満足度★★★
「ファンタズマゴリア」50分。
ネタバレBOX
遊(渡辺実希)は、あの日母に捨てられた廃園した遊園地で案内ロボット(渡辺望)と出会い、遊園地誕生の話を聞き、園内を周り、つかの間の夢をみる…。
イスと傘を使用し、遊とロボット、遊園地の創業者・幸之助(佐々木豊)とその妻・園子や二人の子・地鶴(加藤晃子)、の世界を上手につないで見せる演出は、とても天幕旅団らしい。照明とか衣装、床デザインとかも。
幸之助と園子の恋めいたものとか、園子の死、地鶴と幸之助の親子愛とかで揺さぶりつつ、母に捨てられた遊の悲しみと、それを癒す遊園地ロボットとの別れで〆る一連の流れは美しいと思う。ただ、もう1ヤマあるのかななんて思ってたから、50分はやや短いかなと感じた。まあ、もうちょっと見ていたいくらいがちょうどいいのかもしれないけど。
廃園した遊園地でみる幻のようなひと時っていう、ロマンチックなとこは好き。そして、近い将来撤去され「跡形もなくなる」という寂しさと、どこかで会えるんじゃないかというウォーミングなとこが好き。
満足度★★★★
80分。
ネタバレBOX
「丸山事件」(青木秀樹)
とある女(小野寺ずる)が警察に追われ精神病院の看護師に追われ、ストーカーしてた男の部屋に逃げ込み、なぜ自分が追われているのかを語りだす…。
精神疾患っぽい女の語るホントか嘘か妄想かわからない世界が息もつかせぬテンポで繰り広げられる快作。作の中で出た「オノデラズル」との融合というリアルと虚構の溶け込み具合とかいい感じね。あと、名前で笑わせる「ナカゴー」はやはり凄いと思う。
「演劇の夜」(田川啓介)
演出家(浅井浩介)の部屋に女優(日高ボブ美)がやってきて、演出家はイケると踏んで告白するけど、あっさりフラれ、器の小ささが露呈する。
付き合ったら一緒に仕事しにくくなるという女優に、じゃあ降板して(付き合おう)という演出家に、なんでよと突き放す女優が面白い。異常な人間性を描くのとは違うけど人間関係のツボを押さえた良作品だった。
「僕らは小沢健二に踊らされて、ここまで」(山田佳奈)
ストーリーより、20年後の自分を想像しろというセリフとオザケンの再登場までに20年経っている事実に驚愕した。この20年で何が変わったのか、20年後何か変わっているのか。
満足度★★★
前説のようなアイドル紹介10分含めた90分。
ネタバレBOX
とある一室に住む若い男女10名。水商売女やゲイ、レズなど互いをアイドルの名で呼び合うマイノリティの集まり。その色恋や破滅を描く。
前半はやや面白味に欠けるかな。男体盛りとラストのヒデキ(東谷英人)とマサコ(橘麦)のシーンが面白かった。爆薬の誤爆かなにかで死んだ面々が折り重なるサマをバックに決意めいたマサコという構成がよいなと思う。
希望のようなものも見えにくい若者の最期の閃光のような作品。舞台上手に置かれた金魚のように同じとこでどこにも行けずに一生を終えるという寂しさが舞台に広がっている感じかな。一見テンションは高めだけど。
橘麦の表情が終始魅力的。あと、前説的なのをやったゴロウ(武山尚史)の声が素敵。
満足度★★★★
110分。
ネタバレBOX
とある工事現場で遺跡が発見され工事は遅れることになった飯場に、工事作業員や発掘のための学生や工事作業員らの親会社社員、文化庁職員が溜まりだし、どこに行き着くものでもない会話が続く…。
大抵の会話は、結論に至るでもなく尻切れトンボな感じでふわふわした調子で時間が過ぎていく。とても自然に。根底にあるのは閉塞感のような重ためな空気かな。でも現実世界と違って、なんだか笑顔が溢れる面々(泣いてる人もいるけど)を見ていると、いい感じになっていくような気もしてくる。
ミイラ男が現れるという「噂」の工事現場で、人と人とが織りなす1シーンという、なんでもないのが、逆にプレミアムな作品なのかなと思った。単純な面白味という意味ではもう一声ほしいかな。
