満足度★★★★
ココロに花を
面白い。効果音スキル以前より高い。
ネタバレBOX
妻(クリスティーナ竹子)が昏睡状態である刑事の坂本(田米克弘)、兄(5号)が昏睡状態のマキ(川北唯)とその友人であり兄のことを好きな飛鳥(小林まゆみ)、事故の後遺症で記憶が飛んでる、政治家の息子・岡田(大原渉平)とその友人・高山(高山涼)、そして連続絞殺事件の容疑者で妻を殺したと自白した大学教授の水谷(上田耽美)の話。
マキと兄のドキュメンタリー作品をとりたいとのたまう清野(6号)が主張してたように、ゲンジツとユメの境がなくなるような作品。
子供ができないことで大量な食事ををつくる妻と楽しくご飯たべたり映画をみたりするユメをみる坂本。だけど、清野が妻と食卓を囲んでいる脇にたっている。兄と映画をみにいくマキ。だけど、兄が飛鳥と映画を見ているとこを見ているマキ。記憶障害にあって、別の人間の夢をみることのできる岡田。そして、自首すると言った岡田を絞める医師(勝二繁)。
何がどーなってってとこはよくわかっていないが、受け止めたくない現実から逃げつづける人間の恐怖心と、そこから生まれた夢の寂しさが、どんよりした舞台に溜まってた。一見みょうちくりんな清野が、ゲンジツを受け止めた上でのユメが大切だと正論を言うが、他の登場人物に伝わらないだろうなと、そこがツライなと思った。
タイトルにあるとおり、「花」が必要だなと思った。
満足度★★★
space
面白い。ドードーかわいい。
ネタバレBOX
10年演劇やってた砂城(三枝貴志)が、迷いを感じ、高校生らとのトラブルを経由して、「演劇」が離れていく。すると、過去の演劇の登場人物や設定が現実のものとなり始める。エクソシストの仕事を斡旋された砂城が向かった先は、引きこもりの兄に悩む三姉妹がいる家。兄・啄郎(武田諭)は、砂城の高校時代の演劇仲間で、学園祭の時期に演劇をやめていた過去があった。啄郎の好きだった岬りり(陣内ユウコ)が家にくるが、りりは記憶が無くなっていく病に罹っていた。砂城は、二人に高校から付き合っていたという設定で演劇をさせる。晴れやかな顔になった二人は外で出ていき、砂城は演劇をまた始める…。
序盤から中盤、笑えるところが多くて好感触。高校生の青春シーンはコミカルで上手かった。砂城の社会人側にまわったツッコミもいい。
事故死した親を救えなかったことで引きこもった啄郎は、(砂城の)演劇を望み、演劇が離れていった砂城が「演劇」でもって啄郎とりりの悲しみを癒すシーン。徐々に高まっていくテンションは良かった。二人を見つめる砂城の表情も良かった。ただ、もうちょいここらに厚みがあってもよかったと思う。
過去の記録(キャラ)が、現在の砂城に語りかけヒントを与える構図はよいけど、もっと絡んでも良かったかな。好みの問題だけど、あの人形のちょいグロさが際立つ使い方があって良かった。
シーンシーン自体は面白くて飽きなかった。
満足度★★★
風
面白い。
ネタバレBOX
芝浦らが、戸籍を持たないカリドたちの住む人間島(ひとまじま)へ行く。カリドらの指導者的人物として自称する芝浦だったが、次第にカリドへの影響力を増し、カリドの女が自殺してしまう…。
本島から離れた島に本島の人間がやってくる。そしてそこで影響力を発揮し始め、支配被支配に似た関係がつくられる。カリドの中には、阿呆丸と呼ばれている女児(と思ったけど違った)がいて、生贄になることが名誉であり存在意義だと認識されている。そんな原始的な人間らの秩序に、別な価値観をもった人間らが秩序をもたらそうとする。そこで起こるストレスと軋轢、悲劇。
全体のトーンというかパワー的なものが、やや薄いと感じた。つまらなくないけど、ガツンとこなかった。設定とか展開は面白いと感じたけど。
カリドの長老が、めちゃ長老してたと感心した。
