なしかの観てきた!クチコミ一覧

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帰郷 -The Homecoming-

帰郷 -The Homecoming-

Runs First

シアター風姿花伝(東京都)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/30 (日)公演終了

満足度★★★

最近の舞台では珍しく喫煙シーンが多いので苦手な人は自己防衛を心がけましょう
初めて訪れた劇場、シアター風姿花伝。
客席構造が前方は対面式、その一部は座椅子桟敷、中央から後方は正面向き。指定席だけど、前方に座るかもしれない女子は服装に気をつけましょう。暗転時間短いし、約2時間近く身体動かせない。

この戯曲は読んでないけど、海外で暮らした事がない自分にとっては外国の戯曲は読むより見た方が分りやすいし漠然とした想像力を掻き立てる。
だが、この作品に関してはなんと言って良いのか答えが上手く出て来ない。文学的でもあるし、不条理的でもあったし、それでも登場人物が醸し出す特有の美学はなんとなくわかる。まるで散文詩の世界を詠んだような感じ。
あの家族に共感はしないけど、父親の大切な人に当たりたくなる気持ちは分らないでもない。でも、全員歪んでいるけど。歪む前、母親がいた時はあのブランコで息子達をあやしたんだろうか。最後の長男の嫁の決断はそれで良いの!?って突っ込みたくなったが、野獣の中に独り放り込まれると女の気持ちも大らかになるんだろうか。なんというか大人な舞台だった。
約2時間。
観賞日、出演者全員と照明、美術スタッフと演出の小川さんが揃ったアフタートークあり。

ネタバレBOX

家族の中で成功者とも思える哲学者の長男のテディ。
なんかお金を儲ける才能はあるらしい次男のレニー。
思うより身体が先に動くボクサー志望の末っ子のジョーイ。
それなりの仕事をしてきて労働者階級のトップまで登りつめ、現在は家長として一家に君臨している父親のマックス。
実家なのでそのままそこで住んでいる三兄弟の叔父でありマックスの弟であるタクシードライバーのサム。
テディの妻であり3人の子供の母であるルース。

ルースが現れた事で、レニーのクレバーさが垣間見えたり、ジョーイの荒っぽいピュアさが可愛かったり。テディの家族と接する事により、ルースは子供産んでも、歳をとっても「女」を捨てない人なんだなー、本性が開花したのかな。
ジョーイがルースに母性的な愛情を覚えた瞬間は理解できたが、家族に奉仕させる?妻の行動をあそこまで寛容した夫テディの気持ちがよくわからなかった。ポーカーフェイスというか、言葉にださなくても通じていた強い意志の固まりのようなの夫婦なんだろうか。女と男の思考の違いが如実に出ているという事なのか?だれか解説して下さいー。
お父さんの鬱屈にも似た憤り方が凄かった。
舞台全体は満足だけど、内容をちゃんと理解出来ない自分の頭を恨みたい。小川さんの演出、前回SISカンパニーの「TOPDOG〜」よりも今回の演出の方が好きかも。
    **********************
当日アフターゲストは上記の通り。
照明の松本氏はハイバイやイキウメ等に携わり、演出の小川さんが日本で初めて作品作った時から関わりある方だそう。
客席下手から浅野さん、那須さん、斉藤さん、しゅうさん、中原さん、小野さん、照明の松本さん、美術の松岡さん、演出の小川さんの並び
演出の小川さんが司会者的な役回りで、以下、ざっくり記憶の覚え書き。

しゅうさん:(舞台終ったばかりで)テンション下がってないので何を言うか分らない、最初は(この舞台の上演は)小川さん(以下呼称、絵梨子)や自分達の企画で考えていたが、なかなか(劇場とか金銭面?)思うように行かなかったが、那須さんのおかげで劇場を使え一ヶ月近くやれる事になった。役柄、演じ方は小川絵梨子の言う通りにやっている。良いダメ出しをする。
小川さん:ピンターの戯曲、「不条理」のままやるとわからなくなる、読んで、立って、演ってもらって発見することがある。役者を通して話が立ち上がる読み物ではない「戯曲」だ、と。

小野:最初読んだらさっぱり頭の中に入って来なくって焦った。こんな事言うと怒られるかもしれないがw。「ピンター」という大きい山を登っている最中、もしかしたら遭難中かもしれないけど。信頼出来るスタッフと共にお客さんと必ず生還出来ると自信ついている。
浅野:気持ち悪い本w、と思った。家族内でどんなシュチュエーションで、と考えていくと合点がいった。今回の役は普段やらないような役。今回はしゅうさんが呼んでくれた。しゅうさんは、浅野さんの結婚披露宴でお開きの際の新郎正装姿を見て「(浅野=)レニー!」と決めたらしい。
斉藤:しゅうさんに「やれー」と言われた。言われた時は他の舞台と被っていたのにw、でもやったら充実した時間を過ごしている、毎日楽しくやっている。小川さんからも一番楽しそうにしている、と言われる。

那須さん:一番最初に読んだ時、自分が配役されない役と思った「大丈夫か?」と。しゅうさんから「実はそんな女(=ひと)に見えない女(ひと)の方が良い、と言われ、小川さんは「普通の一女性が瞬間の積み重ねで得た経験をやれば良い、と言われる。カテコライズした女は作りたくない、ルーズの捉え方によって演出法は変わってくると思う。女の事をよくわかった人が書いていると思った。
中原さん:わけが分からなくて。お任せするしかない、で、やってきた。

