unicornの観てきた!クチコミ一覧

1161-1180件 / 1402件中
ロボット

ロボット

劇団三年物語

シアターサンモール(東京都)

2012/02/16 (木) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

「ロボット」
230分は長い。面白かった。

ネタバレBOX

衝突した隕石から出てきた謎の生物と人類の闘いを背景に人間を描く。「ロボット」というタイトルに反して、「人間」が舞台上で輝く作品だった。
生物らと戦う巨大ロボットは自我があり、恋をし嫉妬しプライドを持ち、人間さながらの振る舞いで舞台を盛り上げる。ガンダムとかエヴァのような設定でロボットを操作する人間にもドラマが用意されていて、長い公演時間も気にならないことが率直にすごい。
ラスト、身体を持たないコンピューター・ミライ(馬渡直子)が、ロボットになり隕石もろとも宇宙へ離脱。永い時間の中、ミライの管理人・光子(南雲亜由美)に会いたいと切なる心を発するシーンが胸を打つ。生物は抗生物質で人間は宇宙に対するウィルスという見解を示したミライも、光子への愛情をもって人間(光子)を救うという、愛に溢れる「人間」だった。

役者は、流星竜馬役の関口あきらの、いかにも熱いキャラがうまい。早乙女☆操役の小名木美里の活発な動きが健康的な魅力に溢れる。早乙女和海博士役の廣瀬直也のどこか飄々とした演技も好きだ。あと、整備師・小笠原役の速水剛も良い笑顔を持った役者で好印象。

くさいといえばくさい舞台なのだけど、ちょっと心が緩む感じが心地よい。
vision

vision

温泉ドラゴン

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2012/02/12 (日) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

体育館で…
脚本が良いのか、演出が良いのか、見ごたえありの110分。後味も不思議と悪くない。

ネタバレBOX

矢島(小高)が経営する土木系の会社に、ワケありな女性(牛水)が住み込みで働きはじめる。かわいらしい牛水に、同じく住み込みの従業員で、若頭補佐の見習いの舎弟の元子分であったナオト(井上)と25年引きこもりの童貞ユウタ(阪本)は浮き足立つ。
矢島は、刑事であったが、とある事件の捜査中に妻と2人の息子を亡くし、刑事を辞め、失意のうちに今の会社をはじめた過去がある。牛水もまた、AV出演の経験と堕胎の経験を持ち、この会社に流れてきたことがわかる。
家族を失った矢島は、事件に異常な執着を持ち、牛水が犯人ではないかと疑う(というか近づくために採用したのか)…。

矢島の同僚であり、既に他界している川尻(阿川)との語らいのシーンや、牛水らを亡き家族に見立てたシーンなどが織り交ぜられて、矢島の精神世界を視覚的に表現した舞台に魅せられる。
終盤の食事シーン→川尻に俺も連れて行けシーン→取り壊し現場での独りの食事シーン→砂→疲れ果てた矢島のもとへ牛水がやってきて優しく微笑むラスト。この一連の流れが秀逸と思う。牛水が事件の犯人でなかったことへの失意により、ホームレス状態になり、月日は流れ、牛水が再度訪れるとみるべきか。牛水の幻を見たのか。亡き妻の幻を見たのか。そもそも、序盤からすでに幻想を見ていたのか。考えると面白さが倍増する。
(家族を亡くしたというか、半分矢島が殺したようなバックグランドから)矢島の声や振る舞いに、悲しみとか怒りとかやるせなさとか虚無感とかが見えて独りの男の寂しさが際立つ。それでいて、どこか清々しいような印象を持ったのは、小高の功績か演出の賜物か。

紅一点・牛水のミステリアスビューティーぶりはなかなか。色っぽくもあり、かわいくもあった。ただ、ナオトとユウタがAVの件をネタにSEXを迫る際(お願いだけど)の一喝シーンは、男性客を威圧するくらいのパワーが欲しかった。表情が見えなかったからかもしれないけど。それ以外は◎。
僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

僕らの心象風景における、いくつかの考察【公演終了いたしました。ご感想お待ちしております。】

Minami Produce

新宿眼科画廊(東京都)