満足度★★★
鬼子母神
初めてのテント公演。
ネタバレBOX
チラシのあらすじとか登場人物を読まずに観劇。正直、ストーリーよくわからなかった(なんとなくわかるけど)。そんなわけで、一幕は若干眠くなった。
反対に二幕は面白いと感じた。混沌さが増したせいかな。(休憩10分の150分)
複雑でない照明と、何度も使用される音響も、次第に慣れていいリズムな気もしてきたのが不思議。トマトやカキ氷パフォーマンスとかヴァイオリンとか、一見しっちゃかめっちゃかなテイストのほうが魅力的な舞台だった。ラスト、ヴァイオリンを抱えて悲しむ小谷(藤井由紀)とヴァイオリンを置いて立ち去る二風谷(稲荷卓央)のシーンの演出は、野外らしくて良い。神社っぽいのが合ってたかはしらないけど。
荒巻シャケを演じた久保井研はしっかりした空気をもってる人だなと思った。小谷を演じた藤井は、美人なだけでなく表情も美人だった。
満足度★★★★
天狗
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
アッラー正田(サイショモンドダスト)の父・亀次郎(今井孝佑)と、亀次郎の兄・鶴吉(吹原幸太)は、昔、ある女(橘麦)への恋愛(とその後の事件)から、数十年顔をあわせていない。正田は、中東の刺客(跳川雄大)からの圧力で父と叔父の仲裁をするハメになる。いがみ合う父と叔父だったが、父から事件の真相を聞き、また正田の彼女で女の子であるミチル(橘麦)と会い、わだかまりが解ける…。
中東事変とか、妖怪大集合な展開もあり、アホな舞台だなと。下ネタもほどほどにぶっこんで、エンタメな空気ができあがる(中東事変シーンは、もうちょい派手でもよかったけど)。んで、その後の中東の刺客の存在が上手い。笑えるし。
妖怪シーンとかがいい感じのカモフラージュになっているのかしらないけども、終盤の兄弟愛(とミチルへの優しさ)のシーンがグッとくるつくりになっているのがいい。ベタでもあるけど、あんま気にならずにスッと胸で受け止められる。妖怪とかの笑いシーンが粘っこいから、ここらへんをサッパリ描くことで、中華料理後のウーロン茶的な美味さがあるというのか。よくわからんが。
アッラー正田は、見た目こそアレでも、結構普通の人でよかった。天狗(太田守信)の半平太は、嫌ないいキャラしてた。好き。ミチルは美人でいいが、母の性質を受け継いでいたのか気になるところ。
最初の遺骨2つと、ラストの遺骨2つの見せ方がうまい。最初は、父の両親(父の駆け落ちに対する懺悔)と思ったけども、終演後は鶴吉と亀次郎が、あの寺で一生を終えたことの示唆と思えるようになった。あたたかな作品だった。
満足度★★★
star pine
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
ダンス歌芝居のパフォーマンス舞台。
03朗読「調律師のるみ子さん」
ピアニスト志望だったけど、指二本失くして調律師になったるみ子さん。しっかりとした腕前だったけど、盲目のじいさんからピアノを愛してないとダメ出しされてしまう。昔、るみ子が助けた女性からケーキと手紙が届く。ここで、その女性を助けたせいで指を失くしたことが分かる。女性は怪我を克服し、自分の夢に一歩ずつ近づいていると手紙に記す。再度じいさん宅を訪れ、調律するるみ子。このピアノの音になったと喜ぶじいさん…。
単純にいい話。朗読なので、セリフは少ないからか、邪魔が少なく、人物が透き通っているようだった。
06RAKUGO
英語で落語。動物園の仕事で虎になった男。ショーだといって、ライオンと戦うことになり焦りまくり、動物園のマネージャーのハセガワを呼ぶがライオンが檻に入ってきてしまう。すると、そのライオンが俺がハセガワだと呼びかける…。
