ネバーランド
少年社中
青山円形劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
少年社中の代表作になる!
誰も立ち上がれないほどの熱い思いが、会場を満たしていた。こんな舞台に立ち会ったのは、本当に久し振りだった。
より多くのかたに観て欲しい。特に、普段芝居に足を運んだことがない方。
こんな辛い時代を頑張って生きている、疲れ切ったたくさんの「大人」に観て欲しいと思った。
あの音楽かっこ良さ、照明の美しさ、衣装の繊細さ、俳優達の姿、そしてあの劇場で体験できることを考えると、間違いなくチケット代は安い。
是非、あなたの大切な方と一緒に足を運んで欲しいと思う。
ちなみに私は一人で行って、もの凄く後悔した(笑)。なんならもう一度観に行きたい気分。
そしてこの公演には、私がプロデュースを行っている「青の靴下と鳩と太陽☆PROJECTS」の公演で、チーフ制作をつとめてくれた内山智絵さんが女優として参加していたのと、照明を担当してくれた菅沼玲さんが、スポット操作で参加していた。
グレイッシュとモモ
激弾BKYU
北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)
2007/11/24 (土) ~ 2007/11/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
10年前の感動が蘇る!
この作品「グレイッシュとモモ」の初演は、1996年。当時、私はこの作品の記録映像のディレクターとして公演に携わっていた。
作品のチカラ、俳優達のチカラに、何とか負けない映像をとろうと何度も台本を読み、稽古場に足を運んだ。
しかし、そのうち勝ち負けなんてどうでも良くなった。
この魅力あふれる芝居を自分の感じるままに切り取っていこうと思った。
その結果はあえてここには、書かないが(笑)、自分の中で、とても大切な作品となったことは確かだ。
そんな作品を10年ぶりに観て、ちっとも古くならない、強烈なメッセージに本当に感動した。
私たちの劇団の旗揚げメンバーだった小林博さんが、とても良い演技をしていた。彼の魅力たっぷり詰まったNo.7の役は、初演の方とは全く違うキャラクターで、とても心に残る演技だった。
そして、なんと言っても主演の「モモ」を演じた東野醒子という女優のすごさには、舌を巻いた。10年前とちっとも変わらず、イヤむしろ数段素晴らしい演技になっていた。
いずれ遠からず縁がありそうな予感もするのだが、彼女とはまた、是非一緒に芝居をつくってみたいと思った。
来年9月には、山梨甲府で、11月には神奈川県葉山で公演が行われるらしい。
親子で楽しめるとても良い作品なので、是非足を運んで欲しい。
恋人たち
ブラジル
王子小劇場(東京都)
2006/11/29 (水) ~ 2006/12/05 (火)公演終了
満足度★★★★★
すばらしい作品
ブラジリィー・アン・山田さんらしい、エッジが効いた台詞が見事。
俳優さん達の実力がその世界観をさらに引き立てていた。
特に私は、劇団員の辰巳さん、KAKUTAの桑原さんの演技にやられました。
各劇団の中心となっている、すばらしい俳優さん達の演技を見事にまとめた演出にも感動しました。
本当にすばらしい作品でした。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
ニッポン放送
新宿FACE(東京都)
2008/04/04 (金) ~ 2008/05/06 (火)公演終了
満足度★★★★★
インパクトは最高!
