みさの観てきた!クチコミ一覧

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ヒミツきち【12日・13日・14日上演します!!!】

ヒミツきち【12日・13日・14日上演します!!!】

劇団SHOW&GO FESTIVAL

OFF OFFシアター(東京都)

2011/03/09 (水) ~ 2011/03/14 (月)公演終了

満足度★★★

観客はパラパラ
そりゃあそうだよね。こんな時に観劇してる輩は独身者だけだ。家族を放って劇場に一人で観に来てる既婚者が居たら、それはやヴぁい。笑)
しかし、私達独身者にとっては劇場が最強の行き場であり娯楽だ。役者に現役の高校生が居るのも魅力!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は春休み中の学校。美術準備室が美術教師の秘密基地であり、ここで一人こそこそ作品作りに励む美術教師が主役。職場が秘密基地とはワタクシのように現実をそこそこみている大人達にとっても実に羨ましい限りなのだが、彼はルソーの名画の立体化の完成をもくろむ。

そこに訪れる生徒や教師、かつての同級生、美術教師を取り上げる制作会社ら部外者によるドタバタ劇だった。

ここで素晴らしいと感じたのは数々の画家、例えばゴッホとゴーギャンのエピソードやルソーのエピソードを語るシーンだ。ワタクシは芝居より、こっちの方が感動した。笑)
芝居はどちらかというとベタで解りやすい。コメディってほどでもないがきっちりと演じてはいるものの、脚本にパンチ力はない。だからといって面白くないのか?といったら違う。よく解らないけれどそこそこ楽しいのだ。笑)

美術教師の癒し系のキャラクターの立ち上がりは実にいい。実はこういったキャラクターは女性にモテル。結局薬局、男は顔ではないのだ。
終盤、アンリ・ルソーの「夢」を舞台一杯に立体化して舞台も名画も完成したという物語。
OVER  OVER  THE RAINBOW Vol.4

OVER OVER THE RAINBOW Vol.4

てらりすと

下北沢GARDEN(東京都)

2011/03/11 (金) ~ 2011/03/11 (金)公演終了

満足度★★★

ど根性!
地震のため下北沢の劇場は全て公演中止となったなか、観客4人を前にして演じた新良エツ子のど根性が素晴らしい公演だった。これはもう、観客より、スタッフの方が多いという、超贅沢な空間!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

妄想ミュージカルは、ゲームの中のバーチャルの世界。一人で演じるわけだから当然、映像をフルに使うのだけれど、新良自身も多岐に渡っていろんな役を演じるという舞台。

天寺スミ子19歳はアマテラスというアバターでゲームの中に入る。そこではうづめという親友と、伝説の剣士・ライトとパーティーを組んで3っつのタマタマ(ドラゴンボールのようなもの)を確保すべくフィールドのボスライオンや、案山子、PKキングらを倒していく。

しかし、それはアマテラスの妄想の世界で、6年間もの間、惚れた男・ライトを追いかけて虹の岩戸を開けるために格闘していた。という筋。

舞台は一人人形劇、一人格闘、一人ゲームの世界なのだけれど、何役も演じる精力と精神力に圧倒され満足した。

ミュージカルの前に前座としてカマ風味の挨拶と終演後、nahoと新良エツ子のライブがあり、これがひじょうに素敵だった。新良エツ子の声はどちらかというとバラードが似合う声だった。魅せた舞台。
カフェテリア叙情詩

カフェテリア叙情詩

ノアノオモチャバコ

小劇場 楽園(東京都)

2011/03/09 (水) ~ 2011/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★

地震の為、公演中断
地震の為、公演中断

舞台が始って約一時間程度、舞台上はエスカレーターに閉じ込められたシーンから急に会場全体が揺れだした。

ワタクシはエスカレーター内のパニック状態を客席にも味わせるアトラクションかと思い、ドキドキワクワクしちゃったけれど、どうやらこの揺れは違うぞ!?と思ったが矢先、舞台上で演じてた役者の動きが止まり、菅野佐知子が「皆さん、落ち着いてください。一人ずつ順番に出口にお進みください。けっして押さないで下さい。」とまるでセリフを話してるかのようなアナウンス。

素晴らしいです。観客もまた、決してパニくらず、静かに落ち着いて行動していました。拍手!
しかし、いの一番に我先に!と入り口に向かって脱出したのは入り口手前に座っていた方ではなく、見た目、暴力団風のスキンヘッドのガタイのでかい男。なんだよソレ。人間、イザというときに本性が現われます。どうやら強そうなのとはうらはらに心は小粒な大男。笑)

その後、地震が収まったのを見計らって舞台を再開したけれど、今度は二度目の余震が・・。

結局薬局、この日のマチネは取りやめとなって残念でしたが、後半の芝居がどんな描写なのかは知る由もなし。
それでも劇団側の対応といい、観客も冷静だったことが素敵な記憶として残ると思う。

