見て見ぬ三日月
劇団ヨロタミ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2014/02/19 (水) ~ 2014/02/23 (日)公演終了
満足度★★★
以前と同じ印象、かな
「大いに笑ってちょっぴり号泣の…」というのがこの劇団の持ち味なんだろうが、以前観たときにも感じたのと同じ印象に終わった。
3人の幼馴染が起こした事件を軸に展開するメインストーリーは説明台詞が多くて閉口した。ある程度は仕方ないと思うが、それが多くなると、役者の動きが止まるし、台詞が「生きた言葉」として観ているこちらに届いてこない。
特徴的なキャラクターを登場させて笑わせるコミカルなシーンは相変わらず楽しいし、観ていて心地良い。(ラーメン好きの刑事は少しキャラが弱かったかも。)この部分だけでも話を膨らませていけば一本のコメディになるんじゃないかという気がする。シリアスなストーリーにコメディ要素があるとメリハリがあっていいというご意見もあろうが、私はどちらかというと少しメインストーリーの邪魔になっているような気がする。
あと、ミュージカルのシーンは演っている方がもっと楽しく歌わないと観客も乗れないと思うのだが。
幸福な職場(再々演)
劇団 東京フェスティバル
駅前劇場(東京都)
2014/02/05 (水) ~ 2014/02/12 (水)公演終了
満足度★★★★
なかなか出会えないタイプの作品
何本か観たこの劇団の作品の中では派手さを無いものの、素朴で温かみのある物語でした。きたむらさんの思いが溢れたメッセージ性を含んだ内容なのに押しつけがましさがなく、ジンワリと心に沁みこんでくる不思議な味わい。地味ながら作品の持つ力を実感させられる、こういう作品にはなかなか出会えない。
第5回公演 初恋
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2014/01/29 (水) ~ 2014/02/02 (日)公演終了
満足度★★★★
物語の本質とは・・・
こういうものだろう、と思わせてくれる作品。「ありそでなさそ、なさそでありそ」とでもいおうか、ドラマとリアルの狭間を進んでいくような印象だが、最終的にはそこをポーンと飛び越えて独自の劇世界を見せてくれた。
第1話は現実にはなかなかない設定ではあるが、二人の特徴を際立たせることによってリアル感が増した。
第2話はとにかく切ない。最後にキュウリを齧るシーンを持ってきたところが憎い。しょっぱいキュウリの味がこちらにも伝わってくるようだ。
第3話はオムニバスにするための少し無理な設定だったかなという気がする。
私は第4話が圧倒的に好みだった。娼婦・桃子の佇まいは神々しいまでの美しさを感じさせた。哀しみに満ちた彼女の瞳が忘れられない。
全体を通して、役者一人一人が役に誠実に向き合って、台詞を丁寧に発していた事に好感を持った。
プラトニック・ギャグ
INUTOKUSHI
駅前劇場(東京都)
2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了
満足度★★★
どこか中途半端な印象
一言でいうとタイトル通りの内容で少々期待外れ。ストーリー性を重視しつつ、全体的にギャグをちりばめているのだが前半が少しダレた感じ。
ニールサイモン・作 「カルフォルニア スィート」
有機事務所 / 劇団有機座
萬劇場(東京都)
2013/08/20 (火) ~ 2013/08/23 (金)公演終了
満足度★★★
難しい作品かも…
これは日本で上演するのが最も難しい部類の作品かもしれない。米国のウィットやユーモア(この作品はユダヤ的思考が色濃いらしいが)に我々はいまだ慣れていない。特にこの作品は時代も少し遡るので、その点でもますますピンとこない。
「ニューヨークの客」はその最たるものだった。また、英語ではテンポよくリズムのある会話になるのだろうが、形容詞の多いこの会話劇は日本語にすると間延びしてテンポが落ちてしまう。会話が単調な分、もう少し感情の起伏があってもよかったと思う。
「フィラデルフィアの客」は素直にドタバタ感を楽しめた。町慎治演じたマービンぐらい、セリフにしろアクションにしろオーバーとも思える位がちょうどいい。
「ロンドンの客」はいかにもありそうな女優の舞台裏を描いた作品で「さもありなん」。