照明さんと美術さんと小川さん:(個別にきちんと話されていたんだが、ここまで来てくると、いかんせん自分の記述能力に限界が来たのでニュアンス纏め書き)
舞台の企画が立ち上がり、製作が進み始めある程度の形を作ったとしても、稽古から本番までに演出から演技も日々変化もあり、毎回本番まで時間が無い、間に合わない、初日まで行き着かない事もある、いろんな事を考えた。まだ探している段階でもある。今回はもともと質感のあった人達と我がままが言える(劇場)環境だったので、それは感謝している。普段は別の場所で稽古して次に劇場入りして、舞台セット組んだり照明あわせたり小道具仕込んだり、があるのに、この公演はずっとこの劇場で通してやっていたと。
美術さんは、劇場見にきて気づいたらこの配置になっていた。家族のルールを認めて作ったセット。客席からは見え辛いが天井部分には蜘蛛の巣とか這っていて細かい事をやっている。一部の小道具はスタッフ私物。マックスが座っている中央の椅子は、地球儀はしゅうさんの私物だそう。

テーマを語ると言うより、物語という手法をどう取り扱って見せるのか、重点を置いているか、に気を配った。
それぞれの人物の年収とか、その背景は出していないが、細かく決めているらしい、ちなみにマックスしゅうさんは年(月?)収5万円、年金暮らし。
観客質問で、ご年配の男性や戯曲を読んだ来た方とか、率直な意見(わからなかった〜とか、舞台セットについて〜)があり、それ以外では、テディのルースの行動についてに言及された質問とその返答→家族の中に残る事になった彼女の事をどう思ったのか。その辺りの言動や行動がなかったが、どういう風に思って演じていたのか→台本上、何も説明がないし(その辺りは斉藤さんなりに考えて演じた模様)彼女は本当は娼婦かもしれないし、美人局かもしれないし。バックグランドが明確でない分、説明にしていないか、瞬間瞬間で見せられるように、わかるように努力した。

記述が曖昧な部分もありますが、大体こんな感じ。小川さんは頭のキレの早い女性だと思い知りました。充実したアフタートークでした。
鴉よ、おれたちは弾丸をこめる

鴉よ、おれたちは弾丸をこめる

さいたまゴールド・シアター

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2013/06/15 (土) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

暴走老人
前半、説明文通りの展開。
現在は老婆の姿になってしまった、かつての女性達が魅せる終盤の激しい輝きを放つ強烈なラスト。男優達の軽やかな動きと狂言回し的な台詞のやり取りが可笑しい。
過激だけど毅然とした女達の強さと迫力ある刺激的な舞台でした。
このような硬派な演目が、今の時代に合っているかは分らないけどゴールドシアターだから出来る舞台なのかも。
約70分。

ネタバレBOX

終盤、法廷は警察に包囲され強行突入される。警告音が舞台から劇場内を席巻し、そんな中で老婆の孫の青年はなぜ、こういう事をする事になったか説明を試みるもそれもままならず、祖母は優しく彼を包み込む。騒乱の中で銃弾にあう孫。老婆達にとっては肉親より一人の若者=男に見えたんだろうか。
狂わずにいられない極限状態からくる凶暴さ。ネクストシアターのメンバーへ一瞬で繋がる全身全霊からくる迫力が凄まじい勢いだった。

弁護士さんや検事さん達の赤褌ではなく、赤パンツ姿も衝撃的でした。
効率の優先

効率の優先

城山羊の会

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/06/07 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

不思議な面白さ
オフィスの一室で繰り広げられる、極々日常的なオフィスラブや事件があったりと多事積み重なって通常業務は進む。他人にとっては些細な事でも本人にしてみればものすっごく悩む事で。世の中、メンタルクリニックや心療内科の看板を街中で目にする機会が増える訳だ、と妙な感心を覚えた。でも社会人なら職場行ってタイムカード押せば仕事するよなー。ああ、でも、みんな仕事しようよって、何度口からでそうになった事か。終始苦笑いで見てしまった。
役者さん達が実際にどっかの会社員として仕事してるんじゃないかっていう雰囲気で上手かった。
約1時間45分。

同時に会話が進むので、自分の席から奥まった場所での台詞は聞き取れなかったが、さほど気になる場面でもなかった。ただ、最後の場面は近場で見る事になったので、目のやり場に困った(苦笑)。
それにしても、山内氏の奥様の当日パンフの御挨拶文面は、どこまで本当なんだろうか。

ネタバレBOX

メーカーの商品開発部のオフィスが舞台、取引先にはその業界では有名な広告代理店が連なっているらしい。
専務の社内報のコラム、「丸谷才一」に妙なおかしさと親近感が湧く。
成り行きで起こった事件も、事が起きればボーゼンさが先立ち緊急時の蘇生処置まで気がまわらないらしい。咄嗟の時の行動に対して、多分企業内研修とかやっていそうな会社なんだけど、それより念頭に浮かんだのは業務の円滑さが優先したようで、この舞台見てたらなんとなくその行動も理に叶っているかも、と思ってしまった。頭抱えて苦笑いするしかない終り方でした。
ごくごく一般的な社会人達が活躍する舞台、(活躍の方法は置いとくとして)面白かったです。
      ****************
当日アフタートークのゲストは映画監督の吉田大八氏。
司会者が居るのかと思ったら、本当に2人だけでトツトツとした会話のゆったりトークだった。作演の山内氏とは、山内氏がCM業界に居た時からのお知り合いだとか。

以下、覚えてる部分の箇条書き。(主に山内さん、( )内は私見です)
トークショーなんて初めて。本当はトークショーなんてやりたくない。この(東京芸術)劇場はトークショーやるのが条件らしい、やるとお金安くなって(本当か嘘かわからないが)劇場借りやすくなるから。殆ど初対面に近い人もいる、明日のトークショーは岩松了さんとだが、何話せば良いんだろう、と悩みながらスタート。
業界の話は自分がいたから。会話重視になっているが、プロジェクトXみたいなモノは出来ない。
キャスティング→チラシコメント→戯曲シナリオ書くの順、今回タイトル決めたら案外早く書けた。書くのは大変だが今回は無理なく納得して書き終えた。
自分が作品を創る基準は岩井秀人、前田司郎、柴幸男。彼らに無くて自分にある物を考えたら(彼らもバイト経験とかはあるかもしれないが)会社しかないので。
役者の顔を思い浮べながら適当に。稽古で動いて台詞が出来る事もある(だったかな、この辺あやふや)。
劇中の仕事内容と神崎、小松、部長のそれぞれの最後の場面。3.11の時、現実社会でも欠勤やサボる事も出来たのに、ちゃんと仕事していた。それを考えたら、彼女の事は笑えない。(ここで思考が纏まらなくなったのか、話すのがヤになったと言ってこの件は終り)でも、ラストは笑ってもらわないと困る、とも。

