墓場、女子高生 公演情報 ベッド&メイキングス 「墓場、女子高生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    細胞分裂ゲーム
    墓石を足場にする安藤聖が魅力的。墓場×女子高生というミスマッチ感に生と死という観念が見事に溶け込んだ。

    ネタバレBOX

    陽子(安藤聖)をはじめ、高校合唱部の面々は授業サボって墓場で仲良く遊ぶ。そんな中、陽子がなぜか桜の木で首吊り自殺。幽霊となる。
    仲間は自殺の原因は自分にあったと思うも、心の整理をつけようとする。西川(町田マリー)は、オカルト研究会に入り、オカルト方法で陽子をいきかえせようとし、陽子が墓場から生き返る。しかし陽子は墓地の木で再度首吊り自殺してしまう…。
    ざっと筋を書くと悲痛な感じだけど、陽子役の安藤のあっけらかんとしたような達観したような演技が、その悲痛さを和らげる。生き返った陽子は、皆に「自殺の原因になるほど仲良くない」と言い放ち、私の死を美化してと強制する。回想中で、この世は腐った世の中で、人はその内腐臭を放つようになり(腐った)世の中になじむ、ということを笑顔で言う。陽子は世の中になじむ前にあの世を選んだのか。綺麗なままでいようと考えたのか。この乾いた考えに、終始元気溌溂で笑顔という設定が非常にうまく作用する仕掛けになっていて、舞台の魅力が膨れ上がる。
    首吊り状態の陽子を見つけた面々が、狂乱の中、「レッドリバーバレー」を歌い叫ぶラスト(正確にはもうちょっとあるけど)にいい意味の恐怖を感じた。
    幽霊状態の陽子は、真壁(川本直人)という戦時中に死んだ幽霊と山彦(植本潤)という妖怪の二人とやはり仲良くおしゃべりしている。その中で、誰かから思われているから幽霊になれる、という件があったが、陽子は幽霊としても存在したくなかったのかなと、誰かから思われることも嫌だったのかなと、あの笑顔から想像してしまう。

    墓場でワイワイガヤガヤ騒ぐ女子高生演技はうまいと思う。アホなゲームを賑やかに楽しむ様と、死に対する気持ちの落差が絶妙だった。良い舞台だった。

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    2012/02/06 00:12

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