「シカゴの客」はドタバタでグダグダというのが素直な印象。ぶつかって怪我をするのがちょっとわざとらしく見えてしまった。
どなたかが書いておられたと思うが、ルームメイクのスタッフの女性の心温まるエピソードを最後に持ってくるなら彼女自身のストーリーも付け加えてもらえると有難かった。(でも原作がそうそうなってるんだろうね、きっと。)
B型の女たち 2nd ~あたしたちはマリアだっ!~
三ツ星キッチン
小劇場 楽園(東京都)
2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★
ほんと、「マリア」だ
昨年から始まった10回シリーズとのこと。今回初観劇。三人のアラフォー女子の魅力が存分に発揮されたステージで楽しかった。
付け髭をしてギターをかき鳴らしながら歌うオザキ。その後はガラッと可愛らしい衣装で歌い踊る三人にギュッと心を掴まれた感じです。
「楽園」という劇場もなんだかこのお芝居にピッタリでしたね。
ダグー伯爵夫人のサロンPartⅡ
DGC/NGO 国連クラシックライブ協会
東京文化会館 小ホール(東京都)
2013/08/31 (土) ~ 2013/08/31 (土)公演終了
満足度★★★
無理してサロンにしなくても
若手アーティストの演奏、歌唱は素晴らしいの一言です。ショパンとリストが同時に聴けるなんて贅沢ですね。それにしても受付のお粗末なこと。こんな混乱は初めて見ました。二度とこのようなことがないようお願いしたいものです。
19世紀のサロンを舞台に、芝居仕立てにしたコンサートだったがそもそも芝居の部分が必要だったのか疑問が残る。文化会館小ホールはそれほど広い舞台ではないので、演者があれだけ乗ると窮屈な感じでサロンの優雅さが感じられない。何より芝居と演奏のつなぎにスマートさがなく気が削がれる。また、後ろにずらっーと並んで聞いている紳士淑女たちがなんだか間抜けに見えて仕方なかった。
演奏が素晴らしいのに芝居の部分が台無しにしてしまい残念だった。
蝶を夢む
風雷紡
シアター711(東京都)
2013/08/11 (日) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
作品世界を堪能
少年の頃は江戸川乱歩の小説に描かれた洋館に何とも言えぬ憧れを抱いたものだ。演劇において、舞台の空間表現というのはとても重要な要素であると思うが、この作品は戦前、戦後の混乱期に実在したであろう屋敷の一室にタイムスリップしたような錯覚さえ覚える見事な舞台美術であった。簡素なセットながら細部まで神経が行き届いていた。
またその舞台に出てくる役者たちが、不思議なものでその時代に生きていたであろう人間の顔をしている。中でも小笠原芙美子を演じた堀奈津美は、普段は能面のような表情だが、憎しみを抱いた時の眼の鋭さはたまらないものがある。
途中、探偵が後ろ向きの中腰でよく響く声で朔太郎の詩を朗誦したのは少々違和感があったが、前作からの流れでお駒さんと登場したという事情があったようなので、ご愛嬌といったところか。
オレンジの迷信行動
ナイスコンプレックス
サンモールスタジオ(東京都)
2013/08/09 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★
独特の世界観があるのだが表現が…
非常に分かりづらい。「知りやがれ」と言うならもう少し分かり易く表現してほしいと思ったものだ。作家の頭の中には緻密で完璧な劇世界が構築されていて、役者もそれを忠実かつ巧みに表現しているんだろうなあ、とは思うのだが。
私には現実の事件の凄惨さを物語る内容ばかりが引っかかってしまい、(あの事件によって制度が大幅に改正された経緯は理解できたのだが。)本来作家が伝えたかったであろう部分がモヤモヤしたままで終わってしまった。
ただ一つ、ラスト近く、老女が死ぬことについて、「怒りのない世界に行けることに喜びを感じる。」(うろ覚えだが確かそんな趣旨のセリフ)と話したのが印象的だった。
ラストシャフル
東京ストーリーテラー
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/12 (月)公演終了
満足度★★★
「語りべ」ねえ・・・