吉田さんが今度初めて舞台演出をするが、映像の監督?演出家が舞台の演出をやる場合の違いについて。例えば舞台上にコップ置いたとして、映像の人はカット割りがあるからその時に無くなる、(舞台だと)暗転しない限り消えないのに、コップ(の存在)が無くなる事が不思議に思わない。そこら辺が違うのではないか、とか。最近はそう思う人も居ないが〜ワンシーンワンカット〜音楽で〜とか、色々言葉は出てたけど「この続きは居酒屋で話ましょう」と途中切れ。
吉田さんの初舞台演出を手がけるキャストはほぼ決定している、本はこれから出来上がるらしい。そのチラシの「〜演劇やるってよ」は自分がつけたモノじゃありませんから、と。
客層について。立ち上げ当初に比べると、ここ数年は演劇好きの人にも見に来てもらえるようになった、来年で始めてから10年になる、とか。

ここから質問形式になるが、質問が出るとは思っていなかったらしく、何人か手を挙げた姿に「えっ、嘘っ」と驚かれた。
Q:最近見てよかったものは?
A:吉田→大根仁監督の「恋の渦」大変面白かった、ポツドールの舞台は見ていないが見たかった。/これには山内さんも頷いてた。
山内→「ニーチェの馬」
Q:今回の出演者についてどう選んだのか→質問者は知り合いが出演していたので驚いたらしい。
A:オーディションで「メガネ夫婦〜」の台本の1pを読んで?演じて?選んだ。どんな役者を求めたかというと、古館寛治さんや、ハイバイ、ポツドールの人のナチュラルに芝居出来る人達とやって来たので自然とそういう人を選んだ(というようなニュアンス)。
Q:最後のHなシーンの演出はどうやった?→男子高校生の質問について「良い質問だ」と。
A:石橋けいさんとは長い付き合いだが、書く前に話し合う。あの場面(役者として)わかっている2人だから細かく指示せず2人に任せた。分りづらいがセシボンタ?(誰か分らない‥)みたいに色々やっているんです、と。見る位置によっては分りづらいが実際下着脱いでやっている〜他所の舞台でも裸になったり実際やっている劇団あるよね〜(幾つか、聞いた事ある名がチラホラと出たが割愛)。

覚え書きのため、正確ではありませんがこんな感じのアフタートークでした。
姐さん女房の裏切り

姐さん女房の裏切り

千葉雅子×土田英生 舞台製作事業

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/12 (水)公演終了

満足度★★★★

面白かった
今は50代の女と40代半ばの男、流れ流れて辿り着いた2人の現在の暮し。
中年体型になってしまったせいか、普段の言動によるモノからか、あんまりそうは見えないけど誰かに狙われるかもしれないという危機感を持ちながら暮らしている男、それを支えている女。
八百屋舞台、照明と奥行きある舞台から見える風景も、現在の状況が把握出来る。
昭和ヤクザ映画の題材に当てはまりそうな内容なのに、たまに聞かれる男の駄々っ子のような発言、それを掌の上で上手に包み込んでいる女、2人の会話と行動はどこかユーモラス。笑えたのに最後の緊張感あるシーン迄、大人の2人芝居に楽しめた。土壇場で発揮する女の腹の据わり方がいかにも千葉姐さん!でした。面白かった。
約70分。

独特な空間の劇場だったので、蚊取り線香の匂いも舞台の演出みたいでしたw。

黒い血脈

黒い血脈

ペンギンプルペイルパイルズ

サラヴァ東京(東京都)

2013/06/04 (火) ~ 2013/06/05 (水)公演終了

満足度★★★★

ペンギンの公演とはまた違った面白さ
入り口には当日出演者がお出迎え、ウェルカムドリンクならぬウェルカムほうじ茶を戴きながら開場。各自、開演迄場内を物販案内とか座席案内とか注意説明とかしたが、普段とは違う客席の近さによる為か、かなり緊張していた表情も見えたけど、本番が始まってしまえばいつも通りの達者さで見せてくれた。
当日販売していた書き込み台本によると「血脈」=仏教用語と注意書きがあった。
「血脈」は「けつみゃく」ではなく、仏法の伝統の「けちみゃく」の方の読み方らしい。

二日めにして千秋楽。
ほぼ1人芝居のブラックなショートストーリー5篇。話の繋がりが物凄くスマートな見せ方だった。
座布団席あり。ステージから通路やカウンターまで店内大活用。
全編奇妙で暗黒めいて、ちょっと狂気のくすぐりを感じる面白い舞台でした。最後はハイタッチで〆、楽しかったです。
本編約70分+お楽しみビデオ上映(HPにUPされた動画上映、オークション等)

ネタバレBOX

以下のような上演順、( )内は相手役やお手伝いのような役

かわいがり/ぼくもとさきこ
学生時代の友人とママになって再会、カフェで女子会のようなおしゃべり。当たり障りのないおしゃべりに花が咲くけど、ぼくもとママのママバッグから妙なニオイが‥。
愛情が歪み狂い始めた瞬間からの、ぼくもとさんの平然とした表情が薄ら怖かった。冒頭から鳥肌立ちそうになった。

