GSの観てきた!クチコミ一覧

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白い象が夢を見るとき

白い象が夢を見るとき

劇団Nanaki

d-倉庫(東京都)

2014/04/10 (木) ~ 2014/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

考えさせられる
最前列、上手端より観劇。
想像はしていたが重い話であった。
舞台の内容は素晴らしい出来。

ネタバレBOX

比較的若いキャスト陣と見受けられたのでどうなるだろう? と思っていたが心配は杞憂に終わった。
リアリティに溢れ、観る側を惹きこむ素晴らしい芝居を見せてくれた。

難病に冒された女性。医者を目指す女性の弟。画家を目指す女性の恋人。画家の夢に反対する恋人の父。女性の助けになるために現れたホームヘルパー。女性を診る医者。女性の弟の力になろうとする友人達……他にも、登場人物がいる。
出番が多くても少なくても、興味を惹かれない登場人物は居なかった。
脚本や演出も優れているのか、物語のテンポも良い。笑いも笑えないシーンの方が少ない。とても練られていると思う。
自分が、何をしようとしているのか。それが、一体どういうことなのか。それらをよく理解されて演じられていたのではないだろうか。
だからとても真実味があった。感情移入できた。

照明や音響も非常に力が入れられていた。
星のような照明。無数の四角い穴を通した照明。ツタのような照明。最後は客席をも巻き込み、舞台を盛り上げるのに工夫が凝らされている。
終盤、寝たきりとなった女性と恋人は結婚する。立ち会う弟。
みんな、追い詰められていた。弟は金も性根も尽き果てている。
照明が青に変わり。寝静まった女性と恋人をよそに、弟が動き始めたとき。
「やめろ。」と口走りたくなった。
終盤のシーンは全て美しい。
女性の為に恋人が描いた巨大な絵に、恋人と女性は消えて行った。女性を殺し、自らも命を絶った弟を残して。
これも美しい締めくくりだった。

これが旗揚げ公演だと言うのだから驚き。
これからどんな芝居を作っていくのか興味が湧く。

ピンとこなかった所。
弟が医大を辞めたと言い放ち友人達に責められる。そこで笑いを絡めたところ。笑いは面白いけど……序盤から暗くはしたくなかったということか……
弟が女性を殺してしまう。その直後の女性の独白。直前が予想がついていたとはいえ衝撃的なシーンなので耳に入ってこない。台詞の発し方がリアル寄り過ぎて聞き取ろうとしても難しい。パンフにも書いてあった台詞のようだったが……
みんな我が子

みんな我が子

Artist Company響人

テアトルBONBON(東京都)

2013/09/21 (土) ~ 2013/09/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

人とは、社会とはなんだ?
最前列。八日目? 15時開演。タイトルを見た感じ、コメディかと思えるがそんな事はなかった。

ネタバレBOX

非常にレベルの高い芝居に感じた(エラそう)。2時間10分とほんの少し長尺ではあるけれど、それを感じさせない内容だった。
セットも、演者も、演出も、これぞプロと言えるのでは。
アメリカンに言えばいわゆるストレートプレイに分類される芝居なのだろうか。


家族と、その周辺の人物達が抱える悩み、問題。世の中とのしがらみ。
社会の中で上手く生きなければならないという事。誰にそうしろと言われたわけではないのに。何かを守る為に。
人の過ち。愚かさ。望み。
リアリティ溢れる流れの中にふっと出来る間にも、愛、緊迫、憎しみ、怒り、哀しみが確実に伝わってくる。
これが、登場人物が生きている物語だと思った。
間違いなく、一流のものだ。


どうすれば良いのか、誰にも分からない。
突きつけられて。
終盤に響き渡る銃声。
あれほど悲しい銃声はあまり聞いた事がない。
様々な事を大事にした、素晴らしい芝居だった。

お母さんが、息子が手紙を読む事を止めない点が、少し理解出来なかった。
芝居に関係ない所では、明らかに会場の空調が効き過ぎで寒かったな……
NO GOAL【ご来場ありがとうございました】

NO GOAL【ご来場ありがとうございました】

青春事情

駅前劇場(東京都)