ロックミュージカルというジャンルは、私の中で特別な存在。大好きなロックと芝居の融合なんて、うれしすぎてしょうがない(笑)。
ロックのライブ感と、芝居のライブ感を一度に楽しめる事は、私にとってこの上ない幸せだ。
この「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」という作品は、数あるロックミュージカルの中でも、とびきり「ロック」な作品だった。
主人公「ヘドウィグ」の、熱く悲哀に満ちた生きざまは、「ロック」そのもの。全身からあらゆる情念をまき散らしながら、自分の「カタワレ」を探し熱唱する、山本耕史さんが演じる「ヘドウィグ」は、最高にかっこよかった。
そして、「ヘドウィグ」の相棒、「イツァーク」を演じていたのが、韓国の実力派ロックアーティスト、ソムン・タクさん。彼女の爆発的な破壊力を持った歌声には、衝撃を受けた。
ネズミ狩り
劇団チャリT企画
王子小劇場(東京都)
2008/09/12 (金) ~ 2008/09/16 (火)公演終了
満足度★★★★
ネズミはなんの風刺かな…
私がプロデュースを行っている劇団、WHATCOLORの記念すべき10回公演で、作・演出で参加してくれた楢原拓さんが主宰している劇団、チャリT企画の公演を観に、王子小劇場へと足を運んだ。
楢原さんとは、今年の12月にも、「あなたとは違うんです!」という企画公演でお世話になる事もあり、今回どんな作品なのか、とても楽しみだった。
とてもヘビーな題材なので、物語が始まるまではどうなる事かと思っていたのだけど、ある意味、チャリT企画らしく、またチャリT企画らしくないような(笑)、とても良い作品。
VOICE ACTOR
劇団6番シード
萬劇場(東京都)
2008/07/16 (水) ~ 2008/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
中年俳優がんばれ!(笑)
ワンシチュエーションという舞台の特徴を、非常にうまく使ってコミカルに物語をつづるのが得意な劇団、「6番シード」。
今回も非常におもしろいシチュエーション・コメディに仕上がっていた。
「Voice Actor」の舞台は、架空のアニメーションのアフレコ現場。40歳を目前に控えた中年俳優が、人生初めての「声優」に挑むという、業界バックステージの物語。
私が、6番シードを前回拝見した時も、業界バックステージ物だった。ラジオの生放送中というシチュエーションを物語にした芝居で、緻密な取材により、綿密にラジオの現場が表現されていた。
現場を知っている私が観ていても、全く違和感を感じずに、物語を楽しむ事が出来た作品だったので、今回もとても楽しみに劇場に足を運んだ。
この「劇団6番シード」との出会いを作ってくれたのは、私の劇団、WHATCOLORの女優、山岸里江だった。
彼女は以前、劇団6番シードに出演した事があって、その後も作品を見続けていた。また、6番シードの方々もWHATCOLORの作品に足を運んで頂いていた。
山岸里江に誘われるまま、6番シードの舞台に足を運んだのだが、脚本・演出の松本陽一氏が描く、スピード感あふれるストーリーと世界観にすっかり惹かれ、その後も拝見し続けている。
コメディを取り入れたポップなスタイルや、テンポの良い台詞の掛け合いなどがこの劇団の魅力なのだが、私は何より緻密な脚本と個性豊かな俳優陣のパワフルな演技に惹かれている。
さて、今回の「Voice Actor」。セットといい、台詞といい、演出といい、とてもリアルにアフレコの現場を再現していたのには、とても驚かされた。
出演者も、全員のキャラが際立っていて、とても魅力的な舞台だったし、アフレコの現場を経験している私にとっては、「いるいるこんな人!」というキャラクターが何よりもおかしかった。
観ているうちに、主人公の行動に本気ではらはらしたり、イライラしたり(笑)。とてもお馬鹿な中年俳優のがんばりは、とても強く印象に残った。
脚本的には、シンプルでわかりやすいストーリーだった。
売れない40間近の中年俳優が初めてのアフレコの現場で、人気声優やベテラン声優達の中、孤軍奮闘していくストーリー。
主人公に感情移入しやすくて、無警戒に芝居を観ていられた感じ。
ただ、主人公以外のキャラクター、例えば人気若手声優やベテラン声優とかのバックボーンとか、葛藤とかを、もう少し脚本的に描いてもおもしろかったのではないかと思った。