2012/02/11 (土) ~ 2012/02/21 (火)公演終了

満足度★★★

A
チケットプレゼントにて鑑賞。面白かった。

ネタバレBOX

男子(大柿)が運命の人・女子(だてあずみ。)に出会い結婚するために、犬(芝原)を水先案内人にして、人生を振り返り、繰り返すファンタジーな話。
犬が何度も人生を繰り返させる理由は終盤明らかになるが、その設定やルールはくどくなく気にならない。見方によっては、(恋愛における)タラレバ話で受け付けないってこともあるかもしれないけど、本作品は演出が上手いのか、90分飽きることはない。
ただ、男子が体調に異変をきたすという筋がやや唐突な印象ではある。そもそも、だてを運命の人という位置づけにしているのも、そうなの?という感じがする。まあ結果よりも「過程」が大切な話とも思うので良いのだけども。
とはいえ、Bパターンも見てみたくなる内容だった。

母役の田中千佳子は率直にうまいと思ったし、先輩役の李そじんはストレートに魅力的だった。友達役の藤尾姦太郎も妹役の安田友加も、男子の人生にチラつく人物を好演してた。信國輝彦や霧島ロックにように遊びのエッセンスを加えた人物像や小道具は嫌いじゃない。

ちなみに、先輩のセリフ「誰も入れないからきれい」はグッときた。
バックギャモン・プレイヤード

バックギャモン・プレイヤード

カムヰヤッセン

吉祥寺シアター(東京都)

2012/02/09 (木) ~ 2012/02/13 (月)公演終了

満足度★★★★

人間のコンサルタント
カムヰヤッセンは2回目。面白かった。

ネタバレBOX

何も知らないことを知っている村の話。ほぼ内部で完結してい平和な村に、「知識」が流入することで崩壊がはじまり、村から人がいなくなる。そして、また人が集まり、村がつくられていく…。
皆で畑を耕していく序盤から、物知りによる生活の向上、それがもたらす歪み。徐々に変化していく人々の生活と心。知らないうちに進行する病にように気がついたら手遅れという恐ろしさ。
物知りを雇った隣村の村長・五所川原(小玉)が村の崩壊まで意図してなかったと思うが、物知りを送り込み(迎え入れたのは村人だけど)、体制を変えようとしたのが発端。日本の開国とか、貿易関係の問題とか、外側からの圧力で国が変わる、人の生活が変わる、そんな様を連想させる構図。今にはじまったことでなく世界の歴史、ひとの歴史はその繰り返しなんだろうけど。
制度の変化に人の心が追いつかず、次第に荒れ果てていく。舞台では、医者のススム(斉藤)とその息子・サトシ(小島)の荒廃が一段と激しい。ストレスを抱え、他人にそれが向い、悲劇を生み出す。
本舞台では、村の消失後、コウタ(辻)と結婚したユリ(山脇)が村を訪れ、子供や仲間と再生を目指すところまで描かれる。望まない妊娠という苦難を乗り越え、新しい生活を作り始めるユリたちに、「知識」への批判でなく、ヒトへの希望を見出したくなる舞台だった。観劇直後は、打ちひしがれる村長・オサム(安藤)にそっと寄り添う売春婦・アサミ(甘粕)のシーンで終わってよかったんじゃないかとも思ったけど。

役者は、総じて良かった。職人気質のパン屋を演じた森田、明るくバカであることを肯定する妻を演じた大西、チンケな旦那役斉藤、悪い芝居の時とうって変わった演技で、矮小な旦那を支える理知的なヤスエを演じた西岡、イライラさせるサトシ役の小島、ユリの妊娠時のショックを表現したベン役岡山、落ち着いた物知り役の尾倉、非情になれない弱さを抱えた助手役の今城などが特に。
せいし

せいし

はぶ談戯

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2012/02/07 (火) ~ 2012/02/13 (月)公演終了

