もどっど!薩摩義士伝 公演情報 SPPTテエイパーズハウス「もどっど!薩摩義士伝」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    号泣!
    舞台セット、衣装、音響、演技力、どれをとってもまったく欠点のない素晴らしい舞台だった。「もどっど!」の意味が終盤に明かされ、この辺りから涙は止まらず、極めつけはキャストらが幕後の挨拶の場面でLindaが亡き小畑英昭の写真を胸に抱きしめて登場した時だ。過去の彼の演技のシーンが蘇り、ただただひたすら泣いた。個人的に彼を知っていた訳ではないが、観客とはそういうものだ。更に死という文字に結びつかない彼のキャラクターが、思いもよらない突然の死にショックを受けたのだ。こうして今も書いている段階でもなんだかウルウルと涙ぐんでしまう。彼はそういう役者だった。

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    江戸時代、薩摩藩が強制的に幕府から命じられて木曾三川の大型治水工事を行い、更に無謀な費用負担をも課せられた挙句、薩摩の誇り高い武士が労働者として過酷に扱われた経緯を描く。

    薩摩の筆頭家老平田靱負を奉行とし薩摩藩士たちは生死を賭けた事業に立ち向かうも、武士としての正当な扱いを受けず労働力としか見ていない江戸方役人の久世に反抗し、藩士達の間でもいざこざが起きる。これを平田が制するも久世のあくどいやり方に多くの藩士達は犠牲を伴う。

    一方で平田の留守を守る家族の描写を絡め、武士の妻としての立場もきっちりと表現し、静かに夫を待つ妻の意思の強さの演技も見事だった。
    舞台はシリアスな場面の中にも所々、笑えるシーンがここぞというタイミングで入り込む。その展開も絶妙だ。

    平田の莫大な借金の懇願を受ける境の女豪商とのやりとりは女豪商が平田を値踏みしながら心を読み取る情景も絶妙だったし、徳川の「寅の牙を抜く・・」の一説も説得力があった。

    めでたく工事は完了するも、筆頭家老平田靱負は多くの犠牲者をだしてしまったことを悔い、責任を取って切腹自害してしまう。江戸方役人の久世から「ご苦労だった。国元へ帰られよ。」という達しが出た直後のことだ。

    まだ平田が死んだことを知らない生き残った薩摩藩士たちは「もどっど!(戻るぞ)薩摩へ」とそれぞれ嬉しそうに口々に言うのだった。

    序盤、平田と妻が差し向かいで碁を打つシーンがあるが、終盤で平田が死んだと察した妻は平田の形見と差し向かい碁盤を置くシーンがある。この場面は本当に切ない。いつの世も人の命の期限は突然やってくるのだ。

    ここで一気に涙が溢れ舞台の洪水と同様、ワタクシの目はダムが決壊したような有様だった。

    素晴らしい。本当に素晴らしい舞台だった。

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    2011/02/27 12:27

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