なしかの観てきた!クチコミ一覧

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東京裁判 pit北/区域閉館公演

東京裁判 pit北/区域閉館公演

パラドックス定数

pit北/区域(東京都)

2015/12/22 (火) ~ 2015/12/31 (木)公演終了

満足度★★★★

普通席より観劇
3年前は傍聴席、今回は普通席から観劇。
夏場に野木さんが脚本を書いた青年座の「外交官」を見ていたせいか、その世界も思い出した。5人の役者によるシリアスで直球の討論が繰り広げる中、時に笑って考えてつい泣けてしまう。
口コミ効果なのか、はたまた劇場が閉館になるためからか、場内は満員。
役柄の年代が役者の年齢的に近づいてきたキャスト、部屋を照らす灯り、効果音もないのに、いつにも増して迫力と熱気を感じました。

白鯨-Moby-Dick-

白鯨-Moby-Dick-

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/22 (火)公演終了

満足度★★★★★

文学座名作劇場みたいな
セットらしいセットはほとんどなく、全ての視覚は船上の役者に注がれる。そこには気温を感じる灯りや靄がかかったり、宿になったり酒場になったり。フレキシブルな白い幕引き使いや生声や小道具を楽々と扱いながら奏でる音楽。
海上で他の船と遭遇して白鯨にまつわる情報を得た後の船長の自尊心に巻き込まれた先の結末まで、最後まで飽きさせない展開に童心に戻って楽しめる演劇でした。
正面座席からの観劇だったので、強大なアレの迫力も体感でき、とても面白かったです。

「ツイン・ベット」「四畳半襖の下張り」

「ツイン・ベット」「四畳半襖の下張り」

椿組

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2015/12/18 (金) ~ 2015/12/23 (水)公演終了

満足度★★★

2本立て
上演順
外波山文明ひとり芝居「四畳半襖の下張り」約55分
道産子男闘呼倶楽部「ツイン・ベッド」約75分

SPACE梟門のこけら落とし公演。
夏場にプレオープンで「夢を見る」という占部房子さんの一人舞台を同劇場で見ていたので、視覚位置などは分かってはいたつもりだったが、舞台後方上手側に座ったため、舞台上の梁で奥が見切れ、芝居が見えない箇所もあったが話の腰を折るほどの場面でもなかったので、まぁそんなに気にすることもないか。100席近く、場内満席で見ていて身動き取れず、空調の加減がうまく取れず、酸欠になりそうな観劇体制にやや疲弊した。

ネタバレBOX

「四畳半襖の下張り」
老成した男が新橋の芸者とのかつての秘め事を滑稽かつ感情豊かに語る。喋り方は落語で聞いていたような粋な江戸弁喋り。ただ、男性客に囲まれた状況でのエロ艶満載の話にどう聞いていいかわからず。楽しめるほど、女としての熟成度がなってないんだな。まだまだ未熟っすわ。

「ツイン・ベッド ~カルカッタの眠れない夜~」
インドのカルカッタに怪しい薬というか媚薬?を買い付けに来た会社員風チンピラの2人、手続き違いでホテルの一室に2人揃って宿泊することに。海外で翻弄される兄貴分の男と飄々としてるけど実際は仕事できそうな、多分年上と思われる弟分の男、どんなにあがいても今いる場所は熱帯夜が続く海外、その顛末と2人の掛け合いの絶妙さと話の面白さを堪能しました。
ライン(国境)の向こう【ご来場ありがとうございました!次回は秋!!】

ライン(国境)の向こう【ご来場ありがとうございました!次回は秋!!】

劇団チョコレートケーキ

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2015/12/17 (木) ~ 2015/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

これまでとは活気が違う舞台
これまでの観劇後は深い重りのような感慨が湧いていたが、今回はそれが薄く、女性キャストや含めると10人近くのキャストが登場する。
階段状のセット、衣装は農作業着、モンペ姿。舞台の世界観が1945年からのもしも日本がこうなったら、なフィクション。緊迫した場面で笑える要素があるとは想像してなかったので、ここら辺は合作ゆえの見せ方だな、と感じた。