まあ、芝居の上演時間を考えてみると、バランスとしては良かったんではないかとも思ってみたり(笑)。
さて恒例の気になった俳優シリーズだが、今回は主人公を演じていた小沢和之さん。
全編ハイテンションな芝居を続けていた小沢さん、本当に素敵だった。彼が演じていた「前田」という俳優のお馬鹿さとか、懸命さとかに、とても素直に感情移入する事が出来た。
小沢さんの演技テンションで、この作品全体のテンションが決まるといった、とても難しい役どころだったと思う。彼が演じた「前田」というキャラクターを、本当に素直におもしろいキャラクターとして拝見できたのは、小沢さんのパワーだと感じた。
本当に楽しい時間を過ごさせて頂いたと思う。
実はこの6番シードの次回作に、私の劇団、WHATCOLORの山岸里江が出演させていただくことになっている。
どんな作品になるのかが楽しみな事はもちろん、機会があれば、是非プロデューサーとして絡んでみたい、脚本・演出家の一人である松本陽一氏が、山岸里江をどのように描いてくれるのか、とても興味がある。
今後とも注目の劇団。
あなたと私のやわらかな棘
ジェットラグ
新宿シアタートップス(東京都)
2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了
満足度★★★★
良かったポイントは大きく3つ
なんと言っても今回の演出家が、私が今最も注目している若手劇団、柿喰う客の中屋敷法仁さんが演出していると言うことで、是が非でも観に行こうと思っていた。
私的にこの「あなたと私のやわらかな棘」が良かったポイントは、大きく3つ。
●中屋敷法仁さんの演出が良かった
●俳優が良かった
●そもそもこの企画が良かった
受付の女たち
ラムネ☆天色堂
劇場MOMO(東京都)
2007/03/07 (水) ~ 2007/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★
むっちゃわらった!
いつも私たちの劇団WHATCOLORがお世話になっている、劇団離風霊船の伊東由美子さんが演出しているお芝居と言うことで、拝見させて頂きました。
ラムネ☆天色堂さんは、女優三人のユニットで、脚本家も演出家もいない集団。WHATCOLORととても近いスタイルと言うことで、どんなお芝居を作るのかとても楽しみでした。
ものすごく面白い作品で、むちゃくちゃ楽しい時間を過ごさせて頂きました。
しっかりと計算された構成された脚本。時間軸を操ったストーリーは、本当に見事でした。そしてその脚本を劇団員3人とキャストの魅力でつむぎあげた、伊東さんの演出も素晴らしかったです。
テーマ曲のように使われている70年代のディスコサウンドは、まさに私がブイブイ言わせて遊んでいた頃の曲(笑)。そんなところにもしっかり引きつけられてしまいました。
今回私が気になった俳優さんは、3人の男性社員とつきあっちゃう受付嬢役真島を演じていた神之田里香さん。ほんわかした空気感の演技はとても素敵でした。是非、一緒に芝居を作ってみたいと思いました。
この公演には、WHATCOLORの第六回公演のるかそるかに出演してくれた江頭一晃さんも出演していました。ちゃらいかんじの社員役をとても素敵に演じていました(笑)。
そしてなんと言っても、受付嬢たちの会社の嫌な女部長を演じていた、演出の伊東さんのお芝居は、本当にすごかったです。嫌なおばさんを演じさせたら、日本一に違いありません(笑)。
宇宙の仕事
ブラボーカンパニー
新宿シアタートップス(東京都)
2007/08/15 (水) ~ 2007/08/21 (火)公演終了
満足度★★★★
カジュアルに楽しめる芝居
今回の公演はコント色の強い芝居となっているとは聞いていたのですが、構成のテンポが気持ちよく、無警戒に笑える、とてもおもしろい芝居でした。
脚本が旨いなと言う感じ。一見、長編コント風に仕上げているのですが、そこにはさりげなく今の時代や、現代を懸命に生きている人間が丁寧に描かれていました。
ブラボーカンパニーの芝居は、出演者が男性のみと言うのも大きな特徴。こうした形態の芝居は久しぶりに観たのだが、とてもおもしろかった。男性が演じるデフォルメされた女性像と言うのは、コントに於いては横道な感じなのですが、凄く旨く見せていたと思います。
