
リーディング公演『囚われの本質』
公益社団法人 国際演劇協会 日本センター
上野ストアハウス(東京都)
2026/01/31 (土) ~ 2026/02/01 (日)上演中
実演鑑賞
満足度★★★★★
囚われとは、どこかに誰がが囚われている(逃げ場のない)という一方、囚われる側と囚える側は、一つの社会やヒエラルキーのなかでは、本質的におんなじであり得る、という考察がこのお芝居の中でされていたとおもいます。現在世界で起こっている戦争、攻める側と攻められる側が存在していますが、立場が逆転することもある、また、攻める側もそのヒエラルキーの中で攻められる立場ゆえに前線に送られている、いま起きている戦争では、一次的には攻める側が悪者と理解させやすいとおもいますが、個々の人にまでfocusした場合、攻める人が攻められていることもあるかもしれない。それはこのお芝居の囚われの本質と同義なのかもしれません。

荊棘の途
teamキーチェーン
吉祥寺シアター(東京都)
2026/01/22 (木) ~ 2026/01/26 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ハンセン病が登場する作品としては、松本清張の「砂の器」や映画「あん」などがあります。本作品では、国の対応、医療面での誤解と医療の限界、世間の認識などの「敵」があるなか、それに対抗しようとする人と受け入れた上で小さな幸せを見つけようという人が対照的に描かれていました。何らかの制限があって生きているのは現在を生きるわたしたちもおなじです。それを受け入れるのか、戦うのかという答えの出ない重いテーマではあったのですが、小さな幸せを選んだ人々の笑顔は、やはり心が救われるものがあります、心が救われるのがいいかどうかもわからないのですが。

舞台『25Magic』
Alexandrite Stage
新宿村LIVE(東京都)
2025/12/12 (金) ~ 2025/12/21 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
準備不足で予習なしに観劇したが、ちょっとメルヘン、ちょっと心温まる、クリスマスっていいな、と感じるお芝居でした。
ストーリーの起承転結、3組の男女の物語が、それぞれの要素を置いてきぼりにすることなく展開します。
歌、踊りもありましたが、22人のキャスト、各々が個性を持っていて、脚本、演出もそれをじょうずに引き出していました。
舞台と観客席のinteractiveなやりとりも多く、舞台との距離がとても近く感じたのはとても印象に残りました。
元宝塚女優の姿勢がとてもよかったです~

音楽劇『プレビュー』
劇団青年座
吉祥寺シアター(東京都)
2025/11/20 (木) ~ 2025/11/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦後80年にあたる今年の戦後80年に関する最後の観劇です。と言っても舞台は昭和20年代、いろんなことが混沌としているなか、それでも前を向いて生きていく人々=特に解放された?女性の生き様の話です。
戦争が終わっても戦争が落とした暗い影を引きずっている人、逆に吹っ切れて自分の時代が来たとブルドーザーのように生きていこうとする人。翻弄されながらも自分の力で未来を切り開いていこうとする姿勢は、今の世の中でも変わらないのでは、と感じました。音楽劇なので最後のシーンはみんなで明るく歌って踊って締めくくる。音楽劇は、最後はるんるんした気持ちで送り出していただくのが最高だなと感じました。
ミュージカルなら劇中の歌が終わったあと必ず拍手があるだろう瞬間の数々、拍手で舞台と一体になりたかったなとちょっとおもいました~

広島に原爆を落とす日
9PROJECT
シアターX(東京都)
2025/11/21 (金) ~ 2025/11/24 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
つかこうへい原作のお芝居を初めて見たと思いますが、なるほど、つかこうへいだなというストーリーだったと感じます。事実は1つだが、真実は人の数ほどある、という漫画のセリフ通り、このストーリーも真実の可能性もあるんだろうなと。太平洋戦争も原爆投下も2人の愛のためだった、原爆投下は人類が生存するためと、逆説的なストーリー展開にも拘らず、否定できるすべもない。2人の愛のためなんて実はそんなものがきっかけという理解ができる一方、愛より大きなものはないだろうと(というセリフも数多く出てくる)。原爆の脅威を知ることが(少なくとも100年の間)人類が生き延びるために必要だと。劇が進行するにつれ、この説がどんどん説得力を持つようなお芝居でした。
人間の自然状態は戦争状態、とは、まさに日々実感しているとおもいます。最後のシーン、原爆投下でブチッと終わる、有から瞬間で無になった感じが直球で表現されていました~
このお芝居を熱演する役者のみなさんに拍手を送りたいです~

