小野寺の観てきた!クチコミ一覧

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ネバーランド

ネバーランド

少年社中

青山円形劇場(東京都)

2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

少年社中の代表作になる!
誰も立ち上がれないほどの熱い思いが、会場を満たしていた。こんな舞台に立ち会ったのは、本当に久し振りだった。
より多くのかたに観て欲しい。特に、普段芝居に足を運んだことがない方。
こんな辛い時代を頑張って生きている、疲れ切ったたくさんの「大人」に観て欲しいと思った。
あの音楽かっこ良さ、照明の美しさ、衣装の繊細さ、俳優達の姿、そしてあの劇場で体験できることを考えると、間違いなくチケット代は安い。
是非、あなたの大切な方と一緒に足を運んで欲しいと思う。
ちなみに私は一人で行って、もの凄く後悔した(笑)。なんならもう一度観に行きたい気分。
そしてこの公演には、私がプロデュースを行っている「青の靴下と鳩と太陽☆PROJECTS」の公演で、チーフ制作をつとめてくれた内山智絵さんが女優として参加していたのと、照明を担当してくれた菅沼玲さんが、スポット操作で参加していた。

ネタバレBOX

まず最初に私が衝撃的だったのは、オープニングのかっこよさ。
ワクワクするような音楽が会場に流れ出し、照明が美しく劇場を彩り始める。
徐々に音量が上がってくるとともに、次第に劇場が暗くなっていく。
そこから始まるトップシーンには、本当にやられてしまった。
そして、次々と登場してくる魅力的なキャスト達。彼らのキャラクターに心を奪われる。
エネルギーに満ちあふれた俳優達が躍動する姿は、生の舞台でしか味わえない充実の時。
人が人を観ると言う贅沢な時間を、すごく実感できる作品になっていた。
恒例の気になった俳優さんは、何と言ってもこの劇団の看板、井俣太良さんと大竹えりさん。
この二人の芝居は、掛け値なしにかっこいい。とくに大竹えりさんは、この数年で抜群に成長した女優さんだと思う。
女性としての艶やかさに加えて、コミカルな演技でのかわいらしさは、本当に素敵。
今回の岩田有民の芝居は本当に良かった。
彼は、大人になることを周りより少しだけ早く受け入れてしまう、トゥートルズと言う役を演じていた。けして派手な役ではないが、物語をしっかりと支える役。
この芝居を観た多くのサラリーマンは、かなりの確立でトゥートルズに感情移入できると思う。そして彼が絞り出すようにして選ぶ、行動には涙なしでは観られないと思った。
そんな重要な役を岩田有民は、本当に丁寧にしっかりと演じていた。俳優としての彼の実力、そして魅力を改めて感じられる作品だった。
グレイッシュとモモ

グレイッシュとモモ

激弾BKYU

北沢タウンホール(北沢区民会館)(東京都)

2007/11/24 (土) ~ 2007/11/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

10年前の感動が蘇る!
この作品「グレイッシュとモモ」の初演は、1996年。当時、私はこの作品の記録映像のディレクターとして公演に携わっていた。

作品のチカラ、俳優達のチカラに、何とか負けない映像をとろうと何度も台本を読み、稽古場に足を運んだ。

しかし、そのうち勝ち負けなんてどうでも良くなった。

この魅力あふれる芝居を自分の感じるままに切り取っていこうと思った。

その結果はあえてここには、書かないが(笑)、自分の中で、とても大切な作品となったことは確かだ。

そんな作品を10年ぶりに観て、ちっとも古くならない、強烈なメッセージに本当に感動した。

私たちの劇団の旗揚げメンバーだった小林博さんが、とても良い演技をしていた。彼の魅力たっぷり詰まったNo.7の役は、初演の方とは全く違うキャラクターで、とても心に残る演技だった。

そして、なんと言っても主演の「モモ」を演じた東野醒子という女優のすごさには、舌を巻いた。10年前とちっとも変わらず、イヤむしろ数段素晴らしい演技になっていた。

いずれ遠からず縁がありそうな予感もするのだが、彼女とはまた、是非一緒に芝居をつくってみたいと思った。

来年9月には、山梨甲府で、11月には神奈川県葉山で公演が行われるらしい。

親子で楽しめるとても良い作品なので、是非足を運んで欲しい。

ネタバレBOX

居酒屋のベッポさんが42才という設定なのだが、初演の時には年相応のおやじさんの役と感じていたのに、今回その年齢に限りなく近づいている自分にぎょっとしてしまった(笑)。

もうすぐ厄年なのね。わたしも。

そして最後のモモの長台詞は、私は大好きな台詞。

悔しいけど、今回も泣いてしまいました。
恋人たち

恋人たち

ブラジル

王子小劇場(東京都)

2006/11/29 (水) ~ 2006/12/05 (火)公演終了

満足度★★★★★

すばらしい作品
ブラジリィー・アン・山田さんらしい、エッジが効いた台詞が見事。
俳優さん達の実力がその世界観をさらに引き立てていた。
特に私は、劇団員の辰巳さん、KAKUTAの桑原さんの演技にやられました。
各劇団の中心となっている、すばらしい俳優さん達の演技を見事にまとめた演出にも感動しました。
本当にすばらしい作品でした。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

ニッポン放送

新宿FACE(東京都)

2008/04/04 (金) ~ 2008/05/06 (火)公演終了

満足度★★★★★

インパクトは最高!
ロックミュージカルというジャンルは、私の中で特別な存在。大好きなロックと芝居の融合なんて、うれしすぎてしょうがない(笑)。

ロックのライブ感と、芝居のライブ感を一度に楽しめる事は、私にとってこの上ない幸せだ。

この「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」という作品は、数あるロックミュージカルの中でも、とびきり「ロック」な作品だった。

主人公「ヘドウィグ」の、熱く悲哀に満ちた生きざまは、「ロック」そのもの。全身からあらゆる情念をまき散らしながら、自分の「カタワレ」を探し熱唱する、山本耕史さんが演じる「ヘドウィグ」は、最高にかっこよかった。