SIS(エスイズ)-僕の彼女は多重人格-【全日程終了致しました。ご来場ありがとうございました!】

SIS(エスイズ)-僕の彼女は多重人格-【全日程終了致しました。ご来場ありがとうございました!】

劇団三年物語

ザ・ポケット(東京都)

2011/03/04 (金) ~ 2011/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

物語の構成が見事
多重人格障害のさまを忠実に描いていたと思う。水沢深雪が他の人格に転換する時の描写が上手い。その演出もお見事だった。後半はただただ泣けた。素晴らしい舞台だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

宮沢幸は6歳の頃、交通事故で両親を亡くし、施設へ移る。そこで水沢優一郎に引き取られ養子になり水沢深雪となるも、6歳の深雪はロリコンだった優一郎から性的虐待を受けて育つ。この頃から、深雪は色んな人格を引き起こし嫌なことを引き受けてくれるそれぞれの人格が育ってゆくことになる。

やがて深雪は妊娠中絶を繰り返し、それに加味するように多くの人格が乖離して主体であるはずの深雪そのものよりも、深雪の体を多くの時間、乗っ取ることで主体が不明瞭になっていってしまう。

深雪の過去を遡って紐解いてゆくドクターらの治療の進ませかたと梟の語りは観客にナビの役割を果たし絶妙だった。また物語をシリアスのみで進行させず、笑いを含めながら持っていくさまは流石に上手い。

深雪の人格統合を行う際のそれぞれの人格の深層心理にもメスを入れ巧みな描写だった。そして終盤は深雪を支える長谷川雄太が深雪の全てを受け入れることで丸く収めていた。
それぞれの乖離した人格を演じたキャストらの演技力も抜群で、更に別の人格を演じる際の深雪との二重構造の演出は素晴らしい。終盤は涙、涙、涙だった。

構成、舞台美術、演出など、全てにおいて秀逸だった。大満足。

ネズミ狩り

ネズミ狩り

劇団チャリT企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/03/03 (木) ~ 2011/03/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

被害者と加害者の意識
前半はコメディ調でしっかり笑わせてくれる。後半はシリアス。
非行少年が更生して社会復帰を目指すための協力雇用主をめぐってのそれぞれの意識の差に考えさせられた。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

南海亭の女将・ナツキは父が少年に殺されてから、この店を継いだ。かつて父が生きていたころにも協力雇用主として非行少年を受け入れていた経緯もそのまま、父の意思を尊重し継いでいたが、妹のフユコはそれを快く思っていない。

そんな感情が働いてか、フユコは被害者の側に付いて被害者の会ならぬ運動に加担する。それに付加するように南海亭の従業員の犯罪歴を嗅ぎまわる記者と噂好きの近所の主婦。

静かに順調に暮らしていた南海亭が記者の登場から思わぬ方向に流されていってしまう。ナツキとフユコのバトルは緊張感溢れる山場ではあるが、どちらが正しいという結論はない。

非行少年の社会復帰がいかに難しいかを、あの榊原事件に触れながら被害者と加害者の相違の道程を描写したような内容だった。

人類の第一の本道は愛に満ちた道程を生きるのに越したことはないが、けれどもなお第二の路はあるはずだ。そしてまた同時に第三の路も許されていいはずだ。過去の重荷を背負ったまま愛を得ずして寂しいながらも何か、力いっぱいの仕事をして生きていく人たちのために、その路はやはり開かれてあるべきだ。

第一の路をゆく人も第二の路をゆく人も第三の路をゆく人も、各々、その路を一心に辿ってそれによって己を生かし切り、善く美しく成長させて宇宙へ何か献げものをしたい気持ちで歩めばいいのだ。と思う。


Lust -ラスト [色欲]- 【再演】

Lust -ラスト [色欲]- 【再演】

演劇レーベルBo″-tanz

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/03/04 (金) ~ 2011/03/08 (火)公演終了

満足度★★★★

二度観。
再観となると全体の構図も把握出来て更に感動するかと思いきや、案外、余計なことを考える性質で、そういえば・・・2006年の初演のときは双子の姉妹は劇団員じゃなかったから、誰がさくらを演じたんだろうか?とか、やっぱ初演とまったく同じじゃないよな~。とか思っていた。

でもって一ノ瀬はどことなくコナンに似てるし。笑

そうしてラストの炸裂の瞬間は何度見ても、素晴らしい。
更にさくらと麻取のラストも。
照明、音響など初見よりも視覚、聴覚を刺激された。

だから、あの名作「天狼新星 restored」も是非にもう一回観たいと願う。

超!スーパーウルトラハイパーサンダーローリングなんとか【公演終了しました。ご来場ありがとうございました。】

超!スーパーウルトラハイパーサンダーローリングなんとか【公演終了しました。ご来場ありがとうございました。】

元東京バンビ

しもきた空間リバティ(東京都)