お客様のほとんどは女性だった事もあるのですが、恋人とデートがてら観に行けるようなお芝居だった思いました。
制作スタッフの方々のお客様への接し方も、とても好感が持てました。見習いたいなーとおもったところもたくさんありました。私たちの次の公演でも是非まねをしたいと思いました。
生の舞台で人が台詞を話し、汗をかいて演じる姿を楽しめるという演劇の楽しさを、カジュアルに楽しめる芝居でした。
氷
メタリック農家
OFF OFFシアター(東京都)
2008/10/23 (木) ~ 2008/10/27 (月)公演終了
満足度★★★★
「氷」だけどホットになるファンタジー
私がプロデュースしている劇団、WHATCOLORの第10回公演「おとことおんな、時々、動物」(オムニバス作品)で、作・演出家の一人として参加してくれた、葛木英さんが主宰するメタリック農家の公演を観に行った。
その葛木さんが主宰するメタリック農家を拝見するのは、今回が二度目。前回もとてもおしゃれな世界観の作品だったので、楽しみに足を運んだ。
冷蔵庫というとても冷たい世界観のお話しなんだけど、心がとてもホットになるファンタジーだった。
真説・多い日も安心
柿喰う客
吉祥寺シアター(東京都)
2008/08/21 (木) ~ 2008/08/31 (日)公演終了
満足度★★★★
つかこうへいを彷彿とさせられた
くだらない設定の中(笑)、俳優達は熱く物語を紡いでいた。
40人近くの俳優達が、圧倒的な台詞量をたたみかけるように客席に浴びせ、舞台上を走り回り、踊り、そして歌う。
その迫力と疾走感は、むちゃくちゃ心地よかった。
先日、私がつかこうへいさんの芝居を観たばかりだから感じるのかも知れないのだが、彼らの芝居は「つか芝居」彷彿とさせる。
「生」のエンターテイメントの魅力を存分に味わった感じ(笑)。
スポンサーに依存しきった、現代のTVのビジネスモデルが衰退している中、「生」のエンターテイメントが持っている可能性は非常に高い。
柿喰う客の公演に足を運んでいる多くは、20代の若者。
目の前の俳優達が台詞を話し、汗をかき 涙を流す。そこには「生」だからこそ感じられる何かがある。「生」で感じられるその何かを求めて、20代の彼らは劇場に足を運んでいるのだと思う。
こうした若い世代が劇場に足を運んでいる現状は、この勢いを持ってパワフルな芝居を作り続ける劇団と、演劇の未来を期待させる。
ときめき都内
劇団チャリT企画
OFF OFFシアター(東京都)
2007/11/27 (火) ~ 2007/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★
レッツ○○○!草○!そこかっ!(笑)
端的に言って、笑った。もの凄く楽しかった。
劇場に入ったとたんくすぐられるBGM。そして公演がスタートしてから、続々と繰り広げられるパロディー。80年代に青春時代を送った私にとって、全てがストライクゾーンのど真ん中にはまりまくった。
短いセンテンスのシーンを、テンポ良く構成しているあたりは、さすが楢原さんだと感じた。もちろんそこには、細かい時代風刺が有り、「チャリT企画」らしい構成となっていた。
だんだん、ちりばめられた細かいストーリーを、どのようにまとめていくのかに興味が移っていったのだが、その強引ともとれる(笑)結末への展開は、とてもおもしろかった。
今回、楢原さんが書きたかったのは、そこ(ネタばれBOX参照(笑))だったのかと、いろいろな意味で納得した。
おなじみ(笑)、気になる俳優シリーズ。一見地味ながら、物語の主軸となっていく女性を公演していた内山奈々さんの演技がとても印象に残った。彼女には、以前この劇団を拝見したときも感じたのだが、インパクトがあって、しっかりした存在感を残す演技をしているところに好感が持てた。とても素敵な女優だと思う。これまで、私が携わってきた女優にはいないタイプの演技をする方なので、もの凄く興味が湧いた。機会があれば是非、一緒に芝居を作ってみたい。
それから、松本大卒さん。彼のキレ系の演技はホント絶品。私は実は、つっこみ系の俳優が好き(笑)。彼のような演技には、ついつい引き込まれてしまう。うちの劇団のちょーすけや古泊明敏と、是非一度組ませて芝居を作らせて頂きたいと思った。
ホント、楽しい芝居だった!
junkie sista vs junkie bros
junkiesista×junkiebros.