2014/06/27 (金) ~ 2014/07/01 (火)公演終了

満足度★★★★★

GOAL!!
実際に行われているという「ホームレスワールドカップ」に参加するまでの「さすらいジャパン」こと日本代表が描かれていた。
登場人物一人一人の個性が魅力的に表現されており、退屈も全くしない。尺もちょうど良い感じ。
素晴らしい物語だった。

ネタバレBOX

理由があってホームレスになっている人達が、サッカーを通して社会復帰を目指す。
問題がいくつも起きる。それでもそれを乗り越え、ワールドカップに出場する。
言葉にすれば簡単。でもそれが美しいし感動した。
二度目になるがやはり個性が魅力的に表現されているのが良い。
誰が、どんな人なのかを教えてくれる。実在人物から取ったらしい登場人物だが、それぞれが生きている。
台詞の間の取り方もまたニクい。照井(ジョン・テリーがモデル?)さんの電話の所なんて普通に泣きますよ。
日常生活で大事なことも教えてくれた。
相手の受け取りやすいパスを出すこと。本音だけの、力任せのパスではダメだということ。
生きる為には、もがくべきなのだということ……etc。
残念ながらチームは勝利を挙げる事が出来なかったようだが、最後の試合、最強のスペイン代表から一点を奪う。
その感動のゴールシーンを観劇するこちら側の想像に任せてくれる所に、これまたやられた。泣ける。きっと、皆でめちゃくちゃに抱き合って喜んだんじゃないかな。
人生にはゴールを設けるべきではない。
でもとにかく、「さすらいジャパン」が挙げたゴールを、心から祝福したい。
ロベルト・バッジョの名言が好き。
手のひらを太陽に

手のひらを太陽に

コルバタ

戸野廣浩司記念劇場(東京都)

2016/04/07 (木) ~ 2016/04/10 (日)公演終了

満足度★★★★

心配する事はない、これまで過ごして来た親子の時間を振り返れば。
最前列端にて観劇。
それぞれの登場人物にバックグラウンドがあり、思いがあり、役者さん自身にも個性があって好きなタイプの舞台だった。
女性陣は特に個性豊かで生き生きしていると感じたし、下世話な事を言えば美人な方が多かったなという印象。
この団体さんの舞台は前回観劇した際はちょっと残念な出来だったけれど、今回は脚本も演出も役者も殆ど違う方々で楽しめた。

ネタバレBOX

煎餅屋を営む主人公の中年。
施設出身の主人公は、若い頃に同じ施設出身で結婚した夫婦と家族同然の付き合いをしていた。
夫婦には子供も出来、幸せが待っているように見えた。
しかし奥さんは娘を生んで早くに亡くなり旦那の方も娘が3才の頃に亡くなってしまう。
父親になるという事がどうにも分からぬまま、子供を夫婦に託され、育て、ここまでの人生を歩んで来た主人公。
そして、娘が大きくなった今も、ある理由から娘には自分を「お父さん」とは呼ばせては居なかった……

真面目な所と笑いを取りに来るシーンのバランスが良く、飽きが来なかった。演出、脚本共に凄さを感じた。主人公達以外にも何組かの親子や夫婦が登場するが、それぞれの在り方が見えて面白かった。
セット、雰囲気が良いです。
壁のラクガキの演出、良いです。
音楽、音の入りのタイミング、良いです。
笑いのセンス、そしてそれを実行する役者のセンス、素晴らしいです。
真摯な所は真摯に。楽しい所は楽しく。芝居の大事な要素を見た気がした。
また次の芝居も観たいと思える公演だった。
WAYOUT

WAYOUT

WAYOUTカンパニー

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2015/03/04 (水) ~ 2015/03/08 (日)公演終了

満足度★★★★

がむしゃらのその先へ
WAYOUTは博品館劇場での公演以来2回目。
変わらぬ熱いエネルギーを見せてくれた。
毎日一生懸命頑張っているサラリーマン達。でも仕事をして、家族を守って、毎日を過ごすので精一杯。
そこに負債を抱えた日本が買収されるという一報が……一体日本はどうなってしまうのか!?