2011/03/02 (水) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

エロ可笑しい!!!
前作よりも更にパワーアップ!
タイトルの意味も後半になって解るし、なんといってもエロ雑誌の編集社内の出来事なので、エロ連発でエロ楽しい!
特に鈴木のキャラクターの立ち上がりが絶妙で、この役をやるために生まれてきたような申し子、はやし大輔の表情がキモ面白い。そして、追い討ちをかけるようなマシュマロの登場で、一気にその世界感に引きずり込まれた。笑


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

エロ雑誌を発行する弱小編集室は不況の最中なのか、社員がダメなのか、広告の仕事が取れない。そんな中なのにドーテー君の鈴木は恋愛にうつつを抜かし仕事どころの騒ぎではない。

しかし、あろうことかドーテー君の好きな彼女がAVデビューすることに。彼女を守るのは自分しか居ない。と勝手な理屈を引っさげてドーテー君は何を思ったのか、デパートの屋上で戦うようなナリの赤レンジャーとして社内に乗り込む。

しかし血迷ったドーテー君には、もはや冷静な判断が出来ず、失速してしまう。勝ち目のない相手にがむしゃらに懇願しながら彼女を守ろうとする姿に思わずホロリ・・とさせられる。いつの世も、一生懸命さには万人が弱いものだ。

とんでもなく面白かった。エロ器具も出てきちゃったりして、へえ~、あんなのもあるんだ。と妙に興味も持てた。笑
それぞれのキャラクターの絡みも絶妙に面白く、ヒーローを守り、カツを入れるキャラクターも登場し、全体の構成がお見事だった。前作よりもはるかに楽しく、かんなり笑った!エロなのにカラッとした陽気な描写であまりにも上手い!


壺会 第十回公演 女存在 (再演)

壺会 第十回公演 女存在 (再演)

演劇集団壺会

東京アポロシアター(東京都)

2011/03/04 (金) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★

女二人の不毛な会話劇
二人芝居は演じる役者の実力も問われるが、観客の頭脳も問われるやもしれぬ・・・なんつって考えた抜いたお芝居。孤独をテーマに女二人の出会いと破壊を描いた物語。理解するのがとっても難しい。観る前にネタばれを読んでチャレンジしたほうが良さそうな舞台だった。

追伸:アンケートを記入するとハンドタオルをプレゼントしてくれる。これがすっごく素敵で可愛いらしい。是非に記念に頂いて。(^0^)

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

宇宙の何処かに対局して浮遊していた孤独な女2人。2人はそれぞれ磁石のように吸い寄せられて出合った。それは奇跡だった。2人は早速、自分達が住む街を作り、家を作り暮らし始める。2人が出会う前はお互い、あまりにも孤独だった為に、2人はお互いを大切だと感じ、必要だった。

舞台上では2人だけで暮らす情景を描写する。2人は街を題材に、時として俳優になったり、何かを演じたり、何かを求めたりしながら楽しく暮らしていたが、やがて、そういった暮らしにも終わりが訪れる。始まりの後には必ず終わりがあるように・・。

ニセモノの街は彼女らがどう演じて、どう街に息遣いを吹き込もうとも、やはり作り物でしかないのだ。街は相変わらずシン・・として孤独な女2人を包み込む。

2人は悲しくないように、幸せになるように、この街を作り手に入れたはずだったのに・・。なんだかひどく寂しく、深い孤独感に飲み込まれた2人が、あまりにも滑稽だった。

そうして2人はこのニセモノの街を破壊することを決心する。街を破壊して2人は今日と明日を繋ぐ為にまた、お互いの元の場所へ戻っていく。それはきっとあてのない果てしない旅なのだ。

まるで、悲しい生物が世界という何処までも続く見果てぬ道を家族を求めて旅しているようなものだった。

先に全体の構図を把握すると2人の会話劇が生きるのだが、全体の構図を理解出来たのが、芝居が終わってからだった。
先に当日パンフでサワリを注釈してくれると観易い芝居だ。



Lust -ラスト [色欲]- 【再演】

Lust -ラスト [色欲]- 【再演】

演劇レーベルBo″-tanz

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/03/04 (金) ~ 2011/03/08 (火)公演終了

満足度★★★★


相変わらずパンチの効いたストーリーは流石!
そして説明を補足するような映像と芝居の融合も素晴らしかった。そしてキャストらが吐く長セリフも。
しかし、今回は物語を説明するセリフも多く(解りやすいのだが・・)、それが返ってキャストらの動きを鈍くさせた。
つまり、キャストらにあまり動きはない。
終盤の思いもよらぬシーンでは照明と音響、キャストらの演技力で大迫力だったものの、そこに辿り着く過程までの役者の動きにバイオレンスはない。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

