月並みなはなし[07再演版] 公演情報 時間堂「月並みなはなし[07再演版]」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    時間堂史上、一番おもしろいです
    初演のときのもみましたし、本番前に通しも一回みさせていただいたので、コレが三回目の観劇。「月にいきたい」だなんていうよくわからない願望を、ちゃんと時間内にお客さんに「ああ、そういうことなのね」と理解させてしまう、トリッキーでロマンチックで理知的で丁寧で、とにかくとても面白い脚本です。

    ネタバレBOX

    月に行くことで人生を変えたいフリーターと、彼女と別れても、人を殺してでも月に行きたい「半分プロ」みたいな人と、むしろ普通のひとが当たり前に行くべきと主張するパン屋さん。恋人のことで負い目に感じる部分はあっても、どのひとにも分があるなあと感じられるだけの真剣さがありました。わたしたちが日ごろ「夢」とか「目標」とかを口にするときって、だいたいこの三者の思考パターンのどれかに当てはまるなあ、と。そう、「月にいく」っていうよくわかんない願望を、普通のひとの目線に落とし込んだのがこの脚本の魅力なんでしょうね。

    ただ、黒澤氏の提唱する「俳優が舞台上で深呼吸できる」演出には正直物足りなく感じる部分もあります。演技の自由度が高いために、それぞれがそれぞれの居心地のよさを求めてしまっているように見えるの。息をのむような対立が魅力のお話のはずなのに、各プレイヤーが合理的な行動をとるため、結果的にあまりギスギスした空気にならない。いわゆる「合成の誤謬」てやつ。空気が読めてしまう、「大人」な俳優ばかり集まっているのも原因なのかもしれませんね。もっと芝居にKYを!

    活き活きとした感情が流れる舞台に、今度はどこまで演出家の作為を盛り込んでいくか。それがこれからのこの劇団の課題なのかもしれません。

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    2007/10/23 13:55

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