弾丸ボクサー/吉川純広(玉置)
訳ありボクサーと彼をサポートしているトレーナー、ボクサーにヤクザが絡んでいる模様。普通にドラマ劇で上演出来そうな話だった。

リアルエステートキング/玉置孝匡
ある男の家に来客が訪れる。どうやら、立ち退きを勧めている人物らしい。自己流の正当性を論じるも、すぐに嘘がばれる。開き直った怒りからくる憎悪の行動がまた恐ろしい。壊れっぷりが乱暴で恐いよ、玉置さん!
タイトルの「リアルエステートキング」=不動産王=動かざる者、の意

先生!大好き!/近藤フク(ぼくもと・吉川)
近藤さんにいろんな役をやらせてみよう企画、だそう。
生徒に信頼されてる元気な教師から、気鋭の政治家、優秀な医師、と「先生」にまつわるリ・インカーネーションな話。どの配役も「あー、いるいる」と言えそうな存在感だったが、それを導くのは次に登場する男。

フラッシュクラッシュ/小林高鹿(吉川)
ご機嫌な口笛を吹きながらBarに入ってくる男。手にはお気に入りの一眼レフのデジカメ。同席した女性といい感じになり、店を変えて飲み直そうと誘う。外は雨、その中で彼女の表情を捉えようとするが次第に彼の本当の姿が見えてきて‥。
どーしゃぶりーの雨の中でー、ソウルPowerで殺す!高鹿版時計仕掛けのオレンジー!!

ホラーで邪悪の連鎖なお話。最後はホッとする映像でクールダウンさせてくれました。普段の劇団公演とは違う、意外な一面を堪能しました。
アトミック☆ストーム

アトミック☆ストーム

流山児★事務所

座・高円寺1(東京都)

2013/05/31 (金) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★

サイド席で観劇
三方囲み席。どこに座っていても役者が客席に降りて来て歌い叫び、時に笑わせ乱舞するサービス精神旺盛な「原発」と「震災」を扱った力強い異色POP(社会派?)ミュージカル。
震災直後の一部のマスコミ報道による美辞麗句を怒り笑いするかのように、勢いある嵐が舞台に吹き捲くっていた。

斉藤ネコさんによる地鳴りのようなテーマソングが聞かれるが、曲が聞きやすく覚えやすい詩が痛烈に耳に残る。生演奏による、その曲のオープニングとエンディング場面は風刺的でもあるし迫力あったり。
衣装の作業着姿の一部分に使われている黄色が照明に映えてにいかにも警告色のような見栄え方。
女優陣がみんなキレイで歌うまい。
チラシの写真とは違う、別バージョンのポスターが劇場に掲示してあったが、そちらもカッコ良かった。

約2時間。30秒休憩(秒!まだ公演開始して間がない時に見たので、今はどうなのかわかりませんがw)あり。

ネタバレBOX

見てはいけない物を見た訳ではない。
現在進行形の今だからこそやる必要がある舞台なのかも。ちょっと気が重くなる部分もあったけど、結末は悲観的にならず希望があると信じた幕切れだったと思う。
核燃料姿の流山児さん、着ぐるみみたいで笑った。
て

ハイバイ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/05/21 (火) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

満足
初演のみ未見。
数箇所変更はあったけど、今回もハッピーでもバッドでもサッドでもない泣きながら笑っているベターエンド。
デフォルメ家庭の芝居風なんだけど、リアル家庭劇。
観終わった瞬間、充実さと切なさの飽和状態で、すぐには次の行動の動きがとれない。良い舞台見たなー。
当分の間、リバーサイドホテルのイントロが聞こえたら涙腺が緩むと思う。
6/4 アフタートーク部分をざっくり追記

ネタバレBOX

収録日で最終アフタートークの日、トーク部分が収録されるのかは不明。
事前質問記入形式なのだが、あれもこれもと思い出しては書きたかったが、観劇の余韻であまり上手い事書けず、無念。
自分が感じた疑問点の質問に、ちゃんと答えて下さったのでそこは満足。

アフタートーク覚え書き ※( )内は私見です。
・劇中同様、一度、岩井家全員集まろうとしたが失敗
・劇中の真実度、岩井さんは80%、母は70%位と思っているので、間を取って75%で。
・現実の牧師は劇中の人物よりもっとひどかった、葬儀後の会食の場に正体不明の赤いボディコン姿の女性を連れて来たりしてた。その行動に一家ドン引き。
・お母さんの「森君」の件→ほぼ実話。同窓会の件は初演時の稽古でボツにしたが今回復活。
・鳥の糞のシステム→改良しました。
・ハイバイの稽古はメソッドあるのか、どうやっているのか→特になし。喋りを行動として捕らえて欲しかったり、再演を重ねると、役者も慣れてくるので台詞を変えてくれと説明している。
・終わりの棺のシーンの意味→〜アドリブなしの会話だが、終り方はどうでも良いと思っている、家族が協力しないのが良いと思うまま終らせた。

・現在の父や母、兄との関係→父は実家で仕事しているが、顔をあわす事はない。母と兄とは交流ある様子、以前舞台を見に来た母と兄の感想は「だいたいそう」と。戯曲化の際、母に、兄について話を聞いたら自分の思い描いていた兄のイメージとは違う一面を聞き「まずい、悪者に出来ない」と思って書き直した。結果、かなりいい人に盛ってしまった。母や兄が観劇した時は、兄に感想を聞きたくて役者や関係者が集まってきて、エラそーに話を喋っていたのを見たら、上から目線で答える姿にイラッときたのか、もう芝居を見にきて欲しくないと思ったとか。
・父の陽水歌うシーン→(岩井さんがそのまま歌ったりしてくれたのだが、説明するのがムズイのでパス。ほんのちょっとだったけど面白かった)
・ハナクソの件→(色々言っていたけど覚えているのはこの一言)燃やすとクサイ。
・岩井さんは誰ですか→次男です。

