OJの観てきた!クチコミ一覧

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息の根に根付く

息の根に根付く

地球割project

アドリブ小劇場(東京都)

2007/12/06 (木) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

凄い才能・・・
難しいテーマだと思うが、真正面からよく表現されていたと思う。
作り方もよく工夫がこらされていて上手い。

この作品、書かれた方は20代との事だが、ストーリー、視点、表現の手法、どれも素晴らしく、凄い才能だと思う。

これからも注目していきたいと思う。

リサリサ・バナールと竜のコンパス

リサリサ・バナールと竜のコンパス

colorchild

明石スタジオ(東京都)

2007/08/23 (木) ~ 2007/08/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

何とも言えず幸せな気分
セットを全く使わない舞台は久々だったので最初はとまどったが、想像力が追いついてくると、夢のある冒険活劇が素晴らしかったです。
リサリサ役の中村容子さん、最後の彼女のはじけるような笑顔を観て、何とも言えず幸せな気分になった。
観に行って良かった。次の作品も期待しています。

道程

道程

アタラシプロン

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2008/03/14 (金) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

久々に才能を感じる作品・・
久々に「才能」というものを感じた・・。

世間と隔離された人格矯正施設、まずのっけから異次元の世界へ、ぐっと引きずり込まれる。

そこには、自身の人生をスピンアウトした人間が、「擬似」家族として生活している。

様々なルールに縛られ、それぞれ集められた他人が、家族として生活することを強いられる。

何とも不思議な発想・・。

日本の法律に触れて塀の内側に入れられたとしても、こういう生活にはならないだろう。

ただでさえ自分の社会ではみ出た個性が集まり、時折、痛々しい風景も描写される。

社会的な動物として、感情を有した人間と言うのは、何と厄介な生き物なんだろう。

それぞれが内包する問題を抱えつつ、やがて物語は急転する。

中盤から一挙に加速したストーリーは、一転ミステリアスでおぞましい世界を垣間見せる。

社会で抹殺された人間をモルモットに、新薬投与の人体実験。
健康な若者が、匙加減一つでどんどん衰弱していく姿に戦慄を覚える。
実験の果て、スクラップと成り果てた生身の人間の臓器提供。
そこには、現代社会のブラックマーケットなら或いは・・・、と思わせる妙なリアリティがあり、観るものを凍らせる。

フミヤが地下室の鍵を受け取った辺りから、物語はどんどん緊張感を増し、最後の最後でこの施設のほんとの姿が浮き彫りにされる。

人間の精神の病にスポットを当てた秀作。
よく練られた構想と相まって、最後までドキドキさせられた。

目の付け所、発想の大胆さ、緻密に練られた構想・・。
久々に凄い才能だな、と唸らされた。
今後の作品も注視して行きたいと思う。


あらしのよるに

あらしのよるに

獏エンタープライズ

青山劇場(東京都)

2007/08/31 (金) ~ 2007/09/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

音楽が素晴らしい
子供向けのメルヘンをどのように表現するのかと思っていたが、予想していたよりずっと良かった。愛と夢に溢れる作品。何と言っても音楽が素晴らしい。大人でも十分楽しめるミュージカルだったと思います。

ミュージカル「ハロルド&モード」

ミュージカル「ハロルド&モード」

あうるすぽっと

あうるすぽっと(東京都)

2007/09/20 (木) ~ 2007/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

とても夢のある作品
少し奇抜な設定ながら、しばし時を忘れて童話の世界に誘われるような、とても夢のある作品。

個性的なハロルドを演じる三浦涼介クン、リカちゃん人形のボーフレンドのように可愛さとカッコ良さを兼ね備えてピッタリの役柄。
モード役の大方斐紗子さんも、快活で魅力的な老婦人がとても素敵です。

脇を固める俳優さん達も、いずれも個性的で抜群の存在感。
バックに控える楽団の生演奏もとても贅沢で素晴らしい。

最後結末はわかっていても胸が一杯になって、涙が止まらず困った。

モードのような生き方で人生を駆け抜ければ幸せだろうな、そんな事を考えさせられた。

玉青の行方

玉青の行方

地球割project

ギャラリーLE DECO(東京都)

