満足度★★★★★
はじめて観た劇団ですが
だいぶ前にみたものなので、記憶がおぼろげですが……。とりあえず現状で、今年観た演劇の中では一番ひきこまれた作品。「なんか儲かりそう」ではじめた宗教が実際に儲かる仕組みになってしまっているのは、騙し手がうまいんじゃなくて皆がそれを信じたがってるから(守りたがってるから)なんだってその事実。私にはとても腑に落ちました。寄る辺なき現代。会社にも家族にも見捨てられたわたしたちは、キャバクラに通い、ホストにはまり、まだ見ぬ異国に思いをはせ、英会話学校に通い、ステージの上だけの「生きてる実感」を求め劇団にすがり、「夢」のために現実を犠牲にバイトして、ネズミ講だとわかっていながらもネットビジネスに身を落してゆく……。別に宗教だけが特別なんじゃない。なにかよりかかれる、おおきなものがあればいいんだ。そしてそのためなら喜んで金なんか捧げちゃうよ。喜んで。本っ当ーによくある、誰もが潜在レベルで考えていることをありありと現出させてしまったすごい舞台だったなとおもいます。倉田大輔さん演じる、下っ端信者の「なんだっていいんですよ。宗教プレイですよ」という台詞は、その意味で「いま」に突き刺さる、小難しい教典にまさる「真理」だったんじゃないかなあ。
生理的に気持ち悪いって方は、あのご飯吐き出すシーンのこと言ってるのかな?前のほうの席は匂いがただよってたらしい。わたしは真ん中のほうに座ってたから無事でしたが。まーでも異常性を感じさせるフックとしてはありな技なんじゃないかしら。私はあれも含めてスキデス。
演技はドライで緻密で丁寧で、まじめにやってらっしゃるかんじが好感持てました。こういうタッチの作品ならば、これからもエレファントムーンも見ていきたいです。