johnnyの観てきた!クチコミ一覧

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ルル

ルル

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/03 (日)公演終了

満足度★★★★

やはり俳優が魅力的
オフェリア・ポピ演じるルルにやはり目を奪われました。プルカレーテは本作を彼女にあてて作ったということですが、これぞファム・ファタール(悪女)と言わんばかりの存在感。積み重ねて役を作るというよりも元々持っている感性で作品の世界観に対応する天才肌の俳優だと感じました。シビウで観た「ファウスト」でも主役を張っていましたが、とても同じ役者には見えなかったです。
他の俳優も魅力的。どの役者も人間としての強烈な個性が体から匂い立ち、かつ自然な演技をマスターしていてきちんと芝居を成立させていました。

セールスマンの死

セールスマンの死

文学座

あうるすぽっと(東京都)

2013/02/22 (金) ~ 2013/03/05 (火)公演終了

満足度★★★★

手堅い出来栄え
新訳は物語の筋はいじらずに、台詞を所々カットしたりして短くしていました。また、今の日本で使われる言葉遣いを積極的に取り入れていて、翻訳物にありがちの違和感はほぼなかったと言えます。
演出は原作のト書きの指示をかなり汲んでいました。芝居中に音楽がカットインする場面は、原作の指示通りと思われます。ただ使用した曲が物語の展開をベタに表現するような効果を発揮していた点が残念でした。戯曲そのものが普遍的なメッセージ性を持っているにもかかわらず、演出が物語のウェルメイドさを押し出してしまい、観客への訴求力が弱まってしまった感がありました。
文学座の俳優陣は手堅い演技。たかお鷹も良かったですが、妻・リンダを演じた富沢亜古が放つ芯の強さと、その裏側に抱える孤独感に惹かれました。

 劇団 マウス オン ファイア サミュエル ベケット『消滅するまえに…』

劇団 マウス オン ファイア サミュエル ベケット『消滅するまえに…』

シアターX(カイ)

シアターX(東京都)

2013/02/13 (水) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

戯曲に忠実に従った演出
俳優の集中力が高く、所作が美しく、台詞は聴いていて耳に心地良い、上質の舞台でした。
今回上演された作品は、代表作「ゴドーを待ちながら」など前期作品とはかなり表現の方向性が違うみたいです。公演パンフレット(総勢12人が寄稿して300円!)ではベケットの後期作品について、別役実が「こういう言い方が許されるならそれらは、「前期作品を、靴下を裏返しにするようにくるりとひっくり返したような」作品、と言えるかもしれない」と記し、早大教授の岡室美奈子氏は「実験性、前衛性、言語の詩的美しさ、過激とも言える身体の希薄化、そして何よりもその幽霊的な雰囲気」と説明しています。

『モジョ ミキボー』再演

『モジョ ミキボー』再演

モジョミキボー上演委員会

OFF OFFシアター(東京都)

2013/01/30 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了

満足度★★★★

二人芝居で計17役を演じ分け。
これが本当に見事! 力のある俳優が演じれば、たった二人でも17役をきちんと成立させて物語を進行させられるし、むしろその演じ分けに演劇の、そして表現することの本質的な楽しさを見出すことができるんですね。
演出もとても良かったです。小劇場の空間を利用した舞台装置、俳優の芝居を的確に引き立たせる照明と音響の効果。舞台奥のスクリーンでは、映画の主人公に扮した二人が真剣なんだかふざけているのかよく分からない絶妙な力感の芝居をしていて、これも愉快でした。
北アイルランド紛争の苛烈さは物語の後景に退き、少年二人が戯れるファンタジーという印象が強く残る戯曲だと個人的には思いました。これが不満と言えば不満かな。

東京ノート

東京ノート

東京デスロック

こまばアゴラ劇場(東京都)

2013/01/10 (木) ~ 2013/01/20 (日)公演終了

満足度★★★

青年団の方が好き
ホンの素晴らしさはきちんと伝わってきたのですが、「本家」と比べると芝居に物足りなさが残りました。
工夫を凝らした演出については、別に悪いとは思わなかったですが、個人的には琴線に触れることがなかったですね。演劇を「体感」できるかどうかは、結局のところ芝居の出来によって決まるというのが、私の意見です。

TOPDOG/UNDERDOG

TOPDOG/UNDERDOG

シス・カンパニー

シアタートラム(東京都)