2008/11/27 (木) ~ 2008/12/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

また新しい可能性を・・・
見せられたように思う・・。

公演中なので、以下ネタバレBOXに・・。

ネタバレBOX

事前に聞いていた「闇の中」での公演。
覚悟はしていたが、開演前リハーサルの段階で、目の前10cmにある自分の手のひらさえ見えない闇にビックリ・・。

ここまで完璧な闇の中での作品となると、視覚以外の感覚が余計に重要になってくると思うが、朗々としたセリフまわしはまさに秀逸。
余程丹念に仕上げてきたんだろう・・。
いつもながら、緩みや妥協を感じさせない硬質な意思がそこにはある。


全方位から飛んでくる、或るときはユニゾンで、また違うタイミングでは輪唱のように後からかぶせるように追ってくるセリフ。

いつの間にやら、作品世界の中に埋没させられる・・。

カリオンや衣擦れの音を用いた演出も斬新・・。

個人的な思い込みかも知れないが、父が自分の子を迫害するというストーリーに、斉の孟嘗君の故事が思い起こされ興味深かった。

何しろ眼前も定かでない暗闇の世界。
逆に言うと、観ている方も普段働かせぬ五感も六感も総動員して、自分自身の作品世界を演出する・・。


それにしても・・・。
毎回驚かされるが、今回も改めてその異質な才能にビックリさせられる・・。

作者はいずれ、演劇という殻をさえ突き破った飛翔を、遂げるのかも知れない・・。
何となくそんなことを思いながら、劇場を後にした・・。



-1・マイナスワン

-1・マイナスワン

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2007/10/25 (木) ~ 2007/10/29 (月)公演終了

満足度★★★★★

めちゃくちゃ感動した!!
初日の昨夜、観て来ました。
難しいテーマながら、うまく表現していたと思います。

最初ベタなキャラや小ネタでちょっとひいちゃったのですが、何だろ、それこそ中盤からTurboのように加速して、最後はめちゃめちゃ感動させられた!!

今年も物凄い数のお芝居観てるけど、本当に最大級の感動!

自分自身の中で膨れ上がる感情を処理し切れなくて、途中から、
  (これは作り物なんだから、フィクションなんだから・・)
素晴らしい感動にくるまれたくて劇場に足を運んでいながら、逆に落ち着け、落ち着け、自分に言いきかせてる自分を発見して・・・。
ほんとにバカみたいなんだけど、そんな事まで思ってしまった・・。

それくらい、素晴らしかった、という事です。

う~ん、何処をどうすれば観てる人は感動する、ということを、おそらくこの劇を創られた方は熟知してるんでしょうね・・。

不覚にも、冷静な自分を忘れて、心地よい激情に流されてしまった。

いい劇団を発見した。

次回も必ず観に行きたいと思う!

ネタバレBOX

養護院を舞台にした孤児達と引き取りに訪れる親達のお話。

前半はキャラを立たせるのに、個性を強調し過ぎた演技が目立ち、不自然さが気になる自分としてはちょっと入りきれず。
役者さん達も、気のせいか少々固い感じ。
ベタなネタやダジャレも空振りが多く、ちょっとひいてしまう。

ストーリが動いたのは孤児達と親達が対面する頃から。
舞台が舞台だけにしんみりする設定が多いが、それをコミカルに、重くなり過ぎないように描かれており、この頃からどんどん引き込まれていく。

ペットショップの子犬と同じ、まだ個性が固まっていない年齢の低い方から引き取られ、中高生以上になるとなかなか引き取り手が現れない現実。

養護院の孤児達全員と3組の親子が対面するが、結局引き取られるのは年齢の低い3人で、この辺り演出の都合もあるのか特に明かされてなかったが、実は引き取られる3人は血の繋がった実の姉妹という設定。
3人は突然両親が事故で死に、残された3人の姉妹だった。

