☆さやか☆の観てきた!クチコミ一覧

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陰漏(カゲロウ) <<劇場版+画廊版>>

陰漏(カゲロウ) <<劇場版+画廊版>>

乞局

ギャラリーLE DECO(東京都)

2007/11/07 (水) ~ 2007/11/11 (日)公演終了

満足度★★

きれいにやりすぎなんじゃないかな
「画廊版のほうだけを見た方が心配です」という書き込みがありましたが、はい、わたしがそうです。要するにこれはリミックス版とか、そんなかんじで捉えたらいいですかね?乞局自体見るのがはじめてだったんですが、売りだといわれている「気持ち悪さ」もそんなに伝わってこなかったし。演技の稚拙さばかりが気になってしまった。

ネタバレBOX

えーと、稚拙って言ったけど、実際ああいう「コミュニケーションのできない人達」をリアルに描いているという意味では、あれはあれで正解なのかもしれない。「ああ、そうだよね」なんて生半可な感情移入を徹底的に拒絶しています。「コミュニケーションができない人達」が、なぜわたしたちに受け入れられないのかとは、まさにああいう人間だからであって、そこを批判するのは的外れな気もしますね。はい。

ちょっと毛色は違うかもしれませんが、9月に観たサンプル『カロリーの消費』。あれも気持ち悪い、変人ばっかりでてくる芝居でしたが、みたあとの満足感はきちんとあったんですよね。役者もうまいなーとおもったし。全然感情移入なんかしなかったけど。

つまりは、やることの方向性があってるとか間違ってるとかではなく、細かいものの取捨選択だとか、そこにやどる思いいれとか、そういうところの匙加減の問題な気がします。センスの問題。で、今回のはあんま自分ごのみではなかったというだけで。なんかたぶんスタイリッシュにやりすぎたんでしょうね。2回も、しかも連続で同じのやるからには、いろいろ洗練させてかっこよくしたくなっちゃうでしょうし。で、形式がさきにたちすぎた結果、伝えたいものの核がかすんでしまった……て、かんじかなあ。

あ、でも、自殺志願者の集まる「塾」の、もててたほうの女の子。他人の発言にいちいちジャッジをくわえるあの様子は、なんか絶妙で面白かったなー。「空気ヨメヨ!」と息巻いているその当人も全然空気読めてない、という滑稽さ。あの設定ならではのおかしさですよね。
傷は浅いぞ

傷は浅いぞ

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2007/11/14 (水) ~ 2007/11/26 (月)公演終了

満足度

テレビ大好きっ子がつくったような印象
元気いっぱい。お腹いっぱい。でもこういう味って三分で飽きませんか?

ネタバレBOX

傾斜のある舞台はカッコイイ。丁度正面の客席に座ったため、飛び出て見える(錯覚?)効果あり。ほー、この角度で見上げると、こんな感じなのかあと、発見。

でもさあ、なんかこういうベタにノリノリな舞台のうえに、ベタベタにノリのいい役者がのっかると、これはもう予定調和にしかならないのよね……。たった4人で長時間を魅せるには、その予測をどう裏切っていくか、まさに「はずし」のセンスが問われるわけですよ。そこをわかるには若すぎるのかなあ。あんまりテレビバラエティをみてる感覚とかわんないです。彼らが張り切れば張り切るほど、ブラウン管(いまどきブラウン管、はないか)の向こうを見るかのごとく、すべてが他人事に。

とはいえ、大人数出てくるのがここの売りらしいので、もう一回くらい別の公演みてみようかなとも思いますけど。
月並みなはなし[07再演版]

月並みなはなし[07再演版]

時間堂

王子小劇場(東京都)

2007/10/19 (金) ~ 2007/10/29 (月)公演終了

満足度★★★★

時間堂史上、一番おもしろいです
初演のときのもみましたし、本番前に通しも一回みさせていただいたので、コレが三回目の観劇。「月にいきたい」だなんていうよくわからない願望を、ちゃんと時間内にお客さんに「ああ、そういうことなのね」と理解させてしまう、トリッキーでロマンチックで理知的で丁寧で、とにかくとても面白い脚本です。

ネタバレBOX

月に行くことで人生を変えたいフリーターと、彼女と別れても、人を殺してでも月に行きたい「半分プロ」みたいな人と、むしろ普通のひとが当たり前に行くべきと主張するパン屋さん。恋人のことで負い目に感じる部分はあっても、どのひとにも分があるなあと感じられるだけの真剣さがありました。わたしたちが日ごろ「夢」とか「目標」とかを口にするときって、だいたいこの三者の思考パターンのどれかに当てはまるなあ、と。そう、「月にいく」っていうよくわかんない願望を、普通のひとの目線に落とし込んだのがこの脚本の魅力なんでしょうね。