また本日も休診~山医者のうた~
明治座
明治座(東京都)
2025/10/23 (木) ~ 2025/11/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
最近は小劇場でばかりお芝居を観ていたせいで、明治座の豪勢な舞台セット、有名俳優のオンパレードは、初めて東京タワーを見た気持ち。山の中のお医者さんを中心として日々起こるはなしがいくつか展開される。共同所有の山を売るかどうか、その山で炭を作っている民代と東京から青年のとても恋愛まで至らない淡い物語、妻もいるチャラ男が改心するまでのはなしなど。
山では人間だけでなく、虫も鳥たちも生きるために強く逞しい、という言葉が心に残りました。逆説的に言えば、今の世の中は生きること自体には一定のセーフティネットがあるゆえ、強くとか逞しく生きる必要はないのかなとも感じます。
コミカルなお芝居に出演することの多い役者さんのかなり突っ込んだアドリブと思しきセリフがとても心地よく、観客席との一体感を作っていた気がします~

当番の娘
劇団匂組
「劇」小劇場(東京都)
2025/10/22 (水) ~ 2025/10/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦後80年、来年は今年ほど太平洋戦争をテーマにしたお芝居はないだろうと思い、歴史をお芝居を通じて理解しようと観に来ました。これまでも広島、沖縄等の戦争のはなしを観劇、今日は初満州はなしです。
これほどまでに重く感じるはなしはありませんでした。それを現代の場面と合わせることで重さが中和されたと思います、ほっ!
これは戦争の時のはなしだけではなく現代でも存在している問題と叫ぶシーンがありましたが、結局人間なんで何年経とうが本質は変わらず、おんなじことを繰り返しているだけ。ゆえに世の中の変化に期待するばかりでなく、自分自身で希望を見つけ、強く生きていかなくちゃいけないだと、強く感じました。
役者さんが、出口でお見送り、距離の近さは、またお芝居を観に行きたいと思わせる大きなパワーです。
また重いお芝居観に行きます~

キュクロプス ─貧民街の怪物(東京公演)
清流劇場
駅前劇場(東京都)
2025/10/23 (木) ~ 2025/10/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2500年前のギリシャ劇を昭和の武庫川河川敷に置き換えて、ということに興味を惹かれ観劇しました。お芝居の前に劇の背景となる小噺が演出家よりなされ、ギリシャ劇と武庫川劇がどう関係していくかのヒントがあったため、ギリシャと武庫川河川敷に同時に思いを馳せながら観劇できた気がします。
先般の朝ドラ「あんぱん」では、逆転しない正義という言葉が重要なキーワードでしたが、今日のお芝居でも正義とは相対的なものであり、かつ善と悪だって相対的なものだと感じる次第。
ギリシャと武庫川河川敷のはなしに共通点があるのは、結局人間なんて変わっていないということ。現代でもおんなじことは繰り返される、だからこそ自分でそれをどう受け止めかつ受け流さなければいけないかが大切なんだろうと気づかされたお芝居でした。
アフタートークもあり、ホワイエではとても控えめに役者さんがいてちょっとおしゃべりしたりと観客と舞台がとても近い時間だったのも印象に残りました~

平和
うずめ劇場
シアターX(東京都)
2025/10/17 (金) ~ 2025/10/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
あ~あ、戦争なんてなくならない、それは人が貪欲で愚かだから。戦争なんてなくならない、それは平和を守るという大義名分で戦争をするから。2500年前だろうが今だろうが、きっとおんなじことが繰り返され、これからも起きていくのかなと感じる、cynicalとcomicalが表裏一体で同居したお芝居でした。舞台の上は常にある種のカオスであり、それを観客席から眺めているのは、きっと神々が天上界から眺めているのとおんなじこと、カオスの中にいれば、各人がとても真面目にかつ真剣に行動していることが全て喜劇であるが気がつかない、極めてお芝居なのですが、それが実は現実を映し出しているように感じて不思議な気持ちになりました。
とても前衛的な演出でそれこそ演出家の母国であるドイツの小劇場にいるような空間でした。また、舞台だけでなくホワイエまで使っちゃう、劇場は舞台の上だけが劇場じゃない、劇場にいる時はどの時間もどの場所もお芝居の中ですと言われているようなひと時でした~