経済的にもゆとりあり、それぞれの家庭で大切に扱われるが、3人の姉妹はやっぱり離れ離れになるのに耐えられず、申し合わせて養護院に戻る。

それぞれの親達には無論養護院に戻るとは告げず、自分を探さないで、との置手紙を残して・・。

折角引き取った子供が突然姿を消し、途方に暮れる3組の親達。

失踪劇には養護院の先輩お兄ちゃん達がバックアップしており、引き取られた姉妹達の意志を尊重して神父さんにも告げず匿うが、ひょんなことから養護院内に居ることがばれてしまう。

それぞれ自分が選んだ子供達を連れ戻したい親達と姉妹を守ろうとする孤児達。

自分達が嫌われた訳ではなく、姉妹が離れ離れになるのが出て行った原因と知り、それぞれの親は3人全員を引き取ることを提案し、今度は親同士、それぞれ足の引っ張り合いが始まる。

引き取られる孤児は3人組1セットのみ、一方引き取り手は3組で、どの親が引き取るにせよ、残された二組の親は納得できない・・。

解決方法はないと思われた難題に、最後、奇想天外な結末が用意されている。

とても夢のあるラストシーン、どんどん上昇していた自分の中の感情がどこかで弾けたような気がする・・・。

う~ん、上手い、不自然にならない程度に神様の力を借りたりするところもロマンチック。

そして、徹頭徹尾、慈愛に満ち溢れて温かく導く神父さん。
この人の役柄が最高に素晴らしい。

劇中挿む音楽の使い方がとても上手い。

どこをどう創れば、人の感情の琴線を爪弾けるのか、この劇を創った方は、それを熟知しているんだろう。

最初の頃少し硬さの見えた役者さん達も最後はそれぞれ最高の演技。

素晴らしい劇団を見つけた。

また次回も観に行きたいと思う。




KNOB のぶ

KNOB のぶ

劇団Turbo

駅前劇場(東京都)

2008/04/11 (金) ~ 2008/04/15 (火)公演終了

満足度★★★★★

絶対期待を裏切らない!!
期待を裏切らないという点で言えば、ほんとに素晴らしい劇団だと思う。

今回も笑って、ほろっとさせられ、最後はとてもいい気分。

こういう時間を過ごしたいために、自分は劇場に足を運ぶんだと思う。

これから演劇を観てみたいという方には、自分なら、まずこの劇団を勧めたいと思う。


ネタバレBOX

純朴なタクシー運転手役の富田がとてもいい味を出している。
理不尽に赤ん坊を押し付けられ困り果てるが、一度縁を持った赤ん坊の行く末を案じる心優しい役柄を好演。
そして前作「マイナス・ワン」に続いて、教会の神父さんとシスターズ。
あくまで正しい道を説く神父さんと個性豊かなシスターズ。
今回は清楚なシスターズが一転、修道服を脱ぎ捨て脚も露にダンスを披露するシーンも・・。
このシーン、男性の観客には、嬉しいサプライズかも・・。
今回は定番のキリストに加え、マリアさんも優しい雰囲気。
全編ユーモアとペーソスで彩られ、根底には穏やかな慈愛が満ち溢れている。
そして、今回もまた奇想天外な結末・・。

作品の質も高いが、役者の年齢層の幅広さもこの劇団の特筆すべき点だろう。
可愛い子役だけでなく、何と今回は生後数ヶ月の赤ん坊もナマ出演。
(多分前回公演中に生まれた赤ちゃんなんだろう)
ぐずって作品を損なうこともなく、とても自然な印象。
栴檀は双葉より芳し、この子もいずれ劇団Turboの看板役者に成長するんだろうか。

相変わらず、笑わせ、そして時にほろっと来て、最後は心温まる結末が待っている。
この劇団はいつ行っても、きちんと満足させてくれるんだろう。
安心して劇場に足を運べる貴重な劇団だと思う。
ジンギスカン

ジンギスカン

株式会社 ドラマ・ステーション JAPAN

ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)