そして、「ヘドウィグ」の相棒、「イツァーク」を演じていたのが、韓国の実力派ロックアーティスト、ソムン・タクさん。彼女の爆発的な破壊力を持った歌声には、衝撃を受けた。

ネタバレBOX

1960年代、まだ世界が東と西に別れていた頃。主人公は愛と自由を手に入れるために、性転換手術を受ける。しかし、手術の失敗により、股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまう。

男でもあり女でもあると同時に、そのどちらでもないロックシンガー「ヘドウィグ」。

傷つき倒れそうになりながらも、己の存在理由を問い続け、愛を叫び求める「ヘドウィグ」の姿は、全ての人に勇気を与えてくれる気がした。

琴線を直撃するメロディーライン、ストレートな歌詞と台詞は、ガンガン胸に突き刺さってきた。

むずかしい曲が多い中、山本さんはいとも簡単にその曲を歌っていた。改めて彼の歌唱力の高さを感じた。

また、ソムン・タクさんの声質がとても山本さんの声とマッチしていて、気持ちが良かった。

時に、悲しく切なく愛を淡々と語り、時に、激しく歌う山本さんの姿に、ぐいぐいと気持ちが引き込まれていった。

最後の曲、「MIDNIGHT RADIO」で、気分は最高潮!

「LIFT UP YOUR HANDS!」という歌詞と共に、劇場中が一体となり、そこにいる全ての人たちが、ステージに向かって自分の手を掲げた。ステージからのライトに照らされた、そのたくさんの手を観た時に、私は身体が震えだし止まらなくなった。本当に美しかった。

さらに、私が観た日は、ダブルカーテンコールがおこった。それに、山本さんは、突然「アングリーインチ」をもう一度歌うといいだし、私は初めて、ロックミュージカルでアンコール曲を体験した。

今回は、多くのソムン・タクさんファンが、韓国からツアーで訪れていた。この事を機会に、山本さんが、もっと韓国で知られ、また世界で知られ、大きく羽ばたくきっかけになればいいなと思った。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は本当に素晴らしい作品。山本耕史ファンは、見逃すわけにはいきませんよ(笑)。
ネズミ狩り

ネズミ狩り

劇団チャリT企画

王子小劇場(東京都)

2008/09/12 (金) ~ 2008/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★

ネズミはなんの風刺かな…
私がプロデュースを行っている劇団、WHATCOLORの記念すべき10回公演で、作・演出で参加してくれた楢原拓さんが主宰している劇団、チャリT企画の公演を観に、王子小劇場へと足を運んだ。

楢原さんとは、今年の12月にも、「あなたとは違うんです!」という企画公演でお世話になる事もあり、今回どんな作品なのか、とても楽しみだった。

とてもヘビーな題材なので、物語が始まるまではどうなる事かと思っていたのだけど、ある意味、チャリT企画らしく、またチャリT企画らしくないような(笑)、とても良い作品。

ネタバレBOX

父親を殺した少年の死刑判決をめぐって、家族や従業員達が対立していく姿や、無責任な噂に踊らされる近所の人々の姿。そして、その中にいる更生を誓い、必死に社会復帰しようとしている元犯罪少年の姿。

この物語では、何正しくて、何がいけないとか、そう言った陳腐な社会批判的な事は一切語られていない。

しかし、死刑制度の是非や、犯罪者の社会復帰の問題などを深く考えさせられた。私達は、もっと自分の目で確かめ、きちんと様々な事を感じ、自分の力で判断をしていかなければならないと思った。

裁判員制度の導入を目前に控えた今、この芝居が語っている意味は大きい気がする。

とはいえ、全体的にはチャリT企画らしく、随所に毒あり笑いありな作品となっていて、楽しみながら、この重い問題と向き合う事が出来た。

さて恒例の気になった俳優シリーズだが、今回は、空気を読まないけど、どこかムードメーカだったりもする近所のおばさん役を好演していた、内山奈々さん。

実は何げに難しい役どころを、とても素敵に演じていた。

前回拝見した作品でも、良い印象だった女優さんで、改めて彼女の演技に魅せられ、笑かして頂いた。

是非一度一緒に芝居を作ってみたいと思った。

今回の「ネズミ狩り」は、かなりいい脚本だった。単純に世の中を風刺しているだけでなく、重いテーマをポップに茶化しながらも、丁寧に深く描いていた。

今後、楢原さんがどんな作品を描いていくのかが、とても楽しみになった。今後に期待!

とその前に、12月の企画公演ヨロシクです。
VOICE ACTOR

VOICE ACTOR

劇団6番シード

萬劇場(東京都)

2008/07/16 (水) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

中年俳優がんばれ!(笑)
ワンシチュエーションという舞台の特徴を、非常にうまく使ってコミカルに物語をつづるのが得意な劇団、「6番シード」。

今回も非常におもしろいシチュエーション・コメディに仕上がっていた。

「Voice Actor」の舞台は、架空のアニメーションのアフレコ現場。40歳を目前に控えた中年俳優が、人生初めての「声優」に挑むという、業界バックステージの物語。

私が、6番シードを前回拝見した時も、業界バックステージ物だった。ラジオの生放送中というシチュエーションを物語にした芝居で、緻密な取材により、綿密にラジオの現場が表現されていた。

現場を知っている私が観ていても、全く違和感を感じずに、物語を楽しむ事が出来た作品だったので、今回もとても楽しみに劇場に足を運んだ。

この「劇団6番シード」との出会いを作ってくれたのは、私の劇団、WHATCOLORの女優、山岸里江だった。

彼女は以前、劇団6番シードに出演した事があって、その後も作品を見続けていた。また、6番シードの方々もWHATCOLORの作品に足を運んで頂いていた。

山岸里江に誘われるまま、6番シードの舞台に足を運んだのだが、脚本・演出の松本陽一氏が描く、スピード感あふれるストーリーと世界観にすっかり惹かれ、その後も拝見し続けている。

コメディを取り入れたポップなスタイルや、テンポの良い台詞の掛け合いなどがこの劇団の魅力なのだが、私は何より緻密な脚本と個性豊かな俳優陣のパワフルな演技に惹かれている。

