紙一枚の才 公演情報 LiveUpCapsules「紙一枚の才」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    福地の何を表現したかったのだろうか?
    すでに多くの方のレビューが投稿されていて、
    私も概ね同様の感想なので、重複は避けて申します。

    この劇場は初めてで、劇場入口は2階席の高さで、
    決して舞台は広くなく、舞台のある1階は思ったより低いこともあって、
    珍しい角度からの観劇になるとも思い、2階席で観ることにした。

    ただ、2階席は若干1階舞台部分にまで張り出しているので、
    自分の真下で演じられるとやはり観にくい。
    また、紙に筆でさらさらと書くシーンなど、
    (もちろん、本当には書いていないのは暗黙の前提だが、)
    2階席で観ていると、本当に何も書いていないのが丸見えである
    ・・・まあこれはご愛嬌だが、
    でもまあ、本当は多方向から見られている舞台では、
    どの方向から見られても良いように
    演出されるのが本来であろう。
    (なお、劇団の女性係員より、「できれば1階の方が良い」と、
    きちんとご案内は頂いていて、
    あえて私が2階を選んだことは念のためお断りしておく。)

    ネタバレBOX

    開演直前には煙くなってきて、
    そして、2階席部分から役者が1階席舞台に向かって、
    本をバシッ!と投げつけ、芝居が始まる。
    (これも1階席にいた方がびっくりしただろう。)
    この辺は、何やら前衛っぽくもある。

    ただ、この後、前半部分は、まるで、
    TVの歴史番組に挿入されたお芝居のような感じで、
    歴史の流れやエピソードをなぞっていく形で、説明的に過ぎるきらいが。
    (演劇台本の常として、前半は材料の提示、後半はそれらの収束による結末
    ・・・となるパターンが多いのは致し方ないとしても、)
    ここは、「事実の適示」以上演劇的表現がもっとほしいところ。
    些細な出来事でも、微妙な心情の変化や
    「機微」というものがあるはずですし。

    ところが、後半部分では、主人公福地が、
    政府側の伊藤に協力することにより、
    取材の便宜も得、それにより書けた生々しい西南戦争の記事の人気や、
    「御用新聞」として部数を伸ばしていたのに、
    福地のライバル福澤が突然伊藤に登用される。
    その裏切りのショックに福地は叫び、のた打ち回る・・・
    新聞も政府批判側に鞍替えし、
    そして最後は2階席から、
    それらの出来事に翻弄される
    人々や新聞記事を象徴するかのように、
    膨大な量の紙がばらまかれる。

    ここで、前半に足りなかった、
    福地の心情的表現が極めて突出した形で現れたわけだが、
    これは少々唐突だし、かつ前半からの流れでいうと過剰なのではないか?

    そして、せっかく福澤に比べて知名度が低くなってしまった
    福地を取り上げたのに(私自身不勉強だったので勉強にはなったが)、
    これでは結局、「福地はやっぱり小物だった」
    という印象しか持てなかったのだが、
    これは作者・演出家の狙い通りなのだろうか?

    それから、明治の重鎮たちの存在感が無いのも、
    若い役者がやっているためとはいえ、ちょっと残念。

    なお余談だが、舞台上に装置として狭い階段が
    2階席に向かって作られており、
    しかし、2階席には元々金属柵があって、
    その柵を超えないと2階に上がれないし、
    階段自体も旧家や城にあるもののように
    狭くて急勾配で手すりも無いもので、
    2階席で観ていると、事故でも起きないか(地震もあるし)と、
    余計な心配をしてしまったりもした。
    無事故を祈ってます。

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    2011/07/18 18:00

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