ネタバレBOX

まず、階段などが付いた巨大アスレチックのようなセットが印象的。
そのアスレチックの一部が外れて、動きまくる、エンジン全開の演出が楽しめる。
広い舞台をふんだんに使ったダンス。影やスモークを生かした照明演出も素晴らしい。引き込まれるし、幻想的でカッコいい。
ただ、ダンスを皆でやるシーンはあと一歩だけ一体感が欲しいと思った。それから、歌の歌詞がメロディーの大音量に押されて聞きにくい部分がある。台詞も気持ちが昂る肝心な所で、何を言っているのか分からない箇所がいくつかあった。
エネルギーが素晴らしいだけに惜しい。
でも、仕事をもっともっと希望をもって頑張ろうという事と、日本人であるという誇りを胸に、突っ走って行こうと思える作品だった。
花とフィーユ

花とフィーユ

少年ギ曲団

シアター風姿花伝(東京都)

2015/10/29 (木) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

小劇場らしさ感じるファンタジーな冒険譚
中央中列。メタボ剣士と女ニンジャの凸凹コンビが繰り広げる冒険。

シンプルで無駄がなく、それでいて演出や衣装、舞台装置に工夫の凝らされた舞台だった。
テンポの良さがあり、そんな中でのギャグが何とも小劇場らしい面白さがあった。

ネタバレBOX

美しい花が咲くという世界樹を見物にトアール王国を目指す二人。しかし王国近くの森で盗賊に襲われ、ツキと名乗る女盗賊と知り合う。何故かツキと二人はゆるい掛け合いとなるのだが、ツキ曰く「花は咲かない」という。これは失われた世界樹の花びらを探す物語らしい。

ファンタジーものは台詞が固有名詞等分かりにくくなりがちだが、聞き取りやすかった。そこでまず、この芝居を観ようという気持ちにさせられる。
衣装は、ファンタジーらしくみんな個性的かつよく特徴を表していた。女性陣は、みんな綺麗に見えた。
舞台は、一面に敷いた布に綱をつけて天井に回し、舞台裏から引っ張って起伏を所々で変えていた。面白い発想だなと思った。布の下から漏れる照明の光も良かった。
脚本は聖剣伝説からヒントを得たのかな? まとまりよく面白かった。本当の悪人はいないようだが、あれで良いのだと思う。

王女のギャグがちょっとわざとらしくなってしまったか。
また、王子が王女を連れ階段を登るシーンと、サンダースが額に刺さった苦無を投げて逃走する瞬間に若干死に間が見えた。
『WAY OUT』

『WAY OUT』

WAYOUTカンパニー

博品館劇場(東京都)

2013/10/30 (水) ~ 2013/11/04 (月)公演終了

満足度★★★★

これが日本の働く男達だ!
席は会場のど真ん中。役者の表情までは若干厳しくなり始める距離だったが見応え十分。ただ、一部のキャストの歌声はこれより下がると言葉が聞き取れない可能性が高いか。
毎日スーツを着て頑張る働く男達の熱いミュージカルだ。

ネタバレBOX

AD役以外、キャストは全員スーツ。女性は一切登場しない。
ダンスは冒頭から派手さもキレもあり魅せてくれる。大人数のシーンで全員の振りが僅かにズレてしまっているのが気になったものの、それを補って余りあるエネルギーを持っていて素晴らしいと感じた。歌も気持ちが押し出されて観る者の心に訴えてくる。

男達は毎日一生懸命働いている。使う側の人間も、使われる側の人間も。
しかしこの物語の舞台である日本は、国債は1000兆円を軽く越え、消費税30%、医療費全額負担、地価高騰等、先の見えない不毛地帯と化していた。
そんな中、大型ファンドによる「日本買収」の一報が飛び込み、男達の中に激震が走る。
そして、ファンドの主導でここまで日本をダメにしたとされる大企業の社長や政治家を、それらに使われる側であった男達が弾劾し裁く狂った公聴会が行われることに。
日本を、そして自分を生まれ変わらせてくれると信じて、使われてきた男達は叫ぶ。責める。
それに対して、意志を持って人を使ってきた男達の言葉が正面からぶつかる。

どうしてこんな状況になった? 誰かのせい? どうすれば良かったんだ? 相手を潰して、何になる? 考えても考えても、泥の中にはまり込んでいくばかり。

毎日を生きるのに精一杯で諦めを覚えてしまった男達が、日本を買収から救う為に団結して立ち上がる姿に感動。
スーツを着て毎日仕事をする男達は、カッコいいという事を認識した。
働く男達に力を与えてくれる作品だと思う。
頑張れ! 世のジャパニーズ・ビジネスマン達!!
HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】