ただ、黒澤氏の提唱する「俳優が舞台上で深呼吸できる」演出には正直物足りなく感じる部分もあります。演技の自由度が高いために、それぞれがそれぞれの居心地のよさを求めてしまっているように見えるの。息をのむような対立が魅力のお話のはずなのに、各プレイヤーが合理的な行動をとるため、結果的にあまりギスギスした空気にならない。いわゆる「合成の誤謬」てやつ。空気が読めてしまう、「大人」な俳優ばかり集まっているのも原因なのかもしれませんね。もっと芝居にKYを!

活き活きとした感情が流れる舞台に、今度はどこまで演出家の作為を盛り込んでいくか。それがこれからのこの劇団の課題なのかもしれません。
第二章『流れ姉妹〜ザ・グレートハンティング〜』

第二章『流れ姉妹〜ザ・グレートハンティング〜』

真心一座 身も心も

赤坂RED/THEATER(東京都)

2007/10/05 (金) ~ 2007/10/21 (日)公演終了

満足度★★★★

凄い女優たち
とにかく女優力に圧倒された。もちろん脇をかためる人たちも素晴らしいんだけど、バスタオル一枚でワニと(しかも結構リアルなワニと)素手で格闘できる女優さんをわたしは他に知らない。千葉さん。まじ格好よすぎる。刃物のような目って、ああいう目のことを言うんだね。高田さん。間近でみたのは初めてなんですが、ただならぬオーラでした。まさに日本一の座長!

冒頭から、ちょっとついていけないくらいの前時代的なノリでした(笑)。ぼそっとつぶやかれる類の、俗に言うスマートな笑いは一切なし。ねじふせる系。いや、だからこそ凄いんですよね。終始スタイルとして「昭和のにおいのする人情芝居」を貫いてるんだなあって。まあ昭和の人情芝居にワニは登場しないだろうけどさ。

これぞ、後の世代に伝えていきたい文化遺産。次回公演があるなら、そのときは必ず。

Caesiumberry Jam

Caesiumberry Jam

DULL-COLORED POP

タイニイアリス(東京都)

2007/10/12 (金) ~ 2007/10/15 (月)公演終了

満足度★★★★

出鱈目で、ぐだぐだで、ゆえに生まれる説得力
タイニイ・アリス前に、こんなに長い行列ができているのをみたことねーよってくらいの大盛況でした。ロシアの片田舎。貧しくされど豊かにわいわい暮らす人々。出鱈目な演技に、出鱈目なギャグ。取り様によるのだろうけど、わたしは愛せるかんじ。愛くるしいまでに、哀愁。

で、中盤あたりから、その出鱈目さのつけがまわってくるかの如く明るみに曝される「不都合な真実」。かといって、決して誰かを断罪するような視点ではないし、何かのスローガン的な内容じゃない。ああ、なるべくしてなったよね、と。なんかこの、ちゃかして描きながらも、ドライに神様目線で突き放して人間見てるよなあ、貫いてるよなあという作家のスタンスが本当に素晴らしいとおもう。

あと、巷で「最も紅天女に近い」と話題の清水那保さん。今回もなにかが憑依していました。いいよねー、彼女の台詞のでかたって。

ヘル

ヘル

演劇企画集団THE・ガジラ

吉祥寺シアター(東京都)

2007/10/04 (木) ~ 2007/10/14 (日)公演終了

満足度★★

これだけ実力派キャストが揃いながら……
「上手い」じゃなくて、「凄い」ってレベルのことがしたいんだってのはよくわかる。で、それができるメンツだったとおもう。だけど、「凄い」のと「面白い」のとはまた違う。高校生が何人か見にきているのを目にしたけれど、彼女たちは何をおもいながら家路につくのだろう。とりあえず私は「5000円は高けーな」とおもいながら帰りました。

ネタバレBOX

「異常な状況なのはよくわかったから、話をすすめてくれー」と、はじまってから1時間30分くらい経過するまでずっとむずむずした。例え話とか、夢の話とか、ウラ社会の豆知識とか。で、ようやく動き出したかとおもったら「お釈迦様の手の上で転がされてた」的理由であっさり終わってしまうし。