2008/01/04 (金) ~ 2008/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

とても素晴らしい作品!
豪華なキャスト、臨場感溢れる演出がとても素晴らしい作品!
モンゴル草原の世界にたっぷり引き込まれて、とても楽しめました。

ネタバレBOX

平岳大について事前にほとんど知らず、よくある、2世タレントを名前のあるベテランが脇を固めて盛り上げるパターンかと余り期待していなかったが、背も高く、その凛々しい姿は、草原の覇者として名を残す英雄の若き日の姿にとても良く似合う。
また、相手役相田翔子演じるカルカ姫も、強さを内に秘めた役柄、最後まで成就することのない悲恋の物語が、(元来泣き顔っぽい)彼女が醸し出す雰囲気にぴったりで、作品の世界にどっぷりと浸れた。

ストーリーはテムジンとカルカ姫のほのかな恋物語、宿命のライバル、ジャムカとの争いを軸に、物語としてもとても楽しめる。

ジンギスカーンについては、元々その人物像や国に興味もあり、結構色んな書物を通して読んできたので、史実と随分離れた人物設定(ボルテの役回り等)に最初はとまどいも覚えたが、ともに部族を率いる二人のやりとり、性格描写など見ごたえがあった。

圧巻は、今や立場が逆転し優位に立ったテムジンが、ジャムカに示した温情溢れる停戦条件にも、誇り高きジャムカは首を縦に振らず、その板ばさみになるカルカ姫が犠牲になる非情のシーン。
物語とは言え、ついには結ばれることなく終わる結末に胸をしめつけられる。

たまたま取って頂いた席が前列の良席だったこともあり、本来ミーハーなところのある自分には、豪華な衣装を纏った美男美女が眼前で繰り広げる舞台に夢うつつの気分。
こういう夢の世界にいざなってくれるのが、やはり舞台のいいところだろう。

こんな作品を観ると、ああ、お芝居っていいな、また劇場に足を運びたいな、と思う。
今年もいい作品、沢山めぐりあえればいいな・・。
ガールフレンズ(再演)

ガールフレンズ(再演)

ホイチョイ・プロダクションズ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2008/01/25 (金) ~ 2008/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

やさしさに包まれたように・・・
鈴木蘭々と池田有希子の回を観劇。
素晴らしいミュージカル。
観劇後、(シャレではなく)やさしさに包まれたように感じた。

ネタバレBOX

ミュージカルとは言えセリフは一切なく、全編ユーミンの歌に合わせ情景を織り成すオムニバス。
繰り広げられるシーンは、ドライブ、サーフィン、スキーから夜の酒場と幅広く、そのどのシーンにもユーミンらしいオシャレな感覚が活かされている。
歌の場面だけ繋げて一つのトータル・ストーリーを作るなど、ユーミンの作品の多彩なことに改めて驚かされる。

物語は、対照的な性格の女ともだち2人の恋と友情のドラマがコンセプト。
セリフはなくとも、それぞれのシーンで心情がよく伝わってくる。
最後は成就しない恋も決して悲壮さはなく、どこかシルエットを被せたような淡い印象。

青春の一時期、誰もが通り過ぎる情景をソフトなタッチで描く。
個人的には他にも使って欲しい曲も沢山あったが、それは次の機会の楽しみとしたい。
暫く忘れていた、どこか甘酸っぱい感傷を思い起こさせてくれるような、そんな作品。
あの頃確かに持っていた瑞々しい感覚、これからも大切に持ち続けていたい、そんな事をふと思った。
もっと見る (公演終了・御来場御礼)

もっと見る (公演終了・御来場御礼)

殿様ランチ

サンモールスタジオ(東京都)