HOME SWEETS HOME 【ご来場ありがとうございました】

青春事情

ザ・ポケット(東京都)

2014/02/05 (水) ~ 2014/02/11 (火)公演終了

満足度★★★★

親子。兄弟。家族。
オーソドックスなホームドラマといった印象だけれども、完成度は高く感じた。
明らかに無駄な演出もなく、観劇後はすっきりした気分に。

ネタバレBOX

町のケーキ屋が舞台。
ある日、家出をしていたケーキ屋の長男が久方ぶりに帰ってくるところから物語が始まる。
長男は実は多額の借金を背負っているのだけれど、それを結婚し夫とケーキ屋を守ってくれていた姉に言い出すことは出来ない。
自身を追う借金取り、幼馴染とその婚約相手、店の常連の受験生などさまざまな人物との交流が生まれ、各々のエピソードが進行していく。
いずれのエピソードにも共通するのは「父と子の関係」だろうか。
人物によって親子関係は勿論違うが、物語で見える父と子の絆には感動させられる。
登場する人物は良い人たちばかりなので、優しい気持ちになれた。

役者の皆さんはリアリティがあり、台詞回しも感情表現も舞台らしく自然に見えた。
チケット代はちょっと高いかなと思ったものの、楽しめる舞台だった。
唐版 滝の白糸

唐版 滝の白糸

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/10/08 (火) ~ 2013/10/29 (火)公演終了

満足度★★★

あの女に魅せられたのか……
最上階の横の席から見下ろす形で、隣のお客さんと協力(笑)して譲り合いながら身を乗り出し見切れと戦う。
ありがちな席だったが、観劇には十分だった。
自分の心の中で感じて、世界を作るべきアングラ芝居なのだろうか。

ネタバレBOX

やはり怒りと悲哀、人間らしさといったものを感じる舞台だった。
流石に演出は見ごたえがあるし美しかったと思う。
印象に残っているのはお甲の登場シーン。これは圧巻だった。
重要なシーンだと思うのでここまでになるのは当然なのかとも思ったが……
運送屋の持ってきたクローゼット(?)が不気味に空き、中にはハンガー。鳥の声。そしてドン! という音が聞こえんばかりにクローゼットの上に堂々とした立ち姿で現れるお甲。衝撃だった。
そして小人レスラー達が自分達の影を見つめて喋るシーンも何だか悲しく、そして温かくなった。
なんと言っても最終盤、太夫がアームに乗って舞台を飛び回りながら手首から血を噴き出し、それをアリダが追いかけるシーン。
狂気ではあるしどんなシーンかと問われても分かりはしないのだけど、その血からは熱さを感じた。

途中の運送屋コンビのお笑いシーンはこれも流石プロ、テンポが良く笑えて面白かった。
音響はクラシックの選曲が意外と無難な印象。
グッド 騎士(KNIGHT) ベイビー

グッド 騎士(KNIGHT) ベイビー

無頼組合

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/07/17 (金) ~ 2015/07/20 (月)公演終了

満足度★★★

全て受け入れる事が出来たらいい
探偵もの。主人公の腐れ縁であり、元ヤクザの男が「結婚する」という驚きの宣言。
しかし、直後に元ヤクザが殺人容疑で逮捕されてしまう。
冤罪と見た探偵は、真実を求めて行動を開始する。

ネタバレBOX

周りのお客さんを見た感じは楽しんでいるみたいだし、いい舞台なのだと思う。でも、自分には合わないのかも知れない。
この劇団さんの舞台を二本過去に観ているからか、正直お話に飽きてしまったかな。銃撃シーンやアクションもあまり無く、盛り上がれなかった。
探偵ものとは書いたが、探偵らしさは殆どない。聞き込みのシーンはあっさりでしかも聞き込みの内容が早替え失敗のウケに全部潰されてるし……間に合わないのは分かってる筈。その姿勢はどうなのか?
好みがハッキリ別れる劇団だと思う。
内輪ネタのコーナーが多すぎるし、役者もそのシーンでは素に戻る。
そういう芝居を求めていない人は見ない方がいい。自分もこういうスタイルの芝居は好きではない。申し訳ないけど、面白くないし。
役者の家族や友人等、完全に内輪のお客さん向けだ。
お客さんを楽しませる、というベクトルが自分の好みとは違う。
キャラクターを声をあそこまで変えて演じるのは違和感を感じる。アニメみたい。
しかも、アニメほど理想の声や容姿ではないわけだし……失礼だけども。役者自身のイメージを優先した方がいいと思う。