笑いごとではありませぬ!
劇団前進座
三越劇場(東京都)
2025/10/04 (土) ~ 2025/10/10 (金)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦後80年企画、前進座らしく重い話題を笑いと喜怒哀楽を織り込んだ舞台でした。笑っちゃいけない戦時中でも庶民の生活には笑いがある、笑えない笑いがある、結局、この時代の人々がそれぞれの生き方で逞しく生き抜いたのだろうと。戦前に誕生した前進座ですらそうやって劇団を守り抜いて来たのだろうと。
今日のお芝居では、何があろうと笑って生きるのが勝ちということかな、と考えるきっかけになりました。
お芝居が終わった後の舞台挨拶。林家三平師匠の戦争に対する姿勢とそのコミットメントが感じられました。次は寄席で最後まで落語を聞いてみたいものです~

地のはてから
もかずきっちん
シアター風姿花伝(東京都)
2025/10/02 (木) ~ 2025/10/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
長編小説をダイジェストにしたような映画があったので冒頭はやや重なったのですが,はなしが進むにつれ、惹き込まれました。約30年の年代は追っていくのですが、これでもかと言うくらい苦難に面し、くじけても生きていく、くじけなくなっても生きていく、それは生きたいからというより、生きなければならないから。自分のためではなく家族親戚等のため、とも受け取れますが、それ以上に私たちはとにかく行き続けなければいけないという強いメッセージを発していたと感じます。
それにしても世の中の男子が頼りなく体たらくであることか。男性なんて自分が中心のようでいて実は衛星のように女性の回りをぐるぐるしてるだけの存在ではないか、とまで考えてしまいました。
つのだもかさんの三本詩を買いました。これを読むとさらに今日のおしばいに関する理解が深まるかなとおたのしみです。
地のはてから。どん底から這い上がるのでも何でもどん底があり何度も這い上がる、これを単純に人間とはそういう強さを持った生き物であると理解できればいいな! とねがいたいです~
ハンドパン、全体を通して心地よい空気を奏でていました。ハンドパンがこのように使え、こんなことまでできるのかと。今日のハイライトのひとつです。

父と暮せば
劇団演奏舞台
演奏舞台アトリエ/九段下GEKIBA(東京都)
2025/09/26 (金) ~ 2025/09/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
利発な雨もあんぽんたんな雨もあるが、雨が止むのを待つしかない。あの時の広島では、死ぬんが自然、生きるが不自然、そんな思いも、すぐに癒されるものではない。そんな時、おとったんが娘を支えに来て、そして去って行く。世の中、どれだけ理不尽なことがあるか、また、それをみんながそれぞれ乗り越えてどうやって前向きに生きていくか、その難しさと大切さ、そんなものを感じました。10平米ほどの舞台でひたすら2人の会話ではなしが進んで行くのは、大昔の映画「終着駅」を彷彿させるものがありました。2人の会話と演奏及び歌を聞いているとあたまの中にそれぞれのシーンが浮かんで来ました~

小さな王子さま/夏の夜の夢
座・高円寺
座・高円寺1(東京都)
2025/08/30 (土) ~ 2025/10/11 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
夏の夜の夢をモチーフにして、それを大きく超えたお芝居だと感じました。人間と妖精が一緒に存在するとはinclusiveの比喩のようであり、ラストシーンを観て心に残ったのが、(この言葉も如何とはおもいますが)健常者と聴覚障害者が一緒に作ったinclusiveなお芝居であったということ。夏の夜の夢を観終わった時の気持ちが、「心温まる」とは想像しませんでした。
手話って実は見てるとかなりわかるなんだなと。手話の「ありがとう」は覚えました。帰り際に劇団の方に使ったら手話で返していただきました~