都会に夢見て上京した女子3人が都会の闇に飲み込まれ揉まれて、ドラッグ「エンジェル・バイト」に手を出し少女売春組織に利用されていく過程を描写しながら、一方で、潜入捜査を行っていた麻薬取締官捜査官と関東信越厚生局捜査四課、警視庁の刑事らの動きを追った物語。

ウケタのはヤクザのような刑事の剣崎。笑
最初から最後まで刑事にはまったく思えない。そういえば高知の暴犯課にこんなデカ居たよな~・・って始終、考えてた。笑

市川姉妹を始めてキャストとして劇団が起用したのは確か、2~3年前だったと思うが、相変わらずの健在ぶりで嬉しかった。

物語の四方八方から謎を匂わせる構成は流石に上手い。そして終盤に向かいながら物語は一つにまとまり、やがて裏にひぞむ黒幕を暴こうとした矢先、潜入捜査していたアキラは罠にはまって爆破されてしまう。この場面が一番のクライマックスなのだが、ここまで辿り着く過程に暴力シーンや色欲を滲ませる展開があまりない。惜しい。

映像はもっと過激でもよかった気がする。そして「色欲」と掲げるなら、もっと突き抜けた色があっても良かった。

主宰のはなだが前説で「色欲」を「肉欲」と言い間違えたのが一番ウケタ。AVの観すぎじゃん!苦笑!
サザンカの見える窓のある部屋

サザンカの見える窓のある部屋

カムヰヤッセン

小劇場 楽園(東京都)

2011/03/03 (木) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★

記憶
人間の記憶は案外、曖昧だったりする。苦しいことや悲しいことは記憶から消去しようと努力するのが脳の働きだから人間は絶望的な出来事を経験しても、どうにかして生きていけるのかもしれない。

今回の物語はある家族の情景を「記憶」というキーワードをもとに描いた近未来的な作品だった。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

人間の脳にチップを埋め込み都合の悪い記憶を改ざんする事も、新しく加えることも出来る研究者・宮下は自分と自分の子供達にチップを埋めて人体実験を続ける傍ら、ある日、同じチップの研究をしているという夫婦が訪れる。

彼らは実は宮下の長男だったが宮下には肝心の記憶がない。それは遠い昔、長男が勘当同然で家出をしたその日に、宮下の次男がデータを改ざんし記憶を消してしまったからだった。

改ざんした記憶から本来の脳の記憶を引き出して消してしまった記憶をどのように再生するかを扱ったテーマだが、物語が進むうちに次男が父親に対する深層心理やら、長男の過去の出来事、宮下の過去の出来事が徐々に暴かれていく。

どちらかというと中盤から後半にかけての記憶の操作ごっこのような描写が絶妙で観ていてワクワクした。終盤、どうしたって長男を思い出せない父親が長男の癖でイラつき注意する場面で、記憶を蘇らせる展開は見事だった。ここで一気に今までの本当の過去が走馬灯のように駆け巡る。それは上から下がっていた記憶の小道具が落ちた瞬間と同時だ。

記憶チップの意味と同時に家族という血の繋がりも表現した舞台で終盤、ホロリ・・とする。温かみのある人間くさい物語だ。良いと思う。

もしも、記憶がなくなったとしたら、それは空洞の世界だ。そんな事を考えるとアナ恐ろしい世界だが、近未来はそうなるのだろうか?素敵な記憶しか知らない楽しい世界が・・。
金と銀の鬼2011

金と銀の鬼2011

X-QUEST

THEATRE1010 ミニシアター 日時:2011年3月2日(水)~6日(日)(東京都)

2011/03/02 (水) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

満足度★★★★

泣いた赤鬼みたいな
10階のミニシアターだからお間違えのないように。
スタッフワークが悪い。舞台は前回と同じ囲み舞台なので客席は4方に設置。何処からでも同じように見られる。だから番号順に入れなくてもそんなに大差はないのに一番のかた~、二番の方~・・と観客を立たせたまま、一桁ずつ呼んで入場制限していた。呼ぶなら十桁ずつ呼べよ。むしろ、とっとと入れて落ち着かせた方がいいのに。でもって観客とは不思議なもので順番に呼ばれて入っても前列と後列が均等に空いてる。笑)...一番見やすい場所は中盤で解るが入り口に近いコーナー。

さて、肝心の舞台だが今回は芸術面で優れていた。衣装、音響、効果音、照明、全てにおいて秀逸。特に終盤での鬼が戦う場面は絵にも描けない美しさだ。。

ネタバレBOX

昔々、山奥にまだ「鬼」が住んでいた時代…
鬼アイランドに金(コンジキ)と銀(シロガネ)という二人の鬼がおりました。一人は白子で生まれた人間。「白子の鬼子」と苛められ蔵に閉じ込められたところを鬼に救われ、ここで育てられた。