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2007/12/14 (金) ~ 2007/12/20 (木)公演終了
満足度★★★★
junkie sistaは艶やかに舞っていた!
あれだけの高い技術のダンスや歌を間近で観られたのは、本当に良かった。そして、物語に描かれている一人一人の人間がとても魅力的だった。
エンターティメントとして、とてもレベルが高い作品だったと思う。
ダンスや歌のレベルの高さはさることながら、皆さんの演技がとても良かったと思った。皆がとても丁寧に自分の役を演じていた。
正直、ずるいと思った(笑)。ダンスや歌を武器に、演技まで素敵にこなされてしまったら、ストレートプレイをがんばっている俳優達はやばすぎる(笑)。
自分のまわりの俳優達に是非見せたかった。
物語はシンプルながら、それぞれの葛藤に感情移入しやすく、どんどん引き込まれて行った。
物語で描かれているレディス達の葛藤は、さながら、アーティストとして舞台に立ち続ける将来の彼女たちの葛藤に、エンターティメントビジネスを続ける私自身の葛藤に見えてきた。
本当にいい作品だと思った。
恒例の(笑)気になった女優シリーズだが、今回は皆さんレベルが高く、魅力的だったので迷ったのだが、伊藤有希さんをあげたいと思う。
彼女が演じていた、「戦国」と言う役は、とてもむずかしい役なのだが、とても良い空気感をもって、演じていたと思う。
機会があれば是非、一緒に作品を作ってみたいと思った方だった。
今後、この集団がどんな作品を作っていくのかが、とても楽しみ。
権利的なモノとか、様々難しい問題もあると思うのだが、そこを乗り切ったときの彼女たちはもの凄いビッグになっていくと思った。もちろん縁があれば、そういったことの処理に関してはアドバイスさせていただきたいと思っている。
真価を発揮するのは、まさにそこからだと思う。ホント楽しみ。
青葉の足音
Jungle Bell Theater
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2008/04/25 (金) ~ 2008/04/27 (日)公演終了
満足度★★★★
自然との会話をしよう!
これまで、小さな劇場で公演を続けてきたジャングルベル・シアターが、BIG TREE THEATERに挑戦と聞いて、うらやましくもあり、少し悔しくもあった(笑)。
私の劇団に客演してくれた野上敦美さんが所属する劇団で、世界観や描かれる登場人物が、とても私好みなのが、このジャングルベル・シアターという劇団だ。
大きな劇場に挑戦と言うことで、劇団的にも、大きな勝負であったろう今回の作品は、完成度が高い、とても良い作品だった。
浅野泰徳という人が持つ、独特の世界観は、とてもドラマチック。今回も、よく笑い、泣いた。
ストーリーが深く、ていねいに張られた伏線が、徐々にまとまっていく様は、本当に見事だった。
偶然にも今私は、エコロジーにまつわる番組を作っている。そこで感じた「自然との距離感」や「自然との会話」の重要性は、自分の中に深く刻み込みたいと考えていた。
そんな中、人間と自然ということがテーマになった、今回の物語。おそらく、運命(笑)。
自然と神、そして人。とても素敵な物語だった。
さて、私の劇団に客演してくれた野上敦美さんの今回の役、とてもはまっていて素敵だった。彼女が演じた、少し闇を抱えた女性は、物語の中で重要なポジションの人物。時に寂しく、時に熱く、大きく揺れ動く彼女の気持ちを、敦美さんはとても素直に、ていねいに演じていた気がした。
とても彼女は、良い役に巡り会えたと思う。今後にますます期待したい。そして、いつかまたうちの劇団の芝居にも出て欲しい。
さらに、作・演出の浅野泰徳さんとは、是非一度一緒に芝居を作りたいと思った。
junkie sista vs junkie bros
junkiesista×junkiebros.