さて、今回の「Voice Actor」。セットといい、台詞といい、演出といい、とてもリアルにアフレコの現場を再現していたのには、とても驚かされた。

出演者も、全員のキャラが際立っていて、とても魅力的な舞台だったし、アフレコの現場を経験している私にとっては、「いるいるこんな人!」というキャラクターが何よりもおかしかった。

観ているうちに、主人公の行動に本気ではらはらしたり、イライラしたり(笑)。とてもお馬鹿な中年俳優のがんばりは、とても強く印象に残った。

脚本的には、シンプルでわかりやすいストーリーだった。

売れない40間近の中年俳優が初めてのアフレコの現場で、人気声優やベテラン声優達の中、孤軍奮闘していくストーリー。

主人公に感情移入しやすくて、無警戒に芝居を観ていられた感じ。

ただ、主人公以外のキャラクター、例えば人気若手声優やベテラン声優とかのバックボーンとか、葛藤とかを、もう少し脚本的に描いてもおもしろかったのではないかと思った。

まあ、芝居の上演時間を考えてみると、バランスとしては良かったんではないかとも思ってみたり(笑)。

さて恒例の気になった俳優シリーズだが、今回は主人公を演じていた小沢和之さん。

全編ハイテンションな芝居を続けていた小沢さん、本当に素敵だった。彼が演じていた「前田」という俳優のお馬鹿さとか、懸命さとかに、とても素直に感情移入する事が出来た。

小沢さんの演技テンションで、この作品全体のテンションが決まるといった、とても難しい役どころだったと思う。彼が演じた「前田」というキャラクターを、本当に素直におもしろいキャラクターとして拝見できたのは、小沢さんのパワーだと感じた。

本当に楽しい時間を過ごさせて頂いたと思う。

実はこの6番シードの次回作に、私の劇団、WHATCOLORの山岸里江が出演させていただくことになっている。

どんな作品になるのかが楽しみな事はもちろん、機会があれば、是非プロデューサーとして絡んでみたい、脚本・演出家の一人である松本陽一氏が、山岸里江をどのように描いてくれるのか、とても興味がある。

今後とも注目の劇団。

あなたと私のやわらかな棘

あなたと私のやわらかな棘

ジェットラグ

新宿シアタートップス(東京都)

2008/10/17 (金) ~ 2008/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★

良かったポイントは大きく3つ
なんと言っても今回の演出家が、私が今最も注目している若手劇団、柿喰う客の中屋敷法仁さんが演出していると言うことで、是が非でも観に行こうと思っていた。

私的にこの「あなたと私のやわらかな棘」が良かったポイントは、大きく3つ。

●中屋敷法仁さんの演出が良かった
●俳優が良かった
●そもそもこの企画が良かった

ネタバレBOX

犯人としてとらえられた女が抱える闇を追求していくことによって、担当刑事が背負った心の闇が垣間見えてくる。

事件の真相が明らかになっていくと共に、それぞれの「愛情」の破綻が浮き彫りにされていく。

事件を担当した刑事の妻が、新興宗教にはまっていく様。殺された男の、離婚した妻の癌宣告。その男を殺したと証言する女の夫の、女に対する異常で利己主義な思い。

それらの思いを描いた物語が、私の「愛情」という概念を、容赦なくつつきまくる。自分の「愛情」が偽善的だと言われているみたいで、心をむちゃくちゃ傷つけられた(笑)。

スリリングに織りなすストーリーは、クオリティーの高いサスペンスドラマとなっていて、本当に物語に引き込まれた。

とても暗い話しだったけど。物語の落としどころは美しく、とても良い脚本だと感じた、

●中屋敷法仁さんの演出が良かった

オープニングを観ただけで、完全にノックアウト(笑)。

芝居の上演が始まって10分以内に、その作品が自分の演出であるという演出が出来、それがその演出家を知っている人すべてにその事が伝わると言った、個性的な演出が出来る人が、今、小劇場界に何人いるのだろう。

私は彼の演出家としての非凡な才能を、もの凄く感じてしまった。

その感覚は、物語が進むに連れてより強くなっていった。

少し前でお話ししたとおり、とても練られたクオリティーの高い脚本だったから、いわゆる「普通」に演出したとしても、十分見応えがある、おもしろい作品になったと思う。

しかし、中屋敷さんは自分らしさを追求し、彼らしいスタイルで素晴らしい演出していた。普通に、他の人と同じ事をやっても、意味がないし、そんなことしてたって、絶対に売れないと私は思う。

だから、中屋敷さん野アプローチは、本当にかっこいいと思った。

そして俳優達の演技もさることながら、装置、照明、音響ももの凄く格好良かった。

中屋敷法仁という人には、しばらく注目していたいと思う。

●俳優が良かった

早速だが、恒例の気になった俳優シリーズだが、今回は主演の初音映莉子さん。冷たく感情を殺した容疑者を演じた彼女の美しさは、舞台上でむちゃくちゃ光っていた。

事件の事実と自分の感情の狭間で揺れる、主人公の心理描写をとてもうまく演じていて、表情や仕草がとても良かった。

必要以上に身体表現を要求される中屋敷さんの演出に見事に答えると共に、そこに柔らかい芝居を残せていたのはとても良かったと思う。

是非一度一緒に仕事をしてみたい女優さんとなった。

また、猪野学さんのキレのある演技、柿喰う客の女優、深谷由梨香さんの目の演技、町田カナさんの空気感など、印象に残る俳優さんがとても多かった。

●そもそもこの企画が良かった

牧田明宏さんの脚本を、真逆の作風をもった中屋敷法仁さんに演出を依頼するという企画に、とても意味があったと思う。

そして、私が注目した初音映莉子さんを始めとした、俳優のキャスティングも素晴らしいと思った。

これをプロデュースした、阿部敏信というプロデューサーさんは本当に素敵だと思った。是非一度酒でも飲みながら、ゆっくり話しをしてみたい(笑)。
受付の女たち

受付の女たち

ラムネ☆天色堂

劇場MOMO(東京都)