金は「人間を一人残らず殺したい」と願い、銀は「人間と共存して生きたい」と願うようになる。

一方で鬼アイランドへ鬼退治に行こうとするもも太郎のもとへオカマの犬、オカマのサル、ド派手で弱いキジ、金銀の蟹がお供いたします、とやってくる。もうこの場面は文章に書くのもおこがましいほどのアニメな世界感!笑

もも太郎と猿蟹合戦が混じったような童話の展開だー。しかも、しかもだよ、格闘技大会には必ず何処からともなく、やってくるようなチャイニーズガールもファイターし、その名も紅龍、青龍ってww。ドラゴンボールかよっ。笑)..でもって紅龍がこれまた度肝を抜かれるような深いスリットのチャイナ服に網タイツという、割り箸で1000円札挟んで胸に押し込めたいくらいのナリ。そんな妖気漂うファイター紅龍が、これまた、めっさ強い!

一方で蔵の中で「妖刀鬼切り」を守る妖怪ばりの自称美しい人形。笑)

これらのイッチャッテルキャラクター達と人間と鬼らがファイターするリング上は、「二丁目の新しいユニット」と
「3年奇面組」を交錯させたような世界感で、鬼と人と獣とアヤカシの妖しすぎる異端の世界感だった。終盤、金銀の鬼の正体が明かされるが、どんでん返しな展開が絶妙だった。
序盤に撒いた伏線の回収もきっちり。

復讐に燃える鬼と化す人間の心と本当の鬼の物語。
素晴らしい!

☆はスタッフワークを含めた採点です。要は丸ごと舞台。
旅荘 雁穂の庭

旅荘 雁穂の庭

セメント金魚

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/03/01 (火) ~ 2011/03/06 (日)公演終了

満足度★★

う~~ん?!
なんだかんだいって笑いを取るネタが古臭い。物語の内容もありきたりで古い。旅館も老舗ならストーリーも老舗という古と老が同居したような舞台だった。珍しく眠くなった。観劇中に寝たことないのに・・。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

閑古鳥が鳴きそうな老舗旅館の客室に「座敷童子」が出没したとの噂が流れる。これを集客に利用しようと思いつき、一時期、宿泊予約は増えるも、結局薬局、童子はやらせだったことが解り、こういった妖怪騒ぎで客足を増やすのではなく、誠心誠意の心からのおもてなしで集客しようと気付く人情劇。

コメディと劇団が打ってるのでコメディなのかもしれないが、わりと笑うワタクシが一つも笑えなかったという、笑えない静まり返ったコメディ。

まあ、わざわざ観に行くほどの舞台ではないと思う。
座敷童子が登場して、なにかをやらかすほうが面白かったような気がする。メイド服の座敷童子とのセリフがあったのでワクワクしたのだが、ソコを広げることをせず。
エビス:プレステ

エビス:プレステ

ENBUゼミナール

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/02/26 (土) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★

今回も上から聞こえる謎の声
これだけ観劇してるってのに、今までENBUゼミを知らなかったというド素人バリのワタクシ。どうやら多くの演劇人の通過点らしく、著名な劇団や作家、演出家らがかつてゼミに通っていた。という話を隣席の女性から仕入れました。笑
そしてこれまた多くの卒業生やら研修生が観劇に来ているらしく、会場は超満員!素晴らしいです。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は着替えのシーンから。今回も謎の声が上から指令や解説を出しますが、意外にこれがめっさおもろい。
2006年、カルロス君が突然居なくなってしまった弟のナイス君を探す旅。カルロス君の現在の物語とナイス君が修行している空間での物語を交錯させながら舞台を進ませる。

弟・ナイス君は神隠しのように居なくなって(たぶん死んだ)からカルロス君は、終わりは始まりの一歩(再生)なのではないか?などと哲学的な事を考えながらも彼女との間に子供を宿し、その子供はナイス君の生まれ変わりなのだと納得する。カルロス君の日常動作に効果音が加味され実に楽しい。

一方でまだ元始で原子(再生前)のナイス君は一人前になるためにヨンタク君と一緒に先生から言葉や愛についてなど多くの事を学ぶが、この光景がひじょうに面白かった。先生は「愛ち愛たれて生きていく事をおちえなくてはなりまてん。」などと始終、赤ちゃん言葉でおちえ諭すので、観ているこっちもその言葉遣いに慣れてちまって「てんてい、その言葉遣いはおかちいです!」なんて言っちまいそうで慌てた。

ナイス君はあこがれの地(外の世界)にいく為に一生懸命頑張って反面教師の先生に教わりながら人として一人前に育っていくが、反対に先生は彼らが一人前になると教師から外れ、途端に生徒らに対して平身低頭に腰を折り曲げ、更に縮こまっていく姿勢は社会を風刺しているようで面白かった。

振り返ってみると教師と生徒の会話劇が一番インパクトがあって絶妙だった。その後、後半はテンポも遅くなりだらけた感があったので公演時間を短くしてまとめた方が良かったように感じた。つまり、ニコラスとケイジの部分は要らなかった。