「発掘」ってロマンだよね、必要性はないよね的なくだりで、じゃあ演劇の必要性はどうだろうかと思った。工事とかは経済にかかわっていて必要性はあるけど、遺跡はなくても社会的にはよいんだろうけど。終盤の「とび職暮らし」を歌う面々の幸福そうな表情を見ると、演劇も遺跡も人には必要ってことでいいんだよねと感じた。
満足度★★★
105分。それが
ネタバレBOX
死に近づく男女が愛した人に宛てた(心の)手紙を読み上げる最初のパフォーマンスから、まさに愛し合ってる複数の二人が別れるまでを描く。
誰もいない芸術劇場に忍び込んだイケイケなカップルが、舞台セット壊してってOPは面白い。倒れたセットが舞台になるというね。その後も、誰もいない舞台を二人が寄り添い空想の中観劇するというテイ。
一方の舞台上では、セックスな男女がポップなセックスで愛し合うサマを表現してて、見ごたえある。
ただ、ちょっと冗長な印象で、胸に迫ってくる感は弱めかな。棺から出てきた演者(愛的な死人?)がまた棺に戻っていくラストは退屈にも見える。全体的に動きがユーモラスな分、時間も短めな作品にした方が好みかな。
序盤のcrazy loveは好き。
メイクも相まって、新部聖子が魅力的だった。
(傍からみたら)バカップルな二人の描き方は相変わらずうまいと思う。
満足度★★★
105分。
ネタバレBOX
村立ながら甲子園出場を決めた野球部は、見事1回戦敗退し、その後、エース(皆上匠)が不慮の死を遂げる。時は過ぎ、監督(佐藤誓)も死亡しその法事のため、当時のスタメンがグラウンドに集まるが…。
甲子園出場という華々しい舞台の裏で、エースの死亡と八百長の影がチラつき、スタメンらの心に影を落としていたという話。過去シーンや亡霊?のようなエースと監督との会話を織り交ぜ、40歳前後のスタメンらの心のささくれみたいなものをちょいちょい突いていく感じ。
高校野球の八百長っていう、あるのかな?というフィクションなとこから、選手らと監督の心の内を明らかにしていくようなサマは面白味がある。が、過去と向き合う的な印象が強くて、やや飽きる。今とか未来にもつながるような感覚があれば、もっとのめりこめたかなと感じた。
チラシの「延長できねえ 人生だから」とか「逆転ホームランなど打てないのだ」とか、いフレーズだと思った。
満足度★★★
90分。
ネタバレBOX
自殺のメッカ的な竹藪に集まる死にたい人間らと、竹藪で生活する宇宙犯罪者とそれに攫われた女の子と、宇宙警察の話。
小気味よい掛け合いは好き。自殺するのに睡眠薬飲んだ妻を前に、水ないと錠剤飲めないという夫とか、小ボケが面白い。
寓話的な話なのかもしれないけど、食らいつきにくい感じの舞台だった。退廃的というか呪縛的というか。
満足度★★★★
二回目。
ネタバレBOX
娘の結婚式当日に死んだ、乳のある父の葬儀で、幸せになると宣言する娘。悲しさのような中に、しっかり幸福が織り込まれてるとこがいい作品なんだと思う。
満足度★★★
155分(休憩15分)。
ネタバレBOX
「ジルドレと黒魔術」
ジャンヌダルクに入れ込むジルドレ公爵(窪田郵次郎)はジャンヌになりそうな少年を探しては殺してを繰り返す。金銭的に困窮しているところへプレラティ(紅日毬子)が現れ、ジルドレはジャンヌではなくプレラティへのめりこんでいく。少年殺しでつかまった裁判でプレラティはジルドレの罪をでっちあげるが、ジルドレはその声の素晴らしさを絶賛する…。
「快楽刑」
ヤクザのボスとその婦(大森さつき)は、ヤクの件で警官に追われる。警官殺しとヤクの件からボスを守るため、情婦は、別の警官と寝る。そのことで激怒したボスは、警官と情婦をヤクを焚きこめた部屋に括り付け狂わせようと拷問にかけるが、情婦への愛情を捨てきれないボスの態度に弟や舎弟は反発し、情婦もまた自分のボスへの愛情から、煮え切らないボスへ怒りをぶつける…。