笑えた。オチもいい。最初、わかりにくいすし屋ネタで入って、動物園ネタで〆るのが上手い。
北野由夏sと小林真梨恵と安田栄徳の三人で踊ったダンスが良かった(05スクランブル?)。曲もかっこいい。
音楽良かったけど、折角ならもっと音楽要素のあるつくりでも良かったかな。生音で。
満足度★★★★★
缶コーヒー
面白い。色彩がいい。かわいい。
ネタバレBOX
伊東沙保…母。父と生き別れた後、子を産む。缶コーヒーの空き缶を父と思って生きる。かわいい。
板橋駿谷…子。怪物を部屋に持ち帰ろうとがんばる。怪物の言葉を想像で補う。
亀島一徳…子の友達。あだ名、ほしいも。友達は板橋だけだけど、メンタルの強さは折り紙つき。結構男気もある。想像力で会話ができる。
望月綾乃…子のことをいつも見てる女の子。ミロのヴィーナス(ヴィーナスの誕生?)になりかけた。
工藤洋崇…父。追っ手を探しているが、それには会えず、女の子に会う。子に説教喰らう。
水越朋…女の子。シルバニアファミリーが家族。缶コーヒーがお父さんになってた。
小橋れな…子になついてる(と思われる)怪物。ユーモアがある。
母と父が別れてから、父が女の子に会って、母と子に再会するも父と分からない話と、父を缶コーヒーと思っていいる母に見つからずに怪物を部屋まで連れようとする子の話。
ユーモラスな展開とセリフがふんだんで笑える。象徴的な演出と効果的な音響照明センスがいい。キャラが魅力的でかわいい。男も女も。
それでいて、母と父の空き缶積みの失敗からの流れ(父と気づかず)とか、怪物の心を想像する子と怪物の別れとか、父と女の子の楽しげなダンスと別れとか、中島みゆき「タクシードライバー」のような寂しさ(と力強さ)の同居した舞台が気に入った。
象徴するものが、支えになり、傍からみれば?でも、本人の中では現実であると。それが生きる原動力になると。人生、それで結果オーライなんじゃないかと。いい作品だった。
伊東の演技は抜群だったし、亀島のコメディな子演技も良かったし(缶コーヒーでヘドが出るは笑った)、望月は声もいいがヴィーナススタイルも美しかったし、小橋の鳴き声はキュートだったし、言うことなし。水越のダンスはやはり良かった。何気に声もいい。
満足度★★★
時をかける少女
面白い。60分。
ネタバレBOX
正直、話が面白いとも思わなかったけども、なんか愛らしい作品だなと。
女子高生の我妻三輪子が友人の安川まりとともに「運命の人」を探しにでる話と、バンドボーカルやってる亀島一徳が島田桃子へ告白する話を交互に描く。我妻のひ孫が島田でってつながりがあって、終盤でもリンクする。
安川にあっさり捨てられ、見知らぬ地で川の中歩いたりした我妻。自殺する島田を何度も歌で蘇らせて愛を伝える亀島。時間を越えた我妻が、亀島らの場所にたどり着き、島田の指輪を拾うってとこでエンド。
感覚的に面白いと思ったし、ロク(亀島)の歌声は良かったし、ウロ(島田桃子)の怒った表情はかわいかった(島田は声もいい)し、我妻のへんちくりんな女の子は魅力的だった。好みではある。
満足度★★★
ゼットン
面白い。タイトルがいい。
ネタバレBOX
96条とか9条が改正され、国防軍が存在する日本の新聞記者が集められた、北と南の国境間際にあるプレスセンターが舞台。
北がミサイル発射をチラつかせる物騒な中、新聞各社の競争とか、いじめ要素と友情をテーマに、新聞(と仕事)の意味を再確認する…。
帝都新聞が、北のミサイル基地へスパイを送り込むという暴走をしたかと思えば、実は内閣の調査機関の意思だったこと、プレスセンター自体が内閣の調査機関のカモフラージュだったこと、そして、その調査機関も政府から切り捨てられたことが分かる。自分たちのしてきたことが何だったんだと落ち込む記者たち。スパイからミサイルに核が搭載されているかもという知らせが入り、何とかしようと考えるところに、旅行者のレイコと友人キミのいじめと友情の話とイカリとトナミの話(とトナミの記事)が繋がり重なる。