ズガーンと突き刺さる音響はかっこよかったですが。
慈善 MUST BE DIE / マシュマロ・ホイップ・パンク・ロック

慈善 MUST BE DIE / マシュマロ・ホイップ・パンク・ロック

MCR

ザ・ポケット(東京都)

2007/10/03 (水) ~ 2007/10/14 (日)公演終了

満足度★★★

マシュマロ・ホイップ・パンク・ロック
ネタ的に、エグいスレスレのラインを走りながらも、振り返る余地を与えず笑わせ続ける、見事な構成。決して「演技で魅せます」とかではないんだけど、そのリアリティの削ぎ落とし方がかえって吉とでてるかんじ。コント的なスピードで次から次へと繰り出される、気の利いた台詞の数々。篠本美帆さんの「卑屈なくせにためらいがない」ねじれたキャラクターに大笑いしました。

ネタバレBOX

後半、やや蛇足だなあとおもうシーンも。セックスについて男女が語るくだりとか。そりゃたしかに言いたいこともあるだろうけれど、せっかくそこまでそのスピードで来てるんだから、一言二言でさらっとキメてほしかった。なんかそのあたりは、頭がよすぎるゆえの苦悩という気もします。もっと馬鹿になって。You must be 馬鹿。
その夜の侍

その夜の侍

THE SHAMPOO HAT

ザ・スズナリ(東京都)

2007/09/29 (土) ~ 2007/10/08 (月)公演終了

満足度★★

はじめて見ました
かの宅間守を彷彿とさせるような、良心の呵責も他人の事情も全く意に介さない「怪物」と、そいつに最愛のひとを殺された男の復讐(?)劇。慣れた身のこなしだなあと感心する場面は多々あるも、肝心の暴力シーンがいまひとつ。

ネタバレBOX

あんまり痛くなさそうなのに鼻血でてたり。そんなに声あげるものか?と思ってしまったり。「怪物」男に対するリアクション(怯え、なども含めて)が過剰におもえるの。うーむ……いや、リアクションを抑えろというより、「怪物」側の沸点がもっとあがってればいいバランスで見えるんでしょうけどね。そしてそれを想定して書かれた脚本のような気もしますし。あの空間を、観客席も含めて満たすくらいの「恐怖」の空気がつたわらないと難しいとおもう。物理的にどうしたらいいのかは私ごときにアイデアは出せないのですが…。

なんかそこの芯がしっかりしてれば、主人公のおっさんのへタレっぷりも強調されて、もっと愛せる作品になったんじゃないかとおもいます。

もうひとつ言うと、妹が殺されていながら犯人の男の身の安全ばかり心配する青木の気持ちが全くわからない。成り行き上そうなってしまった特殊な事情があったのかもしれないけど、そういう言及も見当たらないし。なぜこんなにみんな温情的なの?
独りにしないで

独りにしないで

イマカラメガネ

OFF OFFシアター(東京都)

2007/09/27 (木) ~ 2007/09/30 (日)公演終了

満足度

………。
話のふれ幅が、トレンディドラマの枠をでていません。ドラマ10話ぶんを、さらに2時間サイズに圧縮したような。エチュードから作劇されているんだそうですが、仲間うちの常識をそのまま「のぺーっ」と押し広げたようなチープな虚構世界になってしまっているのは、演出家のセンス&ジャッジの責任が大きいんじゃないかなあ。世界はもっと複雑だし、そんなご都合主義ではすすんでいかない、とおもいます。作風如何を問わず。

役者さんのなかには愛くるしいなとおもうひともいるのですが、なんかそれもひとりひとりをみると方向性バランバランで、どこに向かっているかがわからない。ネタ的な笑いも無駄に多い気がします。そんなに始終笑わせてなきゃ不安なのか?という。

ネタバレBOX

これは本気で謎なんですが、ライター50箱を注文したのは中国語のできる彼女
?それとも彼女が去ったあとに店長が?

もし前者であるなら、1000万の借金をつくった彼女にたいして店長はその程度の怒りでいいのかっておもうし、後者なら再び二人が会う場面で「お前、自分がやったことわかってるのか!?」と詰めるのはおかしい。いずれにしても1000万円てすごい額です。もっとなにかあっていいでしょう。
ニュータウン入口(本公演)

ニュータウン入口(本公演)

遊園地再生事業団

シアタートラム(東京都)