「バートリ・エルジェーベト リバイバル」
夫?からの愛情を受けるべく、その美貌を維持し続けようと、若い女の血を飲み、風呂につかりと、ぶっ飛んだエルジェーベトは、罪に問われ暗闇に幽閉される…。
偏執狂という意味では、ジルドレが一番面白かった。口八丁でジルドレの信用を得て、ジルドレの娘マリー(春名風花)をジャンヌとして生まれ変わらせようとするプレラティという異常者以上に、プレラティにのめりこむジルドレの姿が良い。時間的に短いながら、変化があって面白かった。
快楽刑は、むしろ純愛なのでは。なんか、ヤクザな方々の主張が、どこかコミカルに聞こえてしょうがなかった。偏執というより愛情深い話だったなと思う。
エルジェーベトは、ちょっと散漫な印象。ラストのバートリの主張のシーンは見ごたえあったけど。
おっぱいの見せ方が、「偏執」をより際立たせるような感じだとなおよかったかな。
満足度★★★★★
90分。
ネタバレBOX
一(尾方宣久)…築野家長男。実家で母と二人暮らし。高卒後同じコンビニでバイトの高齢フリーター。膵臓癌の母の治療を望んでいる。
紘(近藤フク)…一の弟。既婚。家を出て久しくあまり帰省していない。子供を作る気はない。
沙都子(伊藤えりこ)…應介の妻。仕事はやめたくない。應介と二人で贅沢して、思い描いた人生を送りたいと、出産に対して否定的。
應介(市原文太郎)…沙都子の夫。沙都子の妊娠疑いに動揺し、出産の可能性を考える。仕事が好きでもなく、主夫でもよいと考えている。
結(佐藤幸子)…一らの母。
糸(橋爪未萌里)…沙都子が身ごもった子。
築野家の会話と田熊家の会話と結と糸の会話を順繰りに展開し、中盤から築野と田熊の4人での議論に突入し、母の生死と身ごもった子の生死と自分らの人生について想いがぶつかり合う。
いつもより笑い控えめな印象。
すでに死を覚悟した結は終始穏やかで、息子二人が見舞いにきたことがうれしいと微笑む。一方の糸は、夫婦喧嘩にも似た自分の命についてやりあう両親を見て涙目になってどうしようとうろたえる。議論の当事者であるけど、議論には参加せず(できず)って人間を配置し、そこのリアクションも客に見せることで作品に奥行きができてた。二人が序盤で話してた桜の木でいえば、二人は桜の木そのもので、当事者の意見とは別に進行する話の残酷さみたいなもの(命を奪う側の主張との落差)に、唸った。
一方で、沙都子の子を産みたくない理由も、理解できるなと感じてしまった。命を軽く扱っているワケではないけど、自分の人生というのもまたかけがえのないものだから。命とか人生とか、重いもの背負いたくないけど背負わざるを得ない、そんな一般人の叫びみたいなセリフにしびれた。
一の飄々とした雰囲気と、リアリストな紘の会話もユーモアとリアルさが混じって聴きごたえあった。ラスト、母の彼氏?の金沢さんから母が危険だと知らされ、「泣いてないぜ」という一の背中に、辛辣な作品の根底にやさしさのようなものが流れているようでコレもグッときた。いい〆だった。
沙都子と糸の髪型が同じだった?のも上手いなと思う。
満足度★★★
電車は血で走る。130分。
ネタバレBOX
電車事故で死亡した小二の鉄彦(菜月チョビ)が愛犬のパンタグラフ(常住富大)を連れて、友人の寛(丸尾丸一郎)の前に姿を現す。寛の勤める町工場は二代目が首の骨を折って死亡し、三代目の武(オクイシュージ)が継ぐこととなるが、大手のタイガー建設とのいざこざから存続の危機に晒されていた…。
まだ音楽があると、宝塚奇人歌劇団で一旗揚げようとする寛らに鉄彦が加わり、一同明日に向かって突き進むというラスト。にぎやかではあるが、なんとなくパワーが伝わってこない感じ。寛と鉄彦の小学校時代の想い(恋心よりも友情的な)が伝わるシーンは見ごたえあり、寛の鉄彦を死なせてしまった後悔と鉄彦の純真な気持ちが眩しくて、ジンとくるが、なんとなくノリきれない。