舞台上は簡略化されたセットで小道具類も設置していない、役者の動きもステージ上で座ってセリフを喋る場面も多々あり、そうなると客席側のE(F)列まで段差ないため、正面席は前列客の頭で遮られながら見なければならないのも辛かった。

役者さんはそれぞれ役柄に合ってて良かったし、話の展開も合作なのでいろんな意見あってこうきたか、とも考えるし、公演終盤の観劇や劇場の違いで見たりすると、また異なった感想になると思う。が、メデタシメデタシなエンタメも良いけど、個人的には劇チョコにそれはあんまり求めてないんだな、って思うのはわがままかな。今回の趣向がいい変化にいけばいいけど。
約130分。

ネタバレBOX

若手の役者さんも出ているんで、ライン(国境)を挟み戦争を自覚しながらロミジュリみたいな展開かと思いきや、親類家族の絆を確認するなんというかスッキリする展開でした。
違和感というか意表をつく結末だったので、やや戸惑いました。
今回、パンフレットを作ったのは若手俳優さんが出演していたからかなー。
熱海殺人事件

熱海殺人事件

ホリプロ

紀伊國屋ホール(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/26 (土)公演終了

満足度★★★★

古典演劇
当時のリアルタイムで観ていた観客がいると、それなりに劇場の熱気が違いました。いのうえさんらしいタイトルロールの出し方についニヤニヤ。
最初、風間さんの喉は大丈夫かなぁと心配したけど、長年の染み付いた為せる技なのか次第に面白くなっていく風間氏と平田氏の掛け合い、本家の「チャイコフスキーはお好きですか!?」のセリフを聞けてラッキーでした。

ド派手な効果音で耳が痛くなる座席付近で観劇、話の展開は突っ込みどころも多いけど、ここまで来たら今後は昭和の近代古典演劇を目指してほしいし、次回もあるとしたら、またいのうえさんが演出してくんないかな。
若手俳優さんを活用した演出より、いのうえさん演出のつか作品おもしろかったです。

悲しみを聴く石

悲しみを聴く石

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2015/12/11 (金) ~ 2015/12/21 (月)公演終了

満足度★★★★

蚊帳のような仕切り布の装置が面白い
世界の遠く離れた場所では、こんなことが日常的なんだろうなと、暗澹たる気分。
生と死と性と怒りと懺悔の願いを聞かなきゃいけない中東の神様も忙しいんだろうな。

那須さんの膨大な独白を集中して聞いてたら、極限状態の世界に入り込みすぎて、少し肩が凝った。

ネタバレBOX

薄ら明かりに照らされた中に部屋の内部が透けて見えるが、その見せ方が中東の隠れ家というか、そこを覗き見しているような印象的な作り。
冒頭、女がコーランの一文を唱え、神に祈る。紛争で怪我して意識の戻らない夫、子供たちや親類は避難し銃声やら砲弾の音が日常的な極限状態の戦火の中、2人で暮らしている。
親の勝手に決めた結婚相手は反政府勢力の人間、あちら風に例えるなら聖戦=ジハード参加で夫不在のまま式を挙げ、そのまま数年会わず、夫が帰ってきても子供が出来なければ(産まなければ)実家に帰される、帰ったとしても実家に居場所はない、そんな世界の中で生きている主人公の女。
意識のない夫にいろんなことを吐き出したり、言ったそばから後悔したり、途中兵士がやってきて身の危険と癒しもあったりと綱渡りな日々。
タイトルの「悲しみを聴く石」=サンゲ・サブールは伝説によると最後に砕け散るらしい。女の独白を聞いていた夫がサンゲ・サブールになって砕け散る結末はなんとも切ない。
ツインズ

ツインズ

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2015/12/06 (日) ~ 2015/12/30 (水)公演終了