2007/03/07 (水) ~ 2007/03/11 (日)公演終了

満足度★★★★

むっちゃわらった!
いつも私たちの劇団WHATCOLORがお世話になっている、劇団離風霊船の伊東由美子さんが演出しているお芝居と言うことで、拝見させて頂きました。

ラムネ☆天色堂さんは、女優三人のユニットで、脚本家も演出家もいない集団。WHATCOLORととても近いスタイルと言うことで、どんなお芝居を作るのかとても楽しみでした。

ものすごく面白い作品で、むちゃくちゃ楽しい時間を過ごさせて頂きました。

しっかりと計算された構成された脚本。時間軸を操ったストーリーは、本当に見事でした。そしてその脚本を劇団員3人とキャストの魅力でつむぎあげた、伊東さんの演出も素晴らしかったです。

テーマ曲のように使われている70年代のディスコサウンドは、まさに私がブイブイ言わせて遊んでいた頃の曲(笑)。そんなところにもしっかり引きつけられてしまいました。

今回私が気になった俳優さんは、3人の男性社員とつきあっちゃう受付嬢役真島を演じていた神之田里香さん。ほんわかした空気感の演技はとても素敵でした。是非、一緒に芝居を作ってみたいと思いました。

この公演には、WHATCOLORの第六回公演のるかそるかに出演してくれた江頭一晃さんも出演していました。ちゃらいかんじの社員役をとても素敵に演じていました(笑)。

そしてなんと言っても、受付嬢たちの会社の嫌な女部長を演じていた、演出の伊東さんのお芝居は、本当にすごかったです。嫌なおばさんを演じさせたら、日本一に違いありません(笑)。

宇宙の仕事

宇宙の仕事

ブラボーカンパニー

新宿シアタートップス(東京都)

2007/08/15 (水) ~ 2007/08/21 (火)公演終了

満足度★★★★

カジュアルに楽しめる芝居
今回の公演はコント色の強い芝居となっているとは聞いていたのですが、構成のテンポが気持ちよく、無警戒に笑える、とてもおもしろい芝居でした。

脚本が旨いなと言う感じ。一見、長編コント風に仕上げているのですが、そこにはさりげなく今の時代や、現代を懸命に生きている人間が丁寧に描かれていました。

ブラボーカンパニーの芝居は、出演者が男性のみと言うのも大きな特徴。こうした形態の芝居は久しぶりに観たのだが、とてもおもしろかった。男性が演じるデフォルメされた女性像と言うのは、コントに於いては横道な感じなのですが、凄く旨く見せていたと思います。

お客様のほとんどは女性だった事もあるのですが、恋人とデートがてら観に行けるようなお芝居だった思いました。

制作スタッフの方々のお客様への接し方も、とても好感が持てました。見習いたいなーとおもったところもたくさんありました。私たちの次の公演でも是非まねをしたいと思いました。

生の舞台で人が台詞を話し、汗をかいて演じる姿を楽しめるという演劇の楽しさを、カジュアルに楽しめる芝居でした。

氷

メタリック農家

OFF OFFシアター(東京都)

2008/10/23 (木) ~ 2008/10/27 (月)公演終了

満足度★★★★

「氷」だけどホットになるファンタジー
私がプロデュースしている劇団、WHATCOLORの第10回公演「おとことおんな、時々、動物」(オムニバス作品)で、作・演出家の一人として参加してくれた、葛木英さんが主宰するメタリック農家の公演を観に行った。

その葛木さんが主宰するメタリック農家を拝見するのは、今回が二度目。前回もとてもおしゃれな世界観の作品だったので、楽しみに足を運んだ。

冷蔵庫というとても冷たい世界観のお話しなんだけど、心がとてもホットになるファンタジーだった。

ネタバレBOX

OFFOFFシアターの限られた舞台スペースとは思えないほど、奥行き感があるよく考えられたセットは、ストーリーの世界観とマッチしていて、素敵だった。

『冷蔵庫でしか生きられない男』は、実は病気と障害がある男だった。心に傷を負った女性が、その男の純粋さに、次第に惹かれていく。

そんな二人の間に生まれた娘が、父親の秘密をひもときながら、自分の出生の秘密を探っていくというストーリー展開が、とてもうまく構成されていて、私にはとても心地よく見ることが出来た。

会話のテンポも良く、ストーリーがとてもシンプルに観客に伝わっていた気がする。

『冷蔵庫でしか生きられない男』が言う台詞。

僕が手を握ったら好きな人を傷つけることになるかもしれない
だけど離したくない場合はどうしたら良いですか?

は、とても好きだった。男って、いつもそんな自己矛盾を抱えているんだよとか思って共感した(笑)。

ラスト、母親と娘が向き合うシーンは、セットとしても、ストーリーのエンディングとしても、とても美しく、心に残るシーンだった。

恒例の気になった俳優シリーズは、娘役を好演していた酒井杏菜さん。とてもかわいらしく、存在感がある演技をされていた。

今回拝見した「氷」は、本当におしゃれで、シンプルに心に伝わってくるファンタジーだった。

今後、機会があれば是非また葛木さんと芝居を作ってみたいと思った。

とてもほっこりした気分で劇場をあとにした。
真説・多い日も安心

真説・多い日も安心

柿喰う客

吉祥寺シアター(東京都)

2008/08/21 (木) ~ 2008/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★

つかこうへいを彷彿とさせられた
くだらない設定の中(笑)、俳優達は熱く物語を紡いでいた。

40人近くの俳優達が、圧倒的な台詞量をたたみかけるように客席に浴びせ、舞台上を走り回り、踊り、そして歌う。

その迫力と疾走感は、むちゃくちゃ心地よかった。

先日、私がつかこうへいさんの芝居を観たばかりだから感じるのかも知れないのだが、彼らの芝居は「つか芝居」彷彿とさせる。

「生」のエンターテイメントの魅力を存分に味わった感じ(笑)。

スポンサーに依存しきった、現代のTVのビジネスモデルが衰退している中、「生」のエンターテイメントが持っている可能性は非常に高い。

柿喰う客の公演に足を運んでいる多くは、20代の若者。

目の前の俳優達が台詞を話し、汗をかき 涙を流す。そこには「生」だからこそ感じられる何かがある。「生」で感じられるその何かを求めて、20代の彼らは劇場に足を運んでいるのだと思う。