劇中のビートルズの音楽導入、ジョンレノンになりたいという行はインパクトがあってひじょうに素敵だ。
照明・関塚千鶴(ライオン・パーマ)もいい仕事をしていた。
フランケンシュタインの婚活

フランケンシュタインの婚活

劇団阿佐ヶ谷南南京小僧

ザムザ阿佐谷(東京都)

2011/02/26 (土) ~ 2011/03/01 (火)公演終了

満足度★★

学芸会レベル
役者がどーのこーのではない。本がイマイチ。全体的な舞台の印象はパロディ。

ネタバレBOX

万年引きこもりで歪んだ性格の科学者・フランケン博士は、「このままではダメだ!」と突然婚活に目覚め、ついでに、このままでは将来は老人の孤独死あるのみ。と考えたか考えなかったのか知る由もないが、自らの結婚相手を自分で探せばいいものの、人造人間を作って彼に探させる。

舞台はアニメ感満載だが、この表現の仕方が痛い。人造ナンパ師を生み出したものの、彼は結局薬局、自分の恋に目覚めてしまう。欠陥人造人間だ。一方で理想の妻を捜すべく理想妻人工人間も試みるが、コイツも理想とは違う。元々、理想の妻を見つけるのは桃源郷を見つけるくらい大変なことだ。いや、むしろ理想とは幻想なのだ。

博士は理想人造妻を失敗作だと殺し、今度は自分を崇拝している助士を殺して心臓を埋め込み、今度こそ理想の人工妻になるはずだったが、そうは問屋が卸さない物語。

舞台全体に締りがなくはちゃめちゃ。もうちょっと筋立てたほうが見やすく解りやすかったかもしれない。下ネタもあまり笑えたものじゃあなかったし、笑いも少なかった。観客から料金を取れるような舞台ではない。もうちょっと修行して次回は返り咲いて欲しい。
もどっど!薩摩義士伝

もどっど!薩摩義士伝

SPPTテエイパーズハウス

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2011/02/24 (木) ~ 2011/02/28 (月)公演終了

満足度★★★★★

号泣!
舞台セット、衣装、音響、演技力、どれをとってもまったく欠点のない素晴らしい舞台だった。「もどっど!」の意味が終盤に明かされ、この辺りから涙は止まらず、極めつけはキャストらが幕後の挨拶の場面でLindaが亡き小畑英昭の写真を胸に抱きしめて登場した時だ。過去の彼の演技のシーンが蘇り、ただただひたすら泣いた。個人的に彼を知っていた訳ではないが、観客とはそういうものだ。更に死という文字に結びつかない彼のキャラクターが、思いもよらない突然の死にショックを受けたのだ。こうして今も書いている段階でもなんだかウルウルと涙ぐんでしまう。彼はそういう役者だった。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

江戸時代、薩摩藩が強制的に幕府から命じられて木曾三川の大型治水工事を行い、更に無謀な費用負担をも課せられた挙句、薩摩の誇り高い武士が労働者として過酷に扱われた経緯を描く。

薩摩の筆頭家老平田靱負を奉行とし薩摩藩士たちは生死を賭けた事業に立ち向かうも、武士としての正当な扱いを受けず労働力としか見ていない江戸方役人の久世に反抗し、藩士達の間でもいざこざが起きる。これを平田が制するも久世のあくどいやり方に多くの藩士達は犠牲を伴う。

一方で平田の留守を守る家族の描写を絡め、武士の妻としての立場もきっちりと表現し、静かに夫を待つ妻の意思の強さの演技も見事だった。
舞台はシリアスな場面の中にも所々、笑えるシーンがここぞというタイミングで入り込む。その展開も絶妙だ。

平田の莫大な借金の懇願を受ける境の女豪商とのやりとりは女豪商が平田を値踏みしながら心を読み取る情景も絶妙だったし、徳川の「寅の牙を抜く・・」の一説も説得力があった。

めでたく工事は完了するも、筆頭家老平田靱負は多くの犠牲者をだしてしまったことを悔い、責任を取って切腹自害してしまう。江戸方役人の久世から「ご苦労だった。国元へ帰られよ。」という達しが出た直後のことだ。

まだ平田が死んだことを知らない生き残った薩摩藩士たちは「もどっど!(戻るぞ)薩摩へ」とそれぞれ嬉しそうに口々に言うのだった。

序盤、平田と妻が差し向かいで碁を打つシーンがあるが、終盤で平田が死んだと察した妻は平田の形見と差し向かい碁盤を置くシーンがある。この場面は本当に切ない。いつの世も人の命の期限は突然やってくるのだ。

ここで一気に涙が溢れ舞台の洪水と同様、ワタクシの目はダムが決壊したような有様だった。

素晴らしい。本当に素晴らしい舞台だった。
The Dead Father

The Dead Father

劇団山の手事情社

アトリエ春風舎(東京都)

2011/02/25 (金) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

単純にオモチロイ!
バトルフィールドというオンラインゲームが舞台。主宰のトークでは台本を使わずに芝居を作るといった考え方で、理由は、身近にあることに対して敏感に感じるようにならないといくら台本を読んでも鈍感な役者は演じることが難しいということだった。勿論、舞台で演じられる数々の寸劇は研修生自ら考えたものが多いとのこと。客席は超満員。その客数に応えるように、舞台は不条理、コメディ、ホラーな要素も含め素晴らしく楽しい舞台だった。はっきりいって去年よりグッド!