満足度★★★

作風の灰汁の強さ
安部公房と北村想が合体した映画「バクダッドカフェ」+「渚にて」、てな印象。個性的なキャストに期待はあったけど、全体的にモノトーンな雰囲気で、見ているだけで感情が薄暗いままうつむき加減で見てしまいそうだった。調理場面も多い為、少しお腹を充しておかないと舞台上からの匂いにやられるw。
各自、個性的な人物設定の印象が残り、サイドストーリーで見たら、もっと話が理解できたんじゃないか、人物の枝葉の部分がダイジェスト的展開、と思った。
今回のお話(暴力とか性描写セリフなど)、渡英前の阿佐スパの作品をいくつか思い出したが、何と無くその時の作風に戻りかけてるのかな。
約2時間。

ネタバレBOX

海辺で暮らす家族。一族の父親は瀕死状態。そこに一家の次男と娘が帰ってきたところで話が始まるが、その男、バットを片手に、男女に殴りかかる加減を知らない男。それをなだめようとする兄。生傷絶えない人たち。料理番の男は、出どころが定かでない食材を使い、皆に食べさせるがかなり美味いらしい。
看護師が産んだ男女の双子=ツインズがいて、ある日、その双子が海に流されて行方不明になってしまい。ぞんざいな扱いの双子は、後々解釈出来そうだが、なんか勿体つけたまま時間経過した感じで終盤にかけ尻窄みになってしまった大作コミックを読んだみたいな。パンフレットを読んだら補足されているのかななどと、一回限りで見ただけで理解するのに少し難儀な舞台でした。
『痕跡≪あとあと≫』◆◇終演。ご来場ありがとうございました!!!◇◆

『痕跡≪あとあと≫』◆◇終演。ご来場ありがとうございました!!!◇◆

KAKUTA

シアタートラム(東京都)

2015/12/05 (土) ~ 2015/12/14 (月)公演終了

満足度★★★★★

良作
劇団結成して20周年だとか。
円形劇場での初演も見て、見せ方も面白かったし役者さんも素晴らしかったし、話もわかっているし。リピートして見ても感慨も薄いだろうな、と思いつつ劇場の使い方がどう変化しているのか見たくて見に行った。
わかっているのに、世代の違う母の行動とそれぞれの意思の強さに今回もまんまとボロ泣き。

円形のステージを彷彿とさせる見せ方も面白かったです。

バグダッド動物園のベンガルタイガー

バグダッド動物園のベンガルタイガー

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/27 (日)公演終了

満足度★★★

上演して間もないせいか演者に硬さのようなものを感じた
とある場面がヤンキー兵による♪over 30 do the soulの歌詞を彷彿とさせたり、貴方が探しているのは金の便座?などとふざけたこと思い浮かんだ平和脳。でも、ここら辺もっと笑わす要素もある気がしたが、時代的に10年ほど前の紛争や宗教観を混ぜ合わせ、見聞でしか知り得ない言葉の重みに、乾いた空気感が全体を覆っていたような舞台だった。
中津留さんの硬派な作りはわかった、亡霊に取り憑かれちゃった事も理解できるが、前もって解説など読んでた方がもっと楽しめたかも。
国立系の劇場じゃないと上演出来辛い作品なのかもなぁとも。

シザーハンス、ではないが安井さんの苦悩ぷりやアメリカ兵の谷田さんが良い。

水仙の花 narcissus

水仙の花 narcissus

城山羊の会

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2015/12/04 (金) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

独特
「アレ」が「あれ」で「ねぇ」と、例によって不毛で歪んでいく男女の異様で親娘の仲。
山内氏の新作映画「友だちのパパが好き」と共通項があるのかな。
舞台から発する匂いを嗅いだら、感覚の隙間からエロが垣間見え、世代を越えた男と女の業の騒動を体験しているような、なんというか日本的ではないフレンチ作品のような舞台だった。
花言葉を調べたら、あー納得‼︎
今回も三鷹の人はいい仕事するわw。
約2時間。

モデル

モデル

西瓜糖

テアトルBONBON(東京都)