2008/12/05 (金) ~ 2008/12/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

相変わらず・・・
程の良い匙加減が絶妙・・。

公演中なので以下はネタバレBOXにて・・。

ネタバレBOX

不治の病を宣告され、死と直面する男の最期を描いたストーリー・・。
普通ならもっと壮絶感、悲壮感が漂うところなんだろうが、物語は淡々と進む。

決して激情に流されるようなシーンに埋もれる訳ではなく、そこかしこに、ほのかなユーモアさえ漂う。

そこには、この劇団特有の、何とも言えぬ人情味豊かなペーソスが滲んでいるようでとてもここちよい。

友人、家族、病院のスタッフや師弟など、とりまく周囲も鮮やかなキャラで描かれる・・。


この世に生を享けた限り避けることは出来ない死の世界。
自分の命の限りを知らされた時、その人の値打ち、品格、人となりも現われてしまうのだろう・・。

本編主人公の作家は、決して取り乱すこともなく、最期まで力強く生き抜く。


題材は果てしなく重いテーマだが、決して悲壮感を感じさせず、むしろ物語は恬淡と進む。

スロットルを踏み込み過ぎることなく、穏やかに収束させる程の良さが絶妙で、決して出しゃばり過ぎない、そこはかとなく感じさせるセンスの良さが奥床しい。

何度も何度も涙が溢れそうになりながら、そこでコミカルなシーンにまた引き戻される・・。

今回も板垣マジックの世界に翻弄されたように思う・・。
心地よく、人情味溢れる世界に・・。


素敵な作品を魅せていただいた。
また次もマジックの世界に溺れたいと思う。


眠れぬ夜のストレイドッグエレジー~蘇州夜曲~

眠れぬ夜のストレイドッグエレジー~蘇州夜曲~

水木英昭プロデュース

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2007/09/03 (月) ~ 2007/09/10 (月)公演終了

満足度★★★★★

理屈なしに楽しめます!
めちゃめちゃ面白かった!もう、理屈なしに楽しめます。
男優さんみんなカッコいいし、歌も素敵です。
今年も沢山お芝居観てますけど、自分の中では一、二を争う素晴らしい作品です。
次もまた観に行きたいな・・。

ベッドマン・スリーパー

ベッドマン・スリーパー

カリフォルニアバカンス

アイピット目白(東京都)

2008/11/05 (水) ~ 2008/11/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

久々、大絶賛!!!
いや~・・、ちょっとビックリ!!

久々、大絶賛!!!

泣かされる作品でしばしばフルマークを付けましたけど、そうでない作品でこれだけ高い評価を感じるのは久々!

いや~、素晴らしい作品、素晴らしい劇団を見つけました!

本日初日、公演中なので、感激は以下ネタバレBOXに・・。

ネタバレBOX

いや~・・・、ビックリ、ビックリ・・。

個人的な好みの傾向もあるのかも知れないけど、ここまでビンゴの作品はちょっと久々・・。

ストーリーはいいけどラストは・・、役者さんはサイコーなんだけど・・。
過去、幾多の素晴らしい作品に巡り合ったけど、大抵どこか、そんな余白を感じたりもしてたのだけど・・・。


この作品は非常に高いレベルで、ほとんど全ての要素において、自分としては最高点を付けられる、それくらいのインパクトがありました。
決して強引過ぎる展開でもない、強烈なキャラに吸い込まるのでもない・・。
でも、う~ん・・、なんだろ・・、全てにおいてほぼ完璧!!


全体の構想、よく練られたストーリー、巧みに張られた伏線、最後のドンデン返し、冒頭の穏やかさからはとても想像できない凍るような結末・・。
そして、初日と言うのにいささかもぎこちなさを感じさせない役者陣の見事さ・・。

いや~、ここまで全ての角度から錬度の高い作品は久々。
時折見せる小ネタや笑いまで、ことごとくツボにはまった・・。
作り手は、余程きめ細かいこだわりのある方なんだろう・・。

ツノダ役の役者さん、演技は勿論のこと、セリフ、間の取り方など、もう最高に素晴らしい!!・・。

こういう作品、劇団を見つけると、あぁ、劇場に足を運んで良かったな、と嬉しくなる・・。

劇場を出た後、頬を嬲る風が冷たかったが、興奮冷めやらぬ自分には、それもとても心地よく感じられるように思えた。
しびれものがたり

しびれものがたり

しずくまち♭[フラット]

麻布DIE PRATZE(ディ・プラッツ)(東京都)

2007/11/07 (水) ~ 2007/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

上質のエンターテイメント
初日の昨夜、観てきました!