話自体は面白い。レイコたちとイカリたちの話の部分を劇的に描いてもよさげだけど、押し付けがましくなく頃合なのかもしれない。
注文つけるなら、フィクションな設定をもっと生かした緊迫感とか欲しかった。あと、各シーンの面白味にメリハリが欲しかった。女子会トーク時の笑える部分は率直に笑える面白さだったけど。たとえば、カナちゃんがイカリに聞き取りするシーンだったり、多数決シーンだったり、タカノとクニマツの和食トークだったりが、もっと興味を引く内容だとうれしい。
満足度★★★
血
面白い。
ネタバレBOX
木村(時津真人)と水野(那須野恵)の愛とかが中核であるが、北朝鮮に絡んだ西村真の配置がある。水野は朝鮮の姫として登場するし、大山(渡辺昇)とはなこの関係とかも、朝鮮人の色が濃い描写となっている。
朝鮮への関心の薄さもあるからか、中盤ダレた。終盤は良かった。
朝鮮(人)と日本(人)の関係に焦点の合った作品だが、根底は貧困や差別、愛といった普遍的なものだったような気もする。ただ、それらが見えにくい。そういうものを見ようとすることこそが愛なのかもしれないけど。
遠藤広太の演技は好き。てかみな演技に難はない。ライフル片手に走り去る水野の表情がかっこいい。
満足度★★★
沼の中
面白い。転換時の上松コナンの演技が上手い。
ネタバレBOX
小学生時、いじめられてた沼田ドロシー(ヒルタ街)に声をかけた根暗で友達のいない稲庭(川原万季)。高校時には親しさもなくなり、30代になって稲庭が十数年振りに会いにくる。戸惑うドロシーだったが、同棲を認める。しかし、泥沼な稲庭はトラブルを引き込みまくる女だった…。
ドロシー…トラブルメイカーな稲庭を見捨てないのが凄い。
稲庭…ラスト、友人のドロシーのため、銀原を殺し?人生にケリをつける。
シシド(椎名茸之介)…稲庭のパチンコ仲間。比較的裕福育ち。すぐ手を出すバカだけど純粋。
田畑(郷志郎)…小説家志望だけど、上手く行かず、夢も諦められない。広尾をネタにすべく考えていた。
銀原(ゴールドユスリッチ)…稲庭が焼き殺した男の息子。ゆすりたかり屋。稲庭に友人がいることも許せない。
穂積(鉄炮塚雅よ)…ドロシーの友人。ミスコレ出場の際にドロシーを心配する。
宇野(上松コナン)…ドロシーのマンションの不動産屋。一番冷静で常識人。
萌(珠乃)…稲庭の妹で、銀原の自称彼女。稲庭のせいで男も作れなかったと非難する。
広尾(植木まなぶ)…ドロシーの隣人。ドロシーへのプレゼントに盗聴をしかけるが、友達が欲しかっただけな人。ゲイ。
自身の過失からタカラられ、友人のドロシーを売る稲庭だったが、ラストのラストでドロシー(や他の人)を救い、すべてを自分でケリをつける決心をする。正直ここらが劇的ってワケでないと感じたが、泥沼な人生を歩んできた(そして今後も歩み続けるだろう)稲庭の、小さな体と心が気に入った。
不幸を巻き散らかすって女だけど、なんだかんだ周りには人がいて関係している稲庭は救われるべきだったのかもしれない(実際のクズはこうはいかない)。けど、友人の危機を救うためにってとこしか見えなくなった稲庭の選択を肯定してあげたいとも思った。
満足度★★★★★
柱
面白い。
ネタバレBOX
2008年の隕石落下の一年後、「柱」が都市部へ次々と落下する。隕石も「柱」も、それを見た人間に幸福感を与えつづけ、思考と動きを止めてしまう力があった。人が大量に死に、都市機能も麻痺し、難民が大量に溢れる中、山田輝夫(安井順平)や二階堂桜(伊勢佳世)は、「町」を作っていく。難民の量治(池田成志)がやってきて、二人は次の「町」を作りに移動する…。