2015/11/26 (木) ~ 2015/12/03 (木)公演終了

満足度★★★

最終日観劇
ユニット?劇団?としては初見。
大正末期の軽井沢、富裕家族(華 ではない)とパトロン、そこに集う人々。何処となく昼ドラの女子校的甘美文学の感覚をたゆたいながら見ていた約2時間というか。
冒頭の銃声が終盤に明かされるがその扱いも女性的な明るさだな、と思ったり。生粋の芸術バカ気質の土肥さんの描いた顔を見たかったかな。
言葉使いが綺麗でした。有川さんの対極な役柄と演じ分けの広さに驚愕。

桜の園

桜の園

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★

この作品を見るのはこれで何度めだろう
いろんなところで上演され尽くしてる感もあるのに、チケットほぼ完売だとか。今回の転落ぶりのラネーフスカヤやトロフィーモフのシンプルな説教いい。ウケ狙いではない笑いの要素が多かったような気がした。
柄本ロパーヒンは何回か見たらクセになりそうな妙技だった。

現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』

現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2015/11/08 (日) ~ 2015/11/21 (土)公演終了

満足度★★★

能楽と三島文学の甘美さが共存
そこはかとなくアングラメロドラマ感出てる小町パートは面白かったけど、宗盛とユヤの近未来部分の徴兵制の件は、三島文学というより三島の人物史感が透けて見え、そこらへんは虚が削がれて見てた。
昭和令嬢の喋りは美しくて好きだが、歌う場面もあってそこらへんは一路さんへのファンサービスなのかな、とも思ったが、三島由紀夫作品て女優が活きる舞台だから、やっぱそれがあって良かったのか。

ネタバレBOX

パンフレット購入していないので役名はよくわからない。
ネットカフェに入り浸る老婆のコマチと、映画女優時代の小町、映画監督や共演俳優が交差する「卒塔婆小町」編。
株で儲け、若くして悠々自適でネットカフェ?漫画喫茶?で100巻超えたコミックス読破をしている平野ムネモリ(宗盛)と、その彼に「好きなようにしていいから」と囲われ一緒に住むことになったユヤ(熊野)、遊んでいたのに考えを改め、のちに看護師になり、ムネモリの元で暮らしていた数年後、母親が危篤になったと連絡があり帰省したいと申し出るも、ムネモリは「花見に行くからと許さない、ダメ」だと拒否する展開の「熊野」編。
この2つの間を取り持つが道玄坂にあるネットカフェ。
他に危険ドラッグ屋、ムネモリ尿管結石、ユヤとコマチの母娘会話。
「まじっすか学園」の連呼は正直うっとおしい。

ユヤの少女時代とレディへの変化ぷりが素敵で凄い。小町のお相手(深作?)、2人並ぶとあまりお似合いには見えなかったのが残念。

スポケーンの左手

スポケーンの左手

シーエイティプロデュース

シアタートラム(東京都)

2015/11/14 (土) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

対面式舞台
右手を探して歌っていたのはブルーハーツ、左腕の用心棒は丹下左膳。
今作では左手を探し求める40後半の男。男の色気は感じるけど恋愛要素はあまり感じさせず、母親に手をこまねいている感がいかにも外国の男って感じで可愛い。その彼が探し求めた先の顔ってああなるよなぁ、な顔に納得。
ディバインレフトハンドを操ってたの実は彼だったりして。
時々置いてけぼりくらう小川さんの翻訳劇、今回は面白かった。
約95分。

「タイタス・アンドロニカス」「女殺油地獄」

「タイタス・アンドロニカス」「女殺油地獄」

劇団山の手事情社

吉祥寺シアター(東京都)

2015/11/06 (金) ~ 2015/11/16 (月)公演終了

満足度★★★★

「女殺油地獄」観劇
話そのものは近松戯曲なのに、貨幣価値は現代、変形マイムなのにすっごい緻密な動きに魅せられる、シンクロナイズ油ダンス。ビデオドリームみたいな油映像もなかなか変で面白い。古典文学なのにクズダメンズの与兵衛の衝動的な行動が今っぽい鬼畜さが見えたりして。面白かった。約90分。