アトリエフォンテーヌ(東京都)
2007/12/14 (金) ~ 2007/12/20 (木)公演終了
満足度★★★★
junkie brosはかっこよく演じていた!
junkie sistaが演じた脚本を、男子バージョンに修正し、ほぼ同じ内容を男性が演じるという junkie bros。とても面白いダブルキャストの企画。
実は、brosの方に私の知り合いであるキンヤさんが出演することが縁で、こちらの劇中映像の一部を制作させていただいた。そんなこともあって、 junkie brosの方を先に見る予定だったのだが、いろんな事情があって、sistaを先に見ることになってしまった。
しかしおかげで、楽しみが広がった(笑)。元々は、この作品はこちらのsistaバージョンが本家なのだから、それはそれで正しい気がしてきた(笑)。
随所に、女性ならではの台詞がたくさんあったので、これをどのように、男性バージョンにするかというところが、本当に楽しみだったのだが、本当に素晴らしい脚本になっていた。
ちなみに、作・演出を担当したのは、天然スパイラルの金房実加さん。もの静かでとても素敵な方だった。女性のために書かれた脚本を、見事に男芝居の脚本に書き換えていた。
私の友人のキンヤさんは、相変わらずかっこよくて、歌もダンスも魅力的だった。熱い男だと感じた。今後の活躍がますます楽しみになってきた。
sistaバージョンもそうだったのだが、この作品のキーの役は「戦国」と言う役。全体の空気感を止め、流れを変える重要な役だった。
brosバージョンでこの「戦国」を演じた、向野章太郎さんの演技もとても良かった。本人に聞いたところ、役作りや歌などとても苦労したそうだ。しかし、舞台上での彼の演技はとても存在感があり、脚本に描かれた難しい役を表現していたと思う。
彼は、とても良い俳優だと思った。
今後brosのほうも続けるとのことで、こちらも楽しみな感じ。
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劇団お座敷コブラ
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2007/12/06 (木) ~ 2007/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★
大きな可能性を感じる集団!
きっと賛否は分かれる作品だ。シーンがテンポ良く進むので、そのテンポについて行けない方や、ファンタジーの世界観を知らない人にとっては、ストーリーが全く理解出来なかったと思う。なんだかゲームみたいだねと言う結論で終わってしまったと思う。しかし、ファンタジーやロールプレイングゲームなどを日頃から楽しんでいる人にとっては、とても楽しい作品だったと思う。
ちなみに、私は後者。とてもよい芝居だと思った。
まずは脚本、ストーリーの質の高さ。彼の描きたかった世界観がとても魅力的なモノであった。その魅力的な世界観を、とても旨く構成していた。脚本に落とし込んだ台詞がとても輝いていたと思った。
そして、アクションがとても上手く構成させれている上、とてもかっこうよかった。最近、アクションは小劇場で流行っているが、私は雑なモノが多いと感じていた。中には、私が観ていても危険を感じるモノもあって、その制作責任者の感覚を疑うことさえあった。しかし、この作品のアクションはとても考えられていて、とてもレベルが高かった。
このお座敷コブラの主宰で、作・演出の伊藤裕一さんは、なんと23歳。背が高く、なかなかかっこいい奴で(笑)、脚本や演出、そして芝居のセンスなど、とても将来が楽しみになった。
若いキャストが多く、若干雑な部分が目につくが、それを補う様々な魅力的な部分があって、まとまった良い芝居だったと思う。
劇団の方向性「かっこいいファンタジー」は私もとても好きな世界観なので、今後しばらく動向に注目したい。
また、WHATCOLORにも出演してくれた、岡田の演技は久しぶりに観たのだが、彼女はこうした動きのある芝居が向いているのだと思った。ダンスも殺陣もなかなかなモノで、彼女らしさがとても出ている役だった。若い相手役の、少し雑な演技に引っ張られることなく、しっかりとそのシーンを彼女の世界観に持っていく存在感は、とても良かった。
そしてもうひとり、気になる俳優が。それは、私の劇団WHATCOLORとも縁のあるジャングルベル・シアターの神田英樹さん。存在感のある飛び道具的な役だったけど、本当におもしろかった(笑)。
彼は本当に見るたびに、成長している。
是非彼らには、私たちの劇団に出てほしいと思った。
とにかく、将来性を感じられた公演で、とても気持ちよく劇場をあとにした。
ペダルをめっちゃ漕ぐ
Theatre劇団子
赤坂RED/THEATER(東京都)
2008/08/20 (水) ~ 2008/08/25 (月)公演終了
満足度★★★★
自転車がいい!