2007/09/21 (金) ~ 2007/09/30 (日)公演終了

満足度

わたしを集中させてくれない様々な要因
おざなりなビデオ映像、無機質な台詞まわし、笑えないギャグ……。とにかく見ていて疲れた。見ていて疲れるってことは、いろいろ補いながら鑑賞してるってわけ。わたし的には。それってわたしの見る力の欠如なんでしょうかね?たしかにギリシア悲劇の素養なんて全然ないから、自信ないけど。でもそれだけじゃあない気がするよ。

なんか懐かしさすら覚えるほど古い。いまから10年くらい前にこんなのよく見た気がする(あ、10年前はわたし小学生だった!)観にいく前に、宮沢さんのブログ読んでて、なんか嫌な予感してたんだけど、まさに的中。

「誰からも理解してもらえないかもしれないし、いまの演劇の潮流からはまったく外れたところで作品ができてしまうかもしれないが、それはそれで、まあいいかなという気がする。それが二〇〇〇年代になってからの遊園地再生事業団の方法だ。」(u-ench.comより抜粋)

もうひとつ。今日は当日券ではいったんだけど、シアタートラムに「トラムシートになります」っていわれたんですけどね、そのトラムシートがさ…………あのジェットコースターに乗るとうえからガッチャンて降りてくる合皮製のふかふかのバー。まさにあれ。あれに2時間20分腰掛けろ、と。いや、それしか席がないんだから別にそれは仕方ないんだけど、4200円てお値段の設定が全然納得いきません。コクーンシートだって3000円くらいじゃなかった?しかもとなりに座ったひとが落ち着きのないオヤジで、上演中何度も座りなおしておりまして、そのたびにおしりと合皮が擦れて「ギュッ」「ギュギューッ」と鳴りまくり。かなり台詞を聞き逃しました。一体シアタートラムの職員は、あれに座って芝居をみたことがあるんだろうか?

カロリーの消費

カロリーの消費

サンプル

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2007/09/14 (金) ~ 2007/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

都会的スーパーフラット
誘拐だの、虐待だの、性倒錯だの、字面だけ追うとハードそうな出来事がおこっているのに、なんだか狐につままれたような、夢見ているような、そんなスーパーフラット感覚が全編にわたりただよう物語。それぞれの変人たちに一応リアクションをとりつつも、深いところでは全く関心を寄せていない、かといって個人の欲望を追及するでもない、そんないい加減な登場人物ばっか。唯一必死に何かを訴えるのは、「死にたい」とうめく老婆くらい。この無関心さ、無目的さ加減は「都会的」といっていいんじゃないかしら。とってもクールだぜ。後半そのおかしさ加減に若干麻痺してきて、眠くなってきたりもするんだけど、作り手の表現としちゃ正しいんだとおもう。

おもしろかったので、ロビーで上演台本(一冊500円)を購入。いまそれ読みながら、これ書いてます。

正直ホンとして読んでも、そんなにぐっとくるかんじではない。あれをあのかたちにもっていけるのは、演出力、俳優の技術力のたまものなんだなあって感心した。空間をふんだんにつかった妙なバランスの舞台装置、遊びに遊ぶ照明にもこだわりあり。好きだなあ。こういう大人の余裕。つか、センス。「果肉のはいった~蜜をかけて~お召し上がりください~♪」て、あの歌はほんとに素敵だ。

余談なんだけど、三鷹でこれ見た帰りに新宿のティップネスに寄ったところ、インナーマッスルの燃焼にしか興味のない男女がマシーンのまわりにひしめきあっていました。それ見て「ああ、まさにカロリーの消費の時代なのかなあ……」と。

吐くな!飲み込め!甦れ!

吐くな!飲み込め!甦れ!

ピチチ5

駅前劇場(東京都)

2007/09/14 (金) ~ 2007/09/18 (火)公演終了

満足度★★★★

お芝居じゃない、忠告だ!75分の忠告だ!
久しぶりに、魂がふるえる体験をしました。笑えるどころの話じゃない。ただのネタとは深刻さの度合いが違うんだ。いわゆる「リアリズム演劇」とは正反対の方向で、「これが現実だ」とねじ伏せる荒業。格差社会の本質をえぐる、最高品質の社会派作品とわたしはみました。明日で終わってしまうのがとても残念。残念すぎる。こんなに悲しいくせに、腹抱えて笑えるなんて、あんまりじゃないか!!!