素敵な音楽、不思議な国の物語、あっと言う間に異空間に連れて行かれ、とても楽しめました。

全編美しい生演奏にくるまれ、とっても贅沢な気分。

上質のエンターテイメントと言う言葉がピッタリ。

演劇が、自分を素敵な世界に導いてくれる魔法の装置だとすれば、まさにぎっしりとその要素が詰め込まれた、素敵な作品だったと思う。

劇団の方の対応にもとても誠実さが感じられ、とても良い気分で劇場を後にした。

また、機会があれば、観に行きたい劇団だと思う。

ネタバレBOX

人間にのみ許された「感情」、「感覚」がテーマ。
普段、自分達がその有難みに気付かず、当たり前に享受しているその部分に、鋭くスポットを当てた作品。

冒頭流れる音楽がとても素晴らしい。
メランコリックで、とても美しいメロディライン。
(演奏している側の狙いは違ってたかもしれないが個人的には)フォーレのシシリエンヌを連想して、とても豊かな気分。

シンプルだがどこか不思議の国を思わせるようなセット。
物語の設定も、SFチックながら、或いはこんな世界が来ることも有りえるかも・・・、無理なく入らせるところが上手で、一遍にメルヘンの世界に引き込まれる。

物語は街のDJが流すラジオ番組を上手く使って進める。
番組の流れにそのままストーリーを乗せて、この辺りの作り方がとても巧み。
仕込んだ伏線もきちんと収束させて、ストーリーもとてもよく練られている。

最後は、あともう一展開あるのかな、と思っていたが、やっぱりあのまま終わる方がいいのかな。


話の展開とは関係ないが、どの役者さんもとてもはきはきしたセリフまわしで、基本がとてもしっかりしているのだろう。
名前の通った方でも、時折聞き取り難い発声をするのも見かけるが、演劇でやはり発声は基本。
今夜の出演者はその点、とても安心してみていられた。

終演後、出口にDJ先生役の役者さん自ら挨拶に立たれて、帰る客一人一人にきちんと目を見て挨拶されていたのがとても印象的。
劇場へ足を運んで来る客それぞれへの感謝に溢れているようで好感が持てた。

基本に忠実なセリフまわしといい、最後の真摯な姿勢といい、この劇団の誠実さが伝わってくるようで、とても良い印象が残った。


元々、6月に石神井で、飄々と好演されてたあやこさんを観たくて足を運んだが、作品、劇団ともとても素晴らしく、また次も足を運びたい劇団だと思う。





ディレクション

ディレクション

劇団たいしゅう小説家

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2007/09/15 (土) ~ 2007/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

とてもいい気分
とてもおしゃれな雰囲気で、出てくる役者さんがみんなカッコいい。
テンポ良く夢のあるストーリーも小気味良く、上質のワインを味わったよういい気分。
ギターの生演奏も親しみやすいメロディで、とても印象に残っています。

ネタバレBOX

奇想天外な設定や展開、最後の結末も、自分にはさほど不自然には感じられず、シャレた持って行き方だなぁ、と感心させられた。

全体的にテンポの良いコメディ仕立てなのですが、最後のシーン、何故だか自分でも説明がつかないながら、目頭が熱くなっていました。

笑わせながら、でも感動させる。

とても素晴らしい作品だと思います。
歌姫

歌姫

東京セレソンデラックス

シアターサンモール(東京都)

2007/07/11 (水) ~ 2007/08/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

この作品は外せない・・・
こりっちという観劇好きの為のサイトがあるよ、と教えて頂いたのは確か9月頃。
それ以降観た作品は欠かさず投稿してきたが、今年のエンタメ投票が始まったとのことで、この作品を外す訳にはいかない。
観たのは半年も前の事だが、感動は今でも鮮やかに蘇る。