2096年、「柱」は、見えないように覆われ、月1で開放されるというふうに管理され秩序が保たれていた。「柱」の力が及ばない「見えるもの」である亘(大窪人衛)の存在に可能性を見出す、町長・森永(池田成志)や輝夫のひ孫の山田寛輝(安井順平)だったが、山田は「見えるもの」を好きなところへ行けと送り出す…。
麻薬、安楽死装置と言われた「柱」が、数十年後には神様の如く祀られ、人はそこに幸せを求めにやってくる。なんのために、誰がという回答とか、どういう反応が体内で起こっているのかも探りつつ、今後をどうするかってとこに焦点されるつくり。大変に面白い設定に興味が尽きない130分。時を越えて生きている(と思われる)柱の大使である望(浜田信也)の存在とか、「見えるもの」の存在とか、好奇心をくすぐられまくった。
「柱」がなんなのかってのはわからないけど、世界(作中だど日本描写がほとんどだけど)に変革をもたらし、ヒトを原始的(あくまで現代的なんだけども)な状況に追い込み、そこからのリスタートを予感させる作品だった。ちょっとした神話だなと。
満足度★★★
クズ
チケットプレゼントにて鑑賞。面白い。
ネタバレBOX
ビックリすると過去に戻っちゃう体質な志村(横田純)が、クラスメイトの篠原(金魚)へ告白できずに、彼女もできずに人生を歩む。友人の藤川(水越健)は、仕事も金もないけどクイズが得意な志村に、報酬2,000万の仕事を紹介する。篠原や、志村に告白した大野(日榮春華)とのダブルデートをしつつ、突如出されるクイズに答える志村だったが、デートは破綻、篠原が藤川と結婚することを知る。そして、過去に戻った志村は篠原に告白するが…。
24時間クイズな設定と笑いが上手くかみ合ってた。クイズでない場面でも、笑えるところが多くて楽しかった。きちんと会話で笑えるとこもあって良かった。
志村と篠原がレストランでシリアスになるシーンとか、告白シーンとかとのバランスがとれてて、メリハリも付いてた。ただ、レストランでのシーンの合間にTV司会を挟むのは、舞台の空気が微妙になっちゃうと思う。
篠原も時間を戻っちゃう体質だって告白を得た志村が、篠原の姿のない時間の中を探し続ける。一年公園のベンチで待って、あの日のように告白するシーン。重なる演出は良かったけども、心動かすようなものがほしかった。二人の表情はいいんだけども。
その前段階での、ジャンケンシーンに工夫があっても良いかなと。いくらなんでもジャンケンで決めるかとも思ったし。「夕日に向かって~」はウケたけど。
篠原を探してる時の志村が、皆どこかで関わっていて~って独白するけども、恋愛以外の要素がもうちょい色濃くほしかった。タイムリープを繰り返した志村が(篠原以外に)何を得たのか。なんだかんだ、友情は以前から得ていたようにも思うしね。
ちなみに、片思いな大野がかわいかった。タイムリープ後(覚悟を決めた)志村に告白するシーンで「好き」ってのが被っちゃってたけど。
満足度★★★★★
ツクリが違う
傑作。面白い。
ネタバレBOX
父(猪股俊明)…不条理な暴力を振るってたけど、愛情なんだと言い切る。
母(岩井秀人)…なんかお母さんだった。
太郎(平原テツ)…長男。父に反応することとか、家族仲に対して無反応。おばあちゃん(菊枝)のことは好き。
よしこ(佐久間麻由)…長女。家族の集まりに気合を入れてたけど、上手くいかず、自分もつまらなかったと嘆く。
次郎(富川一人)…次男。認知なおばあちゃんにも優しく接する。長男とぶつかる。心底父の傍若無人さが許せない。
かなこ(上田遥)…次女。バンドのギターボーカル。カラオケを強要され逃げだす。
前田(高橋周平)…次郎の友人。カオスな飲み会にも参加し片付けもするいい人。
