帰郷 -The Homecoming- 公演情報 Runs First「帰郷 -The Homecoming-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    最近の舞台では珍しく喫煙シーンが多いので苦手な人は自己防衛を心がけましょう
    初めて訪れた劇場、シアター風姿花伝。
    客席構造が前方は対面式、その一部は座椅子桟敷、中央から後方は正面向き。指定席だけど、前方に座るかもしれない女子は服装に気をつけましょう。暗転時間短いし、約2時間近く身体動かせない。

    この戯曲は読んでないけど、海外で暮らした事がない自分にとっては外国の戯曲は読むより見た方が分りやすいし漠然とした想像力を掻き立てる。
    だが、この作品に関してはなんと言って良いのか答えが上手く出て来ない。文学的でもあるし、不条理的でもあったし、それでも登場人物が醸し出す特有の美学はなんとなくわかる。まるで散文詩の世界を詠んだような感じ。
    あの家族に共感はしないけど、父親の大切な人に当たりたくなる気持ちは分らないでもない。でも、全員歪んでいるけど。歪む前、母親がいた時はあのブランコで息子達をあやしたんだろうか。最後の長男の嫁の決断はそれで良いの!?って突っ込みたくなったが、野獣の中に独り放り込まれると女の気持ちも大らかになるんだろうか。なんというか大人な舞台だった。
    約2時間。
    観賞日、出演者全員と照明、美術スタッフと演出の小川さんが揃ったアフタートークあり。

    ネタバレBOX

    家族の中で成功者とも思える哲学者の長男のテディ。
    なんかお金を儲ける才能はあるらしい次男のレニー。
    思うより身体が先に動くボクサー志望の末っ子のジョーイ。
    それなりの仕事をしてきて労働者階級のトップまで登りつめ、現在は家長として一家に君臨している父親のマックス。
    実家なのでそのままそこで住んでいる三兄弟の叔父でありマックスの弟であるタクシードライバーのサム。
    テディの妻であり3人の子供の母であるルース。

    ルースが現れた事で、レニーのクレバーさが垣間見えたり、ジョーイの荒っぽいピュアさが可愛かったり。テディの家族と接する事により、ルースは子供産んでも、歳をとっても「女」を捨てない人なんだなー、本性が開花したのかな。
    ジョーイがルースに母性的な愛情を覚えた瞬間は理解できたが、家族に奉仕させる?妻の行動をあそこまで寛容した夫テディの気持ちがよくわからなかった。ポーカーフェイスというか、言葉にださなくても通じていた強い意志の固まりのようなの夫婦なんだろうか。女と男の思考の違いが如実に出ているという事なのか?だれか解説して下さいー。
    お父さんの鬱屈にも似た憤り方が凄かった。
    舞台全体は満足だけど、内容をちゃんと理解出来ない自分の頭を恨みたい。小川さんの演出、前回SISカンパニーの「TOPDOG〜」よりも今回の演出の方が好きかも。
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    当日アフターゲストは上記の通り。
    照明の松本氏はハイバイやイキウメ等に携わり、演出の小川さんが日本で初めて作品作った時から関わりある方だそう。
    客席下手から浅野さん、那須さん、斉藤さん、しゅうさん、中原さん、小野さん、照明の松本さん、美術の松岡さん、演出の小川さんの並び
    演出の小川さんが司会者的な役回りで、以下、ざっくり記憶の覚え書き。

    しゅうさん:(舞台終ったばかりで)テンション下がってないので何を言うか分らない、最初は(この舞台の上演は)小川さん(以下呼称、絵梨子)や自分達の企画で考えていたが、なかなか(劇場とか金銭面?)思うように行かなかったが、那須さんのおかげで劇場を使え一ヶ月近くやれる事になった。役柄、演じ方は小川絵梨子の言う通りにやっている。良いダメ出しをする。
    小川さん:ピンターの戯曲、「不条理」のままやるとわからなくなる、読んで、立って、演ってもらって発見することがある。役者を通して話が立ち上がる読み物ではない「戯曲」だ、と。

    小野:最初読んだらさっぱり頭の中に入って来なくって焦った。こんな事言うと怒られるかもしれないがw。「ピンター」という大きい山を登っている最中、もしかしたら遭難中かもしれないけど。信頼出来るスタッフと共にお客さんと必ず生還出来ると自信ついている。
    浅野:気持ち悪い本w、と思った。家族内でどんなシュチュエーションで、と考えていくと合点がいった。今回の役は普段やらないような役。今回はしゅうさんが呼んでくれた。しゅうさんは、浅野さんの結婚披露宴でお開きの際の新郎正装姿を見て「(浅野=)レニー!」と決めたらしい。
    斉藤:しゅうさんに「やれー」と言われた。言われた時は他の舞台と被っていたのにw、でもやったら充実した時間を過ごしている、毎日楽しくやっている。小川さんからも一番楽しそうにしている、と言われる。

    那須さん:一番最初に読んだ時、自分が配役されない役と思った「大丈夫か?」と。しゅうさんから「実はそんな女(=ひと)に見えない女(ひと)の方が良い、と言われ、小川さんは「普通の一女性が瞬間の積み重ねで得た経験をやれば良い、と言われる。カテコライズした女は作りたくない、ルーズの捉え方によって演出法は変わってくると思う。女の事をよくわかった人が書いていると思った。
    中原さん:わけが分からなくて。お任せするしかない、で、やってきた。

    照明さんと美術さんと小川さん:(個別にきちんと話されていたんだが、ここまで来てくると、いかんせん自分の記述能力に限界が来たのでニュアンス纏め書き)
    舞台の企画が立ち上がり、製作が進み始めある程度の形を作ったとしても、稽古から本番までに演出から演技も日々変化もあり、毎回本番まで時間が無い、間に合わない、初日まで行き着かない事もある、いろんな事を考えた。まだ探している段階でもある。今回はもともと質感のあった人達と我がままが言える(劇場)環境だったので、それは感謝している。普段は別の場所で稽古して次に劇場入りして、舞台セット組んだり照明あわせたり小道具仕込んだり、があるのに、この公演はずっとこの劇場で通してやっていたと。
    美術さんは、劇場見にきて気づいたらこの配置になっていた。家族のルールを認めて作ったセット。客席からは見え辛いが天井部分には蜘蛛の巣とか這っていて細かい事をやっている。一部の小道具はスタッフ私物。マックスが座っている中央の椅子は、地球儀はしゅうさんの私物だそう。

    テーマを語ると言うより、物語という手法をどう取り扱って見せるのか、重点を置いているか、に気を配った。
    それぞれの人物の年収とか、その背景は出していないが、細かく決めているらしい、ちなみにマックスしゅうさんは年(月?)収5万円、年金暮らし。
    観客質問で、ご年配の男性や戯曲を読んだ来た方とか、率直な意見(わからなかった〜とか、舞台セットについて〜)があり、それ以外では、テディのルースの行動についてに言及された質問とその返答→家族の中に残る事になった彼女の事をどう思ったのか。その辺りの言動や行動がなかったが、どういう風に思って演じていたのか→台本上、何も説明がないし(その辺りは斉藤さんなりに考えて演じた模様)彼女は本当は娼婦かもしれないし、美人局かもしれないし。バックグランドが明確でない分、説明にしていないか、瞬間瞬間で見せられるように、わかるように努力した。

    記述が曖昧な部分もありますが、大体こんな感じ。小川さんは頭のキレの早い女性だと思い知りました。充実したアフタートークでした。

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    2013/06/17 01:07

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