ニホンオオカミはいなかった

ニホンオオカミはいなかった

十七戦地

小劇場 楽園(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

初見
チケットプレゼントにて観劇。
先祖代々の土地、地方といえど地元の主として君臨していた家柄とその分家、過疎の村。
三人姉妹、特に本家に残った次女を取り巻く環境が殊更慌ただしく、また周囲を担ぎ込み、嫁の立場にいる外様の女の本心がいかにもありそうなマウンティング。
相続問題、親族、血族の重みと破滅に向かう加減に見につまされる部分もあった。
よくできたウェルメイドプレイで面白かったです。

ネタバレBOX

最後は「役立たず」の烙印を押された次女を思い切り抱きしめてあげたくなった。

気になった点は、役者さんの誰かしら、台詞を噛んでいたが、通常の喋りとは1,5倍速くらいの捲し立てる言い回しが多かったからそうなりやすいのかな。
また、声の通り抜けが出来ずらい狭小の劇場のためか、発声の高さが小屋全体から響いてくるようで台詞が五月蝿く聞こえたが、そう聞こえたのは自分の座った位置にもよるものなのかな。できればもう少し声を抑えて台詞を喋って欲しかった。
ベイビーさん ~あるいは笑う曲馬団について

ベイビーさん ~あるいは笑う曲馬団について

株式会社セガ・ライブクリエイション

Zeppブルーシアター六本木(東京都)

2015/11/07 (土) ~ 2015/11/14 (土)公演終了

満足度★★★

劇場は違う場所の方が良かったような気がする
出だしから緩いながらも毒吐くピエロさん、あぁ関西の劇団や…とニンマリ。芸達者で軽妙洒脱なベテラン勢に僧正いつ出てくるんやろと錯覚しそうになったが。現実感もありそな話だけど温かみあるラストと久しぶりの中島らも作品に満足。
チケット代のせいか、開始時間の速さか、場内満席とはいかなかったようで、後部座席を潰していたのが勿体ない。

『いとしの儚-100DaysLove-』

『いとしの儚-100DaysLove-』

劇団扉座

座・高円寺1(東京都)

2015/10/29 (木) ~ 2015/11/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

惚れられて惚れあう2人
もともと「長谷雄草子-はせをざうし-」を下敷きにしてたと思う。
15年ぶりに劇団に戻り、改定してる部分もあったけど愛の形が夫婦愛、同性愛、多様な愛情表現と外連味あるスーパー歌舞伎場面も盛り込まれた王道の舞台。
映像の活躍も良いが、舞台で見る山中さんはやっぱ華があるのである。
約2時間弱。

ネタバレBOX

舞台構造は前作の「ナオトラ」舞台と同じだったけど、それらを生かした舞台美術や鳴り物、個を活かす笑わせ方に、ああ、扉座だ、と嬉しくなったり。

鈴次郎が想像し鬼が造った屍体の寄せ集めで生を受けた儚。生まれたてなのでもちろん新生児。1日事に成長し100日後には人間になるが、禁を破れば水になって消えてしまうと鬼に告げられ、その間の面倒をみる事になる鈴次郎。身体は大人なのに言動が幼稚、花や鳥の名を尋ねれば卑猥な言葉でいい加減に返答する鈴次郎に対し、それを面白いと喜ぶ儚、確かに幼児はこんな感じだねとあるある納得。そんな2人とものぐさ坊主が出会って訳あって博打勝負することになり、坊主勝利。まさに坊主丸儲け。そのまま寺に預けられ、人並みの教育を施される。その成長場面は端折っているがちゃんとした精神が伴った常識人に成長する。
鈴次郎と坊主と三木松の三人のやりとりは面白いのだが、初演時の15年前とは男性間の恋愛認識もかなり変化していると思うが、以前はかなり滑稽に意識していた事も、「あ、そうだったね」と今回はさらっと受け止められたのは自分も歳をとったという事かな。