和夫(奥田洋平)…よしこの夫。父の性質が気にならない、ツクリの違う人。
牧師(小熊ヒデジ)…手紙読んだり歌うたったり。
父の暴力で歪んだ家族が久々に集合し、飲んで歌ってケンカして、おばあちゃん死んで火葬してって話。
人間が触れ合い摩擦が起こる、その空気が上手い。そしてその人間関係が「家族」だってとこが痛い。なんか熱くなる。みんな傷ついているのに、近づいては傷つき離れてを繰り返すサマが痛い。で熱い。
それなのに、笑っちゃう不思議さが魅力。葬儀屋もいいトコついてたけど、「歌い手を殺す空気」ってとこは爆笑だった。ラストの家族みんなで棺を入れるシーンのコミカルさもいい。こんな感じで〆る手腕がいい。
母が母してた。同窓会に参加せず、家族の飲みの向こうに楽しい姿をみる時の悲哀とか、父に孤独になって死ねって言うとことか。舞台構成の上手さとよく絡み合ってた。
母だけってわけでなく、泣ける作品。
満足度★★
四人姉妹
なぜにこの作品を円形劇場で行うのかがわからなかった。
当日パンフの高校卒業アルバムなノリがいい。
伊藤歩いい女優さんだった。
ネタバレBOX
八百屋「やおさく」の四姉妹、長女・一実(菊池亜希子)、次女・二葉(伊藤歩)、三女・三樹(満島ひかり)、四女・春菜(福田麻由子)。母が失踪?だかして、父・幸太郎(志賀廣太郎)の元で育った女たち。三樹は病気で入退院を繰り返し、父も病に倒れ、姉妹が久々に揃う。昔の暖かい日のことと、家族の情愛が描かれる現代を交互にみせる。ボーリングに家族で行くとなった在りし日、三樹は「わかんないー」と泣きながら嫌がり、一実に抱きしめ撫でられる…。
一実…店番したり、妹らの面倒みたりと母代わりな長女。父と三樹の病のせいか、結婚をしないでいる。背が高いのがコンプレックス。
二葉…気の強そうな次女。ピアニスト志望な新山タカシ(大山雄史)への反応がうまい。
三樹…いつからか病弱になった三女。ボーリング場でとある兄弟のメガネが食い込んでる方に告白される。食い込んでない方(黒田大輔?)への想いは宙に浮いたままだったみたい。
春菜…数字のない四女。幼少期はスチュワーデスの人形がお気に入りの泣き虫。一実が結婚しないことを迷惑だという三樹に、ほっとくワケにはいかないと言い切る。
言えないことが多いけど、家族だから言ったら言ったでダメなのか。実際そんな言ったりしないしね。
満足度★★★
さわやか
面白い。好み。
ネタバレBOX
とある料理店で働いてたけど失踪した「岡田」にまつわる人々。
入江路子(ヨウラマキ)…酒の勢いで岡田と寝た。岡田を探すも、結局、岡田へは連絡取らなかった。町工場勤務。
矢崎晴(山脇唯)…料理店の店員。女優もやってる。大貫(岩田裕耳)に甲斐甲斐しく付き合うも二股発覚により別れる。
梶本佑香(鈴木アメリ)…料理店の店員。宇津木(田中嘉治郎)を好き。矢崎がチヤホヤされるのが面白くない。
小山(浅井伸治)…料理店店長。宇津木から責められ、部下からの信用も薄い。それでいてギャンブルにのめり込む。
宇津木…料理店のコック。味に自信があり、岡田と揉めてた。矢崎に言い寄る。
大貫…脚本家。二股の修羅場を経て、二人に捨てられる可愛そうな人。岡田に金貸してた。
蛯名理英(榊菜津美)…大貫のことが好きでもないけど付き合ってた。
古谷(秋本雄基)…コンビニ店員。大貫と理英のいざこざをツイートしようとする。
金井(小笠原東院健吉)…路子の勤める工場の新社長。周囲の信頼を得られずふて腐れ、アイドルに走る。路子に言われちょっとやる気出す。
三枝(村上航)…コンビニ店員。元スリの達人でヤクザとのつながりあり。コンビニ客だった岡田とちょっと近しい存在だった。岡田の借金肩代わりをする。路子に工場で働かないかと誘われる。