私がプロデュースを行っている劇団、WHATCOLORの第8回公演「カメコが笑った日」と第9回公演「フィルムと夕凪」の作・演出を担当してくださった石山英憲氏が主宰する劇団「Theatre劇団子」を観に行った。
今回は、劇団員のみの公演という事で、どのようなチームワークになるのか、また、新人オーディション出身組がどのような役どころで、どのようなお芝居をするのかを、とても楽しみにして会場の赤坂RED/THEATERに足を運んだ。
上演の前のアナウンスで、上演時間が2時間20分と言われた時、かなり驚いたけど、いざ舞台が始まってしまえば、あっという間に物語に引き込まれ、長さを全く感じなかった。
この物語の重要なアイテムになっているのが自転車。
多くの人が一度は自転車に乗った事があって、それぞれの中にきっと思い出が残っている気がする。坂を上るつらさとか、風を受けてペダルを漕ぐ気持ちよさとか。
そうした事すべてが、この芝居を観ながら頭の中に蘇ってくる感じ。
「ペダルをめっちゃ漕ぐ」は、心がじんわり優しくなって、ちょっぴり熱くなるとても素敵な芝居だった。
個性豊かな俳優達の魅力を生かし切り、全員の見せ場をしっかりと描かれた、Theatre劇団子らしい群像劇で、石山さんならではの心に響く台詞が、随所にちりばめられていて、笑い、泣かせて頂いた。
アルケミスト
少年社中
ザ・ポケット(東京都)
2008/07/16 (水) ~ 2008/07/21 (月)公演終了
満足度★★★★
夢は絶対に傷つかない
先日行った、WHATCOLORの企画公演で、暗い過去を背負った殺し屋兄弟の兄を演じ、各方面から多くの評価を得て、女優陣からも大人気(笑)だった岩田有民。
その彼のホームグランド劇団が、劇団 少年社中だ。
大好きな劇団なのだが、なかなかタイミングが合わずに、観る事が出来ず、今回は久し振りの観劇となった。
夢に導かれ、宝探しの旅に出た少年の愛と勇気の冒険の物語で、「これぞ少年社中!」、「これぞ王道ファンタジー!」といった冒険活劇に仕上がっていた。
旅の途中に、少年は一人の錬金術師「アルケミスト」に出会う。
彼と出会った事で、少年は少しずつ成長していく。
出会い…。別れ…。
様々な思いを胸に少年は駆け抜ける。
この物語のテーマともなっている「…世界のすべてを味方につけろ。夢は絶対に傷つかない」という台詞は、とても心に強く残った。
聞くだけで、悲しくなってしまうような事件が多い今の時代。
心がじわじわと温かくなるような物語をみて、ほんの少し元気になって、劇場をあとにした観客は、私だけではないはずだ。
この【アルケミスト】という作品に出会えたのは、幸せな出来事だった。
久しぶりに観た少年社中の成長ぶりと、その世界観のすばらしさに本当に感激した。
そんなわけで恒例の気になった俳優シリーズ。今回は特別2名(笑)
主役のサンチャゴを演じていた、堀池直毅さんんと、ヒロインのファティマを演じていた秋山えりさん。
サンチャゴという主人公は、どこか頼りなく、格好悪く、だけど懸命に夢を目指す少年。そんな役どころを、堀池さんはとても素直に、楽しく、気持ちよく演じているように見えた。
彼が見せる表情がとても魅力的で、年甲斐もなく主人公に感情移入してしまった(笑)。
また、跳躍やダッシュ、ダンスといった演出部分では、とても高い身体能力をかいま見る事が出来た。
今とある舞台のプロジェクトを進行しているのだが、そのプロジェクトの主演で、彼を呼んでみてはと思った。
そして、ヒロインを演じていた秋山えりさん。実はわたしは初めて少年社中を観た時から、彼女のファンだった。
最近、彼女は芸名を変えていたようで、フライヤーやホームページを観た時、彼女が出演していないと思っていたので、彼女の姿を舞台に発見した時はうれしかった。