2012/11/30 (金) ~ 2012/12/28 (金)公演終了

満足度★★

二人の役者の演技から伝わってくるものなし
黒人社会の下層で生きてきた兄弟の逞しさや狡猾さ、図太さといった「色気」が皆無です。それなしでは、この物語は説得力を持たないでしょう。
芝居の出来としては正直☆一つですが、こういう海外戯曲の名作を今後も観たいので、☆二つにしました。

ハーベスト

ハーベスト

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2012/12/11 (火) ~ 2012/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★

「生業」とは何かを描いた作品
世の多くの立派な仕事人は、こうして自らの「生業」を築き上げてきたのだな・・・、そんなことを観ていて感じました。「仕事」や「労働」について真正面から取り上げた演劇作品は見かけないので、本作はある意味斬新だと思います。

トロイアの女たち

トロイアの女たち

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2012/12/11 (火) ~ 2012/12/20 (木)公演終了

満足度★★

芝居の出来に不満
俳優が相手役の台詞を理解できないため、演技から「表現の一回性」が損なわれてしまったと思いました。役者は相手の台詞を聞いて理解しないと、いい演技ができません。本作品の俳優の芝居は感じるものがなかったです。
それでも戦争によって生の拠り所を奪われる女性の嘆きは2階席まで伝わってきました。戯曲と演出の力だと思います。

明暗

明暗

現代演劇協会

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2012/11/28 (水) ~ 2012/12/02 (日)公演終了

満足度★★★★

福田恆存の代表作
劇団昴の俳優の語りは口跡が明瞭で、かつ特に年輩の役者たちは声に力があり、いい芝居をしていたと思いました。
福田恆存はこの戯曲を「詩劇」としていますが、現代口語と大きく違う言葉を話しているとは思わなかったです。

るつぼ

るつぼ

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2012/10/29 (月) ~ 2012/11/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしい物語の求心力
休憩挟んで3時間45分の長時間を感じさせない、物語の求心力。期待通り、芝居を堪能することができました。
物語のラスト、プロクターが自らの「名前」にこだわり死を選択するところは、分かりづらいですよね・・・。

F/T12イェリネク三作連続上演 『レヒニッツ』 (皆殺しの天使)

F/T12イェリネク三作連続上演 『レヒニッツ』 (皆殺しの天使)

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2012/11/09 (金) ~ 2012/11/10 (土)公演終了

難解
必死で字幕を追いかけたけれど、言葉がほとんど頭に入ってきませんでした。3年前に同じイェリネクの「雲。家。」を観たときにもそうでしたので、やはり自分にとっては理解を拒絶するような抽象的な思考と言葉の扱い方をする作家なのだと改めて思わざるをえません。

アミール・レザ・コヘスタニ [イラン]『1月8日、君はどこにいたのか?』

アミール・レザ・コヘスタニ [イラン]『1月8日、君はどこにいたのか?』

フェスティバル/トーキョー実行委員会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2012/11/02 (金) ~ 2012/11/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

素晴らしいの一言に尽きます
何より俳優のアンサンブルの凄さが際立った舞台だと思いました。真実がどこにあるのかが判然とせず、人間関係も煙に巻かれたかのような展開の中、自由を制限された社会に生きる若者たちの心の寄る辺なさが伝わってきました。
F/Tプログラム・ディレクターの次のツイートが、この作品を日本で上演する意義を何より表していると思いました。
「正直、私たちにはすぐには分からない部分も多い。その分からなさ。簡単には共感のできない、距離感。それを感じること自体が、この作品を日本でやることの意義だと、私は思う。素晴らしい俳優、一貫した演出。明らかにローカルな表現だ。彼らの足元から出てきた、強い表現だ。」

あなたに会ったことがある2

あなたに会ったことがある2

MODE

上野ストアハウス(東京都)

2012/10/03 (水) ~ 2012/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★

フランツ・カフカの短編をコラージュした小話
2011年秋に上演され秀逸だった「あなたに会ったことがある」を、同じコンセプトの元、カフカの別の短編を用いて上演。
今回は「断食芸人」「ポセイドン」「ジャッカルとアラビア人」「ある学会報告」「雑種」「橋」「十一人の息子」「判決」「父への手紙」などを取り上げ、コラージュを施して5つの小話にまとめ上げたとのこと。
印象に残ったのは、「ある学会報告」を基にした話です。アフリカで捕獲された一匹のサルが自由の身を得るため、人間の言葉や身振りを覚えてサーカス一団の売れっ子になり、さらにヨーロッパ人の教養を身に付けようと努力を重ねて認められていきます。石井ひとみ演じるサルが、最初のリアリティを感じさせるサルそのものの演技から、段階を踏まえて徐々に人間の特性を「獲得」していく様子がくっきり描かれます。その過程そのものが、人間存在をカフカの視点から鋭く捉えていて面白かったです。

