内容と齟齬を感じさせられることが
ほとんどである。まして、この作品では、マーラー5番のアダージェット
に歌詞まで付けて歌ったりして…(ふつうは悪趣味になるのだが…)。
ところが、今回は不思議なほど違和感を感じさせなかった。
思うに、その場その場に合うだけでなく、劇全体の雰囲気を醸し出させる
ためにも役立つ曲(の部分)が選ばれていたと思う。
選曲者の音楽の素養の深さと見識を感じさせる。

なお、この作品はR.シュトラウスで言えば、むしろオペラ「ナクシス島のアリアドネ」(あまり有名な作品ではないが)との類似性を感じさせる。
このオペラも、芝居の舞台裏の話が前半(ここの台本はモリエール)で
あるし、この前半部分のドタバタおふざけの後、陶然としたアリアが歌われる辺りも、今回の芝居との共通性があるように思われた。

5Pに近い4P。

花と魚

花と魚

十七戦地

シアターバビロンの流れのほとりにて(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★

テーマは良いと思いましたが・・・
初日に観ました。
すでにレビューでは、他の日もことも書かれてますが、
良くなってきたみたいですね・・・。

ネタバレBOX

会場は、練習場のような室内の床に白線で囲っただけの部分が舞台であり、
この舞台の奥側以外の3方を客席が取り囲んでいるという配置である。
大道具はもちろん、目立った小道具も使われない。

女性役者数人が開演前から登場していて、床に足を崩して座り込んでいる。
そして、神楽に向けての、村の女性達の準備のシーンから始まる。

そのシーンが終わると、今度は男性ばかりのシーンとなる。
何やら打合せの様子。

というように、初めは女性だけのシーン、男性だけのシーンと繰り返され、
話も比較的穏やかに進んでいくのだが、しかし次第に話はシリアスになってくる。

どうやら、足のある魚が村内に出没しているようで、
男性陣の会議はそれについての話し合いであった。
安全を考え、駆除を主張するもの、一方、
動物愛護の観点から人との共生・保護を主張するものとで、意見が分かれる。

そしてついに、当初は保護の方向で動いていた会議や行政が、
駆除に方針転換する。

結局、保護派の指導的立場であった調査員が、獣医の資格を持つ故に、
泣く泣く処分(屠殺)をすることになる。

ところが、この「魚」の被害は、すべて屠殺派の人間のでっちあげだった
ことが分かってしまう。

また、昔の使い込み事件についても、冤罪で、実は、
立派な人物と思われていた故人の有力者の仕業であることまで
発覚してしまう・・・。

保護か屠殺かの意見の対立をきっかけにして、これらの人々の間に、
様々な感情が噴き出してくるのだが、芝居の進行とともに、
人間の醜い側面が露わになってくる。

すなわち、人の良い田舎の人達のもう1つの側面である、
余所者や、親族が問題を起こした人間を軽侮し排除する発想、
また自分の考えを通すためや欲得のためなら、
嘘をつき、デマでも何でも流してしまい、
冷静で筋の通った話を押し流してしまう風潮等々…。
もちろんこれらは、別に田舎の人間のみならず、
人間ならある意味誰でも持っている醜い側面であるのだが、
それらが浮き彫りになってしまうのである。

さて、以上のように題材は大変興味深いものであるが、
私としては、ちょっといろいろの要素を盛り込み過ぎたのではないか?
…そんな気がした。
つまり、「神楽・神話・信仰」「(自然科学的観点からの)自然保護と
住民の利益の対立と調和の問題」「(SF的な)足のある魚の登場」
「人間の嫌らしさと素晴らしさ」という、ある意味、
どれも大きなテーマとなりうるものが盛り込まれすぎてしまい、
限られた時間では焦点が絞り切れなくなってしまった印象を持った。

それから、ある意味この芝居のキーマンの1人である調査員役の役者が、
私の観た日は、なぜか何度も台詞を噛んでいたのが、
やはり正直気になった。
1度か2度くらいなら、まだ良いのですがね。
実験都市『ご来場ありがとうございました。』

実験都市『ご来場ありがとうございました。』

演劇ユニットG.com

劇場MOMO(東京都)

2011/07/27 (水) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★

複雑な伏線、しかしあっさりと・・・
この芝居も、ユーザーの評価が大きく分かれているが、
私には残念ながらイマイチに感じられた。

開演前の舞台風景は照明の効果もあって美しく、
やや暗めの中に木製の結構立派な椅子が2つ横に倒れていて、
これから起こるであろうドラマを観る者に何となく想像させる。

さて、大体の筋は他のユーザーのレビューですでに紹介されているが、
「実験都市」の役人達(?)と、「実験都市」から別の裏都市への亡命者達、
これらのグループが前半は交替して登場し、
その後これらの登場人物が混じり合って、さらに進行していく。
さらにその後、「裏都市」から逃げてきた少女も加わる。
それで、すでに書かれていることだが、前半しばらくは伏線が多く、
背景や事情が良く分からないまま、専門用語(?)的な台詞が一杯出てきて、
少なくとも私には、中々頭を働かせ回転させなければ
付いていけない内容であった。