こうした若い世代が劇場に足を運んでいる現状は、この勢いを持ってパワフルな芝居を作り続ける劇団と、演劇の未来を期待させる。

ネタバレBOX

タイトルの「多い日も安心」は、王朝に君臨する女優が、常に新作を生み出す義務が課せられ、撮影の邪魔となる生理とどう向き合っていくのかというストーリーからつけられていると思われる(笑)。

ちなみに、観劇当日「多い日」の女性のお客様に、「多い日特典」として女の子の日の必需品を贈呈していたらしい(笑)。

私的には、そうしたばかばかしさ加減とか、物語に深みがないところとか、かなりツボだった。

そして、公演期間にあわせて、オリンピックや「24時間テレビ」をモチーフにした脚本はちょっと良い感じ。

さて恒例の気になった俳優シリーズは、今回も二人!

まずは、私の知人の「七味まゆ味」さん。

立ち姿の美しさもさることながら、演技力の高さで、圧倒的な存在感をかもし出していた。

そして、主演の「深谷由梨香」さん。柿喰う客の専属フライヤーモデルでもある。

むちゃくちゃ美人なのに、思い切りの良い捨て身の演技を、ハイテンションで強烈している姿は、ムッちゃかっこよかった。

彼女たちには、是非うちの劇団、WHATCOLORに出演して欲しいと思った。

芝居全体的にとても良い感じだったのだが、やや脚本の構成の甘さが目についた。

評判によると、作・演出の中屋敷法仁氏の脚本は、深さはないが劇構成がとてもいいと言われているのだが…。

エンディングに心地よく帰結しないエピソードを、ちりばめ過ぎていた感じがした。

とはいえ、20代の劇団の中で、これほどクオリティが高く、個性的で、人気がある劇団に私は出会った事がない。

何度も繰り返してしまうが、この劇団に本当に将来性を感じる。

今後の彼らの活動に期待したい!
ときめき都内

ときめき都内

劇団チャリT企画

OFF OFFシアター(東京都)

2007/11/27 (火) ~ 2007/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★

レッツ○○○!草○!そこかっ!(笑)
端的に言って、笑った。もの凄く楽しかった。

劇場に入ったとたんくすぐられるBGM。そして公演がスタートしてから、続々と繰り広げられるパロディー。80年代に青春時代を送った私にとって、全てがストライクゾーンのど真ん中にはまりまくった。

短いセンテンスのシーンを、テンポ良く構成しているあたりは、さすが楢原さんだと感じた。もちろんそこには、細かい時代風刺が有り、「チャリT企画」らしい構成となっていた。

だんだん、ちりばめられた細かいストーリーを、どのようにまとめていくのかに興味が移っていったのだが、その強引ともとれる(笑)結末への展開は、とてもおもしろかった。

今回、楢原さんが書きたかったのは、そこ(ネタばれBOX参照(笑))だったのかと、いろいろな意味で納得した。

おなじみ(笑)、気になる俳優シリーズ。一見地味ながら、物語の主軸となっていく女性を公演していた内山奈々さんの演技がとても印象に残った。彼女には、以前この劇団を拝見したときも感じたのだが、インパクトがあって、しっかりした存在感を残す演技をしているところに好感が持てた。とても素敵な女優だと思う。これまで、私が携わってきた女優にはいないタイプの演技をする方なので、もの凄く興味が湧いた。機会があれば是非、一緒に芝居を作ってみたい。

それから、松本大卒さん。彼のキレ系の演技はホント絶品。私は実は、つっこみ系の俳優が好き(笑)。彼のような演技には、ついつい引き込まれてしまう。うちの劇団のちょーすけや古泊明敏と、是非一度組ませて芝居を作らせて頂きたいと思った。

ホント、楽しい芝居だった!

ネタバレBOX

今回楢原さんが言いたかったことは、ラストシーンに集約されるのだと感じた。「NO MORE 地デジ!」

低所得者層に「地デジ」はいらない。全くその通りだと思った。

実はわたしは某局で「地上デジタル放送」の推進番組を担当しているので(笑)、今回のテーマはいろんな意味で考えさせられた。地デジに移行することで、数兆円の経済効果があると言われているが、結局のところ「勝ち組」の論理だという議論は、さんざんされ続けてきた。

この芝居を観て、そんなことを改めて感じられたことは、とても良かった。

そんな私は偶然にも、今週末放送する番組で、草○さんと一緒にお仕事をする予定(笑)。本人の顔を見たら、この芝居を思い出して吹いてしまいそうな危険が!(笑)

最後に「ときめきトゥナイト」の主人公の名前は、一応復習していったのだが(笑)、それがとても良かったと思った(笑)。
junkie sista vs junkie bros

junkie sista vs junkie bros

junkiesista×junkiebros.

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2007/12/14 (金) ~ 2007/12/20 (木)公演終了

満足度★★★★

junkie sistaは艶やかに舞っていた!
あれだけの高い技術のダンスや歌を間近で観られたのは、本当に良かった。そして、物語に描かれている一人一人の人間がとても魅力的だった。

エンターティメントとして、とてもレベルが高い作品だったと思う。

ダンスや歌のレベルの高さはさることながら、皆さんの演技がとても良かったと思った。皆がとても丁寧に自分の役を演じていた。

正直、ずるいと思った(笑)。ダンスや歌を武器に、演技まで素敵にこなされてしまったら、ストレートプレイをがんばっている俳優達はやばすぎる(笑)。

自分のまわりの俳優達に是非見せたかった。

物語はシンプルながら、それぞれの葛藤に感情移入しやすく、どんどん引き込まれて行った。

物語で描かれているレディス達の葛藤は、さながら、アーティストとして舞台に立ち続ける将来の彼女たちの葛藤に、エンターティメントビジネスを続ける私自身の葛藤に見えてきた。