権藤さん 、泊さん、北条さんが好き。違和感が無いから。
特に権藤さんの芝居だったら、全然飽きない。面白い。何故だろう?
北条さん、死んでしまったみたいで残念。
南雲さん、ちょっと歌が……結末の大事なシーンなのに。

客席が狭すぎる。お客さんの途中退出の事はまるで考えてないとしか思えない。
最前列に座ってて急にお腹が……なんてなったら舞台の面を土足で踏まないと通れないのはやり過ぎでしょう。
主演の方の挨拶は、お客さんに対する気持ちが込められていないように思えた。
太陽への回廊

太陽への回廊

無頼組合

シアターKASSAI(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/15 (月)公演終了

満足度★★★

親子の確執? 世の中の不条理とは?
最前列端で観劇。

ネタバレBOX

無頼連合さんの作品を観劇するのは「ホンキィ・トンク騎士」以来二度目。
正直なところ、前回の観劇よりもあまり楽しめなかった。
作品の大きなテーマを自分はあまり感じることが出来なかった。
物語で筋が通ってるなーと感じることがあまりなく、何だかカッコつけたいだけに見えてしまった。

ある男は愛する妻とこれから生まれてくる我が子に会うことなく、非業の死を遂げた。
隕石のガス(だっけ?)によって現世に甦った男は、現世を生きており、罪を犯してしまった我が子に裁きのようなものを下す。
そして我が子に自分の人生をしっかりと生きて欲しいと願いながら消えてゆく……

この流れの中で周りに色んな人が登場するわけだけど、だいぶもみくちゃになったかなという印象。
一人一人の登場人物の掘り下げがあり、個性もあるというのが脚本の良さだと感じたのだけど……
その分、だいぶ尺が長く感じてしまった。てっきり2時間20分近く行ったかと。
最後が良いシーンなのは分かってるんだけど、もう疲れてしまっててどうにも。

たまにのギャグは面白かったし役者も熱演、演出にはすごいなと感じさせられる事が多かったのだが。なぜピンと来ないのだろう。

日本を舞台にしていたけど、あんな銃撃戦、無理があるなと思ったし。
前の作品は、架空のシティだったので理解も出来たけど。
スナイパーライフルみたいなのを動きながらあんなバカスカ撃てるのか。
前は、カウンターからあちこちに撃ってた。
喋ってないで早く撃ったらどうだろう。
女性刑事と本性を現した敵副官のアクションは、正直あのレベルだと見るのは厳しかったかな。練習したんだろうなとは感じたけど力強さが。やっぱり女性だと思ってしまった。
女性刑事の方は騎士シリーズの助手さんも演じていたのだろうか。
ごめんなさい。騎士シリーズを演じたあの一瞬のほうが自分には自然で魅力的に見えてしまった。
真田十勇伝

真田十勇伝

劇団SHOW特急

萬劇場(東京都)

2014/04/03 (木) ~ 2014/04/06 (日)公演終了

満足度★★★

親しみやすさ
一番後ろから観劇。
史実を基にした脚本だったが、むやみに脚色等で暴走することなくしっかりとまとまりのある作品に感じた。

ネタバレBOX

一戦国時代ファンとしては、悪くはないかな……という印象。
毎度毎度、エラそうで申し訳ないが。
若い世代にもアニメ、漫画等で真田十勇士の存在は知られていて、それぞれが持っている十勇士のイメージがあると思う。
そういうものと照らし合わせて、個人的に印象あるキャラクターとして認識できたのは根津さんや筧さん位だったかもしれない。
由利さんや穴山さんも、結構キャラが立ってたかも。
2時間20分という長尺だったが、それでも十勇士達がどんな人間で何を考えているのか、どうしたいのかを感じて最後まで観るには描写が足りなかったように感じる。
大坂に入る前の十勇士が誓いを立てるシーンがとてもいいシーンなだけに、それがもったいないかなと。佐助が皆の骨をまくときに感動できるかも、それまでにかかっていただろうし。
後は、昌幸や家康の役者さんは熱演なんだけれどもやはり老け役と見るには厳しくどうしても……特に昌幸は表裏比興、と言われるような人には見えなかったな。いくらなんでも丸くなりすぎでは。