ところが、前述の通り、初めは別々に登場していた人たちが一堂に会して、
話をするうちに、これらの「伏線」が氷解してしまう。
まあそれは、分かりやすくなったという点では良いことなのかもしれないが、
ちょっと拍子抜けの感が……。
だって、「伏線」というのは、話が進むにつれて、
じわじわ氷解して行った方が、楽しいですからね。

結局は、作家が書いた話を、実験都市の指導者がそのまま実行している、
ということらしいけど、「まあそうなのか」と思えばそれまでだけど、
この辺もすっと腹に落ちない気がして…。

それから、役人達の隊長らしき人は、初めはいささか頼りなく、
しかも何を頼んでも「都市からの命令」というだけで、
いわゆる「典型的公務員」というタイプなのだが、
急に性格が変わって、劇場的な指導者タイプになる。
このあたりが特にそうだが、不必要な怒鳴り合いが多く、
その辺もちょっと個人的には引いてしまった。
ところがさらにもう一度性格が変化し(?)、
亡命案内人役の女性と恋に落ちてしまうと、なぜか優しい家庭人になり、
裏都市から脱出してきた少女まで愛しむようになる。
別に体験を経て変化することは悪くはないのだが、
変化する理由が私には釈然としなかったのですよね…。

あと、細かいことであるが、亡命者グループの売春婦役の女性は、
終始シュートパンツ姿で、まあそれもいいんだけど、
ただ、亡命途中で、人工太陽が消えて砂漠で
急に酷寒に襲われるシーンがあって、
他の人達は、冬支度のような格好になるのだけど、
この人だけはそのままで、特別寒がっている様子もないまま。
こういうところにも少々違和感を感じてしまった次第。

Gottanism

Gottanism

たろプロ

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/07/26 (火) ~ 2011/07/26 (火)公演終了

満足度★★

【第二部:『10分枠のオンパレード!!』】途中で退散しました
第2部は「10分枠のオンパレード」と称して、
1グループ10分の持ち時間で8グループが演じていく趣向。

1組目は「パンダ君」による漫才。
正直イマイチで、突っ込みは鋭くないし、ボケ役もボケない。
まあただ、後半になって少しは良くなってきたかな、とは思った。
そんなわけで、ここは2P。

2組目は「ロディとハムトン」によるコント。
コント2本(ファミレスものと記憶ガム(?)もの)と歌だったが、
正直ここもイマイチで、コントも2つ目の方が多少は良かったものの、
さほど面白くは思えなかった。
そして歌は、はっきり言ってヘタクソだと思ったが、ファンの方なのだろうか、
結構ノリノリになっていた人もいた。おじさんにとっては面白み無し。
ここも2P。

3組目は、「吉田周史&仙波祐資」によるコント「面接」。
その名の通り「面接」の場面のコントなのだが、
正直、私にはまったく面白さが分からなかった。1P

そして、前半最後の4組目は「あいだしんご」による
朗読劇「とある記者の取材手記(マテリアル)」。残念ながらこれも話が中途半端に思え、満足できなかった。2P

ということで、ここまで見て、正直「これは!」と思える出来には
まったく出会えず、しかも、ここで21:20となっており、すでに2時間半近い。
もうこれ以上観る気が失せてしまったので、ここで退散した。

最後に、これは第1部から気になっていたことであるが、
お客もアルコールが入っているせいか、あるいは関係者が多いからなのか、
私には理解できないくらい盛り上がっている人もいて、
しかも、俳優さんに心ない声掛けをする者もいて、
関係者でない私など、正直ドン引きしてしまった。
まあ、主催者側がお客の台詞(?)を制限することは
できないのかもしれないが、劇団関係者なら、
最低限の配慮はしてほしいと思った。

Gottanism

Gottanism

たろプロ

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/07/26 (火) ~ 2011/07/26 (火)公演終了

満足度★★★

【深森らえる:「詩和」】落ち着いた出来だが散漫な印象も
第1部3本目は、声優さんによるリーディング。
この日私が観た中では、これが一番落ち着いていたし、
質的にも高かった気がする。
ただ、静かに、そして情感豊かに感情の襞を聴く者に伝える域には
残念ながら達していなかったと思う。

それと、私の座った席が悪かったのかもしれない(3列目左端)が、
スピーカーが近いせいか、音楽が結構大きく聞こえ、
肝心のリーディングの方に余程集中していないと、
印象が散漫になってしまう気がしたのが残念だった。

Gottanism

Gottanism

たろプロ

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/07/26 (火) ~ 2011/07/26 (火)公演終了

満足度★★★

【鈴木克彦&茂木美佐子:天使の役作り】構成は面白いが、演技を磨いてくれれば
第1部2本目は、2人芝居。作家と、原稿を待っている編集者女性の話。

ネタバレBOX

編集者は原稿を待っている間、ついついうたた寝を。
それを編集長からの電話で目を覚まさせられる。
目が覚めたところで、作家は途中まで出来上がった原稿を編集者に渡し、
感想を求める。
ところが、編集者の言動になぜか不審感が漂う。
それを咎めて作家は編集者を問い詰め、
初めはしどろもどろの返答しかできなかった編集者……
ところがついに逆切れし、反論する。
「何でここまで知っているのか」と作家を問い詰め始める。
それは、編集者の幼い頃の思い出したくもない辛い出来事が
そのまま赤裸々に描かれていたからだ。

