満足度★★★★★
最終日観劇
側でみれば知の道楽のようなお屋敷でも、そこは研鑽を積む学舎でもあり家庭でもあり。農耕、風習、戦時下の正義、唇噛み締め大地を踏みしめて生きてく昭和の日本風土記のよう。身分や立場は違えど、みな市井の人々。戦争により失ったもの、奪われたものは人命以外にもたくさんあるが、女中の志野さんがお国言葉で漏らした本音に涙止まらず。世の中的に自分にとって無駄なモノは簡単に淘汰しようとする流れは誠に不憫な考えだと思ったりして。
澁澤の妻と宮沢の妻が相対する場面の毅然とした真摯さ、その澁澤妻の選択肢のない生粋の生き方、苦悩の日々を過ぎ、それを受け止めた澁澤の気持ちにも憂う。シンプルだけど印象に残る舞台セット。
いい舞台でした。