・前回のタイトルの名前と違うのは→中身は同じでも主に芸能人の方がやっていたので別物として変えた。芸能人が演じれば、芸能人がしてる芝居になる、知らない人がやればどこかの家族として見る事が出来るから。
・「て」というタイトル→単純にお父さん指、お母さん指と家族の象徴(イメージ?)に使われる。作業をする時も隣り合う指がソッポ向いたら何も出来ない、嫌いなのに近くにいるしかないのはツラいだろう、そんな思いでつけた。
・長女よしこが嫌なヤツに見えた→岩井さんはそんな事は思ってなかったらしく「そう?そんな事ないですよね?」と客席に問うも反対の反応。それが予想外だったようで、その解釈に「感心する」と何度か答えてた。
・笑いながら作ったのに泣いている人がいてビックリした
・父の狼藉について→初演の時もそうだったが、東京の観客は静かに(引いて?)観ていた。福岡の公演の時は大ウケだったので不思議に思ったらしく、アフタートークで尋ねたら「(ウチにも)居るから」という共感のウケ方だったらしい。笑って受け止められる耐性ができているのか、そういう父親に寛大な風土なのかな?と。
・母の通子さんについて、姉と話した。離婚したくてもしなかった、劇中の描写に大体当たっているとの返答だった。
・おなじみのドアノブ→劇団旗揚げの時から使っている。演劇関係者の方、どーぞ使って良いですよ!

・女性役を男性が演じる事について→自分が母親を演じる事や年齢を重ねた事でおばさんも出来るし、その方がリアルじゃないから見ている方もイメージを膨らませやすい、おばあちゃん役をおばあちゃんに近い年齢の人に演じさせるのは客席も心配してみる事になる、男の人がやった方が「おばあちゃん」と表現しやすい、とか。

箇条書きの上覚え書きの為、正確ではありませんがこんな感じでした。
いやむしろわすれて草

いやむしろわすれて草

こどもの城 青山円形劇場/ネルケプランニング

青山円形劇場(東京都)

2013/05/16 (木) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

家族、姉妹だからわかる口の閉ざし方
固定されたベッドを中心に他はセットらしいセットはなし。
セリフの間に静寂と無音が目に見えて、言葉で聞こえてくるような舞台。つい子供時代を追想してしまう。
軍人さんや文学青年が出てこない向田邦子みたいな良作品だった。
舞台袖?舞台裏?の会話の使い方は良かったけど、この劇場では観づらいシーンが多々あったのが残念。
約90分。

ネタバレBOX

クスクス笑いあえたり、チャチャの入れあいこしたり、人から見れば他愛無い事で喧嘩したりと日常を過ごす。
直接的な表現が多用していたわけではない。感情も爆発させた所でどうなる訳ではない。だけど、周囲の優しさや暮らしぶりの犠牲心に、やるせなさや罪悪心も生じて苛まれる気持ちがひたひたと伝わってくる。
切なくなりながらも、みんな泣き笑いしながら生きているのよねー。
大輔さんの上手く言葉に出来ない泣き笑いの表情に、ついもらい泣きしそうになった。
アジア温泉

アジア温泉

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2013/05/10 (金) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

確かに良い舞台なのだが
個人的に観客の容姿を多数の前で笑い者にするような演出は大っ嫌い。
冒頭から観客を色んな面で巻き込み、演者自身の容姿にも台詞で蔑んではいたが、日本語、韓国語、音楽が激しく絡み合おうとした時だった為、あまり観客フォローになっていないような気がした。

前半部分、盛り込み過ぎてやや冗長気味に感じた。
終盤につれ全ての忌、恨を浄化させるようなアジアのシャーマン的儀式は見応えあり、シェイクスピア悲劇のようなロマンスを迎えたヒバリとアユムの白い魔力で護られたかのような最後は綺麗だったが、キャストが多勢居た割にはこの人達の話はこれだけ?とちょっと物足りなさもあった。
出来れば、台詞字幕を落ち着いて読んでみたいので映像化を希望。
学生観劇日で賑やかだった。

ネタバレBOX

千葉てっちゃん達は国と時代を越えた、北村想の寿歌を見ているようだった。谷川さん達の役柄が山師というより、終始盛り上げ役に徹していた。
山中さんと森下さんが並んでいると、なぜだか舞台を観ているというより単館系の邦画を観ているようだった。
追記
日本人キャストの台詞で、土地を失った後の人々や残留してその土地の写真を記録として残す判断を決めた人、明らかに震災の事を言った訳ではないが、その心情に近い台詞を吐露させてた、あの震災がなかったら沖縄を想像していたかも。

ここからは舞台の中身とは無関係。
アンケートにも記入したが観劇時、盲者の観客の方がいらした。正当な料金を払って観に来ている一人の観客なんだからそれは別に構わない。が、上演中、同行者の方が韓国語の字幕を小声で一字一句読み上げていたので心底まいった。
休憩中、劇場スタッフにイヤホンガイドの有無を確認してもらったが用意していないと言われる始末。
日本語と韓国語が入り混じる舞台、歌舞伎公演や他の舞台でイヤホンガイドの使用が出来るのに、なぜ新国立は用意出来ないんだろう。
もうちょっと観客のニーズにあわせてくれても良いと思うのだが。
獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)

獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2013/05/10 (金) ~ 2013/06/02 (日)公演終了

満足度★★★★

全てを理解した訳ではないが面白かった
都市部に降って来た巨大な物体、過疎地に降って来た隕石。宗教的なモチーフにも見えたそれは幸福の象徴か不吉な前触れか。
近い未来と少し昔の過去を行き来し、放浪していく人々の姿に2年前の日本の出来事をつい思い出す。不思議な感慨が湧く面白い舞台だった。

話を聞きかじっただけで、色々詮索して物事をあれこれ考えてしまう年代だが、この舞台については、ストレートに見たままの反応をする感受性豊富な子供達の方がもっと想像力を得られるのかも。
部長と柱の大使、ラッパ屋さん、灰汁の強い役柄というか。とてもテンションが高く、異次元に連れて行ってくれて印象に残る。好演。
約130分。