ハッピーエンドでもないがバッドエンドでもなく、陰鬱な話なんだけど、いろんなものが浄化されて終わる幕切れに泣きの鳥肌が立つ。花になって消えていった儚と、死して鬼になる鈴次郎。彼はこれから死んだ人間に自分の過去を語り、その度に儚を失い続けるんだろう。それがまたお伽話ぽくてよかった。
杉田版「HAKANA」の、ホリ氏の人形遣いが印象に残っていたので今回はどうかな?と想像していたが、今回の結城座賽子姫も衣装から博打女神が扉座の世界観にマッチして面白かった。

メグミさんの儚が成長した姿で、和服の姿勢と普段着こなしてない裾さばきが気になってしまったが、童女期のアホアホさ加減はさすがバラエティ経験者だなと感じた。
ヤッシーナイト2

ヤッシーナイト2

ヤッシーナイト

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2015/10/29 (木) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
演者も演出も当日のトークゲストも、演劇界の早稲田派閥で囲まれ劇場の外では六大学野球の優勝パレードが聞こえるという、滅多に経験しないような観劇日。
個性的な4作品、この作家陣を集めたのはご本人の人徳ゆえなんだろうな。
矢柴さんの映像での活躍は目にしているけど、舞台で見る姿は初見。これまでも幾人もの一人芝居を見たことはあるけど、今回は作家陣に惹かれ見に行った。劇場アクセスも良く、劇場内部も綺麗だった。

舞台で演じる時は一人だけど、幕間にお手伝い役?のメイクさんが出てきてその人と台詞なんだか素の会話なんだか、あまりにも自然な会話を挿入し、舞台上で着替えを見せながら次の話へ移行する。更衣中、胸にバストバンドしているから「ああ、一人舞台って大変だなぁ‥」と漠然に思っていたら、実は前日の舞台で肋骨骨折してしまったのだとか。お大事に。
少し長くも感じたが面白かったです。約2時間半。

ネタバレBOX

上手側には楽屋をイメージするメイク台に衣装、下手側には劇中に使用する机やソファがあり、中央には平面の壁、そこにはタイトルや映像画面が出るスクリーン仕様。冒頭、上手近くにある出入口から和服姿の矢柴氏登場。上演前には、助演としてメイクさん(中村沙樹さんというかたらしい)に雑談するように作品解説やそれまでの経緯を独り言ちる。舞台小道具などの転換などは若い男性がやっていたが、のちに舞台監督さんだと判明。

4組の脚本家によるオムニバス一人芝居。以下、上演順。

・10数年前、自分と同時期から活動してた猫のホテル、活躍していく様を横目に自分も「CAB DRIVER」という劇団主宰して活動していたけど、自分んとこは公演直前に主演女優が来なくなったりと問題も発生したりと紆余曲折あり。数年後(千葉さんと)共演した際に、連絡先を交換してから、今回、脚本書いてもらった。
「おんなの谷 / 千葉雅子」
将棋名人戦、対局真っ最中に勝負の流れを変えようと、昼食で訪れたお店で巻き起こる棋士と妻と愛人とカンボジア出身の女性店員のひと騒動。店内で次第に修羅場と化してくる妻と愛人とやたらと突っ込みの上手い店員に対する棋士の慌てっぷり、否定と突っ込みながらご飯食べて、彼女たちに追い込まれ次第に汗だくになってく様が面白い。ショートショート猫ホテ作みたいで、一人で演じているに千葉さんの作品と強く実感。面白かった。