橋からの眺め

橋からの眺め

Artist Company響人

テアトルBONBON(東京都)

2012/10/04 (木) ~ 2012/10/10 (水)公演終了

満足度★★★★★

戯曲が絶品
芝居も良かったけれど、やはりアーサー・ミラーの戯曲が素晴らしかったです。のめり込むようにして観ることができました。言うことなしです。

リチャード三世

リチャード三世

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2012/10/03 (水) ~ 2012/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★

好評だった新国立劇場新シーズンオープニング
Twitter 上ではたくさんのツイートが流れ、日本ではマイナージャンルである演劇の公演とは思えない賑わいぶりでした。席は概ね埋まったのでしょうか? 3年前の話題作「ヘンリー6世」の続編を、同じキャストを投入して上演するという趣向が当たったのかと思います。新国立劇場にはこういう斬新な企画を今後とも期待したいです。

大麦入りのチキンスープ/ぼくはエルサレムのことを話しているのだ。

大麦入りのチキンスープ/ぼくはエルサレムのことを話しているのだ。

東京演劇アンサンブル

ブレヒトの芝居小屋(東京都)

2012/09/06 (木) ~ 2012/09/17 (月)公演終了

現代世界史の勉強になりました
「大麦入りのチキンスープ」を観ました。
たかだか数十年前のロンドンが舞台ですが、あまりにも現代を支配している価値観・モノの考え方と隔たりがあります。20世紀がいかに激動の時代だったかを想起させる作品です。
戯曲には興味を惹かれる一方、社会主義イデオロギーを体感していない世代にとっては、この芝居を実感を伴って受け止めることは難しい気がしました。

千に砕け散る空の星

千に砕け散る空の星

ゴーチ・ブラザーズ

シアタートラム(東京都)

2012/07/19 (木) ~ 2012/07/30 (月)公演終了

満足度★★

これは失敗作
3人が共作した戯曲はまとまりがなく、俳優陣の芝居もバラバラ。中嶋しゅうや倉野章子、中村彰男など質の高い演技を見せる役者もいたものの、それらが舞台全体のクオリティ向上に繋がっていきせんでした。
なぜこのホンを日本で上演したいのか、その想いが舞台を観ても伝わってこなかったのが残念です。

温室

温室

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2012/06/26 (火) ~ 2012/07/16 (月)公演終了

全然分からなかった・・・
久々に、全く分からない芝居を観た、というのが唯一の感想。
あまりに作品に入り込めなくて、後半から居眠りしてしまいました。

三谷版 『桜の園』

三谷版 『桜の園』

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2012/06/09 (土) ~ 2012/07/08 (日)公演終了

満足度★★★★

原作を尊重した手堅い作り
そのままだと観客が理解しづらい表現を改変する一方、例えばもっと話を展開させればより分かりやすく笑わせる場面になりそうなところについては、サービス精神を徹底していたように思えます。戯曲の内容に自身の解釈を織り込むことはせずに、作家の意図を素直に舞台に反映させることを主たる目的とした演出だと思いました。
俳優陣も手堅い演技。9,000円もする舞台ですから、下手くそな役者がいないのはある意味当然。

ネタバレBOX

○改変の例
→ガーエフが突然ビリヤードの話をしたりするとこ
→ドゥニャーシャがエピホードフを「二十二の不幸せ」と揶揄するとこ
○膨らましの例
→トロフィーモフの髪が薄いことや恋愛経験がないことを指摘するとこ
→シャルロッタのひたすらな手品師ぶり
逃げ去る恋2012

逃げ去る恋2012

MODE

上野ストアハウス(東京都)

2012/07/05 (木) ~ 2012/07/09 (月)公演終了

MODEでこういうテイストの作品は自分には意外
MODEの代表作ということですが、役者が舞台上でフランクに遊ぶ(ように見せる)テイストは、自分には意外でした。もう4年半ほど欠かさずMODEの舞台を観てきていますが、もっとかっちり作り込んだ芝居ばかりだったので。
個人的には本作は全く肌に合わず、途中から居眠りしてしまいました・・・。

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