ネタバレBOX

一連作の完結編、と分類するのかな?
高知県のとある田舎町に隕石らしきものが落下して話が始まる。
その一部を手にした望達。興味本意で探っていたら隕石の被膜が剥がれ、それを目にした途端、思考が幸福感に占領されてしまう事に。外部からの刺激で一瞬で素に戻るが、その後も要所要所でそのやり取りがあったりしてそのやり取りは見てて面白い。
それから世界中にその隕石が出現、幸福感から来る意識消失?により事故が多発。原因は突き止められそうなのに一個人達では追求までは困難、そのうちいつの間にか行方不明になる望。
その後、人口密集地に巨大な柱が乱立し始め、世界各国と日本の政令指定都市等に散らばり町を覆い尽くす。
生活の基盤が一変してしまった世界、柱が来てその場から逃げる人、火中の栗を見たくなる人、居住地を求め放浪していく人。2年前にも似たような出来事があったなと、ついつい思ってしまう。
深刻な事ばかり考えて生きて来た訳ではないが、日々の暮しだけ考え、それだけでも充分幸せな生き方、生活だとラッパ屋夫婦や部長と桜の会話で示される。そのやり取りを見ているだけで、なんか泣きそうになった。歳だからなっ。

容貌はそのままでも行動が別人になって現れた柱の大使の望に、終盤まで異論したいが上手く言えない部長のもどかしさは、望達見える者の言動や行動に触発されて変化したんだろう、プロポーズの場面、ちゃんと言えて良かったねーと素直にそう思った。その時の望の顔が柱の大使から、兄の望の顔になっていたのが余計に面白い。その後の「いってらっしゃい」の台詞の流れまで非常に素敵だった。
暮らしていた土地を譲り渡し、新天地を探す選択をした部長達。自己犠牲心から出た行動ではなく、生きるの為の好転のステップと発想。
明確な答えが出た訳ではないが、観終わって安堵感に包まれた。
面白かった。

もうひとり

もうひとり

酒とつまみ

OFF OFFシアター(東京都)

2013/05/07 (火) ~ 2013/05/21 (火)公演終了

満足度★★★★

面白い
素敵アクトレスの池谷さんと村岡さんという上質素材に倉持さんの手際良さが加味されて、より珍味でクセになる舞台を堪能。意志を貫く等身大の40オンナ2人。アラフォーなんて使うと懇々と話し合いの場を持たれそう。
目に見えない空気感を醸し出し、それらを笑わせるテクニックに楽しませてもらった。もうひとりの姿も見えましたw。約80分。

ネタバレBOX

不条理ぽい芝居なのかなと思っていたら、性格の違いはあれど、本音は互いを思いやる言動や行動があったり、意外な真相がわかったりと2人のやり取りに終始釘付けでした。最後の池谷さんの表情の素晴らしい事w!
面白かった。満足です。
なまず

なまず

metro

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2013/05/08 (水) ~ 2013/05/12 (日)公演終了

満足度★★★

再演作、前作未見
震災を連想させるブラックユーモアな内容。未来の日本、東北王国が中心の舞台。
幕開けの講談芸による講釈で漠然と筋を把握、女流講談師の田端さん、聞きやすかった。
震災後の放射能関連の無自覚意見とか、知らず知らずに見たくもない意見に惑わされたりで、それらをあえて遮断していた時期があり、その時の事を思い出し途中ついて行けない場面もあった。
それらとは別にして、東北の歴史や生活の下地が馴染んでいる人には理解しやすい話なのかも。
さらら嬢の当たり役?とも言える蝉時雨蝶子のまんまレビューは劇場が一時アングラ劇場にいるかのようだった。美人なのに狂人へ変貌、と振り幅の拡さは相変わらず凄まじく、見ていて面白い。
館形さんのなまず乱舞は美しく見惚れた。
歩さんの自由さに笑い、田端さんもさららさんに引けを取らない堂々の怪演。
約130分。

ネタバレBOX

知能を持った神的な存在、この話では「なまず」にあたるが、地震という鉄槌が下され、その土地や人々も滅びつつある。
このような風刺場面は今後も色んな舞台で目にするんだろうな。

今回の「なまず」は館形比呂一さん。
水が入っていない水槽なのに、鍛え上げられた美しい身体つきと動き、不思議で神秘的な回遊魚のようにもに思え、その動きをずっと見ていたい位見事だった。でも、ルックスがジャングルの王者ターちゃんにも見えてしまったの。すみませんすみません!
朗読劇「お文の影・野槌の墓」

朗読劇「お文の影・野槌の墓」

Team申

渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール(東京都)

2013/05/08 (水) ~ 2013/05/09 (木)公演終了

満足度★★★★

リーディング公演
ユニットTeam申が、長い道のりを一緒に歩んでゆきたいという思いで企画された本公演、東日本大震災の復興の一助という目的の朗読公演も今回で3回め。
チーム申3人による、宮部みゆき原作のリーディング公演。今年は亀治郎さんが猿之助さんになっての公演。
佐藤さんの朗読の仕方が、昨年よりも聞きやすく上手になっていた。

開演15分前より3人がラフな私服姿で客席より登場。
公募の自分(観客)が体験した怪談にまつわる話を紹介(毎回内容が異なっていたようだが、最終日は、佐々木/死神体験、猿之助/曰く付きトンネルでの出来事、佐藤/猿に襲撃された話)が読み上げられ、紹介された人には東北の名産物や原作本のプレゼント。
各注意事項の後に公演開始。昨年同様、横長の高座舞台に座布団と行灯の照明。
背景は映像スクリーンと10人程度の人物シルエット、効果的な月灯り。
お文の影、野槌の墓の順で朗読。休憩なしの約2時間。