満足度★★★

せいし
どことなく異様な舞台。とはいえ奇をてらった感じでもない。「生死」をテーマに飽きずに110分観ていられた。

長谷椿と生見司織の女優2名が魅力的。あと福田英史の淡々とした雰囲気も素敵だ。

ネタバレBOX

やり手管理職のヒトミ(長谷椿)とそのヒモ・ロク(福田英史)、優秀な精子を求めるリンカ(生見司織)とレズのサラ(森美波)、死神のシダ(遠藤公太郎)と暗殺者のナガオ(青木柳葉魚)と葬儀屋のイクタ(雅憐)、自殺志願者(ワダタワー)と自殺しようとして思いとどまる男(古林一誠)、といった面々がそれぞれどこかで繋がって物語が進む。
ロクの子を宿すヒトミ、レズだけど子を身ごもるサラ(相手はナガオ?)、結局独りとなるリンカ、死神と生神?と、バラバラになりそうなテーマを舞台作品としてうまくまとめあげていて、舞台に安定感がある。一種異様なカラーだけど、さっぱりしているところが長所だろうか。

長谷のイチャつき演技と表情がうまいなと。生見も良い存在感だった。ワダタワーも色んな役をうまく演じていて好印象。
dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★


チケットプレゼントにて鑑賞。

本編、ちょっと駆け足な印象。ほんの遊び心はクスっとできる。序盤の主演の衣装は絶妙なセクシー具合で○。

青黒通して、演技が格段にうまいという印象はないけど(もちろん下手じゃない)、舞台の魅力は確かにあったかなと。また、異様な世界が、どこか笑ってしまいそうになる。なんかコミカルな味がするん箇所があるんだよね。シリアスな場面でもところどころね。これも劇団の味だろうか。

ネタバレBOX

サーカス団での人体切断ショーは、実は実際に切ってましたー、医術があるのですぐにくっつけてましたーという、医者くずれ・ゲイシ(宇野正玖)とその妹・フタバ(川添美和)らの話。落ちぶれた兄は、サーカスの運営と麻薬に手をだし、アシスタント?であり、フタバの彼氏であるフィッシュ(橋本慎司)を麻薬漬けにする。それには、フィッシュの本性が関係していた…。
フタバが慰み者になってたとか、ラストの愛情とか、理解しにくい。そのせいか、後半になってもどこか傍観してしまった感がある。まあ、フィッシュの女性の人魚化性癖ってのは、ちょうどよい猟奇性があっていい味付けだったけども。てか、ゲイシは、それ知ってたらヤク漬けし続けて殺したほうが良くね?と思った。
タカダ(伊藤亜斗武)とオタキバシ(邸木ユカ)の刑事コンビは、意外性があまりなく、正義に突っ走る異常な暴力警官という意味でもちょっと弱いかなと。
dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

dogma/黒髪と魚の足とプレシオサウルス

劇団パラノワール(旧Voyantroupe)

サンモールスタジオ(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★


異様な舞台にやや面食らったとこもあるけど、終盤はパワーを感じた。

ネタバレBOX

校長をトップに、教典?なるものが絶対の規律である「学校」が舞台。卒業試験で満点とれないと残虐に処刑されるところ。ゴダイ(川添美和)のクラスからは5人の合格者が出るも、ゴダイの意向で誰も教典の中身を教わっていない。そんな中、教典をもとに出題される卒業演習が始まる…。
教典に違反すれば処刑され、試験に合格しなければ処刑され、卒業しても死ぬことになる異常な学校。そもそも教典には、死を恐れてはいけないと記してあるらしく、他のクラスのエリートコンビ・ニッタ(朝日望)とアカマツ(鴻森久仁男)は、演習を前に覚悟が出来上がっている。ゴダイの教え子のパニックぶりとの対比が面白くもある。こんな世界観に惹き込む手腕が素晴らしい。

教典を教えなかったゴダイの心と、教典を作った校長(秋山輝雄)の生涯が紐解かれる箇所が見せ場か。死を恐れる心、生にしがみつく醜さを愛したゴダイが確かに美しい。生のエネルギーに満ちていた。

ただ、現実世界の醜さから離れるため、絶頂の時に死ぬために作られた「学校」に、ちょっと納得してしまったとこもある。
虹色の輪舞曲~ロンド・デュ・ラルカンシェル~

虹色の輪舞曲~ロンド・デュ・ラルカンシェル~

R:MIX

SPACE107(東京都)