ちょっと笑いも少な目だからか、序盤の掴みが弱めだからか、迫る感じがもっと感じられればなと思う。楽隊の音楽とかノリは気に入ったけど。あと、7000系(橘輝)とかのぞみ兄さん(オレノグラフィティ)のくだりも好き。電車を見守るという7000系のように、鉄彦もまた寛らの鉄道魔人になれたんだなと、うれしくなった。
セリフや歌詞が聞き取りにくいのが、ちょっと気になった。
満足度★★★★
Dプログラム。75分。
ネタバレBOX
「野ばら」
老兵と隣国の青年兵が守る国境。いつしか仲良くなった二人だったが、戦争がはじまり、青年兵は老兵は殺せないと戦地に赴く。その後、旅人から戦争は老兵の国が勝った、青年兵の国は兵士皆殺しになったと聞き、夢の中で青年兵の雄姿を垣間見る…。
静かな作品の中に寂しさが横たわってて好き。
「幸福の王子」
金や宝石で彩られた王子の像は、以前住んでた宮中と違う、貧困にまみれた市中を想い泣きくれる。群れから離れたツバメさんは、王子の希望のとおり、貧困にあえぐ市民のもとに王子の宝石を届ける。ツバメはエジプトにわたることを止め、目の見えなくなった王子のため、金を市民へ配り、冬が訪れ、王子の元で死亡する。汚らしくなった像を見た市長が解体を命じ、王子の像は溶解されるが、砕けた鉛の心臓は溶解できず捨てられる。ツバメの死体とともに…。
原作の悲しみと温かみをもったまま、ユーモアも交えて楽しみの増した作品に仕上がってた。自己犠牲的な話だけど、長生きとは別の充実感に満たされてた。
「あおぐみのうた」
過去作品の楽曲群。アンコールあり。
作品紹介もしつつ、ゲストの日高啓介とのやりとりもあって、客を意識した作りのきちんとliveしてた。
満足度★★★
90分。
ネタバレBOX
旧希望の島(いわゆる夢の島)で死んだ少年の録音を、旧希望の島の政策にかかわった職員が聴くことになり、少年の凄惨な人生を目の当たりにしていく…。
親にごみように捨てられ、トラックに轢かれ右足切除し、草やミミズで団子を作り喰らい、ごみも喰らい、鳥を喰らい生きていた少年は、やはり叔父に捨てられたという盲目のニイナと出会い、ニイナのため腕を切除するが、結局ニイナは死に、少年もまた息絶える。職員の蛆山は、少年の死に目に出会い、想いを残すよう勧め、希望はあるかと問う。少年は生きたいと息絶える。そして蛆山はその録音音源を元に、次なる希望の島の政策へとつなげていく。
というストーリー。凄惨ではあるが、むしろ絶望から這い上がる少年と、結局社会的には意味をなさなかった存在だったという二面性に惹かれたかな。自分はごみじゃない(死んだらごみだ)という少年は、確かにごみじゃないんだけど、けど社会的にはごみみたいなもので、けどニイナにとっては希望であって。
生きる=食べるをひたすら繰り返す少年は結局ごみみたいなものだったのか、むしろ少年を利用しニイナを希望の島に捨てた蛆山の方がごみなのか、少年を捨てた親がごみなのか、人間何をしたら(何になったら)ごみなるのか、そんなことを考えているような作品だった。
満足度★★★★
110分。
ネタバレBOX
高校教師の彼氏・雄一(加藤雅人)からのプロポーズを得られないまま、彼氏と離れ離れになり、姉・可奈恵(濱野ゆき子)の治療費のこともあり、社長の澤井(浅見紘至)と結婚したが、束縛屋の澤井との生活に疲れを見せる美奈子(篠塚茜)は、雄一との再会を機に、自由を得ようとするが…。
というやや重めなラブストーリーをベースに進むが、中盤からは、きっかけをトリガーにしたコメディへと変化する。
電話のコールで海浜公園へ走りだす美奈子とか、きっとという言葉でいちいち倒れる可奈恵とか、愛って言葉を聞いて罪を犯すと決心する面々とか、シーン関係なくキッカケに反応する演者と、気まずそうな表情の役者陣に大いに笑った。