ネタバレBOX

特にかなしかった人を一人あげますが、第一話で「流行らない歌」を歌うシンガー役の三土幸敏さん。なんだっけかなあ。血眼になって訴えかけてくるシーンがあって(うろ覚えですけど)「お金をください!経済的に、わたしを潤わせてください!女性であれば、股をひらくのもいいでしょう!魂をかけて歌うかわりに、あんたたちも魂をかけなさい!安全なところからリスクを負わずにああだこうだ言わないでほしい!命をかけて聞け!そして死ね!」……みたいなことをすごいテンションで言うんだけど、もうなんか演技を超える何かを発する域にまで達しててさ、「この熱さ、なりふり構わなさはハンパじゃないわ。眼鏡割れるんじゃないか?」とわたしは本当にドキドキしました。ただただ、凄かった。
散歩する侵略者(再演)

散歩する侵略者(再演)

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2007/09/12 (水) ~ 2007/09/16 (日)公演終了

満足度★★★★

比較するなといわれても
一年前に上演されたG-up版『散歩する侵略者』がかなりお気にいりで、どうしてもそれとの比較でみてしまいます。本当は純粋に鑑賞したいのですが。までもそうなっちゃうんだから仕方ない。

ネタバレBOX

で、比べてどこがどう変わったかというと

(1)割と年齢の幅をかんじるキャスト陣
→主に同劇団の俳優でかためたせいか、全体的に若い
(2)家とか結構つくりこんである具象舞台
→円形劇場を意識した抽象舞台に(よりSFっぽくなった)
(3)比較的、演技は淡白
→ひろい劇場を埋めようというエネルギーをかんじる芝居(個人差はあるが)

大きくまとめると、前回が「目に見えるリアル」をベースにした作品だったのに対し、今回は観客の想像力にゆだねる部分がおおきかったな、と。いや、全然想像にゆだねる芝居好きなんですが、ことこの戯曲に関しては「見た目には何も変わらない、おだやかな日常」が中抜きにされて、「虫食い」状態にされていく(アマノ談)その恐怖感が売りだとわたしは思ってるので、好みの問題かもしれませんが、前回のほうが理にかなってたのかなーと。

が、しかし後半に行くにしたがって、はじめに感じた違和感はほぼ払拭。イキウメのペースにひきずりこまれました。なかでも奥さん役の岩本さんという女優さんがやばい!嗚咽こそしませんでしたが、愛の「概念」をうばわれたクライマックスのシーンではこちらまで放心状態にさせられました。とても悲しい気持ちにさせられる芝居です(いい意味です!)帰り道は、とぼとぼ下を向いて帰りました(いい意味!!)

毒と音楽

毒と音楽

あひるなんちゃら

王子小劇場(東京都)

2007/06/20 (水) ~ 2007/06/25 (月)公演終了

満足度★★

つよきすみたいだった
今年観たのを総じて振り返って書いているので、記憶があいまいです。すいません。出演女優がほぼ全員、昨今話題のツンデレのエッセンスを持っていて、演出家の趣味丸出しってかんじで面白かった(特に意識してないかもしれないが、わたしにはそう見えた。そして萌えた)まんなかにいじめられっこの男子一人。こういうパソコン美少女ゲームがありそうだ。コントになりきれないこのゆるさは狙いなんでしょうか……。金沢涼恵さんの傍若無人な声のトーンはわたし好き。

息・秘そめて

息・秘そめて

ポかリン記憶舎

こまばアゴラ劇場(東京都)

2007/06/19 (火) ~ 2007/06/24 (日)公演終了

満足度★★★

とぎすまされる
癒されました。一回こっきりのワークショップでたまたま集まった人達って設定ですから、無理に物語が展開していったりはしません。ただ、そこに、印象的なひとたちがいるってことだけを実直にやってみせてたわけですが。ちょっと寝不足だったら寝ちゃうかも。あーでもそんときなぜか私のあたまは冴えてて、というのはあの丸い舞台の隠れた効果なのかもしれませんが、「色々拾っていこう、拾っていこう」という気持ちにみちみちていました。そういう意識に仕向けていくことがあって成立する作品なのかも知れませんね。ワークショップ的に、「参加する」気持ちで観るお芝居、と勝手に位置づけています。

ピンポン、のような[07再演版]

ピンポン、のような[07再演版]

時間堂

王子小劇場(東京都)

2007/04/26 (木) ~ 2007/04/30 (月)公演終了

満足度★★

ゆるゆるとぎらぎら
じつは2003年の初演も観ていまして、なんかそのときの記憶が美化されて私の中に残ってるんですね。こういうのって実際あとになって見返してみると………うーん……てことがあって、じつにあてにならないものなんですが、そういう意味で相当のハンディキャップを負う状態でみることになった作品。