2012/01/25 (水) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

輪舞曲
女性ver。

意外と話も演技もしっかりしてて、単純に楽しんで観ていられた。
役者は、小林夏子(風)、瀬戸山京子(水)、荻野恵理(植物)が良かった。

ネタバレBOX

ナースが観た夢の中という設定。
8色の衣装に身を包んだ女性らが、とある世界に迷い込む。皆記憶なく、それぞれ能力をもっている。どうも皆死んでいるらしい(正確には生死の間か)。そんな中、一人になるまで殺し合いをするハメに…。

風とか土とか、ゲーム「FF」の要素がミックスされた能力は、少年漫画のような印象。女性だけの華やかな舞台ではあるけど、「殺し合い」という殺伐とした題材を裏切りとか騙し討ちとかダークなエッセンスで面白く魅せてくれた。また、人物の悲劇な背景(死に方と能力の関係性とかも)も混ぜ合わせることでいい感じの厚みが生まれている。
ラスト、夢を観たナース(萩野恵理)が、旅客機から脱出した(CAが背中を突き飛ばして森に落ちた)というエピソードがいままでの舞台をあたたかく締めくくる。

「笑い」をもっと自然にとれるようになると良いかなと。メタ発言とかじゃなくて。
ハローワーク

ハローワーク

国分寺大人倶楽部

テアトルBONBON(東京都)

2012/02/08 (水) ~ 2012/02/19 (日)公演終了

満足度★★★

時給1200円
思ったよりストレートな感じ。中盤から俄然面白くなる。
皆演技うまい。特に西園康博、林竜三。女性では、根本宗子の媚演技がズルい。

ネタバレBOX

とある工場に働く、正社員2人とバイト7人の悲喜こもごも。人の良さそうなオジサン正社員・高野(林)とか、それをおちょくるバイトの若者らとか、序盤からいい感じ。若干退屈にも感じたけど。
case1~7までのショートエピソードの構成。一番好きなのは、葉山(加藤岳史)と徳永(根本)と小林(西園)。西園の自慰行為とありがちな狂気、加藤と根本の恋愛な展開が面白い。てか小林は哀れすぎる。
最近正社員になった片山(江ばら大介)には17歳になる娘(実際には胎児・井ノ上羽菜)が、苦労人っぽい高野(林)には、美人な奥さん(実際には死亡・松下結衣子)が、夢に出てくる。疲れきった高野をそっと抱く奥さんに癒される。

中盤以降は面白いかな。ハートフルでもあるし、どこかつらくもあるし。これも人生かと。

おまけ演劇「ジャンボ尾崎豊」は、なんにも考えなくてよいので、リフレッシュ効果がある。内容覚えてないけど。
ロゼット〜春を待つ草〜【ご来場有難うございました!】

ロゼット〜春を待つ草〜【ご来場有難うございました!】

ハイリンド

「劇」小劇場(東京都)

2012/02/03 (金) ~ 2012/02/12 (日)公演終了

満足度★★★★


いい脚本。良い「人間」が詰まっていて面白い。

ネタバレBOX

中学同級の典子(岡内美喜子)と真樹(枝元萌)は植物を扱う会社を運営する。そこに、二人の同級で現在風俗店経営の祐二(多根周作)、典子に恋する従業員・加賀(伊原農)とその妹・美晴(高安智実)らの人間模様が織り重なり、暖かい舞台が出来上がる。
典子は不倫・会社の経営・乳がん、真樹は夫婦関係と仕事と典子との関係、美晴はいじめと兄からの束縛、加賀は父親の呪縛、加賀は闇の世界に生きる苦悩…といった感じで、それぞれが何かを背負って生きている。それと人間関係がうまく絡み合う、秀逸な脚本が実にうまい。
衝突もあるし、分かり合いもあるし、110分の中での緩急バランスが良い。加賀の変態演技→不倫相手からの電話+真樹の不満爆発とか。