妹・優奈(小関えりか)の「金」にいちいち反応してビンタかますのとか、「面白い」に反応して書類を破り捨てる自殺した高校生・明良(川井檸檬)とか、「写真」に笑顔で反応する西宮一家とか、「どちら様」で名刺を出す記者・北野(佐々木ゆき)、「手帳を閉じると」男女の雰囲気を出す澤井とか、「抱かれる」と色っぽくせき込む可奈恵とか、あげたらキリないくらい、怒涛のラッシュだった。
ラスト、キッカケに縛られた面々がゾンビのようになり、雄一が指輪を渡そうとするもうまくいかず、けどあれよあれよと美奈子の手に渡り、強引に「結婚しよう」で終幕するというパワフルな〆も最高。
久々にシベリア少女鉄道見たけど、やっぱり面白かった。
満足度★★★★
「雨と猫とくつかの嘘」Bプログラム。75分。
ネタバレBOX
還暦を迎えるバツイチ独居の風太郎の姿や風太郎の還暦祝いにやってきた娘の菜穂と婚約者の涼太らの会話と、風太郎の子ども時代と風太郎の幸せな家族での生活を描く。
他愛もないような作品の中に、風太郎の父の妻だと名乗る沢子が登場したり、風太郎自身の浮気をにおわせたり、風太郎の息子・鉄平の元男性な彼女・遠藤を描いたりと、黒いシミを残すようなとこがちょこちょこ挟まって味わい深さが増している。幸せな家庭に潜むおどろおどろしさというのか。いいバランス感覚だった。
人に看取られて死ぬと転生できなくて、未練あるなら人知れず死んで転生するという猫の話のように、還暦の風太郎は孤独をマイナスにとらえず、転生を夢見てるかのようなラストの表情に見えたかな。子の結婚式に二度出られて孤独ってことはないかなと思うが。
いい作品だけど、座り演技が非常に醜くて残念。テーブル周りで何しているかよく見えなかった。
満足度★★★★
110分+AT20分。
ネタバレBOX
幕張界隈の暴走族マッドウォーターパイプ(MWP)の頭の倉田(高木健)が、実刑をけ、ずんぐりむっくりな下っ端の野上(城築創)が引き継ぐが、結局MWPは解散。野上らは、バイクも売ってストⅡに興じる自堕落な毎日を送る。そんな中、出所した倉田から、今夜野上の家に行くと電話が入る。解散の事実を知られると殺されるといって、パニックになる野上らは、今日だけ倉田をだまそうと画策するが…。
基本ドタバタな笑えるコメディで好感触。もうちょい時間短くてもいいけど。
コメディでいて、現実に立ち向かえない人を描き、そして克服しようとするサマを終盤でもってきて、印象深く終幕するつくりも〇。野上が、これが俺の戦い方だと二階から落下して、ストⅡシーンを挿入するとことかね。ギャク性もあり演劇性もありでよかったのでは。
コメディが過ぎると野上らのクズさ加減が薄くなってしまう気がするので、そこらへんは、バランスとってほしいかな。
ATで客の興味を引くシーンを積み重ねていく作り方をしていると言っていたけど、きちんとそうなっていたと思う。
満足度★★★★
140分。
ネタバレBOX
現代のとあるアパートにて、一人の老人が孤独死(自殺)した。刑事らは、遺書のようなノートを読み上げ、孤独な老人・修三(足立英)の1960~1970年が再現されていく。
先々代からの蚊帳工場を営む清(西尾友樹)のもとに、会津の水飲み百姓で中卒の修三が集団就職してくる。子供のできない清と妻・悦子(佐藤みゆき)は、物覚えもよく勉強好きな修三をわが子のように想い、高校進学の援助をする。一方で、東京オリンピックを契機に人々の生活は激変し、蚊帳の販売は落ちていき、取引先の営業・和夫(浅井伸治)からはリストラを薦められ、弟・勉(岡本篤)は家を出る。修三は高校進学後も勉強を続け、大学を目指すが、経営は悪くなる一方で、先々代からのベテラン職人・武雄(林竜三)も転職してもらうこととなる。大学に進んだ修三は、学生闘争に明け暮れ、警察に逮捕されてしまう。ついに店を畳むことを決意した清夫妻は、悦子の兄の会社に一緒に行かないかと修三を誘うが、修三は心の中で寂しさを感じ、袂を分かつ…。