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語はチャットから始る。ログインしたメンバーはこの時点からバトルフィールドの世界にどっぷり。ブラコンの妹の思いや、マジカルタオルネタや台湾バナナの独り言など、寸劇が続く。「寸劇というとまあ、面白いけれど内容があまりないなぁ。」みたいな劇が多いなか、彼らはきっちりと演じる。しかも超オモチロイ。

寸劇のコマは繋がっていない。だからオムニバスではないが、20コマ以上もある寸劇はちょっとした4コマ漫画に色を付けた世界だ。負のパワーも正のパワーもひっくるめて落とされた爆弾のような凄まじさがある。まるで観客に殴り込みをかけたような舞台だ。

寸劇を見てこれだけ満たされた舞台を観たのは始めてのことだと思う。社会の下層にいるしょうもない人間が這い上がろうと足掻いた挙句、破滅したり、惨めに死んだり、それでも生きていこうと決心するというのが名作で、やがて古典になるなら、この演劇は小古典に充分値する。
祖国へ

祖国へ

昭和芸能舎

SPACE107(東京都)

2011/02/22 (火) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

フライヤーの説明から察するに
消防団のお話かな?と思いきや大工一家で繰り広げられる人情劇だった。エンタメ溢れる舞台で物語の中にパロディあり、笑いあり、涙ありでワタクシは好みだった。元々、この劇団はコメディを軸にホロっとさせるストーリーが得意中の得意だから、その描写が観客に合えば楽しい舞台なのだ。照明、選曲共々素晴らしい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は東京下町の消防団が赤ふんどし一丁で、「辛抱、我慢、辛抱、我慢・・」と合唱しながらぐるぐる円を描いて回り、中央に置かれたビールケースを運の悪い輩が持ち上げるというパロディから始る。椅とりゲームみたいなものだ。この時に使われる導入音楽が観客の気持ちをハイにさせ、観客を暖める手法は漫才の前座のようだ。笑

その下町の大工一家では職人の高ちゃんが結婚をすることになった。高ちゃんは朝鮮人で苛めや差別にあいながらも、ここの棟梁に拾われて大工として立派に一人前になったという筋書きだ。しかし結婚相手の凪子には人に言えない秘密があった。それは元風俗嬢という過去だったが高ちゃんは凪子がトルコ嬢だったことを知った上で彼女と結婚するという。凪子の過去を告白するシーンでは感極まって涙ぐむ。かけがえのない家族の為に自分の身を犠牲にした凪子だった。

一方で大工一家の長女・松子の成長の秘密と結婚、次郎の恋の相手が朝鮮人だったことなどを絡め人種差別と人情を描いた昭和の物語だった。昔気質で面倒見の良い棟梁がちゃぶ台をひっくり返すシーンは「勘太郎一家」そのもので情景もまんま。笑
劇中繰り広げられるコネタも好みだった。

劇中、披露させる民族の踊りや歌、そして鹿島由香が魅せるバトンが美しい。終盤も消防団員達がパロデる、「辛抱、我慢、辛抱、我慢・・」と合唱しながらぐるぐる回ってハシゴ技を披露する場面は序盤に撒いた伏線の回収もきっちり。

満足した人情コメディ!
カタクリの花の咲く頃

カタクリの花の咲く頃

劇団銅鑼

俳優座劇場(東京都)

2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★

みちのく群像劇
岩手県の片田舎・西和田町に息づく人間模様を描いた作品。セットといい、衣装といい、田舎のよき風景を思わせる。更にキャストらもそのまま田舎から連れてきたような人たちでリアル感があった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

年寄りの多い田舎町では都会に焦がれて町を出て行く若者が多い一方でこの地を離れたくない孤独な老人も多い。人情が厚く人の良い川村家を主軸にそれぞれの悩みを打ち明け、迷いながらも力強く生きていく人たちの物語。

役場に勤める永井と今は中央に勤めるかつての仲間の主張の違いや税金の補填の構造を抉り出してぶつかるさまの場面が個人的には一番面白かった。

町の宣伝の為に、保健婦が過去にしてきた赤ちゃん雪中救出物語を芝居にしようと考案した永井のお役所目線も見どころ。

年寄りを田舎から東京に連れてくると呆けるといわれているけれど、解るような気がする。老いて尚且つ田舎に拘る情景も考えさせられた。芝居は解りやすくベタ。このベタさが田舎の情景をまんま映していた。