伊原と多根の演技が◎。特に伊原。春が来るとよいねって思わせる。笑いもとれるし素敵だ。その妹の高安も、最初のダル雰囲気と終盤の計算高さの落差が良い。

ちなみに、祐二は途中からでなくなったけど、やはり失踪とか死亡とかそんなんだったのだろうか。とにかく、前向きな話で観て良かったと思える作品だった。
墓場、女子高生

墓場、女子高生

ベッド&メイキングス

座・高円寺1(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★★

細胞分裂ゲーム
墓石を足場にする安藤聖が魅力的。墓場×女子高生というミスマッチ感に生と死という観念が見事に溶け込んだ。

ネタバレBOX

陽子(安藤聖)をはじめ、高校合唱部の面々は授業サボって墓場で仲良く遊ぶ。そんな中、陽子がなぜか桜の木で首吊り自殺。幽霊となる。
仲間は自殺の原因は自分にあったと思うも、心の整理をつけようとする。西川(町田マリー)は、オカルト研究会に入り、オカルト方法で陽子をいきかえせようとし、陽子が墓場から生き返る。しかし陽子は墓地の木で再度首吊り自殺してしまう…。
ざっと筋を書くと悲痛な感じだけど、陽子役の安藤のあっけらかんとしたような達観したような演技が、その悲痛さを和らげる。生き返った陽子は、皆に「自殺の原因になるほど仲良くない」と言い放ち、私の死を美化してと強制する。回想中で、この世は腐った世の中で、人はその内腐臭を放つようになり(腐った)世の中になじむ、ということを笑顔で言う。陽子は世の中になじむ前にあの世を選んだのか。綺麗なままでいようと考えたのか。この乾いた考えに、終始元気溌溂で笑顔という設定が非常にうまく作用する仕掛けになっていて、舞台の魅力が膨れ上がる。
首吊り状態の陽子を見つけた面々が、狂乱の中、「レッドリバーバレー」を歌い叫ぶラスト(正確にはもうちょっとあるけど)にいい意味の恐怖を感じた。
幽霊状態の陽子は、真壁(川本直人)という戦時中に死んだ幽霊と山彦(植本潤)という妖怪の二人とやはり仲良くおしゃべりしている。その中で、誰かから思われているから幽霊になれる、という件があったが、陽子は幽霊としても存在したくなかったのかなと、誰かから思われることも嫌だったのかなと、あの笑顔から想像してしまう。

墓場でワイワイガヤガヤ騒ぐ女子高生演技はうまいと思う。アホなゲームを賑やかに楽しむ様と、死に対する気持ちの落差が絶妙だった。良い舞台だった。
半島にて

半島にて

オックスフォードパイレーツ

明石スタジオ(東京都)

2012/02/01 (水) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★

元には戻れない
とりあえずお尻が痛かった。

ネタバレBOX

それぞれの愛とか情の人間物語。担任教師と恋愛する女子高生、妻を自殺で亡くしたペンション経営者や従業員、陶芸家、妻の遺族?、中年教師の恋愛、遠距離恋愛する市役所職員と愛する猫を亡くした市役所職員、バスの運転手とその幼馴染、など半島に位置する田舎町の人間模様を淡々と描く。

繊細とも思うけど退屈と感じた。とはいえ、全編、最終的に前向きな方向に収束する展開はいい。
バス運転手(伊藤毅)と幼馴染(原田優理子)のエピソードは、シンプルでドラマティックで好み。特に原田の演技が良い。中年の恋(上松頼子・用松亮)は笑えるしどこかほっとする。
つぎ、待ち

つぎ、待ち

激情コミュニティ

d-倉庫(東京都)

2012/02/02 (木) ~ 2012/02/05 (日)公演終了

満足度★★★

いろいろとおしい
OPは良くて期待したのだけど、どうも乗り切れなかった。105分。

ネタバレBOX

5編のオムニバス風な作品。男女の気持ちのすれ違いを、手紙というモチーフを用いて綴る。男が女から見限られるも、懺悔?し、おんぶするラスト。

<知らない青年>なんかは面白い話だななんて思ったりもしたけど、全体的に舞台に入っていけなかった。それぞれの話に、手紙を引用し話と重ねるような手法があったが、やや退屈。特に心に響かなかった。