・着替えながら、今回の脚本依頼をした経緯を話しつつ、次の準備。
(山崎さんが)昨年の一人舞台「ヤッシーナイト」を見に来てくれて、その時はつかこうへいさんの作品をやったが「どうせならオリジナルやったら?」と言い残して帰って行った。今年の舞台で何をするか誰に書いてもらうかと悩んだ時、山崎さんとの会話を思い出し、ならばオリジナルを書いてもらおうと、身の程知らずの前代未聞のオファーをした。昨年度の邦画興行収入1位2位を独占した脚本家で日本を代表する映画監督にですよ!(山崎氏はすでに5年くらい先のスケジュールが埋まっているらしい)小劇場に書き下ろしたという大事件!思い切って依頼したら最初は「書けたら書きます」という返事だったのに、届いたのは見事に書き上がったものが送られてきた。読んだら確かに面白い。けれど、ある部分、手直ししたらもっと面白くなっていくんじゃないですかね〜と、下から上を伺うように(パソコンでキーボード打つように)メールを送ったら「良いですね〜」とまた面白いのが送られてきた。さらにここを変えたら〜、なんてやりとりを数回繰り返して出来た作品。
「蔵の中 / 山崎貴」
老婆から依頼を受けてやってきた質屋の男2人。お宝になるような物はないかと、蔵の中を物色していると封印された箱を見つける。中見ないと物がわかんないしと開けてみると、何やら決戦の様子やその時代の重大な事柄が時代絵巻のように描かれた巻物が出てくる。歴史上の人物から近年の様子まで描かれて図面も綺麗で内容的にもお宝か!?と喜んだのも束の間、最近の震災を思い出す絵が出てきて、もしやこれは予言の絵巻で見たらヤバいものなのでは…と思ったら案の定、家主の老婆から「それは家宝だから開けないで」と外から言われてしまう。はーいわかりましたーと返答するも、今頃言われて後の祭り。さてどうしようと思案していたら、こうなったら全部見てやるかともう一人の男は言う。勢いのあまり結局見てしまった男2人の結末。世にも奇妙な未来話でテレビドラマ的な要素も見られて面白かった。

・すでに汗だくになりながら公開着替え。冒頭の依頼話にまた話が戻りそうになったところでゲストが自ら登場、以下混同した会話の覚書。
「インターバルトーク / ゲスト・村上てつや」
たまにぼーとしてテレビ見てるといきなり矢柴が出て驚く/早稲田で芝居やるなんて懐かしいねー/学生時、大学の一番いい場所でゴスペラーズがコーラス練習していた、それを演劇やっている団体は少し離れた場所で稽古している団体が多く、それを遠くで聞いていたが月日が経つとだんだん煩くなっていき、聞こえてくるので早稲田の演劇サークルにいた(カムカムミニキーナの)八嶋智人などは「あいつらうっせーな」とか言ってたの覚えてる/場所取り?提供してくれたおばちゃんに親切にしてもらったエピソード/今日は六大学野球で早稲田が優勝したから、帰りはこの周り、大変な事な事になるんじゃない?/大御所に依頼する話聞いてて俺がハラハラしちゃったよ!俺らは大御所クラスの作詞家に(修正を)お願いしたら、なんで?って言われるよ!いや、そのかたは「てにをは」を大事にされている方なんでね(言いながらフォロー)/ゴスペラーズも芝居仕立てでライブやったりする/デビューしたての頃、当時のマネージャーの勧めで5人全員NHKのドラマオーディションに参加させられた、5人のうち4人は書類選考落ち、後の一人が第3次(?)まで通過して結局何かのドラマに端役として出演した/それがこの前さだまさしさんの娘さんと結婚した北山(陽一)!/矢柴さんが村上氏になんか歌ってよ、と振るも、逆に「お前が歌え」と煽られ、村上氏はポケットから音叉取り出し耳に当てながら共鳴確認、メイク役の中村さんと舞監さんも加わりコーラス指導、矢柴さんがメインボーカルでベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」を披露する事になるが、なかなか音程取れず苦戦する。最終的に客席もコーラス加わり場内一体化でワンフレーズ歌い上げる。/ 充分盛り上がったところで村上氏退場。