ピンポンが、うまいひとはうまく、下手な人は下手になっててほしかったなあ。
実際いざ思い返すかってなったときにまず映像として浮かんでくるのってそこだから。

正直長さをかんじた。キャラクターがあまりに漫画的に描かれすぎてて感情移入できない、あるいはリアルにみえるんだけど私の考え方から遠すぎてついていけないのが原因か?そんなドラマチックじゃなくていいよー肩の力抜いてよーと言いたかった。あでも、そんななかでも編集者役のおかしな人はひときわギラギラと光っていて、ゆるゆるしたまわりとの対比が魅力的でした。ああ、役者さんをみたなあ、いいもんみたなあ、とそこは思った。

業に向かって唾を吐く

業に向かって唾を吐く

elePHANTMoon

王子小劇場(東京都)

2007/05/25 (金) ~ 2007/05/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

はじめて観た劇団ですが
だいぶ前にみたものなので、記憶がおぼろげですが……。とりあえず現状で、今年観た演劇の中では一番ひきこまれた作品。「なんか儲かりそう」ではじめた宗教が実際に儲かる仕組みになってしまっているのは、騙し手がうまいんじゃなくて皆がそれを信じたがってるから(守りたがってるから)なんだってその事実。私にはとても腑に落ちました。寄る辺なき現代。会社にも家族にも見捨てられたわたしたちは、キャバクラに通い、ホストにはまり、まだ見ぬ異国に思いをはせ、英会話学校に通い、ステージの上だけの「生きてる実感」を求め劇団にすがり、「夢」のために現実を犠牲にバイトして、ネズミ講だとわかっていながらもネットビジネスに身を落してゆく……。別に宗教だけが特別なんじゃない。なにかよりかかれる、おおきなものがあればいいんだ。そしてそのためなら喜んで金なんか捧げちゃうよ。喜んで。本っ当ーによくある、誰もが潜在レベルで考えていることをありありと現出させてしまったすごい舞台だったなとおもいます。倉田大輔さん演じる、下っ端信者の「なんだっていいんですよ。宗教プレイですよ」という台詞は、その意味で「いま」に突き刺さる、小難しい教典にまさる「真理」だったんじゃないかなあ。

生理的に気持ち悪いって方は、あのご飯吐き出すシーンのこと言ってるのかな?前のほうの席は匂いがただよってたらしい。わたしは真ん中のほうに座ってたから無事でしたが。まーでも異常性を感じさせるフックとしてはありな技なんじゃないかしら。私はあれも含めてスキデス。

演技はドライで緻密で丁寧で、まじめにやってらっしゃるかんじが好感持てました。こういうタッチの作品ならば、これからもエレファントムーンも見ていきたいです。

The Perfect Drug

The Perfect Drug

smartball

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2007/09/06 (木) ~ 2007/09/09 (日)公演終了

満足度

素直に言って
いらない肉付きばっかり多かった気がします。たぶん真ん中の二人は、ピュアピュアなかんじで愛とか語らせたかったんだろうけど、嘘くさすぎて台詞もなにも書けなかったんじゃなかろうかと推測します。あの裸の子は「手も足も出ません」てことを体現してるのでは?なんかもう尾崎豊とか流れてきそうなベタすぎる構図でキーッとなった。ありえへん。

言いたいことはまだまだあります。殴ったり犯したり、本当っぽく見えなきゃ何の意味もないシーンがかなりおざなりなこと(怖くないんだもーん)、なんだか知らんが突然大音量でさむい曲が流れること(敢えて寒いのを狙ってるんじゃないかと疑ってしまうくらい)それからこれ、わざわざ舞台を分割して演劇としてやる意味あんの?と思ってしまうこと。まあ意味なんかないんだろうけど、そんな疑問を意識させてしまう時点で失点大きいと思うよ。ポツドール大好きなのにそのスタイルを汲むここが二回観て二回とも駄目なのは、このへんに無自覚というか理解できてないからなんだと思う。

いかに暴力シーンをうまく処理するかって考えるのもあるけど、もっと大きくとらえれば「いかに暴力があったっぽく見せるか」が考えられてればいいと思うんです。話を成立させるにはね。嘘にしかならない部分はできるだけ迂回して進めていくのは小劇場の鉄則だとおもうんですが……。

いやーなんかね、そんな数みてるわけじゃないんですが、暴力シーンは暴力で、セックスシーンはセックスでしか描けないようなのが「わーリアルですごいね」みたいに礼賛されちゃってる傾向がある気がする。ベタ。直情的で動物的。で、もし「リアル」でいくんならいくでね、やりきれよ、と。

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