本当にいい作品だと思った。

恒例の(笑)気になった女優シリーズだが、今回は皆さんレベルが高く、魅力的だったので迷ったのだが、伊藤有希さんをあげたいと思う。

彼女が演じていた、「戦国」と言う役は、とてもむずかしい役なのだが、とても良い空気感をもって、演じていたと思う。

機会があれば是非、一緒に作品を作ってみたいと思った方だった。

今後、この集団がどんな作品を作っていくのかが、とても楽しみ。

権利的なモノとか、様々難しい問題もあると思うのだが、そこを乗り切ったときの彼女たちはもの凄いビッグになっていくと思った。もちろん縁があれば、そういったことの処理に関してはアドバイスさせていただきたいと思っている。

真価を発揮するのは、まさにそこからだと思う。ホント楽しみ。

青葉の足音

青葉の足音

Jungle Bell Theater

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2008/04/25 (金) ~ 2008/04/27 (日)公演終了

満足度★★★★

自然との会話をしよう!
これまで、小さな劇場で公演を続けてきたジャングルベル・シアターが、BIG TREE THEATERに挑戦と聞いて、うらやましくもあり、少し悔しくもあった(笑)。

私の劇団に客演してくれた野上敦美さんが所属する劇団で、世界観や描かれる登場人物が、とても私好みなのが、このジャングルベル・シアターという劇団だ。

大きな劇場に挑戦と言うことで、劇団的にも、大きな勝負であったろう今回の作品は、完成度が高い、とても良い作品だった。

浅野泰徳という人が持つ、独特の世界観は、とてもドラマチック。今回も、よく笑い、泣いた。

ストーリーが深く、ていねいに張られた伏線が、徐々にまとまっていく様は、本当に見事だった。

偶然にも今私は、エコロジーにまつわる番組を作っている。そこで感じた「自然との距離感」や「自然との会話」の重要性は、自分の中に深く刻み込みたいと考えていた。

そんな中、人間と自然ということがテーマになった、今回の物語。おそらく、運命(笑)。

自然と神、そして人。とても素敵な物語だった。

さて、私の劇団に客演してくれた野上敦美さんの今回の役、とてもはまっていて素敵だった。彼女が演じた、少し闇を抱えた女性は、物語の中で重要なポジションの人物。時に寂しく、時に熱く、大きく揺れ動く彼女の気持ちを、敦美さんはとても素直に、ていねいに演じていた気がした。

とても彼女は、良い役に巡り会えたと思う。今後にますます期待したい。そして、いつかまたうちの劇団の芝居にも出て欲しい。

さらに、作・演出の浅野泰徳さんとは、是非一度一緒に芝居を作りたいと思った。

junkie sista vs junkie bros

junkie sista vs junkie bros

junkiesista×junkiebros.

アトリエフォンテーヌ(東京都)

2007/12/14 (金) ~ 2007/12/20 (木)公演終了

満足度★★★★

junkie brosはかっこよく演じていた!
junkie sistaが演じた脚本を、男子バージョンに修正し、ほぼ同じ内容を男性が演じるという junkie bros。とても面白いダブルキャストの企画。

実は、brosの方に私の知り合いであるキンヤさんが出演することが縁で、こちらの劇中映像の一部を制作させていただいた。そんなこともあって、 junkie brosの方を先に見る予定だったのだが、いろんな事情があって、sistaを先に見ることになってしまった。

しかしおかげで、楽しみが広がった(笑)。元々は、この作品はこちらのsistaバージョンが本家なのだから、それはそれで正しい気がしてきた(笑)。

随所に、女性ならではの台詞がたくさんあったので、これをどのように、男性バージョンにするかというところが、本当に楽しみだったのだが、本当に素晴らしい脚本になっていた。

ちなみに、作・演出を担当したのは、天然スパイラルの金房実加さん。もの静かでとても素敵な方だった。女性のために書かれた脚本を、見事に男芝居の脚本に書き換えていた。

私の友人のキンヤさんは、相変わらずかっこよくて、歌もダンスも魅力的だった。熱い男だと感じた。今後の活躍がますます楽しみになってきた。

sistaバージョンもそうだったのだが、この作品のキーの役は「戦国」と言う役。全体の空気感を止め、流れを変える重要な役だった。

brosバージョンでこの「戦国」を演じた、向野章太郎さんの演技もとても良かった。本人に聞いたところ、役作りや歌などとても苦労したそうだ。しかし、舞台上での彼の演技はとても存在感があり、脚本に描かれた難しい役を表現していたと思う。

彼は、とても良い俳優だと思った。

今後brosのほうも続けるとのことで、こちらも楽しみな感じ。

28

28

劇団お座敷コブラ

ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)

2007/12/06 (木) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

大きな可能性を感じる集団!
きっと賛否は分かれる作品だ。シーンがテンポ良く進むので、そのテンポについて行けない方や、ファンタジーの世界観を知らない人にとっては、ストーリーが全く理解出来なかったと思う。なんだかゲームみたいだねと言う結論で終わってしまったと思う。しかし、ファンタジーやロールプレイングゲームなどを日頃から楽しんでいる人にとっては、とても楽しい作品だったと思う。

ちなみに、私は後者。とてもよい芝居だと思った。

まずは脚本、ストーリーの質の高さ。彼の描きたかった世界観がとても魅力的なモノであった。その魅力的な世界観を、とても旨く構成していた。脚本に落とし込んだ台詞がとても輝いていたと思った。

そして、アクションがとても上手く構成させれている上、とてもかっこうよかった。最近、アクションは小劇場で流行っているが、私は雑なモノが多いと感じていた。中には、私が観ていても危険を感じるモノもあって、その制作責任者の感覚を疑うことさえあった。しかし、この作品のアクションはとても考えられていて、とてもレベルが高かった。

このお座敷コブラの主宰で、作・演出の伊藤裕一さんは、なんと23歳。背が高く、なかなかかっこいい奴で(笑)、脚本や演出、そして芝居のセンスなど、とても将来が楽しみになった。