ナチュラルに燻ってんなって感じの人々に好感触。毒素は少なくどこかさわやかな印象。たぶん作品自体もそんな印象。
姿を見せない(ラストに手だけ?)主人公の「岡田」についても、同じ印象かな。作家志望で、小さなプライド守るため闇金から借金拵えてコンビニでキレてって、なんかありがたくないけど等身大な人物像を思い描いた。
さわやかなのは、岡田を探そうとする路子の変なひたむきさのせいだろうか。ヨウラマキが、岡田との距離感を保つ路子を好演したせいだろうかしら。終盤の、岡田との関係を明かす三枝との会話もさわやか。三枝に救われた岡田が、ドラマ?の人気脚本家になるって展開もさわやかさの一因かな。変化急な爽やかさが好みの作品だった。
村上航の演技がピカイチではあったと思うが、ヨウラマキもいい味出してた。山脇唯の、お茶目を演じる晴と吹っ切れた晴の演技もまた、良かった。中身的にいじらしくカワイかった。そして、ルンバには笑った。
満足度★★★★
スカイハイ
ばかなシーンを詰め込むってライオンパーマな造りで安心した。ところどころのハードボイルドなセリフもいい。
ネタバレBOX
ランダムに夢を叶える「未確認飛行通販」とか、売れないラーメン店の奥さんがチラシ撒くとか、人狼な女子高生とか、地獄耳な宇宙人とか、浮気問題に揺れる夫婦とか、裕福な五人姉妹とか、カジノ店突入前の刑事と銀河警察とかの話…これらが、彼氏が死んだショックから精神の病に罹ったこずえ(まじまあゆみ)の創作であったという作品。
前半が求心力に欠ける印象。刑事らの話あたりから面白さが増して、舞台もノってったって感じ。全体的にしゃべりが聞き取りにくい箇所があって、笑いにくいかんじもした。言葉数が多いせいか(多少削ってもよいのでは)、テンポが若干悪かったせいか。
OPでの野球シーン、中盤中盤に入る精神科医と刑事とこずえの話。ここらで、各話が小説のフィクションであったことが示され、そして、こずえの小説が終わりに近づくラスト、ホームランボールを取り損ねた彼氏・裕幸(草野智之)の笑顔を(映像で)認めるこずえに生気が戻る。バックの野球観戦者の表情もいい。ばかを重ねつつ、爽やかさを実感させられた。平日夜に観たいと思わせる舞台に満足しちゃった。
「未確認飛行通販」自体は、こずえの願望の現われって感じもして材料的には良いけど、見せ方がわかりにくいのが残念。
売れないラーメン屋の甲斐甲斐しい奥さんと浮気された奥さんを演じた内江志八枝の、かわいさとか色っぽさの表現が良かった。
刑事物の話は、いかにもライオンパーマな感じがゆるくて面白い。ミミコ(前田無有子)のチャップリン好きでけっこう悲運なキャラも良かった。ルイを演じた東銀座晴海の足がキレイだった。
裕福な五人姉妹の歌もいいし、奥さんと使用人ってオチもいい。笑いも多かった。
満足度★★★★
雑貨店
面白い。
ネタバレBOX
工員・浪矢雄治と令嬢・皆月暁子の悲恋が元に、なんでも相談を受けるナミヤ雑貨店と不遇な人間が身を寄せる施設に関係したドラマ。
浪矢の命日に、施設で育った負け犬な3人組の元には33年前にナミヤ宛に書かれた相談の手紙が届き、33年前の浪矢の元には未来からの手紙が届く。手紙の応酬と背景をうまく組み合わせ世界を広げていき、人間関係の綾が徐々に明らかになっていくのが面白い。3人組がアドバイスした33年前の施設出の松岡加奈子が、現在の3人組の強盗の餌食になりハンドバッグをパクられる(その中の手紙を読む)ことで3人の心が揺さぶられる。そして、33年前の死ぬ直前に書かれた浪矢からの手紙が届き、3人の迷いが晴れる…。
手紙が時間を越えるって設定も良いし、登場人物の背景にドラマがあって、描き方が力強いのがいい。決して甘くない材料を取り揃えつつ、トラベルファンタジーな要素で以って、ひとつの前向きな人生観を示した快作だった。笑える箇所も適度にあったのも良かった。変にドタバタになってないのもいい。