確かに巧妙なストリー展開に感心する、という御仁も多かろう。しかし私には終始作家の姿が見え隠れするようで、(語弊があるのを承知で申し上げると)その衒いのようなものが感じられて最後までその思いを拭い去ることができなかった。
それは一つには(チラシにもあるが)数人の役者が「情熱と魂を注ぎ込み」過ぎていて観ているこちらがついていけなかったこと。また、物語に伏線を張ったり、老人と若者の思いを重ね合わせてみせる、など巧いと思わせる場面がある一方で、地元の野球チームの登場(ラストの真相も含めて)は無理な展開で物語自体をお粗末にしてしまった感があるということ。
やはり「語りべ」というからには黒子に徹しなければならない。それでこそ物語が鮮やかに輝きを増し観客の心に静かに沁みいるというものだろう。でも当日パンフの作家の「物語に寄せて~」を読むと複雑だな。彼のお父上への思いが痛いほど伝わるから。その思いが私の目に彼の姿をチラつかせる原因だったのかもしれない。
アイム、ホーム【各回、当日券ございます】
らちゃかん
アドリブ小劇場(東京都)
2013/08/09 (金) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★
軽いタッチはいいけど…
肩の力を抜いて観られる軽いタッチのホームコメディでそれなりに楽しめるのだが、(失礼な言い方かもしれないがテレビのホームドラマのような雰囲気かな。)同時にイマイチ盛り上がりに欠けるような、少々淡白な印象もあることは確かだ。
鮫に喰われた娘
INGEL
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2013/07/31 (水) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★
まっ、これは役者を観る芝居ということで・・・
全体的に物語としての面白味には欠けていた。内容的に単純なお話なのでもっとコンパクトにまとめられたと思う。それだけに冗長感は否めない。
当日パンフのブラジリィー・アン・山田氏の言葉から「ああ、これは彼がリスペクトする三人の俳優、清水宏、野口かおる、櫻井智也(+高山奈央子か?)のために書かれた作品なのかな。」と思ってしまった。とにかく後半は彼ら、彼女らの独壇場といった場面が続いた。まあ、それだけ場を持たせられる役者ということだろう。私は清水、野口の長年のファンなので嬉しかったのだが。
清水は相変わらず速射砲のようにセリフを発しエネルギーを発散させていた。野口は相変わらず怪女優ぶりを発揮させていた。(特に記憶喪失のふりをする場面のアドリブとも取れる奇怪さ、振り返り新井芙美子(高山奈央子)を睨み付ける時の眼光の鋭さ。くぅっー、たまらん。)
全くの余談だが、当日パンフに山田氏が清水宏を初めて舞台で観た日のことを書いているのを読んで驚いた。どうやら私も同日、その公演を観ていたのだ。(大嵐の日に池袋サンシャインの特設テントで行われた旨、記述されていたので。)それは山の手事情社第13回公演「風通しのよい カメレオンリポート」。観劇日が1989年10月20日なので24年前ということになる。(山田氏の記述では22年前となっている。)当時、清水は同劇団の看板俳優の一人でエネルギッシュに喋り、動く様は誰よりも目立っていた。確か同公演には池田成志や柳岡香里も出ていたと記憶している。つい思い出に浸り余談が長くなりました。失礼しました。
雲の影
スポンジ
サンモールスタジオ(東京都)
2013/07/24 (水) ~ 2013/07/31 (水)公演終了
満足度★★★★
嫌な感じがたまらない
開演前から心がザワザワするような嫌な感じのBGMの中、観客は「スポンジ」の世界の入口に立つ。きっと「何かが起こる」と感じながら。
高校時代の同級生である男2人が共同経営する整体院が舞台となり、2人がテレビ取材を受けているところから物語は始まる。しばらくはその日常風景が描かれ何事もなく物語は進行する。ただこの男2人がすでに胡散臭い、嫌な雰囲気を身に纏っている。
その何かが「いつ起こるんだ」と思いながらこちらが油断したところにドーンとショッキングな出来事が起こる。最もまっとうで小市民的雰囲気を漂わせていた女性従業員の神田がランドセル爆弾で話題の新興宗教の教育係だったことが判明する。(彼女の誕生日パーティーで、額縁や大きな壺など、ちょっと変わったプレゼントが渡されるへんてこなシーンの後だったので、こちらは余計油断していてちょっとショックだった。)