しかし、またも攻守は反転して、編集者が辛さゆえに犯した過去の罪を、
作家が責め始める……。
場面は転換し、編集者のうたた寝が編集長からの電話で
妨げられるシーンが再現する……
「ああ。今のは夢だったのか」と。

ところがさらに、場面は転換し、作家が電話で話している。
実はこの男は作家ではなく、編集者(?)の女性が過去の罪に苦しんでいるのを治療しようとしていたのだ。

最後、やや転換が慌ただしいが、しかし30分で収めるには仕方がないし、
観客の予想を裏切っていく構成は面白かった。
ただ、演劇としては、例えばただただ言い合いになるシーンなど、
私などはついていけないところがあって、
より演技を磨いていもらえればなあ、と思った。

そして、もう少し公演時間に余裕が持てれば、
もっと良い芝居になるような気がする。
「イキザマ」

「イキザマ」

RISU PRODUCE

シアター711(東京都)

2011/07/22 (金) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

多少の欠点を吹き飛ばすような「カタルシス」に浸る
詳しい筋は既に書かれているので書きませんが、
大変読後感ならぬ観劇後の印象が強い
素晴らしい作品でした。

正直、前半はテンポがイマイチで、モタモタ感もあった。
笑いもあまり取れなかったり……。
新人採用試験~練習開始のあたりまで。

また、これは仕方がないかもしれないが、
舞台に立派なリングが用意されていて、
臨場感は抜群ながら、
しかしこれは簡単に撤去できるものではないため、
常にこれが舞台上にあるわけで、
結果、舞台装置の転換ができない点が、
もしかすると変化の無さの原因になりうるかもしれない。

それから、登場人物は、病気以外にも、
何らかの悩み・屈折感・挫折感を持ち合わせていて、
劇の進行に従って、各人はそれと向き合っていくことになる。
これも、頭の理屈で考えれば、結構クサい台詞
(「感謝」「人にやさしく」など)もあったし、
冷静に考えれば、これはベタな人情話なのかも。
(こういうことを書いてしまう私はつまらん人間?)

ただ、そうは感じさせなかった理由として、
1つには、プロレスを題材として、
身体のぶつかり合いという要素が
しっかり表現されている点があると思われた。
それは、リング装置のみならず、
役者もこの公演のため相当鍛え上げた様子であり、
その効果が計算されたものかどうかは分からないが、
リアルな格闘技的な演劇表現が、
ただエンターテイメント的な面白さのみならず、
全体的印象についても良い効果を出していたと思う。

そして、観終ったあと、(極めて個人的な体験でしかないかもしれないが、)
私は「カタルシス」的な「浄化」感に自然と包まれていた。
(ご存知の方には釈迦に説法ですが、
アリストテレスは(ギリシャ古典)悲劇について
カタルシス(浄化)という見地から論じているわけです。)
もちろん、この話は、この話は悲劇ではないのですけど……。
演劇にしろ、音楽にしろ、「感動」することもしないこともあるけど、
「感動」しても「カタルシス」に浸ることは、
実はあまりないのです……。

終演後の挨拶も、何かそういう雰囲気を引きずったもので、
それだけ役者陣が「役」に没入できていたのだろうと思う。

ということで、多少の欠点はあるにしても
それらを十分吹き飛ばしてしまうような
素晴らしい出来であった。

余談ですが、私の隣にはお嬢様が座られていたのですが、
大変感受性の強い方で、私以上によく笑い、そして泣いていました。
終演後アンケートを記入しながらちょっと話をしたら、
他の劇団の方で、この日の出演者のお一人とお知り合いとのことでしたが。
(あまりしつこく聞くのもどうかと思ったので、劇団名などは聞きませんでした。)
現代でも(こういう言い方が失礼なのは承知ですが)若い方で、
こんなにピュアな方がいらっしゃるのですね。

Gottanism

Gottanism

たろプロ

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/07/26 (火) ~ 2011/07/26 (火)公演終了

満足度★★

【幻灯‐chat:「meteor」】少々不満が残る内容
5日前観た「□.」と同じ会場。
この日の内容は、第1部と第2部に分かれており、
第1部は「中・短編オムニバス」ということで30分程度の演目が3本、
第2部はさらに前半・後半に分かれ、
10分程度の演目がそれぞれ4本、計8本という盛り沢山の構成。
公演時間も19時から22時までの3時間という長丁場で、
その代わり途中での「出入り自由」とのこと。

ということで、各演目ごとに1投稿とすれば、私の投稿数をうんと稼げるのだが、
特に第2部についてそれをやることは顰蹙を買いそうなので、
第1部は演目ごと、第2部は前半4本をまとめて1投稿とするつもり。
とりあえず、第1部1本目だけ投稿します。
(後述するが第2部前半までで退散した。)