ダンスというかマイムパフォーマンスが何箇所か挿入されてたけど、取り立てて良い出来だったのか不明。もう少し精練されてると良かった。
ちなみに、舞台端の白色延長コードが邪魔だと思った。黒ガムテで隠すとかしないものなのか。


全体的に好きな感じだけど、褒めるに至らないもどかしさがある。列車の座席と椅子のバランスは良かったけど。
カップルズ

カップルズ

鵺的(ぬえてき)

「劇」小劇場(東京都)

2012/01/27 (金) ~ 2012/01/31 (火)公演終了

満足度★★★★

素直な心と体
面白い舞台。90分集中が途切れなかった。

ネタバレBOX

違法な手段でのし上がったベンチャー企業の社長・吉川(杉木隆幸)と事実上離婚状態にある妻・抄子(菊地未来)、ドラッグと暴力に走る作家の池谷(平山寛人)とその妻・亜里香(宮嶋美子)、吉川の会社に勤める藤堂(橋本恵一郎)とその彼女で吉川の秘書の中村(宍戸香那恵)、吉川や池谷と繋がるヤクザ?の佐伯(実近順次)、そして吉川らが企画する乱交パーティ的な集まりに参加する額田(外山弥生)の8人が、濃い舞台を作り出す。
男と女の関係にSEXという要素を加えて、人間の満たされなさを表現する秀逸な舞台だった。
冒頭の吉川と池谷の妻を交換材料にする話から引き込まれ、吉川や池谷らの頭のネジが飛んだような趣向という展開にさらに引き込まれる。そんな中、正常な人間にみえた中村もかなり飛んでるキャラでどんどん話がうねり出す。そして、池谷のチンポ切断の話とか中村と藤堂の結婚話などで、それぞれが寂しさ侘しさみたいなものを内包していることがうかんでくる。終盤の亜里香が言った「やっと繋がれたね」(だったか)が、舞台を象徴的に締めくくる。

好きなカップルは、藤堂と中村。一般人がドン引きするような世界に生きて、一線を引いているような踏み込んでいるような、微妙なポジショニングの中村にプロポーズする一般人の藤堂。結婚というスタイルにこだわらず、一緒にいることを選択した二人は、素直になれない8人の中で一番素直で美しかった。
ネガヒーロー

ネガヒーロー

プロペラ犬

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2012/01/20 (金) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★

等身大のヒーローたち
初プロペラ犬。

ゆるめな舞台の中に、グッとくるエッセンスあり笑いありで楽しめた。水野美紀は男前でカッコよかった。

ネタバレBOX

足立区在住のオクイシュージ(レッド)は、孤独なヒーローとして悪の組織ブラックサンシャイン(BS)と戦う関係にある。BSの首領が作った犬林(前田悟)との闘いの前に、近所の夫婦(福本伸一・池谷のぶえ)と謎の女性(水野美紀)が加わり、闘いに勝利。母から、ヒーローとしてのルーツをゆるく説明された後肺気胸になり、第3形態になった犬林と再度交わりこれを下し、犬林を食加えた5人(オクイレッド+水野ゴールド・福本ブルー・池谷ピンク・犬林グリーン)で活動する…。

表面的にはとてもゆるいんだけど、皆、味のある背景をもっているので舞台にワクワク感がある。レッドは親から受け継いだ心(根がヒーロー)を、ゴールドはひったくり犯のせいでおばあちゃんが瀕死になるし、ブルーとピンクは強盗に5回も合うし、グリーンはBSの首領の愛情と正義を受け継いでいる。

特に、BSの首領がレッドの父と母との三角関係にあったという話は、笑えもするが、首領の人間的な部分が見えてくるようでういい話。それで、世界平和を目指すってんだからとても素敵な悪役だ。犬林に託したボタンも良い演出。Love&Peaceの文字がとてもあたたかい。

ほかのヒーローたちも普通の人間で、何かできるワケじゃないんだけど、ちゃんとヒーローにみえた。熱かった。
ゴールドと犬林の殺陣シーンはかっこよくキマッてたし。プロレス好きなブルーの寝技も面白いし、レッドソード?(包丁)を放棄して肉弾戦をするレッドの姿が弱々しくも美しい。