その後、経営者の一人、遠藤が昔、ひき逃げ事件を起こした事が判明したり、相方の野村と激しくケンカ別れする過程を描く、など後半になってどんどん悪い方向へ話が進んでいき、重苦しい嫌な雰囲気に包まれていく。従業員の矢吹だけが(彼も十分胡散臭い雰囲気だったが)誠実でまっとうな人間として描かれていていいアクセントになっている。
三人姉妹のシーンの件は、必要だったかどうかは別にして、仕切られたカーテンの向こうで演じられたせいか、さして違和感は感じなかった。
最終的に、出ていったはずの野村がいつの間にか店に戻ってきて遠藤となごやかに話していいる。ラストは仕事をさぼりがちだった野村がやる気を出して役者時代の後輩の肩をもむシーンで終わる。私の好みとしては最後まで重苦しいまま、誰も救われないまま終わると見せかけて、一筋の光明が見えるか見えないかのギリギリのところで余韻を残して幕、となるのがベストかな、という気がする。
独自の世界を表現力豊かに描き上げる「スポンジ」の世界を堪能できる作品だった。
ウィンカーを、美ヶ原へ
kitt
駅前劇場(東京都)
2013/07/26 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
基本は「恋」
設定が「パーキングエリアで足止めされた人々」ということで、観ていて各グループが徐々に関わっていく様子に違和感がなく心地よい流れになっている。(舞台に標識があるだけでも、パーキングエリアの輪郭が見えてくるようでいいですね。)
また基本テーマに「恋」を据えることによって、物語にブレがなく、各人のキャラが浮き彫りにされていく展開に土田氏の巧さを感じる。
ラストは少し違和感もあったが、ストーリーに捻りを加えるという意味でも、足止めの原因である殺人事件を登場人物に絡ませるという意味でも必然だったのかも知れない。
いやっー、土田作品は面白い。
遠くに行くことは許されない
セロリの会
「劇」小劇場(東京都)
2013/07/25 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★
ちょっと展開が…
物語の説明からして幕開けからドーンと暗いシーンなのかと思いきや、家族団欒の食卓風景という感じでいささか拍子抜けした。
何がいけないって、22年前に行方不明になった妹が見つかったと連れてこられた女性がいきなりロープでぐるぐる巻きに縛られているではないか。長い間探し続けてやっと見つかった彼女がビックリして逃げないようにという気持ちはわからない訳ではないが、ちょっと行き過ぎではないか。
また妹として連れてこられた女性、上原優がいつの間にか花井家に入り妹ユウコとして生きていこうとする様や、花井家長男の篤と優がお互いに家族の中で異端の存在であり、似通った生き方をしてきたというだけで、いつの間にか惹かれあい二人して家を出ようと決心するという展開はあまりにも唐突で不自然さを感じざるを得ない。
別に物語だからあくまでもリアルを追及しろとは言わないが、物語には物語のリアルがあるはずではないか。私にはどうしてもそれを逸脱しているように思えてならない。
他にも公演チラシに“切ないコメディ”との記載があるがコミカルなキャラクターを登場させて笑いのシーンを作り、コメディと謳うなら、それはコメディとは言わないだろう。それなら全編通して笑えなければならない。もしくは兄妹や幼馴染が上原優を妹と思い込み、異様なまでに必死になる様を「人間の可笑しみ」として広い意味で「喜劇」と捉えるとしても各人の描かれ方が浅すぎてそのように感じられない。
観客というのは登場人物のセリフ一つ一つに無意識のうちにYes、Noの答えを出しているものだ。そういう意味で納得できない作品だった。
あっ、それから役者さんはそれぞれ素敵でした。
夜叉綺想
劇団唐ゼミ☆
浅草花やしき裏特設テント劇場(東京都)
2013/07/13 (土) ~ 2013/07/21 (日)公演終了
初めての唐作品
50分ずつの3幕構成(途中10分休憩2回あり)で約3時間の大作。テント芝居も唐作品も初めてだ。桟敷席は板に茣蓙を敷いてあり座布団などはない。お尻は痛くなるしやっぱり疲れたな。でもこれがテント芝居なんだよね、きっと。ブルーシートに包まれた空間はやっぱり芝居小屋という雰囲気でどこか魔窟のような雰囲気は堪能できた。