不倫相手の子を生むか迷ってたグリーンリバーのエピソードとか、3人組の不遇な人生とかに、暗めな舞台雰囲気がマッチしてた。3人組のバックグラウンドの悲劇性とか歪んだ感じをもうちょい描いてもらえれば、ラストの晴れやかさが増したとも思うけど。
「手紙を読む」ってことが、相手の気持ちや人生を読むっていうコミュニケーションの基本に行き着くことを土台に、人が他人に影響を及ぼせるんだ役に立てるんだってことを前向きに描いた素敵な感触の作品だった。
(3,800円で鑑賞)
満足度★★★★
A
ストレートな作品。
ネタバレBOX
アンティークショップ店長・ユトリ(井上嵩)が予約されてた品を友人のトウジ(上野恭介)に誤って譲ってしまった。荒れた生活をしていた過去、おばあちゃん(神谷柚里)の形見の品を質に流してしまったこと、母(新菜彩乃)の手術を明日に控え、それを持って会いに行くことを打ち明ける、ハルタミキ(本間玲音)。品がおばあちゃんの物か確認すべくユトリの能力(品物から過去を辿る)で過去を見たミキは、品をトウジに渡し、ひとり母に会いに行くことを決意する…。
外聞を気にするおばあちゃんと衝突する、駆け落ちした母。芯のある子に育ってほしいと「幹」とつける母の願いと、おばあちゃんが例の品を母に託す気持ちを感じるシーン。
さらに遡って、終戦直後、おばあちゃんとおじいちゃん(小林弘幸)のシーン。パンパンで身を削りながら生きるおばあちゃんに結婚を申し込むおじいちゃん。複雑な女心を100パーセント読んだワケでもないけど、おばあちゃんの心と表情がちょっと緩む。
親が子を命名する時って、自分に無いものを得られるよう命名するってきいたけども、駆け落ちして不安に押しつぶされそうな(それでいて強気で振舞う)母の心と、生きるために外聞を気にしてられないしどうでもいい男と思ってても結婚するって決意した(実務的な)おばあちゃんの心をミキが素直に汲み取るって構図自体がやさしい。なんか心洗われる。
話も音響照明も、常にシンプルなつくり(公演目的が演技発表だからだろうけど)で気に入った。
演技は、キリコ役の阿部紗穂里がナチュラルに見えて良かった。全体的には、緩むとこと緊迫するとこのメリハリがほしかった。
満足度★★★
なまず
面白い。
ネタバレBOX
東北の伝説的口上がOP。神経質な田端(月船さらら)のニヤニヤできる芝居が続き、大津波発生。その数十年後の東北が舞台。放射能汚染などで人の住めなくなった(政府が立ち入りを禁止した)東北のジャングルで、王国を築く男(斎藤歩)とその妃(月船)、部下っぽい男(鴇巣直樹)と頭の悪そうな男(舘形比呂一)、そこへ偵察隊のパイロットだという男(若松力)が迷い込む…。
反政府組織な「なまず」が実は王国の彼らだったとして、首相にのし上がった田端に銃殺される面々。その時巨大な地震(なまず)が起こる。その後、富士山噴火でめちゃめちゃになった日本、そこでも人々は生きていた…。
近未来SFで、原発や大震災後の東北の暗い空気の中生きる人間と、政府から自由を得ようとした人間を描く。
歌とかギャグな要素がちょこちょこあって、エンタメな色彩もあるが、下地は重い。田端がコックリサンをして地震発生するシーンは、その前のコミカルな空気から一転、空気が引き締まる感じがした。
中盤、舘形が演じた、南米のなまずの王子の独白のとおり、弱いクセに傲慢な人間(政府)ってテーマと、精神病院から抜け出たようなバカ達(王国)の両面性が面白い。
若松の締めの、なるようになる的なセリフも、極限状態でのリアリティさがあった。
エンタメなトコがもう少し素直に笑えると良かった。演技は皆良かった。月船の妃衣装が美しい。キチガイだけど。