第1部1本目は、SFチックな物語。
夜空が落ちてきて暗くなり、それがブラックホールとも関係していて、
ここに、タイムカプセル(これも時間性を感じさせる小道具)や
パンドラの箱(ブラックホールの逆のイメージ?)も登場する。
ただ、昔埋めたタイムカプセルを探しに来た人達と、
「暗さ」を測定している人達との台詞がほとんど噛み合わない。
もちろん、台本自体がそのように書かれているのであるが、
「前衛作品」として解釈しても、何かイメージが湧くわけでもない。

それに警報音に対して異様にバタバタするのも気になるし、
たまに詩的な台詞が出てきても、それが聴く者の心に響いてくるわけでもない。
そんなわけで、少々不満が残る内容だった。

【公演終了!次回公演は12月!!ザムザ阿佐谷!!】鋼鉄の処女

【公演終了!次回公演は12月!!ザムザ阿佐谷!!】鋼鉄の処女

劇団鋼鉄村松

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/07/22 (金) ~ 2011/07/24 (日)公演終了

満足度★★★

評価が大きく分かれていたのですが・・・
この芝居、ユーザーの間でも評価が大きく分かれていたので、
自分が観てみてどう感じるか、というのが楽しみであった。
で、観終わった後の正直な感想としては、私はイマイチ派……。
もうすでに、多くの方がおっしゃっていることながら、
今回の台本の素材として、青ひげと、ジャンヌ・ダルクの物語がある。
ただ、比重は後者の方が大きいと思う。

そして前半部は、ジャンヌの物語を徹底的に卑俗的に
パロディ化したナンセンスなもので、
もし、ジャンヌの熱烈なファンだったら、怒ってしまうのではないか、
と思われるほど。
まあ前半のすべてを「学芸会」とは私は思わないし、
面白く感じた部分もあったが、例えば、「戦闘シーン」など、
幼稚かなあ、とも思ったし、しかもそれが何回か繰り返されるんですよね。
ここはもうちょっと考えた方が良いかも。
しかしながら、後半になるにつれて、雰囲気は変わり、
「ジャンヌ伝説は嘘で塗り固めたもの」でありながらも、
そこに各人物の悲哀や切なる思いが見られるようになる。

すでに指摘されていることながら、私も気になったのは、
この前半部と後半部のつながりである。
もちろん、前半は笑いを取りながらも後半はシリアスになっていく、
という作りは良く見られるもので、それを狙うこと自体が悪いわけではない。

ただ、今回の話では、ジャンヌは聖女ではもちろんなく、
それどころか、前半でははすっぱなウソツキ女として描かれてしまっている。
それ自体を私は悪いとは言わないが、ただ、そうなると、
後半の展開に正直、違和感を抱いてしまったのである。

パロディ的にやるのなら、むしろ徹底的にナンセンス路線で
押し進めた方が良い気がするし、多少路線転換するにしても、
前半のナンセンスさを前提に作っていかないと、
後半のシリアスな場面が良いと思った人は、「じゃあの前半はなんだったの?」
と感じてしまうと思う。

あるいは、後半を生かすのであれば、前半をあまりに卑俗的にするのは避けて、
下品にならない範囲で笑いを取っていく方が良いように思った。

そんなわけで、公演自体は期待を持った分少々残念だったのだが、
以下は演劇自体と全く関係ない話で、終演後挨拶で、
500人動員達成ということで、ボスから受付嬢(?)に公開プロポーズが
されてしまい、その返事も○印ということで、おめでたい話がございました。
そういうわけで(?)、一応3Pにします。

玄朴と長英

玄朴と長英

ピーチャム・カンパニー

ART SPOT LADO(東京都)

2011/07/23 (土) ~ 2011/07/30 (土)公演終了

満足度★★★★

台詞に重点が置かれた緊密な芝居
この日の会場は、劇場と言うよりも、普段は画廊なのか、
あるいは元々は美容室か洋品店だったような小さなスペースで、
道路側に、ショーウィンドーのような大きなガラスと、
やはりガラスが嵌め込まれた扉があり、
そのままならば道路側から中を覗くこともできるし、
逆に内側から道路を歩く人を眺めることもできる。

ネタバレBOX

さて、それまで前説やお客さんの案内などをしていた2人の男性が、
道路側の2つのシャッターをいきなり下ろし、
外側と完全に遮断されるところから、この芝居は始まる。
(余談だが、したがって遅刻したら正規の入口(?)からは入れない。
あるいは裏口があるのかもしれないが?)

