獣の柱 まとめ*図書館的人生(下) 公演情報 イキウメ「獣の柱 まとめ*図書館的人生(下)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    全てを理解した訳ではないが面白かった
    都市部に降って来た巨大な物体、過疎地に降って来た隕石。宗教的なモチーフにも見えたそれは幸福の象徴か不吉な前触れか。
    近い未来と少し昔の過去を行き来し、放浪していく人々の姿に2年前の日本の出来事をつい思い出す。不思議な感慨が湧く面白い舞台だった。

    話を聞きかじっただけで、色々詮索して物事をあれこれ考えてしまう年代だが、この舞台については、ストレートに見たままの反応をする感受性豊富な子供達の方がもっと想像力を得られるのかも。
    部長と柱の大使、ラッパ屋さん、灰汁の強い役柄というか。とてもテンションが高く、異次元に連れて行ってくれて印象に残る。好演。
    約130分。

    ネタバレBOX

    一連作の完結編、と分類するのかな?
    高知県のとある田舎町に隕石らしきものが落下して話が始まる。
    その一部を手にした望達。興味本意で探っていたら隕石の被膜が剥がれ、それを目にした途端、思考が幸福感に占領されてしまう事に。外部からの刺激で一瞬で素に戻るが、その後も要所要所でそのやり取りがあったりしてそのやり取りは見てて面白い。
    それから世界中にその隕石が出現、幸福感から来る意識消失?により事故が多発。原因は突き止められそうなのに一個人達では追求までは困難、そのうちいつの間にか行方不明になる望。
    その後、人口密集地に巨大な柱が乱立し始め、世界各国と日本の政令指定都市等に散らばり町を覆い尽くす。
    生活の基盤が一変してしまった世界、柱が来てその場から逃げる人、火中の栗を見たくなる人、居住地を求め放浪していく人。2年前にも似たような出来事があったなと、ついつい思ってしまう。
    深刻な事ばかり考えて生きて来た訳ではないが、日々の暮しだけ考え、それだけでも充分幸せな生き方、生活だとラッパ屋夫婦や部長と桜の会話で示される。そのやり取りを見ているだけで、なんか泣きそうになった。歳だからなっ。

    容貌はそのままでも行動が別人になって現れた柱の大使の望に、終盤まで異論したいが上手く言えない部長のもどかしさは、望達見える者の言動や行動に触発されて変化したんだろう、プロポーズの場面、ちゃんと言えて良かったねーと素直にそう思った。その時の望の顔が柱の大使から、兄の望の顔になっていたのが余計に面白い。その後の「いってらっしゃい」の台詞の流れまで非常に素敵だった。
    暮らしていた土地を譲り渡し、新天地を探す選択をした部長達。自己犠牲心から出た行動ではなく、生きるの為の好転のステップと発想。
    明確な答えが出た訳ではないが、観終わって安堵感に包まれた。
    面白かった。

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    2013/05/19 17:56

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