若いキャストが多く、若干雑な部分が目につくが、それを補う様々な魅力的な部分があって、まとまった良い芝居だったと思う。

劇団の方向性「かっこいいファンタジー」は私もとても好きな世界観なので、今後しばらく動向に注目したい。

また、WHATCOLORにも出演してくれた、岡田の演技は久しぶりに観たのだが、彼女はこうした動きのある芝居が向いているのだと思った。ダンスも殺陣もなかなかなモノで、彼女らしさがとても出ている役だった。若い相手役の、少し雑な演技に引っ張られることなく、しっかりとそのシーンを彼女の世界観に持っていく存在感は、とても良かった。

そしてもうひとり、気になる俳優が。それは、私の劇団WHATCOLORとも縁のあるジャングルベル・シアターの神田英樹さん。存在感のある飛び道具的な役だったけど、本当におもしろかった(笑)。

彼は本当に見るたびに、成長している。

是非彼らには、私たちの劇団に出てほしいと思った。

とにかく、将来性を感じられた公演で、とても気持ちよく劇場をあとにした。

ペダルをめっちゃ漕ぐ

ペダルをめっちゃ漕ぐ

Theatre劇団子

赤坂RED/THEATER(東京都)

2008/08/20 (水) ~ 2008/08/25 (月)公演終了

満足度★★★★

自転車がいい!
私がプロデュースを行っている劇団、WHATCOLORの第8回公演「カメコが笑った日」と第9回公演「フィルムと夕凪」の作・演出を担当してくださった石山英憲氏が主宰する劇団「Theatre劇団子」を観に行った。

今回は、劇団員のみの公演という事で、どのようなチームワークになるのか、また、新人オーディション出身組がどのような役どころで、どのようなお芝居をするのかを、とても楽しみにして会場の赤坂RED/THEATERに足を運んだ。

上演の前のアナウンスで、上演時間が2時間20分と言われた時、かなり驚いたけど、いざ舞台が始まってしまえば、あっという間に物語に引き込まれ、長さを全く感じなかった。

この物語の重要なアイテムになっているのが自転車。

多くの人が一度は自転車に乗った事があって、それぞれの中にきっと思い出が残っている気がする。坂を上るつらさとか、風を受けてペダルを漕ぐ気持ちよさとか。

そうした事すべてが、この芝居を観ながら頭の中に蘇ってくる感じ。

「ペダルをめっちゃ漕ぐ」は、心がじんわり優しくなって、ちょっぴり熱くなるとても素敵な芝居だった。

個性豊かな俳優達の魅力を生かし切り、全員の見せ場をしっかりと描かれた、Theatre劇団子らしい群像劇で、石山さんならではの心に響く台詞が、随所にちりばめられていて、笑い、泣かせて頂いた。

ネタバレBOX

後半のレースのシーンでは、いろんな意味で(笑)はらはらし、一瞬「素」に戻ってしまいそうになったが、俳優の皆さんの熱い演技で物語に引き込み直させて頂いた。

ローラーの上で、文字どおりペダルをめっちゃ漕ぎつつ、きちんと芝居をする。

リスクの高い演出をあえて取り入れた石山氏の勇気は、ホントスゴイと思った。また、劇団員のみで作った座組の強さみたいなものを感じ、うらやましくもあった(笑)。

恒例の気になった俳優シリーズだが(いつから恒例になったかは謎)、今回も二人。

まずはストーリーテラーの犬、「ペス」を演じた田澤佳代子さん。

人なつっこそうな笑顔と、良く通る声がとても役にはまっていた。

私自身が、実家で犬を飼っていた事もあって、次第に衰えていく「ペス」の姿は、涙なしでは見られなかった。

「ペス」が生きた記憶を、そして、一緒に過ごした時間を忘れないでと語るシーンは、とても気に入ったシーンの一つ。

ずっと舞台上にいる役だったから、稽古を含めとても大変だった思うが、明るく元気に演じている彼女の姿は、とても素敵だった。

そして、亡くなった先代社長の妻で、二人の子どもの母親役、「車田富子」を演じた斉藤範子さん。

会社の再建に奔走し、娘や息子に無関心に見えるのだが、実は、静かにしっかりと自分の子ども達を愛している母親「車田富子」の姿は、物語の大きなファクターとなっていて、印象的だった。

特に、娘の姫子が自転車に乗るのを手伝うシーンでは、暖かい母親の姿がすごく素敵に描かれていて、いつも自分の母親を泣かせてばかりいる私は号泣(笑)。

私的には今回のベストシーンとなった。

静かに感情表現を行いつつも、物語のキーとなっていて、少し自分より年上という難しい役どころを、斉藤範子さんはとてもうまく演じられていたと思う。

このTheatre劇団子を初めて観た時から、私は彼女のファン。前作「遥かなる山でヤッホッホ」で、とても存在感のある、素敵な演技をしていたので、今回はどんな姿を見せてくれるのかを楽しみにしていた。

終始着物姿の斉藤範子さんは、今回もとても美しく、素敵だった。

演劇プロデューサーとしていつも言っている事なのだが、私は群像劇を舞台で行うときに一番大切なのは、俳優同士の信頼関係だと思っている。いくらきちんと芝居をしても、出演者同士の距離感というか、空気感がうまく作れなければ、お客様の心には届かないと思う。

そう言う意味で、Theatre劇団子の劇団員だけしか出演しなかった今回の公演は、その空気感がとてもうまく作られていた。

とても楽しい時間を過ごさせて頂いた。

数日後、記念パンフレットのキャスト紹介のページを観て、にやり。

布袋寅三郎と氷室恭一。早見優子に堀ちえり。そして田原俊雄。

石山氏の冗談さかげんに拍手(笑)。
アルケミスト

アルケミスト

少年社中

ザ・ポケット(東京都)

2008/07/16 (水) ~ 2008/07/21 (月)公演終了

満足度★★★★

夢は絶対に傷つかない
先日行った、WHATCOLORの企画公演で、暗い過去を背負った殺し屋兄弟の兄を演じ、各方面から多くの評価を得て、女優陣からも大人気(笑)だった岩田有民。