舞台(というか客席と同じ空間で、
椅子が無くスペースがあるだけだが)には、
2人座れる大きさのソファなどがあるだけ。
そして、2人とも洋装で、いきなりつかみあいから始まる。
んん?これは前衛ものだったっけ?と思ったり……。
しかし、つかみあいが終わり、2人の対話が始まる。
基本的に、この芝居は対話のみによって成立している
と言っても過言ではない。
台詞は前衛ものとは全く異なった、至極真っ当な(?)時代劇風のもので、
もしこの芝居を、時代に合った舞台装置と衣装で演じても、
(多少月並みかもしれないが)立派な一つの演出となったと思う。
私も、正直、最初のうちは、白熱した言い合いには満足しながらも、
「なぜ、洋服とソファでやるの??」と若干の違和感が……。
しかし、観ているうちに、なぜかそのことが全く気にならなくなってしまった。

私の勝手な推測だが、やはり台詞と役者の表情の力でこの芝居を成立させたい、という考え方で、あえて、衣装や装置をニュートラルに
したのではないか? そんなことを思った。

音楽も抑制的で、時々クラシック調のものが流れる程度。
こういう控え目な使い方もむしろ効果を上げていたように思う。
ということで、緊迫感ある大変良い芝居を観ることができた。
まあただ、台詞に重点が置かれた緊密な芝居なので、
少々のトチリでもできれば無い方が良いし、
振りについてもより磨きをかけてくれれば、ということで、
5Pではなく4Pとしました。
MARBLE!

MARBLE!

たすいち

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2011/07/22 (金) ~ 2011/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

観客の期待を良い方向に裏切っていく巧みな構成
舞台は七夕にちなんで織姫と彦星の物語のパロディ
(と言うほどでもないか)からまず始まる。
それで、そういう話が進んでいくのかと思っていると……

ネタバレBOX

……そうではなくて、これは、小学校で七夕の話を教えている様子を、
演劇的に具体化して表現したものであった。
ちょっと型破りで、若干下品で、でも多分良い先生
(私はこういう先生、個人的に好み)であろう教師と、
6人の生徒のやり取りが始まる。タイムカプセルを埋め、
12年後に掘り出すこととなる。
そのうちに、どの小学校でも存在したであろう怪奇物語「七不思議」
(音楽室、理科室、トイレ……)の話が出て、
その日の夜に学校に集合して肝試しをやることに……。

まあそんなわけで、これは小学生が登場人物の童心を扱った
お話なのかな? と予想していると、
今度は就職して間もない人たちの物語へと舞台は転換する。
そして、彼らは先程の小学生たちが成長した姿であることも明らかになり、
そうか、青年の物語なんだ…、と今度は思う。
ところが、過去の回想と思われた小学生時代の芝居は、
それ以上の意味合いを持っていたのだ。

(ネタばれでも明かしませんが)過去の「異変」に気付いた彼らは、
タイムマシンで小学生時代に戻り、
それにより、「青年時代」と「小学生時代」が交錯していき、
そして、話はSF風に・・・・・・。
ここで、小学生役と青年役に、
それぞれ別の役者を当てていた理由も分かる。

ということで、ある意味、観客の期待を、
良い方向に何度も裏切っていくような巧みな構成も素晴らしい。
さらに、役者達も、それぞれの配役の人物像を的確に把握し、
演じ分けていた。

また、題材として、季節感ピッタリの肝試しや七夕を取り上げていることも
粋であるし、また七夕伝説から星の距離が「光年」で測られることが
授業風景で紹介され、そこから時空をそれとなく観る者に
想像させる手法なども中々のものと思った。

ただ、ここまで凝った作りをされているので、冒頭の七夕伝説のシーン
(実は青年役の役者によって演じられる)も、
最後に他のエピソードとともに融合していき、
その深い意味が把握されるのかな、と思っていたが、
そういうことはなく、これはやはり導入だけだったよう……。
それと、これはかなり些細な話だが、
この先生も、実は小学生の1人なのだが、名前が姓名とも変わっている……
まあ何とでも解決できるし、もし名前が同じなら伏線にもならないので
仕方ないとも言えるが、何かしら、
小学生期と青年期を仄めかす仕掛けがあったら面白かったかな、
と極めて個人的な好みだが思った次第。

ということで、+1の毎月のシリーズ、結局3回連続で観て、これまでも独断と偏見で5P付けてますが、やっぱり今回も満点とします。
「 □.  」 満員御礼の内に終了いたしました!!皆様ありがとうございました☆!

「 □.  」 満員御礼の内に終了いたしました!!皆様ありがとうございました☆!

コズヱヲプロデュース

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/07/21 (木) ~ 2011/07/24 (日)公演終了

満足度★★★★

痛メルヘン……
……という語を、(当日パンフレットにも書いてあったのだが)
アフタートークで聴いて、「なるほど」と思った。

ネタバレBOX

全身に傷口ができてしまうという難病に罹ってしまった少女。
そして、この地方の伝説に従って、これは世の中の苦しみを背負っているのだと信じ込む少女とその兄の2人。

一方、この2人に対して、非常に現実的な兄の妻と、この家の猫(?)。
さらにそこに、東京からやってきたという旅人の男性が雨宿りに現れ、
この少女に恋心を抱いていく……。

少女の苦しむことしか意味を見出せない兄は、現代風にいえば、この少女と「共依存」とでも言うべきか?