・次の方とは(飯田譲治さん)長いお付き合いで、僕が初めて映像に出演した時の監督さん。この人も凄いですよー、依頼したら2時間くらいの作品書いて送ってくれた。でも(上演の)時間は限られてるし演るの一人だし、ビクビクしながら手直しをお願いしたら「なにぉ〜」と言われたりしたが協力して書いていただいた。NHKドラマ「アイアングランマ」にワンシーンで出演した役、その時は「関塚」って名字だけだったのに今回はフルネーム。「正」って名前だったんだw その役を主人公にして、一人芝居の台本にしてくれたもの、いわゆるスピンオフ。
暗転。画面が切り替わると
「私立探偵関塚正 / 飯田譲治」
いきなり水を一気飲みしたところから一瞬に場の空気が変わり、すぐに話の世界に突入。かつて刑事だった関塚、今は探偵をやっているが、ある事件を追っていく事に妻も関わる事になり…。かつての「沙粧妙子」を彷彿させるような作品というか、性愛エロチックホラーサスペンスといった感じ。映像になったら、あの場面はCG処理が加わるんだろうなと思うような描写があったり。最後は冒頭の水を飲んでいる場面に戻るが、妙に気持ち悪い面白さがあった。

・やっと最後です、もうみなさんもずーーと脇役汁浴びっぱなしで疲れるでしょ?着替えながら胸に装着してるバストバンドに自ら触れ「昨日の公演中に肋骨を怪我し病院直行しいろいろ処置してもらった」との事。次のジュウノメは5人くらいの若手ライターたちが考えた作品の中の一作。(ああ、ジュウノメって10の目の事か、と書いてて今頃気づいた)
「ザ・ワールド・オブ・マイン / ジュウノメ(シナリオ制作ユニット)」
パジャマ姿で床に頭をつけて膝曲げて倒立している、この訳ありの子が主役だが、実は逆子男児だった。なんとか正常位置に戻り、そこから話が始まる。父親が仕事を終え、ほろ酔いご機嫌で帰宅し、名前を考えたと発表するもあまりのキラキラネームに胎児意気消沈、そんな名前やだー!と念じ胎内でジタバタするも、肝心の母親は自分とは真逆の考えで否定しながら「ほらお腹の子もこんなに喜んでる!…」ってそれに感動する始末。今は売れない役者だけど付き合いは大事、今度の仕事まで2万円貸してとのたまう父親。おいおい、俺もう生まれちゃうよ!これから先、大丈夫なの?本当に生まれて大丈夫なの!?と、困惑してるうちに母親の体に異変の兆し、いよいよ陣痛が始まって…。胎児は無事に母親のお腹から出てこられるのか、父の命名は本当にそれでいいいのか、風雲急を告げる出産の行方は一体どうなるか。深夜枠のドラマ見ているみたいなファンキーな出産話。現実社会でもその当て字で名前つけてる人がいそうなタクシードラーバーなハリウッド俳優名、それを模写する矢柴さん、似てた。

無事に終演となり、「脇役汁をたくさん浴びたと思うので早く帰って洗い流してください。」と矢柴さん〆の一言で終了。
2時間を超える舞台を演りきった矢柴さんの舞台への意気込みや戯曲への取り組みと掘り下げ方、人物の陰影、緊迫した心理状態をすぐにモノにする巧みさに感嘆。どの作品も作家個性が出てて、面白かったです。
地を渡る舟 ―1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち―

地を渡る舟 ―1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち―

てがみ座

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/10/23 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

最終日観劇
側でみれば知の道楽のようなお屋敷でも、そこは研鑽を積む学舎でもあり家庭でもあり。農耕、風習、戦時下の正義、唇噛み締め大地を踏みしめて生きてく昭和の日本風土記のよう。身分や立場は違えど、みな市井の人々。戦争により失ったもの、奪われたものは人命以外にもたくさんあるが、女中の志野さんがお国言葉で漏らした本音に涙止まらず。世の中的に自分にとって無駄なモノは簡単に淘汰しようとする流れは誠に不憫な考えだと思ったりして。
澁澤の妻と宮沢の妻が相対する場面の毅然とした真摯さ、その澁澤妻の選択肢のない生粋の生き方、苦悩の日々を過ぎ、それを受け止めた澁澤の気持ちにも憂う。シンプルだけど印象に残る舞台セット。
いい舞台でした。

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