その後TVドラマ化もされたようだが、自分はあえて観ていない。
あの舞台以上の作品になるとはとても思えないから・・。

※観劇後すぐに書きとめておいたレビューなので、(今読むと)文末一部時間の感覚の表現におかしなところがあるが、その時の感激をそのまま残したいので、あえて手を入れずにアップすることにしました。

ネタバレBOX

実は観劇前、何となくタイトルも古臭くて、余り期待していなかったのだが・・・。
観劇後、何度も迫り来る感動に、自分を持て余してしまった。
その感動は未だ忘れられず、心地良い余韻を何度も楽しむ。
エンタメに必要なユーモアとペーソスがふんだんに盛り込まれている。

宅間孝行演じる主人公太郎のカッコいい男っぷり、それでいてシャイでウブな性格。
胸をしめつけられる切ないストーリー、意外な運命に翻弄される主人公。
劇中、何度も涙で目が霞み、目頭をそっと押さえる。
自分が男でなければ、どんなに気が楽だろう。
込み上げてくるものを抑え切れず、(人前で見せる涙を恥ずかしいと感じる本能で)劇中のシーンから何度も目を逸らせた。
そのまま舞台から目を離さないでいると、どんどん涙が溢れそうである。

最後のシーン、街のみんなに惜しまれながらも、街を出て行く太郎。
全てを知りながら、それを明かす事はできない。
惜別の言葉をかけられながら、みんなには知られぬよう背を向け、観客からのみ見える太郎の表情がみるみる涙でくしゃくしゃになる。
ここが限界・・・。
自分の心の柔らかい部分を、ぎゅっと掴まれるような、そんな切ない気分。
男から人間に戻り、自分の感情に素直に従い、とめどなく涙が溢れ出る。
ベタベタした男女の愛情劇ではなく、あくまで仄かなラブストーリー。

殆どの男性がそうかも知れないが、自分もいわゆる切ないラブストーリーは苦手である。
目頭が熱くなり、鼻の奥がツーンとしてくると、もういけない。
しかも、人並み外れて、感情移入は得意中の得意。
すぐ劇中人物の心情になりきってしまう。
ゆえに、その手のストーリーは、自ら好んで観ることは余りない。

だが、本当のナマな自分は、決してそういうのが嫌いという訳ではないのだろう。
思う存分感情を昂ぶらせ、何か胸のつっかえがおりたような、そんな爽快感。
帰り新宿への道すがら、感動が胸の中で、いまだずっと共鳴している。
う~ん、まだ雨は降り止まないが、今夜は足を運んで、本当に良かった。
こういう感動があるから、自分はまた劇場に足を運ぶのだろう。

でも、カッコわりぃから、今度はラブストーリー以外がいいかな・・・。
誰が見てる訳でもないのに、何となく照れを押し隠して、ゆっくり帰途に着いた。
三風谷村水没前夜

三風谷村水没前夜

劇団バッコスの祭

池袋小劇場(東京都)

2008/04/26 (土) ~ 2008/04/29 (火)公演終了

満足度★★★★★

色んな意味で・・・
予想を遥かに上回る素晴らしい作品・・。

公演中なので、詳細はネタバレBOXに・・・。

ネタバレBOX

観る前は、滅び行く故郷への哀悼歌のような、そんな重い雰囲気かと思ってたのだけど・・。


軽妙な女の子二人の会話がとってもいい感じ。
時々大きな空振りもあるが、ネタのセンス、テンポがとても良く、二人の表情も何とも言えずユーモラス。
これが、本来重いはずのテーマを、随分和らげているのだろう。

冒頭、和人に侵食されていく哀しいアイヌの歴史に触れ、それが最後に生きてくる。
色んな伏線がすっきりと収束していくところなど、脚本もとてもよく練れている。

殺陣のシーン、もう凄い、という表現を通り越して、ゾクっと鳥肌が立った。
あの狭い空間でよくぞあの高い練度まで、という点にも頭が下がる。
余程練習したんだろうな・・・、素晴らしいド迫力。

色んな意味で・・・、事前の予想を遥かに上回る素晴らしい作品・・。
作者は決してアイヌ、またここで採り上げるている平取町出身という訳ではないだろう。
こういう世界を創造し、また舞台上で表現できる才能に、敬意を表したい。

観劇後、今までそんな考えた事もないのに、追いやられるアイヌ民族、生まれ故郷が地上から消滅していく出身者の心情に想いを馳せた。




ピース!!!