しかし、少女は兄の気持ちも分かりつつも、旅の男性の言葉に魅かれていく
……そして、ついに2人で東京へ行くことを決意する
……ところが……(ここから先は「ネタばれ」でも言いません…笑)。

さて、バーを会場にして演じられるこの芝居は、
事前の「説明」にもあるとおり、基本的に暗い中で演じられる。

観客にはピンホールの開いた紙で覆われた懐中電灯が渡され、
観客の好みによって、これを点けて観劇する仕組み。
もちろん、そういう覆いが付いているので、
これを点けても役者や舞台装置は、ほんの僅かに、ほの明るくなる程度で、
場内の雰囲気は壊されないようになっている。

また、その場面に登場していない役者は、
舞台裏に引っ込んでいるのではなく、
不気味に舞台の周囲を静かに周回している。
これも、場内を独特のオーラに包みこんでいく役割を担っている。

まあ、こういう話と演出なので、不気味というか、超現実的というか、
神秘的というか、とにかく独特の雰囲気が終始漂っており、
そこに違和感ある「兄の妻」と「旅人」が、
いわばストーリーと雰囲気を撹乱する役回りとなっている。
最後は兄の妻はその夫によって……(これも内緒)。
というわけで、おそらく観る者の好みで、
好き嫌い・評価は相当別れるのではあるまいか?

ただし、私的には、こういう雰囲気の芝居は珍しいし、
とにかく、かなり気に入った……。

アフタートークでも、主人公の少女役の三浦梢は、
独特の雰囲気を湛えていた。
彼女のこういう雰囲気も、芝居全体の形成に大いに貢献したと思う。
だめのすけ、バスに乗る。

だめのすけ、バスに乗る。

映像・舞台企画集団ハルベリー

Geki地下Liberty(東京都)

2011/07/20 (水) ~ 2011/07/24 (日)公演終了

満足度★★

下ネタが滑ったらだめのすけ?
残念ながら、イマイチの印象。
話の進行のテンポが悪いのがまず1点。
場面の展開がすっきりしているとは言えず、もたもたした感がある。
それに、特に前半では、台詞の発声・滑舌が良くなく、
大声の割には何を言っているか分からない人もいた。

次に、男性芸能人のマネジメント会社の女社長と、
研修派遣先のバス会社の担当は、双子の姉妹という設定で、
1人の役者が実際には演じているのだが、せっかくそのようにやるのなら、
もっと女社長はアクが強く豪放で、
一方バス会社社員の方はよく気が回り控え目
……のように対比観を鮮明にして演じ分けないと、面白みがない。
2人が同時に出られない苦しい設定を逆手にとって
笑いを取ろうというシーンも、それまでの器用な演じ分けによる面白さが
必要だし、なおかつドタバタ感ももっと欲しかったところ。

そして、もっとも気になったのが、結構えげつない下ネタが多く、
しかも、それがあまりウケていないこと。
例えば、ベテランバスガイドさんが、研修生として来た男性の股間を触る
(一応、やや上部に触れていたようだが・・・笑)など、
やりすぎの感が多かったように思える。

もちろん、下品な冗談が嫌いとか、下ネタすべて反対、
などという品行方正な人間…と言いたいが、
残念ながら別に私はそうではない…。
下ネタでも面白ければ大いに笑ってしまっている。
ただ、(ちょっとでなく)かなりの下ネタで、
しかもそれがウケずにすべってしまうと、
下ネタ独特のいやらしさだけ印象に残ってしまい、
普通のシャレがウケない以上に逆効果となってしまう。
そして、下ネタでない洒落についても、笑いが取れているとは言い難く、
この辺もう一工夫ほしいところ。

ただ、時に大ウケしていたシーンも何回かあっただけに、
可能性は秘めていると思う。次回以降に期待したい。

紙一枚の才

紙一枚の才

LiveUpCapsules

pit北/区域(東京都)

2011/07/08 (金) ~ 2011/07/18 (月)公演終了

満足度★★★

福地の何を表現したかったのだろうか?
すでに多くの方のレビューが投稿されていて、
私も概ね同様の感想なので、重複は避けて申します。

この劇場は初めてで、劇場入口は2階席の高さで、
決して舞台は広くなく、舞台のある1階は思ったより低いこともあって、
珍しい角度からの観劇になるとも思い、2階席で観ることにした。

ただ、2階席は若干1階舞台部分にまで張り出しているので、
自分の真下で演じられるとやはり観にくい。
また、紙に筆でさらさらと書くシーンなど、
(もちろん、本当には書いていないのは暗黙の前提だが、)
2階席で観ていると、本当に何も書いていないのが丸見えである
・・・まあこれはご愛嬌だが、
でもまあ、本当は多方向から見られている舞台では、
どの方向から見られても良いように
演出されるのが本来であろう。
(なお、劇団の女性係員より、「できれば1階の方が良い」と、
きちんとご案内は頂いていて、
あえて私が2階を選んだことは念のためお断りしておく。)

ネタバレBOX

開演直前には煙くなってきて、
そして、2階席部分から役者が1階席舞台に向かって、
本をバシッ!と投げつけ、芝居が始まる。
(これも1階席にいた方がびっくりしただろう。)
この辺は、何やら前衛っぽくもある。