ちなみに、水野美紀のおばあちゃん演技がうまい。また、ゴールドのファッションも好き。ほかの4人も演技力は十分。
ほのぼの雰囲気と(話と見た目の)かっこよさとかあたたかさが充満する、満足の舞台だった。
青春のプロ

青春のプロ

ライオン・パーマ

王子小劇場(東京都)

2012/01/26 (木) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

青春のプロ
まあまあ楽しめる。

ネタバレBOX

青春のプロという題材は面白い。
青春を謳歌し損ねた男(息子)が、同じく青春を謳歌し損ね、中年期に歪んだ青春に走りそうになる男(父)「青春のプロ」に青春を語られる話と、親を殺された兄妹が犯人を探すため移動式SMクラブを経営する話と、地方巡業のヒーローショー劇団の話が絡まる。

妹・ローズ(比嘉)を呪縛から解き放つためひと芝居打つ「青春のプロ」(ロベルト清水)がかっこいい。
島子役の葵めぐみが、美人でないがどこか魅力的。藤堂役の田畑智もイイ雰囲気出てた。

前回公演は笑いの絶えない舞台だったが、今回は笑いが少なめ。しゃべりが若干聞き取りにくい箇所がなんこかあった。
太陽は僕の敵

太陽は僕の敵

シベリア少女鉄道

座・高円寺1(東京都)

2012/01/25 (水) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

初シベリア少女鉄道
面白いんじゃないかな。再演したら観ないけど。100分。

ネタバレBOX

とあるアラビアンな世界。背後に黒い影がみえる結婚を前にお姫様が自由を求めて逃走。砂漠の地下にあるという洞窟と財宝を目指しているアラジン・アリババと合流。洞窟内でお姫様側とお姫様を追う側との間で闘いが起こる…という平坦な話の外側に、北斗の拳みたいな男が5人、バトルを開始するという、わけわからん舞台。ラストの終演アナウンスがウケた。

「太陽は僕の敵」というタイトルが示すように、暗転が多いのが特徴。暗転を利用して、舞台で表現しにくいものをセリフと音響で強引に表現していく。これってアリなの?と思わなくもないのだけど、終盤のアラビアン世界の闘い(というかドタバタ)がおかしく感じられもする。その前で繰り広げられるエセ北斗の拳の闘いが、それに拍車をかける。嫌いじゃないくだらなさ。 チラシの「魅力的な出演者たちが舞台狭しと駆け回ります。駆け回ろうとしない人たちもいます。そこは戦っていきます。」ってコレかと。

真実をあきらかにする「太陽(光)」がいいとは限らない、というテーマとリンクした演出が面白い。知らない方がよい、見えないほうが良いという、現代人の本音?を代弁した舞台なのか。また、人間が扱えない光はダメだ、というようなセリフと相まって(あとアラビアン世界の動きが北斗の拳世界の発電になっているとこから)、原発への意見が垣間見える。光を否定する舞台ともリンクする気がするし、しないような気もするし。

配役がわからないけど、アラジン役は声の調子も含めて好き。お姫様と悪の姫様的なヒトの衣装が素敵。
白夜王アムンゼン【観客動員数1000人突破!】

白夜王アムンゼン【観客動員数1000人突破!】

劇団バッコスの祭

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2012/01/25 (水) ~ 2012/01/30 (月)公演終了

