花と魚 公演情報 十七戦地「花と魚」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    テーマは良いと思いましたが・・・
    初日に観ました。
    すでにレビューでは、他の日もことも書かれてますが、
    良くなってきたみたいですね・・・。

    ネタバレBOX

    会場は、練習場のような室内の床に白線で囲っただけの部分が舞台であり、
    この舞台の奥側以外の3方を客席が取り囲んでいるという配置である。
    大道具はもちろん、目立った小道具も使われない。

    女性役者数人が開演前から登場していて、床に足を崩して座り込んでいる。
    そして、神楽に向けての、村の女性達の準備のシーンから始まる。

    そのシーンが終わると、今度は男性ばかりのシーンとなる。
    何やら打合せの様子。

    というように、初めは女性だけのシーン、男性だけのシーンと繰り返され、
    話も比較的穏やかに進んでいくのだが、しかし次第に話はシリアスになってくる。

    どうやら、足のある魚が村内に出没しているようで、
    男性陣の会議はそれについての話し合いであった。
    安全を考え、駆除を主張するもの、一方、
    動物愛護の観点から人との共生・保護を主張するものとで、意見が分かれる。

    そしてついに、当初は保護の方向で動いていた会議や行政が、
    駆除に方針転換する。

    結局、保護派の指導的立場であった調査員が、獣医の資格を持つ故に、
    泣く泣く処分(屠殺)をすることになる。

    ところが、この「魚」の被害は、すべて屠殺派の人間のでっちあげだった
    ことが分かってしまう。

    また、昔の使い込み事件についても、冤罪で、実は、
    立派な人物と思われていた故人の有力者の仕業であることまで
    発覚してしまう・・・。

    保護か屠殺かの意見の対立をきっかけにして、これらの人々の間に、
    様々な感情が噴き出してくるのだが、芝居の進行とともに、
    人間の醜い側面が露わになってくる。

    すなわち、人の良い田舎の人達のもう1つの側面である、
    余所者や、親族が問題を起こした人間を軽侮し排除する発想、
    また自分の考えを通すためや欲得のためなら、
    嘘をつき、デマでも何でも流してしまい、
    冷静で筋の通った話を押し流してしまう風潮等々…。
    もちろんこれらは、別に田舎の人間のみならず、
    人間ならある意味誰でも持っている醜い側面であるのだが、
    それらが浮き彫りになってしまうのである。

    さて、以上のように題材は大変興味深いものであるが、
    私としては、ちょっといろいろの要素を盛り込み過ぎたのではないか?
    …そんな気がした。
    つまり、「神楽・神話・信仰」「(自然科学的観点からの)自然保護と
    住民の利益の対立と調和の問題」「(SF的な)足のある魚の登場」
    「人間の嫌らしさと素晴らしさ」という、ある意味、
    どれも大きなテーマとなりうるものが盛り込まれすぎてしまい、
    限られた時間では焦点が絞り切れなくなってしまった印象を持った。

    それから、ある意味この芝居のキーマンの1人である調査員役の役者が、
    私の観た日は、なぜか何度も台詞を噛んでいたのが、
    やはり正直気になった。
    1度か2度くらいなら、まだ良いのですがね。

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    2011/08/03 16:12

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