ギャグは、なかなか笑えなかった……唯一クスリときたのは家康が消える半蔵の音に驚くところ。
殺陣は、入り乱れて面白いとは思うけどもう少しスピード感があれば。佐助や才蔵は忍者だからかアクロバティックな所があって印象に残った。
演出だろうが、半蔵の刀に照明の赤い光が映り込む所は素晴らしかった。カッコよかった。

六文銭がうまく落ちなかったのは非常に残念。気になってしまった。見せ場なだけにね。
それから木村重成の方の芝居が気になったな。もう少し、台詞の言い方を役の方にシフトして、テクニックを駆使して行っていいかと思った。
地下のアンダーグラウンド・ラボラトリー

地下のアンダーグラウンド・ラボラトリー

柴犬ムツコ

キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)

2014/12/26 (金) ~ 2014/12/28 (日)公演終了

満足度★★★

地下の変なやつら
ナンセンス劇。
こういった劇は自分の感性のなさと勉強不足を感じさせられる。
舞台はキャパシティ30程度の小さなものだったが綺麗な空間だと思った。
引っ越してきた部屋の地下に、なにやらおかしな人たちが住み着いていて、何かの研究をしているらしい。
おかしな人たちと部屋の主である主人公の女性、そして部屋の管理者の不動産屋が絡んだ非現実的日常。

ネタバレBOX

終始非論理的なお話で自分としては疲れた。
物語の初めから「80分後夢オチ」とバラされたのは親切だなと思った(笑)
不思議と笑えてしまうシーンもあった。
白衣、ノーベル賞、会見……今年、世間を騒がせたあの人の事が思い出される。

脚本はなかなか面白いかもと思ったのだけど、それを生かす役者の技術が足りないのではというのが正直な感想。
自分がナンセンス劇を理解できないように、役者の方もこういった劇をどう演じればよいのか定まっていなかったのではないだろうか?
突っ込み役の男性研究員の方、気持ち悪いものを作ってしまう女性研究員の方は役を無理に作ってる感じがあった。
基本的な技術面でも、不動産屋役の方の台詞回しはだいぶ気になった。
その一方、主演の方は、一週間前に出演が決まったそうだが、限られた時間内に台詞を覚えたというのは流石役者ということか。
若干台詞の発音が不明瞭になるところはあったが形になっていた。
CRANK UP

CRANK UP

PLAN N

シアター風姿花伝(東京都)

2016/06/29 (水) ~ 2016/07/03 (日)公演終了

満足度★★★

謎の違和感
大学の映画サークルの元仲間達が生み出す物語。
学生時代、映画撮影の最中に起きた事故で亡くなった筈の友人が、何故か主人公の目の前に現れる。
友人が成仏出来ないのは、未練があるから。
亡くなった友人の為に、主人公は中断してしまっていた映画撮影を再開しようと、かつての仲間達を再び集め始める。