物語の方は、自分の兄を手術によって廃人のようにされてしまった女、牛乃京子の復讐劇なのだが、長台詞を早口で喋るような場面が多く、展開が掴みにくかった。白塗りや派手な化粧の登場人物たちは、いかにも昭和チックで猥雑で、見世物的な印象が強い。役者のエネルギーがそこかしこに迸るようで観ていて圧倒された。
結論から言えば唐さんの作品は一度観ただけじゃわからないな、といこと。こんな感想で恐縮だが機会があれば唐組も含め、再度チャレンジしてみたい。ということで★は付けがたい。
さらば、クリーニング店 しろくま屋。
劇団青い鳥
タイニイアリス(東京都)
2013/07/24 (水) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★★
ピュアな魂に感謝
私は80年代初頭の小劇場ブーム時に、いわゆる青春時代を送ったため「青い鳥」という劇団は知っていた。ただ未見だったので今回拝見できて本当に良かったです。上演時間75分という小品ながら本当に胸が熱くなるハートフルな作品です。
虚人の世界
公益社団法人日本劇団協議会
劇場MOMO(東京都)
2013/07/19 (金) ~ 2013/07/28 (日)公演終了
満足度★★★
演劇的ではあるが…
観客としてここに描かれている世界に浸りこむには相当な想像力と観劇中、そのイメージを保持し続ける持続力が必要だと感じた。結構シンドイ作品だ。
ヴェローナの二紳士
ハイリンド
吉祥寺シアター(東京都)
2013/07/08 (月) ~ 2013/07/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
ハイリンド版、楽しい!
シェークスピアというと敬遠してしまいがちだったので(彼の作品は重厚な悲劇の方が印象が強いせいか)観る前は多少不安だった。しかしハイリンド版はその不安を吹き飛ばす楽しいものでした。
何よりストーリーが分かりやすく、恋愛における男女の心理を最も単純化した形で描くことにより、こちら側に情感がストレートに伝わってきた。(もちろん原作がそうなのだろうが、きっと松岡和子さんの新訳に因るところが大きいのではないだろうか。)
特に印象に残るシーンがフローディアス(井原農)を想うジュリア(はざまみゆき)が 少年の姿で一人佇み独白するシーン。“嗚呼、なんという乙女心の切なさよ”と、オジサンもジーンときてしまいました。またその時の彼女の表情も素敵だったし、なによりその発声の美しさに聞き惚れました。
長く独特なセリフ回しは(ある程度予測していたこともあって)それほど苦にならなかっし、ラーンス(高木稟)の関西弁も不思議と物語に溶け込んでいました。
そして何より感嘆したのはラストのパイ投げです。ハッピーエンドで終わる物語の登場人物たちの喜びをMAXで表現したシーンであり、古典劇の枠組みをいいかたちで崩すという「してやられたり」の表現でした。
素直にシェークスピアって面白い、演劇は面白いと感じた作品でした。
ミニスカーツ (チケット残り僅か!ご予約はお早めに!)
INUTOKUSHI
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2013/07/05 (金) ~ 2013/07/09 (火)公演終了
満足度★★★★
割と好きかも
初見です。全体的にベタでちょっとシュールで割と好きなタイプの笑いかもしれない。
一番好きなのはミニスカート②「GIRLY♡GIRLY」。話があっちゃこっちゃ飛んでちょっとシュールな展開だけどなんとなくうまく収まっている感じが良い。鈴木アメリをはじめ、5人の女優の魅力も存分に出ていたんじゃないだろうか。
「新宿~SHINJUKU~」は一つのフレーズで通しちゃうっていうのがすごいね。パワーを感じた。
「OCEAN~失われし七つの秘宝~」は計算しつくされたグダグダ感をそのまま見せるという、いかにもありそうで実はなかなかないパターン。新鮮だった。
「キヲク」も発想が面白いね。
「老いのり」は皆さん仰るように設定は面白いのに、それで力が入りすぎたのか、展開はいろいろぶっ込もうとして逆にしぼんでしまったような感じかな。笑いって難しいね。
「犬と串」は初見でこの短編集が観れてよかった。笑いのベクトルに多様性がありそうなので今後に期待します。