ドロシーの帰還

ドロシーの帰還

空想組曲

赤坂RED/THEATER(東京都)

2011/02/23 (水) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

いい話だなぁ。
「オズの魔法使い」の作家、高峰ドロシーを主軸に彼女に影響を受けて作家や漫画家になろうとしている人たちの現在を描いた作品。セットが斬新で美しい。まさに童話の世界そのもの。物語は解りやすく終盤にはホロリさせる展開があり、ワタクシの観た回はすすり泣きをしている観客がいらした。ワタクシもホロリ・・。

ネタバレBOX

もっと勇気が欲しいと願うライオン。脳が欲しいという案山子。心が欲しいというブリキ。不条理感を漂わせながら読者を釘付けにする名作「オズの魔法使い」の物語から入る舞台は彼らが「足りないもの」を要求する代わりに、オズは彼らに覚悟や自覚を問う。悪魔や死神がよく使う「お前の望みをかなえてやろう。その代わりお前の魂を頂くよ。」みたいな交換条件だ。

そしてこれを書いている作家・高峰ドロシーは延々と物語を書き続けているが彼女の小説を読んで、模倣犯が現われ現実の世界で多くの人が殺されたり、自殺者が出てマスコミに叩かれる。一方で高峰の本に刺激されて作家になりたいという輩も出てくる。

いつの世も人間が受ける影響は受ける側によって悪にも善にもなるのだ。事件があった以降の高峰の苦悩と高峰の父、高峰に原稿を書かせるためにあらゆる手段を厭わない出版者担当、高峰を崇拝し作家を志す4人を絡ませながら、終盤は希望に導いていく舞台だった。

素敵な物語だ。高峰と父の和解はやはり泣き所だ。オズと父親役のキャスト・中田顕史郎の豹変ぶりが観もの。役者とはつくづく素晴らしい職業だと感心する。そして童話の中のキャラクターとして登場するドロシー(小野川晶)があまりにも可愛いらしい。絵本の中から飛び出してきたようなキャラだ。

独特の「オズの魔法使い」と現実の世界を交錯させ一つの物語として立ち上げた構成も素晴らしい。
黒とシロ ありがとうございました!無事千秋楽までたどり着くことが出来ました。

黒とシロ ありがとうございました!無事千秋楽までたどり着くことが出来ました。

獏天

Geki地下Liberty(東京都)

2011/02/19 (土) ~ 2011/02/27 (日)公演終了

満足度★★★★★

被害の連鎖と今の幸せを噛みしめる
今回もパンフレットには1995年3月20日の地下鉄サリン事件の詳細が載っており、忘れられた過去を甦らせてくれる。またキャスト名と役柄名と画像が載っており、解りやすく完璧!
キャストの演技力は毎回のごとく見もの。音響もいい。

物語は死者、重軽傷者のうち、被害にあった高校生の少女・美和にスポットを当て、彼女の家族、教師、友人らに与えた影響と間接被害者らの感情をえぐり出し描写した作品だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

中でもこんなに凶悪な大事件があったにも関わらず、ただの傍観者になりつつある国家を相手取って揺さぶりをかける教師・新井は犯罪を犯してまでも美和を助けようとする。

そこまでしないと動かない国家や、当時、苦しみ悶える被害者に手を差し伸べなかった現場に居た人たちへの恨みを新井は間接加害者だと思い込んでしまう。それは新井自身が育った環境によって屈折しひねくれて、やさぐれて歪んで自分自身を出来損ないだと考えてしまう一方でちらちらと寂しさや人恋しさを滲ませて・・。そういった精神を見事に描き、更に美和への恋慕で一気に違った破壊力で突き進んでしまう暴走は観ていて正当なようにも思えてしまうのだ。

劇中、刑事らが戦うアクションは素晴らしくお見事で、特に那須野恵のアクションは毎度のことながら、流石だった。早めに観に行って良かった。終盤、きっと声が枯れるんじゃないかと心配するくらい罵声を発していた。苦笑!

そして、新井の脅しが功を奏して国家は美和を全力で疾病治療し結果、美和は少し回復しそれが今回の物語の希望への転機にもなる。

今回の物語で感じたことは「傍観者」の意味や自暴自棄になる新井、好きな男を偽善者としか見られない文香、誰かを殺したら、その傍にいる別の誰かのことも必ず殺すことになる不幸の連鎖だ。

それらはある意味、暴力に等しいのだが、それでもどんなに苦しくても諦めたらだめ。諦めた時こそ本当の絶望が彼らに襲い掛かるのだと感じられた舞台だった。

ワタクシの周りは日々、何も変わらない。変わらないということは単純なようでいて、もっとも深い愛の形なのかもしれない。ワタクシはいつまでもそんな愛に包まれていたい。

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