柿紅葉のころ
劇団青年座
ザ・ポケット(東京都)
2025/09/20 (土) ~ 2025/09/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
青年座のお芝居は喜怒哀楽がきちんと詰まっていていつも楽しく観劇しています。
柿の木と毎年訪れる柿紅葉の季節、この2つが普遍的かつ絶対的なもの、その一方、人そのものや人生、正義なんて相対的なものでしかない。それを悟って平沢のように要領よく生きて行くのがいいのか、など、いろいろ考えさせられる劇でした。いろいろな人と思いがあるにも拘らず、はなしが押しつけがましくなく淡々と進行していく、その対比はいいなと感じました。
照の座り方がよかったです~

草創記「金鶏 一番花」
あやめ十八番
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2025/09/20 (土) ~ 2025/09/28 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
舞台・お芝居はアートだと感じました。テレビジョン、歌舞伎、戦争、きつねという4つの要素が、3つの時間軸で同時に進行する。その要素と時間軸の複雑な組み合わせを舞台装置・美術が、じょうずにサポートしている。そして生演奏が舞台の空気を作っていく。
奇しくも、時代や見えない大きな力に左右される運命みたいなものを描いた「国宝」と重なって感じるところもありました。
ゆえに強く感じたのは、舞台こそが4次元の世界を表現できる数少ない場ではないかとおもった次第です~

桜の園、あるいは林檎の園
劇団Q+
小劇場 楽園(東京都)
2025/09/13 (土) ~ 2025/09/15 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
林檎の園を巡り、(チェーホフの)桜の園のようなはなしが展開される、それがこのお芝居の題名でした。最後にどんでん返しのhappyendとなり、日曜のお昼っぽくなった気がします。
きっとこれからもっとメリハリが出てさらにいいお芝居になっていくのかなという予感を感じました。20平米ほどの舞台での熱演だったとおもいます~

『わだち/쉰다리(スィンダリ)』
激団リジョロ
シアターシャイン(東京都)
2025/09/03 (水) ~ 2025/09/07 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
在日朝鮮人の苦難のストーリーなのですが、いろんな示唆がありました。わだちでは、「家族をつくれ。悲しみも苦しみも家族がいればのりこえられ、生きられる」、신다리では、まだまだ完成しないマッコリとは、人生の喜怒哀楽を経て味が増していく人生そのものなのかと。と、在日朝鮮人を超えたメッセージがあってかなとおもいますが、体当たり、声当たりの熱演は、民族の熱さが表現されていたのかと感じました~

銀河鉄道の夜
公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター
吉祥寺シアター(東京都)
2025/08/23 (土) ~ 2025/08/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
原作が未完だと言うこと、解釈もいろいろあることから、多くの子供がどう反応するかと思っていたところ、なぜかわかったぶり。大人は理屈をこねくり回し、真実をみるのができなくなっているのかと感じました。自分のさいわい、みんなのさいわい、そしてみんなのさいわいに自分がどう貢献できるのか、繰り返される永遠のテーマですが、抽象的な世界観の中、すなわち無限に広がる世界観の中で自分を見つめ直す機会となった気がします~

糸洲の壕 (ウッカーガマ)
風雷紡
座・高円寺1(東京都)
2025/08/16 (土) ~ 2025/08/19 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
戦後80年。今日のお芝居からも真実が見つかるだろうと思って来ました。ウッカーガマとひめゆりの場所が近いことに驚きました。解散のタイミングが約1週間違ったことで生死を分けた。戦争ですね。
脚本、演出、演技とも素晴らしいものでした。舞台のうえですが沖縄戦を経験した役者の皆さんが、これからもその経験を舞台の上で継承して頂いたらいいなと。舞台は歴史の証人であり、継承する力があるのではないかとおもいます~

『夫婦レコード』
劇団青年座
カメリアホール(東京都)
2025/08/16 (土) ~ 2025/08/16 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
6月の上演された吉祥寺シアターでの「コラボレーター」以来の青年座です。青年座は、笑いもあるなか、シリアスだったりしんみりだったりのストーリー展開が心地よくいつも観劇が楽しみです。家族とは?何て100も答えがあるのでしょうが、家族ってこうだよなと身に沁みるお芝居でした~
風鈴が心地よかったです