ネタバレBOX

3人配役担当が決まっているが、交互に台詞を発するがそれぞれ安定した話し方で、声色を聞いているだけでも男女の違い、幼子、老人、物の怪、ト書きと変化に富んでいる。

2作とも死者が絡まる話だが、最終的に「成仏させる」の一点につきる。
昨年の「幻色江戸ごよみ」同様、震災にあわれた人々への鎮魂作品にも受け止められる。
登場人物のおでこちゃんや化け猫のおたま、良かった。
リーディングも継続して行って欲しいが、本公演もそろそろやって欲しい。
あかいくらやみ~天狗党幻譚~

あかいくらやみ~天狗党幻譚~

阿佐ヶ谷スパイダース

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2013/05/05 (日) ~ 2013/05/26 (日)公演終了

満足度★★★

長塚流のアングラ舞台という印象
これまで幕末の歴史事件関連はあまり好みではないので敬遠していた。約150年程前の出来事だが、個人的に先祖が関わった事はない。
一連のベストセラー小説やテレビドラマ(つっても、大河ドラマの新選組!位だが)の予備知識程度で観た今作品。原作本は未読。

真っ暗闇の中で見続けた舞台、なんか歌舞伎作品としてアレンジして見ても良いような出来映えだった。
舞台上は廻る盆舞台、2階席正面から見たが、1階席の近くで見ると人間関係が複雑に見えて余計混乱するかも。
暗闇に映える天狗の赤い姿が印象的。
天狗熱(意味違うけど)にかかったかのような休憩なしの約2時間30分。

ネタバレBOX

時代は太平洋戦争中の若い夫婦の会話から始まるが、そこから江戸から明治への変革期、同じ日本人同士の争い事の討幕運動が活発化している時代に登場人物と共に話が移る。
その当時の、京へ戦に行く、勢力を持った知識ある集団。
意見の食い違いで、一瞬でこの世から去っていく人。身分を変えて生きていく人。誰でも独りで生まれて来た訳ではない、子孫として生を受け、歳をとり、また今に繋がる話、という事か。
天狗党の人は顔を白くしてたり差別化してたように見えたが、初見では人間関係の構造を把握していくのに一苦労だった。
こんな複雑さが見える舞台を繋げてくれる奈生子、彼女視点で見ていたのでなんとか話について行けた気がするw。
公演終盤にもう一度見るので今度は違った見方も出来ると思う。

小野さん、大鷹さん、白石さん、小日向さん等風格ある貫禄芝居。
もともと好きな役者さん達でもあるけど、横田さん、小松さん、古館さん好演でした。
しゃばけ

しゃばけ

アトリエ・ダンカン

赤坂ACTシアター(東京都)

2013/04/20 (土) ~ 2013/04/29 (月)公演終了

うーん‥
縁あって観劇。
原作と脚本に注目していたけど、いざ見てみると原作は読んでない方が楽しめたかも。舞台版として切り離して独立させた方がよかったんではないかな、という感じ。
一部で役、設定紹介。2部で話が進んだ展開。休憩込みの3時間は長く感じた。

ネタバレBOX

映像で見た方が面白さが違うのかな?
粗探ししてた訳ではないけど、どうにも合いませんでした。

原作の主人公は10代で病弱気味だったと思うが、舞台版は配役年齢に併せてか40代の病弱坊ちゃん、時代物で40代の無職って‥いやいや、これはお話だからと切り替えるも、その後も役柄の改変による違和感は拭えず。
ハゲ、チビの応酬、ミイラ人形の扱いのぞんざいさ。かつてのドリフターズや吉本新喜劇系のテレビ的なギャグの応酬に疲弊。確かにあの場面に山内+マギーの2人は重要、あの2人がいなかったらもっと寒くなりそうだが、あのお笑い要素は、この作品には合っていない気がした。
大店のとこの醜女と下男のキスシーン。醜女とは言え、初めての経験なのに重要な場面を笑わせて見せる。その方法は「有り」だし、コント番組とかで楽しんだ経験はあるものの、この場面に限っては、拒否反応を示す役者スキルがあり過ぎて妙にリアル。見ててかえって嫌悪感しかない。笑って見る程達観は出来ず。
麻美さんを歌い踊らせるが、歌詞の内容が説明台詞にもなっているのに、マイク調整がおかしかったのか所々聞き取れない。合いの手も手伝って聴きとれなさに拍車がかかる。
でも、麻美さんの歌声が聞けただけでも良かったのかなw

ヘンリー四世

ヘンリー四世

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2013/04/13 (土) ~ 2013/05/02 (木)公演終了

満足度★★★★★

最終日観劇
休憩込みで4時間越えても、丁寧でわかりやすい(聞きやすい?)台詞、アドリブに見えて実は計算されたかのようなハプニングにも堂々と対応出来るベテランのキャスト。
舞台の奥からゆっくりとセットが現れたり、照明の加減で宮殿の一部が際立ち、場面転換の一部なのに人物の行進も計算された美しさに見える。
集中力途切れず、細かい所まで手が行き届き、続きの展開が想像出来る心憎い終り方。
贅沢な舞台で面白かった。納得のスタオベ。舞台堪能出来て満足。

ホットスパーの星さんと、婦人/ドルの富樫さんが特に良かった。
鋼太郎さんや木場さん、辻さん、瑳川さん達、それぞれが役柄シャッフルしても舞台成立しそう。
映像での活躍は見た事ないが、松坂さんは蜷川舞台に初めて出演した時の、かつての小栗旬さんを彷彿させフレッシュで好演だった。
矢野さん凛々しく、こちらも好演。

ネタバレBOX

巨漢中年不良騎士のフォルスタッフ(ようは大ボラ吹き)と自由奔放のハル王子の喜劇的で軽快な交流、親子愛、反乱、葛藤、男女の愛憎も交えた第一部。戦闘場面も迫力あった。