ネタバレBOX

あまり満足出来なかった。後半、長く感じた。
役者さん達はそれなりに経験のある人達だったと
思うし、演出も舞台中央の大きな盆をレコードのように回転させる演出が目新しく見れる。
しかし、そんなに大学生に見えない。
登場人物の一人一人に何故かあまり存在感や魅力を感じられなかった。
ちょっと、芝居の練度が足りなく見えたかな。
首のタオルを落としてしまう。手帳のペンを落としてしまう。病室のイスを倒してしまう。雨の屋外で落としたタオルで、顔拭くかな……
「鈴井組」「百瀬組」言い間違えてしまう。「腑に落ちた」一瞬台詞出てこない。
少し、ミスが目立った。稽古に時間をかけて、失敗して、修正したり、役を落とし込み切れていれば、起きないミスではないかと思った。
らしくないな、嘘っぽいなという場面が一瞬ずつだったとしても積み重なれば、全体に響く。
最後のビデオを回すシーンで感動出来るかは、途中のシーンで入り込めるかがカギだから、あまり失敗は出来ない。
ビデオの中の芝居に役者の声を後付けしているみたいだったけど、口パクと音声のズレがやや大きく感じた。
永山さんは、服装とキャラクターが合ってない気がした。服装は奔放なのに、落ち着いていて優しげな人だった。フィルムカメラを使っているシーンがあったけど、カメラはキャノンのTいくつかな? 露出が自動決定されるカメラみたいだけど、永山さんがそういうカメラを使うかな? 喋りながら、あちこち歩いてあんなに素早く被写体を見つけて撮るかな? 脇閉めも甘い気がして、カメラをやっている人にはちょっと見えなかったな。
直也監督、学生監督なのに役者の芝居も見ないでキャスティング、そしたらとんでもない人来ちゃいました、なんてヒドイじゃないか。しかもやる気を無くした他の役者に逆ギレ。そりゃ他の役者もヘソ曲げるでしょうに。勿論だからって役者が現場放棄なんて許されないけど。
キャバクラのバイトをしている人が美人だった。彼女は公務員として働いているという嘘をつくが、彼女の友人はキャバ嬢として働いている彼女を知っており、嘘を指摘されてしまう。で、キャバクラで働く理由を説明する際に涙を流す訳だけど、「私可哀想でしょ」の涙に見えてしまった。良いのかな。「本当に一生懸命やったけどこうなってしまった……」ならばちょっと位は同情出来るのでは。何よりも、公務員だなんて嘘をつくのは良くない。金の為なら堂々と言えば良い。役者としてのし上がってやろうとか、情熱がある人は、本当になりふり構わないと思うし。 自分が言えないような仕事なんてするべきじゃない。でも、やっぱり女優として売れても、絶対に昔を知る人間にいじられるし、やめた方が良いのかも。
ひっぱたく女は嫌いだ。やり返されても知らんぞ。ちょっと引いてしまった……
セットの張り巡らした鉄骨は良いと思ったけど、床のフローリングのようなデザインはでこぼこしていて役者が歩きにくそうだった。転んだ時を考えると危ないんじゃないかな。抉りそう。
主人公の方、福士蒼汰風でしたね。最初の目つきが 、不気味で怖かったです。
「過ぎ去って行く日々はやがて…切ない想い出に」

「過ぎ去って行く日々はやがて…切ない想い出に」

劇団ザ・スラップスティック

明石スタジオ(東京都)

2016/08/12 (金) ~ 2016/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

一つの現実をみてどう頑張っていく?
女優を夢見て、高校卒業後地方から東京に出てきた少女が10年で直面した現実、そして結末。
ベテランの方々の存在感が素晴らしい。
ダンスを織り交ぜていたが、ダンスのレベルも高く観易かった。

ネタバレBOX

女優を目指して東京の劇団に入ったは良いが、回ってくる仕事は劇団主力女優の付き人、プロンプ(台詞を忘れた役者に舞台袖から台詞を教えてあげる係)ばかり。
挙げ句の果てに精神を病んでしまい殺されてしまう。
王様のような存在が幅をきかせる世界の狭い集団に入るものではないな、と思った。
誰かの独白の最中や、みんな揃ってでのダンスがとても芝居を盛り上げていたと思う。素人ではなくダンサーのダンスだから、見応えがあった。
クソ神様と村祭り

クソ神様と村祭り

UNITレンカノ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2015/07/23 (木) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★

神とは、神から見た人間とは?
天井は低いけれど、客席を含め割りと奥行きのある劇場。
全ての排泄を司るクソ神(ニート)。
自分への捧げものをする村が高齢化&過疎化が進みニート生活に暗雲が!
ひねくれ者のクソ神の活躍と町おこしで奮闘するユニークな村民達を描く。
タイトルからして印象に残るし、クソ神というとんでもない神がどんな事をするのか、気になる舞台になっていたと思う。

ネタバレBOX

オープニングのクソ神誕生の流れから楽しく見れた。動きが日本神話の壁画みたいで面白い。
ただ、町おこしの為の会議が動きが少なく、少しだれてしまった印象がある。
そして、少しお話が長すぎる。何とか2時間以内で……
ギャグがやや専門的過ぎるのと、単語が聞き取りにくくパッと過ぎてしまうので、観客からはよく分からずスルーしてしまうシーンが目立った。
最後がダイジェストなのが自分としては残念。
クソ神がもう少しやる気を出してくれた方が楽しめた。
でも素直に面白くお芝居をしている役者さんばかりで良い印象を受けた。
スイーサイズ・ハイ ver.2016