ただ、この後、前半部分は、まるで、
TVの歴史番組に挿入されたお芝居のような感じで、
歴史の流れやエピソードをなぞっていく形で、説明的に過ぎるきらいが。
(演劇台本の常として、前半は材料の提示、後半はそれらの収束による結末
・・・となるパターンが多いのは致し方ないとしても、)
ここは、「事実の適示」以上演劇的表現がもっとほしいところ。
些細な出来事でも、微妙な心情の変化や
「機微」というものがあるはずですし。

ところが、後半部分では、主人公福地が、
政府側の伊藤に協力することにより、
取材の便宜も得、それにより書けた生々しい西南戦争の記事の人気や、
「御用新聞」として部数を伸ばしていたのに、
福地のライバル福澤が突然伊藤に登用される。
その裏切りのショックに福地は叫び、のた打ち回る・・・
新聞も政府批判側に鞍替えし、
そして最後は2階席から、
それらの出来事に翻弄される
人々や新聞記事を象徴するかのように、
膨大な量の紙がばらまかれる。

ここで、前半に足りなかった、
福地の心情的表現が極めて突出した形で現れたわけだが、
これは少々唐突だし、かつ前半からの流れでいうと過剰なのではないか?

そして、せっかく福澤に比べて知名度が低くなってしまった
福地を取り上げたのに(私自身不勉強だったので勉強にはなったが)、
これでは結局、「福地はやっぱり小物だった」
という印象しか持てなかったのだが、
これは作者・演出家の狙い通りなのだろうか?

それから、明治の重鎮たちの存在感が無いのも、
若い役者がやっているためとはいえ、ちょっと残念。

なお余談だが、舞台上に装置として狭い階段が
2階席に向かって作られており、
しかし、2階席には元々金属柵があって、
その柵を超えないと2階に上がれないし、
階段自体も旧家や城にあるもののように
狭くて急勾配で手すりも無いもので、
2階席で観ていると、事故でも起きないか(地震もあるし)と、
余計な心配をしてしまったりもした。
無事故を祈ってます。
俺たちはエスパーじゃねぇ

俺たちはエスパーじゃねぇ

KAMAYAN

シアターシャイン(東京都)

2011/07/15 (金) ~ 2011/07/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

様々な未来観・人生観の交錯
題材はとても興味深いものであった。
小説家になりたいが、恥ずかしくて作品を見せるどころか、
小説家志望であることさえ他人に言えないフリーターの女性・・・
どうして夢を実現できないのか、いやそもそも夢は実現するものなのか、
自問自答・・・というか独白。

そして、彼女と直接関わりを持たないのだが、全く同じで、
小説家を密かに志望している記者の男性。

一方で、大学進学も、就職も自分の夢を叶えてきた実力派女性、
努力を重ねて編集者になった苦労人だが少々アクの強い男性、
さらにはちょっぴり超能力がある「えすぱー」(?)の男女カップル、
それにTV出演するほど「未来予知」の超能力が認められており
「未来は決められている。私はそれを見ることができる。
未来は変えることができない」と断言する男性・・・
これらの登場人物が、数人ずつ交錯して場面場面を構成していく。

登場人物により、当然、未来観、そして人生観は異なるわけで、
その違いのぶつかり合いがとても面白く、
また観る者にも様々な(これらの、そして観客自身の)未来観・人生観を
考えさせられる。

こういう思索的・哲学的な題材は私は好みだし、
構成の「骨組み」もよくできていたと思う。
そんなわけで、多少の短所には目をつぶって5P!

では、その小さい「短所」は何か?と言うと、
正直、中々上手い表現が見つからない。
(なお、基本的に、私はただ理由なく貶すようなことは
しないつもりでおり、これまでも、特に批判的な部分については、
なるべく具体的に書いてきたつもりです。)
例えば、台詞としては、基本的にはいいのだけど、
でも「少々くさいな」と感じた所が何箇所か・・・。

当たっているかどうかは分からないが、
先程「構成の“骨組み”」と書いたように、
基本的には「未来観・人生観の異なる人物を交錯的に登場させていく手法」
は上手い方法と思うのだが、
あまりにその「骨組み」自体が直接ぶつかり合ってしまい過ぎているのかな、
という気がした。
なにか、オブラートに包んだり、緩衝材があったりして良いような気がするし、
その「オブラート」「緩衝材」が秀逸だったりすると、
演劇の「芸術的」な側面がより良いものになるかな・・・
どうも上手く言えないが、そんなことを感じた次第。

役者も、その「配役」のオーラを見るからに放っている人が多く、
これは良かったと思うのだが、ただ、こちらも、
(今述べた「骨組み」の話と共通する気がするが)
言動にちょっと雑なものがある気もした。
より細部まで、気が回って行き届いているとなあ・・・
と少々思ったのも確かである。

僕の時間の深呼吸-21世紀の彼方の時間にいる君へ

僕の時間の深呼吸-21世紀の彼方の時間にいる君へ

ジェイ.クリップ

青山円形劇場(東京都)