ピース!!!

劇団Peek-a-Boo

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2008/04/02 (水) ~ 2008/04/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

いや~、素晴らしかったです!!
いや~、素晴らしかったです!!
自分の中では、昨年のTurbo以来、久々のフルマーク、大絶賛の劇団!!

う~ん、どこまでも夢に溢れたファンタジー、宇宙のように広やかな愛。
際立つそれぞれのキャラも素晴らしいが、この作品の根底に流れているのは、全編を優しく包み込む愛情なのだろう・・。

作品を象徴しているのは、やはりベガの底抜けに大らかなキャラ・・。

決して激昂することなく、いつも穏やかに、そして、接するもの全てに分かち与える愛情・・。

観劇中、ずっと、夢を観続けていたんだと思う・・。
しばしば涙が溢れ、感動に胸が熱くなった。

自分が劇場に足を運ぶのは、実に、こういう作品を観たいが為なんだろうと思う。

素晴らしい感動、夢見る空間を与えてくれた劇団、役者さんに感謝したい・・。
いや~、素晴らしい劇団を発見した。
次回も、必ず、観に行きたいと思う・・。

(レビューを書きながら、またあの感動が蘇ってきた・・。
 感情ある動物、人間に生まれて、ほんとうに良かったと思う)


アネクメネの雨

アネクメネの雨

地球割project

萬劇場(東京都)

2008/05/01 (木) ~ 2008/05/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

やはり非凡な才能・・・
冒頭、不思議な感覚のセットに、まず興味を惹かれる・・。
主宰の挨拶の前に既に物語は始まっており、何やら緊張感を強いられる。

一つ一つの言葉の響きがとても素晴らしい・・。
そして、今回も赤い布が効果的に使われ、ああ、かって地球上の何処かで、こんな物語が繰り広げられたのかな、などと考えさせられてしまう・・。

深い、深い、沢山のことを考え、感じさせられる作品。
相変わらず、豊かな才能を思わせる・・・、今回もそういう非凡な才を感じさせられた。

この本の作者には、これからも枠に囚われず、大きく羽ばたいて欲しいと思う。
次回はどんな作品を魅せてくれるのか、また楽しみにしたいと思う。

アインシュタイン・ショック

アインシュタイン・ショック

劇団ジャブジャブサーキット

ザ・スズナリ(東京都)

2007/09/20 (木) ~ 2007/09/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

とても素敵な作品。
とても素敵な作品。
正直なところ、アインシュタインと言っても、有名な天才物理学者、くらいの認識しかなかったが、来日時の風景、彼の人柄がとてもよく描けており、観劇後いっぺんに親しみを感じた。

史実に忠実に、淡々と描写していきながらも、当時の情景を大変巧みに伝えてくれ、物語としても大変楽しめた。

芝居の作り方がとても上手だなぁ、と思いました。

ネタバレBOX

自分も殆どの方同様、

  アインシュタイン=原爆発明者=日本人にとって忌まわしい仇敵

漠然とそんな風に思っていたのですが、素顔の彼はあんなにおちゃめで、しかも大変な親日家だったのですね。

その認識を正せただけでも収穫です。

広島の被爆者とオーバーラップさせる展開、ラスト宮沢賢治の詩の朗読シーンなどもとても感動的。

それまで、どちらかと言うと、淡々と、と言う感じの印象でしたので、最後のクライマックス、震えるような感動を覚えました。

こういう作品に巡り会えると、ああ、劇場に足を運んで良かったな、と思います。

素敵なひと時を有難う、そんな気持ちになりました。

小柄な女性扮する学生さん役の役者さん、凛々しく清々しくて、とても良かったです。

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