修三が自殺したアパートは、元清の町工場で、清らに会いに行ける(清らも会いにいけた?)のに、会わなかったことが終盤判明する。宇都宮の会社に誘ったときに、悦子から自分らを頼ってと言われたのに、それを受け入れられなかった修三の心は、なにを思っていたのか。貧困という劣等感から抜け出せずに、人に甘えることができなかったんじゃないかなと。結果、孤独でもないのに、孤独な人生を選んでしまったんじゃないかなと。ここらへん、現代的な心の問題に通じているのかななんて思う。
一転、蚊帳工場を守ることで、先々代からの工場を守り、勉の進学を支えた清と悦子は、どんな人生を送ったろうか。清は死んでいたかもしれないけど、存命と思われる悦子は、わが子の自殺をどう受け止めたろうか。親の心子知らずなセリフもあったが、(芝居の観客と違って当事者は)わかんないものだと、悲しくなった。
満足度★★★
110分。
ネタバレBOX
「人柱が炎上」
鶴田理紗が、デモとかに対する意見を主張するような作品。序盤のイス組み上げて、潜って拡声器とか、絵的にも面白いななんて思ったけど、その後は退屈だった。
「景観の邪魔」
その土地の神様らの話。結構面白い。役者も達者だし、三品の中で一番バランスよかったかな。そもそも、「土地(景観)」への信仰ってとこが、いい着眼点。民俗学的な要素を今風にしたようなね。
「非公式な恋人」
セクハラなセリフが飛び出しながらも、序盤からワワフラミンゴな空気が充満した舞台。毒っぽくて柔い感触の作品で、笑えた。原口茜のおばあちゃんルックとおばあちゃんしゃべりが、おばあちゃんっぽくて好き。
満足度★★★
朝の来訪者。95分。
ネタバレBOX
塾講の宮内(遠藤留奈)が一念発起して、ライバル塾の野望を阻止する…というストーリー。
B級グルメな、気軽に楽しめる作品。序盤はイマイチのめりこめなかったトンデモなストーリーも、いろんなキャラクターの登場で程よく味わえた。にぎやかなでエンタメな舞台だった。
満足度★★★★★
70分。
ネタバレBOX
藤木(志賀廣太郎)…けっこういいチチをもった男。いじめられっこだった。闇原の子を赤石とともに育て上げ、結婚式の日死亡する。
赤石(中丸新将)…藤木の友人。藤木より破天荒だけど、劣等感をもって生きている。チンコが長く、右足に巻き付けている。
彩子(小瀧万梨子)…闇原の実子。尿道から産まれでた。幼少期は闇原のようないで立ちと振舞いだったが、病気を患い普通の女として育った。結婚相手は普通の人。
闇原(小瀧万梨子)…藤木らの同級。藤木とは幼馴染。中1から生徒会入りし、人の弱みを握ってはのし上がった。愚鈍な他の人らを見下していたが、結果、妊娠するに至り自分が一番変だと知りショックを受ける。彩子出産時、チンコが粉々に砕け散り死亡。
妙な芝居ながら妙な暖かさがあった。身体的に異常のある3人が産み育てた愛娘のバージンロード。幸せになります、というお決まりといえばお決まりなセリフも、それまでのことや藤木のこんな俺が幸せでよいのかというセリフに後押しされ、グっときた。
人より上だと思いたいコンプレックス持ちの闇原が産んだ子を立派に育てることで、身体的にも社会的にも劣等感をもった藤木、赤石の復讐というようなあおりだけど、ラストシーンからはそんな気配はない。やっと「普通」になれた、一種の安堵感かな。「普通」というのは、それほどまでに得難く難しい存在なんだなと。普通は幸せなんだなと。
闇原のキャラクタも面白いが、実直な藤木、赤石の演技が際立っててよかった。だからかどうかしらんが、シモネタな要素もクドクなくて、なんか自然に話に入っていけたかな。
制作(金澤昭)が、式司会や藤木をいたぶる学生役で出てたが、普通な感じが妙にユーモラスだった。弾き語りとかもしてたし意外とセリフも結構あったし。