スイーサイズ・ハイ ver.2016

UNITレンカノ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/06/16 (木) ~ 2016/06/19 (日)公演終了

満足度★★★

みんな色々あるんだよ
飛び降り自殺志願者があるビルの屋上に続々集結して色々な事を行うコメディ。

ネタバレBOX

飛び降り自殺しようとしてる男の所に更に自殺志願者が現れる、という設定はコメディとしてはよくある感じではあるけど面白い。
飛び降りの気持ちをリアルにやるとコメディ色が薄くなってくるから難しい面もあったと思う。
役者のレベルは悪くないし、演出もしっかり演出の仕事をしていると感じたのだけど、この設定を元に2時間上演するのはキツかったかな? という印象だった。
集まった自殺志願者達の「最後にやりたい事」を順々にやっていったり物語は動くけれど、シーンは屋上一ヵ所なのでちょっと退屈だった。短編にした方がコンパクトに纏まるのではないだろうか?
テーマ、物語の答えもちょっと掴みにくかった。世の中全てが上手く行きはしない。でも自殺はダメって事なのかな?
第112回公演 「WALK」

第112回公演 「WALK」

劇団区民劇場

曳舟文化センター(東京都)

2014/11/08 (土) ~ 2014/11/10 (月)公演終了

満足度★★★

人生は旅だ!
最前列。区民ホールだけあって、大きい会場であった。500名程の客席だろうか?
ポスティング会社にアルバイトで入った大学休学中の青年と、その周りの人々の一年が描かれる。
シンプルで素直な物語だったので、安心して観れたと思う。

ネタバレBOX

シンプルだった分、心に引っかかる場面が必要だったのだけど、割と流れてしまったシーンが多かったかなという印象。
でも社長のシーンは楽しく見れた。
ストレートな芝居をする人が多く、余計な詮索が必要なかった。
後はその人特有の魅力をより前面に押し出して芝居が出来れば……
暗めな性格であった主人公・元気君が周りと少しずつ人間関係を築いて、明るくなっていく様をもっと見たかった。
時間軸が飛んで、すぐに仲良くなってしまっていたので。
チケットも安くて好印象でした。
「いと、といと」

「いと、といと」

インプロカンパニーPlatform

ART THEATER かもめ座(東京都)

2015/03/04 (水) ~ 2015/03/08 (日)公演終了

満足度★★★

これも駆け引き
開演前にこの作品は即興演劇、インプロですと説明が。
全部が台本なしの芝居というわけではないだろうけども、急展開での役者陣の機転を利かせた応酬は見応えがあった。

ネタバレBOX

彼女いない歴=年齢のオタク系主人公が、「三日以内に運命の人と会う」という占い師の予言を聞き、出会った三人の女性と物語を作っていく。
展開や結末は決まっていない。
シーンごとに場所等の小さな設定を観客に決めてもらい話を進めているので、見ている側も舞台に参加している感が増し楽しめる。
途中で「どの女性と主人公が結ばれて欲しいですか?」というような質問を観客に投げかけ拍手の具合で展開を考えたり、はたまた開演前に観客に考えてもらった台詞を使ったり……
とにかく観客も巻き込んだ芝居だった。
小さなエピソードが連続していたけれど、即興故の必死さやリアルさなのか、不思議と印象に残るシーンが多い。
「即興が、多くの人が楽しめる舞台作品になりえるのか?」という疑問が自分にはあり、答えはまだ出せないけれど、こういう楽しさがある! というのが伝わる芝居だった。
OEDOの商人(あきんど)

OEDOの商人(あきんど)

UNITレンカノ

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2016/02/04 (木) ~ 2016/02/07 (日)公演終了

満足度★★★

エゲレスの脚本
シェイクスピアの「ヴェニスの商人」のパロディ作品で、架空の日本の江戸時代を舞台に物語が展開される。
舞台にセットが殆どなく殺風景なので、雰囲気が出にくかったと感じた。
場面転換が幕を滑らせながら登場人物を入れ替え、面白かった。
流石に台詞のミスが多かったかな……

ネタバレBOX

脚本の方が、「ヴェニスの商人」をとても研究されているのだろうなと感じた。
シェイクスピアの脚本にツッコミを入れ、ケリをつけてゆくのが、楽しかった。

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