っていうか、羊の姿はムッちゃかわいかったし…。(笑)
久し振りに観た彼女は、とても良い女優に成長していて、「華」の部分とか、「艶」の部分をとてもうまく表現していたと思う。
人間としても、女性としても成長している事を演技から感じる事が出来た。
是非、一緒に芝居を作ってみたいと感じた。
ちなみに、今回の舞台、【アルケミスト】は、ブラジルの作詞家で小説家のパウロ・コエーリョ(Paulo Coelho、1947年8月24日 - )の『アルケミスト―夢を旅した少年』が原作となっている。
1988年に出版したこの『アルケミスト - 夢を旅した少年』はブラジル国内で20万冊を超えるベストセラーとなり、38ヵ国の言語に翻訳された。
10年も前に、この本を原作に芝居を作ろうと思った、少年社中の主宰で、作・演出の毛利亘宏という人はどんな人なんだろうかと、今夏の芝居を観てとても興味を持った。
そんなわけで(笑)、終演後は、打ち上げの席にお邪魔させて頂き、彼と話をさせて頂いた。
今後機会があれば是非一緒にという話は、もちろん忘れずにさせて頂いた。(笑)
レコード屋さんの3ヶ月
結木えつこ×谷川賢作produce
名曲喫茶ミニヨン(東京都)
2008/10/03 (金) ~ 2008/10/04 (土)公演終了
満足度★★★★
空気の揺れ
先日、私がプロデュースしている劇団、WHATCOLORの俳優、古泊明敏が参加していることもあり、拝見させて頂いた。
40年以上の伝統をもつレトロな空間で、生で演奏されるピアノとアルトサックス(ときにクラリネット)と共に芝居が楽しめるという今回の企画は、本当に素敵な企画だと思った。
訪れたミニヨン。開演時間を勘違いし(笑)、なんと一番のり。
カウンターで珈琲とクッキーを受け取り、席につく。その珈琲がもの凄く美味しくて、とても幸せな気分で、開演を待つことが出来た。
会場の明かりが少しだけ暗くなるのを合図に、静かにピアノの音が滑り込んでくる。店の空気がほどよくピアノの音で満たされた頃、驚くほど柔らかな音で、アルトサックスがメロディーを奏で始めた。
Take me to a record shop(私をレコード屋さんにつれてって)。この企画のテーマ音楽とも言えるこの曲の演奏を聞きながら、私のワクワク感は最高潮に達した(笑)。
そして、ストーリーテーラーの結木えつこさんが現れ、いよいよ物語がスタート。
私の劇団の俳優の古泊明敏も相手役の菊池洋さんも、良い演技をしていて、物語にぐいぐいと引き込まれた。
また、結木えつこさんの歌もとても素敵だった。
この企画を、あの空間で体験することで、「音」は空気を伝わって感じるんだと言うことを、改めて感じた。
人の声も、楽器が奏でる音楽も、みんな空気を伝わって、体で感じる事が出来る。そんな当たり前のことがとてもうれしくて、幸せな時間を過ごすことが出来た。
本当に楽しい時間だった。
疚しい理由
カニクラ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2007/08/08 (水) ~ 2007/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
脚本のチカラに感動!
以前、ブラジルの公演で拝見し、是非またみたいと思っていた作品が、全く別の形ではあるが観られることになり、とても期待して足を運んだ。
三人の俳優のバランスがとても良く、ストーリーをしているにも関わらずぐいぐいと引き込まれていった。
私の中では宝積さんの演技がとても印象に残った。
俳優の皆さんの演技もさることながら、改めてこの脚本の持っている力に感動させられた。
カニクラというユニット、そしてブラジリィー・アン・山田さんとはプロデューサーとして、是非一緒に芝居を作ってみたいと思った。