2011/07/13 (水) ~ 2011/07/18 (月)公演終了

満足度★★★★

役者も装置も素晴らしいが・・・
すでに公演についての詳細が書かれたレビューも投稿されているので、
重複は避けます。

主人公は、学校ではイマイチ冴えない少年だが、大人社会への逞しい想像(妄想?)や、シニカルな視点を強く持ち合わせている。

そのような想像や、将来の夢を織り交ぜた話が展開していき、
まあ現実には起こり得ないものではあるが、
それを、観る者それぞれに、主人公の想像の産物ととらえても良し、
実際に時間の旅をしたと取っても良し、
まあ自由に受け止められる作品である。

さて、役者も実力者揃いの芸達者であり、
かつ、舞台装置も中々凝っている
(まあ下世話な話だが、お金もかかっているであろうもの)。

となると、本来なら5Pとなって良いはずなのだが、
私としてはやや「ゆるい」感じがしてしまったのは、
やはり台本・演出でもう一工夫できたのかなあ、ということ。

最初の場面は、少年の部屋から始まり、仕切りにかかってくる電話に、
適当に嘘を言って対応しながら、
そこにこの少年ならではの想像が次第に強くなり、
以下の場面に進行していく。

舞台上には、壁があり、その奥には
上開きの扉で仕切られた小部屋(?)がいくつかあって、
その中が場面場面に応じて変化する。

そして、主人公以外の6人の役者は、
特に決まった役が決まっているわけではなく、
場面場面によって、その個性に応じて(?)様々な役に就く。

例えば前半の「夜の台所」あたりでは、6人のコック達がやたらに
細かい話をして、一方お客だった主人公が
いつしか新米コックのように扱われ、
ところが最後はなぜか「お葬式」になるというような、
まあナンセンス仕立てのややドタバタ調。

しかし、話が進行していき、後半になると、
人生の悲哀やシニカルさの要素が強まってくる。
やや思索的な色合いが強くなってきた、というべきか。

それで、私の好みとしては後半のものの方が気に入ったし、
そういう内容なら、あえて意図しなくても、
「超現実感」というのが漂ってくるんですよね。

ところが、前半のお笑い的なものは、お笑いネタのインパクトが強いと、
超現実感が希薄になってしまい
(お笑いネタ自体、あり得ない設定で笑いを取ることが多いですから)、
しかも、これが前半に来ていると、観客側のイメージが作られる方向性が
一旦超現実性から遠ざかるだけ、ちょっと損しているのかなあ、
という気がした。

ただまあ、これは私の贅沢な願望かもしれない・・・
というのは、前半はまだ「少年時代の近未来」であるのに対し、
後半に行けばいくほど、少年時代から遠く離れて年を取っていくので、
非現実感が自然と増していくことは、
話の成り行き上、仕方がないとも言えるので。

でも、こういうあたりを、演出とか、台本の構成などで、
もう少し上手く処理することができるような気がする
(具体的に、と言われると困るが・・・)。

つまり、各場面がただ単に独立した小品であり、
この芝居全体は、「各小品のオムニバスである」という以上のものにする・・・
そして具体的でなくても理念的に「有機的な統一感」を
観る者により強く与えることができて、
そして観劇後、観た者に、(言葉では上手く言えなくとも)心の深い部分にまで
強く印象に残る作品になれば・・・なんてことを考えてしまった。
まあこれは私の「妄想」かもしれません。

新宿コントレックス Vol.0

新宿コントレックス Vol.0

新宿コントレックス実行委員

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2011/07/14 (木) ~ 2011/07/14 (木)公演終了

満足度★★★★★

【黒薔薇少女地獄】アングラ風ナンセンス鉄ちゃん劇
ここは「鉄道少年の、恋」の1作品のみ。
「アングラ鉄道」が舞台で、そこに鉄道マニアの男女と変な車掌が登場して、
アングラ風ナンセンス劇を繰り広げる。

話の筋は、ここに紹介するほどのしっかりしたものではないが、
これも中々面白く、笑いも結構取っていた。

まあ、ここも本当は4Pかなあ?という気もするが、
私的には、3劇団中一番面白く思えたことと、
1作品で30分通したこと、
それに、私も今はそれほどでもないが、結構鉄道が好きで、
鉄道マニアの習性などもよく観察されるようされている気がして、
若干サービスで5Pとしました。

新宿コントレックス Vol.0

新宿コントレックス Vol.0

新宿コントレックス実行委員

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2011/07/14 (木) ~ 2011/07/14 (木)公演終了

満足度★★★★

【トリコロールケーキ】4作品がいい感じで
ここも4作品のオムニバス。脅迫とプロポーズがセットになった「命乞い」、
まず寸劇が演じられ、それを弟子と師匠が
別の台詞を付けるナンセンスな笑いの「師匠と弟子」(私はイチ押し)、
短めで私的にはやや印象が薄かった「組織」、
やはりナンセンスものだが、冒頭の台詞が強烈だった「ポキ江とポッキー」。
どの作品もそれなりに面白かった。なので4P

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