二部。戦争に勝利した後、フォルスタッフとハル王子の関係も徐々に変化が出るが気づかないのはフォルスタッフだけ。
自分の立場、王として国を継承する事、それを見ている弟や側近。
ハル王子の心境の変化が見えるベッドサイドでの王冠のシーンは、面白さを含め見所満載。
継承決意後、お祝いに駆けつけたフォルスタッフをあしらうハル王子の王としての品と鮮烈な存在、対応の豹変に驚愕するファルスタッフの愚かさや狼狽さが余計に皮肉。
王位継承の行進で降り注ぐ深紅の薔薇、少し白い薔薇も見えたが、次の薔薇戦争へ続く心憎い終り方で印象的だった。
愛とその他

愛とその他

劇団東京乾電池

アトリエ乾電池(東京都)

2013/05/03 (金) ~ 2013/05/06 (月)公演終了

満足度★★★★

初日 LOVE版観劇
他人ん家のお茶の間で主婦やお隣さんが出たり入ったり、機知に富んだ不可思議な井戸端会議が繰り広げられる。
よくわかんないけど今になって妙な可笑しさがジワジワきている。
あっという間の約80分。

ネタバレBOX

エピソードいっぱいだったが、3人タカコさんの場面が好き。
根っこ

根っこ

地人会新社

赤坂RED/THEATER(東京都)

2013/04/04 (木) ~ 2013/04/28 (日)公演終了

満足度★★★

最終日観劇
日々の生活を普通に生きて暮らして行く事の困難。
家族に対して苛つきまくり、たった独りで喋りまくるビーティと、それに戸惑う田舎暮しの父と母、姉兄夫婦との構図。
華やかな都市の暮しに対して、閉鎖性の強い暮らしぶりが見える田舎の家族の風景。
バスの時間に細かい母親と頑固だけど愛嬌ある父親のやり取りが可笑しかった。どこの世界でも家族の根っこは似ているんだな、と思った。

ネタバレBOX

ロンドンでウェイトレスをして暮らしているビーティ、実家のある農村に帰省、この後恋人も来るらしい。その恋人は仕事そっちのけで社会の改革に燃えている。そんな恋人に感化されちゃったビーティ、両親や姉達に田舎の実情を糾弾するやら罵倒するやら。その言動に戸惑う家族。

男の受け入りを堂々と発言してしまうビーティの女子力全開ぷりが見ていて恥ずかしいやら痛々しいやらの恋に多感な盲目ぶり。
それらを踏まえた後の最後の母親の台詞が当たり前過ぎて胸に刺さる。
娘の変化について行けないと思いつつ、ちゃんと見ている母の姿勢にハッとさせられる。
お客様を迎える家族の正装がいかにもその人らしく見えて、そちらからも生活と雰囲気が伝わりやすく良かった。
ビーティ役の占部さんが力強い、彼女と母親の行動に最後まで興味がつきない舞台だった。
今ひとたびの修羅

今ひとたびの修羅

シス・カンパニー

新国立劇場 中劇場(東京都)

2013/04/05 (金) ~ 2013/04/29 (月)公演終了

満足度★★★

東映の任侠映画みたいな舞台だった
大正から昭和に変わろうとしている時代の話。
主要キャストの被りとヤクザで任侠モノというと、コクーンで上演された「シダの群れ」を思い出すが、しっかり「いのうえ任侠道」が息づいていた。どこかしら、主要キャストと新感線固定キャストと演出?に温度差の様なものがあったけど、回を重ねて見たらそれも払拭されたのかな。残念ながら1回きりの観劇では違和感しか残らず。
殺陣捌きはいつもながらカッコ良い。そして新感線では味わえない渋さのような見栄え。ただ、この舞台でいつもの新感線で使用するような効果音は不要な気がした。
約5年の月日で起きた、男と男、男と女、男と男と女の三角関係のやり取りをスピーディに見せているが、大袈裟なやり取りもこの時代物ならではのメロドラマ、と言う印象。
女優3人の役割がそれぞれ良い。瓢吉とお袖のシーンに思わず目頭ウルウルきそうになった。

ネタバレBOX

新国立劇場で任侠もの、シスカンパニーの演目のチョイスは毎回よくわからない。
タイトルバックの幕が出たなら、最後には「完」って垂れ幕も出して欲しかったかなw。
客席通路を頻繁に使用、新橋演舞場や明治座の花道だったら、カッコ良く見えたかも。

おとよ。好きな男へ気持ちを全面に出してその存在は儚げなんだけど、3年位待てなかったのか。でも、そこが男心をくすぐるんでしょうね〜。
スタイルは良いけど身体が薄いので、芸者姿ではちょっと補正した方が良かったのでは‥却って貧相に見えた。
お袖。感情を表に出さず、内に秘めて男を支え愛し抜く姿勢は、タイトルの修羅にも通じているのかな。小池さんの青海波模様の和装姿が似合って素敵だった。
照代。この時代のハイカラな婦人像。プライドの高さと不器用さがまたかわいい。
吉良常。舞台の核の様な人だった。このひとが舞台の世界観を決めていたのかも。

吉良常さんが飛車角に歌を勧める時、伝説の「祭り」を思い出してしまった、新感線ファンの悪い癖。「黒田節」だったけど、黒馬先生の踊りと共に良い場面で良い小節廻し。堤さんの存在が格好よかったのは言うまでもない。
全体的につまらない訳ではないけど、あっさりと見終わって、それほど印象にも残らない作品だった。
効率学のススメ

効率学のススメ

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2013/04/09 (火) ~ 2013/04/28 (日)公演終了

満足度★★★

効率化して残るもの
冒頭ぎょっとする演出で幕開け、勢いがあったのはここだけだったな。
笑わせる要素も少しはあったが、話の内容からか、全体的に硬いイメージが流れていたような気がした。
仕事の価値観を巡り、人生の豊かさとは何かと、淡々と辿り着いた感じで、効率と銘打っているけど研究所内の非効率さの点を追求した箇所まで行き着いた所までなんかアバウト。
模造紙に描いた模式図もわかり易く、映像も駆使し、綺麗だったし眼は惹いた。

ネタバレBOX

ケンが「効率化」に対面して、その後、恋愛に変化する最終場面は微笑ましい終り方だった。

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