満足度★★★

死の世界で生きて
チケットプレゼントにて鑑賞。いろいろと観やすい配慮がされていて、紆余曲折のある退屈のしない舞台。ただ、もっと純愛に走ってもよいかなと。

稲垣佳奈美の存在がどこか癒される。辻明佳のハツラツとした演技が見てて心地よい。男優では上田直樹が良かった。

ネタバレBOX

南極点を目指すフリジョフ(上田)率いるノルウェー隊は、フリジョフが帰らぬ人となり探検を断念。未亡人となったクリス(金子)に想いを寄せるロアール(丹羽)は、再度南極点を目指す。フリジョフの遺品の時計から南極点への道筋をつけた一行だが、メンバーのアマレットがフリジョフを毒殺した本人であり、ライバルのイギリス隊側の人間とわかる。一方のイギリス隊は、以前の探検で南極に残してきたそり犬・アポロ(森山)の復讐にあう。ロアールがアポロとの闘いに勝利し、南極点にはノルウェーの旗が翻るも…。
「恋愛活劇」と掲げるだけあって、アイスホッケーのスティックでの殺陣が随所にあって、めまぐるしい動きが楽しい。ただ、恋愛の箇所がちょっとパッとしない印象。ロアールの一途な人柄はもっとデフォルメしてもよいかな。客が笑っちゃうくらいに。クリスは、フリジョフとの再会シーンやラストのクレバスでの告白シーンが良いのだけど、ロアールの愛を受け入れる描写をじっくりやってほしかった。
総じてストーリー自体は良い。純愛ものではあるけど、くさいセリフが自然に胸に入ってくるような感覚が得られなかったのは残念。自分が純愛ものが苦手なだけなのかもしれないけど。

なにげに、ローザ(田仲ぽっぽ)とモルト(竹内もみ)のどこかズレた感が好き。
拡散していく、彼女

拡散していく、彼女

Lab.

ギャラリーLE DECO(東京都)

2012/01/24 (火) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

デザインのペンがかわいい
チラシに惹かれて鑑賞。ライトであたたかな舞台で気楽に楽しめる。

ただ、ギャラリー公演なので、平土間なのが難点。正直いろいろと観にくい。折角の演技と映像が勿体無い。せめて最前列をやや低くするとかできないものかな。

ネタバレBOX

とあるデザイン会社に勤める健太(角田貴志)の下に新人の遥(中村優)が入社してくる。今時手書きでデザインする彼女は、機械が苦手といってはスキャンとか教育係の健太にやらせ、期限間近の仕事も気に入らないといっては、他の仕事を健太にお願いする、そんな女性。
健太は、趣味の無い比較的無口な人物像らしいが、遥のお願いをイヤイヤながらも受けたりして、彼女の理解者となる。そんな二人の会話はどこか楽しげでほほえましい。
密かな夢であった、CGの勉強をするためアメリカへ渡る決心をする健太。空港に見送りにきたはずの遥の手にはエアチケットが握られていた…というエンド。角田と中村が作り出す雰囲気が、開演から終演まで舞台を包んでいた。


ルデコの壁面に舞台(会社だったり自宅だったり)を投写してのテンポの良い舞台転換が嬉しい。また、スーパーの社長との過去回想とか、化粧品会社の件にも映像を使用し、コンパクトな舞台を実現していた。話の中心であるテーブルのシーンがしっかりしていたため、補足的な箇所を映像でカバーするのはとても効率的で良いと思った。コピー機とかも映像だったし。

ちなみに、健太の妹・美香を演じた橋本来留美のしゃべりが、どうも板についていない感じがした。精神年齢が高い14歳という設定と雰囲気が噛み合っていないというか。実際まだ14歳らしいので、今後に期待ではあるのだけど。
逆に、中村優のどこか子供じみた振る舞いや表情は良かった。
シーザー真田

シーザー真田

殿様ランチ

サンモールスタジオ(東京都)

2012/01/21 (土) ~ 2012/01/29 (日)公演終了

満足度★★★

なんでもタイム
皆演技うまい。序盤から中盤で期待のできる舞台かなと思ってたら、終盤やや平坦な印象なってしまったのが残念。

社長役の桜垣雄亮が特に良い。

ネタバレBOX

とあるサーカス小屋のバックステージもの。

空中ブランコ乗りの志穂(中村貴子)と引退した関川(小笠原佳秀)との関係や、リングマスター・シーザー真田(服部ひろとし)と娘の麻里(中嶋さとみ)の関係とかの関係性の話と、サーカスに生きる人間の悩みを描く。中盤にあった、桜田社長と真田の女の話を含め、興味惹かれるエピソードが多々あったのだが、それぞれが独立した話になってしまったためか、ストーリー的な一体感が得られなかった。自然な舞台といえば自然な舞台だったけど。

カーテンの向こう(サーカスの舞台面)を見せずに舞台面をイメージさせる演技と演出はうまいと思う。

このページのQRコードです。

拡大