その彼のホームグランド劇団が、劇団 少年社中だ。

大好きな劇団なのだが、なかなかタイミングが合わずに、観る事が出来ず、今回は久し振りの観劇となった。

夢に導かれ、宝探しの旅に出た少年の愛と勇気の冒険の物語で、「これぞ少年社中!」、「これぞ王道ファンタジー!」といった冒険活劇に仕上がっていた。

旅の途中に、少年は一人の錬金術師「アルケミスト」に出会う。

彼と出会った事で、少年は少しずつ成長していく。

出会い…。別れ…。

様々な思いを胸に少年は駆け抜ける。

この物語のテーマともなっている「…世界のすべてを味方につけろ。夢は絶対に傷つかない」という台詞は、とても心に強く残った。

聞くだけで、悲しくなってしまうような事件が多い今の時代。

心がじわじわと温かくなるような物語をみて、ほんの少し元気になって、劇場をあとにした観客は、私だけではないはずだ。

この【アルケミスト】という作品に出会えたのは、幸せな出来事だった。

久しぶりに観た少年社中の成長ぶりと、その世界観のすばらしさに本当に感激した。

そんなわけで恒例の気になった俳優シリーズ。今回は特別2名(笑)

主役のサンチャゴを演じていた、堀池直毅さんんと、ヒロインのファティマを演じていた秋山えりさん。

サンチャゴという主人公は、どこか頼りなく、格好悪く、だけど懸命に夢を目指す少年。そんな役どころを、堀池さんはとても素直に、楽しく、気持ちよく演じているように見えた。

彼が見せる表情がとても魅力的で、年甲斐もなく主人公に感情移入してしまった(笑)。

また、跳躍やダッシュ、ダンスといった演出部分では、とても高い身体能力をかいま見る事が出来た。

今とある舞台のプロジェクトを進行しているのだが、そのプロジェクトの主演で、彼を呼んでみてはと思った。

そして、ヒロインを演じていた秋山えりさん。実はわたしは初めて少年社中を観た時から、彼女のファンだった。

最近、彼女は芸名を変えていたようで、フライヤーやホームページを観た時、彼女が出演していないと思っていたので、彼女の姿を舞台に発見した時はうれしかった。

っていうか、羊の姿はムッちゃかわいかったし…。(笑)

久し振りに観た彼女は、とても良い女優に成長していて、「華」の部分とか、「艶」の部分をとてもうまく表現していたと思う。

人間としても、女性としても成長している事を演技から感じる事が出来た。

是非、一緒に芝居を作ってみたいと感じた。

ちなみに、今回の舞台、【アルケミスト】は、ブラジルの作詞家で小説家のパウロ・コエーリョ(Paulo Coelho、1947年8月24日 - )の『アルケミスト―夢を旅した少年』が原作となっている。

1988年に出版したこの『アルケミスト - 夢を旅した少年』はブラジル国内で20万冊を超えるベストセラーとなり、38ヵ国の言語に翻訳された。

10年も前に、この本を原作に芝居を作ろうと思った、少年社中の主宰で、作・演出の毛利亘宏という人はどんな人なんだろうかと、今夏の芝居を観てとても興味を持った。

そんなわけで(笑)、終演後は、打ち上げの席にお邪魔させて頂き、彼と話をさせて頂いた。

今後機会があれば是非一緒にという話は、もちろん忘れずにさせて頂いた。(笑)

レコード屋さんの3ヶ月

レコード屋さんの3ヶ月

結木えつこ×谷川賢作produce

名曲喫茶ミニヨン(東京都)

2008/10/03 (金) ~ 2008/10/04 (土)公演終了

満足度★★★★

空気の揺れ
先日、私がプロデュースしている劇団、WHATCOLORの俳優、古泊明敏が参加していることもあり、拝見させて頂いた。

40年以上の伝統をもつレトロな空間で、生で演奏されるピアノとアルトサックス(ときにクラリネット)と共に芝居が楽しめるという今回の企画は、本当に素敵な企画だと思った。

訪れたミニヨン。開演時間を勘違いし(笑)、なんと一番のり。

カウンターで珈琲とクッキーを受け取り、席につく。その珈琲がもの凄く美味しくて、とても幸せな気分で、開演を待つことが出来た。

会場の明かりが少しだけ暗くなるのを合図に、静かにピアノの音が滑り込んでくる。店の空気がほどよくピアノの音で満たされた頃、驚くほど柔らかな音で、アルトサックスがメロディーを奏で始めた。

Take me to a record shop(私をレコード屋さんにつれてって)。この企画のテーマ音楽とも言えるこの曲の演奏を聞きながら、私のワクワク感は最高潮に達した(笑)。

そして、ストーリーテーラーの結木えつこさんが現れ、いよいよ物語がスタート。

私の劇団の俳優の古泊明敏も相手役の菊池洋さんも、良い演技をしていて、物語にぐいぐいと引き込まれた。

また、結木えつこさんの歌もとても素敵だった。

この企画を、あの空間で体験することで、「音」は空気を伝わって感じるんだと言うことを、改めて感じた。

人の声も、楽器が奏でる音楽も、みんな空気を伝わって、体で感じる事が出来る。そんな当たり前のことがとてもうれしくて、幸せな時間を過ごすことが出来た。

本当に楽しい時間だった。

疚しい理由

疚しい理由

カニクラ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2007/08/08 (水) ~ 2007/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★

脚本のチカラに感動!
以前、ブラジルの公演で拝見し、是非またみたいと思っていた作品が、全く別の形ではあるが観られることになり、とても期待して足を運んだ。

三人の俳優のバランスがとても良く、ストーリーをしているにも関わらずぐいぐいと引き込まれていった。

私の中では宝積さんの演技がとても印象に残った。

俳優の皆さんの演技もさることながら、改めてこの脚本の持っている力に感動させられた。

カニクラというユニット、そしてブラジリィー・アン・山田さんとはプロデューサーとして、是非一緒に芝居を作ってみたいと思った。

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